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【発明の名称】 ハイブリッド車両の制御装置
【発明者】 【氏名】田端 淳

【要約】 【課題】エンジンの過回転を防止するためにダウン変速指令に従う変速後の指令変速比へのダウン変速が禁止されても、減速走行においてダウン変速操作を行った運転者が期待する減速度が得られるハイブリッド車両の制御装置を提供する。

【解決手段】ダウン変速禁止手段118によりダウン変速指令に従うダウン変速後の指令変速比iC へのダウン変速が禁止されると、回生トルク制御手段120により、手動ダウン変速指令に従うダウン変速後の指令変速比iC での減速走行に比較して減速度が不足する分を補うための回生トルクが、モータジェネレータ14から発生或いは増加させられるので、ダウン変速禁止手段118によりエンジンの過回転を防止するためにダウン変速指令に従う変速後の指令変速比へのダウン変速が禁止されても、減速走行においてダウン変速操作を行った運転者が期待する減速度が得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料の燃焼により作動させられるエンジンと、電気エネルギにより作動させられる電動モータと、該エンジンおよび電動モータから駆動輪に至る動力伝達経路に設けられた変速機とを備えているハイブリッド車両の制御装置であって、車両のダウン変速指令があった場合は、そのダウン変速指令に従った変速が行われると前記エンジンの過回転の発生が予測されるか否かを判定するエンジン過回転判定手段と、該エンジン過回転判定手段によりエンジンの過回転の発生が予測されると判定された場合には、前記ダウン変速指令に従う指令変速比へのダウン変速を禁止するダウン変速禁止手段と、前記ダウン変速指令に従う指令変速比での減速走行に比較して減速度が不足する分を補うための回生トルクを、前記電動モータから発生させる回生トルク制御手段とを、含むことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は原動機としてエンジンおよび電気モータを用いたハイブリッド車両の制御装置に係り、特に、エンジンブレーキ走行時のダウン変速指令に従ったダウン変速がエンジン過回転となるときに、その指令に従う変速比へのダウン変速を中止すると同時に、電動モータの回生トルクを増加させて、運転者の望む減速度を発生させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば、ガスや液体燃料の燃焼で作動するエンジンと電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行用の駆動力源として備えているハイブリッド車両が知られている。そして、このようなハイブリッド車両では、エンジンの回転抵抗および電動モータの回生の両方により発生する制動作用を利用して減速走行する形式のものがある。たとえば、特開平9−9415号公報に記載されたハイブリッド車両がそれである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のようなハイブリッド車両の減速走行において、マニアルダウン操作などに従って発生するダウン変速指令に関連してダウン変速が行われると、エンジンの過回転が発生する場合があるので、そのエンジンの過回転を防止するために、上記ダウン変速指令に従う指令変速比へのダウン変速を禁止することが考えられる。しかしながら、そのようなダウン変速の禁止が行われると、ダウン変速操作を行った運転者が期待する減速度が得られないという欠点があった。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、エンジンの過回転を防止するためにダウン変速指令に従う変速後の指令変速比へのダウン変速が禁止されても、減速走行においてダウン変速操作を行った運転者が期待する減速度が得られるハイブリッド車両の制御装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、燃料の燃焼により作動させられるエンジンと、電気エネルギにより作動させられる電動モータと、それらエンジンおよび電動モータから駆動輪に至る動力伝達経路に設けられた変速機とを備えているハイブリッド車両の制御装置であって、(a) 車両のダウン変速指令があった場合は、そのダウン変速指令に従った変速が行われたときに前記エンジンの過回転が発生するか否かを判定するエンジン過回転判定手段と、(b) そのエンジン過回転判定手段によりエンジンの過回転が判定された場合には、前記ダウン変速指令に従う指令変速比へのダウン変速を禁止するダウン変速禁止手段と、(c) 前記ダウン変速指令に従う指令変速比での減速走行に比較して減速度が不足する分を補うための回生トルクを、前記電動モータから発生させる回生トルク制御手段とを、含むことにある。
【0006】
【発明の効果】このようにすれば、ダウン変速禁止手段によりダウン変速指令に従う指令変速比へのダウン変速が禁止されると、回生トルク制御手段により、前記ダウン変速指令に従うダウン変速後の指令変速比での減速走行に比較して減速度が不足する分を補うための回生トルクが、前記電動モータから発生すなわち増加させられるので、ダウン変速禁止手段によりエンジンの過回転を防止するためにダウン変速指令に従う変速後の指令変速比へのダウン変速が禁止されても、ダウン変速操作を行った運転者が期待する減速度が得られる。
【0007】
【発明の他の態様】ここで、好適には、前記ダウン変速禁止手段によってダウン変速指令に従う指令変速比へのダウン変速が禁止された場合には、エンジン回転速度が予め設定された過回転領域を下回る値となる範囲で前記変速機に含まれる無段変速機をダウン変速させる無段変速機制御手段が設けられ、前記回生トルク制御手段は、その無段変速機制御手段による無段変速機のダウン変速が行われたときのギヤ比での走行において減速度の不足分に対応する回生トルクを発生させるものである。このようにすれば、電動モータの回生が受け持つ割合が少なくなるので、スポーツ走行におけるダウン変速操作のような比較的大きな減速度が期待される場合でも、運転者が期待する減速度が得られる。
【0008】また、好適には、前記無段変速機制御手段は、前記無段変速機の目標ギヤ比を決定する目標ギヤ比決定手段と、その目標ギヤ比決定手段により決定された目標ギヤ比にその無段変速機の実際のギヤ比を一致させるように無段変速機のギヤ比を制御するギヤ比制御手段とを含み、前記ダウン変速禁止手段により前記ダウン変速指令に従うダウン変速後のギヤ比へのダウン変速が禁止された場合には、無段変速機の実際のギヤ比と目標ギヤ比との不一致を示す表示を表示器において行う表示手段が、さらに設けられる。このようにすれば、ダウン変速指令に従う変速後の無段変速機のギヤ比と実際のギヤ比とが相違していることが容易に認識できる利点がある。
【0009】また、好適には、前記ダウン変速禁止手段により前記ダウン変速指令に従う指令変速比へのダウン変速が禁止された場合において、実際の車速および変速比に基づいてその指令変速比へのダウン変速が可能であるか否かを判定するダウン変速可能判定手段が設けられ、前記無段変速機制御手段は、そのダウン変速可能判定手段により指令変速比へのダウン変速が可能であると判定された場合には、前記無段変速機の目標ギヤ比をその指令変速比が得られる指令ギヤ比に一致させ、前記無段変速機の実際のギヤ比をその指令ギヤ比となるように制御するものである。このようにすれば、ダウン変速可能が判定されたときに、ダウン変速指令に従った指令変速比へのダウン変速が行われる利点がある。
【0010】また、好適には、前記表示手段は、上記無段変速機制御手段により前記無段変速機の実際のギヤ比と前記指令ギヤ比とが一致させられた場合には、前記表示器において不一致を示す表示を取り消すものである。このようにすれば、表示器による表示により、ダウン変速指令によるダウン変速が完了したことが運転者によって把握できる利点がある。
【0011】
【発明の好適な実施の形態】
【0012】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0013】図1は、本発明の一実施例の電気自動車であるハイブリッド車両の動力伝達装置10を説明する骨子図である。この動力伝達装置10は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両用のものであり、気体燃料或いは液体燃料の燃焼によって作動するガソリンエンジン12と、電気エネルギーで作動する電動モータおよび発電機としての機能を有するモータジェネレータ14と、遊星歯車式の副変速機16と、ベルト式の無段変速機(以下CVTという)18と、差動装置20と、出力軸22R、22Lとを備えており、それら出力軸22R、22Lから図示しない左右の前輪(駆動輪)へ駆動力が伝達されるようになっている。上記エンジン12、モータジェネレータ14、副変速機16、および無段変速機18の入力軸38は、同一の軸線上にその順番で配設されている。上記エンジン12およびモータジェネレータ14は車両走行用の駆動力源すなわち原動機として機能している。また、上記無段変速機18は、動力伝達装置10内の主変速機として機能するものであって、有効径が可変な1対の可変プーリ18aおよび18bとそれら1対の可変プーリ18aおよび18bに巻きかけられた伝動ベルト19とを備えており、それら1対の可変プーリの掛かり径すなわち有効径が相逆的に変化させられることにより、そのギヤ比(入力軸回転速度/出力軸回転速度)が連続的に変化させられるようになっている。これにより、本実施例では出力軸22R、22Lまでの間において3〜11程度の範囲内でCVT18および副変速機16から成る変速機全体の変速比が変化させられる。
【0014】上記エンジン12は、エンジン始動用の電動モータ(MO)60によって回転駆動(クランキング)されることにより始動させられるようになっている。この電動モータ60は直流モータであり、蓄電装置としてのバッテリ26から電気エネルギーが12V〜36V程度等の低電圧で供給されることにより作動させられるようになっている。エンジン12のクランクシャフト12sは、ベルト等の伝動装置を介して上記電動モータ60に作動的に連結されている。クランクシャフト12sにはまた、ベルト等の伝動装置および電磁クラッチ62を介して補機64が作動的に連結され、補機64としてのエアコンのコンプレッサ等が回転駆動されるようになっている。クランクシャフト12sには更に、ベルト等の伝動装置を介してモータジェネレータ24が接続されている。このモータジェネレータ24は、補機駆動用の電動モータであり、バッテリ26から電気エネルギーが供給されるようになっている。
【0015】上記バッテリ26は、電気エネルギーを36V程度の比較的低電圧で前記モータジェネレータ14にも供給してそれを作動させるものであり、また、そのモータジェネレータ14の回生制動によって車両の走行中に逐次充電されるようになっている。上記バッテリ26の蓄電量SOCが所定値以下まで低下した時、すなわちモータジェネレータ14を電動モータとして作動させることができない場合は、電動モータ60によってエンジン12を始動するとともに、そのエンジン12でモータジェネレータ24を回転駆動して発電させることにより、バッテリ26を充電する。これにより、故障時以外は常時モータジェネレータ14を用いて走行することが可能とされている。また、上記バッテリ26には、電動モータ60によってエンジン12を始動できる程度の蓄電量SOCが常に確保されるようになっている。なお、電動モータ60へ電気エネルギーを供給するため、バッテリ26とは別に12V等のバッテリを設けるようにしても良い。
【0016】前記副変速機16は、互いに近接して並列に配設されたダブルプラネタリ型の第1遊星歯車装置30およびシンプルプラネタリ型の第2遊星歯車装置32を備えている。これらの遊星歯車装置30、32は、所謂ラビニヨ型であって、共通のリングギヤRおよびキャリアCを有するとともに、第1遊星歯車装置30のキャリアのリングギヤ側のピニオンギヤと第2遊星歯車装置32のキャリアのピニオンギヤとが一体化されている。上記第1遊星歯車装置30のサンギヤS1には、前記モータジェネレータ14が連結され、第2遊星歯車装置32のサンギヤS2には、第1クラッチC1およびダンパ装置34を介してエンジン12のクランク軸12sが連結されるようになっている。また、それ等のサンギヤS1およびS2は第2クラッチC2によって連結されるとともに、キャリアCは反力ブレーキBによってハウジング44に連結されて回転が阻止されるようになっており、リングギヤRは出力部材36を介して無段変速機18の入力軸38に連結されている。クラッチC1、C2、および反力ブレーキBは、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
【0017】上記サンギヤS1は、第1遊星歯車装置30に隣接して配設されるモータジェネレータ14の中心を貫通して配設された円筒状の連結部材40を介して、そのモータジェネレータ14よりもエンジン12側に設けられた第2クラッチC2に接続されており、モータジェネレータ14のロータは連結部材40の中間位置に相対回転不能に固定されている。サンギヤS2は、上記連結部材40を挿通して相対回転可能に配設された連結部材42を介して、モータジェネレータ14よりもエンジン12側に設けられた第1クラッチC1に接続されているとともに、その第1クラッチC1を経由することなく第2クラッチC2に接続されている。また、前記反力ブレーキBは、副変速機16とモータジェネレータ14との間から外周側へ延び出すキャリアCをハウジング44に固定するように配設されている。
【0018】両遊星歯車装置30、32は、上記のように、サンギヤS1、S2、および共通のリングギヤR、キャリアCの計4つの回転要素にて構成されているため、クラッチやブレーキの係合装置が少なくて済むなど、装置が全体として簡単に且つコンパクトに構成される。特に、第1遊星歯車装置30のキャリアのリングギヤ側のピニオンギヤと第2遊星歯車装置32のキャリアのピニオンギヤとが一体化されているラビニヨ型であるため、部品点数が少なくなって一層簡単且つコンパクトに構成される。
【0019】また、サンギヤS1は、モータジェネレータ14の中心を貫通して配設された円筒状の連結部材40を介して第2クラッチC2に接続されているとともに、モータジェネレータ14のロータはその連結部材40の中間位置に相対回転不能に固定されている一方、サンギヤS2は、連結部材40を挿通して相対回転可能に配設された連結部材42を介して第1クラッチC1に接続されているとともに、その連結部材42は第1クラッチC1を経由することなく第2クラッチC2に接続されており、反力ブレーキBは、副変速機16とモータジェネレータ14との間から外周側へ延び出すキャリアCをハウジング44に固定するようになっており、リングギヤRはそのまま出力部材36を介して無段変速機18の入力軸38に接続されるため、エンジン12やモータジェネレータ14、反力ブレーキB、出力部材36を連結するための取り回し(連結構造など)が簡単である。
【0020】図2は、上記副変速機16の各回転要素S1、S2、R、Cの回転数の相互関係を直線で表すための、回転数を表す縦軸を備えた共線図を示している。この共線図において、各回転要素S1、S2、R、Cの位置および間隔は、連結状態や遊星歯車装置30、32のギヤ比ρ1、ρ2によって一義的に定まる。この共線図上において、入力回転要素であるサンギヤS1、S2は互いに反対側の両端に位置しているとともに、出力用回転要素であるリングギヤRは反力用回転要素であるキャリアCとサンギヤS1との間に位置している。
【0021】図3には、上記クラッチC1、C2、および反力ブレーキBの係合状態と副変速機16の変速モード(一例)との関係が示されており、エンジン12を駆動力源として使用する場合、モータジェネレータ14を駆動力源として使用する場合、或いはシフトレバーの操作ポジション(図6参照)などにより場合分けされている。図6において、「D」ポジションは、予め定められた変速条件に従って無段変速機18のギヤ比をアクセル操作量や車速などの運転状態に応じて連続的に変化させながら前進走行する自動変速位置である。「A」位置、「B」位置、「C」位置、「D」位置、「E」位置、「F」位置は、シフトレバーが操作されることにより有段変速機のようにCVT18を操作位置毎に異なるように予め順次設定されたギヤ比を選択するための有段手動変速位置(Mポジション)である。この有段手動変速位置では、アクセルペダルが非操作とされた減速走行において、たとえばクラッチC1およびC2が係合させられるとともに反力ブレーキBが解放されることにより、エンジン12およびモータジェネレータ14の回転抵抗による制動作用(所謂エンジンブレーキ)を伴う走行とされる。「B」ポジションは、シフトレバーの前後方向位置に応じて無段変速機18のギヤ比を連続的に変化させる無段手動変速位置である。また、「R」は車両を後進させるリバース位置で、「N」はニュートラル位置で、「P」はパーキングロック機構などで車両の走行を阻止するパーキング位置である。
【0022】図3において、エンジン12を駆動力源として前進走行する「D」、「M」、「B」ポジションでは、クラッチC1、C2が共に係合させられるとともに反力ブレーキBが解放されることにより、変速比rが1の高速前進モード「2nd」が成立させられる。この高速前進モード「2nd」は高速段に相当する。その場合に、第1クラッチC1がスリップ係合させられれば、エンジン発進が可能なエンジン低速前進モード「2nd(低速)」が成立させられ、バッテリ26の蓄電量SOCの低下や故障などでモータジェネレータ14を使用できない場合でも、エンジン12で前進方向のクリープトルクを発生させたり車両を前方へ発進させたりすることができる。「R」ポジションでは、第1クラッチC1および反力ブレーキBが係合させられるとともに第2クラッチC2が解放されることにより、変速比rが−1/ρ2(ρ2は、第2遊星歯車装置32のギヤ比(=サンギヤS2の歯数/リングギヤRの歯数))の高速後進モード「高速」が成立させられる。その場合に第1クラッチC1がスリップ係合させられれば、前進時と同様にエンジン発進が可能なエンジン低速後進モード「低速(エンジン)」が成立させられ、バッテリ26の蓄電量SOCの低下や故障などでモータジェネレータ14を使用できない場合でも、エンジン12で後進方向のクリープトルクを発生させたり車両を後方へ発進させたりすることができる。また、「N」ポジションでは、クラッチC1、C2が共に解放させられるとともに反力ブレーキBが係合させられることにより、エンジン12からの動力伝達経路が遮断される。
【0023】モータジェネレータ14を駆動力源とする「D」、「M」、「B」ポジションでは、クラッチC1、C2が共に解放されるとともに反力ブレーキBが係合させられることにより低速前進モード「1st」が成立させられ、車両停止時には前進方向のクリープトルクを発生させるとともにアクセル操作に従って発進する。この時の変速比rは1/ρ1(ρ1は第1遊星歯車装置30のギヤ比(=サンギヤS1の歯数/リングギヤRの歯数))で比較的大きく、大きなトルク増幅が得られるため、無段変速機18の大きなギヤ比と相まって、36V程度の電圧によって作動させられるモータジェネレータ14においても、実用上満足できるクリープトルクや発進性能が得られる。この低速前進モード「1st」は低速段である。
【0024】そして、上記低速前進モード「1st」からエンジン12による高速前進モード「2nd」への移行は、例えば、第2クラッチC2を係合させながら反力ブレーキBが解放されて副変速機16を一体回転させるとともに、エンジン12の回転数がサンギヤS2と同期した後に第1クラッチC1が係合させられ、その後にモータジェネレータ14への電力供給を停止して無負荷状態にする。
【0025】また、クラッチC1、C2が共に係合させられるとともに反力ブレーキBが解放されることにより、エンジン12およびモータジェネレータ14の両方を駆動力源として走行する変速比rが1のアシストモード「2nd(アシスト)」が成立させられる。また、第1クラッチC1および反力ブレーキBが解放されるとともに第2クラッチC2が係合させられれば、モータジェネレータ14を回生制御して効率良く充電しながら制動力を発生させる変速比rが1の回生制動モード「2nd(回生)」が成立させられる。なお、アシストモード「2nd(アシスト)」は、エンジン12による高速前進モード「2nd」の実行時にモータジェネレータ14を作動させれば良いし、回生制動モード「2nd(回生)」は、エンジン12による高速前進モード「2nd」の実行時に第1クラッチC1を解放してエンジン12を切り離すとともにモータジェネレータ14を回生制御すれば良い。また、アシストモード「2nd(アシスト)」は、第1クラッチC1をスリップ係合させるエンジン低速前進モード「2nd(低速)」でモータジェネレータ14を作動させて行うこともできる。
【0026】また、モータジェネレータ14を駆動力源とする「R」ポジションでは、クラッチC1、C2が共に解放されるとともに反力ブレーキBが係合させられることにより低速後進モード「低速(モータ)」が成立させられ、モータジェネレータ14に逆回転のトルクを発生させることにより、車両停止時には後進方向のクリープトルクを発生させるとともにアクセル操作に従って後方へ発進する。この時の変速比rは−1/ρ1で比較的大きく、大きなトルク増幅が得られるため、無段変速機18の大きなギヤ比と相まって、36V程度の電圧によって作動させられるモータジェネレータ14においても、実用上満足できるクリープトルクや発進性能が得られる。この低速後進モード「低速(モータ)」も低速段である。そして、この低速後進モード「低速(モータ)」からエンジン12による高速後進モード「高速」への移行は、エンジン12を作動させて第1クラッチC1を係合させた後にモータジェネレータ14への電力供給を停止して無負荷状態にすれば良い。
【0027】上記エンジン12およびモータジェネレータ14の使い分けは、例えば車速およびアウトプットトルク(アクセル操作量)をパラメータとして、図4(a) のマップM1に示すように定められる。ここで、このマップでは、高車速、高トルク(アクセル操作量大)の領域ではエンジン12を使用し、低車速、低トルク(アクセル操作量小)の領域ではモータジェネレータ14を使用するが、低電圧のモータジェネレータ14を使用する本実施例では、モータジェネレータ14の使用範囲は比較的狭く、車両停止時のクリープトルクおよび僅かな走行領域に限定されている。例えばバッテリ26の蓄電量SOCが不足している場合は、(b) の他のマップM2が選択される。図4(a) は前進走行用のものであるが、後進走行についても同様に定められる。なお、エンジン12を駆動力源とする上記「2nd」、「2nd(低速)」の領域でモータジェネレータ14をアシスト的に使用することも可能である。また、各領域の境界線は、無段変速機18のギヤ比などに応じて変化する。
【0028】図5は、本実施例のハイブリッド駆動装置10の作動を制御する制御系統を示す図である。図5において、電子制御装置すなわちECU(Electronic ControlUnit)50は、図示しないCPU、RAM、ROM、インターフェースなどを備えた所謂マイクロコンピュータである。そのECU50には図5の左側に示すスイッチやセンサ等から各種の信号が入力されるとともに、ROM等に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行って右側に示す各種の装置等に制御信号などを出力することにより、例えば車速Vやアクセル開度(アクセルペダルの操作量)θ、シフトポジション(シフトレバーの操作位置)、バッテリ蓄電量SOC、フットブレーキの操作量などの運転状態に応じて副変速機16の変速モードを前記図3に従って切り換えたり、前記図4に従ってエンジン12およびモータジェネレータ14の作動を制御したりする。
【0029】図5の減速度/トルク設定スイッチ52は、例えば図7に示すようなスライドスイッチによって構成され、シフトレバーの近傍などに配設される。これは、副変速機16が回生制動モード「2nd(回生)」の時のモータジェネレータ14の回生制動トルクを手動で調整するもので、手前に引く程制動トルクは増大する。すなわち、この減速度/トルク設定スイッチ52の操作位置に従って、図4の回生制動モード「2nd(回生)」のラインは上下に移動させられるのである。また、図8の設定減速度インジケータ54には、減速度/トルク設定スイッチ52の操作位置に応じて、回生制動トルクが大きくなる程長さが長くなる後向きの矢印で設定状態が表示される。この設定減速度インジケータ54は、インストルメントパネルに設けられる。
【0030】また、図5において、コントローラ(MO)66はエンジン始動用の電動モータ60の出力(トルク)制御を行うものである。コントローラ(MG14)68およびコントローラ(MG24)70はモータジェネレータ14および24の出力(トルク)制御および回生制御等を行うインバータである。電動オイルポンプ72は前記クラッチC1、C2やブレーキB、或いはABSアクチュエータ74等に油圧を供給するためのものである。システムインジケータ76は、シフトレバーが手動変速ポジションすなわち前記「A」位置乃至「F」位置の「M」ポジションまたは「B」ポジションへ操作された場合に作動させられて、CVT18のギヤ比γ或いは変速機全体の変速比iが図9に示すように数値表示される。何等かの理由により「M」ポジション、「B」ポジションでギヤ比γ或いは変速比iが点灯しない場合はフェール判定が為される。フェール時には、たとえばギヤ比γ或いは変速比iを示すシステムインジケータ76の数字表示を点滅させるようにしても良い。
【0031】図10は、前記「A」位置乃至「F」位置の「M」ポジションが選択されたときのCVT18のギヤ比を設定する画面90を示している。この画面90はインストルメントパネルに設けられた画像表示器に設けられる。この画像表示器は、たとえば、前記設定減速度インジケータ54と兼用される。ギヤ比設定モードが選択された場合において、図10の左側に示すH溝上の文字「A」位置乃至「F」位置のいずれかに触れれば、設定ギヤ比表示場所92内のその手動変速ポジションに対応するギヤ比表示が点滅させられる。当初の設定ギヤ比にはノミナル値が設定されている。設定ギヤ比表示場所92の右隣のノミナル釦94が押圧操作されるとその設定ギヤ比がノミナル値に戻される。設定ギヤ比表示場所92内のギヤ比表示が点滅させられた状態でオリジナル釦96が押圧操作されると、その下側の設定パネル98および100が有効化されてギヤ比の設定が可能となる。左側設定パネル98では、それに表示された数値をタッチすることにより点滅中のギヤ比が設定される。右側設定パネル100では、その+釦および−釦にタッチすることにより現在値から増減させられる。そして、セット釦102が操作されると、点滅が終了してギヤ比が確定される。このようにして設定されたギヤ比を記憶させる場合には、メモリイン釦104が操作される。メモリアウト釦106が操作されると、そのメモリイン釦104の操作により記憶された設定ギヤ比が即座に表示される。なお、上記「M」ポジションの「A」位置乃至「F」位置は、低速ギヤ段乃至高速ギヤ段に対応するものであり、それら「A」位置乃至「F」位置におけるギヤ比は、手動にて選択される第1速ギヤ段乃至第6速ギヤ段に対応するものであり、大きい値から小さい値へ順次変化させられる。この規則に反した値が設定された場合には、設定値が受付られずノミナル値とされ、同時に警告音が出力されるようになっている。
【0032】図11は、上記ECU50の制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図11において、ギヤ比設定手段108は、たとえば、図10の画面90に示されるタッチスイッチを利用して、上記のように「A」位置乃至「F」位置のギヤ比を設定する。ダウン変速指令判定手段110は、シフトレバー112が前記手動変速操作位置(Mポジション)において「B」位置乃至「F」位置の何れかからその位置よりもギヤ比の大きい「A」位置乃至「E」位置の何れかへダウンシフト操作されたことに関連するダウン変速指令が出されたか否かを判断する。減速走行判定手段114は、たとえばクラッチC1およびC2が共に係合し且つブレーキBが解放している状態において、アクセルペダルが非操作位置にあって少なくともエンジン12の回転抵抗による制動作用を発生させつつ走行する車両の減速走行状態であるか否かを判定する。
【0033】エンジン過回転判定手段116は、たとえば減速走行判定手段114により車両の減速走行が判定され、且つダウン変速指令判定手段110によりシフトレバー112によるダウン変速指令が出されたと判定された場合は、そのダウン変速指令に従った変速が行われるとエンジン12の過回転の発生が予測されるか否かを、そのときの実際の車速V(NOUT )およびダウン変速指令に従う変速機全体の変速比すなわち指令変速比iC に基づいて判定する。この指令変速比ic にはたとえばダウン変速後に得られる値であって、変速前には目標値としての性格を有する。すなわち、ダウン変速後に予想されるエンジン回転速度NE (=iC×NOUT )が予め設定された過回転領域内たとえばレッドゾーン内に入ることが予測されるか否かが判定される。上記指令変速比ic は、ダウン変速指令によるCVT18の指令ギヤ比γC と副変速機16の変速比rとの積である。上記指令ギヤ比γC は、シフトレバー112によりダウン変速操作された「A」位置乃至「E」位置の何れかのギヤ比である。
【0034】ダウン変速禁止手段118は、上記エンジン過回転判定手段116によりエンジン12の過回転の発生が予測されると判定された場合には、上記ダウン変速指令に従う指令変速比iC へのダウン変速、すなわちCVT18のダウン変速を開始させないでその実行を禁止或いは阻止する。
【0035】回生トルク制御手段120は、上記ダウン変速指令に従う指令変速比での減速走行に比較して減速度が不足する分を補うための回生トルク好適にはその不足分に対応する回生トルクを、前記モータジェネレータ14から発生させる、すなわち増加させる。たとえば、シフトレバー112がMポジッションにおけるC位置からA位置へ操作された場合では、A位置で設定されているギヤ比(指令ギヤ比γC )3.357へのダウン変速が禁止されても、その指令ギヤ比3.357へダウン変速が行われたときと同様の減速度が得られるように、モータジェネレータ14の回生トルクが制御される。
【0036】無段変速機制御手段122は、上記ダウン変速禁止手段118によってダウン変速指令に従う指令変速比iC へのダウン変速が禁止された場合には、エンジン回転速度NE が予め設定された過回転領域を下回る値となる範囲でCVT18をダウン変速させる。上記回生トルク制御手段120は、その無段変速機制御手段122によるCVT18のダウン変速が行われたギヤ比γでの走行において減速度の不足分に対応する回生トルクを発生させ、増加させる。上記無段変速機制御手段122は、CVT18の目標ギヤ比γT を決定する目標ギヤ比決定手段124と、その目標ギヤ比決定手段124により決定された目標ギヤ比γT にそのCVT18の実際のギヤ比γを一致させるようにCVT18を制御するギヤ比制御手段126とを含む。
【0037】ダウン変速可能判定手段130は、ダウン変速禁止手段118によりダウン変速指令に従う指令変速比iC へのダウン変速が禁止された場合において、実際の車速Vおよび変速比iに基づいてその指令変速比iC へのダウン変速が可能な状態となったか否かを判定する。すなわち、車速Vが低下してダウン変速後のエンジン回転速度NE (=iC ×NOUT )が予め設定された過回転領域たとえばレッドゾーンを下まわることが予測されるか否かが判定される。前記無段変速機制御手段122は、そのダウン変速可能判定手段130により指令変速比iC へのダウン変速が可能であると判定された場合には、CVT18の目標ギヤ比γT をその指令変速比ic が得られる指令ギヤ比γC に一致させ、CVT18の実際のギヤ比γをその指令ギヤ比γC となるように制御する。
【0038】表示手段128は、ダウン変速禁止手段118によりダウン変速指令に従う指令変速比iC のダウン変速が禁止された場合には、CVT18の実際のギヤ比γと目標ギヤ比γT (=指令ギヤ比γC )との不一致、或いは実際の変速比iと指令変速比iC との不一致を示す表示を前述のインストルメントパネルに設けられたシステムインジケ─タ76内の画面90などの画像表示器において行う。また、上記表示手段128は、上記無段変速機制御手段122によりCVT18の実際のギヤ比γ或いは変速比iと指令ギヤ比γC 或いは指令変速比iC とが一致させられた場合には、上記表示器において不一致を示す表示を取り消す。
【0039】図12および図13は、上記ECU50の制御作動の要部を説明するフローチャートであって、図12はダウン変速禁止制御ルーチンを、図13はダウン変速禁止復帰ルーチンをそれぞれ示している。
【0040】図12のステップ(以下、ステップを省略する)SA1では、本制御に必要な各種の入力信号を読み込んだり、全体の変速比i、CVT18のギヤ比γ、副変速機16の変速比rの演算等の入力信号処理が行われる。続いて、前記ダウン変速指令判定手段110に対応するステップSA2およびSA3では、シフトレバー112の操作位置がマニアルポジションすなわちMポジションであるか否か、およびダウン変速操作されたか否かが、シフトポジションスイッチ82(図5参照)から供給される信号に基づいて判断される。上記SA2およびSA3のいずれかの判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、SA2およびSA3の判断が共に肯定された場合は、前記エンジン過回転判定手段116およびダウン変速禁止手段118に対応するSA4において、上記ダウン変速操作に基づくダウン変速指令に従った変速が行われるとエンジン12の過回転の発生が予測されるか否かが、そのときの実際の車速V(NOUT )およびダウン変速指令に従うの変速機全体の変速比すなわち指令変速比iC に基づいて判定される。
【0041】上記SA4の判断が否定される場合、すなわち上記ダウン変速指令に従った変速が行われてもエンジン12の過回転の発生が予測されない場合は、SA5においてダウン変速が実行される。たとえば、シフトレバー112が第3速ギヤ段に相当する「C」位置から第2速ギヤ段に相当する「B」位置へ操作された場合には、その「B」位置のギヤ比γ2 (=2.180)となるようにCVT18が制御される。すなわち、目標ギヤ比γT が2.180に設定され、その目標ギヤ比γT に実際のギヤ比γが一致するようにCVT18のギヤ比が制御される。
【0042】しかし、上記SA4の判断が肯定される場合、すなわち上記ダウン変速指令に従ったダウン変速が行われるとエンジン12の過回転の発生が予測される場合は、上記ダウン変速指令に従ったダウン変速が禁止されてSA6以下が実行される。たとえば、比較的高車速においてシフトレバー112が第3速ギヤ段に相当する「C」位置から第1速ギヤ段に相当する「A」位置へ操作された場合に該当する。
【0043】前記目標ギヤ比決定手段124に対応するSA6では、CVT18の目標ギヤ比γT が上記「A」位置のギヤ比γ1 (=3.357)よりも小さい値であって上記過回転の発生が予測されない範囲であって可及的に大きい暫定値、たとえば3.100に決定される。次いで、前記ギヤ比制御手段126に対応するSA7では、SA6において決定された目標ギヤ比γT に実際のギヤ比γが一致するようにCVT18が制御される。
【0044】次いで、前記回生トルク制御手段120に対応するSA8では、回生トルク制御手段120は、上記ダウン変速指令に従う指令変速比での減速走行に比較して減速度が不足する分を補うための回生トルク好適にはその不足する分に対応する回生トルクを、前記モータジェネレータ14から発生させ、増加させる。すなわち、シフトレバー112がMポジッションにおけるC位置からA位置へ操作された場合では、A位置で設定されているギヤ比(指令ギヤ比γC )3.357へのダウン変速が禁止されても、その指令ギヤ比3.357へダウン変速が行われたときと同様の減速度が得られるように、モータジェネレータ14の回生トルクが増加させられる。そして、前記表示手段128に対応するSA9において、シフトレバー112の操作によるダウン変速指令が求める指令ギヤ比γC 或いは指令変速比iC と実際のギヤ比γ或いは変速比iとが不一致であることを示す表示が行われる。
【0045】図13のSB1では、上記指令ギヤ比γC 或いは指令変速比iC と実際のギヤ比γ或いは変速比iとが不一致であるか否かが判断される。このSB1の判断が否定される場合すなわち一致している場合は復帰制御を必要としないので本ルーチンが終了させられるが、SB1の判断が肯定される場合すなわち手動ダウン変速が禁止されている場合は、SB2およびSB3において、実際の車速Vおよび変速比iなどが読み込まれる。次いで、前記ダウン変速可能判定手段130に対応するSB4において、ダウン変速指令に従う指令変速比iC へのダウン変速が禁止された場合において、実際の車速Vおよび変速比iに基づいてその指令変速比iC へのダウン変速が可能な状態となったか否かが判定される。すなわち、車速Vが低下して、ダウン変速後のエンジン回転速度NE (=iC ×NOUT )が予め設定された過回転領域たとえばレッドゾーンを下まわることが予測されるか否かが判定される。
【0046】上記SB4の判断が否定される場合は、SB5においてCVT18の現在のギヤ比γが維持される。しかし、車速Vの低下によってそのSB4の判断が肯定されると、前記目標ギヤ比決定手段124に対応するSB6において、目標ギヤ比γT として指令ギヤ比γC すなわち「A」位置のギヤ比γ1 (=3.357)が決定されるとともに、前記ギヤ比制御手段126に対応するSB7において、その目標ギヤ比γT に実際のギヤ比γが一致させられるようにCVT18が制御され、シフトレバー112によりすでに操作された「A」位置へのダウン変速が行われる。同時に、前記回生トルク制御手段120に対応するSB8において、「A」位置へのダウン変速に対応する減速度が得られるように、モータジェネレータ14による回生トルクが減少させられる。
【0047】続いて、SB9において、上記指令ギヤ比γC 或いは指令変速比iC と実際のギヤ比γ或いは変速比iとが不一致であるか否かが再び判断される。当初は上記SB9の判断が肯定されるので、表示手段128に対応するSB10において不一致表示が継続される。しかし、所定の応答時間が経過して上記SB9の判断が否定されると、表示手段128に対応するSB11において不一致の表示が解消される。
【0048】上述のように、本実施例によれば、ダウン変速禁止手段118(SA4)によりダウン変速指令に従うダウン変速後の指令変速比iC へのダウン変速が禁止されると、回生トルク制御手段120(SA8)により、手動ダウン変速指令に従う指令変速比iC での減速走行(所謂エンジンブレーキ走行)に比較して減速度が不足する分を補うための回生トルクが、モータジェネレータ14から発生させられるので、ダウン変速禁止手段118(SA4)によりエンジンの過回転を防止するためにダウン変速指令に従う指令変速比へのダウン変速が禁止されても、減速走行においてダウン変速操作を行った運転者が期待する減速度が得られる。
【0049】また、本実施例によれば、ダウン変速禁止手段118(SA4)によってダウン変速指令に従う指令変速比へのダウン変速が禁止された場合には、エンジン回転速度NE が予め設定された過回転領域を下回る値となる範囲で車両変速機に含まれるCVT18をダウン変速させる無段変速機制御手段122(SA6、SA7)が設けられ、上記回生トルク制御手段120(SA8)は、その無段変速機制御手段122によるCVT18のダウン変速が行われたときのギヤ比での走行において減速度の不足分に対応する回生トルクを発生させるものである。このため、モータジェネレータ14の回生が受け持つ割合が少なくなるので、スポーツ走行におけるダウン変速操作のような比較的大きな減速度が期待される場合でも、運転者が期待する減速度が得られる。
【0050】また、本実施例によれば、無段変速機制御手段122は、CVT18の目標ギヤ比γT を決定する目標ギヤ比決定手段124(SA6、SB6)と、その目標ギヤ比決定手段124により決定された目標ギヤ比γT にそのCVT18の実際のギヤ比γを一致させるようにCVT18のギヤ比γを制御するギヤ比制御手段126(SA7、SB7)とを含み、ダウン変速禁止手段118によりダウン変速指令に従うダウン変速後の指令ギヤ比γC へのダウン変速が禁止された場合には、CVT18の実際のギヤ比γと指令ギヤ比γC との不一致を示す表示を表示器において行う表示手段128が、さらに設けられているので、ダウン変速指令に従う変速後のCVT18のギヤ比γと指令ギヤ比γC とが相違していることを運転者が容易に認識できる利点がある。
【0051】また、本実施例によれば、ダウン変速禁止手段118によりダウン変速指令に従う指令変速比iC へのダウン変速が禁止された場合において、実際の車速Vおよび変速比iに基づいてその指令変速比iC へのダウン変速が可能であるか否かを判定するダウン変速可能判定手段130(SB4)が設けられ、無段変速機制御手段122は、そのダウン変速可能判定手段130により指令変速比iC へのダウン変速が可能であると判定された場合には、CVT18の目標ギヤ比γT をその指令変速比iC が得られる指令ギヤ比γC に一致させ、CVT18の実際のギヤ比γをその指令ギヤ比γC となるように制御するものであるので、ダウン変速可能が判定されたときに、ダウン変速指令に従った指令変速比iC へのダウン変速が行われる利点がある。
【0052】また、本実施例によれば、表示手段128(SB11)は、上記無段変速機制御手段122によりCVT18の実際のギヤ比γと指令ギヤ比γC とが一致させられた場合すなわち全体の変速比iが指令変速比iC と一致させられた場合には、前記表示器において不一致を示す表示を取り消すものであるので、シフトレバー112を用いた手動ダウン変速指令によるダウン変速が完了したことが運転者によって把握できる利点がある。
【0053】以上、本発明の一実施例を図1乃至図13に基づいて説明したが、本発明は他の態様においても適用される。
【0054】たとえば、前述の実施例において、ハイブリッド車両の動力伝達装置10に設けられて変速機は無段のCVT18と有段の副変速機16とから構成されていたが、無段変速機或いは有段変速機から構成されたものであっても、差し支えなく本発明が適用される。
【0055】また、前述の実施例の車両では、シフトレバー112のMポジションにおけるダウン変速が説明されていたが、Bポジションにおけるダウン変速であってもよい。
【0056】また、前述の実施例の車両では、シフトレバー112が手動ダウン変速のために操作されるように構成されていたが、ステアリングホイールなどに設けられたシフトボタンにより手動ダウン変速させられるものであってもよい。
【0057】また、前述の実施例の回生トルク制御手段120(SA8)は、ダウン変速指令に従うダウン変速後の指令変速比ic での減速走行に比較して減速度が不足する分を補うための回生トルクを、前記電動モータから発生させるものであったが、その不足する分を補うための回生トルクとは、その不足分と略同じ量であってもよいし、その不足分よりも小さくてもよい。要するに、減速度の低下が改善される程度に回生トルクが増加させられればよいのである。
【0058】また、前述の図11に示す実施例では、減速走行判定手段114が設けられていたが、かならずしも設けられていなくてもよい。
【0059】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成11年5月14日(1999.5.14)
【代理人】 【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸 (外2名)
【公開番号】 特開2000−324614(P2000−324614A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−133787