| 【発明の名称】 |
集電部材、そのすり板及びサヤ体 |
| 【発明者】 |
【氏名】久保 俊一
【氏名】池内 実治
【氏名】土屋 広志
【氏名】清水 輝夫
【氏名】秋山 新一
【氏名】新井 博之
【氏名】大西 吉久
【氏名】寺岡 利雄
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| 【要約】 |
【課題】摩耗しろが大きくとれ、摩耗による強度の低下が少なく、耐久性に優れた集電部材を提供する。
【解決手段】サヤ2のすり板1底面との当接面より舟体取付ボルト4を圧入して一体化したサヤ体20を形成し、サヤ体20の、すり板1底面との当接面を平面として、従来のすり板1に形成されていた底面の中央の溝をなくし、摩耗限度のすり板の強度を大きくする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 底面が平面であるすり板と、前記すり板を嵌着固定可能な内面を有するサヤと、前記サヤの底面に突設され、前記すり板との当接面が平面を保って固設された舟体取付ボルトと、を備えてなる集電部材。 【請求項2】 側面の長手方向にサヤの取付部を有し、底面が平面である集電部材のすり板。 【請求項3】 すり板の底面と当接する平板部と、すり板側面の取付部を嵌着固定するフランジ部と、前記平板部の底面に突設された舟体取付ボルトと、を備えてなる集電部材のサヤ体。 【請求項4】 前記平板部の厚みが、1.2mm〜2.0mmである請求項3記載の集電部材のサヤ体。 【請求項5】 前記舟体取付ボルトが、前記平板部のすり板底面との当接面から圧入されて取付られている請求項3記載の集電部材のサヤ体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は新幹線や在来線の車両に使用される集電部材に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の鉄道車両用集電部材の一例の断面図を図4に示す。図4において、すり板1は、サヤ2を介して舟体3に取付られている。このサヤ2の舟体3への取付は、サヤ2の底部に貫通穴が設けられ、その貫通穴を通る舟体取付ボルト6にナット5を締め付けることにより取付られている。サヤ2とすり板1との当接面には舟体取付ボルト6の四角形の頭部が突出し、この頭部の頂面との接触を防ぎ、かつ、頭部側面をボルトの回り止めとするために、すり板の底面の中央部には溝7が設けられている。 【0003】ところが、すり板の底面の中央部に溝7が設けられている構造では、すり板がトロリ線との摺動により摩耗が進行した場合、見掛けの残厚に対して、溝上の残厚は著しく小さくなり、見掛けの残厚で摩耗管理を行うと、強度不足のため、すり板の破損に繋がるなどの問題が発生することがあった。破損を防止するためには、早めのすり板交換が有効であるが、この交換時期は、すり板の材質等によっても異なり、サヤ2のフランジ部2a、2bからの高さを基準にして判断する場合でも、高さ測定という煩雑な作業を行う必要がある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は前記問題点を解決するためになされたものであり、摩耗による強度の低下が少なく、耐久性に優れ、交換時期を明確に判断できる集電部材を提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の発明は、底面が平面であるすり板と、前記すり板を嵌着固定可能な内面を有するサヤと、前記サヤの底面に突設され、前記すり板との当接面が平面を保って固設された舟体取付ボルトと、を備えてなる集電部材である。 【0006】サヤとすり板のそれぞれの当接面を平面化させることにより、すり板の摩耗が進行した場合、見掛けの残厚と、真の残厚が一致し、すり板の摩耗しろをサヤのフランジ部の高さとすることができるため、すり板の交換時期が明確にわかる。さらには、その接触面積を大きくすることが可能となり、接触抵抗が小さくなり、安定した集電作用を行うことができる。 【0007】また、本発明の請求項2の発明は、側面の長手方向にサヤの取付部を有し、底面が平面である集電部材のすり板である。 【0008】すり板底面の中央部に溝を設けた従来型のものに比べて、すり板自身の強度を大幅に向上させることができる。 【0009】また、本発明の請求項3の発明は、すり板の底面と当接する平板部と、すり板側面の取付部を嵌着固定するフランジ部と、前記平板部の底面に突設された舟体取付ボルトと、を備えてなる集電部材のサヤ体である。 【0010】フランジ部によって、すり板を長手方向に装入するのみで、すり板を強固に嵌着固定することができる。なお、ここで、サヤ体とは、サヤに舟体取付ボルトが取り付けられたものをいう。 【0011】また、本発明の請求項4の発明は、前記平板部の厚みが、1.2mm〜2.0mmである請求項3記載の集電部材のサヤ体である。 【0012】サヤ体の平板部の厚みを1.2mm〜2.0mm、好ましくは、1.4mm〜1.8mmとすることにより、舟体取付ボルトの安定した取付力を得ることができる。 【0013】また、本発明の請求項5の発明は、前記舟体取付ボルトが、前記平板部のすり板底面との当接面から圧入されて取付られている請求項3記載の集電部材のサヤ体である。 【0014】舟体取付ボルトが圧入により取り付けられていることから、サヤ体のすり板当接面である平板部を平面化することができる。また、圧入によるためその取付面をきれいな面にすることができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例をあげ、本発明を具体的に説明する。 【0016】本発明の集電部材の構成の一例を図1に示した。図中の符号1はすり板、2はサヤ、3は舟体、4は舟体取付ボルトである。集電部材は、すり板1と、サヤ2と、舟体取付ボルト4のセットで構成される。舟体取付ボルト4は、サヤ2に圧入されサヤ体20を形成しており、すり板1とサヤ2との当接面には舟体取付ボルト4の頭部が突出しておらず、すり板1の底面の全面がサヤ2の当接面と接触して固定されている。 【0017】本発明で使用するすり板1としては、炭素質すり板、粉末冶金法による炭素系すり板等を用いることができる。この炭素質すり板の材質自体に制限はなく、実質的に炭素のみからなる炭素材料乃至は炭素を主成分とする材料であって、ピッチ含浸品、樹脂含浸品及び金属含浸品等の含浸品を包含する。所謂炭素化品や黒鉛化品等や、炭素繊維強化炭素複合材料を母材とし、これに、ピッチ含浸、樹脂含浸及び金属含浸等をした各種炭素材料を包含する。さらに、冷間等方加圧成形工程を経た高密度等方性黒鉛や熱間加圧法を用いた高密度黒鉛等の黒鉛材料、焼成炭素材料、その他に加圧焼成法により製造される炭素材料及び炭素繊維強化炭素複合材料等があげられ、これらを任意の形状に加工したものを基材として使用することができる。 【0018】粉末冶金法による炭素系すり板は炭素粉末、金属粉末およびバインダーを混合、加圧成形、焼結した炭素・金属系複合材料である。炭素粉末としてはコークス粉末、黒鉛粉末、炭素繊維等が使用される。金属粉末としては、銅または銅合金、鉄または鉄合金およびその他金属の粉末および/または繊維が使用される。さらに、全体的な特性の向上のためピッチ含浸、樹脂含浸、金属含浸等が施されたものもある。 【0019】図1にすり板1の形状の一例を示す。図1において、すり板1は上面が平面であり、側面下部の長手方向には、サヤ体20を嵌着固定するするためのサヤ体20の取付部1a、1bが設けられている。この取付部1a、1bは、図示するように末広がり状となっている。この末広がり状の取付部1a、1bに、サヤ体20のフランジ部2a、2bが嵌合することにより、すり板1がサヤ体20に固定される。この取付部1a、1bは、図示の様な末広がり状でも、例えば、側面長手方向に溝を形成させる等、サヤ体20のフランジ部2a、2bが引っ掛かり、すり板1を嵌着固定することができるような形状であればよく、ここで、例示したものに限定されない。さらに、すり板1の底面は、平面に加工されている。 【0020】サヤ体20は、すり板1の底面と当接する平板部2cと、すり板側面の長手方向に設けられている取付部1a、1bに当接し、すり板1を嵌着固定するフランジ部2a、2bと、底面に突設された舟体取付ボルト4と、を備えてなる。このようなサヤ体20は、厚み1.2mm〜2.0mm、好ましくは1.4mm〜1.8mmの鋼板を折り曲げて形成することができる。ここで、フランジ部2a、2bは、底面からの高さが7〜9mmになるように折り曲げられている。そして、前記平板部2cには、その幅方向の中央の2か所に舟体取付ボルト4の取付用下穴2dが設けられている。 【0021】舟体取付ボルト4のサヤ2への取付は、圧入や、溶接による方法がある。溶接の場合は、一般的な溶接法によればよい。しかしながら、溶接の場合、サヤ2の平板部2c及び舟体取付ボルト4の表面に施されている亜鉛メッキが剥がれるという問題がある。一方、圧入によるボルトの取付の場合には、表面の亜鉛メッキが剥がれるという問題は起こらない。このことから、圧入による取付が好ましい。圧入に用いられるボルトには一般的な圧入用ボルトでよく、その一例を模式化して図2に示す。図2において、4はボルト、21はボルト頭、22は噛合部、2はサヤ、d1 はサヤ下穴径、d2 はボルトの呼び径を示している。ここで、圧入後のボルト4のサヤ2への取付けを確実にするためには、サヤ下穴径d1 は、ボルト呼び径d2 と等しくしておくことが好ましい。ボルト4の圧入には、ボルト頭21に軸方向の荷重Pをかけることによりボルト4をサヤ2からボルト頭21が突出しなくなるまで圧入する。圧入されたボルト4は、ボルト頭21下の噛合部22がサヤ2に食い込むことによって、強固に取付られる。ここで、使用される圧入ボルト4は、取付られる母材であるサヤ2と同一の材質のものを使用することが好ましく、特に炭素鋼が好ましい。 【0022】図1において、舟体3は、アルミニウムや、アルミニウム合金、ジェラルミンの様な軽量で且つ電気伝導性の高い金属を、所定の形状に加工したものが好適に使用される。なかでもアルミニウム合金が好ましい。 【0023】次に、以上の各部材の構成方法について説明する。すり板1は、サヤ体20のフランジ部2a、2bに、すり板1の取付部1a、1bを当接させ、サヤ体20の長手方向に圧入されている。これによって、すり板1とサヤ体20とは一体化される。このすり板1と一体化されたサヤ体20の舟体取付ボルト4を舟体3に設けられた取付穴に通し、ナット5を取付ボルト4に螺合することによって取り付けられる。 【0024】 【実施例】以下、実施例をあげ、本発明を具体的に説明する。 【0025】(実施例1)すり板は、平均粒径10〜30μmの人造黒鉛粉末に、バインダーとしてタールピッチを加え、200〜300℃の範囲内の所定温度に加熱した状態で2時間混練し、室温に冷却してから粉砕した後、0.1〜1.5ton/cm2 の範囲内の所定の圧力で、50×150×300mmの圧粉体にプレス成形し、この圧粉体を1150℃、1時間保持の条件で焼成し、焼結体を形成した。この焼結体を23×39×270mmに加工し、図1に示すような断面を有した焼結体とした。この焼結体を減圧含浸炉に装入し、含浸炉内を2Torrに減圧し、1150℃の温度で無酸素銅の溶湯に浸漬し、130気圧の圧力を付加する条件で無酸素銅の含浸を行った。 【0026】サヤは、厚さ1.2mmの亜鉛メッキされた鋼板を、外径寸法で平板部が幅41.4mm、長さが270mm、すり板の取付部と当接するフランジ部の幅が8mmの寸法に成形され、平板部に直径8mmの2個の下穴が加工されたものを使用した。このサヤに形成された2個の下穴に、表面が亜鉛メッキされた圧入用の長さ20mmのM8ボルトを圧入荷重60kNで圧入し、舟体取付ボルトとした。このようにサヤとボルトが一体化したサヤ体に前述したすり板を挿入し、固定した。 【0027】(実施例2)サヤの厚みを1.6mmとした以外は実施例1と同じ方法で、サヤ体を作製し、実施例1と同じすり板を、サヤ体に挿入し、固定した。 【0028】(実施例3)サヤの厚みを2.0mmとした以外は実施例1と同じ方法で、サヤ体を作製し、実施例1と同じすり板を、サヤ体に挿入し、固定した。 【0029】(比較例1)実施例1と同じ方法で製造したすり板の底面の中央部の長手方向に、深さ6mm、幅14mmの舟体取付ボルト頭部の逃げ溝を形成した。また、下穴径を8.5mmとした以外は実施例1と同じ方法で製造したサヤに、四角形の頭部を有する以外は実施例1と同一のボルトをサヤに挿入してサヤ体を作製し、すり板をサヤ体に挿入し、固定した。 【0030】(参考例1)舟体取付ボルトを溶接してサヤに固定した以外は、実施例1と同じ方法で、ボルトと一体化したサヤ体を作製し、すり板をこのサヤ体に挿入し、固定した。 【0031】実施例1乃至3、比較例1および参考例1の、すり板の有効厚み、摩耗しろ、サヤ体との接触面積、強度等を表1にまとめて示す。ここで、摩耗しろは、実施例1乃至3及び参考例1においては、すり板底部に溝がないことから、すり板上面からサヤ体フランジ部の高さを引いた値とした。一方、比較例1は、すり板底部中央の溝7(図4参照)の深さを考慮して表記のとおりとした。また、すり板の強度は、摩耗限度の厚さのすり板をすり板の長手方向に対して直角に厚さ6mmに切り出し、底面側の2箇所を支点距離30mmで支え、万能試験機ですり板の摺動面に負荷をかけて、すり板の3点曲げ強度を測定したものである。 【0032】 【表1】
【0033】(舟体取付ボルトの取付強度)次に、実施例1乃至3、比較例1および参考例1の、舟体取付ボルトの取付強度を測定した。測定方法の概略を図3に示す。ボルト4にワッシャ10、ナット5を取付、サヤ本体2を万力によって、固定して、トルクレンチでボルト又はボルト取付部が破損するまで締め付け、破損時の締付トルクを舟体取付ボルトの取付強度とした。なお、試験したボルトは各6本で、その平均値をそれぞれの取付強度とした。 【0034】表2に、それぞれの舟体取付ボルトの取付強度をまとめて示す。 【0035】 【表2】
【0036】表1より、すり板の底面を平面とし、さらに、サヤ体にボルトを圧入してすり板との当接面を平面とすることによって、従来に比べ、すり板の有効厚み、摩耗しろ、サヤ体との接触面積が大きく取れることがわかる。また、摩耗限度のすり板の強度も向上することがわかる。これらのことから、舟体取付面からすり板上面までの高さを同一にした場合は、すり板底面を平面にすることで、すり板の使用できる有効厚みが向上し、すり板の交換時期をサヤ体のフランジ部の高さとすることができることがわかる。 【0037】表2より、サヤの板厚を厚くすることにより、ボルトの取付強度を大きくすることが可能となる。また、溶接の場合も、圧入によりボルトを固定した場合と強度は略同じであることがわかる。しかしながら、溶接による場合は、表面の亜鉛メッキが溶接時に剥がれ、ボルト及び、サヤの地肌が露出した状態となった。このことから、圧入によって取付たボルトはサヤ表面および、ボルト表面のメッキを傷つけることがないことから、雨水による錆を抑制することができることがわかる。 【0038】 【発明の効果】請求項1の発明によると、すり板底面が平面となっているため、摩耗による強度の低下をすくなくすることが可能となり、すり板の交換時期をサヤ体のフランジ部高さとすることが可能となる。そのため、従来よりも摩耗しろを大きく取ることが可能となる。さらには、すり板とサヤ体との接触面積が大きくなり、そのため、接触抵抗が小さくなり、安定した集電作用を得ることができるとともに、サヤ体とすり板の間に隙間がないため、雨水等の侵入による舟体取付ボルトの錆の発生を抑制できるなど、すり板の寿命を延命する効果が得られる。 【0039】請求項2の発明によると、すり板自身の強度を大幅に向上させることが可能となり、請求項1の発明の効果同様、すり板の寿命を延ばす効果を得ることができる。 【0040】請求項3乃至5の発明によると、サヤと舟体取付ボルトを一体化してサヤ体を形成し、サヤ体とすり板との当接面を平面とすることで、すり板底面の中央部の溝を形成する必要がなくなり、すり板の強度が大幅に向上する効果が得られる。また、摩耗しろが従来のものに比べ大きくとれ、摩耗しろの限界が外部から明確に判断することができる。さらには、圧入によって、舟体取付ボルトを取付るため、ボルト及びサヤの表面の亜鉛メッキ等のメッキが剥がれることがないため、錆に強く、サヤ体の耐用時間を長くできる効果を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000173784 【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所 【識別番号】000006264 【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社 【識別番号】000003115 【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社 【識別番号】000222842 【氏名又は名称】東洋炭素株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月1日(1999.6.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089196 【弁理士】 【氏名又は名称】梶 良之
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| 【公開番号】 |
特開2000−350304(P2000−350304A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月15日(2000.12.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−153375 |
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