トップ :: C 化学 冶金 :: C01 無機化学




【発明の名称】 CO選択酸化器
【発明者】 【氏名】千々岩 榮

【氏名】水澤 実

【氏名】渡部 武憲

【要約】 【課題】改質ガスの流れに空気を分散混入し、改質ガスの温度を所定範囲に維持できるようにしたCO選択酸化器を提供する。

【解決手段】内部を改質ガスが流れる円筒体11と、この円筒体内に設けられ伝熱フィン13と伝熱媒体を流す伝熱管12とから構成される伝熱部18と、この伝熱部18を円筒体の一部とともに覆うように設けられた多孔板17と、円筒体内に設けられ空気を噴出する多孔質材よりなる空気管14と、伝熱管12と空気管14とを支持し改質ガスを蛇行して流すじゃま板15と、フィン13の間に充填されCOの選択酸化を促進する触媒16と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部を改質ガスが流れる円筒体と、この円筒体内に設けられた伝熱フィンと伝熱媒体を流す伝熱管とから構成される伝熱部と、この伝熱部を円筒体の一部とともに覆うように設けられた多孔板と、円筒体内に設けられ空気を流出する多孔質材よりなる空気管と、前記伝熱管と前記空気管とを支持し改質ガスを蛇行して流すじゃま板と、を備え、前記伝熱フィンの間にCOの選択酸化を促進する触媒を充填したことを特徴とするCO選択酸化器。
【請求項2】 前記伝熱フィンの間にCOの選択酸化を促進する触媒を充填することに代え、前記伝熱フィン表面にCOの選択酸化を促進する触媒を付着させたことを特徴とする請求項1記載のCO選択酸化器。
【請求項3】 内部を改質ガスが流れる円筒体と、この円筒体内に設けられ伝熱媒体を流す伝熱管と、この伝熱管を円筒体の一部とともに覆うように設けられた多孔板と、円筒体内に設けられ空気を流出する多孔質材よりなる空気管と、前記伝熱管と前記空気管とを支持し改質ガスを蛇行して流すじゃま板と、前記多孔板と円筒体の一部とで囲われた空間に充填されCOの選択酸化を促進する触媒と、を備えたことを特徴とするCO選択酸化器。
【請求項4】 前記空気管の多孔の範囲を前記じゃま板によって区画される特定の区画のみとしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のCO選択酸化器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池の改質器により生成された改質ガスのCOを選択酸化させるCO選択酸化器に関する。
【0002】
【従来の技術】固体高分子型燃料電池(PEFC)は室温でも発電でき、高い出力密度が得られることから、小型の定置型、可搬電源や電気自動車用の電源として期待されている。燃料電池は電池本体と、この電池本体に水素を主とするガスを供給する改質器が主要機器を構成し、燃料としてメタノール等が用いられている。改質器は燃料を改質触媒の存在下で、水蒸気と接触反応させることにより水素を主とする改質ガスに改質する。
【0003】メタノールと水蒸気の反応式は次のようになる。
CH3 OH+H2 O→3H2 +CO2 …(1)
この反応は250〜300℃で行われ、吸熱反応である。改質触媒としてCuやZn系統が用いられる。
【0004】CO2 +H2 →CO+H2 O…(2)
(1)式の反応と同時に(2)式の逆シフト反応も起こり、少量のCOが発生する。PEFCは低温動作であるため、改質ガスに含まれるCOが少量であっても、燃料電池の白金触媒がCO被毒(白金に強く吸着して水素の反応を阻害する作用)を受けて電池の発電の障害となる。PEFCではこのCO被毒対策が、改質ガスを用いる場合の最大の問題となっている。このため、改質ガスに少量の空気を混入させて選択的にCOを酸化させる方法、パラジウムの薄膜でCOを除去する方法、Pt−Ru合金触媒を燃料極に用いる方法などの対策が検討されているが、簡便で決定的な解決方法はまだ見いだされていない。
【0005】図7は従来用いられたCO選択酸化器を模式的に示す。選択酸化触媒を充填した容器を複数直列に配置し、各容器に改質ガスと選択酸化用の少量の空気を供給する。COの酸化は発熱反応であり容器内の温度が上昇すると改質ガスの主成分の水素ガスが燃焼してしまうので、各容器の温度を水素ガスが燃焼しない温度、例えば150℃前後に維持するため、冷却空気が伝熱管などの手段をもって流され、容器内の温度を調整しているのが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述のCO選択酸化器において、冷却が十分でない場合、容器内の温度をCOの選択酸化に適した温度範囲に維持することが困難であり、局部的に温度の高くなるホットスポットが発生し、COの選択酸化率が低下し、CO除去が不十分になり、また、必要以上に水素が燃焼するため、燃料電池の発電効率を低下させていた。
【0007】本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、改質ガスの流れに空気を多段に混入し、改質ガスの温度を所定範囲に維持できるようにしたCO選択酸化器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明では、内部を改質ガスが流れる円筒体と、この円筒体内に設けられた伝熱フィンと伝熱媒体を流す伝熱管とから構成される伝熱部と、この伝熱部を円筒体の一部とともに覆うように設けられた多孔板と、円筒体内に設けられ空気を流出する多孔質材よりなる空気管と、前記伝熱管と前記空気管とを支持し改質ガスを蛇行して流すじゃま板と、を備え、前記伝熱フィンの間にCOの選択酸化を促進する触媒を充填したことを特徴とするCO選択酸化器。
【0009】改質ガスはじゃま板により蛇行しながら伝熱フィンの間を流れ、伝熱フィンの間に充填されたCO選択酸化触媒と十分に接触しながら流れる。これとともに空気管の多孔より空気がじゃま板で仕切られた区画へ流出され、蛇行して流れる改質ガスと混合してCO選択酸化触媒内を流れる。伝熱管内には伝熱媒体が流れ、伝熱媒体の温度を調整することにより改質ガスの温度をCO選択酸化に適した温度範囲に均一に保持できる。これによりCOの選択酸化が適切に行われる。
【0010】請求項2の発明では、前記伝熱フィンの間にCOの選択酸化を促進する触媒を充填することに代え、前記伝熱フィン表面にCOの選択酸化を促進する触媒を付着させる。
【0011】伝熱フィン表面にCOの選択酸化を促進する触媒を付着させることにより、触媒の温度をより精確に管理することが可能になり、COの選択酸化をより適切に実施するかとができる。
【0012】請求項3の発明では、内部を改質ガスが流れる円筒体と、この円筒体内に設けられ伝熱媒体を流す伝熱管と、この伝熱管を円筒体の一部とともに覆うように設けられた多孔板と、円筒体内に設けられ空気を流出する多孔質材よりなる空気管と、前記伝熱管と前記空気管とを支持し改質ガスを蛇行して流すじゃま板と、前記多孔板と円筒体の一部とで囲われた空間に充填されCOの選択酸化を促進する触媒と、を備える。
【0013】改質ガスはじゃま板により蛇行しながら、多孔板と円筒体の一部で覆われた空間に入り、その空間内に設けられた伝熱管により温度調整され、充填されたCO選択酸化触媒と十分に接触して流れる。これとともに空気管の多孔より空気がじゃま板で仕切られた区画へ流出され、蛇行して流れる改質ガスと混合して前記空間内に入り、COの選択酸化反応と一部の水素が燃焼反応し発熱する。伝熱管内には伝熱媒体が流れ、伝熱媒体の温度を調整することにより改質ガスの温度をCO選択酸化に適した温度範囲に均一に保持できる。これによりCOの選択酸化が適切に行われる。
【0014】請求項4の発明では、前記空気管の多孔の範囲を前記じゃま板によって区画される特定の区画のみとする。
【0015】空気管の多孔より吹き出す空気は、じゃま板で仕切られる各区画毎に吹き出さなくても改質ガスに混合できる場合があり、この場合空気を吹き出さない区画を1区画毎とか2区画置きとか、任意の区画にする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1はCO選択酸化器を用いた燃料電池システムを示す。燃料電池システムは、燃料ガスと水とから改質ガスを生成する改質器1と、改質ガスに含まれるCOを選択酸化する選択酸化器2と、COを除去した改質ガスと空気により電池反応を行い発電する燃料電池3とから構成される。選択酸化器2には、改質ガスと、改質ガス中に少量含まれるCOを選択酸化する空気と、伝熱媒体が供給される。伝熱媒体は改質ガスをCO選択酸化を行うのに適した温度、これは使用するCO選択酸化触媒によっても異なるが、例えば150℃±10℃に改質ガスの温度を維持するために用いられる。このため選択酸化器2には熱媒体循環ライン4が設けられ、この熱媒体循環ライン4には伝熱媒体を循環させるポンプ5と、伝熱媒体を所定の温度に維持するための冷却器やヒータを備えた温度調整器が6が設けられている。伝熱媒体の変わりに水蒸気などを用いることができる。
【0017】図2は第1実施形態のCO選択酸化器の構成を示し、図3は図2のX−X断面図である。円筒体11の内部中央には伝熱管12が複数本配置され、この伝熱管12には伝熱フィン13が設けられ伝熱部18を構成している。円筒体11の上部と下部空間には空気管14が配置され、CO選択酸化に必要な空気を供給する。じやま板15が間隔をおいて設けられ、円筒体11内部を流れる改質ガスを蛇行して流すとともに、伝熱管12、空気管14を支持する。伝熱フィン13の間にはCO選択酸化を促進する触媒16が充填されている。円筒体11と伝熱管12とじゃま板15との構成はシェルアンドチューブ形の熱交換器に類似した構成となっている。
【0018】伝熱管12を流れる伝熱媒体は通常油を用いるが、水蒸気なども用いられる。空気管14は、セラミックスを焼結した多孔質材で構成され、空気がこの多孔より流出するようになっている。
【0019】このように構成された選択酸化器の動作について説明する。改質ガスはじゃま板15によって仕切られた区画を蛇行しながら流れ、伝熱フィン13と接触してCO選択酸化を行うのに適した温度範囲、例えば、150±10℃に調整される。空気管14の多孔からは空気が選択酸化に必要な程度に流出し、改質ガスと混合し、CO選択酸化触媒16の下で、COは酸化され、無害なCO2 となる。改質ガスの温度を制御しているので、COの選択酸化性が高く、水素ガスの燃焼を最小限に抑えることができる。
【0020】なお、伝熱フィン13の間にCO選択酸化触媒16を充填する代わりに、伝熱フィン表面にCOの選択酸化を促進する触媒を付着させるようにしてもよい。これにより、触媒の温度をより精確に管理することが可能になり、COの選択酸化をより適切に実施するかとができる。
【0021】次に第2実施形態を図4を用いて説明する。図2と同一符号は同一のものを表す。第2実施形態は、第1実施形態に対して空気管14を全て多孔質材で構成せず、じゃま板15で仕切られる区画の1つ置きに、多孔質材の配管とし、他は多孔質でない配管としたものである。このようにすることにより流入する空気量を多孔質の表面積の大きさ、メッシュの選定で調整することができる。なお、この多孔質材の配置は上下の空気管14で千鳥状に配置してもよく、その配置は任意とすることができる。
【0022】次に第3実施形態を図5と図6を用いて説明する。図5は第3実施形態の構成を示し、図6は図5のY−Y断面図である。これらの図において、図2、図3と同一符号は同一のものを表す。第3実施形態は、第1実施形態に対して伝熱フィン13の代わりに、伝熱管12の上部と下部に多孔板17を水平に設け、円筒体11の一部とで伝熱管12を覆い、この内部にCO選択酸化触媒16を充填している。伝熱管12の数が同じであれば、伝熱フィン13に比べ伝熱性は劣るが、伝熱管12の数を増すことによりほぼ同じ伝熱性が得られる。伝熱管12が多くなっても伝熱フィン13を設ける構造より簡単な構造となる。CO選択酸化動作については、第1実施形態と同じである。第3実施形態でも、第2実施形態のように空気管14の多孔の位置を変えることができる。
【0023】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明は、円筒内に伝熱管と多孔質材よりなる空気管を設け、これをじゃま板で支持し、伝熱管の周囲にCO選択酸化触媒を充填したので、改質ガスを選択酸化に適した温度に保持して空気を供給することができ、COガスを確実に選択酸化することができる。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成10年7月8日(1998.7.8)
【代理人】 【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
【公開番号】 特開2000−26104(P2000−26104A)
【公開日】 平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願番号】 特願平10−193167