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【発明の名称】 フッ化マグネシウムの製造方法
【発明者】 【氏名】田中 正

【氏名】伊東 久和

【氏名】佐々木 広美

【要約】 【課題】光学ガラス、コンデンサー、半導体、蛍光体等の原料として有用なフッ化マグネシウムの製造方法を提供する。

【解決手段】マグネシウム塩とフッ化水素酸との反応において、フッ化水素酸にマグネシウム塩を添加し、60℃以下で反応させ、反応終了時のスラリー濃度を14%以下とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マグネシウム塩とフッ化水素酸との反応において、フッ化水素酸にマグネシウム塩を添加し、60℃以下で反応させることを特徴とするフッ化マグネシウムの製造方法。
【請求項2】 請求項1記載の製造方法において、反応終了時のスラリー濃度を14%以下とすることを特徴とする請求項1記載のフッ化マグネシウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学ガラス、コンデンサー、半導体、蛍光体等の原料として有用なフッ化マグネシウムの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】フッ化マグネシウムは、光学ガラス、コンデンサー、半導体、蛍光体等に従来から多くの用途に用いられている。これらの分野において使用されるフッ化マグネシウムに要求される品質は、用途によってさまざまである。例えば、半導体用としてはNa、K等のアルカリ金属が少ないこと、光学ガラス用としてはFe等の遷移金属が少ないこと等高純度化が要求される。また、粒径、かさ密度、凝集などの粉体特性についても重要視される。例えば光学ガラス製造の場合、他の原料と混合して溶融されるため各原料の粉体特性が異なると偏析を起こし混合が不十分となり目的の光学特性が得られない。
【0003】従来のフッ化マグネシウムの製造法としては、炭酸マグネシウムとフッ化水素酸、または酸化マグネシウムとフッ化水素酸を反応させる方法、フッ化アンモニウムのような可溶性のフッ化物と水溶性マグネシウム塩と反応させる方法等が知られている。前記条件に使用される高純度のフッ化マグネシウムを製造する場合、原料となるマグネシウム塩の精製による高純度化が必要となる。マグネシウム塩の高純度化は、キレート剤による精製、再結晶等により高純度化したマグネシウム塩を炭酸化して炭酸マグネシウムとしたり、また酸化マグネシウムは、炭酸マグネシウムや水酸化マグネシウムの焼成分解により得られる。そしてそれらとフッ化水素酸との反応により比較的濾過性の良好なフッ化マグネシウムが得られる。しかし、この方法は、一旦中間原料を製造する工程を必要とするため複雑となり、不純物の混入を抑制するための相応の設備が必要となり製造コストが高くなる。一方、可溶性のフッ化物とマグネシウム塩の反応では、工程は単純であるが、この反応により生成するフッ化マグネシウムの沈殿はコロイド状となり、濾過性が非常に悪く付着した生成塩類の除去が十分に出来ないため純度も低下するなどの問題がある。
【0004】
【問題点を解決するための具体的手段】本発明者らは、前記問題点を解決するため鋭意検討した結果、特定反応方式と、限られたスラリー濃度及び反応温度により、かかる目的を達成できることを見い出し本発明に到達した。
【0005】すなわち本発明は、マグネシウム塩とフッ化水素酸との反応において、反応温度60℃以下でフッ化水素酸にマグネシウム塩を添加、反応させ、反応終了時のスラリー濃度14%以下とすることにより濾過性の良いスラリーが得られ、しかも微細で凝集のない粉体特性の良好なフッ化マグネシウムが得られる製造方法を提供するものである。
【0006】以下、本発明の方法について詳細に説明する。本発明の方法は、フッ化水素酸にマグネシウム塩を添加、反応させることである。マグネシウム塩にフッ化水素酸を添加、反応させる方法では、他のいかなる条件を用いてもゲル状態となる。この原因については、マグネシウム塩にフッ化水素酸を添加した場合、反応初期の液性がフッ化マグネシウムの溶解度の低い弱酸性から中性領域であるため生成反応が早く、多数の核が発生し、微粒子となるためにゲル化が起こり濾過性が非常に悪く、乾燥したフッ化マグネシウムは、塊状の堅い凝集結晶となるものと思われる。一方、本発明のフッ化水素酸にマグネシウム塩を添加する方法は、反応初期の液性が強酸性あるため過飽和領域において核の発生及び成長により粒子が生成し、さらに粒成長が起こるために濾過性が良く、しかも微細で凝集のない粉体特性の良好なフッ化マグネシウムの結晶になるものと思われる。
【0007】反応終了時点のスラリー濃度は、14%以下が好ましく、最適な範囲は、8〜12%の範囲が良い。14%を越えると反応スラリーはゲル状態となり、濾過が非常に悪く、乾燥したフッ化マグネシウムは、塊状の堅い凝集結晶となる。一方、8%以下では濾過性及び凝集などの粉体特性に変化は見られないが、スラリー濃度が希薄になるため生産性が悪くなり好ましくない。
【0008】次に、反応温度は、60℃以下が好ましく、最適には20〜50℃の範囲が良い。60℃を越えるとスラリーのゲル状態が急速に進行するため、スラリーの濾過性が非常に悪くなる。一方20℃以下では冷却設備が必要となり経済的でない。
【0009】また、マグネシウム塩は、本発明において基本的に限定されるものではないが、可溶性マグネシウム塩であればいかなるものでも良い。例えば、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム等が挙げられる。これらのマグネシウム塩の精製は、一般に再結晶或いはキレート剤の存在下で有機溶媒による抽出或いはキレート沈殿の除去により行われる。
【0010】本発明の方法により得られた反応スラリーは、長時間置くと、徐々にゲル化が進行するため固液分離は速やかに行う方が望ましい。また、反応スラリーは、酸性であるためアンモニアなどで中和して固液分離をしても何ら差し支えない。この固液分離、洗浄したケーキを乾燥することにより、凝集のない白色のフッ化マグネシウム微粉末が得られる。
【0011】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、かかる実施例に限定されるものではない。
【0012】実施例1100lのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の槽に、30%フッ化水素酸溶液22Kgを仕込み、攪拌しながら反応温度25℃で、20%塩化マグネシウム溶液78Kgを60分間かけて添加し、反応させた。反応終了後、このスラリー(スラリー濃度10%)を固液分離し、水洗した。この時の濾過時間は、2時間を要した。該ケーキを200℃で乾燥した結果、凝集のない白色微粉末のフッ化マグネシウムが得られた。
【0013】比較例1100lのPTFE製の槽に20%塩化マグネシウム溶液78Kgを仕込み、攪拌しながら反応温度25℃で30%フッ化水素酸溶液22Kgを60分間かけて添加し、反応させた。反応スラリーは、ゲル状態となった。このスラリーを固液分離、水洗し、この時の濾過時間は、40時間を要した。該ケーキを200℃で乾燥した結果半透明のシリカゲル状の塊状のフッ化マグネシウムが得られた。
【0014】実施例2〜6、比較例2,3100lのPTFE製の槽に表1に示した所定の濃度のフッ化水素酸溶液を仕込み、攪拌しながら反応温度35℃で所定の濃度の塩化マグネシウム溶液を60分間かけて添加し、反応させた。得られスラリーを固液分離し、水洗した後ケーキを200℃で乾燥した。スラリー濃度と濾過時間によるこれらの結果を表1に示した。
【0015】
【表1】

【0016】実施例7〜11、比較例4100lのPTFE製の槽に30%フッ化水素酸溶液22Kgを仕込み、攪拌しながら表2に示した所定の反応温度になるように調節し、20%塩化マグネシウム溶液78Kgを60分間かけて添加し、反応させた。反応終了後、このスラリー(スラリー濃度10%)を固液分離し、水洗し、このケーキを200℃で乾燥した。反応温度と濾過時間によるこれらの結果を表2に示した。
【0017】
【表2】

【0018】実施例12100lのPTFE製の槽に30%フッ化水素酸溶液22Kgを仕込み、攪拌しながら反応温度35℃で31%硝酸マグネシウム溶液78Kgを60分間かけて添加し、反応させた。反応終了後、このスラリー(スラリー濃度10%)を固液分離し、水洗した。この時の濾過時間は2時間を要した。該ケーキを200℃で乾燥した結果、凝集のない白色微粉末のフッ化マグネシウムが得られた。
【0019】実施例13100lのPTFE製の槽に30%フッ化水素酸溶液22Kgを仕込み、攪拌しながら反応温度35℃で25%硫酸マグネシウム溶液78Kgを60分間かけて添加し、反応させた。反応終了後、このスラリー(スラリー濃度10%)を固液分離し、水洗した。この時の濾過時間は3時間を要した。該ケーキを200℃で乾燥した結果、凝集のない白色微粉末のフッ化マグネシウムが得られた。
【0020】
【発明の効果】本発明の方法により、濾過特性の優れた、かつ高純度で凝集のないフッ化マグネシウム微粉末を製造することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000002200
【氏名又は名称】セントラル硝子株式会社
【出願日】 平成10年12月10日(1998.12.10)
【代理人】 【識別番号】100108671
【弁理士】
【氏名又は名称】西 義之
【公開番号】 特開2000−169140(P2000−169140A)
【公開日】 平成12年6月20日(2000.6.20)
【出願番号】 特願平10−351002