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【発明の名称】 孔性被覆ピグメントおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】ペトリ シレニウス

【要約】 【課題】本発明は新規な孔性被覆ピグメント、その製造方法及び印刷用基材を提供する。

【解決手段】本発明は、炭酸カルシウムを形成する初期成分と、初期材料から除去されるべき反応生成物を形成する付加的初期成分とを含む結晶性初期材料から分解反応により孔性炭酸カルシウム粒子を調製することに基づいている。上記反応においては、初期材料を抜けた物質により残された開放空間の回りにおいて、初期材料により占有された空間内に炭酸カルシウムの相当の部分が孔性フレームを形成する。本発明はまた、印刷用基材の表面上で斯かる孔性炭酸カルシウム粒子を、印刷用インクまたはその溶媒を吸収するピグメントとして使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 材料のコーティングに適した炭酸カルシウムピグメントにおいて、該ピグメントは、孔により画成された開放空間の回りにおける炭酸カルシウムの単一結晶枠を有する炭酸カルシウムの孔性結晶から成り、結晶の比表面積は少なくとも5m2/g であることを特徴とする、炭酸カルシウムピグメント。
【請求項2】 比表面積は10.0乃至100.0m2/g であることを特徴とする、請求項1記載の炭酸カルシウムピグメント。
【請求項3】 炭酸カルシウムの孔性結晶を生成すべくシュウ酸カルシウムが加熱されることを特徴とする、孔性被覆ピグメントの製造方法。
【請求項4】 −実質的にシュウ酸カルシウムから成る材料が獲得され、−孔を生成すべく、上記材料は、シュウ酸カルシウムにおける境界の結晶水を実質的に除去する目標温度まで加熱されると共に、シュウ酸カルシウムは結晶性炭酸カルシウムと、上記材料を抜ける一酸化炭素とに分解され、−上記目標温度は少なくとも2時間に亙り維持され、且つ、−該処理の後、炭酸カルシウムの結晶は冷却が許容される、ことを特徴とする請求項3記載の方法。
【請求項5】 シュウ酸カルシウムは440 ℃以上の温度に加熱することにより分解されることを特徴とする、請求項3もしくは4に記載の方法。
【請求項6】 シュウ酸カルシウムは実質的に窒素または空気雰囲気中で加熱されることにより分解されることを特徴とする、請求項3乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】 シュウ酸カルシウムは480 ℃乃至570 ℃の温度に加熱されることを特徴とする、請求項3乃至6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】 シュウ酸カルシウムは実質的に二酸化炭素雰囲気中で加熱されることにより分解されることを特徴とする、請求項3乃至5のいずれかに記載の方法。
【請求項9】 シュウ酸カルシウムは510 ℃乃至800 ℃の温度に加熱されることを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】 炭酸カルシウムを含む被覆層を有するセルロース含有印刷用基材において、炭酸カルシウム粒子の少なくとも5 %は、毛細孔と、少なくとも10m2/gの比表面積と、対応外側容積を有する稠密連続炭酸カルシウムの粒子の質量の20乃至80%の質量と、を有する孔性炭酸カルシウム粒子であることを特徴とするセルロース含有印刷用基材。
【請求項11】 孔性粒子の比表面積は少なくとも20m2/gであることを特徴とする、請求項10記載の印刷用基材。
【請求項12】 孔性粒子の質量は、対応外側容積を有する連続炭酸カルシウムの粒子の質量の40乃至70%であることを特徴とする、請求項10または11に記載の印刷用基材。
【請求項13】 炭酸カルシウム粒子の少なくとも10%は孔性粒子であることを特徴とする、請求項10乃至12のいずれかに記載の印刷用基材。
【請求項14】 炭酸カルシウム粒子の少なくとも20乃至80%は孔性粒子であることを特徴とする、請求項10乃至13のいずれかに記載の印刷用基材。
【請求項15】 セルロース含有基材は、30乃至500g/m2 の坪量を有する紙または厚紙であることを特徴とする、請求項10乃至14のいずれかに記載の印刷用基材。
【請求項16】 インクジェット印刷用紙であることを特徴とする、請求項10乃至15のいずれかに記載の印刷用基材。
【請求項17】 炭酸カルシウム粒子および孔性炭酸カルシウム粒子に加え、被覆は少なくとも1種の第3種の粒子を含むことを特徴とする、請求項10乃至16のいずれかに記載の印刷用基材。
【請求項18】 前記被覆は、硫酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、タルク、二酸化チタンおよび硫酸バリウムおよび/または酸化亜鉛の粒子を含むことを特徴とする、請求項17記載の印刷用基材。
【請求項19】 前記被覆は合成ピグメント粒子を含むことを特徴とする、請求項17もしくは18に記載の印刷用基材。
【請求項20】 シュウ酸カルシウムから加熱により生成された孔性炭酸カルシウムの、セルロース含有材料ウェブの表面上の印刷用インクまたは溶媒を吸収する基材としての使用法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、材料のコーティングに適した炭酸カルシウムピグメント及び孔性被覆ピグメントの製造方法に関する。本発明はまた、炭酸カルシウムを含む被覆層を有するセルロース含有印刷用基材に関する。
【0002】本発明が関するピグメントは一般的に、紙または厚紙などの材料ウェブ(material web)を被覆する為に使用される。また、本発明が関する印刷用基材は、該基材上へ印刷用インクを付加することにより文字、絵または他の記号などを形成する基材として使用される。典型的な印刷技術としては、液体含有印刷用インクを使用する技術、特にインクジェット印刷が挙げられる。
【0003】
【従来の技術】典型的な印刷用基材としては、紙および厚紙が挙げられる。印刷用基材はまた、インクジェット印刷用紙でも良い。" インクジェット印刷用紙" とは、インクジェット印刷技術が使用されるときに印刷用基材として使用される紙を表している。インクジェット印刷用紙は例えば、強くまたは弱く耐水添加物処理された材料(stock-sized) による紙、耐水添加物処理された材料による上質紙、もしくは表面が耐水添加物処理された紙、または、インクジェット印刷用に特別に開発された紙とされ得る。
【0004】インクジェット印刷技術による良好な印刷品質の作成は、紙の表面部分上における構造的および物理化学的な要件を設定するものである。紙に関する主な目標は、紙表面上でインクが可及的に迅速に乾燥すると共に繊維層までインクが浸透しないことである。従って、より良いカラー密度およびコントラストが達成されると共に、プリントスルーが減少される。
【0005】好首尾なインクジェット印刷に関して設定される最も重要な要件は:−印刷用基材の表面上でインクが極めて迅速に乾燥し;
−印刷の密度が高くなり;
−側壁(side wall) が鋭く;
−ドットゲインが制御可能であり;
−水、光および擦過に対して印刷が耐性を有する;べきことである。
【0006】カラー印刷において上記要件を満足する為のインクジェット印刷用紙の最も重要な特性はインク吸収性であり、これは、吸収速度、吸収容量および吸収の配向を含んでいる。カラー印刷においては特に、先行インク滴と接触すべく次のインク滴が印刷される前に先行インク滴が吸収される如く吸収速度が高くなければならない。従って、カラーの混合が減少されると共に印刷品質が改良される。インク滴の吸収時間は好適には、最大で数ミリ秒である。紙の表面上の高い吸収容量に関しては、紙表面の近傍に相当の量のインクが結合するのを助ける。もしインクが殆ど吸収されなければ、擦過に対する印刷の耐性は減少し、またインクの吸収が強すぎると、密度が減少されてプリントスルーが増大し得る。吸収の配向に関してはインク・ドットゲインに影響する。
【0007】単色印刷においては、吸収特性に関して設定される要件はカラー印刷におけるほど高くない。単色プリンタにおいては、インク滴に対する設定時間は1 〜10秒ともされ得るが、マルチカラープリンタにおいてはインク滴が混合しない様に1ms より短い設定時間が必要とされる。もし紙表面が十分に孔性であれば迅速な設定が達成され得るが、この場合、インク滴中の溶媒はインク滴を大きく滲ませる時間を有さず、また、好適には印刷されたインク滴は相互に混合しない。紙表面の孔性はまた、吸収が可及的に均一となる如く均一でなければならない。好適には、印刷用基材の表面は基材の厚み方向において稠密かつ均等に分散された狭幅孔を有さねばならない。
【0008】印刷用基材の製造においては、基材の表面に対して例えばその印刷および光学的特性を改良すべくピグメントを含むコーティング組成物を塗付することが知られている。然るに、先行技術においては、紙上の十分に高い吸収性が経済的に得られる安価な無機系ピグメントは入手できなかった。
【0009】紙および厚紙の吸収性を増大すべく、合成されたシリケート系の孔性ピグメントが使用されて来た。しかし乍ら、これらのピグメントは極めて高価である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述した欠点を排除すると共に、完全に新規な種類のピグメントおよびその製造方法を提供するにある。完全に新規な種類の印刷用基材を提供することも本発明の目的である。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、良好な吸収性を備えたピグメントを生成するためには、炭酸カルシウムを形成する初期成分と、初期材料から除去されるべき反応生成物を形成する付加的初期成分とを含む結晶性初期材料から分解反応により、孔性炭酸カルシウム粒子が生成される、という着想に基づいている。上記反応においては、初期材料を抜けた物質により残された開放空間の回りにおいて、初期材料により占有された空間内に炭酸カルシウムの相当の部分が孔性フレームを形成する。上記反応においては、炭酸カルシウム結晶、特に毛細孔を含む方解石結晶が形成される。本発明はまた、印刷用基材の表面上で斯かる孔性炭酸カルシウム粒子を、印刷用インクまたはその溶媒を吸収するピグメントとして使用する方法にも基づいている。
【0012】孔性炭酸カルシウム粒子は例えば、米国特許第5,007,964 号に開示されている。しかし乍ら、これらの製品は、本発明に係る粒子すなわち毛細孔を含む単一的な方解石結晶と対照的に、葡萄の房に類似した炭酸カルシウムの凝集粒子、または、最初のコアの回りにおいて幾つかの方向に成長して薔薇状の結晶構造を形成する凝集体から成っている。
【0013】本発明に依れば、炭酸カルシウムおよび一酸化炭素へと分解するに十分な温度まで結晶性シュウ酸カルシウムが加熱されるという加熱処理の結果として、所望の構造を備えた方解石結晶が得られることが発見された。加熱処理の間、出発材料の温度は開始温度から目標温度へと上昇せしめられるが、この目標温度は少なくとも2時間に亙り維持され、その後、生成された方解石は徐冷され、その結果として所望の毛細孔が材料内に残存する。欧州特許出願公報第0515757 号は、インク瓶形状の孔を有する孔性炭酸カルシウム粒子の調製方法を記述している。この方法においては、炭酸カルシウム粉体が塩化ナトリウムと配合され、その後、粉体配合物は900 ℃で焼成されて酸化カルシウム粒子を生成している。酸化カルシウム粒子は次に、消和(slake) かつ炭酸塩化されて所望の生成物を達成する。上述の方法は極めて複雑であると共に、その最終生成物の構造は本発明に係る結晶の構造に相当しない。
【0014】より正確には、本発明に係るピグメントは、材料のコーティングに適した炭酸カルシウムピグメントにおいて、該ピグメントは、孔により画成された開放空間の回りにおける炭酸カルシウムの単一結晶枠を有する炭酸カルシウムの孔性結晶から成り、結晶の比表面積は少なくとも5m2/g であることを特徴とする、炭酸カルシウムピグメントにより特徴付けられる。
【0015】本発明に係る方法は、炭酸カルシウムの孔性結晶を生成すべくシュウ酸カルシウムが加熱されることを特徴とする、孔性被覆ピグメントの製造方法により特徴付けられる。
【0016】本発明に係る印刷用基材に関しては炭酸カルシウムを含む被覆層を有するセルロース含有印刷用基材において、炭酸カルシウム粒子の少なくとも5 %は、毛細孔と、少なくとも10m2/gの比表面積と、対応外側容積を有する稠密連続炭酸カルシウムの粒子の質量の20乃至80%の質量と、を有する孔性炭酸カルシウム粒子であることを特徴とするセルロース含有印刷用基材により特徴付けられると共に、その用途はシュウ酸カルシウムから加熱により生成された孔性炭酸カルシウムの、セルロース含有材料ウェブの表面上の印刷用インクまたは溶媒を吸収する基材としての使用法により特徴付けられる。
【0017】本発明に依れば相当の利点が得られる。従って本発明の助けに依れば、実質的に炭酸カルシウムから成ると共に、先行技術の孔体積よりも大きな孔体積を有することから更に好適な質量対比表面積比率を有するピグメント粒子を生成し得る。
【0018】本発明の好適実施例は、先行技術に係る炭酸カルシウム粒子と比較して本発明に係る孔性粒子は基材表面内へのインク吸収速度を増大するという付加的な利点を有している。これは、印刷用液体含有インクを活用する技術により印刷を行う上で好適な効果を有している。この種の重要な技術は、インクジェット印刷である。
【0019】本発明がインクジェット印刷用基材に適用された場合、印刷用基材の吸収性を改良すると共に、特に可溶性印刷用インクが使用される場合のカラー印刷において印刷品質を改良することが可能となる。可溶性印刷用インクに加え、例えば色素化または所謂るホットメルト・インクをインクジェット印刷において使用することも可能である。カラー印刷においては、着色成分としてシアン、マゼンタおよびイエローが一般的に使用される。インクジェット印刷技術はまた、一定のカラーコピー、カラーファックス機、ならびに、例えばプリンタ、コピーおよびファックス機およびスキャナを組み合わせた汎用機においても使用される。
【0020】本発明の好適実施例においては、紙の強度または光学的特性などの他の特性を低下すること無く紙の坪量を減少し得る。
【0021】
【発明の実施の形態】孔性炭酸カルシウム粒子は、固体シュウ酸カルシウムCa(OOC)2・H2O から加熱により調製される。上述の如く、材料の温度は開始温度から目標温度まで十分に迅速に上昇されると共に、結晶性炭酸カルシウムの形成に対して十分な時間に亙り目標温度が維持されるのが好適である。典型的な開始温度は0 ℃乃至40℃の範囲であり、目標温度における加熱時間は典型的には0.1 時間乃至10時間の範囲であり、好適には0.5 乃至3 時間の範囲である。加熱処理の後、方解石の孔性結晶は雰囲気温度まで徐冷される。この冷却は例えば、スイッチ切断された加熱機器内に生成物を放置することで行われる。従って、冷却時間は典型的には使用された加熱時間の約1.01乃至20倍、好適には1.1 乃至5 倍である。もし連続プロセスが使用されるのであれば、プロセス時間は上述したものより短いのが好適である。
【0022】図1は、シュウ酸カルシウムである固体が加熱されたときの温度の関数としての固体の質量を示している。固体の質量は、窒素、空気および二酸化炭素雰囲気で加熱されたものが記述されている。固体が100 ℃より僅かに高い温度に加熱されたとき、結晶水が固体から分離するという反応が起こり始める。反応が進展するにつれ、固体質量は反応式(1) に従って夫々減少する。
Ca(OOC)2・H2O →Ca(OOC)2+H2O …(I)【0023】水は蒸気として抜け、固体の質量は理論的に初期質量の87.7%に低下する。温度が160 ℃まで上昇したとき、結晶水は除去されている。温度が更に440 ℃まで上昇されたとき、一酸化炭素が固体を抜け、孔性炭酸カルシウムが残存する。反応式II次の通りである。
Ca(OOC)2→CaCO3 +CO…(II)【0024】温度が窒素および空気雰囲気において約480 ℃、且つ、二酸化炭素雰囲気において約510 ℃に上昇したとき、Ca(OOC)2は完全に減成している。この時点において固体質量は理論的には初期質量の68.5%である。形成された炭酸カルシウムが更に約580 ℃まで加熱されたとき、反応式III に従う反応が窒素または空気雰囲気中で始まり、二酸化炭素が固体を抜けて行く。
CaCO3 →CaO +CO2 …(III)【0025】この反応の最終生成物は酸化カルシウムであり、コーティングピグメントとしては適切でない。この理由の故に、炭酸カルシウム粒子が窒素または空気雰囲気中で加熱により生成されたときに、温度は580 ℃以上に上昇されてはならない。しかし乍ら、加熱が二酸化炭素雰囲気内で実行される場合には、反応式IIIに依り炭酸カルシウムからカルシウム一酸化物は生じないことから、更に高い温度が使用され得る。
【0026】シュウ酸カルシウムの初期材料は好適には、1 個のシュウ酸カルシウム分子毎に1 個または2 個の水分子を含む含水形態である。初期材料は好適には少なくとも50%純度である。
【0027】図2は電子顕微鏡によるひとつの初期材料の構造を示すと共に、図3乃至図7は種々の温度まで初期材料を加熱することにより形成された材料の構造を示している。加熱は窒素雰囲気中で行われた。水または一酸化炭素が気化して蒸発した部位における構造の内部には、開孔が形成された。この図は、材料の多孔度は加熱温度の関数として増大することを示している。この理由の故に、炭酸カルシウム粒子の多孔度を考慮すると、材料は480 乃至800 ℃、更に好適には550 乃至650 ℃に加熱するのが好都合である。580 ℃以上への加熱は、二酸化炭素雰囲気中で実行せねばならない。
【0028】加熱処理の結果、材料の比表面積は増加する。本発明に係るピグメントの比表面積は少なくとも4.0m2/g であり、好適には約5.0 乃至100.0m2/g であり、更に好適には、約10m2/g以上である。
【0029】炭酸カルシウム粒子は、粉体が加熱されたときに適切な炭酸カルシウム粒子のサイズが獲得される如き粒子サイズへとシュウ酸カルシウム初期材料を粉砕することにより調製され得る。
【0030】孔性炭酸カルシウム粒子の製造に対して好適なプロセスにおいて、手順は次の如くである:−シュウ酸カルシウム一水和物から成る粉体を獲得する。
−結晶水を除去すると共にシュウ酸カルシウムを分解すべく、室温から約600℃まで粉体の温度を上昇せしめると共に温度を約140 乃至200 分維持することにより、粉体は加熱される。550 ℃以上への加熱は二酸化炭素雰囲気中で実行される。これより低い温度にては、例えば空気などの雰囲気が使用され得る。
−形成された炭酸カルシウム材料は、約150 乃至300 分かけて室温まで冷却される。二酸化炭素雰囲気は、温度が500 ℃以下に低下するまで維持される。
−選択的に、炭酸カルシウム材料は所望の粒子サイズまで粉砕される。
【0031】連続プロセスに対しては、上記パラメータは変更され得ることから、高い加熱温度が約5 乃至400 分維持されると共に終端温度への冷却は10乃至300 分かけて行われる。
【0032】その後、孔性炭酸カルシウム材料の粉体はスラリ化されると共にコーティング材料の調製に使用される。
【0033】本発明に係る炭酸カルシウム粒子に加えてコーティング組成物中に使用され得るピグメントの例としては、粉砕炭酸カルシウム、沈殿炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン( 含水ケイ酸アルミニウム) 、水酸化アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、タルク( 含水ケイ酸マグネシウム) 、二酸化チタンおよび硫酸バリウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。合成ピグメントもまた使用可能である。特別なピグメントの例としては、特殊なカオリンおよび炭酸カルシウム、並びに硫酸バリウムおよび酸化亜鉛も挙げられる。
【0034】原則的に、コーティング組成物中のバインダとしては紙製造で一般的に使用される任意の公知の結合剤が使用され得る。箇々のバインダに加え、結合剤の混合物を使用することも可能である。典型的な結合剤の例としては、アクリル酸、イタコン酸もしくはマレイン酸などのカルボン酸基を有する共単量体を付加的に含むブタジエン−スチレンタイプの共重合体などのエチレン不飽和化合物のポリマまたは共重合体、または、カルボン酸基を有する共単量体を含むポリ( 酢酸ビニル) が挙げられる。更に、上述の結合剤と組合せて、水溶性ポリマ、澱粉、CMC、ヒドロキシエチルセルロースおよびポリ( ビニルアルコール) をバインダとして使用することも可能である。
【0035】コーティング組成物中においては更に、顔料分散剤( 例えば、ポリ( アクリル酸) のナトリウム塩) 、成分の粘度および水分保持力を調節する物質( 例えば、CMC 、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリレート、アルギン酸塩、安息香酸塩) 、所謂る潤滑剤、耐水性を高める硬膜剤、光学剤、泡止め剤、pH調節剤、および、製品の品質低下防止物質などの従来の添加剤および補助剤が使用され得る。潤滑剤としては、スルフォン化オイル、エステル、アミン、ステアリン酸カルシウムまたはアンモニウムが挙げられ;耐水性を高める物質としてはグリオキサールが挙げられ;光学剤としてはジアミノスチルベンおよびジスルホン酸誘導体が挙げられ;泡止め剤としては、燐酸エステル、シリコーン、アルコール、エーテル、植物油が挙げられ;pH調節剤としては水酸化ナトリウム、アンモニアが挙げられ;且つ、最後に品質低下防止剤としてはホルムアルデヒド、フェノールおよび第四アンモニウム塩が挙げられる。
【0036】本発明に係るコーティング組成物は、所謂るプレコートペーストおよび表面被覆ペーストの両者に使用され得るものである。本発明に係るコーティング組成物は、第1 に少なくとも一種のピグメントを100 重量部、少なくとも一種のバインダを0.1 乃至50重量部、および、それ自体公知の他の添加剤を0 乃至10重量部含む。該ピグメントの1 〜100 重量部は、本発明に係る孔性炭酸カルシウム粒子である。
【0037】コーティング用混合物の典型的な組成は次の如くである:孔性炭酸カルシウムピグメント 20〜100 重量部従来の炭酸カルシウムピグメント 80〜0 重量部増粘剤 0.1 〜2.0 重量部バインダ 1 〜20重量部添加剤および補助剤 0.1 〜10重量部水 残部【0038】上記組成物の成分は典型的に次の順序で添加される。
1.主要ピグメント2.他のピグメント3.水溶性バインダ4.ラテックス5.付加的な水およびpH調節剤。
【0039】ピグメントは通常はスラリ中でコーティング組成物と混合される。
【0040】本発明において、" 印刷用基材(printing substrate)" とは、材料ウェブ、または、コーティング物質により被覆された材料ウェブを表している。また、" 材料ウェブ(matarial web)" に関しては、紙もしくは厚紙、または、特に木材もしくは一年生植物もしくは多年生植物などのリグノセルロースを含む原材料から得られた対応繊維素含有材料を表している。上記材料は、木材含有または木材非含有でも良く、且つ、機械、半機械(化学−機械) または化学パルプから作成され得る。パルプは漂白でも非漂白でも良い。上記材料はまた、回収繊維、特に、再生紙または再生厚紙を含んでも良い。上記材料の坪量は典型的には、30乃至250g/m2 であり、被覆紙の製造においては約30乃至100g/m2 が好適である。
【0041】本発明に係る印刷用基材の製造においては、セルロース含有材料ウェブの第1側、第2 側または両者に対し、孔性炭酸カルシウムから成るピグメント成分を含むコーティング組成物が塗付される。ピグメント内に存在する孔性炭酸カルシウム粒子は、例えば前記実施例と類似した方法により調製され得る。孔性炭酸カルシウム粒子は、実質的に炭酸カルシウムから成ると共に、これらの粒子が対応する外側容積を有する連続的炭酸カルシウム結晶から生成された粒子の質量の少なくとも10%、好適には20乃至80%、特に好適には40乃至70%である如く孔を含む粒子であると思われる。また、孔性炭酸カルシウム粒子の比表面積は少なくとも10m2/g、好適には15m2/g以上、更に好適には30m2/g以上である。本発明に依れば、斯かる粒子は印刷用基材における炭酸カルシウム粒子の少なくとも1 %、好適には10%以上、更に好適には40%以上、最も好適には80%乃至100 %を構成せねばならない。この様なピグメントが従来の炭酸カルシウムピグメントの代わりに使用された場合、印刷用基材の吸収性は少なくとも10%、好適には少なくとも30%だけ改善され得る。
【0042】上述の実施例から逸脱する選択肢もまた本発明の体系の範囲内で想起され得る。本発明に係る炭酸カルシウム粒子およびピグメント物質はまた、例えば吸取紙などにおける液体物質の吸収に使用され得る。本発明に係るピグメントはまた、塗料などの他の塗装物質に添加され得る。
【0043】
【実施例】本発明を次の実施例により説明する。
実施例1:炭酸カルシウム粒子の調製この試みにおいては2 乃至4gの分析的に純粋なシュウ酸カルシウム(CaC2O4・H2O)が獲得され、分割されて磁製るつぼ内に載置された。各サンプルは順番にマッフル炉内で空気雰囲気中で第1 サンプルの温度は室温から510 ℃まで上昇され、第2 サンプルは530 ℃まで、引き続くサンプルは夫々、550 ℃、570 ℃、600℃、700 ℃および800 ℃まで上昇せしめられた。各サンプルは各々最高温度にて約2 乃至3 時間維持された後、炉内で室温まで徐冷された。
【0044】各サンプルの一部は極めて薄い金層で被覆された後、電子顕微鏡を使用して検証された。幾つかの写真は約10,000倍の倍率で図3乃至図7に示されている。
【0045】冷却されたサンプルの内、550 ℃および800 ℃まで加熱されたサンプルがX 線回折測定による分析の為に選択された。また、基準サンプルとして、元のシュウ酸カルシウムおよび細かく分割された方解石のサンプルが選択された。各サンプルの分析によれば、550 ℃まで加熱されたサンプルは方解石であることが分かった。800 ℃まで加熱されたサンプルに関しては、酸化カルシウムであった。酸化カルシウムは非晶質形態であったことから、細粒は相互に明確に分かれていた。550 ℃まで加熱されたサンプルは結晶方解石であった。
【0046】更に、600 ℃まで加熱されたサンプルはマイクロメリチックス(Micromeritics)2200&2205タイプの表面積分析器を使用してサンプルの比表面積を測定することにより分析された。方解石の比重を2.71g/cm3 としたときのサンプルの比表面積は15m2/gであった。
【0047】実施例2 :紙ウェブのコーティング実施例1に依り生成された70重量部の孔性炭酸カルシウムピグメント、30重量部のカオリン、0.4 重量部のCMC 、および、12重量部のスチレン−ブタジエンラテックスを一緒に混合することにより被覆用組成物が生成された。
【0048】被覆用ペーストは、ヘリコータ・ラボラトリ塗付装置( ブレードコータ) における紙ウェブのコーティングに使用された。使用された紙ウェブは60g/m2の坪量の上質紙であり、被覆用組成物は10g /m2の割合で塗付された。
【0049】被覆された紙は良好なインクおよび溶媒吸収性を有し、インクジェット印刷に関してインクの滲みを防止すると共にインクの乾燥速度を速めた。
【出願人】 【識別番号】598005085
【氏名又は名称】メツェ−セーラ オサケユキチュア
【氏名又は名称原語表記】METSA−SERLA OY
【出願日】 平成11年5月11日(1999.5.11)
【代理人】 【識別番号】100059258
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
【公開番号】 特開2000−26118(P2000−26118A)
【公開日】 平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願番号】 特願平11−130313