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【発明の名称】 電気自動車の制御装置
【発明者】 【氏名】宮▲崎▼ 裕治

【要約】 【課題】電気自動車のモータ制御において、モータ回転数の変動による影響を防止する。

【解決手段】車輪16の回転数(回転速度)をセンサ100,102で検出し、コントローラ42に供給する。コントローラ42は、車輪の回転数に基づいてモータ10の目標回転数を算出し、この目標モータ回転数に基づいてインバータ18を制御し、モータ回転数変動を防止する。モータ10の回転数を直接検出して目標回転数とする場合には、変動分を除去するためにローパスフィルタ処理等が必要となり、実際の値とオフセットが生じるが、慣性モーメントの大きい車輪の回転数を用いることで、ローパスフィルタ処理等が不要となり、オフセットのない目標モータ回転数を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車載モータに対するトルク指令を要求出力及びモータ回転数に応じて演算する手段と、車載モータの出力トルクをこのトルク指令に基づき制御する手段と、車速の検出値に基づき車載モータの出力トルクの変動量を推定する手段と、車載モータの出力トルクの変動が抑制されるように推定された変動量に基づきトルク指令を補正する手段とを備える電気自動車の制御装置において、車輪の回転数を検出する手段と、前記車輪の回転数から目標モータ回転数を算出する手段と、を有し、算出した目標モータ回転数を変動抑制の制御目標として用いることを特徴とする電気自動車の制御装置。
【請求項2】 請求項1記載の装置において、前記車輪は、非駆動輪であることを特徴とする電気自動車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電気自動車の制御装置、特に車載モータの回転数変動防止技術に関する。
【0002】
【従来の技術】電気自動車はモータを駆動源とする車両であり、このモータは車載のバッテリから供給される電力により駆動される。電気自動車には、直流モータ、交流モータのいずれも搭載可能であるが、効率等の面から交流モータを用いるのが好ましい。モータとして交流モータを使用した場合、バッテリから供給される直流電力を交流電力に変換した上でこのモータに供給する必要がある。そのための電力変換器としては、モータに供給する電力を制御可能な構成、すなわちインバータを用いるのが一般的である。言い換えれば、運転者からの要求出力(アクセル開度)に応じてこのインバータのスイッチング動作を制御することにより、モータに供給する電流をベクトル制御することができ、これによりモータからの出力トルクを要求出力に応じた値に制御することができる。
【0003】図2には、特開平7−143606号公報に開示された電気自動車の制御装置が示されている。モータとして三相交流モータ10を搭載し、モータ10の出力軸26は、ディファレンシャルギア12、ドライブシャフト14等を介して駆動輪16と連結されている。従って、モータ10の回転駆動により駆動輪16が回転し車両が走行する。このモータ10に対しては、インバータ18を介してバッテリ20から電力が供給される。すなわち、バッテリ20の放電電流はインバータ18により三相交流電流に変換されてモータ10に供給される。
【0004】インバータ18のスイッチング動作は、コントローラ42により制御される。すなわち、コントローラ42は、運転者によるアクセルペダルの踏み込みを示すアクセル開度Accを入力し、これに基づきパルス幅変調(PWM)信号を生成する。生成されたPWM信号は、インバータ18を構成する各スイッチング素子に供給され、これらのスイッチング素子はPWM信号に応じてオン/オフする。この結果、バッテリ20からの放電電力は三相交流に変換される。また、このようにして得られる三相交流電流は、アクセル開度Accに応じた値となる。
【0005】コントローラ42は、このような制御を実行すべく、回転数センサ24によりモータ10の回転数Nを検出している。具体的には、アクセル開度Acc及びモータ回転数Nに基づいてトルク指令値Tを計算し、このトルク指令値T及び回転数Nに基づいて磁束指令値φを計算してインバータ18を制御する。
【0006】図3には、図2の構成の機能ブロック図が示されている。回転数センサ24により検出されるモータの回転数Nを回転数平均化部48により平均化し、平均値Nmを求める。平均値Nmに基づきトルク指令計算部44及び磁束指令計算部46においてトルク指令Tc**及び磁束指令φ*を求め、これらに基づきモータの出力トルク制御を行うことでそのトルクの変動を抑制する。すなわち、減算器50において平均値Nmから検出値Nを減じ、変動量ΔNを求め、乗算器52においてこれに所定値kを乗じてトルク指令補正値ΔTc*を求める。求められたトルク指令補正値によりトルク指令に補正を加えることで、機械系の振動により生じるトルク変動を抑制する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来においては、モータ10が比較的慣性モーメントが小さく回転数が変動し易い問題に対処すべく、実モータ回転数の平均演算(移動平均)、あるいはローパスフィルタ処理を用いて目標モータ回転数を演算してトルク指令を補正しており、補正に必要な目標モータ回転数を正確に得ることができない問題があった。
【0008】図4には、実モータ回転数(実線)とこの実モータ回転数をローパスフィルタ処理した回転数(破線)の時間変化が示されている。図において、横軸は時間、縦軸は回転数である。実モータ回転数に含まれる変動を確実に除去するため、ローパスフィルタのカットオフ周波数は低く設定する必要があり、加減速等の過渡的な状態では加減速自体の周波数に追従できなくなり、図に示すように実際の値に比べてオフセットが生じてしまう。移動平均についても同様である。そして、このようなオフセットの存在は、コントローラ42でのトルク指令補正値の精度を低下させることになる。
【0009】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みなされたものであり、その目的は、実モータ回転数に変動成分が含まれていても、変動成分のより少ない目標モータ回転数を容易に得ることができ、これに基づいてモータの回転数変動を制御できる装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、車載モータに対するトルク指令を要求出力及びモータ回転数に応じて演算する手段と、車載モータの出力トルクをこのトルク指令に基づき制御する手段と、車速の検出値に基づき車載モータの出力トルクの変動量を推定する手段と、車載モータの出力トルクの変動が抑制されるように推定された変動量に基づきトルク指令を補正する手段とを備える電気自動車の制御装置において、車輪の回転数を検出する手段と、前記車輪の回転数から目標モータ回転数を算出する手段とを有し、算出した目標モータ回転数を変動抑制の制御目標として用いることを特徴とする。車輪はモータに比べて慣性モーメントが大きく、しかも車輪には車重が印加されているため、回転数の変動がモータに比べて小さい。そこで、車輪の回転数を用いて目標モータ回転数を検出することで、ほとんど変動がなく、かつオフセットも生じない目標モータ回転数を得ることができる。なお、目標モータ回転数とは、本来このようなモータ回転数であるべきというモータ回転数の変動抑制制御に用いる目標回転数である。
【0011】ここで、前記車輪としては、非駆動輪、すなわち前輪駆動車であれば後輪、後輪駆動車であれば前輪とするのが好適である。非駆動輪の方が駆動輪よりも回転数の変動がより小さいからである。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0013】図1には、本実施形態の構成ブロック図が示されている。図2に示された従来技術と同一部材については同一符号を付し、その説明は省略する。
【0014】図1において、車輪16の回転数を検出する車輪回転数センサ(回転速度センサ)100、102が車輪16に設けられ、検出した車輪回転数(回転速度)はコントローラ42に供給される。
【0015】コントローラ42は、従来においてはモータ10に設けられた回転数センサ24からの実モータ回転数を移動平均処理あるいはローパス処理を行って算出した目標モータ回転数を用いて変動成分を除去していたが、本実施形態では車輪16の回転数(回転速度)に基づいて目標モータ回転数を算出する。
【0016】具体的には、コントローラ42は、目標モータ回転数NM(rpm)を【数1】NM=(VR+VL)/2×1000/3600/(2πR)×60×Gにより算出する。但し、VRは右車輪の車輪速(km/h)、VLは左車輪の車輪速(km/h)、Rは車輪の半径(m)、Gはギア比である。
【0017】このように、車輪の回転数(回転速度)を用いて目標モータ回転数を得ることで、移動平均演算やローパスフィルタ処理等が不要となり、またローパスフィルタ処理を予備的に使用する場合でもそのカットオフ周波数を高く設定できるのでオフセットが生じることはなく、より高精度のモータ制御が可能となる。
【0018】なお、本実施形態では、車輪回転数センサ100、102を設けたが、車両にABS(アンチロックブレーキシステム)が搭載されている場合には、このABSで用いられる車輪速センサを援用することもできる。これにより、部品点数を削減することができる。
【0019】また、本実施形態では、駆動輪の回転数(回転速度)を検出して目標モータ回転数を算出したが、非駆動輪、すなわち前輪駆動車の場合の後輪、後輪駆動車の場合の前輪の回転数を検出して目標モータ回転数を算出することもできる。もちろん、4輪全ての回転数を検出し、その平均を用いて目標モータ回転数を算出することも可能である。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、実モータ回転数に含まれる回転変動の影響を受けることなく、目標モータ回転数を正確に算出することができるので、モータの高精度な回転数変動抑制制御が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成11年4月16日(1999.4.16)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2000−308215(P2000−308215A)
【公開日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【出願番号】 特願平11−109070