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【発明の名称】 層状アルミン酸リチウムの製造方法及びそのPVCの安定剤としての使用
【発明者】 【氏名】ドミニク・プレ

【要約】 【課題】PVC安定剤として天然ハイドロタルサイトと同等に有効な層状アルミン酸リチウムの簡便且つ経済的な製造方法。

【解決手段】少なくとも1つのリチウム塩を含む水溶液とアルミン酸ナトリウム溶液を塩基性pHで反応させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式:【化1】

(式中、0<x<1、nはアニオンAの原子価、0<w≦1)を有する層状アルミン酸リチウムの製造方法であって、少なくとも1つのリチウム塩とAn−イオンを含む水溶液をアルミン酸ナトリウム溶液と反応させ、次いで形成された層状アルミン酸リチウムを6以上のpHで分離することを特徴とする前記方法。
【請求項2】 反応温度が室温と反応混合物の沸点の間であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】 層状アルミン酸リチウムの分離中の反応混合物のpHが6〜13であることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】 少なくとも1つのリチウム塩とAn−イオンを含む水溶液とアルミン酸ナトリウム溶液との反応を少なくとも1時間続けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】 層状アルミン酸リチウムを分離する前に反応混合物のpHを調節するために酸を添加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】 少なくとも1つのリチウム塩とAn−イオンを含む水溶液とアルミン酸ナトリウム溶液との反応を開始してから少なくとも1時間後に酸を添加することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】 少なくとも1つのリチウム塩を含む水溶液が1つ以上のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属元素を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】 少なくとも1つのリチウム塩を含む水溶液がゼオライト上のイオン交換操作により得られることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】 式:【化2】

を有する層状塩化アルミン酸リチウムの製造方法であって、少なくとも1つのリチウム塩を含む水溶液が塩素イオンを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】 少なくとも1つのリチウム塩を含む水溶液中のリチウム濃度が0.02〜11mol/l、好ましくは0.1〜2mol/lであり、アルミン酸ナトリウム溶液中のアルミン酸ナトリウム濃度が0.03〜3mol/l、好ましくは0.3〜2mol/lであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法で得ることができる層状アルミン酸リチウムの、ハロゲン化樹脂好ましくはPVCを主成分とする材料の安定化のための使用。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の主題は、層状アルミン酸リチウムの製造方法及びPVCの安定化のためのその使用である。
【0002】
【従来の技術】天然のハイドロタルサイト(ヒドロキシ炭酸アルミニウムマグネシウム)は、単独で(特願昭55−80445号)またはステアリン酸カルシウムのような慣用の金属塩と一緒に(EP 63,180)PVCを安定化するために使用される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】本出願人は、層状アルミン酸リチウムは天然ハイドロタルサイトと同等に有効なPVC安定剤を構成し、更に層状アルミン酸リチウムが簡便で経済的な方法で製造され得ることを知見した。
【0004】本出願人が開発した方法は、塩化物、硫酸塩もしくは硝酸塩の形態または一般的な無機もしくは有機アニオンの形態の塩としてリチウム化合物のみ含む水溶液、または数種の塩、特にアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属ハロゲン化物の混合物を含む溶液であって、他のイオンの含量を変えることなくリチウム濃度のみをかなり低下させた溶液をアルミン酸ナトリウム溶液と6以上のpHで反応させることからなる。
【0005】
【発明の実施の形態】リチウム塩を含む出発溶液中のリチウム濃度は、0.02〜11mol/l、好ましくは0.1〜2mol/lであり得る。
【0006】本発明の方法は、リチウム及び1つ以上のアルカリ金属及び/またはアルカリ土類金属元素を含む溶液に適している。マグネシウムが存在する場合、マグネシウムハイドロタルサイトの形成と層状アルミン酸リチウムの形成との間で競合が起こる。
【0007】リチウム形態のゼオライト吸着剤を製造するためにゼオライト上で工業的にイオン交換操作して生ずる溶液の処理が特に適している。前記したゼオライトは圧力−振動吸着(PSA)法に従って酸素を製造するために特に使用される。
【0008】アルミン酸ナトリウム溶液中のアルミニウム濃度は、0.03〜3mol/l、好ましくは0.3〜2mol/lであり得る。
【0009】反応は数分〜数時間継続され得るが、好ましくは少なくとも1時間継続される。しかしながら、上記した範囲を越える反応時間による操作も本発明の範囲に包含される。
【0010】本発明は室温で、または沸点温度に近い高温で実施され得る。反応温度が高ければ、層状アルミン酸リチウムの合成のための反応がより速く進む。従って、沸点に近い温度では、層状アルミン酸リチウムが事実上即座に沈殿する。
【0011】形成された層状アルミン酸リチウムは、公知の液体/固体分離手段、例えば濾過を用いて回収される。分離前に反応混合物のpHを上昇もしくは低下させなければならないことがある。なぜならば、本出願人の知見によれば反応混合物のpHが6〜13であることが好ましいからである。
【0012】本発明の層状アルミン酸リチウムの合成のための反応は実質的に完結する。層状アルミン酸リチウム沈殿を除くと、出発溶液中のリチウム濃度に関係なく最終水溶液は50ppm以上のリチウムを含まない。
【0013】形成された層状アルミン酸リチウムは、次の一般式:【0014】
【化3】

(式中、0<x<1、nはアニオンAの原子価、0<w≦1)を有する。
【0015】
【実施例】実施例1ナトリウム塩及びリチウム塩の溶液を、NaCl(40g)及びLiCl(15g)を水(1L)に溶解することにより調製する。同時に、アルミン酸ナトリウム溶液を、110℃に加熱した水酸化ナトリウム(16.5g)の水(61g)溶液中にギブス石タイプの水和アルミナ(22.2g)を溶解することにより調製する。室温に冷却後、この溶液は[Al]=0.29mol/100g及びAl/Na=0.69の組成を有する。この溶液に、Al/Liモル比が2になるように磁気撹拌しながら上記溶液の一部を添加する。5分後、硫酸を用いてpH8.5に中和する。3時間接触後、混合物を濾過し、ICPで測定して、残留溶液中のリチウム含量は45ppmである。
【0016】濾過し、脱イオン水で洗浄し、次いで100℃で数時間乾燥後、得られた固体をX線回折(XRD)スペクトルによりキャラクタリゼーションする。得られたスペクトル(回折ピークの位置:d(A)7.55,4.40,3.77,2.51,2.49,2.22,1.89,1.69,1.60)により、式:【0017】
【化4】

(x=0.02、n=1、w≒0.5)を有する層状塩化アルミン酸リチウムであることが同定された。
【0018】実施例2実施例1で調製した両溶液をAl/Li比がそれぞれ3及び5になるように混合すること及び中和を同じpHで実施する以外は実施例1の手順を繰り返して、2つの合成を実施する。いずれの場合も、濾液中のリチウム濃度は10ppmである。
【0019】固体のXRDスペクトルは層状塩化アルミン酸リチウムと同じである。
【0020】実施例3(比較例)沈殿をAl/Li比2で実施し、混合物をpH6.5に中和して、実施例1の実験を繰り返す。濾過後、濾液中のリチウム濃度は110ppmである。これは、本発明方法においてpHが非常に重要であり、好ましくは最良のリチウム収率を得るためには塩基性を保つべきであることが立証される。
【0021】実施例4Al/Li比を2.78とし、接触時間を30分とし、沈殿pHを12.8〜7.8の範囲で変更して、一連の実験を実施する。
【0022】層状塩化アルミン酸リチウムを濾過後の残留溶液中のリチウム濃度を下表に示す。
【0023】
【表1】

本実施例は、沈殿が最も効率的なpH範囲を規定する。
【0024】実施例5実施例1で調製した両溶液をAl/Li比が2.78になるように実施例1の手順に従って混合し、HSOでpH7.5に中和する前に混合を3時間継続する。次いで、混合物を濾過し、ICPで測定すると残留溶液中のリチウム含量は1.2ppmである。このリチウム含量は中和を遅らさなかった実施例4のサンプルに比して非常に少ない。
【0025】実施例6(PVCの安定化)PVCの安定化に対する層状塩化アルミン酸リチウム及びマグネシウムハイドロタルサイトの有効性を、PVCを主成分とするフィルムに対してカレンダリング試験を実施して比較する。所定温度(この例では、190℃)に加熱したフィルムが可撓性を保つ時間を調べる。テストするフィルムを、20rev/分で回転する0.6mm離れた2つの加熱ローラの間に置く。フイルムが変色、硬化及びローラから剥がれるのに要した時間を測定する(安定期間)。
【0026】テストした3種のフィルムは以下の特徴を示す。
a)コントロールフィルムは、Elf Atochem S.A.から商品名Lacovyl(R)S 110 Pで販売されているPVC樹脂のみから構成される。この樹脂のISO規格174に従って測定した粘度指数は112であり、ISO規格1628−2に従って測定したK値は67である。
b)第2のフィルムは、同一樹脂を主成分とし、更にKyowa Chemical Industry Co.から商品名Alcamizer(R)−IV−2で販売されている式:【0027】
【化5】

(x≒0.33、y1+y2=1−x)のマグネシウムハイドロタルサイトを0.8重量%含む。
c)第3のフィルムは、同一樹脂を主成分とし、更に上記実施例の1つに従って製造した層状塩化アルミン酸リチウムを0.8重量%含む。
【0028】結果を下表に示す。
【0029】
【表2】

マグネシウムハイドロタルサイトまたは層状塩化アルミン酸リチウムを含むPVC主成分フィルムの安定期間は同等であることが分かる。
【出願人】 【識別番号】592227081
【氏名又は名称】スサ・エス・アー
【出願日】 平成11年6月7日(1999.6.7)
【代理人】 【識別番号】100062007
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 義雄 (外2名)
【公開番号】 特開2000−26117(P2000−26117A)
【公開日】 平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願番号】 特願平11−159281