| 【発明の名称】 |
電気自動車の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田端 淳
|
| 【要約】 |
【課題】ブレーキペダルの操作を完全に戻すことなく緩めるだけで車両を前進させることができる電気自動車の制御装置を提供する。
【解決手段】踏込量判定手段96によりブレーキペダル92の踏込量が所定値BS1以内であると判定される場合には、前進トルク出力手段102により、車両の前進が可能な大きさの駆動トルクがモータジェネレータ14から出力させられることから、たとえば渋滞走行では、ブレーキペダル92の踏込量の減少に応じたトルクで車両が駆動させられるので、ブレーキペダル92の操作を完全に戻すことなくブレーキペダル92を緩めてその踏込量を調節するだけで渋滞走行に対応して車両を前進させることができる。したがって、車両の緩やかな前進を頻繁に行う渋滞走行では、一々ブレーキ操作を完全に解除して前進させるという面倒な操作が不要となる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両を駆動するための電動モータとブレーキペダルの操作に従って該車両を停止させるブレーキ装置とを備えた電気自動車の制御装置であって、前記車両のブレーキペダルの踏込量が所定の判断基準値以内であるか否かを判定する踏込量判定手段と、該踏込量判定手段により前記ブレーキペダル踏込量が所定値以内であると判定される場合には、前記車両が前進或いは後進可能な大きさの駆動トルクを前記電動モータから出力させる前進トルク出力手段とを、含むことを特徴とする電気自動車の制御装置。 【請求項2】 路面傾斜に拘らず前記車両を停止状態に維持するために、前記ブレーキペダルの踏込に応答して該車両の制動力を発生させ、前進トルク出力手段により車両の前進或いは後進可能な大きさの駆動トルクが前記電動モータから出力させられた場合には、該車両の制動力を低下させるヒルホールド手段を、さらに含むものである請求項1に記載の電気自動車の制御装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は原動機として電気モータを用いた電気自動車の制御装置に係り、特に、ブレーキペダルの操作を完全に解放しなくて車両を前進或いは後進させ得るようにした技術に関するものである。 【0002】 【従来の技術】たとえば、電気モータを専ら駆動源として利用するために燃料電池や蓄電池を搭載した自動車や、ガスや液体燃料の燃焼で作動するエンジンと電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行用の駆動力源として備えているハイブリッド車両のように、電気モータを原動機として利用した電気自動車が知られている。そして、このような電気自動車では、坂路における停車状態からの再発進時において車両の後退を抑制するために、ブレーキ操作がされておらずしかもアクセルが操作されていない状態において、電気モータからクリープトルクを発生させる技術が提案されている。たとえば、特開平7−184304号公報がそれである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような電気自動車では、渋滞走行時においては、ブレーキ操作を完全に解除しなければ車間距離を調整するために車両を前進させることができず、ブレーキペダルを緩めることだけで車両を前進させ得る従来のトルクコンバータ付自動変速機を備えた車両に比較して、所謂クリープ走行と称されるような車両の緩やかな前進を頻繁に行う渋滞走行では、一々ブレーキ操作を完全に解除して前進させるという面倒な操作を要求されるという欠点があった。 【0004】本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、ブレーキペダルの操作を完全に戻すことなく緩めるだけで車両を前進或いは後進させることができる電気自動車の制御装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、車両を駆動するための電動モータとブレーキペダルの操作に従ってその車両を停止させるブレーキ装置とを備えた電気自動車の制御装置であって、(a) 前記車両のブレーキペダルの踏込量が所定の判断基準値以内であるか否かを判定する踏込量判定手段と、(b) その踏込量判定手段により前記ブレーキペダル踏込量が所定値以内であると判定される場合には、前記車両が前進或いは後進可能な大きさの駆動トルクを前記電動モータから出力させる前進トルク出力手段とを、含むことにある。 【0006】 【発明の効果】このようにすれば、踏込量判定手段により前記ブレーキペダル踏込量が所定値以内であると判定される場合には、前進トルク出力手段により、前記車両が前進或いは後進可能な大きさの駆動トルクが前記電動モータから出力させられることから、たとえば渋滞走行では、ブレーキペダル踏込量の減少に応じたトルクで車両が駆動させられるので、ブレーキペダルの操作を完全に戻すことなくブレーキペダルを緩めてその踏込量を調節するだけで渋滞走行に対応して車両を前進或いは後進させることができる。したがって、車両の緩やかな前進を頻繁に行う渋滞走行では、一々ブレーキ操作を完全に解除して前進させるという面倒な操作が不要となる。 【0007】 【発明の他の態様】ここで、好適には、路面傾斜に拘らず前記車両を停止状態に維持するために、前記ブレーキペダルの踏込に応答してその車両の制動力を発生させるが、前進トルク出力手段により車両の前進或いは後進可能な大きさの駆動トルクが前記電動モータから出力させられた場合には、該車両の制動力を低下させるヒルホールド手段を、含むものである。このようにすれば、前進トルク出力手段により車両の前進可能な大きさの駆動トルクが前記電動モータから出力させられると同時に、坂路における車両の停止維持のための制動力が低下させられるので、ブレーキペダルの踏込を緩める操作に応答して円滑に車両が前進或いは後進させられる利点がある。 【0008】また、好適には、車両を制動させるための操作が行われたか否かを前記ブレーキペダルの踏込量に基づいて判定する制動操作判定手段と、その制動操作判定手段により車両を制動させるための操作が行われたと判定された場合には、その車両の原動機の出力を停止させる原動機出力停止手段とを含み、前記ヒルホールド手段は、その制動操作判定手段により車両を制動させるための操作が行われたと判定された場合に車両を停止状態に維持するものである。このようにすれば、制動操作時において原動機の駆動力が零とされるとともにヒルホールド手段により車両の停止状態が維持されるので、制動効果が確実に得られるとともに、その後に傾斜路面でブレーキペダルが戻し操作されたとしても、車両が停止状態に維持される利点がある。 【0009】また、好適には、前記ヒルホールド手段は、車両の停止時においてブレーキペダル操作に関連して車輪ブレーキへ所定の制動油圧を供給することにより車両を停止状態に維持するものであって、前記ブレーキペダルの踏込量が所定値を下まわったときはその踏込量に応じて上記車輪ブレーキの制動力を変化させるものである。このようにすれば、ブレーキペダルの踏込量の増減によって車輪ブレーキの制動力が増減させられるので、ヒルホールド手段が設けられている車両の渋滞走行でも、ブレーキペダルの操作を完全に戻すことなくブレーキペダルを緩めてその踏込量を調節するだけで渋滞走行に対応して車両を前進或いは後進させることができる。 【0010】また、好適には、上記ヒルホールド手段は、前記前進トルク出力手段によって電気モータから出力される駆動トルクの大きさの範囲を越えない大きさですなわちその駆動トルクの範囲内の大きさで車輪ブレーキの制動トルクを変化させるものである。このようにすれば、ブレーキペダルの操作による車両のクリープ走行制御が可能とされる。 【0011】また、好適には、前進トルク出力手段は、前記ブレーキペダルの踏込量が所定値を下まわったときは、その踏込量が小さくなるほど前記電気モータから出力される駆動トルクを増加させるものである。このようにすれば、ブレーキペダルの踏込量が小さくなるほど電気モータから出力される駆動トルクが増加させられるので、渋滞走行中のブレーキペダルによる車間調整が一層容易となる。 【0012】 【発明の好適な実施の形態】以下,本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。 【0013】図1は、本発明の一実施例の電気自動車であるハイブリッド車両の動力伝達装置10を説明する骨子図である。この動力伝達装置10は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両用のものであり、気体燃料或いは液体燃料の燃焼によって作動するガソリンエンジン12と、電気エネルギーで作動する電動モータおよび発電機としての機能を有するモータジェネレータ14と、遊星歯車式の副変速機16と、ベルト式の無段変速機18と、差動装置20と、出力軸22R、22Lとを備えており、それら出力軸22R、22Lから図示しない左右の前輪(駆動輪)へ駆動力が伝達されるようになっている。上記エンジン12、モータジェネレータ14、副変速機16、および無段変速機18の入力軸38は、同一の軸線上にその順番で配設されている。上記エンジン12およびモータジェネレータ14は車両走行用の駆動力源すなわち原動機として機能している。また、上記無段変速機18は、動力伝達装置10内の主変速機として機能するものであって、有効径が可変な1対の可変プーリ18aおよび18bとそれら1対の可変プーリ18aおよび18bに巻きかけられた伝動ベルト19とを備えており、それら1対の可変プーリの掛かり径すなわち有効径が相逆的に変化させられることにより、その変速比(入力軸回転速度/出力軸回転速度)が連続的に変化させられるようになっている。これにより、本実施例では出力軸22R、22Lまでの間において3〜11程度の範囲内でその変速比が変化させられる。 【0014】上記エンジン12は、エンジン始動用の電動モータ(MO)60によって回転駆動(クランキング)されることにより始動させられるようになっている。この電動モータ60は直流モータであり、蓄電装置としてのバッテリ26から電気エネルギーが12V〜36V程度等の低電圧で供給されることにより作動させられるようになっている。エンジン12のクランクシャフト12sは、ベルト等の伝動装置を介して上記電動モータ60に作動的に連結されている。クランクシャフト12sにはまた、ベルト等の伝動装置および電磁クラッチ62を介して補機64が作動的に連結され、補機64としてのエアコンのコンプレッサ等が回転駆動されるようになっている。クランクシャフト12sには更に、ベルト等の伝動装置を介してモータジェネレータ24が接続されている。このモータジェネレータ24は、補機駆動用の電動モータであり、バッテリ26から電気エネルギーが供給されるようになっている。 【0015】上記バッテリ26は、電気エネルギーを36V程度の比較的低電圧で前記モータジェネレータ14にも供給してそれを作動させるものであり、また、そのモータジェネレータ14の回生制動によって車両の走行中に逐次充電されるようになっている。上記バッテリ26の蓄電量SOCが所定値以下まで低下した時、すなわちモータジェネレータ14を電動モータとして作動させることができない場合は、電動モータ60によってエンジン12を始動するとともに、そのエンジン12でモータジェネレータ24を回転駆動して発電させることにより、バッテリ26を充電する。これにより、故障時以外は常時モータジェネレータ14を用いて走行することが可能とされている。また、上記バッテリ26には、電動モータ60によってエンジン12を始動できる程度の蓄電量SOCが常に確保されるようになっている。なお、電動モータ60へ電気エネルギーを供給するため、バッテリ26とは別に12V等のバッテリを設けるようにしても良い。 【0016】前記副変速機16は、互いに近接して並列に配設されたダブルプラネタリ型の第1遊星歯車装置30およびシンプルプラネタリ型の第2遊星歯車装置32を備えている。これらの遊星歯車装置30、32は、所謂ラビニヨ型であって、共通のリングギヤRおよびキャリアCを有するとともに、第1遊星歯車装置30のキャリアのリングギヤ側のピニオンギヤと第2遊星歯車装置32のキャリアのピニオンギヤとが一体化されている。上記第1遊星歯車装置30のサンギヤS1には、前記モータジェネレータ14が連結され、第2遊星歯車装置32のサンギヤS2には、第1クラッチC1およびダンパ装置34を介してエンジン12のクランク軸12sが連結されるようになっている。また、それ等のサンギヤS1およびS2は第2クラッチC2によって連結されるとともに、キャリアCは反力ブレーキBによってハウジング44に連結されて回転が阻止されるようになっており、リングギヤRは出力部材36を介して無段変速機18の入力軸38に連結されている。クラッチC1、C2、および反力ブレーキBは、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。 【0017】上記サンギヤS1は、第1遊星歯車装置30に隣接して配設されるモータジェネレータ14の中心を貫通して配設された円筒状の連結部材40を介して、そのモータジェネレータ14よりもエンジン12側に設けられた第2クラッチC2に接続されており、モータジェネレータ14のロータは連結部材40の中間位置に相対回転不能に固定されている。サンギヤS2は、上記連結部材40を挿通して相対回転可能に配設された連結部材42を介して、モータジェネレータ14よりもエンジン12側に設けられた第1クラッチC1に接続されているとともに、その第1クラッチC1を経由することなく第2クラッチC2に接続されている。また、前記反力ブレーキBは、副変速機16とモータジェネレータ14との間から外周側へ延び出すキャリアCをハウジング44に固定するように配設されている。 【0018】両遊星歯車装置30、32は、上記のように、サンギヤS1、S2、および共通のリングギヤR、キャリアCの計4つの回転要素にて構成されているため、クラッチやブレーキの係合装置が少なくて済むなど、装置が全体として簡単に且つコンパクトに構成される。特に、第1遊星歯車装置30のキャリアのリングギヤ側のピニオンギヤと第2遊星歯車装置32のキャリアのピニオンギヤとが一体化されているラビニヨ型であるため、部品点数が少なくなって一層簡単且つコンパクトに構成される。 【0019】また、サンギヤS1は、モータジェネレータ14の中心を貫通して配設された円筒状の連結部材40を介して第2クラッチC2に接続されているとともに、モータジェネレータ14のロータはその連結部材40の中間位置に相対回転不能に固定されている一方、サンギヤS2は、連結部材40を挿通して相対回転可能に配設された連結部材42を介して第1クラッチC1に接続されているとともに、その連結部材42は第1クラッチC1を経由することなく第2クラッチC2に接続されており、反力ブレーキBは、副変速機16とモータジェネレータ14との間から外周側へ延び出すキャリアCをハウジング44に固定するようになっており、リングギヤRはそのまま出力部材36を介して無段変速機18の入力軸38に接続されるため、エンジン12やモータジェネレータ14、反力ブレーキB、出力部材36を連結するための取り回し(連結構造など)が簡単である。 【0020】図2は、上記副変速機16の各回転要素S1、S2、R、Cの回転数の相互関係を直線で表すための、回転数を表す縦軸を備えた共線図を示している。この共線図において、各回転要素S1、S2、R、Cの位置および間隔は、連結状態や遊星歯車装置30、32のギヤ比ρ1、ρ2によって一義的に定まる。この共線図上において、入力回転要素であるサンギヤS1、S2は互いに反対側の両端に位置しているとともに、出力用回転要素であるリングギヤRは反力用回転要素であるキャリアCとサンギヤS1との間に位置している。 【0021】図3には、上記クラッチC1、C2、および反力ブレーキBの係合状態と副変速機16の変速モード(一例)との関係が示されており、エンジン12を駆動力源として使用する場合、モータジェネレータ14を駆動力源として使用する場合、或いはシフトレバーの操作ポジション(図6参照)などにより場合分けされている。図6において、「D」ポジションは、予め定められた変速条件に従って無段変速機18の変速比をアクセル操作量や車速などの運転状態に応じて連続的に変化させながら前進走行する自動変速位置である。「M」ポジションは、「+」位置または「−」位置へシフトレバーが操作されることにより有段変速機のように無段変速機18の変速比を段階的に変化させる有段手動変速位置である。「B」ポジションは、シフトレバーの前後方向位置に応じて無段変速機18の変速比を連続的に変化させる無段手動変速位置である。また、「R」は車両を後進させるリバース位置で、「N」はニュートラル位置で、「P」はパーキングロック機構などで車両の走行を阻止するパーキング位置である。 【0022】図3において、エンジン12を駆動力源として前進走行する「D」、「M」、「B」ポジションでは、クラッチC1、C2が共に係合させられるとともに反力ブレーキBが解放されることにより、変速比が1の高速前進モード「2nd」が成立させられる。この高速前進モード「2nd」は高速段に相当する。その場合に、第1クラッチC1がスリップ係合させられれば、エンジン発進が可能なエンジン低速前進モード「2nd(低速)」が成立させられ、バッテリ26の蓄電量SOCの低下や故障などでモータジェネレータ14を使用できない場合でも、エンジン12で前進方向のクリープトルクを発生させたり車両を前方へ発進させたりすることができる。「R」ポジションでは、第1クラッチC1および反力ブレーキBが係合させられるとともに第2クラッチC2が解放されることにより、変速比が−1/ρ2(ρ2は、第2遊星歯車装置32のギヤ比(=サンギヤS2の歯数/リングギヤRの歯数))の高速後進モード「高速」が成立させられる。その場合に第1クラッチC1がスリップ係合させられれば、前進時と同様にエンジン発進が可能なエンジン低速後進モード「低速(エンジン)」が成立させられ、バッテリ26の蓄電量SOCの低下や故障などでモータジェネレータ14を使用できない場合でも、エンジン12で後進方向のクリープトルクを発生させたり車両を後方へ発進させたりすることができる。また、「N」ポジションでは、クラッチC1、C2が共に解放させられるとともに反力ブレーキBが係合させられることにより、エンジン12からの動力伝達経路が遮断される。 【0023】モータジェネレータ14を駆動力源とする「D」、「M」、「B」ポジションでは、クラッチC1、C2が共に解放されるとともに反力ブレーキBが係合させられることにより低速前進モード「1st」が成立させられ、車両停止時には前進方向のクリープトルクを発生させるとともにアクセル操作に従って発進する。この時の変速比は1/ρ1(ρ1は第1遊星歯車装置30のギヤ比(=サンギヤS1の歯数/リングギヤRの歯数))で比較的大きく、大きなトルク増幅が得られるため、無段変速機18の大きな変速比と相まって、36V程度の電圧によって作動させられるモータジェネレータ14においても、実用上満足できるクリープトルクや発進性能が得られる。この低速前進モード「1st」は低速段である。 【0024】そして、上記低速前進モード「1st」からエンジン12による高速前進モード「2nd」への移行は、例えば、第2クラッチC2を係合させながら反力ブレーキBが解放されて副変速機16を一体回転させるとともに、エンジン12の回転数がサンギヤS2と同期した後に第1クラッチC1が係合させられ、その後にモータジェネレータ14への電力供給を停止して無負荷状態にする。 【0025】また、クラッチC1、C2が共に係合させられるとともに反力ブレーキBが解放されることにより、エンジン12およびモータジェネレータ14の両方を駆動力源として走行する変速比が1のアシストモード「2nd(アシスト)」が成立させられる。また、第1クラッチC1および反力ブレーキBが解放されるとともに第2クラッチC2が係合させられれば、モータジェネレータ14を回生制御して効率良く充電しながら制動力を発生させる変速比が1の回生制動モード「2nd(回生)」が成立させられる。なお、アシストモード「2nd(アシスト)」は、エンジン12による高速前進モード「2nd」の実行時にモータジェネレータ14を作動させれば良いし、回生制動モード「2nd(回生)」は、エンジン12による高速前進モード「2nd」の実行時に第1クラッチC1を解放してエンジン12を切り離すとともにモータジェネレータ14を回生制御すれば良い。また、アシストモード「2nd(アシスト)」は、第1クラッチC1をスリップ係合させるエンジン低速前進モード「2nd(低速)」でモータジェネレータ14を作動させて行うこともできる。 【0026】また、モータジェネレータ14を駆動力源とする「R」ポジションでは、クラッチC1、C2が共に解放されるとともに反力ブレーキBが係合させられることにより低速後進モード「低速(モータ)」が成立させられ、モータジェネレータ14に逆回転のトルクを発生させることにより、車両停止時には後進方向のクリープトルクを発生させるとともにアクセル操作に従って後方へ発進する。この時の変速比は−1/ρ1で比較的大きく、大きなトルク増幅が得られるため、無段変速機18の大きな変速比と相まって、36V程度の電圧によって作動させられるモータジェネレータ14においても、実用上満足できるクリープトルクや発進性能が得られる。この低速後進モード「低速(モータ)」も低速段である。そして、この低速後進モード「低速(モータ)」からエンジン12による高速後進モード「高速」への移行は、エンジン12を作動させて第1クラッチC1を係合させた後にモータジェネレータ14への電力供給を停止して無負荷状態にすれば良い。 【0027】上記エンジン12およびモータジェネレータ14の使い分けは、例えば車速およびアウトプットトルク(アクセル操作量)をパラメータとして、図4のマップに示すように定められる。ここで、このマップでは、高車速、高トルク(アクセル操作量大)の領域ではエンジン12を使用し、低車速、低トルク(アクセル操作量小)の領域ではモータジェネレータ14を使用するが、低電圧のモータジェネレータ14を使用する本実施例では、モータジェネレータ14の使用範囲は比較的狭く、車両停止時のクリープトルクおよび僅かな走行領域に限定されている。例えばバッテリ26の蓄電量SOCが不足している場合は他のマップが選択される。図4は前進走行用のものであるが、後進走行についても同様に定められる。なお、エンジン12を駆動力源とする上記「2nd」、「2nd(低速)」の領域でモータジェネレータ14をアシスト的に使用することも可能である。また、各領域の境界線は、無段変速機18の変速比などに応じて変化する。 【0028】図5は、本実施例のハイブリッド駆動装置10の作動を制御する制御系統を示す図である。図5において、電子制御装置すなわちECU(Electronic ControlUnit)50は、図示しないCPU、RAM、ROM、インターフェースなどを備えた所謂マイクロコンピュータである。そのECU50には図5の左側に示すスイッチやセンサ等から各種の信号が入力されるとともに、ROM等に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行って右側に示す各種の装置等に制御信号などを出力することにより、例えば車速Vやアクセル開度(アクセルペダルの操作量)θ、シフトポジション(シフトレバーの操作位置)、バッテリ蓄電量SOC、フットブレーキの操作量などの運転状態に応じて副変速機16の変速モードを前記図3に従って切り換えたり、前記図4に従ってエンジン12およびモータジェネレータ14の作動を制御したりする。 【0029】図5の減速度/トルク設定スイッチ52は、例えば図7に示すようなスライドスイッチによって構成され、シフトレバーの近傍などに配設される。これは、副変速機16が回生制動モード「2nd(回生)」の時のモータジェネレータ14の回生制動トルクを手動で調整するもので、手前に引く程制動トルクは増大する。すなわち、この減速度/トルク設定スイッチ52の操作位置に従って、図4の回生制動モード「2nd(回生)」のラインは上下に移動させられるのである。また、図8の設定減速度インジケータ54には、減速度/トルク設定スイッチ52の操作位置に応じて、回生制動トルクが大きくなる程長さが長くなる後向きの矢印で設定状態が表示される。この設定減速度インジケータ54は、インストルメントパネルに設けられる。 【0030】また、図5において、コントローラ(MO)66はエンジン始動用の電動モータ60の出力(トルク)制御を行うものである。コントローラ(MG14)68およびコントローラ(MG24)70はモータジェネレータ14および24の出力(トルク)制御および回生制御等を行うインバータである。電動オイルポンプ72は前記クラッチC1、C2やブレーキB、或いはABSアクチュエータ74等に油圧を供給するためのものである。システムインジケータ76は、シフトレバーが前記「M」ポジションまたは「B」ポジションへ操作された場合に作動させられて、無段変速機全体の変速比を図9に示すように数値表示する。何等かの理由により「M」ポジション、「B」ポジションで変速比が点灯しない場合はフェール判定が為される。フェール時には、たとえば変速比を示すシステムインジケータ76の数字表示を点滅させるようにしても良い。 【0031】図10は、坂路においても車両を停止状態に保持或いは維持するために、前記ECU50によって実行されるヒルホールド制御において、ブレーキペダル92の踏込量(操作ストローク)とホイールブレーキ油圧すなわちヒルホールド油圧との関係を示す特性図である。ヒルホールド油圧は、車輪に設けられたホイールブレーキのアクチュエータであるホイールシリンダ内油圧であり、たとえば図5のABSアクチュエータ74によって制御されることにより、たとえば図10に示す関係からブレーキペダル92の踏込量に応じて調節されるようになっている。本実施例では、図5のフットブレーキアッパスイッチ78およびフットブレーキロアスイッチ80と踏込量センサ86とによって上記ブレーキペダルの踏込量が連続的に検出されるとともに、2位置BS1およびBS2において検出されるようになっており、たとえばフットブレーキアッパスイッチ78がONでフットブレーキロアスイッチ80がOFFの踏込み量(ペダルストローク)が比較的小さいBS1からBS2までの領域では50%の油圧でヒルホールドが実施され、フットブレーキロアスイッチ80がONになる領域すなわち踏込量が大きいBS2以上の領域では100%の油圧でヒルホールドが実施される。なお、上記踏込量センサ86は、ブレーキペダル92の踏込量を連続的に検出するためのものであり、たとえばポテンショメータやロータリエンコーダなどにより構成される。また、図10の一点鎖線で示すようにBS1からBS2までの領域でのヒルホールド油圧を連続的に変化させるようにしても良いし、上記BS1におけるヒルホールド油圧は、50%よりも低い値であってもよい。また、そのヒルホールド油圧は、それが100%の油圧であっても、制動油圧の最大値よりも十分に低く、坂路において車両を停止させるに必要かつ十分な値に設定されている。 【0032】図11は、上記ECU50の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図11において、ブレーキ装置90は、ブレーキペダル92の操作などに関連して、車輪ブレーキに設けられたホイールシリンダへ制動油圧を供給する。このブレーキ装置90では、通常は、マスタシリンダにおいて発生させられるブレーキペダル92の踏力に対応した大きさの制動油圧がホイールシリンダへ直接供給されるが、ABS制御、トラクション制御、VSC制御、或いはヒルホールド制御時には、低μ路での車両の制動、発進、旋回走行や、或いは坂路途中の車両停止の保持或いは維持のために上記踏力に対応しない制動液圧がホイールシリンダへ供給されるようになっている。 【0033】踏込量検出装置94は、ブレーキペダル92の踏込量を検出するものであり、たとえば、前述のフットブレーキアッパスイッチ78およびフットブレーキロアスイッチ80、踏込量センサ86などにより構成される。踏込量判定手段96は、上記踏込量検出装置94により検出されたブレーキペダル92の踏込量に基づいて、ブレーキペダル92の踏込量が予め設定された判断基準値以内であるか否かを判定する。この判断基準値は、車間距離の調整などのために、クリープトルクによる車両の走行すなわちクリープ走行をブレーキペダル92で制御可能とする、ブレーキペダル92の踏込量が零から比較的小さな値までの範囲を設定する値であって、たとえば前記BS1に設定される。また、制動操作判定手段98は、上記踏込量検出装置94により検出されたブレーキペダル92の踏込量に基づいて、車両を停止させようとする意思に基づく車両の制動操作が行われたか否かを判定する。この車両の制動操作は、車両を停止させようとする比較的強い制動操作であり、たとえばブレーキペダル92の踏込量がその最大値付近に設定された判断基準値まで到達したことにより判断される。 【0034】ヒルホールド手段100は、たとえ路面が傾斜していても車両を停止状態に保持或いは維持するために、ブレーキペダル92の踏込に応答してその車両の制動力を発生させ、前進トルク出力手段102により車両の前進可能な大きさの駆動トルクがモータジェネレータ14から出力させられた場合には、上記の車両の制動力を低下させる。すなわち、このヒルホールド手段100は、車両の停止状態を維持するために、たとえば図10に示す関係から上記踏込量検出装置94により検出されたブレーキペダル92の踏込量に基づいて、ブレーキの制動トルク或いはヒルホールドブレーキ圧すなわち上記ブレーキ装置90のホイールシリンダ内油圧を制御する。また、このヒルホールド手段100は、上記制動操作判定手段98により車両を停止させようとする意思に基づく車両の制動操作が行われたと判定されたときにそれに応答して上記車両の停止状態を維持するための制御を開始するとともに、その制御中において、ブレーキペダル92の踏込量が小さな、踏込量が零からBS1までの範囲では、渋滞走行などにおけるクリープ走行をブレーキペダル92で制御することを一層容易とするために、その踏込量が小さくなるほどヒルホールドブレーキ圧すなわち制動トルクを小さくし、その踏込量が大きくなるほどヒルホールドブレーキ圧すなわち制動トルクを大きくする。 【0035】また、上記ヒルホールド手段100は、前進トルク出力手段102によってモータジェネレータ14から出力される駆動トルクの大きさの範囲を越えない大きさですなわちその駆動トルクの範囲内の大きさで車輪ブレーキの制動トルクを変化させる。すなわち、クリープ走行に用いられる踏込量がBS1より小さい領域においては、ヒルホールド手段100による制動トルクがモータジェネレータ14から出力される駆動トルクの範囲を越えないように、図10の特性が設定されている。 【0036】前進トルク出力手段102は、車両の停止時においてブレーキペダル92の操作を緩めることに関連してモータジェネレータ(電動モータ)14から車両の前進可能な駆動トルクを出力させることにより、ブレーキペダル92の操作だけで渋滞走行などにおいて車両の前進を制御できるようにするものであって、前記踏込量判定手段96によりブレーキペダル92の踏込量が予め設定された判断基準値以内であることすなわちブレーキペダル92がその判断基準値よりも小さい値となるまで戻されたことが判定された場合には、車両が前進可能な大きさの駆動トルクをモータジェネレータ14から出力させる。すなわち、ブレーキペダル92の踏込量が所定値たとえばBS1を下まわったときはその踏込量に応じて上記車輪ブレーキの制動力を変化させる。たとえば、ブレーキペダル92の踏込量が減少するほど上記駆動トルクを反比例的に大きくする。なお、上記前進トルク出力手段102によってモータジェネレータ14から出力させられる駆動トルクは、ヒルホールド手段100による制動トルクよりも大きくなるように設定されている。 【0037】原動機出力停止手段104は、制動操作判定手段98により車両を制動させるための操作が行われたと判定された場合には、その車両の原動機であるエンジン12およびモータジェネレータ14からの駆動トルクの出力を停止させる。ヒルホールド解除手段106は、ブレーキペダル92の踏込量がヒルホールド解除のために予め設定された判断基準値、本実施例では略零に近い値を下回ったときには、前記ヒルホールド手段100による車両停止状態を維持させるための制動を解除させる。 【0038】図12は、上記ECU50の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、クリープ走行制御ルーチンを示している。図12において、ステップ(以下、ステップを省略する)SA1では、本制御に必要な各種の入力信号を読み込む等の入力信号処理が行われる。続くステップSA2では、シフトポジションスイッチ82(図5参照)から供給される信号に基づいてシフトレバーの操作位置が通常走行ポジションであるか否か、すなわち「D」、「R」であるか否かを判断する。このSA2の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合すなわち通常走行ポジションである場合は、ステップSA3において図示しない車両のバッテリ26がモータジェネレータ14などの制御に耐え得る程度であるか否か、すなわちその蓄電量SOCが予め設定された判断基準値A以上であるか否かが判断される。このSA3の判断が肯定される場合は、SA4において、車両が略停止状態であるか否か、すなわち車速Vが予め設定された判断基準値Vlow 以下であるか否かが判断される。 【0039】上記SA3の判断が否定される場合或いはSA4の判断が否定される場合は、マップ制御が実行される。すなわち、バッテリ26の蓄電量SOCが不足の場合や比較的高速走行の場合には、図4に示す予め記憶されたマップに従ってギヤ比と駆動力源とが切り換えられる走行が行われる。すなわち、車速Vおよびアクセル操作量或いはスロットル弁開度θに基づいて領域判定が行われ、その領域に従ってギヤ比および原動機が選択される。「1stMG」領域では、第1速ギヤ段でモータジェネレータ14による低速前進走行が行われ、「2nd低速」領域では、車速VがV1よりも高く且つV2よりも低い領域では、第2速ギヤ段でクラッチC1をスリップさせつつエンジン12によるエンジン低速前進走行が行われ、「2nd」領域では、第2速ギヤ段による高速前進走行が行われ、バッテリの蓄電量SOCの不足の場合には、図示しないマップに切り換えられるなどしてエンジン12によるエンジン低速前進走行または高速前進走行が行われる。 【0040】上記SA4の判断が肯定される場合すなわち車両が略停止している状態では、前記制動操作判定手段98に対応するSA6において、ブレーキペダル92の踏込量に基づいて車両を停止させようとする意思に基づく車両の制動操作が行われたか否かが判定される。たとえば、ブレーキペダル92の踏込量が前記BS2を越えるか否か、或いはそのBS2よりも大きくその踏込量の最大値に近い側に設定された判断基準値を越えるか否かに基づいて判断される。このSA6の判断が否定される場合は、前記踏込量判定手段96に対応するSA7において、ブレーキペダル92が少し踏み込まれたか否か、すなわちブレーキペダル92の踏込量がたとえば零よりも大きく且つ前記BS1以下であるか否かに基づいて判断される。 【0041】上記SA7の判断が否定される場合はSA8において、エンジン領域であるか否かが判断される。すなわちブレーキの非操作状態において、予め記憶された図4に示す関係からエンジン12を駆動源とする領域であるか否かが判断される。このSA8の判断が否定される場合は、SA9において、モータジェネレータ14を用いた力行走行が実行される。なお、後進走行では、モータジェネレータ14が逆転駆動される。次いで、SA11において、変速制御が実行されて副変速機16およびCVT18が制御されるとともに、SA12において、車両が走行するための障害とならないようにヒルホールド制御が解除される。しかし、上記SA8の判断が肯定される場合は、SA10において、モータジェネレータ24を用いてエンジン12が速やかに始動させられるとともにエンジン12による走行が制御され、同時に上記SA11およびSA12が実行される。 【0042】しかし、前記SA6の判断が肯定された場合、すなわちアクセルペダルの非操作状態であってブレーキペダル92により車両を停止させるための比較的強い制動操作が行われた場合は、前記原動機出力停止手段104に対応するSA13において、燃料や電力の節約のために、車両の原動機であるエンジン12およびモータジェネレータ14が共に停止させられる。次いで、前記ヒルホールド手段100に対応するSA14において、ヒルホールド制御が実行される。すなわち、走行路において原動機停止中の車両の移動を停止することが可能な十分に大きな制動力がたとえば図10に示す予め記憶された関係に従って発生させられる。図13のt0 までの区間はこの状態を示している。 【0043】以上のステップが繰り返し実行されるうち、前方の車両との間の車間が大きくなったためその車間を詰めようとしてブレーキペダル92に対する操作力が緩められてその操作量が比較的小さなBS1を下回る踏込状態まで減少させられると、上記SA6の判断が否定され且つSA7の判断が肯定されるので、前記前進トルク出力手段102に対応するSA15および前記ヒルホールド手段100に対応するSA16の実行が開始される。図13のt1 時点はこの状態を示しており、アクセルペダルが非操作状態のままであることは言うまでもない。 【0044】上記SA15では、ブレーキペダル92の踏込量がBS1を下まわる程度までブレーキペダル92の操作位置が戻された状態において、モータジェネレータ14から車両を前進走行させ得る駆動トルクが出力される。この駆動トルクは、一定値ではなく、ブレーキペダル92の踏込量に対して反比例的に変化させられるものであり、図13のt1 〜t6 区間に示されるように、ブレーキペダル92の踏込量が零に向かって小さい値となる程大きな値とされ、ブレーキペダル92の踏込量の連続的な減少区間(t1 〜t2 区間、t3 〜t4 区間、)では連続的に増加させられ、連続的な増加区間(t2 〜t3 区間、t5 〜t6 区間)では連続的に減少させられる。図13のt4 〜t5 区間では、ブレーキペダル92の踏込量が略零とされているので、上記モータジェネレータ14から出力される駆動トルクは最大値とされる。 【0045】上記SA16では、SA14が実行されることによって行われているヒルホールド制御の制動力がブレーキペダル92の踏込量の減少に伴って低減される。一般的なヒルホールド制御では、ブレーキペダル92の踏込量がたとえばBS1を下まわる程度に小さくなると制動が解除されるのであるが、本実施例では、図13に示すように、ブレーキペダル92の踏込量が少なくなるほど減少するように、そのブレーキペダル92の踏込量に伴って比例的に減少させられる。 【0046】図13のt1 〜t6 区間は、上記SA15およびSA16が繰り返し実行されることにより、ブレーキペダル92をその非操作位置手前まで戻した状態で、そのブレーキペダル92の操作位置を調整しながら渋滞走行などにおいてクリープ走行している状態を示している。すなわち、図13のt1 〜t2 区間、t3 〜t4 区間では、車両を加速するためにブレーキペダル92の踏込量が減少させられ、t4 〜t5 区間では、最大車速とするためにブレーキペダル92の踏込量が略零とされ、t2 〜t3 区間、t5 〜t6 区間では、車両を減速するためにブレーキペダル92の踏込量が増加させられる。なお、上記のようなクリープ走行における車両の駆動力すなわちクリープ力は、前記モータジェネレータ14から出力される駆動トルクから上記ヒルホールド制御の制動トルクおよび車両の走行抵抗を差し引いた大きさである。 【0047】上述のように、本実施例によれば、踏込量判定手段96(SA7)によりブレーキペダル92の踏込量が所定値BS1以内であると判定される場合には、前進トルク出力手段102(SA15)により、車両の前進が可能な大きさの駆動トルクがモータジェネレータ14から出力させられることから、たとえば渋滞走行では、ブレーキペダル92の踏込量の減少に応じたトルクで車両が駆動させられるので、ブレーキペダル92の操作を完全に戻すことなくブレーキペダル92を緩めてその踏込量を調節するだけで渋滞走行に対応して車両を前進させることができる。したがって、車両の緩やかな前進を頻繁に行う渋滞走行では、一々ブレーキ操作を完全に解除して前進させるという面倒な操作が不要となる。 【0048】また、本実施例によれば、路面傾斜に拘らず前記車両を停止状態に維持するために、ブレーキペダル92の踏込に応答してその車両の制動力を発生させるが、前進トルク出力手段102により車両の前進可能な大きさの駆動トルクがモータジェネレータ14から出力させられた場合には、その車両の制動力を低下させるヒルホールド手段100(SA14、SA16)が、設けられていることから、前進トルク出力手段102により車両の前進可能な大きさの駆動トルクがモータジェネレータ14から出力させられると同時に、坂路における車両の停止維持のための制動力が低下させられるので、ブレーキペダル92の踏込を緩める操作に応答して円滑に車両が前進させられる利点がある。 【0049】また、本実施例によれば、車両を制動させるための操作が行われたか否かをブレーキペダル92の踏込量に基づいて判定する制動操作判定手段98(SA6)と、その制動操作判定手段98により車両を制動させるための操作が行われたと判定された場合には、その車両の原動機すなわちエンジン12およびモータジェネレータ14の出力を停止させる原動機出力停止手段104(SA13)とを含み、前記ヒルホールド手段100は、その制動操作判定手段98により車両を制動させるための操作が行われたと判定された場合に車両を停止状態に維持するものである。このため、制動操作時においてエンジン12およびモータジェネレータ14の駆動力が零とされるとともにヒルホールド手段100により車両の停止状態が維持されるので、制動効果が確実に得られるとともに、その後に傾斜路面でブレーキペダル92が戻し操作されたとしても、車両が停止状態に維持される利点がある。 【0050】また、本実施例によれば、ヒルホールド手段100は、車両の停止時においてブレーキペダル92の操作に関連して車輪ブレーキへ所定の制動油圧を供給することにより車両を停止状態に維持するものであって、ブレーキペダル92の踏込量が所定値BS1を下まわったときはその踏込量に応じて上記車輪ブレーキの制動力を変化させる、すなわち踏込量に比例的に制動力を変化させる。このため、ブレーキペダル92の踏込量の増減によって車輪ブレーキの制動力が比例的に増減させられるので、車両の渋滞走行でも、ブレーキペダル92の操作を完全に戻すことなくブレーキペダル92を緩めてその踏込量を調節するだけで渋滞走行に対応して車両を前進させることができる。 【0051】また、本実施例によれば、ヒルホールド手段100は、前進トルク出力手段102によってモータジェネレータ14から出力される駆動トルクの大きさの範囲を越えない大きさですなわちその駆動トルクの範囲内の大きさで車輪ブレーキの制動トルクを変化させるものであるので、ブレーキペダル92の操作による車両のクリープ走行制御が可能とされる。 【0052】また、本実施例によれば、前進トルク出力手段102は、ブレーキペダル92の踏込量が所定値BS1を下まわったときは、その踏込量が小さくなるほど前記電気モータから出力される駆動トルクを反比例的に増加させるものである。このようにすれば、ブレーキペダル92の踏込量が小さくなるほどモータジェネレータ14から出力される駆動トルクが増加させられるので、一定の駆動トルクが用いられる場合に比較して、渋滞走行中のブレーキペダル92による車間調整が一層容易となる。 【0053】以上、本発明の一実施例を図1乃至図13に基づいて説明したが、本発明は他の態様においても適用される。 【0054】たとえば、前述の前進トルク出力手段102は、路面の傾斜角度θL に応じて補正された駆動トルクを出力するものであってもよい。この場合には、図11に示す路面勾配検出手段108が設けられる。この路面勾配検出手段108は、路面の傾斜角度θL を直接的に検出する傾斜角度センサであってもよいし、アクセルペダルの踏込量に対する車両加速度の程度に応じて路面の傾斜角度θL を算出するものであってもよい。このときの前進トルク出力手段102は、路面の傾斜角度θL が大きくなるほど駆動トルクが大きくなるように補正し、路面の傾斜角度θL (負の値を含む)が小さくなるほど駆動トルクが小さくなるように補正する。これにより、路面傾斜に拘らず、ブレーキペダル92の踏込量に対する車両の加減速操作感覚が変化しない利点がある。 【0055】また、前述の実施例において、踏込量検出装置94は、踏込量センサ86とフットブレーキアッパスイッチ78およびフットブレーキロアスイッチ80とから構成されていたが、いずれか一方から構成されていてもよい。但し、スイッチから構成される場合は、ブレーキペダル92の非操作位置付近の踏込量を多段階に検出する複数のスイッチがさらに設けられる必要がある。 【0056】また、前述の実施例のヒルホールド装置すなわちヒルホールド手段100(SA14、SA16)は、車輪ブレーキのホイールシリンダへ供給する油圧を制御することにより制動力を発生させるものであったが、たとえばパーキングブレーキ装置を作動させるためにそれと機械的に連結されたアクチュエータを制御するものなどであってもよい。 【0057】また、前述の実施例では、ヒルホールド手段100が設けられていたが、必ずしも設けられていなくてもよい。 【0058】また、前述の実施例の車両は、原動機としてエンジン12およびモータジェネレータ14を用いた所謂ハイブリッド車両であったが、専ら電動モータ(モータジェネレータ)のみで走行する車両であってもよい。また、エンジン始動用の電動モータ60、補機駆動用のモータジェネレータ24は必ずしも必須のものではない。 【0059】また、前述の実施例では、車両の前進に関して、ブレ─キペダル92の操作によってクリ─プ走行を制御するものであったが、車両の後進についても本発明は同様に適用され得る。 【0060】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年5月12日(1999.5.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085361 【弁理士】 【氏名又は名称】池田 治幸 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−324619(P2000−324619A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月24日(2000.11.24) |
| 【出願番号】 |
特願平11−130930 |
|