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【発明の名称】 アルミナ分散剤及びアルミナ分散液
【発明者】 【氏名】河田 研治

【氏名】大藏 宏祐

【氏名】落合 哲也

【要約】 【課題】優れた分散性を有するアルミナ分散液及びそのようなアルミナ分散液の調製を可能とするアルミナ分散剤の提供。

【解決手段】窒素含有モノカルボン酸を主成分とするアルミナ分散剤、及びこれと、アルミナと、水系分散媒とを含有することを特徴とするアルミナ分散液。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 分子内に少なくとも1個の窒素原子を含むモノカルボン酸を主成分として含有することを特徴とするアルミナ分散剤。
【請求項2】 前記請求項1におけるモノカルボン酸が、窒素原子を複素原子とする複素環にカルボン酸基を結合する複素環化合物およびアミノ酸よりなる群から選択される少なくとも一種である前記請求項1に記載のアルミナ分散剤。
【請求項3】 前記請求項1又は請求項2おけるモノカルボン酸が、ニコチン酸、ピコリン酸、プロリン、及び、グリシンからなる群より選択される少なくとも1種である前記請求項1又は2に記載のアルミナ分散剤。
【請求項4】 前記請求項1に記載のアルミナ分散剤と、アルミナと、水系分散媒とを含有することを特徴とするアルミナ分散液。
【請求項5】 前記請求項4におけるモノカルボン酸が、窒素原子を複素原子とする複素環にカルボン酸基を結合する複素環化合物およびアミノ酸よりなる群から選択される少なくとも一種である前記請求項4に記載のアルミナ分散液。
【請求項6】 前記請求項4又は請求項5おけるモノカルボン酸が、ニコチン酸、ピコリン酸、プロリン、及び、グリシンからなる群より選択される少なくとも1種である前記請求項4又は5に記載のアルミナ分散液。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アルミナ分散剤及びアルミナ分散液に関し、更に詳しくは、優れた分散性を有する安定なアルミナ分散剤及びそれを含有するアルミナ分散液に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】固体微粒子を液体に分散した固液分散系は、今日、多くの製品あるいは製造プロセスにおいて見られる。固液微粒子としてアルミナ或いはアルミナ水和物を使用した製品としては、研磨剤スラリー、インク・塗料の増粘剤、歯磨剤、家庭用クリーナ、ワックス等が有り、製造プロセスで使用される例としてはバインダーを含有するインクジェット記録用被記録剤たとえばOHPフィルム、光沢フィルム、光沢紙等の塗工液、研磨用砥石の混練プロセスに使用される砥粒液等がある。
【0003】これらの製品或いは製造プロセスで使用される各種のスラリーにおける微粒子の分散性は極めて重要である。
【0004】例えば、研磨剤スラリーにおいて、アルミナなどの砥粒の分散が悪いと加工面にスクラッチが生じるという問題がある。また、クリーナ、ワックス等のように分散液をエアゾール缶、スプレー缶及びその他の各種の容器に充填乃至収容した形態で流通し、また使用される製品において、微粒子の分散が悪いと、分散液が著しく増粘するという問題、分散液中で粉体成分が凝集して凝集体を形成してしまうという問題、エアゾール塗布、スプレー塗布等の塗布方法を採用する場合に前記凝集体がエアゾール、スプレー等における噴射口を詰まらせてしまうという問題、分散液の容器、例えば、缶、ボトル等の底部に凝集体が沈降してしまい、前記分散液中の粉体成分濃度を均一に保持することができないという問題、分散液において分散媒の上澄み層、粉体成分の沈殿層等が生じるという問題、分散液の上層部において粉体成分濃度が低下するという問題、分散液の下層部において粉体成分濃度が高くなるという問題、前記混合液がゲル化し易くなるという問題等があった。
【0005】さらに、例えば、前記粉体成分として平均一次粒子径が5〜100nmの微細アルミナ粉等を、粉体成分濃度が例えば15重量%以上になるように水系分散媒に分散させようとしても、例えば、微細アルミナ粉が空気を抱き込むこと等によって、分散液を容易に得ることができないという問題、得られる分散液の粘度が著しく上昇してしまうという問題、得られる分散液の取り扱い性が悪いという問題、粉体成分を所定の水系溶媒に分散処理するのに長時間を要し、分散液の生産効率が低いという問題、粉体成分濃度のより高い分散液を得ることが困難であるという問題等があった。
【0006】この発明は、従来の技術における問題点を解消することを目的とする。
【0007】この発明の目的は、優れた分散性を有するアルミナ分散剤及びそれを使用して得られるアルミナ分散液を提供することにある。
【0008】この発明の他の目的は、例えば、水系分散液の増粘、アルミナの凝集及び沈降、分散後におけるゲル化等に起因する不具合を回避してアルミナを良好に分散させることのできるアルミナ分剤及びそれを使用して得られるアルミナ分散液を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するためのこの発明のアルミナ分散剤は、分子内に少なくとも1個の窒素原子を含むモノカルボン酸を主成分として含有することを特徴とし、前記アルミナ分散剤の好適な態様において、前記モノカルボン酸は、窒素原子を複素原子とする複素環にカルボン酸基を結合する複素環化合物およびアミノ酸よりなる群から選択される少なくとも一種であり、前記アルミナ分散剤の好適な態様において、前記モノカルボン酸は、ニコチン酸、ピコリン酸、プロリン、及び、グリシンからなる群より選択される少なくとも1種であり、前記課題を解決するためのこの発明に係るアルミナ分散液は、前記アルミナ分散剤と、アルミナと、水系分散媒とを含有することを特徴とし、前記アルミナ分散液の好適な態様において、前記モノカルボン酸は、窒素原子を複素原子とする複素環にカルボン酸基を結合する複素環化合物およびアミノ酸よりなる群から選択される少なくとも一種であり、前記アルミナ分散液の好適な態様において、前記モノカルボン酸は、ニコチン酸、ピコリン酸、プロリン、及び、グリシンからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0010】
【発明の実施の形態】−アルミナ分散剤−この発明におけるアルミナ分散剤は、分子内に少なくとも1個の窒素原子を含むモノカルボン酸(以下において、窒素含有モノカルボン酸と略称することがある。)を主成分として含有する。
【0011】このような窒素含有モノカルボン酸としては、例えば、有機化合物、生体アミン類、アミノ酸、糖質類、脂質、ビタミン及び補酵素類、並びに、分析用有機試薬からなる群より選択される少なくとも1種のモノカルボン酸を採用することができる。
【0012】前記有機化合物としては、例えば、アスパラギン、N−アセチルグリシン、o−アセトアミド安息香酸、m−アセトアミド安息香酸、p−アセトアミド安息香酸、o−アミノ安息香酸(アントラニル酸)、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、β−アミノイソ吉草酸、α−アミノ吉草酸、γ−アミノ吉草酸、δ−アミノ吉草酸、o−アミノケイ皮酸、m−アミノケイ皮酸、p−アミノケイ皮酸、3−アミノサリチル酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、2−アミノ−3−ニトロ安息香酸、2−アミノ−5−ニトロ安息香酸、3−アミノ−2−ニトロ安息香酸、3−アミノ−4−ニトロ安息香酸、3−アミノ−5−ニトロ安息香酸、3−アミノ−6−ニトロ安息香酸、4−アミノ−3−ニトロ安息香酸、o−アミノフェニルグリオキシル酸(イサチン酸)、3−アミノ−3−フェニルプロピオン酸、dl−α−アミノ酪酸、L−α−アミノ酪酸、α−アミノ酪酸、β−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、アラニン、DL−アラニン、アランツル酸、アルギニン、L−アルギニン、アレカイジン、アロキサン酸、アントラニル酸、アンピシリン、イソニコチン酸、イソバリン、イソロイシン、L−イソロイシン、3−インドリル酢酸、イミダゾールアクリル酸(ウロカニン酸)、シュウ酸モノアニリド(オキサニル酸)、シュウ酸モノアミド(オキサミド酸)、オキサルル酸、o−カルボキシオキサニル酸、6−メトキシ−4−キノリンカルボン酸(キニン酸)、4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸(キヌレン酸)、3−キノリンカルボン酸、4−キノリンカルボン酸(シンコニン酸)、5−キノリンカルボン酸、グアニジノ酢酸(グリコシアミン)、グルタミン、グルタミン酸5−ナトリウム、コハク酸モノアミド(スクシンアミド酸)、サルコシン、シアノ酢酸、2−シアノプロピオン酸、2,3−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノ安息香酸、2,5−ジアミノ安息香酸、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、システイン、シトルリン、2,4−ジニトロ安息香酸、2,5−ジニトロ安息香酸、2,6−ジニトロ安息香酸、3,4−ジニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、p−(ジメチルアミノ)安息香酸、α−ショウノウアミド酸、3,5−ジヨードチロシン、スタキドリン、o−スルファモイル安息香酸、p−スルファモイル安息香酸、セファロリジン、セリン、チロシン、2,3,5−トリアミノ安息香酸、3,4,5−トリアミノ安息香酸、2,4,6−トリニトロ安息香酸、トリプトファン、トレオニン、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−ニトロケイ皮酸、m−ニトロケイ皮酸、p−ニトロケイ皮酸、3−ニトロサリチル酸、5−ニトロサリチル酸、o−ニトロフェニルプロピオル酸、p−ニトロフェニルプロピオル酸、ノルバリン、ノルロイシン、N−ベンゾイルグリシン(馬尿酸)、ヒスチジン、ヒダントイン酸、3−ヒドロキシ−2−インドールカルボン酸、4−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、ヒドロキシプロリン、2−ピリジンカルボン酸(ピコリン酸)、3−ピリジンカルボン酸(ニコチン酸)、4−ピリジンカルボン酸(イソニコチン酸)、ピロリジンモノカルボン酸、2−ピロールカルボン酸、L−α−ピロリジンカルボキシル酸(プロリン)、フェニルアラニン、N−フェニルアントラニル酸、2−フェニル−4−キノリンカルボン酸、N−フェニルグリシン、フタルアニル酸、フタルアミド酸、ベタイン、ペニシリンG、ペニシリンV、ヘモピロールカルボン酸、o−ベンズアミド安息香酸、メチオニン、N−メチルアントラニル酸、メチルレッド、6−メトキシ−4−キノリンカルボン酸、リシン、リジン、ロイシン等を挙げることができる。
【0013】前記生体アミン類としては、例えば、カルニチン等を挙げることができる。前記アミノ酸としては、例えば、アザセリン、L−アスパラギン、L−2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、L−アラニン(α−アミノプロピオン酸)、β−アラニン(β−アミノプロピオン酸)、L−アルギニン、L−アロイソロイシン、L−アロトレオニン、L−イソロイシン、L−エチオニン、エルゴチオネイン、L−オルニチン、L−カナバニン、L−キヌレニン、グリシン(アミノ酢酸)、L−グルタミン、クレアチン、サルコシン、L−システイン、L−システイン酸、L−シトルリン、β−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン、3,5−ジヨード−L−チロシン、L−セリン、L−チロキシン、L−チロシン、L−トリプトファン、L−トレオニン、L−ノルバリン、L−ノルロイシン、バリン、L−ヒスチジン、4−ヒドロキシ−L−プロリン、δ−ヒドロキシ−L−リシン、L−フェニルアラニン、L−プロリン、L−ホモセリン、L−メチオニン、1−メチル−L−ヒスチジン、3−メチル−L−ヒスチジン、L−リシン、L−ロイシン等を挙げることができる。
【0014】前記糖質類としては、例えば、D−ムラミン酸、N−アセチルノイラミン酸等を挙げることができる。前記ビタミン及び補酵素類としては、例えば、ビオチン、パントテン酸等を挙げることができる。
【0015】前記分析用有機試薬としては、例えば、カルボキシアルセナゾ、キナルジン酸(2−キノリンカルボン酸)、2−(3,5−ジブロモ−2−ピリジルアゾ)−5−(ジメチルアミノ)安息香酸、5−スルホサリチル酸、3−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−4−スルホ−1−ナフチルアゾ)−2−ナフトエ酸、フェニルチオヒダントイン酸、ローダミンB等を挙げることができる。
【0016】この発明において好適な窒素含有モノカルボン酸としては、窒素原子を複素原子とする複素環にカルボン酸基を結合する複素環化合物およびアミノ酸よりなる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。前記複素環化合物としては、ピコリン酸、ニコチン酸、キナルジン酸、及びピラジンモノカルボン酸等の芳香族系複素環化合物、ピロリジンモノカルボン及びプロリン酸等の5員環複素環化合物、並びにアミノ酸等を挙げることができる。
【0017】窒素含有モノカルボン酸として好適なアミノ酸には、ニコチン酸、ピコリン酸、プロリン、及び、グリシンからなる群より選択される少なくとも1種がある。
【0018】特に、この発明においては、例えば、所定のバインダ成分、添加剤、及び水系分散媒等を配合してなるバインダ液と、前記アルミナ分散剤と、アルミナとを混合してアルミナ分散液を得、このアルミナ分散液を被記録基材上に処理することにより、被記録基材上にインク定着層を形成する場合等においては、前記モノカルボン酸としては、例えば、ニコチン酸、ピコリン酸、プロリン、及び、グリシンからなる群より選択される少なくとも1種を好適に採用することができ、この中でも特に、ニコチン酸、グリシンをより好適に採用することができる。前記ニコチン酸、グリシンは、例えば、生体に対する安全性が高い等の利点も有する。
【0019】この発明におけるアルミナ分散剤においては、前記窒素含有モノカルボン酸を主成分として含有するが、その含有量は、通常50重量%以上100重量%以下である。このアルミナ分散剤において、前記窒素含有モノカルボン酸と共に含有されていても良い共存成分としては、例えば分散助剤、後述するオキシカルボン酸、無機酸、その他の有機酸等を挙げることができる。これらの共存成分の種類及び含有量は、このアルミナ分散剤を用いてどのような微粒子含有スラリーを製造するかに応じて適宜に決定することができる。
−アルミナ分散液−この発明に係るアルミナ分散液は、アルミナと、水系分散媒と、前記アルミナ分散剤特に前記窒素含有モノカルボン酸とを含有する。
【0020】この発明におけるアルミナとしては、例えば、無水アルミニウム酸化物、含水アルミニウム酸化物等を挙げることができ、具体的には例えば、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナ等の無水アルミナ、ベーマイト、ギブサイト、バイヤライト、ノルストランダイト、ダイアスポア、トーダイト、アルミナゲル等のアルミナ水和物(「水酸化アルミニウム」と称することもできる。)等を挙げることができる。したがって、この発明でアルミナと言うとき、無水アルミナ及びアルミナ水和物を含む。前記アルミナの形態としては、例えば、所定の粒子径を有する粒子、微粒子、微細粒子、粉体、微粉、微細粉等を採用することができ、その平均一次粒子径は、通常5〜100nm、好ましくは10〜100nmである。この平均一次粒子径は、例えば電子顕微鏡により測定される平均粒径である。
【0021】この発明においては、アルミナ分散液におけるアルミナの配合量が、通常、多くても60重量%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%であると、アルミナをより効果的に分散させることができる。前記アルミナ分散液におけるアルミナの配合量が多くても60重量%であると、例えば、アルミナ分散液中においてアルミナ同士の粒子間距離が短くなること等に起因する増粘、ゲル化等をより効果的に抑制することができる。
【0022】前記アルミナ分散液におけるアルミナの配合量が10〜60重量%であると、例えば、このアルミナ分散液の粘度を5〜1000cpsに容易に調節することができるので、取り扱い性に優れたアルミナ分散液を得ることができる。
【0023】この発明における水系分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル及び、エチレングリコールからなる群より選択される少なくとも1種の水系溶媒、これらの中から選択される2種以上を混合した水系混合溶媒等を挙げることができる。
【0024】前記水系混合溶媒としては、例えば、水とイソプロピルアルコールとの混合溶媒、水とメタノールとの混合溶媒、水とエタノールとの混合溶媒、水とエチレングリコールとイソプロピルアルコールとの混合溶媒、水とエチレングリコールとイソプロピルアルコールと酢酸エチルとの混合溶媒等を挙げることができる。
【0025】また、この発明においては、この発明の目的を阻害しない限りにおいて、アルミナ及び窒素含有モノカルボン酸と混合する前の水系分散媒は、酸性物質を含有していても良い。
【0026】この発明における窒素含有モノカルボン酸に関する説明は、前記アルミナ分散剤における説明に代える。なお、この窒素含有モノカルボン酸としては、前記水系溶媒乃至前記水系混合溶媒に容易に溶解し、酸性乃至中性を示す窒素含有モノカルボン酸が好ましく、特にニコチン酸、ピコリン酸、プロリン、グリシンが好ましい。
【0027】この発明に係るアルミナ分散液には、前記水系分散媒のpHが通常1.5〜6.5、好ましくは3.0〜5.0に調整されるように、前記窒素含有モノカルボン酸及び/又はオキシカルボン酸を添加することができる。なお、以下において前記窒素含有モノカルボン酸及びオキシカルボン酸を合わせて「モノカルボン酸」と称することがある。
【0028】前記オキシカルボン酸としては、グリコール酸、乳酸、ヒドロアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、及びクエン酸等の脂肪族オキシ酸、並びにサリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシ安息香酸、没食子酸、マンデル酸、及びトロバ酸等を挙げることができる。
【0029】前記窒素含有モノカルボン酸は、例えば、前記アルミナ100重量部に対して、通常0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部添加することができる。この発明においては、前記窒素含有モノカルボン酸を前記アルミナ100重量部に対して0.5〜10重量部添加することにより、前記アルミナをより効果的に分散させることができる。
【0030】この発明においては、この発明の目的を達成することができる範囲内で、前記窒素含有モノカルボン酸を主成分として含有するアルミナ分散剤と、他の酸、例えば、無機酸、有機酸等とを併用することができる。
【0031】前記無機酸としては、例えば、一般の無機酸、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等を挙げることができる。
【0032】前記有機酸としては、例えば、水溶性の有機酸、例えば、酢酸、蟻酸、安息香酸、オキシ酸等を挙げることができる。
【0033】この発明においては、前記窒素含有モノカルボン酸を主成分として含有するアルミナ分散剤を採用せずに少なくとも2個のカルボキシ基を有するカルボン酸、例えば、硫酸、含窒素原子ジカルボン酸等の二塩基酸を採用した場合には、前記アルミナ分散液中においてアルミニウム原子間で架橋反応が起こってしまうこと等により、アルミナ分散液の過度の増粘、ゲル化等を抑制することができず、アルミナの分散性が極端に悪くなるという不具合を生じる。
【0034】−アルミナの分散方法−この発明に係るアルミナ分散液は、前記アルミナ分散剤と水系分散媒とを混合し、得られる混合物を中性又は酸性に調整した非アルカリ性混合物にアルミナを分散させて得ることができる。また、別の手法として、前記窒素含有モノカルボン酸と、アルミナと、水系分散媒とを混合し、必要に応じて超音波分散機、サンドミル、高圧分散機等を使用してこの混合液中のアルミナを均一に分散することによっても、アルミナ分散液を得ることもできる。
【0035】この発明においては、前記アルミナを正に帯電させることにより、前記アルミナを水系分散媒に効果的に分散させることができる。前記アルミナは、前記水系分散媒が酸性又は中性である場合に正に帯電し、このアルミナにおける電位の絶対値が高いほどポテンシャル障壁が高くなって、分散性がより向上する。
【0036】また、一般に、粉体は乾燥した状態であっても凝集して二次粒子を形成している(「乾燥凝集している」と言い換えることもできる)。これを分散媒中で安定に分散させるには、二次粒子を一次粒子化する必要がある。この二次粒子の一次粒子化においては、乾燥した状態の粉体表面に強固に吸着している空気を分散媒に置換して、粉体表面を分散媒でぬらすこと(「粉体のぬれ性を向上させること」と言い換えることができる。)が重要である。
【0037】この発明においては、窒素含有モノカルボン酸による効果のメカニズムについては、未だ明らかではないが上記濡れ性、電気的或いは立体障害的反発力の増大(安定化)に寄与しているものと思われる。
【0038】この発明においては、前記水系分散媒のpHを1.5〜6.5、特に3〜6にに調整することにより、より効果的にアルミナを分散させることができる。
【0039】この発明においては、水系分散媒の増粘、アルミナの凝集及び沈降、分散後におけるゲル化等に起因する不具合を回避することができる。
【0040】このアルミナ分散液は、その用途に応じてアルミナ分散液スラリーに調整される。例えば濃厚分散系、例えばアルミナ含有量が10〜60重量%に調整されたアルミナ分散液を原液として、これに水系媒体を適宜に添加して粘度の調整及びアルミナ分散液スラリー中のアルミナの濃度調整等を図って所望のアルミナ分散液スラリーを得る。アルミナ分散液スラリー中のアルミナの濃度は、通常、1〜10重量%、特に3〜6重量%である。
−アルミナ分散液の用途−この発明に係るアルミナ分散液は、これと、例えば、所定のバインダ成分、添加剤、及び水系溶媒等を配合してなるバインダ液とを混合してアルミナ含有分散液を得、このアルミナ含有分散液を被記録基材上に処理することにより、被記録基材上にインク定着層を形成することができる。
【0041】前記バインダ成分としては、例えば、澱粉及びその変性物、ポリビニルアルコール及びその変性物、SBRラテックス、NBRラテックス、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の有機物等を採用することができ、より好適には、例えば、ポリビニルアセタール、ケン化度が80〜99.8mol%のポリビニルアルコール、及びアルコール系溶媒に可溶なポリアミドからなる群より選択される少なくとも一種の樹脂を採用することができる。
【0042】前記アルコール系溶媒としては、例えば、前記低級脂肪族アルコール、プロピレングリコール、前記低級脂肪族アルコールと水、トリクレン、クロロホルム、四塩化炭素、ベンジルアルコール、フェノール、蟻酸、及び、酢酸からなる群より選択される少なくとも1種との混合溶媒等を挙げることができ、前記混合溶媒としては、例えば、メタノール/水系混合溶媒、メタノール/トリクレン系混合溶媒、メタノール/クロロホルム系混合溶媒等を挙げることができる。
【0043】前記添加剤としては、例えば、pH調整助剤、粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤、脱泡剤、分散安定剤、増白剤、離型剤等を挙げることができる。
【0044】前記レベリング剤としては、例えば、アルコール変性シリコーンオイル、エーテル変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル等を挙げることができる。
【0045】
【実施例】(例1、3、5、7)例1及び例3は実施例であり、例5及び例7は比較例である。
【0046】イオン交換水50重量部とイソプロピルアルコール10重量部とエチレングリコール5重量部とを混合して一次混合物を得、この一次混合物と表1に示される配合量(表1中に記載された配合量を示す数字の単位は重量部である。)及び種類の添加剤とを混合して二次混合物を得た。この二次混合物とδ−アルミナ(デグサ社製、商品名:A123−C,平均一次粒径:20nm)35重量部とをバタフライミキサーを使用して粗混合した後に、超音波分散機を用いて20分間高速分散させることによりアルミナ分散液を得た。
【0047】このアルミナ分散液につき表2に示す評価を行った。但し、評価方法は以下の通りである。
(1)分散直後の粘度:超音波分散後1時間以内にBL型回転粘度計を用いて粘度を測定した。単位は、cps(25℃)である。
(2)1日静置後の粘度:超音波分散後1日静置し、その後にBL型回転粘度計を用いて粘度を測定した。単位は、cps(25℃)である。
(3)遠心分離による沈降:2000rpmで30分間の条件で遠心分離した後に、アルミナ分散液の沈降状態を観察し、以下のように評価した。
◎:殆どなし。
〇:少量の沈降が見られる。
△:大量の沈降が見られる。
(4)分散粒子径:レーザ光散乱方による粒度実測値。
(5)臭気:実際に臭いを嗅いで以下のように評価した。
〇:殆ど臭いなし。
△:酢酸臭が顕著である。
(例2、4、6、8)例2及び例4は実施例であり、例6及び例8は比較例である。
【0048】イオン交換水70重量部とイソプロピルアルコール10重量部と消泡剤0.3重量部とを混合して一次混合物を得、この一次混合物と表1に示される配合量(表1中に記載された配合量を示す数字の単位は重量部である。)及び種類の添加剤とを混合して二次混合物を得た。この二次混合物とγ−アルミナ(昭和電工株式会社製、商品名:UA−5605,平均一次粒径:50nm)20重量部とをバタフライミキサーを使用して粗混合した後に、超音波分散機を用いて20分間高速分散させることによりアルミナ分散液を得た。
【0049】このアルミナ分散液につき表2に示す評価を行った。但し、評価方法は前記例1、3、5、7と同様である。
【0050】
【表1】

【0051】(a):窒素含有モノカルボン酸、(b):オキシ酸、(c):窒素含有ジカルボン酸【0052】
【表2】

【0053】表2において、×印は分散不可能により測定不可能であることを示す。
【0054】
【発明の効果】この発明によると、長期間に亘って粘度の上昇のない、即ち保存安定性の良好な、均一にアルミナが分散し、臭気もないアルミナ分散液を提供することができ、かつそのような優れたアルミナ分散液を調製することのできるアルミナ分散剤を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000108546
【氏名又は名称】タイホー工業株式会社
【出願日】 平成10年10月6日(1998.10.6)
【代理人】 【識別番号】100087594
【弁理士】
【氏名又は名称】福村 直樹
【公開番号】 特開2000−109315(P2000−109315A)
【公開日】 平成12年4月18日(2000.4.18)
【出願番号】 特願平10−284509