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【発明の名称】 微粒炭酸バリウムの製造方法
【発明者】 【氏名】山田 清

【氏名】大高 伸夫

【要約】 【課題】電子機器材料としても有用な微粒炭酸バリウムを効率よく製造すること。

【解決手段】水酸化バリウム水溶液と二酸化炭素または可溶性炭酸塩とを反応させて得られる炭酸バリウムを製造する際に、反応系にポリカルボン酸又はその塩から選ばれる分散剤を存在させて反応を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水酸化バリウム水溶液と二酸化炭素または可溶性炭酸塩とを反応させて得られる炭酸バリウムの製造において、反応系にポリカルボン酸又はその塩から選ばれる分散剤を存在させて反応を行うことを特徴とする微粒炭酸バリウムの製造方法。
【請求項2】 水酸化バリウム水溶液と二酸化炭素を反応させる請求項1記載の微粒炭酸バリウムの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子材料原料として好適な微粒炭酸バリウムの製造方法に関するものである【0002】
【従来の技術】炭酸バリウムは、セラミックコンデンサー用チタン酸バリウムの製造原料、管球・光学ガラス用、顔料等に利用されている。特に、積層コンデンサーは、電子機器の小型化に伴い小型化または薄型化で高性能化であることが益々要求されてきている。従来より、炭酸バリウムの製造法は、重晶石を還元焙焼し、硫化バリウムを得、それを水溶液とし、これに炭酸塩または二酸化炭素を反応させる方法が知られているこの反応式を下記に示す【0003】
【化1】BaSO4+2C→BaS+2CO↑BaS+CO+HO→BaCO+HS↑【0004】上記反応においては、硫化バリウムと炭酸塩または二酸化炭素との反応で副生する硫化水素が、炭酸バリウム粒子中に取り込まれて一部残る。 炭酸バリウム粒子に取り込まれる硫黄不純物が多くなると、電子材料であるチタン酸バリウムの加工において阻害物質となる従って、硫化バリウムを出発原料とした微粒で硫黄不純物の少ない炭酸バリウムが望まれるまた、他の製法として塩化バリウムと炭酸アンモニウムまたは炭酸水素アンモニウムとを反応させて、炭酸バリウムを製造する方法が知られている。この反応式を下記に示す。
【0005】
【化2】BaCl+(NHCO→BaCO+2NHClBaCl+NHHCO+NH→BaCO+2NHCl【0006】上記反応においても、前記硫化バリウムを原料とした場合と同様に、得られる炭酸バリウム中に塩素化合物を不純物として含む。さらにまた、他の製造法として、水酸化バリウムに二酸化炭素を反応させる方法が知られている。この反応式を下記に示す。
【0007】
【化3】
Ba(OH)+CO→BaCO+2HO【0008】上記反応において、水酸化バリウムは塩化バリウムを苛性ソーダとを反応させた原料を使用するが、この時にNaCl等の塩類が洗浄しきれずに残り、微粒化にも少なからず影響を与える。上記問題に対して、微粒化、高純度化に下記のような提案がされている。
(1) 硫化バリウムと炭酸ガスとの反応系に、多価アルコールまたは糖類を存在下させて反応させる方法(特開昭50-147498号公報)。
(2) バリウムの硝酸塩又は塩化物水溶液にカルボン酸等の界面活性剤を加えて、これに炭酸塩の水溶液を加えて炭酸バリウムを沈殿させ、またチタンの硝酸塩又は塩化物水溶液に水酸化アルカリを加えて得られる水酸化チタンとをそれぞれ混合後、ろ過、焼成することで微粒チタン酸バリウムを製造する方法(特開平5-17150号公報)。
(3) 可溶性バリウム塩に可溶性炭酸塩または二酸化炭素を反応させて、前記可溶性バリウム塩が過剰の状態で前記反応を行わせ、反応前から反応後までのいずれかの時期にカルボン酸を添加する微細炭酸バリウムの製造方法(特開平7-25611号公報)。しかしながら、上記方法においても十分な微粒子および高純度品を得ることができず、満足するものではなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って、上記問題に鑑み鋭意検討を行った結果、本発明の製造方法によれば、塩素や硫黄などの不純物の少ない微粒炭酸バリウムを得ることができることを知見し、本発明を完成させた。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、水酸化バリウム水溶液と二酸化炭素または可溶性炭酸塩とを反応させて得られる炭酸バリウムの製造において、反応系にポリカルボン酸又はその塩から選ばれる分散剤を存在させて反応を行うことを特徴とする微粒炭酸バリウムの製造方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の水酸化バリウムは、工業的に入手できるものであれば、特に制限されるものではない。また、可溶性炭酸塩または二酸化炭素は、例えば炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ガスなどが挙げられる。ポリカルボン酸またはその塩は、工業的に入手できるものであれば、特に制限されるものではないが、例えばポリカルボン酸、ポリカルボン酸ナトリウム、ポリカルボン酸アンモニウム、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸アンモニウムなどである。これらは、固形分成分%でその粘度は異なるけれども、固形分20〜98%、好ましくは30〜60%、粘度10〜700(cPs)の範囲のものである。
【0012】反応は、予め水酸化バリウム水溶液を調製しておき、撹拌下に炭酸ガス等の可溶性炭酸塩水溶液又は二酸化炭素を吹き込むかまたは添加することにより製造させる。この時、反応は、可溶性バリウム塩と可溶性炭酸塩又は二酸化炭素を理論当量で反応させればよい。好ましくは、反応中可溶性炭酸塩又は二酸化炭素が過剰でおこなうほうがよい。
【0013】この時、ポリカルボン酸は、上記反応系において、水酸化バリウムと炭酸塩または二酸化炭素との反応時に常に存在していればよく、その添加時は特に限定されないが、より比表面積の大きな炭酸バリウムを得るためには、水酸化バリウムと炭酸塩または二酸化炭素の添加終了後、すぐ添加したほうがよい。添加の方法は、予めポリカルボン酸の0.1〜10wt%程度の水溶液を調製しておいて、この溶液を反応中に添加すればよい。
【0014】また、添加量は、生成する炭酸バリウムに対して0.1〜10wt%、好ましくは1〜5wt%程度である。この添加する量に応じて得られる炭酸バリウムの粒度は微細になる。反応条件は、通常反応温度0〜90℃、好ましくは30〜50℃、反応時間0.01〜24時間、好ましくは0.01〜10時間である。
【0015】上記方法で得られた本発明の微細な炭酸バリウムは、針状であり、短径0.05〜0.1μm長径0.5〜3μmである。比表面積は5m/g以上、好ましくは10m/g以上である。また、得られる炭酸バリウム中に含まれる硫黄分または塩素は、極めて少なくそれそれ0.10重量%以下であるのが好ましい。上記方法により得られた微細な炭酸バリウムは、極めてチタン酸バリウムの原料として使用する場合、反応性が高く高純度チタン酸バリウムを得ることができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例によって更に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例 1)水酸化バリウム・8水塩50.0gと表1記載のポリカルボン酸塩0.156g(純度100%換算)、水1500gを反応容器に仕込み、水酸化バリウム及びポリカルボン酸を溶解させる。次いで該反応溶液を10000rpmで撹拌しながら、炭酸ガス0.0056gを流速0.0112g/分の速度で吹き込んで反応を行った。この時の反応温度は、20℃で、反応時間30秒で行った。反応終了後、ろ過分離し、乾燥を行い、微細な炭酸バリウムを得た。さらに、5分熟成反応を同条件で行った。得られた炭酸バリウムのBET比表面積をFLOWSORB2300(島津製作所製)で測定し、その結果を表1に示す。
【0017】(実施例 2〜8)また、上記実施例1の反応において、ポリカルボン酸塩を炭酸ガス吹き込み後に添加したことを除いて同様に行った結果微細な炭酸バリウムを得た。その結果を同じく表1に示す。
【0018】(比較例 1)また、上記実施例1の反応において、ポリカルボン酸塩を添加しないことを除いて同様に行い、炭酸バリウムを得た。比表面積を測定し、その結果を同じく表1に示す。
【0019】
【表1】

【0020】(実施例9および10)反応温度を表2のようにした他は実施例4と同様にして行い、微細な炭酸バリウムを得た。その結果を同じく表2に示す。
【0021】
【表2】

【0022】(実施例11〜13)水1500gおよび水酸化バリウムを表3の重量だけ反応容器に仕込み、水酸化バリウムを溶解させる。次いで該反応溶液を35℃にし、速度10000rpmで撹拌しながら、炭酸ガス0.0056gを流速0.0112g/分の速度で吹き込んで反応を行った。炭酸ガス添加時間は30秒で行った。次いで、ポリカルボン酸(商品名:アデカコール)を表3の重量(純度100%換算)だけ該反応溶液に添加し、10分間同条件で熟成反応を行った。反応終了後、ろ過分離し、乾燥を行い、微細な炭酸バリウムを得た。得られた炭酸バリウムのBET比表面積をFLOWSORB2300(島津製作所製)で測定し、その結果を表3に併載した。
【0023】
【表3】

【0024】また、各実施例で使用した各種ポリカルボン酸塩の粘度を株式会社トキメック製(TIKOMEC)E型粘度計(VISCONIC ED 型)により測定し、その結果を表4に示した。
【0025】
【表4】

【0026】
【発明の効果】本発明は上記のように構成したので、電子機器材料としても有用な微粒炭酸バリウムを効率よく製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000230593
【氏名又は名称】日本化学工業株式会社
【出願日】 平成10年9月30日(1998.9.30)
【代理人】 【識別番号】100057874
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道照 (外6名)
【公開番号】 特開2000−103617(P2000−103617A)
【公開日】 平成12年4月11日(2000.4.11)
【出願番号】 特願平10−277956