| 【発明の名称】 |
長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品 |
| 【発明者】 |
【氏名】内藤 謙二
【氏名】荻野 裕之
【氏名】西村 善彦
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| 【要約】 |
【課題】生糊が包装材中で乾燥しない期間を大幅に延長することにより、1年半以上店頭に陳列することが可能で、売れ残って損失を招く恐れの少ない長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品の提供。
【解決手段】化粧層と裏打ち紙層とからなる壁紙と、その裏打ち紙層に塗布された生糊と、この生糊の表面を被覆する剥離シートとを備えてなる生糊付き壁紙を密封包装した生糊付き壁紙の包装品であって、前記生糊には、保水剤が配合されてなることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 化粧層と裏打ち紙層とからなる壁紙と、その裏打ち紙層に塗布された生糊と、この生糊の表面を被覆する剥離シートとを備えてなる生糊付き壁紙を密封包装した生糊付き壁紙の包装品であって、前記生糊には、保水剤が配合されてなることを特徴とする長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品。 【請求項2】 化粧層と裏打ち紙層とからなる壁紙と、その裏打ち紙層に塗布された生糊と、この生糊の表面を被覆する剥離シートとを備えてなる生糊付き壁紙を密封包装した生糊付き壁紙の包装品であって、生糊付き壁紙を包装する包装材は、酸素透過度(cc/m2・ atm・24hrs)が1.5以下、水蒸気透過度( g/m2・24hrs)が1.5以下のフィルムからなる酸素および湿気が透過しにくい高バリヤー性の包装材であることを特徴とする長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品。 【請求項3】 前記生糊は、でんぷん3〜40重量%、および保水剤0.5〜5重量%を含有してなることを特徴とする請求項1または2に記載の長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品。 【請求項4】 前記化粧層と裏打ち紙層の間に、不透水性フィルム層が介在されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、生糊付き壁紙の包装品に関し、より詳しくは、生糊が乾燥および酸化劣化するまでの期間を大幅に延長することにより、1年半以上店頭で陳列販売することが可能で、売れ残って損失を招く恐れの少ない長期保存可能な生糊付き壁紙の包装品に関する。 【0002】 【従来の技術】壁紙を壁面に貼り付ける際には、壁紙の裏面に生糊が塗布される。通常、生糊は壁紙のほとんどの部分に塗布される。壁紙を貼る職人は、壁紙に生糊を塗布する際に糊付け機を用いるので、生糊の塗布作業を正確かつ容易に行うことができるが、素人は糊付け機を持っていないので、その作業を手作業で行う必要がある。従って、壁紙を壁面に貼り付ける作業は、素人にとってかなり困難であるとともにその仕上がりも良くないことが多い。 【0003】そこで、素人向けの壁紙として再湿タイプおよび粘着剤付きタイプの壁紙が上市されている。再湿タイプの壁紙は、壁紙の裏面に水で戻る糊が付けられており、使用の際にはその面に水を付けて糊を戻して貼る切手のようなタイプの壁紙であるが、水を付ける際、水をこぼして床面を汚したり、水で戻った糊がこぼれて床面や壁面周辺を汚す恐れがある。また、水を付ける量が多過ぎたり少な過ぎたりすると、きれいに仕上がらないという欠点を持っている。一方、粘着剤付きタイプの壁紙は、水や糊を使わないで周囲を汚さないのだが、貼り付けの際、正しい位置に貼り付けられずもう一度貼り直そうとすると、粘着剤に壁下地のケバがひっつき、正常な粘着力を発揮しない場合がある。すると、経時で膨らんだり剥がれたりする恐れがある。また、粘着剤付きタイプの場合は、下地の表面状態に影響を受けやすいため、下地調整に注意と時間を要する。 【0004】そこで、素人でも正確かつ容易に壁紙を壁面に貼り付けられるように、壁紙にあらかじめ生糊が塗布されてなる生糊付き壁紙が提案されている。この生糊付き壁紙としては、壁紙の裏面に生糊を塗布し、この生糊が壁紙表面に付着しないように該壁紙をロール状に巻回し、これを気密性包装材によって密封したものが挙げられる。また、そのような生糊付き壁紙における気密性包装材としては、ガスバリヤー性フィルムの片面に熱溶着層を設けて包装用フィルムを形成し、これを熱溶着層を内側にして折り曲げた後、熱溶着層同士を一部熱溶着して袋状にしたものが提案されている。ガスバリヤー性フィルムには、二層フィルム系のポリ塩化ビニリデンと二軸延伸ポリプロピレン(略称KOP、以下KOPと称する)、ポリ塩化ビニリデンとポリエチレンテレフタレート(略称KPET、以下KPETと称する)等が適用されている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記した従来の技術には、以下のような課題が存在した。すなわち、前記した生糊付き壁紙の包装品においては、包装材の湿気に対するガスバリヤー性が十分でないため、包装材を通じての生糊中の水分蒸散量が多い。従って、この生糊付き壁紙の包装品においては、通常、1ヵ月程度しか生糊の乾燥を防ぐことができず、最も長く生糊の乾燥を防ぐことができるものでもせいぜい1年程度であった。 【0006】この種の商品は、近年、ホームセンター等の大型店において陳列販売されることが多くなっており、在庫期間が1年以上とされることは多々あることである。なお、在庫期間を1年間とするためには品質保証期間も1年間とする必要があり、そのためには商品の実質耐用期間を1年以上とする必要がある。ところが、前記した生糊付き壁紙の包装品は実質耐用期間が最大で1年程度であるから、品質保証期間は最大で1年程度となる。この種の商品は1年間という比較的短い期間では売り切れないことが多いから、必然的に品質保証期間を過ぎて在庫処分することが多くなり、大きな損失を招く恐れがある。 【0007】なお、包装材のガスバリヤー性フィルムがアルミ箔から構成されているものは、該フィルムがKOPやKPETから構成されているものよりも、生糊の水分蒸発を防ぐことができるが、透明性が劣るため、客は包装材内に収められた壁紙の模様を確認することができず、客の購買意欲を促進できないという問題が考えられる。 【0008】本発明は、そのような実情に鑑みてなされたもので、生糊が包装材中で乾燥しない期間を大幅に延長することにより、1年半以上店頭に陳列することが可能で、売れ残って損失を招く恐れの少ない長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品の提供を目的とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、化粧層と裏打ち紙層とからなる壁紙と、その裏打ち紙層に塗布された生糊と、この生糊の表面を被覆する剥離シートとを備えてなる生糊付き壁紙を密封包装した生糊付き壁紙の包装品であって、前記生糊には、保水剤が配合されてなることを特徴とする長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品である。 【0010】請求項2記載の発明は、化粧層と裏打ち紙層とからなる壁紙と、その裏打ち紙層に塗布された生糊と、この生糊の表面を被覆する剥離シートとを備えてなる生糊付き壁紙を密封包装した生糊付き壁紙の包装品であって、生糊付き壁紙を包装する包装材は、酸素透過度(cc/m2・ atm・24hrs)が1.5以下、水蒸気透過度(g/m2・24hrs)が1.5以下のフィルムからなる酸素および湿気が透過しにくい高バリヤー性の包装材であることを特徴とする長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品である。 【0011】請求項3記載の発明は、前記生糊が、でんぷん3〜40重量%、および保水剤0.5〜5重量%を含有してなることを特徴とする請求項1または2に記載の長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品である。 【0012】請求項4記載の発明は、前記化粧層と裏打ち紙層の間に、不透水性フィルム層が介在されてなることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品である。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る生糊付き壁紙の包装品を示す部分断面図である。図2は、図1に示す包装品における生糊付き壁紙を示す断面図である。本発明に係る生糊付き壁紙の包装品は、生糊付き壁紙(1)と、これを密封包装する包装材(7)とからなり、生糊付き壁紙(1)は、化粧層(3)および裏打ち紙層(2)とからなる壁紙と、その裏打ち紙層(2)に塗布された生糊(4)と、生糊(4)を被覆する剥離シート(6)とを備えてなるものである。以下、これらの構成要素について、順次、詳説する。 【0014】化粧層(3)の材質としては、通常壁紙として使用されている材質のものであれば特に限定されず、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合(EVA)、アクリル等の合成樹脂からなるもの、紙、織物、アルミニウム等の金属箔、コルクなどの木質、雲母などの無機物、特に最近ではケナフ、ポリエステル(再生ポリエステル)、綿、再生紙、廃ガラス、ビール粕、竹などの繊維を用いたもの、珪藻土、炭酸カルシウムなどを主原料としたものを使用することができる。なお、これらのうち吸水性を有する材質については、生糊(4)の水分を吸収しないような処理を施す必要がある。また、化粧層(3)の表面には、図1に示すように、表面フィルム(5)を積層してもよい。この表面フィルム(5)は、化粧層(3)の表面の汚れを防ぐとともに、化粧層(3)を破れにくくすることができる。 【0015】化粧層(3)の裏面には、裏打ち紙層(2)が設けられている。この裏打ち紙層(2)は、生糊(4)を安定して定着させるとともに、壁下地が透けて化粧層に影響を与えないようにするために設けられる。裏打ち紙層(2)の原料は特に限定されず、例えば、天然紙、合成紙、混抄不織布等から構成することができる。 【0016】生糊(4)は、前記したように、裏打ち紙層(2)の、化粧層(3)と反対側の面に塗布されている。この生糊(4)は、保湿性の良いものから構成され、例えば、でんぷん,酢酸ビニルエマルション樹脂,エチレン酢酸ビニルエマルション樹脂,PVA(ポリビニルアルコール),CMC(カルボキシルメチルセルロース),アクリル樹脂からなる群から選択された1又は2以上の材料からなる粘着剤、および保水剤から構成することができる。なお、その粘着剤としては、でんぷんが最も好適に使用される。保水剤は、長期保存中の壁紙の乾燥を防ぐためと、失敗して貼り直しても乾いて貼れなくなるのを防ぐために添加される。その種類として、例えば、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等の有機酸塩、エチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリエチレングリコール等の高沸点水溶性有機溶剤を用いることができるが、中でも乳酸ナトリウムを好適に使用することができる。 【0017】保水剤は、生糊(4)の原料の0.5〜5重量%配合されることが望ましい。とりわけ、生糊(4)の保水剤として最も好適に使用される乳酸ナトリウムは、生糊(4)の原料の0.5〜5重量%配合されることが望ましく、より望ましくは2〜3重量%である。配合量が0.5重量%未満では、保水効果が低いため保存中に生糊(4)が乾きやすく、逆に5重量%を超えた場合、壁紙を貼り付けた後の乾燥が遅くなり、剥がれや接着不良を生じる恐れがあるからである。 【0018】一方、でんぷんは、生糊(4)の原料の3〜40重量%配合されることが望ましく、より望ましくは10〜15重量%である。配合量が3重量%未満では、十分な接着力が得られず、逆に40重量%を超えた場合、粘性が強くなって糊塗工時の作業性が低下するからである。 【0019】なお、生糊(4)には、でんぷん等の粘着剤および保水剤の他に、他の成分を配合することもできる。例えば、生糊(4)には、防腐剤、防カビ剤等を配合することができる。防腐剤は、生糊(4)の原料の0.001〜1重量%配合されることが望ましく、より望ましくは0.2〜0.5重量%である。防カビ剤は、生糊(4)の原料の0.001〜1重量%配合されることが望ましく、より望ましくは0.1〜0.3重量%である。いずれの成分も、その下限の値未満では、その効果を十分に発揮することができず、逆にその上限の値を超えても、あまり効果が上がらずコストアップとなるだけであるからである。 【0020】なお、防腐剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、有機沃素系化合物、有機窒素硫黄系化合物、有機臭素系化合物等を採用することができる。また、防カビ剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、ベンズイミダゾール系化合物、有機窒素系化合物、ハロゲン系化合物等を採用することができる。なお、防カビ剤は、化粧層(3)に含有させることもできる。また、好気性の菌の繁殖を防ぎ、また死滅させるため、後述する包装材(7)の中へ脱酸素剤を投入することができる。 【0021】脱酸素剤の種類は、特に限定されるものではないが、例えば以下のものを使用することができる。成分別に分類すれば、高湿度の空気に触れて初めて酸素を吸収する水分依存型および空気に触れると同時に酸素を吸収する自力反応型の各型を有する鉄系のもの、同じく自力反応型を有する非鉄系のものを挙げることができる。鉄系脱酸素剤のうち、水分依存型は一般に高水分対応型であり、自力反応型は一般に低水分対応型もしくは中〜高水分対応型である。また、非鉄系脱酸素剤は一般に低〜高水分対応型である。脱酸素速度別に分類すれば、速度が速い速効タイプと、速度が普通の一般タイプを挙げることができる。容量別に分類すれば、15〜3000cc(酸素吸収量)の各容量に対応するサイズのものを挙げることができる。性質別に分類すれば、酸素のみを吸収するもの、酸素と炭酸ガスを同時に吸収するもの、酸素吸収と同時に炭酸ガスを発生するものを挙げることができる。なお、本発明においては、前記したもののうち、水分依存型のものを好適に使用することができる。水分依存型のものは、高水分対応型であり、且つAW (水分活性)が0.85以上と高いからである。 【0022】生糊(4)の、裏打ち紙層(2)の表面には、剥離シート(6)が貼着されている。この剥離シート(6)は、生糊(4)の水分が蒸散するのを防止するとともに、生糊付き壁紙(1)を巻回した際に、生糊(4)が化粧層(3)あるいは表面フィルム(5)に接触して付着するのを防止することができる。なお、剥離シート(6)の種類は特に限定されないが、例えば、CPP(未延伸ポリプロピレン)、OPP(延伸ポリプロピレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、ONY(延伸ナイロン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PC(ポリカーボネイト)、PVA(ポリビニルアルコール)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重体)、PT(セロファン)等からなるものや、これらの素材を2層以上積層したもの(例えば、PVDCとONYからなるKON、PVDCとPTからなるKTや、KOP、KPET等)を採用することができる。ここで、各材料からなる剥離シート(6)の水蒸気透過度および厚みの例を表1に示す。なお、表における水蒸気透過度の単位は( g/m2・24hrs)であり、厚みの単位は( μm) である。 【表1】
剥離シート(6)には、水蒸気透過度の小さいものを使用すると、生糊(4)の水分蒸散をより防止することができ、生糊(4)の乾燥をより確実に防止することができる。従って、前記したもののうちでは、PVDCからなるものを最も好適に使用することができる。 【0023】このようにしてなる生糊付き壁紙(1)は、図1に示すように巻回するかあるいは折り畳まれてコンパクトにされた状態で、高バリヤー性の包装材(7)内に密封包装される。この包装材(7)は、酸素透過度および透湿度がかなり低く、すなわち高バリヤー性を有するものである。なお、図1中、符号(10)は、生糊付き壁紙(1)を巻回する際の芯材となる紙管である。包装材(7)は、図1に拡大して示すように、合成樹脂等からなる基材フィルム(8)の一方の面あるいは両方の面に、化学蒸着法や物理蒸着法、特に真空蒸着法を用いてセラミックス(9)を被覆させてなるものである。基材フィルム(8)の材質は、特に限定されるものではないが、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)を採用することができる。また、その厚みも特に限定されないが、例えば12μmとすることができる。一方、セラミックス(9)の蒸着厚さは、例えば0.03〜0.1μmとすることができる。 【0024】なお、基材フィルム(8)は、熱溶着性の材料で構成されていてもよいが、そうでなくてもよい。熱溶着性の材料は、特に限定されるものではないが、例えば、PE(ポリエチレン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、PP(ポリプロピレン)を採用することができる。包装材(7)の形状は、収容物を密封包装できる形状であれば特に限定されないが、基材フィルム(8)が熱溶着性の材料で構成されている場合には、例えば、2枚の基材フィルム(8),(8)を重ね合わせ、その3辺をヒートシールした、いわゆるパウチ式の袋としたり、あるいは、1枚の基材フィルム(8)の両側を折り合わせて、その背部と底部をヒートシールした、いわゆるガセット式の袋とすることができる。 【0025】一方、基材フィルム(8)が熱溶着性の材料以外で構成されている場合は、例えば、その一方の面側に熱溶着性の材料を配設し、これを2枚重ね合わせるかあるいは1枚を折り合わせ、熱溶着性材料同士を重ね合わせてそこをヒートシールすることにより袋とすることができる。また、基材フィルム(8)の一方の面に接着剤を塗布し、これを2枚重ねて貼り合わすか、あるいは1枚を折り合わせ、その背部と底部を貼り合わせて袋とすることもできる。 【0026】このようにしてなる包装材(7)に、前記した生糊付き壁紙(1)が密封包装される。すなわち、前記した袋状の包装材(7)の内部に生糊付き壁紙(1)と、脱酸素剤(図示せず)を入れた後、包装材(7)の開口部を溶着もしくは接着して密閉する。これにより、生糊付き壁紙(1)が高バリアー性の包装材(7)に密封包装された生糊付き壁紙の包装品が完成する。なお、本発明に係る生糊付き壁紙の包装品は、高バリアー性の包装材(7)に代えて、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)等からなる基材フィルムにKOP等からなるガスバリヤー性フィルムを貼着し、これを袋に成形した包装材で生糊付き壁紙を密封包装するとともに、生糊(4)に保水剤として乳酸ナトリウム水溶液を配合した構成としてもよい。 【0027】また、前記した生糊付き壁紙(1)は、化粧層(3)の裏面に、裏打ち紙層(2)を設けた構成であるが、本発明に係る生糊付き壁紙(1)はこれに限定されない。例えば、図3に示すように、生糊付き壁紙(1)は、化粧層(3)と裏打ち紙層(2)の間に不透水性フィルム層(8)を介在させた構造であってもよい。この場合、裏打ち紙層(2)の裏面側に設けられた生糊(4)の水分は、裏打ち紙層(2)を通過しても、不透水性フィルム層(8)によって化粧層(3)への通過が阻止される。従って、生糊(4)中の水分が化粧層(3)から蒸散するのを防止することができ、より一層確実に生糊(4)の乾燥を防ぐことができる。 【0028】不透水性フィルム層の材質は、特に限定されるものではないが、例えば、PE、CPP、OPP(延伸ポリプロピレン)、PET、PVC、EVA、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PVA(ポリビニルアルコール)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)、PC(ポリカーボネート)、PS(ポリスチレン)、PAN(ポリアクリロニトリル)、LDPE(低密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LLDPE等を挙げることができる。 【0029】不透水性フィルム層の形成方法は、特に限定されるものではないが、例えば、Tダイ法,丸ダイ法等の共押出成形ラミネート、ウェットラミネート、ホットメルトラミネート、シングル,サンドイッチ,タンデム等の押出ラミネート、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、サーマルラミネートなどを挙げることができ、中でもTダイ法が好適に使用される。 【0030】なお、不透水性フィルム層(8)をもつ生糊付き壁紙(1)は、前記した構成に限定されず、例えば図4に示すように、化粧層(3)の裏面に裏打ち紙層(2)を設けるとともに、この裏打ち紙層(2)の裏面に不透水性フィルム層(8)を設け、この不透水性フィルム層(8)の裏面にさらに裏打ち紙層(2)を設け、この裏打ち紙層(2)の裏面に生糊(4)を塗布した構成としてもよい。 【0031】 【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。但し、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。 (実施例1〜4) 〔生糊の調製〕でんぷん、ポリ酢酸ビニル、防腐剤、防カビ剤、および乳酸ナトリウムを水中に分散溶解させて生糊を得た。なお、表2の処方に基づいて調製した(表中の数値の単位は重量%である)。 【表2】
防腐剤としては、イソチアゾロン系組成物およびブロモニトロアルコール系組成物の含有液を、防カビ剤としては、イミダゾールアミノフォーメイトおよびイソチアゾロン系組成物の含有液を使用した。 【0032】〔生糊付き壁紙の製造〕裏打ち紙層を化粧層の一方の面に配設するとともに、EVAからなる表面フィルムを化粧層の他方の面に貼着し、裏打ち紙層に前記した生糊を重さ170〜200g/m2 で塗布し、この生糊の表面に厚さ25μmのCPP製剥離シートを貼着して生糊付き壁紙を構成した。なお、生糊付き壁紙の形状を、10cm×15cmの長方形状とした。 【0033】〔高バリヤー性包装材およびこの包装材による生糊付き壁紙の包装〕LLDPE(線状低密度ポリエチレン)フィルムの上にPETフィルムを積層し、その上にセラミックスを蒸着させてなるシート材から構成されたパウチ式の袋を高バリヤー性包装材として用いた。この包装材は、シート材として凸版印刷株式会社製のGL−AE(商品名)を使用している。この袋内に、前記した生糊付き壁紙と脱酸素剤を収容し、袋の開口部をヒートシールして、内部を脱酸素状態とした生糊付き壁紙の密封包装品を得、これを実施例1〜4の試料とした。 【0034】(実施例5、6) 〔生糊の調製〕実施例1〜4と同様の手順で、表2の処方に基づいて調製した(表中の数値の単位は重量%である)。 〔生糊付き壁紙の製造〕実施例1〜4と同様の手順で、生糊付き壁紙を構成した。 【0035】〔包装材およびこの包装材による生糊付き壁紙の包装〕実施例5では、LLDPEフィルムの上にKOPフィルムを積層してなるシート材(株式会社ダイセル化学製)から構成されたパウチ式の袋を包装材として用いた。実施例6では、LLDPEフィルムの上にKPETフィルムを積層してなるシート材(株式会社ダイセル化学製)から構成されたパウチ式の袋を包装材として用いた。なお、各例における袋の形状を、19cm×13cmの長方形状とした。この袋内に、前記した生糊付き壁紙と脱酸素剤を収容し、袋の開口部をヒートシールして、内部を脱酸素状態とした生糊付き壁紙の密封包装品を得、これを実施例5、6の試料とした。 【0036】ちなみに、実施例1〜4における高バリヤー性包装材と実施例5、6における包装材の水蒸気透過性および酸素透過性について試験を行った。その試験方法は次の通りである。 水蒸気透過性試験:湿度90%、温度40°Cの雰囲気中で、JIS・K・7129・B法(赤外線センサ法)に基づいて行った。 酸素透過性試験:湿度60%、温度20°Cの雰囲気中で、JIS・K・7126・B法(等圧法)に基づいて行った。 その結果を表3に示す。なお、表における水蒸気透過度の単位は、( g/m2・24hrs)であり、酸素透過度の単位は(cc/m2・ atm・24hrs)である。また、この表には、各包装材を構成する合成樹脂フィルムの厚みを示しており、上から順に、その総厚、各フィルム厚を示している(単位は(μm))。 【表3】
【0037】(比較例1〜6) 〔生糊の調製〕表4の処方に基づいて生糊を調製した(表中の数値の単位は重量%である)。 【表4】
【0038】〔生糊付き壁紙の製造〕裏打ち紙層を化粧層の一方の面に配設するとともに、EVAからなる表面フィルムを化粧層の他方の面に貼着し、裏打ち紙層に前記した生糊を重さ170〜200g/m2 で塗布し、この生糊の表面に厚さ25μmのCPP製剥離シートを貼着して生糊付き壁紙を構成した。なお、その形状を10cm×15cmの長方形状とした。 【0039】〔包装材およびこの包装材による生糊付き壁紙の包装〕比較例1、2では、LLDPEフィルムの上にKOPフィルムを積層してなるシート材(株式会社ダイセル化学製)から構成されたパウチ式の袋を包装材として用いた。比較例3、4では、LLDPEフィルムの上にアルミ箔を積層してなるシート材から構成されたパウチ式の袋を包装材として用いた。この包装材は、シート材として株式会社麗光製のダイアラスター(商品名)を使用している。比較例5、6では、LLDPEフィルムの上にKPETフィルムを積層してなるシート材(株式会社ダイセル化学製)から構成されたパウチ式の袋を包装材として用いた。なお、各例における袋の形状を、19cm×13cmの長方形状とした。この袋内に、前記した生糊付き壁紙と脱酸素剤を収容し、袋の開口部をヒートシールして、内部を脱酸素状態とした生糊付き壁紙の密封包装品を得、これを比較例1〜6の試料とした。 【0040】ちなみに、この包装材の水蒸気透過度および酸素透過度について試験を行った。その試験方法は、前記した、実施例1〜6の各包装材に対する試験方法と同様である。その結果を表5に示す。また、この表には、各包装材を構成する合成樹脂フィルムの総厚を示している(単位は(μm))。 【表5】
【0041】上記実施例1〜6および比較例1〜6につきそれぞれ4個づつ用意し、それらを平均温度50°C、平均湿度65%の室内に放置した。次に、各例ごとに1週間後、2週間後、3週間後、4週間後に開封して生糊の状態を観察し、保水性、壁紙を貼る作業性(貼りやすさ)および接着性について以下の基準に基づいて判定した。また、製造時における包装した状態での柄模様の識別性について以下の基準に基づいて判定した。実施例についての判定結果を表6に示す。比較例についての判定結果を表7に示す。 保水性 ・生糊の乾燥が全く認められない ・・・5 ・生糊の乾燥が壁紙周囲に若干認められたがほとんど認め られない ・・・4 ・生糊の乾燥が壁紙周囲に認められる ・・・3 ・生糊の乾燥が壁紙のほぼ全面に認められる ・・・2 ・生糊の乾燥が壁紙全面に認められる ・・・1 作業性および接着性 ・全く問題なく貼ることができ、しかも壁紙の メクレ、ハガレ等の異常は認められない ・・・5 ・壁紙の周囲を押さえローラで押さえる必要があったが、 壁紙のメクレ、ハガレ等の異常は認められない ・・・4 ・一応貼ることができたが、壁紙の周囲のみメクレの異常 が認められた ・・・3 ・なんとか貼ることができたが、しばらくすると壁紙の全 面にハガレが認められた ・・・2 ・全く貼ることができなかった ・・・1 柄模様の識別性 包装した状態で化粧層の柄模様を良く識別できる ・・・3 包装した状態で化粧層の柄模様を少し識別しにくい ・・・2 包装した状態で化粧層の柄模様をほとんど識別できない・・・1【表6】
【表7】
なお、表7中、※は測定を省略したことを示す。 【0042】また、前記判定時に、生糊の保水率を測定した。保水率は、以下の式に基づいて算出した。 保水率(%)=A/B×100A:開封時に測定した生糊の残留水分量(g) B:製造時における生糊の水分量(g) 実施例についての測定結果を表6に示す。比較例についての測定結果を表7に示す。なお、表7中、※は測定を省略したことを示す。 【0043】図5は、実施例における保水率の変化を表すグラフで、図中○印の折れ線が実施例1の結果、●印の折れ線が実施例2の結果、△印の折れ線が実施例3の結果、黒塗り△印が実施例4の結果、□印が実施例5の結果、■が実施例6の結果である。また、図6は、比較例における保水率の変化を表すグラフで、図中○印の折れ線が比較例1の結果、●印の折れ線が比較例2の結果、□印が比較例5の結果、■が比較例6の結果である。 【0044】表6、7および図5、6の結果より、各週において、実施例1〜6の方が、比較例1、2、5、および6よりも保水率が格段に高く維持されていることがわかる。この試験は加速試験であって、室温50°Cという水分が蒸散しやすい過酷な条件のもとに試験が行われている。また、生糊付き壁紙はシート状とされている。実際の製品では、生糊付き壁紙はロール状に巻回された状態とされ、生糊付き壁紙同士が相互に重なり合った状態になるから、生糊の水分は外部へ蒸散しにくい。従って、本試験のように生糊付き壁紙をシート状にすることも過酷な条件の1つといえる。この試験方法を用いた場合、試験開始から3週間後の保水率が、実際の製品を常温度・常湿度で約1年間保管した際における生糊の保水率に相当することが確かめられている。本試験においては、試験開始からの経過週数を1/3倍し、その単位を年とした期間が、実際の経過期間に相当することになる。また、保水率が30%未満になると、十分な作業性および接着性を維持できない恐れがあることが確かめられている。 【0045】図6を見ると、各比較例では、試験開始から3週間後に保水率が約30%となっていることが分かる。従って、各比較例の構成に準じて製造した実際の製品(生糊付き壁紙はロール状)では、常温度・常湿度において約1年程度しか十分な作業性および接着性を維持できないことが分かる。 【0046】一方、図5を見ると、各実施例では、試験開始から3週間経過しても保水率が30%を大きく上回った状態にあることが分かる。実施例5、6では、4週間経過時の保水率が約30%となっている。この試験における4週間は、前述の実際期間算定方法に従うと、実際の約1.4年に相当することになる。従って、実施例5、6では、少なくとも1.4年以上十分な作業性および接着性を維持することができ、各比較例に比べて保管可能期間を長く延長できることが分かる。実施例1、2、3、および4では、グラフは略直線状となっている。各グラフを右の方へ延長してゆけば、4週間目以降の保水率を想定することができる。この場合、各実施例の保水率が30%に到達するのは、約8週間後である。これは、実際の約2年に相当する。従って、実施例1、2、3、および4では、少なくとも2年以上十分な作業性および接着性を維持することができ、各比較例に比べて保管可能期間を格段に長く延長できることが分かる。 【0047】以上の結果から、本発明に係る生糊付き壁紙の包装品は、保水性と壁紙を貼る作業性および接着性に優れており、少なくとも1.4年以上、長いものでは2年以上にわたって生糊の保水状態を良好に維持することができ、比較例と比べて格段に優れていることがわかる。また、本発明に係る生糊付き壁紙の包装品は、包装材内に収容された壁紙の模様をはっきりと識別できることがわかる。これに対し、比較例のように、生糊に乳酸ナトリウム水溶液からなる保水剤を配合せず、さらに包装材の酸素透過度(cc/m2・ atm・24hrs)が1.5を超え、水蒸気透過度( g/m2・24hrs)が1.5を超えると、最大でも生糊の乾燥を1年程度しか防ぐことができないことが分かる。また、ガスバリヤー性材料としてアルミニウム箔を使用したものは透明性に劣り、包装材内に収容された壁紙の模様を識別することができない。 【0048】 【発明の効果】請求項1記載の発明は、化粧層と裏打ち紙層とからなる壁紙と、その裏打ち紙層に塗布された生糊と、この生糊の表面を被覆する剥離シートとを備えてなる生糊付き壁紙を密封包装した生糊付き壁紙の包装品であって、前記生糊には、保水剤が配合されてなることを特徴とする長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品であるから、以下の効果を奏する。すなわち、生糊に保水剤が配合されているので、生糊自体の保水性が向上する。これにより、実質的に1年半以上、包装材中に生糊の乾燥を防ぐことが可能となり、品質保証期間を1年半以上とすることができる。従って、この生糊付き壁紙の包装品は1年半以上店頭で陳列販売することができるので、売れ残って損失を招く恐れが少ない。 【0049】請求項2記載の発明は、化粧層と裏打ち紙層とからなる壁紙と、その裏打ち紙層に塗布された生糊と、この生糊の表面を被覆する剥離シートとを備えてなる生糊付き壁紙を密封包装した生糊付き壁紙の包装品であって、生糊付き壁紙を包装する包装材は、酸素透過度(cc/m2・ atm・24hrs)が1.5以下、水蒸気透過度(g/m2・24hrs)が1.5以下のフィルムからなる酸素および湿気が透過しにくい高バリヤー性の包装材であることを特徴とする長期保存が可能な生糊付き壁紙の包装品であるから、以下の効果を奏する。すなわち、酸素透過度(cc/m2・ atm・24hrs)が1.5以下、水蒸気透過度( g/m2・24hrs)が1.5以下の高バリヤー性の包装材によって生糊付き壁紙を密封包装しているので、酸素および湿気に対するバリヤー性が格段に向上する。これにより、実質的に2年以上、包装材中に生糊の乾燥を防ぐことが可能となり、品質保証期間を1年半以上とすることができる。従って、この生糊付き壁紙の包装品は1年半以上店頭で陳列販売することができるので、売れ残って損失を招く恐れが少ない。 【0050】ここで、前記生糊が、でんぷん3〜40重量%、および保水剤0.5〜5重量%を含有してなるものであれば、保水性、作業性、接着性に非常に優れた長期保存可能な生糊付き壁紙の包装品を低コストで提供することができる。 【0051】また、前記化粧層と裏打ち紙層の間に、不透水性フィルム層が介在された構成とすれば、生糊の水分が化粧層から蒸散するのを不透水性フィルム層が阻止するので、生糊の乾燥を一層確実に防止することができ、化粧層表面がべたつくのを防止することもできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000126528 【氏名又は名称】株式会社アサヒペン
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| 【出願日】 |
平成11年6月11日(1999.6.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100082072 【弁理士】 【氏名又は名称】清原 義博
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| 【公開番号】 |
特開2000−355373(P2000−355373A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月26日(2000.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願平11−166088 |
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