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【発明の名称】 板状ベーマイト及び板状アルミナ並びにそれらの製造方法
【発明者】 【氏名】木戸 健二

【氏名】藤吉 加一

【氏名】西垣 康広

【氏名】林 好夫

【要約】 【課題】比表面積が大きく、活性が高い板状ベーマイト及びそれを効率よく製造することができる板状ベーマイトの製造方法、並びに、比表面積が大きく、活性が高いとともに、耐熱性が高く、高温でも安定した状態で長時間使用することができる板状アルミナ及びそれを効率よく製造することができる板状アルミナの製造方法を提供する。

【解決手段】板状ベーマイトはアスペクト比が10〜35になるように形成されている。板状ベーマイトはカルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれた少なくとも一種のアルカリ土類金属化合物と水酸化アルミニウムとを水の存在下で加圧状態にして150〜300℃で反応させ、その反応生成物を酸処理し水洗して製造される。板状アルミナはθ−アルミナ及びδ−アルミナの混合物を主体とし、上記の板状ベーマイトを450〜1500℃で焼成して製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アスペクト比が10〜35になるように形成し、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれた少なくとも一種のアルカリ土類金属がインターカレーションした板状ベーマイト。
【請求項2】 カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれた少なくとも一種のアルカリ土類金属の化合物と水酸化アルミニウムとを水の存在下で加圧状態にして150〜300℃の温度で反応させ、その反応生成物を酸処理し、水洗して残留アルカリ土類金属化合物を除去する板状ベーマイトの製造方法。
【請求項3】 前記アルカリ土類金属の化合物は水酸化物、酸化物、塩化物、硫酸塩及び有機酸塩から選ばれた少なくとも一種の化合物である請求項2に記載の板状ベーマイトの製造方法。
【請求項4】 θ−アルミナ及びδ−アルミナの混合物を主体とする板状アルミナ。
【請求項5】 請求項2に記載の製造方法で得られた板状ベーマイトを450〜1500℃の温度で焼成する板状アルミナの製造方法。
【請求項6】 前記アルカリ土類金属の化合物は水酸化物、酸化物、塩化物、硫酸塩及び有機酸塩から選ばれた少なくとも一種の化合物である請求項5に記載の板状アルミナの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば難燃化プラスチックフィラー、高温触媒担体、高温耐熱潤滑材、耐火物などの耐熱材料、湿度センサー、固体電解質、各種エレクトロニクス素子、分離膜、蛍光材料、滑材、塗料等として使用される板状ベーマイト及び板状アルミナ並びにそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、燃焼触媒担体としては、各種結晶形態のアルミナが使用されていた。また、湿度センサー、固体電解質、各種エレクトロニクス素子、分離膜、蛍光材料等にはβ−アルミナが使用されていた。
【0003】そして、発電等の電力分野では高温燃焼によるガスタービン発電が主流となりつつあり、エネルギー効率の点から燃焼温度が高温化する傾向にある。また、余剰電力貯蔵用のナトリウム−硫黄(NaS)型電池用固体電解質や各種ガスの有効利用の必要性からガス分離膜の需要が高まりつつある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、これまでのアルミナ質材料には種々の問題があった。従来、アルミナ質燃焼触媒担体として使用される粒状アルミナは、比表面積が10m2 /g未満と小さく、触媒としての機能が低い。また、例えば1200〜1400℃というガスタービン燃焼温度範囲の高温では焼結又は粒成長によりさらに比表面積が激減して触媒としての機能を果たさなくなるという問題があった。
【0005】さらに、アルミナには幾つかの変態があり、その中でも熱的に安定であるα−アルミナは、比較的容易に製造できるが結晶形態はコランダムであり表面積が小さく触媒としての機能が低い。また、通常θ−アルミナ及びδ−アルミナは平板状の結晶形態をとり、表面積が大きく触媒他としての機能が高いが、1150℃以上の高温度では相転移を起こし、表面積が急激に減少するほか、その物質の性状は激変する。さらに、ナトリウムを含むβ−アルミナはナトリウムの蒸散による熱設備の損傷が大きいうえに、製造が容易ではないという問題があった。加えて、アルミナの原料となるベーマイト(Boehmite)にもアルミナと同様の問題があった。
【0006】この発明は、上記のような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、比表面積が大きく、活性が高い板状ベーマイト及びそれを効率よく製造することができる板状ベーマイトの製造方法を提供することにある。また、他の目的とするところは、比表面積が大きく、活性が高いとともに、耐熱性が高く、高温でも安定した状態で長時間使用することができる板状アルミナ及びそれを効率よく製造することができる板状アルミナの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の板状ベーマイトは、アスペクト比が10〜35になるように形成し、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれた少なくとも一種のアルカリ土類金属がインターカレーションしたものである。
【0008】請求項2に記載の発明の板状ベーマイトの製造方法は、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれた少なくとも一種のアルカリ土類金属の化合物と水酸化アルミニウムとを水の存在下で加圧状態にして150〜300℃の温度で反応させ、その反応生成物を酸処理し、水洗して残留アルカリ土類金属化合物を除去するものである。
【0009】請求項3に記載の発明の板状ベーマイトの製造方法は、請求項2に記載の発明において、前記アルカリ土類金属の化合物は水酸化物、酸化物、塩化物、硫酸塩及び有機酸塩から選ばれた少なくとも一種の化合物であるものである。
【0010】請求項4に記載の発明の板状アルミナは、θ−アルミナ及びδ−アルミナの混合物を主体とするものである。請求項5に記載の発明の板状アルミナの製造方法は、請求項2に記載の製造方法で得られた板状ベーマイトを450〜1500℃の温度で焼成するものである。
【0011】請求項6に記載の発明の板状アルミナの製造方法は、請求項5に記載の発明において、前記アルカリ土類金属の化合物は水酸化物、酸化物、塩化物、硫酸塩及び有機酸塩から選ばれた少なくとも一種の化合物であるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。板状ベーマイト〔AlO(OH)〕はアスペクト比が10〜35となるように形成され、比表面積が通常10〜30m2 /gである。微視的には、ベーマイトのb面にアルカリ土類金属が化学的に付着している。そして、このアルカリ土類金属によって、後述する水熱合成系内においてb軸方向への結晶成長が妨げられるとともに、a、c軸方向への異方成長が誘導されていると思われる。また、この板状ベーマイトは500℃付近で吸熱反応し板状アルミナに変化するため、プラスチックの難燃性フィラーとして好適である。
【0013】次に、上記の板状ベーマイトの製造方法について説明する。まず、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれた少なくとも一種のアルカリ土類金属の化合物{RX〔RはCa、Sr又はBa、XはRと結合する負成分(原子団又はイオン)である。〕}と水酸化アルミニウム〔Al(OH)3 〕とを例えば圧力容器(オートクレーブ)などに入れて水の存在下で加圧状態にする。
【0014】次いで、それらをオートクレーブ内で150〜300℃の温度で反応させて水熱合成を行う。そして、その反応生成物を例えば酢酸などの酸で酸処理して水洗し、残存する過剰のアルカリ土類金属化合物を除去することにより板状ベーマイトが得られる。
【0015】反応生成物を生成させる場合、オートクレーブ内の反応原料を静置下(無攪拌下)又は低速攪拌下で反応させて行うのが望ましい。これにより、ベーマイトの形態は平板状に制御される。
【0016】また、前記反応を例えばハニカム形状などの所定形状の容器内で行い、得られた反応生成物をその形状が維持される状態で、例えば反応生成物を支持板上に載せた状態で焼成を行ってもよい。この場合、前記反応後に反応生成物を例えばハニカム形状などの所定形状の容器内に入れ、その形状をなす反応生成物を容器から取り出して焼成を行ってもよい。
【0017】反応原料であるアルカリ土類金属化合物としては、カルシウム、ストロンチウム又はバリウムの水酸化物、酸化物、塩化物、炭酸化物、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩及び酢酸塩、ギ酸塩などの有機酸塩などが使用できる。また、例えば水酸化バリウム8水和物〔Ba(OH)2 ・8H2 O〕などの水和物であってもよい。水酸化アルミニウムとしてはアルマイト製造時などに生じた廃棄物として処理される水酸化アルミニウムを使用してもよい。反応原料としては水を必要とし、その水を使用して水熱合成を行わせる。また、アルカリ土類金属化合物は、それぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。酸処理に使用する酸としては、希塩酸、硝酸、酢酸をはじめ一般に酸と称される物質が使用できる。
【0018】また、上記反応原料に加えて、さらに添加剤を添加して反応させて反応生成物を得ることができる。この添加剤としては、ナトリウム化合物、アルコール化合物及びアミン化合物が使用され、特にアルコール化合物及びアミン化合物が好ましい。これらの添加剤はそれぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。この場合、ナトリウム化合物は反応原料中のアルカリ度を調整できるため、水酸化アルミニウムの溶解性を調整して反応原料の水熱合成を促進させることができる。また、アルコール化合物は反応生成物が粒子状に大きく成長するのを抑制して比表面積の大きな反応生成物を得ることができる。アミン化合物は反応原料の水熱合成を促進させる機能と、反応生成物が粒子状に大きく成長するのを抑制して比表面積を大きくする機能との両機能を発揮することができる。
【0019】ナトリウム化合物としては、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、酢酸ナトリウム(CH3 COONa)、塩化ナトリウム(NaCl)などが使用され、特に水酸化ナトリウムが好ましい。これらのナトリウム化合物はそれぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。
【0020】アルコール化合物としては、例えばメタノール(CH3 OH)、エタノール(CH3 CH2 OH)などの一価アルコール及びエチレングリコール(HOCH2CH2 OH)、ジエチレングリコール[HO(CH2 2 O(CH2 2 OH]、グリセリン(C3 8 3 )などの多価アルコールが使用され、特にエチレングリコール又はグリセリンが好ましい。これらのアルコール化合物はそれぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。
【0021】アミン化合物としては、例えばトリエタノールアミン〔N(CH2 CH2 OH)3 〕、メチルアミン(CH3 NH2 )、ジアシルアミン〔(RCO)2 NH〕、トリアシルアミン〔(RCO)3 N〕、シクロヘキシルアミン(C6 13N)、ヘキサメチレンテトラミン(C6 124 )、N−エチルアニリン(C8 112 )、エチレンジアミン四酢酸(C10162 8 )などが使用され、特にトリエタノールアミンが好ましい。なお、化学式中のRはアルキル基を表す。これらのアミン化合物はそれぞれ単独で使用してもよいし、併用してもよい。
【0022】アルカリ土類金属化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物と水酸化アルミニウムは、モル比で好ましくは1:6〜1:14、さらに好ましくは1:8〜1:12になるように設定される。これらのモル比の割合は、板状ベーマイトを効率よく製造するためである。
【0023】水の使用量は、水酸化アルミニウムに対し、重量比で好ましくは2〜24倍、さらに好ましくは3〜10倍である。2倍未満では反応原料が水熱合成して反応生成物を生成するのに不十分であり、24倍を超えると無駄な水の量が増加して製造コストが高くなるとともに、板状ベーマイトの生産性が低下してしまうために好ましくない。
【0024】ナトリウム化合物の使用範囲は、水酸化アルミニウムに対して好ましくは0.05〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。この使用範囲は、反応原料と水との水熱合成を促進させる働きが妥当だからである。アルコール化合物の使用量は、水の総重量の好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜40重量%である。この使用量が好ましいのは、反応生成物が粒子状に大きく成長するのを抑制して比表面積を大きくすることができるからである。アミン化合物の使用量は、水の総重量の好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。この使用量が好ましいのは、水熱合成を促進させる機能と、反応生成物が粒子状に大きく成長するのを抑制して平板状に成長させて比表面積を大きくする機能との両機能をバランスよく発揮することができるからである。
【0025】板状ベーマイトを合成する反応原料を攪拌する場合、例えば攪拌装置などにより回転数150rpm以下で攪拌するのが好ましく、反応原料を静置する場合は、攪拌せずに放置しておくのが好ましい。反応を150rpm以下の攪拌下で行うのは、反応系内を均一にし、反応効率を良くするためであり、静置下で行うのは、反応生成物が粒子状に大きく成長するのを抑制して平板状の形態を得るためである。
【0026】オートクレーブ内で反応生成物を生成させるための温度は、150〜300℃、好ましくは170〜220℃に設定される。150℃未満では反応生成物を得ることは困難であり、300℃を超えると生産性が悪くなったり、製造コストが高くなったりして好ましくない。
【0027】この場合の加熱時間は、好ましくは4〜48時間、さらに好ましくは10〜24時間であり、攪拌又は静置下のそれぞれの状況に応じて加熱時間が相違する。4時間未満では反応生成物の形状を充分制御できず、48時間を超えるとエネルギーコスト及び製造コストが上昇して好ましくない。
【0028】上記のようにして得られる板状ベーマイトは、カルシウム、ストロンチウム及びバリウムから選ばれた少なくとも一種のアルカリ土類金属が通常イオンの形態でインターカレーションしている。このインターカレーションするアルカリ土類金属は、原料であるアルカリ土類金属化合物の5%程度である。なお、インターカレーションとは、層状構造を有する物質の層間に分子、原子又はイオンが挿入される現象をいう。
【0029】次に、板状アルミナ(Al2 3 )は、微量のアルカリ土類金属が付着したθ−アルミナ及びδ−アルミナの混合物を主体としている。このため、1350℃においても熱的に安定であり、長時間にわたりその結晶形態及び比表面積が保持される。つまり、高温触媒担体、高温耐熱潤滑材、耐火物等として使用するのに好適であり、特に高温触媒担体として高温でも安定した状態で長時間使用することができる。この板状アルミナは、上記の板状ベーマイトを焼成することによって得られ、その形態は焼成後も板状ベーマイトの形態と変わらず維持されるために平板状に形成されている。また、アスペクト比は10〜35、比表面積は10〜30m2 /gとなるように形成されている。高温触媒担体として使用する場合、アルミナの形態が平板状になるように製造されているため、板状アルミナの形態が均一に制御されることになり、触媒担体として圧力損失を少なくして効率よく使用することができる。
【0030】次に、板状アルミナの製造方法について説明する。板状アルミナは、上記の板状ベーマイトを例えば電気炉などにより450〜1500℃の温度で焼成することにより製造される。
【0031】板状ベーマイトを焼成する温度は、450〜1500℃、好ましくは1100〜1400℃の温度に設定される。450℃未満ではベーマイトのままであり、1500℃を超えるとエネルギーコスト及び製造コストが上昇したり、板状アルミナが焼結又は粒成長して比表面積が小さくなったりして好ましくない。
【0032】焼成時間は好ましくは1〜4時間、さらに好ましくは1.5〜3.5時間である。1時間未満では焼成が不十分となって板状アルミナを得ることが困難であり、4時間を超えるとエネルギーコスト及び製造コストが上昇して好ましくない。
【0033】以上のように、この実施形態によれば次のような効果が発揮される。
・実施形態の板状ベーマイト及び板状アルミナによれば、アスペクト比が10〜35になるように形成されている。このため、比表面積を大きくし、活性を向上させることができる。
【0034】・実施形態の板状ベーマイトによれば、通常のベーマイトは550℃で吸熱反応しアルミナに変化するのに対し、それよりも低温の490℃付近で吸熱反応が起こる。難燃化剤としては300〜500℃の範囲で吸熱反応が起こることが要求されるので、この板状ベーマイトはプラスチックの難燃化フィラーとして好適である。
【0035】・実施形態の板状ベーマイトの製造方法によれば、反応原料を水熱合成で反応させ、その反応生成物を酸処理して水洗することにより、比表面積が大きく、活性が高い板状ベーマイトを効率よく製造することができる。
【0036】・実施形態の板状アルミナによれば、θ−アルミナ及びδ−アルミナの混合物を主体とするため、比表面積を大きくし、活性を向上させることができるとともに、耐熱性を高め、高温でも安定した状態で長時間使用することができる。
【0037】・実施形態の板状アルミナの製造方法によれば、板状ベーマイトを焼成することにより、比表面積が大きく、活性が高い板状アルミナを効率よく製造することができる。また、耐熱性が高く、高温でも安定した状態で長時間使用することができる板状アルミナを容易に製造することができる。
【0038】・実施形態の板状ベーマイト及び板状アルミナの製造方法によれば、水酸化アルミニウムには、廃棄物として処理される水酸化アルミニウムが使用される。このため、反応原料として有効に利用することができるとともに、廃棄物による環境汚染の問題を解消することができる。
【0039】
【実施例】以下に、前記実施形態をさらに具体化した実施例について説明する。
(実施例1〜20)実施例1においては、水酸化バリウム8水和物を337g、水酸化アルミニウムを1000g及び水を5000g秤量し、それぞれ秤量したものをオートクレーブ内に入れて混合液とした。そして、オートクレーブ内を加圧状態にして混合液を攪拌せずに静置下にし、混合液を昇温速度200℃/時間で200℃まで加熱した。その温度を12時間保持してオートクレーブ内の混合液を反応させた。
【0040】次いで、反応後の混合液を自然冷却により冷却し、その混合液を濾過して反応生成物を得た。その反応生成物を酸処理した後、水洗し、水を含む反応生成物を105℃で乾燥して板状ベーマイトを得た。さらに、板状ベーマイトを昇温速度100℃/時間の電気炉により1350℃で3時間加熱し、板状アルミナを得た。
【0041】実施例2では、実施例1において、水酸化バリウム8水和物を337gから225gに変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0042】実施例3では、実施例1において、水酸化バリウム8水和物を337gから393gに変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0043】実施例4では、実施例1において、水を5000gから2000gに変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0044】実施例5では、実施例1において、水を5000gから20000gに変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0045】実施例6では、実施例1において、混合液の加熱を200℃から150℃に変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0046】実施例7では、実施例1において、混合液の加熱温度を200℃から170℃に変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0047】実施例8では、実施例1において、混合液の加熱時間を12時間から24時間に変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0048】実施例9では、実施例1において、板状ベーマイトの焼成温度を1350℃から1000℃に変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0049】実施例10では、実施例1において、板状ベーマイトの焼成温度を1350℃から1500℃に変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0050】実施例11では、実施例1において、混合液を静置下で加熱したのを150rpmの回転数で攪拌しながら加熱するように変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0051】実施例12では、実施例1において、オートクレーブ内にさらに水酸化ナトリウムを30g秤量して入れて混合液とした。そして、その混合液の加熱温度を200℃から170℃に変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0052】実施例13では、実施例12において、30gの水酸化ナトリウムを30gの塩化ナトリウムに変更した。その他は実施例12と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0053】実施例14では、実施例11において、オートクレーブ内にさらにトリエタノールアミンを100g秤量して入れて混合液とした。そして、その混合液の加熱温度を200℃から170℃に変更した。その他は実施例11と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0054】実施例15では、実施例14において、100gのトリエタノールアミンを250gのグリセリンに変更した。その他は実施例14と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0055】実施例16では、実施例1において、337gの水酸化バリウムを562gの酢酸バリウムに変更した。そして、その混合液の加熱温度を200℃から170℃に変更した。その他は実施例1と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0056】実施例17では、実施例16において、562gの酢酸バリウムを79gの水酸化カルシウムに変更した。その他は実施例16と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0057】実施例18では、実施例16において、562gの酢酸バリウムを55gの水酸化カルシウム及び44gの硫酸カルシウムに変更した。その他は実施例16と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0058】実施例19では、実施例16において、562gの酢酸バリウムを75gの水酸化カルシウム及び6gの塩化カルシウムに変更した。その他は実施例16と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0059】実施例20では、実施例16において、562gの酢酸バリウムを283gの水酸化ストロンチウム8水和物に変更した。その他は実施例16と同様にして行い、板状ベーマイト及び板状アルミナを得た。
【0060】これらの板状ベーマイト及び板状アルミナで得られた物性の結果を表1に示した。なお、長径はμm、比表面積はm2 /gで示した。
【0061】
【表1】

表1の結果より、実施例1〜20において、得られる板状ベーマイト及び板状アルミナはアスペクト比が10〜35、比表面積が10〜30m2 /gと大きいことが示された。また、この板状ベーマイトは、難燃化プラスチックフィラーとして使用上全く問題なく好適に使用することができた。さらに、この板状アルミナは、出発物質である板状ベーマイトの性状が維持され、高温触媒単体として使用上全く問題なく好適に使用することができた。
【0062】次に、実施例16で得られた板状ベーマイトの各結晶面における回折X線の相対強度比をX線回折装置により測定した。その結果を表2に示す。対照例1は、既知物質のデータ集であるJCPDS(Joint Committee on Powder Diffraction Standards )に記載された一般的なベーマイトにおけるデータである。相対強度比は、最も強度の大きい回折X線の高さを100としたときの各回折X線の高さとして表される。なお、(020)、(200)及び(002)は面指数で表した結晶面である。
【0063】
【表2】

表2の結果より、実施例16の板状ベーマイトは、対照例1の一般的なベーマイトに比べて(020)の相対強度比が大きく、(200)及び(002)の相対強度比が小さいことが示された。この結果は、(200)及び(002)に比べて(020)には原子が多く存在することを示している。即ち、この板状ベーマイトは(020)で表される結晶面に異方成長した平板状の形状を有することが示された。
【0064】(実施例21)実施例21では、実施例16と同様にして得られた板状ベーマイトの焼成温度を200℃、400℃、600℃、800℃、1000℃、1200℃、1300℃、1350℃及び1400℃に変化させて1時間焼成した。そして、生成した板状アルミナのX線回折パターンをX線回折装置により測定し、その結晶構造の解析を行った。その結果を図1に示す。図1の横軸は回折X線の回折角(2θ)を表し、縦軸は回折X線の強度を表す。図中の▽はθ−アルミナのピークを示し、□はδ−アルミナのピークを示す。
【0065】図1に示すように、焼成温度が400℃以下のときは、焼成後も板状ベーマイトのままであり、板状アルミナが生成しないことが示された。また、焼成温度が600℃から1000℃のときは、γ−アルミナを主体とする板状アルミナが生成することが示された。これに対し、焼成温度が1200℃から1400℃のときは、θ−アルミナとδ−アルミナの混合物を主体とする板状アルミナが生成することが示された。
【0066】次に、前記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・前記アルカリ土類金属の化合物は酢酸塩である請求項2に記載の板状ベーマイトの製造方法。
【0067】このように構成した場合、得られる板状ベーマイトの結晶を小さくすることができ、比表面積を大きくすることができる。また、アルカリ土類金属の化合物として水酸化物等のアルカリ性の高い化合物を使用したときに起こりやすい板状ベーマイトのブロック(塊状)化が生じるおそれがない。
【0068】・アルコール化合物又はアミン化合物を添加して反応させる請求項2又は請求項3に記載の板状ベーマイトの製造方法。
このように構成した場合、反応原料の水熱合成を促進したり、反応生成物及び板状ベーマイトが粒子状に大きく成長するのを抑制して比表面積を大きくしたりすることができる。
【0069】・アルコール化合物又はアミン化合物を添加して反応させる請求項5又は請求項6に記載の板状アルミナの製造方法。
このように構成した場合、反応原料の水熱合成を促進したり、反応生成物、板状ベーマイト及び板状アルミナが粒子状に大きく成長するのを抑制して比表面積を大きくしたりすることができる。
【0070】・前記反応後に反応生成物を所定形状の容器内に入れ、容器から所定形状を成す反応生成物を取り出して酸処理し水洗する請求項2又は請求項3に記載の板状ベーマイトの製造方法。
【0071】このように構成した場合、酸処理後に板状ベーマイトを所定形状に成形加工する必要がなく、酸処理して水洗した段階で所定形状の板状ベーマイトを効率よく製造することができる。
【0072】・前記反応後に反応生成物を所定形状の容器内に入れ、容器から所定形状を成す反応生成物を取り出して酸処理し水洗した後、焼成する請求項5又は請求項6に記載の板状アルミナの製造方法。
【0073】このように構成した場合、焼成後に板状アルミナを所定形状に成形加工する必要がなく、焼成した段階で所定形状の板状アルミナを効率よく製造することができる。
【0074】・アスペクト比が10〜35になるように形成した板状アルミナ。
このように構成した場合、比表面積を大きくし、活性を向上させることができる。
【0075】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明の板状ベーマイトによれば、比表面積を大きくし、活性を向上させることができる。また、焼成するとθ−アルミナ及びδ−アルミナを生成することができるとともに、得られるアルミナは高温においてもその形状を維持し、高比表面積を維持することができる。
【0076】請求項2及び請求項3に記載の発明の板状ベーマイトの製造方法によれば、反応原料を水熱合成で反応させ、その反応生成物を酸処理して水洗することにより、比表面積が大きく、活性が高い板状ベーマイトを効率よく製造することができる。
【0077】請求項4に記載の発明の板状アルミナによれば、比表面積を大きくし、活性を向上させることができるとともに、耐熱性を高め、高温でも安定した状態で長時間使用することができる。
【0078】請求項5及び請求項6に記載の発明の板状アルミナの製造方法によれば、比表面積が大きく、活性が高い板状アルミナを効率よく製造することができるとともに、耐熱性が高く、高温でも安定した状態で長時間使用することができる板状アルミナを容易に製造することができる。
【出願人】 【識別番号】591051335
【氏名又は名称】河合石灰工業株式会社
【識別番号】391016842
【氏名又は名称】岐阜県
【出願日】 平成10年9月16日(1998.9.16)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
【公開番号】 特開2000−86235(P2000−86235A)
【公開日】 平成12年3月28日(2000.3.28)
【出願番号】 特願平10−261425