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【発明の名称】 新規アルミナ、その調製方法および触媒、触媒の担体または吸着剤としてのその使用
【発明者】 【氏名】クリストフ ネデ

【氏名】ジャン リュック ル ローレ

【氏名】ベルナール タクシル

【要約】 【課題】上昇しかつ最適化された酸性度を示すアルミナを提供する。

【解決手段】活性アルミナが、M2 Oで表わして、500〜8000重量ppmに含まれるアルカリ金属の含有量を示し、結晶構造が少なくとも5重量%のη相のアルミナを含むことを特徴とする活性アルミナである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 活性アルミナが、M2 Oで表わして、500〜8000重量ppmに含まれるアルカリ金属の含有量を示し、結晶構造が少なくとも5重量%のη相のアルミナを含むことを特徴とする活性アルミナ。
【請求項2】 結晶構造が多くても60重量%のη相のアルミナを含むことを特徴とする、請求項1記載の活性アルミナ。
【請求項3】 活性アルミナが水酸化アルミニウムの焼成から生じ、それによって結晶構造が少なくとも5重量%のバイヤライト相の三水酸化アルミニウムを含むことを特徴とする、請求項1または2記載の活性アルミナ。
【請求項4】 アルカリ金属の含有量が、M2 Oで表わして、1000〜3600ppmに含まれ、結晶構造が8〜40重量%のη相のアルミナを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の活性アルミナ。
【請求項5】 アルカリ金属の含有量が、M2 Oで表わして、1200〜2900ppmに含まれ、結晶構造が12〜35重量%のη相のアルミナを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載の活性アルミナ。
【請求項6】 活性アルミナが少なくとも40m2 /gの比表面積を示すことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の活性アルミナ。
【請求項7】 活性アルミナが少なくとも0.15ml/gの全細孔容積を示すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の活性アルミナ。
【請求項8】 400℃における1−ブテンの炭素鎖の異性化能力が,熱力学的平衡に対して少なくとも60%であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の活性アルミナ。
【請求項9】 300℃における1−ブテンの炭素鎖の異性化能力が,熱力学的平衡に対して多くても97%であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項記載の活性アルミナ。
【請求項10】 次の工程から成ることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項記載の活性アルミナの調製方法:1.下記のものを混合する:−水バン土石相の三水酸化アルミニウムの急速な脱水により生じるアルミナ(A)、および−バイヤライト相の三水酸化アルミニウム(B)、ここで重量比A/Bは100/0.1〜100/30に含まれ、2.場合によっては、この混合物を成形し、3.バイヤライト相の三水酸化アルミニウムの割合が少なくとも5重量%になるまで混合物を熟成し、4.少なくとも250℃の温度で混合物を焼成する。
【請求項11】 請求項1〜9のいずれか1項記載の活性アルミナ、または請求項10記載の方法から生じる活性アルミナの、触媒、触媒の担体および/または吸着剤としての使用。
【請求項12】 アルコール類の脱水用の触媒としての、請求項11記載の使用。
【請求項13】 オレフィン類の異性化用の触媒としての、請求項11記載の使用。
【請求項14】 有機ハロゲン化物の乾燥剤としての、請求項11記載の使用。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、最適化された酸性度を示す新規な活性アルミナ、その調製方法および触媒、触媒の担体または吸着剤としてのその使用に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】アルミナは、多数の化学反応、特に酸性の操作上の条件を必要とする反応の触媒のとして使用される。それは、例えばアルコール類の脱水反応またはオレフィン類の炭素鎖の異性化の場合である。そのような反応において、アルミナが活性になるほど、転化率は一層上昇する。従って、上昇した酸性の性質を示すアルミナが必要である。
【0003】アルミナは吸着剤としてもよく使用される。ある場合には、酸性アルミナは有機ハロゲン化物を乾燥させるためにも有用に使用され得る。
【0004】しかしながら、過度に酸性のアルミナは、有害でもあることを示すことがある。なぜなら二次反応が起こるかもしれず、そのため所望の反応について収率が低下するからである。
【0005】アルコール類の脱水反応において、縮合反応および脱水素が起こることがある。有機ハロゲン化物の乾燥の場合、エーテル類が生成する。
【0006】これらの余計な反応は収率を低下させ、その上、アルミナの安定性に対して有害な役割を演じ、かつ寿命を縮めることがある。
【0007】本発明の目的は、上昇しかつ最適化された酸性度を示すアルミナを提案することである。
【0008】本発明の他の目的は、二次反応を制限するように、上昇しかつ最適化された酸性度を示すアルミナを提案することである。
【0009】本発明の他の目的は、そのようなアルミナの調製方法を提案することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】これらの目的において、本発明は、M2 Oで表わして、500〜8000重量ppmに含まれるアルカリ金属の含有量を示し、結晶構造が少なくとも5重量%のη相のアルミナを含む活性アルミナに関する。
【0011】本発明は、次の工程を実施することから成る、このアルミナの調製方法にも関する:1.下記のものを混合する:−水バン土石(hydrargillite) 相の三水酸化アルミニウムの急速な脱水により生じるアルミナ(A)、および−バイヤライト相の三水酸化アルミニウム(B)、ここで重量比A/Bは100/0.1〜100/30に含まれ、2.場合によっては、この混合物を成形し、3.バイヤライト相の三水酸化アルミニウムの割合が少なくとも5重量%になるまで混合物を熟成し、4.少なくとも250℃の温度で混合物を焼成する。
【0012】最後に、本発明は触媒、触媒の担体および/または吸着剤としてのこのアルミナの使用に関する。
【0013】従って、本発明は第一に、M2 Oで表わして、500〜8000重量ppmに含まれるアルカリ金属の含有量を示し、結晶構造が少なくとも5重量%のη(エータ)相のアルミナを含むアルミナに関する。
【0014】従って、本発明によるアルミナは、一方では、アルカリ金属の含有量によって特徴付けられる。アルカリ金属は好ましくはナトリウムである。ナトリウムの場合、Na2 Oの含有量は、好ましくは500〜5000重量、より好ましくは1000〜3600重量ppm、更に1200〜2900重量ppmである。
【0015】アルカリは一般に酸化物の形で存在する。
【0016】他方では、本発明によるアルミナは結晶構造によって特徴付けられる:後者は少なくとも5重量%、好ましくは8重量%のη相のアルミナを含む。一般にこのηアルミナの含有量は、多くても60重量%である。8〜40%、更に12〜35%の範囲に含まれるηアルミナの含有量を示す、本発明によるアルミナが特に好ましい。
【0017】本発明によるアルミナの結晶構造におけるηアルミナの補助物質は部分的にχ(キー)アルミナ、部分的にγ(ガンマ)アルミナおよび非晶質アルミナから構成される。
【0018】ηアルミナはバイヤライト相の三水酸化アルミニウムの焼成から生じる。従って本発明によるアルミナは、結晶構造が少なくとも5重量%のバイヤライト相の三水酸化アルミニウムを含む水酸化アルミニウムの焼成から生じる。好ましくは、この水酸化アルミニウム前駆体は、多くても60重量%のバイヤライト相の三水酸化アルミニウムを含む。検査はX線回折によって行われる。
【0019】M2 Oで表わされるアルカリ金属の含有量が1200〜2900重量ppmに含まれ、かつ12〜35重量%のη相のアルミナを含む結晶構造を示すアルミナと同様に、M2 Oで表わされるアルカリ金属の含有量が1000〜3600重量ppmに含まれ、かつ8〜40重量%のη相のアルミナを含む結晶構造を示す、本発明によるアルミナが好ましい。
【0020】本発明によるアルミナは、一般に少なくとも40m2 /g、好ましくは少なくとも60m2 /gのBET比表面積を示す。この比表面積はBET法によって測定される面積である。
【0021】BET法によって測定される面積によって、"The Journal of the American Chemical Society", 60, 309 (1938)に述べられているBRUNAUER-EMMETT-TELLER法を元にして制定されたASTM D3663−78規格に従って、窒素の吸着によって決定される比表面積が理解される。
【0022】本発明によるアルミナは、一般に少なくとも0.15ml/g、好ましくは少なくとも0.25ml/gの全細孔容積(VPT)を示す。このVPTは次のように測定される。粒子の密度および絶対密度の値を決定する:粒子の密度(Dg)および絶対密度(Da)は、それぞれ水銀およびヘリウムによってピクノメトリー(picnometrie) 法によって測定され、VPTは下記の式により示される。
【0023】
【数1】

【0024】本発明によるアルミナは、1−ブテンの炭素鎖の異性化の能力によって測定され得る、特に上昇した酸性度を示す。このように、熱力学的平衡に対する、400℃における本発明によるアルミナによる1−ブテンの炭素鎖の異性化の能力は、少なくとも60%である。
【0025】この酸性度は同様に最適化され、その結果、熱力学的平衡に対する、300℃における本発明によるアルミナによる1−ブテンの炭素鎖の異性化の能力は、多くても97%、好ましくは多くても95%、更に好ましくは多くても92%である。
【0026】1−ブテンの炭素鎖の異性化の能力は、次の方法に従って測定される。
【0027】粉砕された本発明によるアルミナ500mg(粒子のサイズは400〜500μmに含まれる)をガラス製の反応器に導入する。この物質をその場で300℃で2時間、3.9リットル/時の流速を示すヘリウムの掃気下に置く。次いで、反応器の温度をついで経時的に三段階で300、350次いで400℃に上昇させる。それぞれの温度の段階で、0.2mlのブテンの容器への3回の注入を行ない、系を常に3.9リットル/時のヘリウムの掃気下に保つ。出口のガスの分析を気相クロマトグラフィーにより行なう。分析により、生成する2−シス−および2−トランス−ブテンの量の測定と同様に、未転換の1−ブテンの量の測定が可能になる。
【0028】理論的熱力学的平衡定数Kth(T)の計算および測定の結果により、実質的な平衡定数K(T)を決定する。
【0029】
【数2】

【0030】Tは反応器の出口におけるブテンの温度である。他の値は反応器の出口または温度Tについての平衡における濃度([ ]e)を表わす。異性化量(isomerisant) すなわち異性化率A(T)は次の式で示され得る。
【0031】
【数3】

【0032】本発明によるアルミナの形状を、すべてのタイプの形を用いて示すことができる。好ましくは、本発明によるアルミナは、棒状物の形を用いて示される。この棒状物は、一般に0.7mmより大きく、好ましくは0.7〜8mmに含まれ、更に好ましくは1〜5mmである。
【0033】本発明は、次の工程を使用することから成る、上記アルミナの調製方法にも関する:1.下記のものを混合する:−水バン土石相の三水酸化アルミニウムの急速な脱水により生じるアルミナ(A)、および−バイヤライト相の三水酸化アルミニウム(B)、ここで重量比A/Bは100/0.1〜100/30に含まれ、2.場合によっては、この混合物を成形し、3.バイヤライト相の三水酸化アルミニウムの割合が少なくとも5重量%になるまで混合物を熟成し、4.少なくとも250℃の温度で混合物を焼成する。
【0034】アルミナAは、水バン土石相の急速な脱水により生じる、「フラッシュ(flash) 」と呼ばれるアルミナである。この急速な脱水は、通常熱ガスの流れによって得られ、装置内のガスの入口温度は、一般に400℃から1200℃の範囲で変化してもよく、アルミナと熱ガスとの接触時間は、一般に1秒の一部分と4〜5秒との間に含まれる;そのようなアルミナAの調製方法は、特にフランス特許FR-A-1 108 011に述べられている。
【0035】バイヤライトB相の三水酸化アルミニウムは、バイヤライトのゲルであってもよく、後者をバイヤライトの種の沈殿、次いで熟成による結晶化によって得ることができる。
【0036】アルカリは一般に、使用される原料中、特にアルミナA中に存在する。その割合はアルミナAの洗浄により調節され得る。
【0037】これら2つの化合物は、A/Bの重量割合100/0.1〜100/30、好ましくは100/0.5〜100/20で混合される。
【0038】この混合物に成形用添加剤または発泡剤を添加することが可能である。
【0039】次いでこの混合物を、場合によっては、当業者に公知のあらゆる技術、特に押出し、造粒、ペレット化、固化および油滴(oil-drop)成形により成形される。好ましくは、成形は、回転技術による造粒により行われる。回転技術として、装置において、造粒すべき物質を接触させて回転させることによりアグロメレーションが行われるあらゆる装置を意味する。この型の装置として、回転式顆粒状触媒製造装置または回転ドラムが挙げられる。
【0040】次いで、この化合物の混合物は、場合によっては成形されるが、少なくとも5重量%、好ましくは少なくとも8%のバイヤライト相の三水酸化アルミニウムの割合を示す混合物を得るように熟成される。一般にこの比は多くても60%である。好ましい変法によれば、この比は8〜40%に含まれる。熟成は混合物の水熱処理である。温度は一般に、30〜150℃に含まれる。熟成を加圧下で行なうことができる。バイヤライトの比の検査はX線回折により行われる。
【0041】次いで、熟成された混合物は、少なくとも250℃、好ましくは275〜550℃の温度で焼成される。
【0042】最後に、本発明は、特に次の反応における触媒または触媒の担体としての上記アルミナの使用に関する:アルコールの脱水、オレフィン類の炭素鎖の異性化。
【0043】本発明は、有機ハロゲン化物、例えばハロゲン化アルキルおよび/またはハロゲン化アリールの乾燥剤としての上記アルミナの使用にも関する。
【0044】
【発明の実施の形態】次の実施例は本発明を例証するが、その範囲を制限しない。
【0045】実施例アルミナ類の調製アルミナ1を、三水酸化アルミニウム水バン土石相の急速な脱水により生じるアルミナAの粒状化により得た。
【0046】ゲリッケ(Gericke) 混合器、三水酸化アルミニウム水バン土石相の急速な脱水により生じるアルミナAおよび三水酸化アルミニウムバイヤライトBのゲルを用いて、表1に示されるような重量比A/Bでの混合により、他のすべてのアルミナを得た。次いで混合物を水と共に細粒にし、2〜5mmに含まれる粒度の棒状物を得た。
【0047】次いで、所望の三水酸化アルミニウムバイヤライトの比を得るまで、棒状物を100℃で熟成し、X線回折により検査を行なった。
【0048】最後に、熟成した棒状物を450℃で焼成した。
【0049】アルミナ2の場合、粒状化の前に最終生成物についてNa2 Oが8550ppmに達するように、ソーダ(カ性ソーダ)を用いてアルミナAをドープした。
【0050】アルミナ4〜8を、ソーダの異なる含有量を示す、三水酸化アルミニウム水バン土石相の急速な脱水により生じるアルミナA1およびA2の2つの粉末の混合により、毎回調節する比で得た(ここでAはA1+A2の合計である)。
【0051】原料AとBとの間の重量比を表1に示す。
【0052】アルミナ類の異性化率異性化の操作条件は先に定義した通りである。表1の結果は、400℃で確実に行われる3回の試験の平均である。
【0053】
【表1】

【0054】本発明によるナトリウムの割合とη相の割合とを同時に示すアルミナは、これら2つの条件のうちの1つのみを満たすアルミナに比して、高い異性化レベルに達することが認められた。
【0055】アルコール類の脱水におけるアルミナ類の収率および選択性アルミナを0.8〜1mmに粉砕する。
【0056】粉砕アルミナ0.4gを400℃で2時間予備処理した。実験温度に復帰後、アルミナは、30℃で維持されたイソプロパノール浴を通過した、窒素から成る流体の注入を連続して12回受けた。その流量は4リットル/時であった。
【0057】各注入当たりの流れは気相クロマトグラフィーによって分析された;表2中に表示されるデータは、12回目の注入後に行われる測定に相当した。脱水の原理的な反応生成物はプロピレンであった。二次反応はジイソプロピルエーテルを生じる縮合およびアセトンを生じる脱水素であった。
【0058】表2はイソプロパノールの転化率の結果を示す。
【0059】
【表2】

【0060】本発明によるアルミナ類が転化率において優れた結果を示すことが観測される。
【0061】プロピレンの選択性に関して、転化率が35%を超えるとき、選択性は80%を超え、転化率が70%であるとき、選択性は98%である。従って、本発明によるアルミナ類は、上昇した転化率を示し、選択性においても同様に優れた結果を示す。
【出願人】 【識別番号】591007826
【氏名又は名称】アンスティテュ フランセ デュ ペトロール
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT FRANCAIS DU PETROL
【出願日】 平成11年6月25日(1999.6.25)
【代理人】 【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助 (外3名)
【公開番号】 特開2000−44231(P2000−44231A)
【公開日】 平成12年2月15日(2000.2.15)
【出願番号】 特願平11−180245