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【発明の名称】 船舶エンジンのトップブレ―シング
【発明者】 【氏名】嚴 在光
【氏名】韓 聖容
【氏名】金 扶度
【課題】エンジン回転数の変化に応じてエンジンの支持状態を変化させ振動を最小化させるように制御できる船舶エンジンのトップブレーシングを提供する。

【解決手段】本発明は、船体構造物2にエンジン3の振動荷重を支持するビーム部20と、ビーム部20と船体構造物2の間を連結する船体連結部30と、ビーム部20とエンジン3の間を連結するエンジン連結部40とを含み、船体連結部30とエンジン連結部40の中一側の連結部は、一定間隔を置き並んで配置されビーム部20に連結された一対の加圧板50と、二つの加圧板50の外側に隣接する位置に船体構造物2またはエンジン3に固設された一対の摩擦支持台60と、二つの加圧板50の間に設置されエンジン3の振動荷重に対応しながら摩擦支持台60に対する二つの加圧板50の圧力を調節する弾性部材70とを含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 船体構造物2にエンジン3の振動荷重を支持するビーム部20、前記ビーム部20と船体構造物2の間を連結する船体連結部30及び前記ビーム部20とエンジン3の間を連結するエンジン連結部40を包含し;前記船体連結部30と前記エンジン連結部40中一側の連結部は、一定間隔をおき並んで配置され前記ビーム部20に連結された一対の加圧板50、前記二つの加圧板50の外側に隣接する位置に前記二つの加圧板50の外側に隣接する位置に前記船体構造物2またはエンジン3に固定され設置された一対の摩擦支持台60、及び前記二つの加圧板50の間に設置され前記エンジン3の振動荷重に対応しながら前記摩擦支持台60に対する前記二つの加圧板50の加圧力を調節する弾性部材70を包含することを特徴とする船舶エンジンのトップブレーシング。
【請求項2】 前記船体連結部30と前記エンジン連結部40中前記弾性部材70が設置されない側の連結部は、一端が前記船体構造物2または前記エンジン3に連結され他端は横に伸張された長方形ボルト孔81、ボルト82及びナット83により前記ビーム部20に連結される連結板80を包含することを特徴とする請求項1に記載の船舶エンジンのトップブレーシング。
【請求項3】 前記弾性部材70は内部の空気圧を調節して前記摩擦支持台60に対する前記二つの加圧板50の加圧力を制御する空気チューブ70aであることを特徴とする請求項1に記載の船舶エンジンのトップブレーシング。
【請求項4】 前記空気チューブ70aには開閉量の調節できるバルブ73を媒介して空圧装置72に連結された空気注入口71及び開閉量の調節できるバルブ75が具備された空気排出口74を備えることを特徴とする請求項1または3に記載の船舶エンジンのトップブレーシング。
【請求項5】 前記空圧装置72は船舶で一般的に使用される高圧空気を提供するため設置されている空圧装置であることを特徴とする請求項4に記載の船舶エンジンのトップブレーシング。
【請求項6】 前記加圧板50の外側面と前記摩擦支持台60の内側面のうち、少なくともある一つの面には高摩擦係数の摩擦板90が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の船舶エンジンのトップブレーシング。
【請求項7】 前記ビーム部20は一定距離をおき平行に配置された二つの鋼板21、前記鋼板21の外側面に付け加えられた補助鋼板22、及び前記鋼板21と前記補助鋼板22を接合する多数の結合板23でなり、前記弾性部材70が装着される側の鋼板21の一定区間Lは前記補助鋼板22が付け加えられていないことを特徴とする請求項1または2に記載の船舶エンジンのトップブレーシング。
【請求項8】 空気チューブを具備したトップブレーシングを船体構造物とエンジンの間に設置した状態で前記空気チューブの空気圧を変化させエンジンの支持剛性を変化させ支持剛性を異にする各支持状態のエンジン振動応答曲線から臨界回転数を求めるエンジン振動特性測定段階;前記臨界回転数とエンジン回転数を比較する判別段階;及び前記エンジン回転数が前記臨界回転数未満であるエンジン作動条件下における前記空気チューブの空気圧を相対的に高圧力に維持し、前記エンジン回転数が前記臨界回転数を超過するエンジン作動条件下においては前記空気チューブの空気圧を相対的に低圧力に維持する段階;を包含することを特徴とする船舶エンジンの振動緩和方法。
【請求項9】 前記高い圧力は船舶で一般的に使用される空気圧であり、前記低い圧力は前記高い圧力より低い大気圧以上であることを特徴とする請求項8に記載の船舶エンジンの振動緩和方法。
【請求項10】 前記空気チューブの空気圧をエンジン回転数にしたがい3段階以上に変化させることを特徴とする請求項8に記載の船舶エンジンの振動緩和方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は船舶エンジンのトップブレーシング(Top Bracing)に関するものであり、より詳しくは船舶のエンジンから発生する振動を緩和するためにエンジンの上端を船体の構造物に支持するトップブレーシングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】船舶のエンジンはその作動中に相当な振動が発生し、かかる振動はエンジンとその周辺構造物に疲労破壊を加速し、乗船感を阻害するなどの望ましくない要因として作用するので、エンジンの振動を緩和させるのが望まれる。船舶エンジンの振動を緩和させるための対策の一つとしては、エンジンの上端と船体の構造物の間をトップブレーシングという構造物で固定する方式が広く使用されている。
【0003】図6はトップブレーシングの一般的な設置位置を示した船舶の概略縦断面図である。図示した通り、船舶1のエンジン3はエンジンマウンティング4(EngineMounting)に固設されるところ、かかる状態でエンジン3が作用されるとエンジンの上端部分が激しく振動することになる。したがって、船舶1では船体構造物2とエンジン3の間にトッププレーシングを設置してエンジンの振動を緩和している。
【0004】図7は従来のトップブレーシングの概略正面図であり、図8は概略平面図である。図示した通り、従来のトッププレーシング100は、エンジン3に連結されるエンジン連結板110,船体構造物2に連結される船体連結板120及びエンジン連結板110と船体連結板120を連結するビーム150を備えている。船体連結板120は摩擦板130を媒介して船体構造物2の突出板140にボルト141とナット142に接合されている。前記摩擦板130は船体連結板120が横方向にある程度遊動することを許容するためのものとして、その遊動程度はボルト141の締め付けの加減で調節される。
【0005】以上のような従来のトッププレーシング100は、エンジンの横方向振動を十分に緩和できるが、船舶の航海中に波浪または吃水変化などによる発生する船体構造物とエンジン間の相対的な高さ変化により、捻り応力のような多方向の変形力に対しては相対的に脆弱である。特に船体構造物2、エンジン3、エンジン連結板110、船体連結板120、突出板140及びビーム150の連結部位は、溶接過程で生じた残留応力、材質変形または溶接結合などの存在により容易に疲労して亀裂などか発生し易い。一旦構成部材の中のあるところに亀裂が発生すると、他のものも連鎖的に亀裂を起こしエンジンの振動が一層激しくなるので、エンジンに無理がかかる可能性が高まるばかりでなく、極めて煩わしい作業であるトップブレーシングの補修及び交替作業を頻りにしなければならない。
【0006】即ち、従来トッププレーシング100を適用した場合、代表的にエンジン振動特性を示しているエンジン回転数とエンジン振動の関係グラフ(振動応答曲線)をみると、図9に図示された通り一つの頂点を有する曲線状になる。ここで曲線の頂点はエンジンの固有振動数と一致するエンジンの回転数を示す。従来のトッププレーシング100を一旦エンジンに装着するとその固有振動数(f0)が固定的に定められ変化しないので、エンジンの回転数が固有振動数(f0)の近所に至ると振動が極めて激しくなって前記の多数の問題点を惹起する。
【0007】また、従来のトッププレーシングにおいては、その船体構造物2側の連結部位は、船体連結板120が摩擦板130を媒介して突出板140を通じてボルト141とナット142で船体構造物2に連結されているのでエンジンの振動に対してある程度の柔軟性を有する。しかし、そのエンジン側の連結部位は、エンジン連結板110を通じてビーム150がエンジンに直接溶接で接合されているので柔軟性を以てエンジンを支持できない問題点がある。
【0008】また、トップブレーシングはこれを地上で前もって製作したあと船舶に移して装着するのが一般的で、従来のトッププレーシング100の場合、一旦製作したあとはその長さの調整が容易でない。そのため地上で製作作業をするとき、その長さを船体構造物とエンジンの間の長さに極めて精密に一致しなければ装着作業が容易にできない。しかし、船体構造物とエンジンの間の長さはある程度の誤差を持ち、変化するので地上作業でその長さを正確に合わせるのが実質的に容易でない。
【0009】かかる理由で、従来のトッププレーシング100はエンジンに装着するとき船体構造物2とエンジン3の間の実際長さに合わせてその長さを再び調整する煩わしい作業をしなければならないことがよく発生し、このような過程で溶接欠陥も多発する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記した従来の船舶エンジンのトップブレーシングが有する多数の問題点を解消するためのものであり、エンジン回転数の変化にしたがいエンジンの支持状態(支持剛性)を変化させ全てのエンジン回転数範囲でエンジンの振動が最小化されるように制御できる船舶エンジンのトップブレーシングとこのようなトップブレーシングによりエンジン振動緩和方法を提供することである。また、本発明の目的はエンジンを柔軟に支持するトップブレーシングを提供してその設置及び補修作業をより容易に遂行し得るようにすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明にしたがい、船舶のエンジンの振動を緩和するためエンジンの上端を船体の構造物に支持することにおいて、エンジンの支持状態を変化させエンジンの振動特性が多数の振動応答曲線を有するように空気チューブを備えたトップブレーシングによりエンジンを支持し、エンジンの実際の回転数にしたがい前記空気チューブの空気圧を調節してエンジンの支持状態を変化させることによってエンジンの全ての回転数範囲に対してその振動を最適に緩和させ得る船舶エンジンのトップブレーシングが提供される。
【0012】具体的には、本発明にしたがい船体構造物にエンジンの振動荷重を支持するビーム部、前記ビーム部と船体構造物の間を連結する船体連結部及び前記ビーム部とエンジンの間を連結するエンジン連結部を包含し;前記船体連結部と前記エンジン連結部のうちの一側の連結部は、一定間隔をおいて並んで配置され前記ビーム部に連結された一対の加圧板、前記二つの加圧板の外側に隣接する位置に前記船体構造物またはエンジンに固設された一対の摩擦支持台、及び前記二つの加圧板の間に設置され前記エンジンの振動荷重に対応しながら前記摩擦支持台に対する前記二つの加圧板の加圧力を調節する弾性部材を包含することを特徴とする船舶エンジンのトップブレーシングが提供される。
【0013】前記船体連結部と前記エンジン連結部の中、前記弾性部材が設置されない側の連結部は、一端が前記船体構造物または前記エンジンに連結され、他端は横に伸張された長方形ボルト孔、ボルト及びナットにより前記ビームに連結される連結板を備えるように構成することができる。
【0014】また、本発明により船舶エンジンの振動緩和方法が提供され、本方法は空気チューブを備えたトップブレーシングを船体構造物とエンジンの間に設置した状態で前記空気チューブの空気圧を変化させエンジンの支持剛性を変化させて、支持剛性を異にする各支持状態のエンジン振動応答曲線から臨界回転数を求めるエンジン振動特性測定段階;前記臨界回転数とエンジン回転数を比較する回転数判別段階;及び前記エンジン回転数が前記臨界回転数以下であるエンジン作動条件下では前記空気チューブの空気圧を相対的に高い圧力に維持し、前記エンジン回転数が前記臨界回転数を超過するエンジン作動条件下では前記空気チューブの空気圧を相対的に低い圧力に維持する段階を包含することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本発明による船舶エンジンのトップブレーシングを詳細に説明する。以下の具体例は本発明による船舶エンジンのトップブレーシングを例示的に説明するだけで、本発明の範囲を制限するものではない。図1は本発明によるトップブレーシングの部分断面平面図で、図2は本発明によるトップブレーシングの正面図で、図3は空気チューブの圧力調節装置の一例を示す概略図で、図4は本発明によるトップブレーシングを適用したときのエンジン回転数とエンジン振動数の関係を示す振動応答曲線で、図5は本発明によるトップブレーシングにより船舶エンジンの振動を緩和する方法の一例を示した順序図である。
【0016】図1と図2に図示された通り、本発明による船舶エンジンのトップブレーシング10は船舶の船体構造物2とエンジン3の間に設置されエンジンの振動を緩和させるための構造物であり、基本的にビーム部20、船体連結部30及びエンジン連結部40で構成され、前記船体連結部30とエンジン連結部40の中、一側の連結部は、一対の加圧板50、一対の摩擦支持台60及び前記一対の加圧板50の間に設置された弾性部材70を包含する構成からなる。
【0017】前記弾性部材70はエンジン3の振動荷重に対応しながら摩擦支持台60に対する二つの加圧板50の加圧力を調節するためのものであり、例えばスプリングあるいは弾性を有するゴム、木材などを活用することができ、望ましくは空圧式連結部である空気チューブ70aを適用する。本発明では弾性部材70の好ましい実施形態として空気チューブ70aを適用して説明することにし、かかる空圧式の空気チューブ70aが適用された船体連結部30の例は図1と図2によく示されている。
【0018】図1と図2の具体例は船体連結部30が空圧式である例を図示したものである。中央のビーム部20はエンジン3の振動を支持する構造材であり、船体連結部30とエンジン連結部40は前記ビーム部20をそれぞれ船体構造物2とエンジン3に固定させるための連結部材である。使用可能なビーム部20の構造としては、エンジンの振動荷重を支えられる程度の強度を有する構造であれば特に限られず、例えば図1と図2に図示された通り、二つの鋼板21を所定距離をおいて平行に配置して、これら鋼板21の外側面にそれぞれ補助鋼板22を付け加え、これら鋼板21と補助鋼板22を多数の結合板23で接合して構成したビームを使用することができる。
【0019】この際、空気チューブ70aが装着される側の鋼板21には一定区間Lに対して補助鋼板22を付け加えずに鋼板21のみで構成した方が該部分の振動に対する柔軟性を与えることができ望ましい。結合板23に付着された環24はトップブレーシング10をエンジンに装着するときクレーン(crane)を掛けるための環である。
【0020】このように鋼板21と補助鋼板22の二重構造になったビーム部20にしたがいエンジンの振動を十分な強度で支持でき、また鋼板21のみからなる区間Lによりエンジンの振動をより柔軟性のあるように支持でき、トップブレーシング10が振動による疲労で破損されることを遅延させ得る。船体構造物2にビーム部20を連結する船体連結部30は、エンジンの回転数の変化にしたがいエンジンの支持剛性が変化させ得るように一対の加圧板50、一対の摩擦支持台60及び空気チューブ70aを包含する仕組みで構成される。加圧板50は、図1に図示された通り、前記ビーム部20、具体的には前記鋼板21の船体構造物2の側端部から船体構造物に延びている板状の部材として、一対の加圧板50が一定間隔をおき並んで配置された構成になっている。
【0021】加圧板50はこれを別途の鋼板に製作してビーム部20の鋼板21に溶接またはリベット(rivet)で連結するのがしいて排除されるのではないが、本具体例のようにビーム部20の船体構造物2側の端部を船体構造物に近接した位置まで延長してこれを加圧板50に使用するのが好ましい。即ち、本具体例においては、加圧板50は、ビーム部20の船体構造物2側の端部であり、加圧機能を有するため、加圧板50とした。加圧板50は後述の通り空気チューブ70aが高圧であるときは外側に広がり空気チューブ70aが低圧であるときには内側に復元される弾性を有する鋼板で製作するのが望ましい。
【0022】それぞれの加圧板50の外側面には船体構造物2に固設されエンジン3側に突出された摩擦支持台60が隣接されている。摩擦支持台60はその間に挟まれる加圧板50に摩擦接触することで、後述の通りトップブレーシング10を船体構造物に支持する作用をする。加圧板50と摩擦支持台60の間の摩擦力を増加させるため、加圧板50の外側面及び/または摩擦支持台60の内側面に高摩擦係数の摩擦板90を付着するのが望ましく、本具体例は摩擦支持台60に摩擦板90を付着した例が図示されている。
【0023】加圧板50と摩擦支持台60が接している部分の二つの加圧板50間には振動荷重に耐えられる程度の強度を有するように作られた空気チューブ70aが設置される。空気チューブ70aは内部の空気圧が調節できるように構成されていて、空気圧を変化させれば摩擦支持台60に対する加圧板50の加圧力が変化されトップブレーシング10によるエンジンの支持状態(支持剛性)が変わることになる。
【0024】例えば、空気チューブ70aの空気圧を相対的に高く維持すれば空気チューブ70aが二つの加圧板50を外側に押し出し加圧板50が摩擦支持台60に強く摩擦接触される。かかる状態でトップブレーシング10はエンジンを相対的に高い剛性に支持することになり、トップブレーシング10はその摩擦力だけエンジンの振動が吸収される。逆に空気チューブ70aの空気圧を相対的に低く維持すれば加圧板50に対する空気チューブ70aの加圧力が除去されたり低くなって加圧板50が摩擦支持台60から分離されたりまたは低い摩擦力に摩擦接触される。この状態ではトップブレーシング10がエンジンを相対的に低剛性に支持することになってトップブレーシング10はエンジンの振動を吸収しないか若干吸収する。即ち、空気チューブの空気圧を変化させることによって本発明のトップブレーシング10によるエンジンの支持剛性を変化させる。
【0025】空気チューブ70aの空気圧調節は広く知られている公知の技術を適用することができる。例えば、図3に示した通り、バルブ73を媒介して空圧タンクまたはコンプレッサのような空圧装置72に連結された空気注入口71と、バルブ75が備えられた空気排出口74をそれぞれ空気チューブ70aに設置し、制御盤からこれらのバルブ73、75の開閉を調整して空気チューブ70aに対する空気受給量が調節できるように構成し得る。
【0026】ここで、前記空圧装置72としては本発明のトップブレーシング10のために別途の空圧タンクまたはコンプレッサなどを備えて使用することもできるが、船舶には外に多様な用途で高圧の空気を使用するため空圧装置を設置するのが一般的であるので、このような空圧装置(図示せず)から空気チューブ70aに高圧の空気が供給されるように構成することもできるため、この場合トップブレーシング10のみのために、空圧装置を追加設置する必要がないので望ましい。空気チューブ70aの空気圧はエンジンの振動状態にしたがい高圧と低圧の2段階でまたは多数の段階で調節できる。以下図4と図5を参照して2段階で空気チューブ70aの圧力を調節する場合について説明する。
【0027】エンジン回転数によるエンジンの振動特性、即ち、振動応答曲線はエンジンの支持強度により異なる。したがって、本発明のトップブレーシング10をエンジン3に装着した状態で空気チューブ70aの空気圧を変化させエンジンの支持強度を変化させそれぞれに対してエンジンの振動応答曲線を求める。例えば、空気チューブ70aの空気圧を相対的に低い圧力P1に維持した状態と相対的に高い圧力P2でそれぞれ維持した状態でそれぞれエンジンの振動応答曲線を求めると、図4に図示の通り、頂点の位置が互いに異なる二つの振動応答曲線が得られる。
【0028】即ち、空気チューブ70aの圧力がP1で低いときにはエンジン回転数がf1であるときエンジン振動が最大になり(振動応答曲線Y1)、空気チューブ70aの圧力がP2で高いときはエンジン回転数がf2であるときエンジン振動が最大になり(曲線Y2)、二曲線は臨界回転数f3で互いに交差する。
【0029】このように空気チューブ70aの空気圧変化にしたがい異なるエンジンの振動特性により、エンジンの回転数が臨界回転数f3以上であるときは空気チューブ70aの圧力を低圧力にP1に維持し(エンジンの振動は曲線Y1にしたがう)、エンジン回転数が臨界回転数f3以下であるときは空気チューブ70aの圧力を高圧力P2に維持させれば(エンジン振動が曲線Y2をしたがう)、エンジンの振動数を恒常斜線を引いた部分内に維持させることができる。ここで空気チューブ70aへの空気圧提供が他の用途として船舶に提供されている前述した空圧装置を使用する場合、前記高い電圧P2はこのような空圧装置から提供される船舶に通常使用される空気圧になる。
【0030】したがって、空気チューブ70aを備えたトップブレーシング10を船体構造物2とエンジン3の間に設置した状態でエンジンの回転数によりバルブ73、75の開閉を適切に制御して空気チューブ70aの空気圧を変化させれば、従来のようにエンジンの支持状態を変化させない状態、即ちエンジン回転数によるエンジンの振動が単一の振動応答曲線(Y1またはY2)上を動くときに比して船舶エンジンの振動を著しく緩和させることができる。
【0031】図5を参照して発明によるトップブレーシングにより船舶エンジンの振動を緩和する方法を定理して説明する。先ず、空気チューブ70aの空気圧を変化させエンジン3の支持剛性を異にした状態でそれぞれエンジンの振動応答曲線を得る。得られた振動応答曲線上で臨界回転数を求めてエンジンの振動特性を測定する(S1)。次に、エンジンの回転数rpmを実測して測定されたエンジン回転数と臨界回転数f3を比較判別する(S2)。
【0032】判別結果にしたがいエンジンの回転数が臨界回転数f3以下であれば(YES)、バルブ73を開放しバルブ75を閉鎖する側にバルブ73、75を作動して空気チューブ70aの圧力をP2で維持させ(S3、S4)、これで加圧板50と摩擦支持台60が摩擦接触して二つの部材間の摩擦力が正常的に作動するようになるので(S5)、その結果、エンジンの振動は臨界回転数f3以下の曲線Y2にしたがって発生しエンジンの振動を最小化することができる(S6)。
【0033】判別結果にしたがいエンジンの回転数が臨界回転数f3より大きければ(NO)、バルブ73を閉鎖しバルブ75を開放する側にバルブ73、75を作動させ空気チューブ70aの圧力をP1で維持させる(S3′、S4′)。これで加圧板50と摩擦支持台60が分離されたり弱く摩擦接触して二つの部材間の摩擦力が消えたり相対的に低くなる(S5′)。その結果、エンジンの振動は臨界回転数f3以上の曲線Y1に沿て発生し、エンジンの振動を最小化することができる(S6)。
【0034】ここで空気チューブ70aへの空気圧提供が他の用途で選択的に提供されている前述した空圧装置を使用する場合、前記高い圧力P2はかかる空圧装置から提供される船舶に通常使用される空気圧になり、低い圧力P1は高い圧力P2より低く大気圧より高い圧力になる。このようにエンジンの回転数にしたがい空気チューブ70aの圧力を適切に調節すればエンジンの振動を最少状態(図4に図示された斜線を引いた部分)で維持させることができるだけでなく、空気チューブ70aの緩衝作用でトップブレーシングが受ける振動の衝撃を分散させることができるし、エンジン上部及び隣接構造物に伝達される振動を低減させることができる。
【0035】以上、空気チューブ70aの圧力を高圧と低圧の2段階で調節する場合について説明したが、空気チューブ70aの圧力が3段階以上の多数の段階に変わるように制御することでエンジンの振動を更に低減させることもできるし、全てのエンジン回転数に対して連続的に空気チューブの圧力が変わるように制御すれば、全てのエンジンの回転数に対して最小のエンジン振動を達成することもできる。
【0036】空気チューブ70aが設置されない船体連結部30またはエンジン連結部40、即ち、本具体例のエンジン連結部40としては、例えば図8に図示された従来のトップブレーシングに使用された構造またはビーム部20を直接にエンジン3に溶接する構造などを使用し得るが、船体構造物2とエンジン3の間の長さの変化を受容することのできる連結板80を使用するのが望ましい。
【0037】具体的に説明すれば、図1に図示された通り、連結板80の一端はエンジン3に溶接で連結し、その他端はビーム部20の鋼板21にボルト82とナット83を使用して連結するが、鋼板21と連結板80のうちの、少なくとも一つに形成されたボルト孔を横に長く伸張させボルト孔81に形成し、ボルト82が締結される位置をボルト孔81の長さの範囲内で左右に調節できるようにするのが好ましい。図1は前記ボルト孔81が連結板80に形成された例を図示したものであり、図面符号84は連結板80と鋼板21の間のボルト締結を円滑にし部材間の滑りを防止するための緩衝板を示す。
【0038】このように連結板80を備えたエンジン連結部40の構造にしたがい、波浪または貨物積載量の変化により船体構造物2とエンジン3の相対的な位置が変化するとき、エンジンとトップブレーシング10間の連結がボルト孔81の長さだけ柔軟性を有しながら変化され得るので、トップブレーシング10に過度に加えられる荷重を船体連結部30に適用された空圧式連結構造と共に効果的に緩和させることができる。
【0039】また、トップブレーシング10をエンジン3と船体構造物2の間に設置するときボルト82とナット83の締結位置をボルト孔81が長さ範囲内で選択する余裕があるので、トップブレーシング10を前もって地上で製作するときトップブレーシング10の長さをエンジンと船体構造物の間の実際長さに精密に一致させなくてもよく、トップブレーシング10を設置するときもその長さを船体構造物とエンジンの間の実際長さに合わせて調整する作業を極めて容易に行える。以上では加圧板50、一対の摩擦支持台60及び空気チューブ70aが船体構造物2側に位置され、連結板80がエンジン3側に位置する例について説明したが、これらをこれと反対側に設置することも当然可能である。
【0040】
【発明の効果】以上で説明した本発明による船舶エンジンのトップブレーシングによると、空気チューブを使用した空圧式連結構造により全てのエンジン回転数の領域にかけてエンジンの振動を著しく緩和させることができるので、エンジンの振動によりエンジンとその周辺構造物に与える損傷を減らせ、トップブレーシングの設置及び補修作業をより容易に遂行させ得る効果がある。
【出願人】 【識別番号】597005440
【氏名又は名称】三星重工業株式会社
【出願日】 平成11年11月30日(1999.11.30)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
【公開番号】 特開2000−177692(P2000−177692A)
【公開日】 平成12年6月27日(2000.6.27)
【出願番号】 特願平11−340543