トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 回生制動装置
【発明者】 【氏名】浜井 九五

【氏名】谷内 理

【要約】 【課題】車両において、既存のパワートレーンを利用可能であるとともに既存の生産ラインを利用可能であり、かつ、運転者に違和感を与えることなく燃費の向上を図ることができる回生制動装置を提供すること。

【解決手段】エンジンの出力軸と変速装置の入力軸との間に介在され、前記エンジンの出力軸及び前記変速装置の入力軸との間でトルク伝達を行う回転要素に対してトルクを授受可能に設けられ、発電機及び電動機として機能する発電電動機aと、制動時にブレーキの油圧を少なくとも減圧する回生バルブdと、減速時のエンジン負荷を切り換える負荷切換手段と、減速時に前記エンジンと前記発電電動機aと前記回生バルブdと前記負荷切換手段に対して制御信号を出力して発電電動機aにより回生を行う回生制御を行うエネルギマネジメント制御コントロールユニットcと、を備えていることとした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの出力軸と変速装置の入力軸との間に介在され、前記エンジンの出力軸及び前記変速装置の入力軸との間でトルク伝達を行う回転要素に対してトルクを授受可能に設けられ、発電機及び電動機として機能する発電電動機と、制動時にブレーキの油圧を少なくとも減圧する回生バルブと、減速時のエンジン負荷を切り換える負荷切換手段と、減速時に前記エンジンと前記発電電動機と前記回生バルブと前記負荷切換手段に対して制御信号を出力して発電電動機により回生を行う回生制御を行うエネルギマネジメント制御コントロールユニットと、を備えていることを特徴とする回生制動装置。
【請求項2】 請求項1に記載の回生制動装置において、前記負荷切換手段として前記エンジンに可変動弁機構を設け、前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットを、回生制御時に所定条件で可変動弁機構により弁停止させたときのエネルギの損失防止分のエネルギであるポンプ損失エネルギを演算し、バッテリの過充電限界と現在の電位との差に基づく回生可能量を演算し、さらに、この回生可能量から前記ポンプ損失エネルギを差し引いた差分を求め、差分が正のときは、この差分に相当する制動エネルギ分のブレーキ油圧を前記回生バルブよりリークさせるよう構成したことを特徴とする回生制動装置。
【請求項3】 請求項1に記載の回生制動装置において、前記負荷切換手段として前記エンジンと前記発電電動機の間にクラッチを設け、前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットを、回生制御時に、所定条件で前記クラッチの接続を解除し、このときのエンジンブレーキ分の制動エネルギを演算し、バッテリの過充電限界と現在の電位との差に基づく回生可能量を演算し、さらに、この回生可能量から前記エンジンブレーキ分の制動エネルギを差し引いた差分を求め、差分が正のときは、この差分に相当する制動エネルギ分のブレーキ油圧を前記回生バルブよりリークさせるよう構成したことを特徴とする回生制動装置。
【請求項4】 請求項1に記載の回生制動装置において、前記負荷切換手段として前記可変動弁機構と前記クラッチの両方を設け、前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットを、回生制御時に、所定条件で前記クラッチの接続を解除又は前記可変動弁機構による弁停止を行い、前記エンジンブレーキ分の制動エネルギ又は前記エンジンブレーキ分の制動エネルギから前記ポンプ損失エネルギを差し引いた機械フリクションエネルギ又はポンプ損失エネルギを演算し、前記回生可能量から前記エンジンブレーキ分のエネルギ又は機械フリクションエネルギ又はポンプ損失エネルギもしくはこれらの組み合わせを差し引いた差分を求め、差分が正のときは、この差分に相当する制動エネルギ分のブレーキ油圧を前記回生バルブよりリークさせるよう構成したことを特徴とする回生制動装置。
【請求項5】 請求項3又は4に記載の回生制動装置において、前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットを、前記クラッチの接続を解除した際、前記エンジンを停止する制御を行うよう構成したことを特徴とする回生制動装置。
【請求項6】 請求項3ないし5に記載の回生制動装置において、エンジンの吸気系に負圧経路を介して接続されて吸気負圧により作動するアクチュエータを設け、前記負圧経路に真空ポンプとバキュームタンクの少なくとも一方を設けたことを特徴とする回生制動装置。
【請求項7】 請求項1ないし6に記載の回生制動装置において、前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットを、回生制御の実行中に再度ブレーキ踏力が発生したときは、この回生制御を中止するよう構成したことを特徴とする回生制動装置。
【請求項8】 請求項3ないし7に記載の回生制動装置において、前記クラッチとしてロックアップ状態を形成可能に設けられたロックアップクラッチ付きトルクコンバータのロックアップクラッチを用いたことを特徴とする回生制動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンと変速機との間に介在され、発電機及び電動機として機能する発電電動機を有した発電電動ユニットを備えた車両における、燃費向上ための回生制動対応ブレーキ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車において環境および有限資源に対する考慮から燃費の向上が望まれている。この燃費向上を図る技術の1つとして、エンジンの駆動力伝達系に発電電動機を設け、例えば、走行エネルギを電力として取り出す回生を行ったり、電動機の出力トルクによりエンジントルクをアシストするなどする技術が提案されている。
【0003】このような従来技術として、例えば、特開平7−123509号公報記載の技術や、特開平10−225058号公報記載の技術が知られている。前者の従来技術は、エンジンの出力軸とトルクを授受可能に発電電動機が設けられており、バッテリ残量に余裕がある場合には、発電電動機をモータとして機能させてエンジンの駆動力をアシストし、また、制動時には、発電電動機を発電機として機能させてバッテリ容量を超えない範囲で走行エネルギを電力として回生するものである。これにより、従来のパワートレーンを用いながら燃費の向上を図ることができる。
【0004】後者の従来技術は、いわゆるハイブリッドカーと呼ばれる技術であって、これはエンジンとクラッチモータとアシストモータとを備え、これらの駆動を制御することにより、走行エネルギの発生、走行中の発電、制動時の回生を効率よく行うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の従来技術にあっては、以下に述べるような解決すべき課題を有していた。すなわち、特開平7−123509号公報記載の従来技術にあっては、ブレーキ踏量に応じて回生量を算出し発電させているものの、発電電動機とエンジンが直結されており、発電電動機に発電動作を行わせる際には、減速時においてはエンジンブレーキ及びブレーキによる制動力に上乗せする形で回生制動力を得ているため、運転者に違和感を与えてしまうという問題があった。上記のような従来技術の問題に対して、特開平10−225058号公報記載の従来技術は、エンジンとクラッチモータとアシストモータの運転を制御することにより、モータ駆動による走行およびエンジンアシスト・回生・発電を効率よく行うことができる。しかしながら、この従来技術は、既存のエンジンと変速装置とを有したパワートレーンとは全く異なる構成であって、既存のパワートレーンを利用したり、既存の生産ラインを利用するすることができないため、非常に高価になってしまうという問題を有している。さらに、近年のハイテク化により車両に搭載される電装部品が急激に増加しているため少しでも効率よく発電及び回生を行う必要がある。
【0006】本発明は上述の従来の問題点に着目してなされたもので、既存のパワートレーンを利用可能であるとともに既存の生産ラインを利用可能であり、かつ、運転者に違和感を与えることなく燃費の向上を図ることができる回生制動装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するため、請求項1に記載の回生制動装置では、図1のクレーム対応図に示すように、エンジンの出力軸と変速装置の入力軸との間に介在され、前記エンジンの出力軸及び前記変速装置の入力軸との間でトルク伝達を行う回転要素に対してトルクを授受可能に設けられ、発電機及び電動機として機能する発電電動機aと、制動時にブレーキの油圧を少なくとも減圧する回生バルブdと、減速時のエンジン負荷を切り換える負荷切換手段と、減速時に前記エンジンと前記発電電動機aと前記回生バルブdと前記負荷切換手段に対して制御信号を出力して発電電動機aにより回生を行う回生制御を行うエネルギマネジメント制御コントロールユニットcと、を備えていることとした。これにより、減速時に前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットcにおいて、運転者の要求制動力及び回生可能な制動エネルギを演算し、その回生可能なエネルギに相当するエネルギを前記負荷切換手段及びブレーキ油圧の回生バルブdからのリークにより減少させ、その分の制動力を発電電動機aにより発生させることで、運転者に違和感を与えることなく発電電動機aにより制動エネルギを回生することができる。
【0008】請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の回生制動装置において、前記負荷切換手段として前記エンジンに可変動弁機構eを設け、前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットcを、回生制御時に所定条件で可変動弁機構eにより弁停止させたときのエネルギの損失防止分のエネルギであるポンプ損失エネルギを演算し、バッテリの過充電限界と現在の電位との差に基づく回生可能量を演算し、さらに、この回生可能量から前記ポンプ損失エネルギを差し引いた差分を求め、差分が正のときは、この差分に相当する制動エネルギ分のブレーキ油圧を前記回生バルブdよりリークさせるよう構成していることとした。これにより、エンジンと変速装置とが直結されている場合でも、可変動弁機構eにより弁停止させ、前記エンジンのシリンダ内の空気を密閉することで気体の流入流出に伴う移動エネルギの損失を防止し、これにより負荷切換手段としてエンジンのエネルギ損失を抑えた分だけエンジン側の負荷を落として、この負荷を落とした分だけ回生することにより、違和感なく回生を行うことができる。すなわち、従来、エンジンと変速装置とが直結された状態では、回生作動を行うと、通常のエンジンブレーキ相当の制動力に加えて回生分の制動力が発生するため、制動力が増して違和感を感じる。しかしながら、この請求項2の発明では、エンジンと変速装置とが直結された状態において、エンジンのエネルギ損失を抑えてエンジンブレーキ分の制動力を低下させ、この低下分を回生するからトータルの制動力はエンジンブレーキ分となって違和感が生じない。また、基本的には負荷切換手段により回生を行うが、回生可能量と前記ポンプ損失エネルギとの差分を求めることにより、回生可能量に余裕があれば、その差分を回生バルブdによるブレーキ油圧のリークによりブレーキの制動力を減少させ、発電電動機aによってさらに回生することが可能となり、効率よく回生を行うことができる。
【0009】請求項3に記載の発明においては、請求項1に記載の回生制動装置において、前記負荷切換手段として前記エンジンと前記発電電動機aの間にクラッチbを設け、前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットcを、回生制御時に、所定条件で前記クラッチbの接続を解除し、このときのエンジンブレーキ分の制動エネルギを演算し、バッテリの過充電限界と現在の電位との差に基づく回生可能量を演算し、さらに、この回生可能量から前記エンジンブレーキ分の制動エネルギを差し引いた差分を求め、差分が正のときは、この差分に相当する制動エネルギ分のブレーキ油圧を前記回生バルブdよりリークさせるよう構成していることとした。これにより、クラッチbの接続を解除することで負荷切り換えを行うことが可能となり、エンジンブレーキ相当の制動力を回生することができる。よってトータルの制動力はエンジンブレーキ分となって違和感が生じない。
【0010】請求項4に記載の発明では、請求項1に記載の回生制動装置において、前記負荷切換手段として前記可変動弁機構eと前記クラッチbの両方を設け、前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットcを、回生制御時に、所定条件で前記クラッチbの接続を解除又は前記可変動弁機構eによる弁停止を行い、前記エンジンブレーキ分の制動エネルギ又は前記エンジンブレーキ分の制動エネルギから前記ポンプ損失エネルギを差し引いた機械フリクションエネルギ又はポンプ損失エネルギを演算し、前記回生可能量から前記エンジンブレーキ分のエネルギ又は機械フリクションエネルギ又はポンプ損失エネルギもしくはこれらの組み合わせを差し引いた差分を求め、差分が正のときは、この差分に相当する制動エネルギ分のブレーキ油圧を前記回生バルブdよりリークさせるよう構成していることとした。これにより、バッテリ状況に応じて機械フリクションエネルギのみ、もしくはポンプ損失エネルギのみ、もしくはその両方といったように負荷を切り換えることが可能となり、エネルギマネジメント制御コントロールユニットcにおける制御自由度が高まり、効率よく回生制御を行うことができる。
【0011】請求項5に記載の発明では、請求項3又は4に記載の回生制動装置において、前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットdを、前記クラッチbの接続を解除した際、前記エンジンを停止する制御を行うよう構成していることとした。これにより、回生制御を実行中は、エンジンへの燃料噴射量を抑えることが可能となり、さらに燃費を向上することができる。
【0012】請求項6に記載の発明では、請求項3ないし5に記載の回生制動装置において、エンジンの吸気系に負圧経路を介して接続されて吸気負圧により作動するアクチュエータを設け、前記負圧経路に真空ポンプとバキュームタンクの少なくとも一方を設けていることとした。これにより、エネルギマネジメント制御コントロールユニットcにおいて、もっとも効率の良い状態を演算する際、負圧作動によるアクチュエータの作動がエンジンの状態に左右されることがないため、制御の自由度を高めることが可能となり、これにより燃費を向上することができる。
【0013】請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6に記載の回生制動装置において、前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットcを、回生制御の実行中に再度ブレーキ踏力が発生したときは、この回生制御を中止するよう構成していることとした。これにより、頻繁にブレーキを踏むような状況に置いて、安全停止を通常のブレーキにより確実に行い、停止間距離を運転者の意のままに操作することができる。
【0014】請求項8に記載の発明では、請求項3ないし7に記載の回生制動装置において、前記クラッチbとしてロックアップ状態を形成可能に設けられたロックアップクラッチ付きトルクコンバータのロックアップクラッチを用いていることとした。これにより、発進時にはトルクコンバータによるトルク増幅効果が得られるためエンジン出力の小さい車両においても適用することができる。また、減速時等においては、トルクコンバータの機構上、車輪側からの入力トルクに対してはエンジンに対してトルクを伝達することがないため、その分を発電電動機aにより回生することができる。
【0015】
【実施の形態】以下本願発明における各実施の形態をより詳しく説明する。
(実施の形態1)図2は、本発明の実施の形態1の全体構成図である。まず構成を説明すると、発電電動ユニット2は、エンジン1の出力軸と変速装置3の入力軸との間に介在されている。前記エンジン1は例えばガソリンにより運転され、このエンジン1から出力される回転力がエンジン出力軸を介してエンジン1の側面に固定された発電電動ユニット2に出力される。発電電動ユニット2には、電動機及び発電機として機能する発電電動機(後述のフローチャートではSTR/ALTと表記する。)11と、エンジン1と発電電動機11を断接可能なエンジン側クラッチ12が設けられている。これにより、減速時等において発電電動機11によりエンジンブレーキ分の制動エネルギを回生可能としている。
【0016】また、この車両には車両のエネルギを全体的にコントロールするためのエネルギマネジメント制御コントロールユニットC1が設けられており、このエネルギマネジメント制御コントロールユニットC1は、変速装置を制御するATコントロールユニットC2と発電電動機を制御するSTR/ALTコントロールユニットC3とエンジンを制御するエンジンコントロールユニットC4とバッテリ14に対して制御信号を出力している。これにより、もっとも効率の良い状態をエネルギマネジメント制御コントロールユニットC1で演算し、各コントロールユニットに制御信号を出力することで燃費向上を図っている。
【0017】運転者が車両を制動するときには、ブレーキペダルを踏み、その踏力は、マスタシリンダ7へと伝達される。このマスタシリンダ7に設けられ、エンジン1の吸気系等において発生した負圧を利用した増圧装置により増圧された油圧が回生バルブ9へ伝達される。このとき、負圧経路13に設けられた負圧センサ5によって負圧状態が監視され、エンジン1が停止した状態でも運転者が違和感なく制動力を得るために負圧供給路13にバキュームタンク6及び真空ポンプ4が設けられている。これにより、エンジン停止時において吸気系等の負圧が発生しない場合においても、常に安定した負圧を供給でき、運転者に違和感を与えることなくブレーキ操作をする事ができる。
【0018】前記回生バルブ9はON/OFF弁により構成され、エネルギマネジメント制御コントロールユニットC1からの信号によりduty制御によって油圧のリーク量等を制御している。ブレーキ制動による減速時に所定の条件を満たしていれば、前記発電電動機11によって制動エネルギを回生し、その回生分に見合った制動力分の油圧を前記回生バルブ9によりリークすることで、運転者に違和感を与えることなく効率よくエネルギを回生することができる。ここで、発電電動機11の性能とバッテリの回生可能量との関係を制動力及び車両速度の関係に基づいて図14に示す。
【0019】前記回生バルブ9にはABS装置が設けられており、車両の急停車時等に車輪をロックしないよう構成されている。図3にはABS装置の構成図を示す。図中7はマスタシリンダである。このマスタシリンダ7は、運転者がブレーキペダルを操作することにより液圧を発生するよう構成されている。
【0020】図3において、WCはホイルシリンダを示している。なお、()内の符号、FLは左前輪のホイルシリンダ、FRは右前輪のホイルシリンダ、Rは後輪のホイルシリンダを示している。なお、後輪のホイルシリンダWCは、左右の車輪にそれぞれ設けられているが、本実施の形態では、両者は同圧に制御するため、図面では1つしか示していない。これらホイルシリンダWCは、ブレーキ回路21,22を介してマスタシリンダMC7に接続されているもので、左右前輪のホイルシリンダWC(FL),WC(FR)に接続されたブレーキ回路21と、左右後輪のホイルシリンダWC(R)に接続されたブレーキ回路22との2系統が設けられている。また、以下の説明において前記ホイルシリンダWC(FL)(FR)(R)について、特定のものを指さない場合には、WCとだけ表記する。
【0021】前輪側のブレーキ回路21は、分岐点21dにおいて各前輪のホイルシリンダ(FL),(FR)に向けて分岐回路21Lと分岐回路21Rとに分岐され、各分岐回路21L,21Rの途中には、流入弁25が設けられ、また、ブレーキ回路22の途中にも流入弁25が設けられている。これら流入弁25は、非作動時にスプリング力により回路21L,21R,22を連通状態とし、作動時(通電時)にこれらを遮断する常開の2ポート2ポジションの電磁切替弁により構成されている。また、各流入弁25には、これを迂回するバイパス路21hが設けられ、このバイパス路21hに、下流(ホイルシリンダWC側)から上流(マスタシリンダMC側)への戻りのみを許す一方弁21gが設けられている。
【0022】また、各流入弁25の下流には、ブレーキ回路21,22と液圧を畜圧可能に構成されたリザーバ27とを連通させるドレーン回路30が接続されている。そして、これらドレーン回路30に流出弁26が設けられている。これら流出弁26は、非作動時にドレーン回路30を遮断し、作動時にドレーン回路30を連通させる常閉の2ポート2ポジションの電磁切替弁により構成されている。
【0023】前記ドレーン回路30は、還流回路31を介して、各ブレーキ回路21,22の流入弁25よりも上流位置に接続されている。そして、前記還流回路31の途中にリザーバ27に貯留されているブレーキ液をブレーキ回路21,22に戻すポンプ24,24が設けられている。これらポンプ24は、それぞれプランジャ24pが摺動するのに伴って容積室の容積が変化することで吸入・吐出を行うプランジャ型のものであり、モータMの駆動で作動する。なお、各ポンプ24には、それぞれ一方弁構造の吸入弁24a,吐出弁24bが設けられているとともに、吐出側に脈動吸収用のダンパ24dが設けられている。
【0024】なお、以上説明した構成のうち、図3において一点鎖線BUで囲んでいる構成は、ブレーキユニットとして1つにまとめて収容されている。
【0025】本実施の形態1においては、ABSが作動していないことを確認したときにのみ、前記回生バルブ9により油圧をリークする。また、駆動輪からの入力トルクにより回生動作を行うため、望ましくは、駆動輪のホイルシリンダのみの油圧を減圧し、その分を発電電動機11で回生することで、前後輪のブレーキバランスを維持するものである。
【0026】また、エンジン1には、可変動弁機構(VELと称す)10が設けられており、これにより走行状態に応じて動弁の作動タイミングを変更することで、燃費の向上を図ることができる。ここでまず、VEL10の構成を図4により説明する。図において51は吸気弁であって(実際には吸気弁の上端部を示している)、この吸気弁51は図外のスプリングからバルブリフタ50に入力される付勢力により閉弁方向に付勢されている。また、図において52はカムシャフトで、このカムシャフト52が回転すると、カムシャフト52に一体に設けられたカム49が回転する。このカム49が回転すると、これに伴って揺動アーム47の図中左側端部が上下し、揺動アーム47は、図中右側端部がこれとは逆に上下するように制御軸45を中心に振り子運動を繰り返す。そして、これに伴って揺動カム48の上端部が上下する。したがって、揺動カム48が下方に変位した時に、バルブリフタ50が下方に押されて吸気弁51が開弁する。なお、図中53は揺動カム48を反時計回り方向に揺動付勢する捻りスプリングである。
【0027】前記制御軸45は、図中P2で示す点を軸心として回動可能に支持され、この回動を図4に示したVELアクチュエータ(電磁アクチュエータ)A1により行うように構成されている。すなわち、VELアクチュエータA1により制御軸45を回動させて圧肉部が移動すると揺動アーム47による揺動カム48の押し下げ量が変更されることによって、動弁機構の開閉時期とバルブリフト量を変更している。これにより、機関低速低負荷時における燃費の改善や安定した運転性、並びに高速高負荷時における吸気の充填効率の向上による十分な出力を確保する等のために、吸気・排気バルブの開閉時期とバルブリフト量を機関運転状態に応じて可変制御するものである。本実施の形態1では、いわゆるアトキンソンサイクルとすることにより燃焼効率の向上を図っている。
【0028】さらに、本実施の形態1にあっては、上記のVELアクチュエータA1の駆動に基づいて吸気弁51が全く開弁しない状態、すなわち弁停止状態を形成可能に構成されている。このように弁停止させた場合、エンジン1のシリンダ内の空気が密閉されて気体の流入流出に伴う移動エネルギの損失(尚、これをポンプ損失という。)が無くなる。
【0029】図5には、本発明の実施の形態1におけるブレーキ制動回生処理100のフローチャートを示す。
【0030】ステップ101では、回生可能量△E(△E=過充電限界−SOC現在値)が0よりも大きいかどうかを判断し、大きいときは回生可能と判断し、ステップ102へ進む。小さいときは、回生できないためこの処理を終了する。ここでSOCとは、バッテリの充電状態を表す量、例えばバッテリ出力電圧である。ステップ102では、ABSが作動しているかどうかを確認し、非作動であればステップ103へ進み、作動中であればこの処理を終了する。ステップ103では、車速が40km/hよりも大きいときには弁停止/ポンプ損失回生及びブレーキ制動回生処理200に進む。車速が10km/hよりも大きく、かつ、40km/h以下であれば、エンブレ回生及びブレーキ制動回生処理300へ進む。車速が10km/h以下であれば、ステップ104へ進む。ステップ104では、回生バルブの作動を停止し、エンブレ回生処理400へ進む。ステップ105では、回生終了処理を行う。
【0031】すなわち、SOCから△Erを充電可能と判断したときは、安全性の面からABSが非作動であることを確認し、車速によって次の処理を行う。ここで、SOCとバッテリ温度との関係及び△Erを図12に示す。車速が40km/hよりも大きければ、車両の安定性や再加速の応答性を考慮して弁停止/ポンプ損失回生+ブレーキ制動回生処理を行う。車速が10km/h<車速≦40km/hの間にあるときは、エンジンブレーキ分回生+ブレーキ制動回生処理を行う。車速が10km/h以下であれば、ブレーキ制動回生を行うほどの油圧が発生しないため、回生バルブの作動を停止し、エンジンブレーキ分回生のみを行う。このように車速によってもっとも安定した回生制動処理を行うため、車両の走行安定性を損なうことはない。
【0032】図6には、弁停止/ポンプ損失分回生+ブレーキ制動回生処理200のフローチャートを示す。
【0033】ステップ201では、回生可能量△Erを計算し、ステップ202へ進む。ステップ202では、エンジン回転数Neから機械フリクションEm及びポンプ損失Epをエンジン制御ユニットにより算出し、ステップ203へ進む。ステップ203では、回生可能量△Erからポンプ損失分Epを引いた差分Rを求め、ステップ204へ進む。ステップ204では、差分R>0かどうかを判定し、R=0であればステップ205へ進み、R>0であればステップ206へ進み、R<0であればステップ209へ進む。ステップ205では、ポンプ損失分Epのみ回生を行う。(VELの作動で弁停止する。)
ステップ206では、ブレーキ回生量Eb=差分Rの油圧ブレーキリーク量を求め、回生バルブのduty制御割合を決める。ステップ207では、ポンプ損失分Epを回生(VELの作動で弁停止する。)し、ステップ208へ進む。ステップ208では、ブレーキ回生量Eb分の回生(回生バルブのduty制御)を行う。ステップ209では、ブレーキ回生量Eb=△Erの油圧ブレーキリーク量を求め、回生バルブのduty制御割合を決め、ステップ210へ進む。ステップ210では、ブレーキ回生量Eb分の回生(回生バルブのduty制御を行う。)を行う。
【0034】すなわち、SOCから回生可能量△Erを決定し、エンジン回転数Neから機械フリクションEm及びポンプ損失Epをエンジン制御ユニットにより算出し、回生可能量△Erからポンプ損失Epを引いた差分Rを求め、この差分Rが0のときは、VELの作動で弁停止を行いポンプ損失分Epを回生する。ここで、エンジン回転数と機械フリクション及びポンプ損失の関係を図13に示す。差分Rが正の時はポンプ損失分Ep回生と、差分Rに相当するブレーキ回生量Eb分の回生を行う。差分Rが負の時は、ポンプ損失分Epはエンジン回転数Neによって決定される値であり、Epの値を調整することはできないため、このときは弁停止によるポンプ損失分回生を行わず、ブレーキ回生量Ebを△Erとしてブレーキ回生を行う。これにより、効率よく回生を行うことができる。
【0035】図7には、エンジンブレーキ回生+ブレーキ制動回生処理のフローチャートを示す。
【0036】ステップ301では、回生可能量△Erを過充電限界からSOCの現在値を差し引いた値として求めステップ302へ進む。ステップ302では、エンジン回転数Neから機械フリクションEm及びポンプ損失Epをエンジン制御ユニットにより算出し、ステップ303へ進む。ステップ303では、回生可能量△Erから機械フリクションEm及びポンプ損失Epを差し引いた差分Rを求め、ステップ304へ進む。ステップ304では、差分R>0かどうかを判定し、R=0であればステップ305へ進み、R>0であればステップ306へ進み、R<0であればステップ309へ進む。ステップ305では、エンジン側クラッチ12の接続を解除し、機械フリクションEm及びポンプ損失分Ep(エンジンブレーキ分)の回生を行う。ステップ306では、差分Rをブレーキ回生量Ebとして油圧ブレーキリーク量を求め、回生バルブのduty制御割合を決める。ステップ307では、エンジン側クラッチ12の接続を解除し、機械フリクションEm及びポンプ損失分Ep(エンジンブレーキ分)の回生を行う。ステップ308では、ブレーキ回生量Eb分の回生(回生バルブのduty制御)を行う。ステップ309では、再度ポンプ損失分Epを除外した差分R’(=△Er−Em)を求め、ステップ310へ進む。ステップ310では、差分R’≧0かどうかを判定し、R’≧0であればステップ311へ進み、R’<0であればステップ314へ進む。ステップ311では、ブレーキ回生量Eb=差分R’として油圧ブレーキリーク量を求め、回生バルブのduty制御割合を決定する。ステップ312では、エンジン側クラッチ12の接続を解除し、機械フリクションEm分を回生し、ステップ313へ進む。ステップ313では、ブレーキ回生量Eb分の回生(回生バルブのduty制御)を行う。ステップ314では、再度機械フリクションEmを除外した差分R’’(=△Er−Ep)を求め、ステップ315へ進む。ステップ315では、差分R’’ ≧0かどうかを判定し、R’’ ≧0であればステップ318へ進み、R’’ <0であればステップ316へ進む。ステップ316では、ブレーキ回生量Eb=△Erとして油圧ブレーキリーク量を求め、回生バルブのduty制御割合を決定し、ステップ317へ進む。ステップ317では、ブレーキ回生量Eb分の回生(回生バルブのduty制御)を行う。ステップ318では、ブレーキ回生量Eb=差分R’’ の油圧ブレーキリーク量を求め、回生バルブのduty制御割合を決定し、ステップ319へ進む。ステップ319では、エンジン側クラッチ12の接続を解除し、ポンプ損失分Epを回生し、ステップ320へ進む。ステップ320では、ブレーキ回生量Eb分の回生(回生バルブのduty制御)を行う。
【0037】すなわち、SOCから回生可能量△Erを決定し、エンジン回転数Neから機械フリクションEm及びポンプ損失Epをエンジン制御ユニットにより算出し、回生可能量△Erからポンプ損失Ep及び機械フリクションEmを引いた差分Rを求め、この差分Rが0のときは、エンジン側クラッチ12の接続を解除しエンジンブレーキ分の回生を行う。差分R>0のときは、この差分Rをブレーキ回生量として油圧ブレーキのリーク量を求め、回生バルブのduty制御割合を決定し、エンジン側クラッチ12の接続を解除してエンジンブレーキ分の回生を行うとともに、Eb分のブレーキ回生(回生バルブのduty制御)を行う。この場合は、回生可能量が十分確保できるときであり、機械フリクションEm及びポンプ損失Ep分の両方を回生する事ができる。このときSOCが過充電限界になった場合、すなわち△Er≦0の時は、発電電動機11による回生作動を停止し、通常の油圧ブレーキに復帰する。差分R<0のときは、ポンプ損失分Epを除外した差分R’(=△Er−Em)を求め、この差分R’≧0のときは、ブレーキ回生量Eb=差分R’として油圧ブレーキリーク量を求め、回生バルブのduty制御割合を決定し、エンジン側クラッチ12の接続を解除して機械フリクションEm分の回生を行うとともに、ブレーキ回生量Eb分の回生(回生バルブのduty制御)を行う。この場合は、機械フリクションEm及びポンプ損失Ep分の両エネルギを回生するほどの回生可能量はないが、比較的大きな値である機械フリクションEm分のみであれば回生可能であるとして回生する。これは、エンジン回転数によってポンプ損失Epが決定されてしまうため、細かな回生量の調整はできないからである。このときも、SOCが過充電限界になった場合、すなわち△Er≦0の時は、通常の油圧ブレーキに復帰する。差分R’<0のときは、機械フリクションEmを除外した差分R’’(=△Er−Ep)を求め、R’’<0であればブレーキ回生量Ebを△Erとして油圧ブレーキリーク量を求め、回生バルブのduty制御割合を決定し、Eb分のブレーキ回生(回生バルブのduty制御)を行う。この場合は、機械フリクションEm分のエネルギを回生するほどの回生可能量はないが、比較的小さな値であるポンプ損失Ep分のみであれば回生可能であるとして回生する。このときも、SOCが過充電限界になった場合、すなわち△Er≦0の時は、通常の油圧ブレーキに復帰する。差分R’’≧0のときは、ブレーキ回生量Ebを差分R’’として油圧ブレーキリーク量を求め、回生バルブのduty制御割合を決定し、エンジン側クラッチ12の接続を解除してポンプ損失Ep分の回生を行うとともに、ブレーキ回生量Eb分の回生(回生バルブのduty制御)を行う。
【0038】このように、エンジンブレーキ回生+ブレーキ制動回生処理300においては、回生可能量△Erに応じて、機械フリクションEm、またはポンプ損失Ep、またはブレーキ回生、もしくはそれらの組み合わせにより制動エネルギを効率よく回生することができる。
【0039】図8には、エンブレ回生処理400のフローチャートを示す。
【0040】ステップ401では、回生可能量△Erを過充電限界からSOCの現在値を差し引いた値として求めステップ402へ進む。ステップ402では、エンジン回転数Neから機械フリクションEm及びポンプ損失Epをエンジン制御ユニットにより算出し、ステップ403へ進む。ステップ403では、回生可能量△Erから機械フリクションEm及びポンプ損失Epを差し引いた差分Rを求め、ステップ404へ進む。ステップ404では、差分R≧0かどうかを判定し、R≧0のときはステップ405へ進み、R<0のときはステップ408へ進む。ステップ405では、エンジン側クラッチ12の接続を解除し、ポンプ損失Ep及び機械フリクションEmを回生し、ステップ406へ進む。ステップ406では、再ブレーキ踏力入力(いったんブレーキが踏まれたのち、再度ブレーキが踏まれた状態)が発生したかどうかを判定し、発生したときはステップ407へ進み、発生しなければこの処理を終了する。ステップ407では、発電電動機の回生を停止し、通常の油圧ブレーキとして作動させる。ステップ408では、ポンプ損失分Epを除外した差分R’(=△Er−Em)を求め、ステップ409へ進む。ステップ409では、差分R’≧0かどうかを判定し、R’≧0のときはステップ410へ進み、R’<0のときはステップ411へ進む。ステップ410では、エンジン側クラッチ12の接続を解除し、機械フリクションEm分の回生を行いステップ406へ進む。ステップ411では、機械フリクションEmを除外した差分R’’(=△Er−Ep)を求めステップ412へ進む。ステップ412では、差分R’’≧0かどうかを判定し、R’’≧0のときはステップ413へ進み、R’’<0のときはステップ414へ進む。ステップ414では、エンジン側クラッチ12の接続を解除し、△Er分の回生を行いステップ406へ進む。
【0041】すなわち、SOCから回生可能量△Erを決定し、エンジン回転数Neから機械フリクションEm及びポンプ損失Epをエンジン制御ユニットにより算出し、回生可能量△Erからポンプ損失Ep及び機械フリクションEmを引いた差分Rを求める。差分R≧0のときは、エンジン側クラッチ12の接続を解除し、機械フリクションEm分及びポンプ損失Ep分を発電電動機11により回生する。差分R<0のときは、ポンプ損失Em分を除外した差分R’を求め、その差分R’≧0のときは、エンジン側クラッチ12の接続を解除し、機械フリクションEm分だけを回生する。差分R’<0のときは、機械フリクションEm分を除外した差分R’’を求め、その差分R’’≧0のときは、エンジン側クラッチ12の接続を解除し、ポンプ損失Ep分を回生する。差分R’’<0のときは、エンジン側クラッチ12の接続を解除し、△Er分を回生する。なお、車速≦10km/hでは特に、安全停止及び停止間距離を運転者の意のままに操縦するために、再ブレーキ踏力入力が発生した場合は通常の油圧ブレーキに復帰する。このとき、エンジンブレーキによる制動力はエンジン回転数Neから求められるため、制動力は一定でありながら回生能力を変化させることで、運転者に違和感を与えることなく制動力を回生することができる。
【0042】以上説明したように、本発明の実施の形態1の構成をとったことにより、エンジン側クラッチ12によりエンジン1と発電電動機11を切り離すことが可能となり、これにより、減速時においてエンジンブレーキ分の制動力を発電電動機11により回生することが可能となる。このとき、エンジンコントロールユニットC4において、エンジン回転数から機械フリクションEmとポンプ損失Epを求め、それに見合った制動力分の回生と同時に、さらにSOCが設定値内であれば、ブレーキ分の制動力を回生バルブ9のduty制御によって減少させ、その分をさらに発電電動機11によって回生するため、運転者に違和感を与えることなく効率よく回生を行うことができる。また、車両の走行安定性等の観点からエンジン側クラッチ12を接続したままでも、VEL10による弁停止によりポンプ損失Ep分を回生することが可能となり、運転者に違和感を与えることなくポンプ損失Ep分の制動力を回生することができる。また、これにより減速時において加速要求がなされたときには、再度エンジン側クラッチ12を接続する必要がなく応答性を高めることができる。また、負圧経路に真空ポンプ及びバキュームタンクを設けたことにより、減速時においてエンジン停止処理を行った場合でも、負圧を発生することが可能となり、安定したブレーキ操作ができる。
【0043】尚、本発明の実施の形態は、この構成に限られるものではなく、例えばエンジン側クラッチとしてロックアップクラッチ付きのトルクコンバータを用いても良い。
【0044】(実施の形態2)図9には本発明の実施の形態2の全体構成図を示す。基本的構成は前述の実施の形態1と同じであり、発電電動ユニット2において、エンジン側クラッチ12が設けられていない点のみ異なる。
【0045】図10には、本発明の実施の形態2におけるブレーキ制動回生処理500のフローチャートを示す。
【0046】ステップ501では、回生可能量△Er>0かどうかを判定し、正であれば回生可能と判断してステップ502へ進み、負であればこの処理を終了する。ステップ502では、ABSが非作動かどうかを判定し、非作動であればステップ503へ進み、作動中であればこの処理を終了する。ステップ503では、車速を判定し、10km/h<車速であるときはブレーキ制動回生+弁停止/ポンプ損失回生処理200へ進み、車速≦10km/hであれば弁停止/ポンプ損失回生処理600へ進む。
【0047】すなわち、回生可能量△Er>0で回生可能であり、ABSが非作動時においては、車速>10km/hであれば、ブレーキ制動回生+弁停止/ポンプ損失回生処理200を行い、車速≦10km/hであれば、弁停止/ポンプ損失回生処理600を行う。これにより、エンジンと発電電動機の間にクラッチが設けられていない場合であっても、減速時において、効率よく制動エネルギを回生することができる。
【0048】図11には、本発明の実施の形態2における弁停止/ポンプ損失回生処理のフローチャートを示す。
【0049】ステップ601では、回生可能量△Er(過充電限界−SOC現在値)を求め、ステップ602へ進む。ステップ602では、エンジン回転数Neから機械フリクションEm及びポンプ損失Epをエンジン制御ユニットにより算出し、ステップ603へ進む。ステップ603では、回生可能量△Erからポンプ損失Epを差し引いた差分Rを求め、ステップ604へ進む。ステップ604では、差分R≧0かどうかを判定し、R≧0のときはステップ605へ進み、R<0のときはステップ608へ進む。ステップ605では、VELによる弁停止を行いポンプ損失Ep分を回生し、ステップ606へ進む。ステップ606では、再ブレーキ踏力入力が発生したかどうかを判定し、発生したときにはステップ607へ進み、発生しなかったときはこの処理を終了する。ステップ607では、発電電動機による回生作動を停止し、通常の油圧ブレーキに復帰する。ステップ608では、△Er分をVELによる弁停止により回生する。
【0050】すなわち、回生可能量△Er>0で回生可能であるときは、エンジン回転数Neから機械フリクションEm及びポンプ損失Epをエンジン制御ユニットにより算出し、差分R(=△Er−Ep)を求める。差分R≧0のときは、VELによる弁停止によりポンプ損失Ep分を発電電動機11により回生する。差分R<0のときは、VELによる弁停止により△Er分を発電電動機11により回生する。このとき、再ブレーキ踏力入力が発生したかどうかを判定し発生したときは発電電動機による回生を停止し、通常の油圧ブレーキ作動を行う。これにより、安全停止及び停止間距離を運転者の意のままに操作することができる。
【0051】以上説明したように、本発明の実施の形態2の構成をとったことによって、エンジン側クラッチ等を設けることなく、制動時においてVEL10による弁停止を行い、ポンプ損失Ep分を発電電動機11により効率よく回生することができる。これにより、実施の形態1に比べて簡単な構成をとることでコストを下げながら運転者に違和感を与えることなく効率よく回生することができる。また、所定の条件を満たし時にはブレーキによる制動力を回生バルブ9のduty制御により減少させ、減少させた制動力を発電電動機11により回生制動力として発生させることで、運転者に違和感を与えることなく効率よく回生を行うことができる。
【0052】
【発明の効果】以上説明してきたように、本願全請求項に記載の発明においては、従来の車両に大幅な変更を加えることなく簡単な構成で、負荷切り換え手段及び回生バルブにより運転者に違和感を与えることなく制動エネルギを発電電動機により効率よく回生する事が可能となり、コストを上げることなく下記のように燃費を向上することができる。すなわち、減速時に前記エネルギマネジメント制御コントロールユニットcにおいて、運転者の要求制動力及び回生可能な制動エネルギを演算し、その回生可能なエネルギに相当するエネルギを前記負荷切換手段及びブレーキ油圧の回生バルブdからのリークにより減少させ、その分の制動力を発電電動機aにより発生させることで、運転者に違和感を与えることなく発電電動機aにより制動エネルギを回生することができる。
【0053】請求項2に記載の発明においては、エンジンと変速装置とが直結されている場合でも、可変動弁機構eにより弁停止させ、前記エンジンのシリンダ内の空気を密閉することで気体の流入流出に伴う移動エネルギの損失を防止し、これにより負荷切換手段としてエンジンのエネルギ損失を抑えた分だけエンジン側の負荷を落として、この負荷を落とした分だけ回生することにより、違和感なく回生を行うことができる。すなわち、従来、エンジンと変速装置とが直結された状態では、回生作動を行うと、通常のエンジンブレーキ相当の制動力に加えて回生分の制動力が発生するため、制動力が増して違和感を感じる。しかしながら、この請求項2の発明では、エンジンと変速装置とが直結された状態において、エンジンのエネルギ損失を抑えてエンジンブレーキ分の制動力を低下させ、この低下分を回生するからトータルの制動力はエンジンブレーキ分となって違和感が生じない。また、基本的には負荷切換手段により回生を行うが、回生可能量と前記ポンプ損失エネルギとの差分を求めることにより、回生可能量に余裕があれば、その差分を回生バルブdによるブレーキ油圧のリークによりブレーキの制動力を減少させ、発電電動機aによってさらに回生することが可能となり、効率よく回生を行うことができる。
【0054】請求項3に記載の発明においては、クラッチbの接続を解除することで負荷切り換えを行うことが可能となり、エンジンブレーキ相当の制動力を回生することができる。よってトータルの制動力はエンジンブレーキ分となって違和感が生じない。
【0055】請求項4に記載の発明では、バッテリ状況に応じて機械フリクションエネルギのみ、もしくはポンプ損失エネルギのみ、もしくはその両方といったように負荷を切り換えることが可能となり、エネルギマネジメント制御コントロールユニットcにおける制御自由度が高まり、効率よく回生制御を行うことができる。
【0056】請求項5に記載の発明では、回生制御を実行中は、エンジンへの燃料噴射量を抑えることが可能となり、さらに燃費を向上することができる。
【0057】請求項6に記載の発明では、エネルギマネジメント制御コントロールユニットcにおいて、もっとも効率の良い状態を演算する際、負圧作動によるアクチュエータの作動がエンジンの状態に左右されることがないため、制御の自由度を高めることが可能となり、これにより燃費を向上することができる。
【0058】請求項7に記載の発明では、頻繁にブレーキを踏むような状況に置いて、安全停止を通常のブレーキにより確実に行い、停止間距離を運転者の意のままに操作することができる。
【0059】請求項8に記載の発明では、発進時にはトルクコンバータによるトルク増幅効果が得られるためエンジン出力の小さい車両においても適用することができる。また、減速時等においては、トルクコンバータの機構上、車輪側からの入力トルクに対してはエンジンに対してトルクを伝達することがないため、その分を発電電動機aにより回生することができる。
【出願人】 【識別番号】000167406
【氏名又は名称】株式会社ユニシアジェックス
【出願日】 平成11年4月30日(1999.4.30)
【代理人】 【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟 (外1名)
【公開番号】 特開2000−324606(P2000−324606A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−124121