トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 ハイブリッド型車両及びその制御方法
【発明者】 【氏名】山口 幸蔵

【要約】 【課題】発電機モータが故障したときの航続距離を長くする。

【解決手段】エンジン11と、発電機モータ16と、駆動輪81と連結された駆動モータ25と、差動歯車装置と、前記発電機モータ16が故障したかどうかを判断する故障判断手段82と、前記差動歯車装置の第3の歯車要素の回転数を検出する回転数検出手段と、係脱自在に配設された係合部材と、発電機モータ16が故障し、かつ、第3の歯車要素の回転数が設定値以上である場合に、前記係合部材を係合させて前記エンジン11を始動し、前記エンジン11及び駆動モータ25を駆動することによってハイブリッド型車両を走行させるフェールモード走行処理手段84とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと、発電機モータと、駆動輪と連結された駆動モータと、第1の歯車要素が前記エンジンと、第2の歯車要素が前記発電機モータと、第3の歯車要素が前記駆動輪とそれぞれ連結された差動歯車装置と、前記発電機モータが故障したかどうかを判断する故障判断手段と、前記第3の歯車要素の回転数を検出する回転数検出手段と、係脱自在に配設された係合部材と、前記発電機モータが故障し、かつ、第3の歯車要素の回転数が設定値以上である場合に、前記係合部材を係合させて前記エンジンを始動し、前記エンジン及び駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させ、第3の歯車要素の回転数が設定値より小さい場合に、前記係合部材を解放して前記駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させるフェールモード走行処理手段とを有することを特徴とするハイブリッド型車両。
【請求項2】 エンジンと、駆動輪と連結された駆動モータと、第1、第2の回転子を備え、第1の回転子が前記エンジンと、第2の回転子が駆動輪とそれぞれ連結された発電機モータと、前記発電機モータが故障したかどうかを判断する故障判断手段と、前記第2の回転子の回転数を検出する回転数検出手段と、係脱自在に配設された係合部材と、前記発電機モータが故障し、かつ、第2の回転子の回転数が設定値以上である場合に、前記係合部材を係合させて前記エンジンを始動し、前記エンジン及び駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させ、前記発電機モータが故障し、かつ、第2の回転子の回転数が設定値より小さい場合に、前記係合部材を解放して前記駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させるフェールモード走行処理手段とを有することを特徴とするハイブリッド型車両。
【請求項3】 前記第3の歯車要素の回転数は車速であり、前記駆動モータを駆動するための目標駆動モータトルクはアクセル開度に対応させて設定され、前記エンジンを駆動するための目標エンジントルクは車速に対応させて設定される請求項1又は2に記載のハイブリッド型車両。
【請求項4】 エンジン、発電機モータ、駆動輪と連結された駆動モータ、第1の歯車要素が前記エンジンと、第2の歯車要素が前記発電機モータと、第3の歯車要素が前記駆動輪とそれぞれ連結された差動歯車装置、及び係脱自在に配設された係合部材を備えたハイブリッド型車両の制御方法において、前記発電機モータが故障したかどうかを判断し、前記第3の歯車要素の回転数を検出し、前記発電機モータが故障し、かつ、第3の歯車要素の回転数が設定値以上である場合に、前記係合部材を係合させて前記エンジンを始動し、前記エンジン及び駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させ、第3の歯車要素の回転数が設定値より小さい場合に、前記係合部材を解放して前記駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させることを特徴とするハイブリッド型車両の制御方法。
【請求項5】 エンジン、発電機モータ、駆動輪と連結された駆動モータ、第1の歯車要素が前記エンジンと、第2の歯車要素が前記発電機モータと、第3の歯車要素が前記駆動輪とそれぞれ連結された差動歯車装置、及び係脱自在に配設されたブレーキを備えたハイブリッド型車両の制御方法において、前記発電機モータが故障したかどうかを判断し、車速を検出し、前記発電機モータが故障し、かつ、車速が設定値以上である場合に、前記ブレーキを係合させて前記エンジンを始動し、前記エンジン及び駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させ、前記駆動モータを駆動するための目標駆動モータトルクをアクセル開度に対応させて設定し、前記エンジンを駆動するための目標エンジントルクを車速に対応させて設定することを特徴とするハイブリッド型車両の制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハイブリッド型車両及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、エンジンと駆動モータとが連結され、発進時には駆動モータだけを駆動することによってモータ駆動モードで走行させ、その後、駆動モータ及びエンジンを駆動することによってモータ・エンジン駆動モードで走行させるようにしたハイブリッド型車両が提供されている。そして、該ハイブリッド型車両においては、モータ駆動モードからモータ・エンジン駆動モードに移行する場合に、発電機モータが駆動され、エンジンが点火され、始動されるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来のハイブリッド型車両においては、発電機モータが故障した場合エンジンを始動することができなくなるので、モータ駆動モードのままの状態でハイブリッド型車両を走行させることになる。したがって、駆動モータを駆動するのに伴って急速にバッテリ残量がなくなるので、航続距離が短くなってしまう。
【0004】特に、この種のハイブリッド型車両においては、エンジンの燃費を良くするために小型のバッテリが搭載され、バッテリの容量が小さい。したがって、航続距離が一層短くなってしまう。
【0005】本発明は、前記従来のハイブリッド型車両の問題点を解決して、発電機モータが故障したときの航続距離を長くすることができるハイブリッド型車両を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのために、本発明のハイブリッド型車両においては、エンジンと、発電機モータと、駆動輪と連結された駆動モータと、第1の歯車要素が前記エンジンと、第2の歯車要素が前記発電機モータと、第3の歯車要素が前記駆動輪とそれぞれ連結された差動歯車装置と、前記発電機モータが故障したかどうかを判断する故障判断手段と、前記第3の歯車要素の回転数を検出する回転数検出手段と、係脱自在に配設された係合部材と、前記発電機モータが故障し、かつ、第3の歯車要素の回転数が設定値以上である場合に、前記係合部材を係合させて前記エンジンを始動し、前記エンジン及び駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させ、第3の歯車要素の回転数が設定値より小さい場合に、前記係合部材を解放して前記駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させるフェールモード走行処理手段とを有する。
【0007】本発明の他のハイブリッド型車両においては、エンジンと、駆動輪と連結された駆動モータと、第1、第2の回転子を備え、第1の回転子が前記エンジンと、第2の回転子が駆動輪とそれぞれ連結された発電機モータと、前記発電機モータが故障したかどうかを判断する故障判断手段と、前記第2の回転子の回転数を検出する回転数検出手段と、係脱自在に配設された係合部材と、前記発電機モータが故障し、かつ、第2の回転子の回転数が設定値以上である場合に、前記係合部材を係合させて前記エンジンを始動し、前記エンジン及び駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させ、前記発電機モータが故障し、かつ、第2の回転子の回転数が設定値より小さい場合に、前記係合部材を解放して前記駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させるフェールモード走行処理手段とを有する。
【0008】本発明の更に他のハイブリッド型車両においては、さらに、前記第3の歯車要素の回転数は車速であり、前記駆動モータを駆動するための目標駆動モータトルクはアクセル開度に対応させて設定され、前記エンジンを駆動するための目標エンジントルクは車速に対応させて設定される。
【0009】本発明のハイブリッド型車両の制御方法においては、エンジン、発電機モータ、駆動輪と連結された駆動モータ、第1の歯車要素が前記エンジンと、第2の歯車要素が前記発電機モータと、第3の歯車要素が前記駆動輪とそれぞれ連結された差動歯車装置、及び係脱自在に配設された係合部材を備えたハイブリッド型車両に適用される。
【0010】そして、前記発電機モータが故障したかどうかを判断し、前記第3の歯車要素の回転数を検出し、前記発電機モータが故障し、かつ、第3の歯車要素の回転数が設定値以上である場合に、前記係合部材を係合させて前記エンジンを始動し、前記エンジン及び駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させ、第3の歯車要素の回転数が設定値より小さい場合に、前記係合部材を解放して前記駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させる。
【0011】本発明の他のハイブリッド型車両の制御方法においては、エンジン、発電機モータ、駆動輪と連結された駆動モータ、第1の歯車要素が前記エンジンと、第2の歯車要素が前記発電機モータと、第3の歯車要素が前記駆動輪とそれぞれ連結された差動歯車装置、及び係脱自在に配設されたブレーキを備えたハイブリッド型車両に適用される。
【0012】そして、前記発電機モータが故障したかどうかを判断し、車速を検出し、前記発電機モータが故障し、かつ、車速が設定値以上である場合に、前記ブレーキを係合させて前記エンジンを始動し、前記エンジン及び駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させ、前記駆動モータを駆動するための目標駆動モータトルクをアクセル開度に対応させて設定し、前記エンジンを駆動するための目標エンジントルクを車速に対応させて設定する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】図1は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の機能ブロック図である。
【0015】図において、11はエンジン、16は発電機モータ、25は駆動輪81と連結された駆動モータ、13は、第1の歯車要素としてのキャリヤCRが前記エンジン11と、第2の歯車要素としてのサンギヤSが前記発電機モータ16と、第3の歯車要素としてのリングギヤRが前記駆動輪81とそれぞれ連結された差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニット、53は前記リングギヤRの回転数としての車速Vを検出する回転数検出手段としての車速センサ、82は前記発電機モータ16が故障したかどうかを判断する故障判断手段、Bは係脱自在に配設された係合部材としてのブレーキ、84は、前記発電機モータ16が故障し、かつ、車速Vが設定値以上である場合に、前記ブレーキBを係合させて前記エンジン11を始動し、前記エンジン11及び駆動モータ25を駆動することによってハイブリッド型車両を走行させ、車速Vが設定値より小さい場合に、前記ブレーキBを解放して前記駆動モータ25を駆動することによってハイブリッド型車両を走行させるフェールモード走行処理手段である。
【0016】図2は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の駆動装置の概念図である。
【0017】図において、11はエンジン(E/G)、12は該エンジン11の回転が伝達される出力軸、13は該出力軸12を介して伝達されたエンジントルクを分配する差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニット、14は該プラネタリギヤユニット13によって分配されたエンジントルクが出力トルクとして出力される出力軸、15は該出力軸14に固定された第1カウンタドライブギヤ、16は伝達軸17を介して前記プラネタリギヤユニット13と連結された発電機モータ(G)である。
【0018】前記出力軸14は、スリーブ形状を有し、前記出力軸12を包囲して配設される。また、前記第1カウンタドライブギヤ15はプラネタリギヤユニット13よりエンジン11側に配設される。
【0019】前記プラネタリギヤユニット13は、ピニオンP、該ピニオンPを回転自在に支持する第1の歯車要素としてのキャリヤCR、前記ピニオンPと噛(し)合する第2の歯車要素としてのサンギヤS、及び前記ピニオンPと噛合する第3の歯車要素としてのリングギヤRから成る。また、前記キャリヤCRは出力軸12を介してエンジン11と、前記サンギヤSは前記伝達軸17を介して発電機モータ16と、リングギヤRは前記出力軸14を介して駆動輪81(図1)とそれぞれ連結される。
【0020】さらに、前記発電機モータ16は、前記伝達軸17に固定されて回転自在に配設されたロータ21、及び該ロータ21の周囲に配設されたステータ22から成り、該ステータ22はコイル23を備える。前記発電機モータ16は、伝達軸17を介して伝達される回転によって電力を発生させる。前記コイル23は図示されないバッテリに接続され、該バッテリに電流が供給され充電される。また、前記ロータ21には、係合部材としてのブレーキBがケーシング19と係脱自在に配設され、前記ブレーキBを係合させることによってロータ21を停止させることができるようになっている。
【0021】25は前記駆動輪81と連結された駆動モータ(M)、26は該駆動モータ25の回転が出力される出力軸、27は該出力軸26に固定された第2カウンタドライブギヤである。前記駆動モータ25は、前記出力軸26に固定されて回転自在に配設されたロータ37、及び該ロータ37の周囲に配設されたステータ38から成り、該ステータ38はコイル39を備える。該コイル39は、前記バッテリに接続され、該バッテリから電流が供給されるようになっている。そして、前記駆動モータ25は、コイル39に供給される電流によって駆動モータトルクを発生させる。また、ハイブリッド型車両の減速状態において、前記駆動モータ25は、前記駆動輪81からの回転を受けて回生電流を発生させ、該回生電流をバッテリに供給して充電する。
【0022】前記駆動輪81をエンジン11の回転と同じ方向に回転させるためにカウンタシャフト31が配設され、該カウンタシャフト31にカウンタドリブンギヤ32が固定される。そして、該カウンタドリブンギヤ32と前記第1カウンタドライブギヤ15とが、また、カウンタドリブンギヤ32と前記第2カウンタドライブギヤ27とがそれぞれ噛合させられ、前記第1カウンタドライブギヤ15の回転及び第2カウンタドライブギヤ27の回転が反転されてカウンタドリブンギヤ32に伝達されるようになっている。
【0023】さらに、前記カウンタシャフト31には、前記カウンタドリブンギヤ32より歯数の少ないデフピニオンギヤ33が固定される。そして、デフリングギヤ35が配設され、該デフリングギヤ35と前記デフピニオンギヤ33とが噛合させられる。また、前記デフリングギヤ35にディファレンシャル装置36が固定され、前記デフリングギヤ35に伝達された回転が、ディファレンシャル装置36によって分配され、駆動輪81に伝達される。
【0024】このように、エンジン11によって発生させられた回転をカウンタドリブンギヤ32に伝達することができるだけでなく、駆動モータ25によって発生させられた回転もカウンタドリブンギヤ32に伝達することができる。したがって、ハイブリッド型車両を、発進時には駆動モータ25だけを駆動することによってモータ駆動モードで走行させ、その後、駆動モータ25及びエンジン11を駆動することによってモータ・エンジン駆動モードで走行させることができる。
【0025】次に、前記構成の駆動装置の動作について説明する。
【0026】図3は本発明の第1の実施の形態におけるプラネタリギヤユニットの作動説明図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるモータ駆動モード時の速度線図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるモータ・エンジン駆動モード時の速度線図である。
【0027】プラネタリギヤユニット13(図2)においては、図3に示されるように、キャリヤCRがエンジン11と、サンギヤSが発電機モータ16と、リングギヤRが出力軸14を介して駆動輪81(図1)とそれぞれ連結され、リングギヤRの歯数がサンギヤSの歯数の2倍にされる。したがって、エンジン11によって発生されるエンジントルクをTEとし、駆動輪81で必要とされ、プラネタリギヤユニット13から出力軸14に出力される出力トルクをTOUTとし、発電機モータ16によって発生させられる発電機モータトルクをTGとすると、前記エンジントルクTE、出力トルクTOUT及び発電機モータトルクTGは、TE:TOUT:TG=3:2:1の関係になり、互いに反力を受け合う。
【0028】そして、発進時においては、モータ駆動モードが選択されて駆動モータ25だけが駆動される。このとき、リングギヤRが駆動モータ25の回転を受けて正方向に回転させられるとともに、キャリヤCRが停止させられるので、サンギヤSが逆方向にフリー状態で回転させられる。したがって、図4に示されるように、出力軸14の出力回転数NOUTは正の値を採り、エンジン回転数NEは0になり、発電機モータ回転数NGは負の値を採る。そして、エンジン回転数NEが0であるので、エンジントルクTEは発生させられず、リングギヤR、キャリヤCR及びサンギヤSにトルクは加わらない。したがって、プラネタリギヤユニット13において、出力トルクTOUT及び発電機モータトルクTGは、いずれも発生させられない。
【0029】次に、通常モード走行時においては、モータ・エンジン駆動モードが選択されて駆動モータ25及びエンジン11が駆動される。したがって、リングギヤR、キャリヤCR及びサンギヤSはいずれも正方向に回転させられ、図5に示されるように、出力回転数NOUT、エンジン回転数NE及び発電機モータ回転数NGは、いずれも正の値を採る。そして、エンジントルクTEが、キャリヤCRに入力され、第1カウンタドライブギヤ15及び発電機モータ16の反力によって受けられる。その結果、リングギヤRから出力軸14に出力トルクTOUTが出力され、サンギヤSから伝達軸17に発電機モータトルクTGが出力される。
【0030】次に、前記構成のハイブリッド型車両の制御回路について説明する。
【0031】図6は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の制御ブロック図である。
【0032】図において、11はエンジン、16は発電機モータ、25は駆動モータ、43はバッテリである。そして、46は前記エンジン11の制御を行うエンジン制御装置であり、該エンジン制御装置46は、エンジン回転数センサ56によって検出されたエンジン回転数NEを読み込み、スロットル開度θ等の指示信号をエンジン11に送る。47は前記発電機モータ16の制御を行う発電機モータ制御装置であり、該発電機モータ制御装置47は、電流指令IGを算出し、該電流指令IGを発電機モータ16に送り、発電機モータ16を駆動するとともに、故障判断手段82(図1)によって発電機モータ16が故障したかどうかを判断し、発電機モータ16が故障した場合に、フェール信号fを車両制御装置51に送る。49は前記駆動モータ25の制御を行う駆動モータ制御装置であり、該駆動モータ制御装置49は、駆動モータ回転数センサ58によって検出された駆動モータ回転数NMに基づいて駆動モータトルクTMを算出するとともに、該駆動モータトルクTM及び車両制御装置51から送られた駆動モータトルクTMの目標値、すなわち、第1、第2の目標駆動モータトルクTM* 1、TM* 2に基づいて電流指令IMを算出し、該電流指令IMを駆動モータ25に送る。
【0033】また、51はハイブリッド型車両の全体の制御を行う車両制御装置であり、該車両制御装置51は、図示されないCPU、記憶装置等から成り、バッテリ状態検出装置44によって検出された前記バッテリ43の状態、すなわち、バッテリ残量SOC、アクセル開度検出手段としてのアクセルスイッチ55によって検出されたアクセルペダル52の踏込量、すなわち、アクセル開度α、車速センサ53によって検出された車速情報としての車速V、前記発電機モータ制御装置47によって算出され検出された発電機モータトルクTG、及び発電機モータ回転数センサ57によって検出された発電機モータ回転数NGを読み込み、前記エンジン制御装置46にエンジン制御信号を送ってエンジン11のオン・オフを設定したり、前記発電機モータ制御装置47に発電機モータ回転数NGの目標値、すなわち、目標発電機モータ回転数NG* を設定したり、前記駆動モータ制御装置49に前記第1、第2の目標駆動モータトルクTM* 1、TM* 2及び第1、第2の駆動モータトルク補正値δTM1、δTM2を設定したり、発電機モータ16用のブレーキBを係脱するためにブレーキアクチュエータ62を駆動したりする。
【0034】なお、本実施の形態において、リングギヤRの回転数として、車速Vを検出するようになっているが、出力軸14(図2)の出力回転数NOUT、駆動輪81等の車輪の回転数等を検出することもできる。
【0035】次に、前記構成のハイブリッド型車両の動作について説明する。
【0036】図7は本発明の第1の実施の形態におけるハイブリッド型車両の動作を示すメインフローチャートである。
【0037】まず、車両制御装置51(図6)内の図示されない通常モード走行処理手段は、通常モード走行処理を行い、ハイブリッド型車両を通常モードで走行させる。そして、発電機モータ制御装置47内の故障判断手段82(図1)は、後述されるように前記通常モード走行処理において算出される目標発電機モータ回転数NG* 、及び発電機モータ回転数センサ57によって検出された発電機モータ回転数NGを読み込み、前記目標発電機モータ回転数NG* 及び発電機モータ回転数NGに基づいて発電機モータ16が故障したかどうかを判断し、発電機モータ16が故障した場合、フェール信号fを車両制御装置51に送る。該車両制御装置51は、フェール信号fを受けると、フェールモード走行への移行を表示するとともに、前記フェールモード走行処理手段84によってフェールモード走行処理を行う。
【0038】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 通常モード走行処理を行う。
ステップS2 目標発電機モータ回転数NG* 及び発電機モータ回転数NGを読み込む。
ステップS3 発電機モータ16が故障したかどうかを判断する。発電機モータ16が故障した場合はステップS4に進み、故障していない場合はステップS1に戻る。
ステップS4 フェールモード走行への移行を表示する。
ステップS5 フェールモード走行処理を行う。
【0039】次に、ステップS1の通常モード走行処理のサブルーチンについて説明する。
【0040】図8は本発明の第1の実施の形態における通常モード走行処理のサブルーチンを示す図、図9は本発明の第1の実施の形態における第1のモード選択図、図10は本発明の第1の実施の形態における目標駆動モータトルクマップを示す図、図11は本発明の第1の実施の形態における目標発電機モータ回転数マップを示す図、図12は本発明の第1の実施の形態における発電機モータトルクマップを示す図、図13は本発明の第1の実施の形態におけるスロットル開度マップを示す図である。なお、図9において、横軸に車速Vを、縦軸にアクセル開度αを、図10において、横軸に車速Vを、縦軸に目標駆動モータトルクTM* を、図11において、横軸にアクセル開度αを、縦軸に目標発電機モータ回転数NG* を、図12において、横軸に発電機モータ回転数NGを、縦軸に発電機モータトルクTGを、図13において、横軸にエンジン回転数NEを、縦軸にスロットル開度θを採ってある。
【0041】まず、車両制御装置51(図6)内の図示されない始動条件成立判断手段は、アクセルスイッチ55によって検出されたアクセル開度α、車速センサ53によって検出された車速Vを読み込み、エンジン11を始動する始動条件が成立したかどうか、すなわち、車速Vがあらかじめ設定されたエンジン始動車速VE以上であるかどうかを判断する。該エンジン始動車速VEは、アクセル開度α及びバッテリ残量SOC等に基づいて設定される。なお、本実施の形態において、前記始動条件は、車速V、アクセル開度α及びバッテリ残量SOCに基づいて設定されるが、車速V、アクセル開度α及びバッテリ残量SOCのうちの少なくとも一つに基づいて設定することもできる。
【0042】そして、車速Vが前記エンジン始動車速VEより低い場合、車両制御装置51内の図示されないモード選択手段は、図9に示されるようにモータ駆動モードを選択し、エンジン制御装置46にエンジン制御信号を送り、エンジン11のオフを設定して駆動モータ25だけを駆動し、モータ駆動モードでハイブリッド型車両を走行させる。
【0043】次に、車両制御装置51内の図示されない第1の目標駆動モータトルク算出手段は、図10に示される目標駆動モータトルクマップを参照し、アクセル開度α及び車速Vに対応する第1の目標駆動モータトルクTM* 1を算出し、該第1の目標駆動モータトルクTM* 1を駆動モータ制御装置49に送る。該駆動モータ制御装置49内の図示されない電流指令発生手段は、駆動モータ回転数センサ58によって検出された駆動モータ回転数NMに基づいて駆動モータトルクTMを算出し、該駆動モータトルクTMと前記第1の目標駆動モータトルクTM* 1との偏差が0になるように、電流指令IMを発生させ、該電流指令IMを駆動モータ25に送り、該駆動モータ25を駆動する。
【0044】一方、車速Vが前記エンジン始動車速VE以上である場合、前記モード選択手段は、図9に示されるようにモータ・エンジン駆動モードを選択し、エンジン制御装置46にエンジン制御信号を送り、図示されない始動手段によってエンジン制御装置46を作動させ、エンジン11のオンを設定し、エンジン11、発電機モータ16及び駆動モータ25を駆動してモータ・エンジン駆動モードでハイブリッド型車両を走行させる。
【0045】そして、車両制御装置51は、発電機モータ回転数センサ57によって検出された発電機モータ回転数NG及びバッテリ残量SOCを読み込む。また、車両制御装置51内の図示されない目標発電機モータ回転数検出手段は、図11に示される目標発電機モータ回転数マップを参照して、前記アクセル開度α及びバッテリ残量SOCに対応する目標発電機モータ回転数NG* を算出する。
【0046】なお、前記目標発電機モータ回転数マップは、バッテリ残量SOCが少なくなるに従って、また、アクセル開度αが大きくなるに従って、目標発電機モータ回転数NG* が大きくなるように設定されている。すなわち、バッテリ残量SOCが少なくなると、発電量を多くしてバッテリ43を回復させ、アクセル開度αが大きくなると、バッテリ43の消耗が激しくなるので、発電量を多くしてバッテリ残量SOCが少なくなるのを防止するようにしている。
【0047】そして、発電機モータ16が低速で回転する場合は、発電機モータ16の効率が低下するので、目標発電機モータ回転数NG* が1500〔rpm〕以下になると、ブレーキBが係合させられて発電機モータ16が停止させられる。この場合、前記モード選択手段は、図9に示されるようにパラレルモードを選択し、発電機モータ16を停止させ、駆動モータ25及びエンジン11を駆動した状態で、パラレルモードでハイブリッド型車両を走行させる。
【0048】ところで、前記駆動モータ25が駆動されているときに、前記エンジン11及び発電機モータ16のうちの少なくとも一方が駆動されると、エンジントルクTE及び発電機モータトルクTGのうちの少なくとも一方がリングギヤトルクTRとしてリングギヤRから出力される。そして、前記リングギヤトルクTRが駆動輪81(図1)に伝達されると、図10に示される目標駆動モータトルクマップを参照することによって算出された第1の目標駆動モータトルクTM* 1にリングギヤトルクTRが加わることになり、アクセル開度αを要求している運転者の走行フィーリングを低下させてしまう。そこで、リングギヤトルクTRの分だけ駆動モータトルクTMを補正するようにしている。
【0049】前記エンジントルクTEを求めるのは困難であるのに対して、発電機モータトルクTGは、発電機モータ回転数NGに基づいて算出することができるので容易に求めることができる。そこで、前記発電機モータ制御装置47内の図示されない発電機モータトルク算出手段は、図12に示される発電機モータトルクマップを参照し、発電機モータ回転数NGに対応する発電機モータトルクTGを算出して、該発電機モータトルクTGを車両制御装置51に送る。そして、該車両制御装置51内の図示されない第1の駆動モータトルク補正値算出手段は、前記発電機モータ制御装置47から送られた発電機モータトルクTG、及びサンギヤSの歯数に対する第2カウンタドライブギヤ27(図2)の歯数の比、すなわち、発電機モータ16と駆動モータ25との間のギヤ比γ1に基づいて第1の駆動モータトルク補正値δTM1を算出し、該第1の駆動モータトルク補正値δTM1を前記第1の目標駆動モータトルクTM* 1と共に駆動モータ制御装置49に送る。
【0050】この場合、前記第1の駆動モータトルク補正値δTM1は次のように算出される。
【0051】すなわち、発電機モータ16のイナーシャをInGとし、発電機モータ16の角加速度(回転変化率)をαGとしたとき、サンギヤSに加わるサンギヤトルクTSは、TS=TG+InG・αGになる。なお、前記角加速度αGは極めて小さいので、サンギヤトルクTSと発電機モータトルクTGとを近似させて、TS=TGにすることができる。そして、リングギヤRの歯数がサンギヤSの歯数の2倍である場合、リングギヤトルクTRはサンギヤトルクTSの2倍になる。
【0052】また、カウンタギヤ比、すなわち、カウンタドリブンギヤ32の歯数に対する第2カウンタドライブギヤ27の歯数の比をiとすると、第1の駆動モータトルク補正値δTM1は、
になる。なお、前記ギヤ比γ1は、γ1=2・iであるので、第1の駆動モータトルク補正値δTM1は、δTM1=γ1・TGになる。
【0053】続いて、前記第1の目標駆動モータトルク算出手段は、図10に示される目標駆動モータトルクマップを参照し、トルク変動を考慮していない場合の、アクセル開度α及び車速Vに対応する第1の目標駆動モータトルクTM* 1を算出する。そして、前述されたように、車両制御装置51から第1の駆動モータトルク補正値δTM1及び第1の目標駆動モータトルクTM* 1が送られてくると、前記駆動モータ制御装置49内の図示されない駆動モータ指令値算出手段は、前記第1の目標駆動モータトルクTM* 1から第1の駆動モータトルク補正値δTM1を減算して駆動モータトルク指令値STM*STM* =TM* 1−δTM1を算出する。
【0054】続いて、前記電流指令発生手段は、前記駆動モータトルクTMと前記駆動モータトルク指令値STM* との偏差ΔTMが0になるように、電流指令IMを発生させ、該電流指令IMを駆動モータ25に送って駆動モータ25を駆動する。
【0055】一方、発電機モータ制御装置47内の図示されない電流指令発生手段は、発電機モータ回転数センサ57によって検出された発電機モータ回転数NGと前記目標発電機モータ回転数NG* との偏差ΔNGが0になるように、電流指令IGを発生させ、該電流指令IGを発電機モータ16に送って発電機モータ16を駆動する。
【0056】このようにして、前記始動手段によって発電機モータ16が駆動されると、発電機モータ回転数NGが制限され、発電機モータ16の回転の方向が負から正に変わるが、それに伴ってエンジン11が回転させられ、次第にエンジン回転数NEが高くなる。
【0057】そこで、エンジン制御装置46は、前記エンジン回転数センサ56によって検出されたエンジン回転数NEを読み込み、前記車両制御装置51に送る。そして、前記始動手段は、エンジン回転数NEが、エンジン11を点火することが可能な点火回転数NE* に到達しているかどうか、すなわち、エンジン回転数NEが点火回転数NE* より高いかどうかを判断し、エンジン回転数NEが点火回転数NE* より高い場合、エンジン11を点火して始動する。
【0058】続いて、エンジン制御装置46は、目標発電機モータ回転数NG* からプラネタリギヤユニット13のギヤ比を考慮して目標エンジン回転数を算出する。そして、エンジン制御装置46は、図13に示されるスロットル開度マップを参照し、エンジン回転数NEが目標エンジン回転数になるように、スロットル開度θでエンジン11を駆動する。前記スロットル開度マップは、燃費が最良になるようにあらかじめ設定される。
【0059】なお、本実施の形態において、車速Vがエンジン始動車速VE以上である場合、車両制御装置51は、モータ・エンジン駆動モードを選択するようになっているが、駆動輪81で必要とされる必要エネルギーE1(出力トルクTOUT×駆動輪81の回転数)に基づいて、モータ・エンジン駆動モードを選択することもできる。その場合、前記車両制御装置51内の図示されない必要エネルギー算出手段は、図示されない必要エネルギーマップを参照し、前記アクセル開度α及び車速Vに対応する必要エネルギーE1を算出する。そして、前記車両制御装置51内の図示されない充電要求エネルギー算出手段は、前記バッテリ残量SOCを読み込み、図示されない充電要求エネルギーマップを参照して、バッテリ残量SOCに対応して必要になる充電要求エネルギーを算出する。次に、前記始動条件成立判断手段は、前記必要エネルギーE1、充電要求エネルギー、及びシステムにおけるエネルギー損失を考慮して、最終的に駆動輪81で必要になる必要エネルギーE2を算出し、該必要エネルギーE2があらかじめ設定された第1の閾(しきい)値ER1より大きいかどうかを判断し、必要エネルギーE2が第1の閾値ER1より大きい場合に始動条件が成立したと判断する。
【0060】また、本実施の形態においては、前記発電機モータ制御装置47から送られた発電機モータトルクTGに基づいて第1の駆動モータトルク補正値δTM1を算出し、該第1の駆動モータトルク補正値δTM1に基づいて駆動モータトルク指令値STM* を算出し、電流指令IMを発生させるようになっているが、発電機モータトルクTGに基づいて、発電機モータ16を駆動するのに伴ってエンジン11から出力されて駆動輪81に伝達されるエンジントルクTEを算出するとともに、前記必要エネルギーE1を駆動輪81の回転数で除算して出力トルクTOUTを算出し、該出力トルクTOUTから前記エンジントルクTEを減算することによって第1の目標駆動モータトルクTM* 1を算出することもできる。なお、この場合、第1の目標駆動モータトルクTM* 1を駆動モータトルク指令値STM* にすることができる。
【0061】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1−1 アクセル開度α及び車速Vを読み込む。
ステップS1−2 車速Vがエンジン始動車速VE以上であるかどうかを判断する。車速Vがエンジン始動車速VE以上である場合はステップS1−4に、車速Vがエンジン始動車速VEより低い場合はステップS1−3に進む。
ステップS1−3 モータ駆動モードを選択し、リターンする。
ステップS1−4 エンジン制御装置46を作動させる。
ステップS1−5 発電機モータ回転数NG及びバッテリ残量SOCを読み込む。
ステップS1−6 目標発電機モータ回転数NG* を算出する。
ステップS1−7 第1の駆動モータトルク補正値δTM1を算出する。
ステップS1−8 発電機モータ16及び駆動モータ25を駆動する。
ステップS1−9 エンジン回転数NEを読み込む。
ステップS1−10 エンジン回転数NEが点火回転数NE* より高いかどうかを判断する。エンジン回転数NEが点火回転数NE* より高い場合はステップS1−11に進み、エンジン回転数NEが点火回転数NE* 以下である場合はリターンする。
ステップS1−11 エンジン11を点火する。
【0062】ところで、前記通常モード走行処理においては、図11に示される目標発電機モータ回転数マップを参照することによって、目標発電機モータ回転数NG* が算出されるようになっている。そこで、前述されたように、前記故障判断手段82は、前記目標発電機モータ回転数NG* 及び発電機モータ回転数NGを読み込み、前記目標発電機モータ回転数NG* と発電機モータ回転数NGとの差ΔNGを算出し、該差ΔNGがあらかじめ設定された閾値NGTHより大きいかどうかを判断し、差ΔNGが閾値NGTHより大きい場合に、発電機モータ16が故障したと判断する。また、前記発電機モータ16に図示されない温度センサを配設し、該温度センサによって検出された発電機モータ16の温度TEGがあらかじめ設定された閾値TEGTHより大きいかどうかを判断し、温度TEGが閾値TEGTHより大きい場合に、発電機モータ16が故障したと判断することもできる。続いて、ステップS5のフェールモード走行処理のサブルーチンについて説明する。
【0063】図14は本発明の第1の実施の形態におけるフェールモード走行処理のサブルーチンを示す図である。
【0064】まず、前記フェールモード走行処理手段84(図1)は、アクセル開度α及び車速Vを読み込み、車速Vがパラレル走行車速V* 以上であるかどうかを判断し、車速Vがパラレル走行車速V* 以上である場合、フェールモードパラレル走行処理を行い、車速Vがパラレル走行車速V* より低い場合、発電機モータ16用のブレーキBが係合しているかどうかを判断する。そして、該ブレーキBが係合している場合、前記フェールモード走行処理手段84はブレーキBを解放し、駆動モータ25だけを駆動してモータ駆動モードでハイブリッド型車両を走行させる。なお、前記パラレル走行車速V* は、アクセル開度α及びバッテリ残量SOC等に基づいて設定される。
【0065】本実施の形態において、前記フェールモード走行処理手段84は、車速Vがパラレル走行車速V* 以上であるかどうかを判断し、車速Vがパラレル走行車速V* 以上である場合にフェールモードパラレル走行処理を行うようになっているが、車速Vがパラレル走行車速V* 以上であることは、ブレーキBを係合させたときの車速Vに対応するエンジン回転数NEがアイドリング回転数以上であり、駆動輪81で必要とされる必要エネルギーE2が設定値以上であることを意味する。そこで、前記アクセル開度α及び車速Vに対応する必要エネルギーE1を算出し、該必要エネルギーE1に基づいてフェールモードパラレル走行処理を行うこともできる。その場合、フェールモード走行処理手段は、必要エネルギーE1があらかじめ設定された第2の閾値ER2より大きいかどうかを判断し、必要エネルギーE1が第2の閾値ER2より大きい場合にフェールモードパラレル走行処理を行う。なお、前記必要エネルギーE1は車速V、アクセル開度α、及びバッテリ残量SOCのうちの少なくとも一つに基づいて決定される。また、アイドリング回転数は、エンジン11を自立運転させたときの最小のエンジン回転数NE、又は自立運転を安定させ、維持することができるエンジン回転数NEである。そして、前述されたように、前記エンジン回転数NEがアイドリング回転数以上になるように、車速Vが高くなるか、又は必要エネルギーE1が大きくなった場合に、発電機モータ16のブレーキBが係合させられる。
【0066】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS5−1 アクセル開度α及び車速Vを読み込む。
ステップS5−2 車速Vがパラレル走行車速V* 以上であるかどうかを判断する。車速Vがパラレル走行車速V* 以上である場合はステップS5−3に、車速Vがパラレル走行車速V* より低い場合はステップS5−4に進む。
ステップS5−3 フェールモードパラレル走行処理を行う。
ステップS5−4 ブレーキBが係合しているかどうかを判断する。ブレーキBが係合している場合はステップS5−5に、係合していない場合はステップS5−6に進む。
ステップS5−5 ブレーキBを解放する。
ステップS5−6 モータ駆動モードでハイブリッド型車両を走行させる。
【0067】次に、ステップS5−3のフェールモードパラレル走行処理のサブルーチンについて説明する。
【0068】図15は本発明の第1の実施の形態におけるフェールモードパラレル走行処理のサブルーチンを示す図、図16は本発明の第1の実施の形態における第2のモード選択図、図17は本発明の第1の実施の形態におけるフェールモードパラレル走行時の速度線図、図18は本発明の第1の実施の形態における目標エンジントルクマップを示す図である。なお、図16において、横軸に車速Vを、縦軸にアクセル開度αを、図18において、横軸に車速Vを、縦軸に目標エンジントルクTE* を採ってある。
【0069】まず、車両制御装置51(図6)内の図示されないフェールモードパラレル走行処理手段は、アクセル開度α及び車速Vに基づいて出力トルクTOUTを算出した後、ブレーキBが解放されているかどうかを判断する。そして、ブレーキBが解放されている場合、前記フェールモードパラレル走行処理手段内の図示されない始動手段は、ブレーキBを係合させるとともに、エンジン11を点火して始動し、図16に示されるようにパラレルモードでハイブリッド型車両を走行させる。この場合、図17に示されるように、発電機モータ回転数NGは0になり、エンジン回転数NEは正の値を採る。
【0070】ところで、前記エンジン11が始動されるのに伴って、ハイブリッド型車両を走行させるために必要な出力トルクTOUTの一部がエンジン11を始動するために使用され、出力軸14(図2)に減速トルクTBRが発生してしまう。そこで、減速トルクTBR分だけ駆動モータトルクTMを補正するようにしている。
【0071】この場合、発電機モータ16が故障しているので、発電機モータトルクTGを算出することはできない。そこで、車両制御装置51内の図示されない第2の駆動モータトルク補正値算出手段は、ピニオンPの歯数に対する第2カウンタドライブギヤ27の歯数の比、すなわち、エンジン11と駆動モータ25との間のギヤ比γ2に基づいて第2の駆動モータトルク補正値δTM2を算出し、該第2の駆動モータトルク補正値δTM2を前記第2の目標駆動モータトルクTM* 2と共に駆動モータ制御装置49に送る。
【0072】この場合、前記第2の駆動モータトルク補正値δTM2は次のように算出される。
【0073】すなわち、エンジン11のイナーシャをInEとし、ブレーキBの係合に伴ってエンジン回転数NEが変化する際の角加速度をαBEとし、エンジンブレーキトルクをTELとしたとき、減速トルクTBRは、TBR=γ2・TEL+γ2・InE・αBEになる。
【0074】そして、該減速トルクTBR、及びカウンタドリブンギヤ32の歯数に対する第2カウンタドライブギヤ27の歯数の比iに基づいて、前記第2の駆動モータトルク補正値δTM2は、δTM2=TBR・iになる。
【0075】続いて、車両制御装置51内の図示されない目標エンジントルク算出手段は、図18に示される目標エンジントルクマップを参照し、車速Vに対応する目標エンジントルクTE* を算出する。そして、車両制御装置51内の図示されない第2の目標駆動モータトルク算出手段は、出力トルクTOUT及び目標エンジントルクTE* に基づいて、第2の目標駆動モータトルクTM* 2TM* 2=TOUT−TE*を算出する。なお、目標エンジントルクTE* をバッテリ残量SOCに対応させて変化させることができる。例えば、バッテリ残量SOCが少ない場合に目標エンジントルクTE* を低くすると、航続距離を長くすることができる。
【0076】また、前記エンジン制御装置46は、前記車両制御装置51から目標エンジントルクTE* を受けると、目標エンジントルクTE* に対応するエンジン回転数NEを算出し、図13に示されるスロットル開度マップを参照し、エンジン回転数NEに対応するスロットル開度θを算出する。なお、前記スロットル開度マップは、燃費が最良になるようにあらかじめ設定される。
【0077】そして、前述されたように、車両制御装置51から第2の駆動モータトルク補正値δTM2及び第2の目標駆動モータトルクTM* 2が送られてくると、前記駆動モータ指令値算出手段は、前記第2の目標駆動モータトルクTM* 2に基づいて、すなわち、第2の目標駆動モータトルクTM* 2から第2の駆動モータトルク補正値δTM2を減算して、駆動モータトルク指令値STM*STM* =TM* 2−δTM2を算出する。また、前記駆動モータ制御装置49内の電流指令発生手段は、前記駆動モータトルクTMと前記駆動モータトルク指令値STM* との偏差ΔTMが0になるように、駆動モータ25の電流指令IMを発生させる。
【0078】続いて、エンジン制御装置46及び駆動モータ制御装置49はスロットル開度θ及び電流指令IMに基づいてエンジン11及び駆動モータ25を駆動する。このとき、エンジン制御装置46内の図示されないエンジン駆動手段は、エンジントルクTEが目標エンジントルクTE* を達成することができるように、スロットル開度θを制御してエンジン11を駆動する。なお、スロットル開度θを制御してエンジン11を駆動すると、エンジントルクTEが目標エンジントルクTE* になる。
【0079】このように、発電機モータ16が故障したときに、エンジン11を始動し、エンジン11及び駆動モータ25を駆動してパラレルモードでハイブリッド型車両を走行させることができるので、バッテリ残量SOCが急激になくなるのを防止することができる。したがって、航続距離を長くすることができる。
【0080】この場合、前記目標エンジントルクマップにおいて、目標エンジントルクTE* は車速Vだけに対応し、アクセル開度αには対応しない。すなわち、パラレルモードにおいては、アクセル開度αに関係なく、車速Vに対応するエンジントルクTEが発生させられる。したがって、ハイブリッド型車両の走行中に、運転者がアクセルペダル52を踏み込んだり、緩めたりしてアクセル開度αを変更させても、目標エンジントルクTE* がアクセル開度αに対応しないので、エンジントルクTEを安定させることができる。また、アクセル開度αの急激な変化にエンジン11が対応することがないので、排ガス中の有害成分が多くなるのを防止することができる。
【0081】そして、エンジン11を始動してもブレーキBが係合させられているので、発電機モータ16に回転が伝達されることはない。したがって、発電機モータ16が破損するのを防止することができる。
【0082】また、前記第2の目標駆動モータトルクTM* 2は、出力トルクTOUT及び目標エンジントルクTE* に基づいて算出され、前記出力トルクTOUTは、アクセル開度α及び車速Vに基づいて算出される。すなわち、パラレルモードにおいては、アクセル開度αに対応する駆動モータトルクTMが発生させられる。したがって、ハイブリッド型車両の走行中に、駆動力を変更しようとして、運転者がアクセルペダル52を踏み込んだり、緩めたりしてアクセル開度αを変更させると、第2の目標駆動モータトルクTM* 2がアクセル開度αに対応して変化し、駆動モータトルクTMを変化させる。
【0083】また、降坂路を走行中に、アクセルペダル52から足を離した状態、すなわち、アクセルオフの状態で車速Vが高くなると、車速Vに対応するエンジントルクTEが発生させられるが、エンジントルクTEの余剰分は駆動モータ25によって回生される。
【0084】なお、一旦(いったん)エンジン11を始動した場合には、車速Vが低くなっても、エンジン11が停止させられることはなく、アイドルリング状態での駆動が継続される。そして、アイドルリング状態での駆動を継続するために、発電機モータ16のブレーキBが解放される。
【0085】次に、フローチャートについて説明する。
ステップS5−3−1 アクセル開度α及び車速Vに基づいて出力トルクTOUTを算出する。
ステップS5−3−2 ブレーキBが解放されているかどうかを判断する。ブレーキBが解放されている場合はステップS5−3−3に、解放されていない場合はステップS5−3−6に進む。
ステップS5−3−3 ブレーキBを係合させる。
ステップS5−3−4 エンジン11を点火する。
ステップS5−3−5 第2の駆動モータトルク補正値δTM2を算出する。
ステップS5−3−6 目標エンジントルクTE* を算出する。
ステップS5−3−7 出力トルクTOUTから目標エンジントルクTE* を減算することによって第2の目標駆動モータトルクTM* 2を算出する。
ステップS5−3−8 目標エンジントルクTE* からスロットル開度θを算出する。
ステップS5−3−9 駆動モータ25の電流指令IMを発生させる。
ステップS5−3−10 スロットル開度θ及び電流指令IMに基づいてエンジン11及び駆動モータ25を駆動し、リターンする。
【0086】次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。
【0087】図19は本発明の第2の実施の形態におけるハイブリッド型車両の駆動装置の概念図である。
【0088】この場合、発電機モータ16のロータ21にはブレーキBが配設されず、前記ロータ21と差動歯車装置としてのプラネタリギヤユニット13のキャリヤCRとの間に係合部材としてのクラッチC1が配設される。
【0089】そして、発電機モータ16が故障した場合に、フェールモード走行処理が行われ、該フェールモード走行処理において、車速Vがパラレル走行車速V* 以上であるかどうかが判断され、車速Vがパラレル走行車速V* 以上である場合にフェールモードパラレル走行処理が行われる。
【0090】また、フェールモードパラレル走行処理において、前記フェールモード走行処理手段84(図1)は、前記クラッチC1を係合させ、プラネタリギヤユニット13を直結状態にして、駆動モータ25及び駆動輪81からエンジン11に回転を伝達するとともに、エンジン11を点火して始動し、パラレルモードでハイブリッド型車両を走行させる。
【0091】なお、本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、クラッチC1は、リングギヤRの回転をキャリヤCRに伝達することができる構成であればよいので、キャリヤCR、サンギヤS及びリングギヤRのうちの任意の二つの歯車要素を直結すればよい。
【0092】次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0093】図20は本発明の第3の実施の形態におけるハイブリッド型車両の駆動装置の概念図である。
【0094】図において、11はエンジン(E/G)、12は該エンジン11の回転が伝達される出力軸、66は該出力軸12に接続された発電機モータとしての二重回転型発電機(G)、14は該二重回転型発電機66に接続された出力軸、75は該出力軸14に固定されたカウンタドライブギヤである。
【0095】前記二重回転型発電機66は、回転自在に配設された第1の回転子としてのステータ72、該ステータ72の内側において回転自在に配設された第2の回転子としてのロータ71、及び該ロータ71に巻装されたコイル73から成る。この場合、前記ステータ72は図示されないケースに固定されておらず、前記出力軸12を介してエンジン11と連結される。また、ロータ71は出力軸14を介して駆動輪81(図1)と連結されるとともに、係合部材としてのクラッチC2を介してステータ72と連結される。前記二重回転型発電機66は、出力軸12を介して伝達される回転によって電力を発生させる。前記コイル73は、図示されないバッテリに接続され、該バッテリから電流が供給されて充電される。なお、前記クラッチC2を係合させることによってエンジンブレーキを効かせることができる。
【0096】また、25は前記バッテリからの電流を受けて回転を発生させる駆動モータ(M)である。該駆動モータ25は、前記出力軸14に固定され、回転自在に配設されたロータ37、該ロータ37の周囲に配設されたステータ38、及び該ステータ38に巻装されたコイル39から成る。前記駆動モータ25は、コイル39に供給される電流によってトルクを発生させる。そのために、前記コイル39は、前記バッテリに接続され、該バッテリから電流が供給されるようになっている。また、ハイブリッド型車両の減速状態において、前記駆動モータ25は、前記駆動輪81からの回転を受けて回生電流を発生させ、前記バッテリに回生電流を供給して充電する。
【0097】そして、前記エンジン11の回転と同じ方向に前記駆動輪81を回転させるためにカウンタシャフト31が配設され、該カウンタシャフト31にカウンタドリブンギヤ32が固定される。また、該カウンタドリブンギヤ32と前記カウンタドライブギヤ75とが噛合させられ、該カウンタドライブギヤ75の回転が反転されてカウンタドリブンギヤ32に伝達されるようになっている。
【0098】さらに、前記カウンタシャフト31には前記カウンタドリブンギヤ32より歯数の少ないデフピニオンギヤ33が固定される。そして、デフリングギヤ35が配設され、該デフリングギヤ35とデフピニオンギヤ33とが噛合させられる。また、前記デフリングギヤ35にディファレンシャル装置36が固定され、デフリングギヤ35に伝達された回転が前記ディファレンシャル装置36によって分配され、駆動輪81に伝達される。
【0099】この場合、車速センサ53によって検出された車速Vに基づいて、エンジン回転数NEが制御される。この場合も第1の実施の形態と同様の制御を行うことができる。すなわち、低車速領域においては二重回転型発電機66を相対回転数が低い状態でモータとして駆動することができるので、エンジン始動トルクを十分に確保することができる。
【0100】そして、二重回転型発電機66が故障した場合に、フェールモード走行処理が行われ、該フェールモード走行処理において、車速Vがパラレル走行車速V* 以上であるかどうかが判断され、車速Vがパラレル走行車速V* 以上である場合にフェールモードパラレル走行処理が行われる。
【0101】また、該フェールモードパラレル走行処理において、フェールモード走行処理手段84は、クラッチC2を係合させ、二重回転型発電機66を直結状態にして、駆動モータ25及び駆動輪81からエンジン11に回転を伝達するとともに、エンジン11を点火して始動し、パラレルモードでハイブリッド型車両を走行させる。
【0102】なお、エンジン11を始動してもクラッチC2が係合させられているので、ロータ71及びステータ72が相対的に回転することはない。したがって、二重回転型発電機66が破損するのを防止することができる。
【0103】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によれば、ハイブリッド型車両においては、エンジンと、発電機モータと、駆動輪と連結された駆動モータと、第1の歯車要素が前記エンジンと、第2の歯車要素が前記発電機モータと、第3の歯車要素が前記駆動輪とそれぞれ連結された差動歯車装置と、前記発電機モータが故障したかどうかを判断する故障判断手段と、前記第3の歯車要素の回転数を検出する回転数検出手段と、係脱自在に配設された係合部材と、前記発電機モータが故障し、かつ、第3の歯車要素の回転数が設定値以上である場合に、前記係合部材を係合させて前記エンジンを始動し、前記エンジン及び駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させ、第3の歯車要素の回転数が設定値より小さい場合に、前記係合部材を解放して前記駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させるフェールモード走行処理手段とを有する。
【0104】この場合、発電機モータが故障し、かつ、第3の歯車要素の回転数が設定値以上である場合に、前記係合部材を係合させて前記エンジンを始動し、前記エンジン及び駆動モータを駆動することによってハイブリッド型車両を走行させる。
【0105】したがって、バッテリ残量が急激になくなるのを防止することができる。その結果、航続距離を長くすることができる。
【0106】本発明の他のハイブリッド型車両においては、さらに、前記第3の歯車要素の回転数は車速であり、前記駆動モータを駆動するための目標駆動モータトルクはアクセル開度に対応させて設定され、前記エンジンを駆動するための目標エンジントルクは車速に対応させて設定される。
【0107】この場合、ハイブリッド型車両の走行中に、運転者がアクセルペダルを踏み込んだり、緩めたりしてアクセル開度を変更させても、目標エンジントルクがアクセル開度に対応しないので、エンジントルクを安定させることができる。
【出願人】 【識別番号】591261509
【氏名又は名称】株式会社エクォス・リサーチ
【出願日】 平成11年5月24日(1999.5.24)
【代理人】 【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
【公開番号】 特開2000−341804(P2000−341804A)
【公開日】 平成12年12月8日(2000.12.8)
【出願番号】 特願平11−143948