| 【発明の名称】 |
交流電気車駆動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】松岡 孝一
【氏名】近藤 圭一郎
【氏名】結城 和明
【氏名】西尾 敦彦
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| 【要約】 |
【課題】直流リンク電圧に脈動が存在し、かつ制御系に各種の遅れが存在する場合にも、ビート現象といった電動機出力への影響を低減すること。
【解決手段】集電手段41,42 、低圧化手段16、単相コンバータ17、直流フィルタコンデンサ1、インバータ2、永久磁石同期電動機4から主回路を構成し、直流リンク電圧を検出する電圧検出手段3、直流リンク電圧がその指令に一致するように単相コンバータ17を制御する電圧制御手段18、インバータ2の変調率基準を演算する変調率基準演算手段6・直流リンク電圧から脈動成分を抽出する脈動量検出手段9・直流リンク電圧の脈動成分に応じて変調率基準を補償しインバータ2の変調率を出力する変調率補償手段11からなる変調率演算手段、直流リンク電圧の脈動成分の位相を位相補償量に応じて補償する位相補償手段10、変調率に応じた電圧を出力するようにインバータ2を制御するゲート制御手段8を備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 架線とレール間にかかる単相の交流を集電する集電手段と、当該集電手段により集電された単相交流を低圧化する低圧化手段と、当該低圧化手段により低圧化された単相交流を直流に変換する単相コンバータと、当該単相コンバータの直流側に接続された直流フィルタコンデンサと、当該直流フィルタコンデンサの両端に接続され、直流を任意の周波数で任意の大きさの交流電圧に変換するインバータと、当該インバータの交流側に接続されて駆動制御される永久磁石同期電動機とから主回路を構成し、前記直流フィルコンデンサにかかる電圧である直流リンク電圧を検出する電圧検出手段と、前記電圧検出手段により検出された直流リンク電圧を入力とし、当該直流リンク電圧が直流リンク電圧指令に一致するように前記単相コンバータを制御する電圧制御手段と、前記インバータの変調率基準を演算する変調率基準演算手段、前記電圧検出手段により検出された直流リンク電圧から脈動する成分を抽出する脈動量検出手段、当該脈動量検出手段からの出力である直流リンク電圧の脈動成分に応じて前記変調率基準演算手段からの変調率基準を補償し前記インバータの変調率を出力する変調率補償手段からなる変調率演算手段と、前記脈動量検出手段からの出力である直流リンク電圧の脈動成分に対し、その位相を別途入力される位相補償量に応じて補償し前記変調率補償手段への入力量として出力する位相補償手段と、前記インバータが前記変調率演算手段からの出力である変調率に応じた電圧を出力するように前記インバータを制御するゲート制御手段と、を備えて成ることを特徴とする交流電気車駆動装置。 【請求項2】 前記請求項1に記載の交流電気車駆動装置において、前記位相補償手段に入力される位相補償量は、前記直流リンク電圧の脈動成分の位相を進めるように設定していることを特徴とする交流電気車駆動装置。 【請求項3】 前記請求項1に記載の交流電気車駆動装置において、前記交流電気車駆動装置本体の動作状況に応じて前記位相補償量を演算し出力する位相補償量演算手段を付加して成ることを特徴とする交流電気車駆動装置。 【請求項4】 前記請求項3に記載の交流電気車駆動装置において、前記位相補償量演算手段は、前記インバータの制御周期に応じて前記位相補償量を演算し出力する第2の位相補償量演算手段から成ることを特徴とする交流電気車駆動装置。 【請求項5】 前記請求項3に記載の交流電気車駆動装置において、前記位相補償量演算手段は、前記単相交流の周波数に応じて前記位相補償量を演算し出力する第3の位相補償量演算手段から成ることを特徴とする交流電気車駆動装置。 【請求項6】 前記請求項1に記載の交流電気車駆動装置において、前記脈動量検出手段および前記位相補償手段の代わりに、前記電圧検出手段により検出された直流リンク電圧から脈動する成分をその位相を補償して抽出し前記変調率補償手段への入力量として出力する第2の脈動量検出手段を備えて成ることを特徴とする交流電気車駆動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、永久磁石同期電動機を駆動制御する交流電気車駆動装置に係り、特に単相の電力脈動に起因して直流リンク電圧に脈動が存在する場合、制御系に各種の遅れが存在する場合にも、ビート現象といった電動機出力への影響を低減できるようにした交流電気車駆動装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】図9は、例えば“特公昭61−48356号公報”に開示されている、従来の交流電気車駆動装置の構成例を示すブロック図である。 【0003】図9において、架線とレール間にかかる単相の交流を集電する集電手段であるパンタグラフ41および車輪42と、このパンタグラフ41および車輪42により集電された単相交流を低圧化する低圧化手段である変圧器16と、この変圧器16の2次側に接続され、変圧器16により低圧化された単相交流を直流に変換する整流器30と、この整流器30の直流側に直列に接続されたリアクトル31および直流フィルタコンデンサ1と、この直流フィルタコンデンサ1の両端に接続され、直流を任意の周波数で任意の大きさの交流電圧、すなわち可変電圧可変周波数出力(VVVF)に変換するVVVFインバータ2と、このVVVFインバータ2の交流側に接続されて駆動制御される誘導電動機24とから、主回路が構成されている。 【0004】一方、電圧検出器3と、ゲート制御部8と、除算器25と、乗算器26と、比較部27と、三相正弦波発生部28と、三角波発生部29とから、制御装置が構成されている。 【0005】電圧指令V* は、除算器25により、電圧検出器3により検出された直流フィルコンデンサ1の電圧、すなわち直流リンク電圧Vdcで除算される。 【0006】また、電圧指令V* は、三相正弦波発生部28に入力され、電圧指令V* に比例した周波数の単位正弦波が出力される。 【0007】三相正弦波発生部28からの出力の一つであるU相の単位正弦波は、除算器25からの出力と乗算器26により乗算される。 【0008】比較部27では、三角波発生部29からの出力である三角波と乗算器26からの出力とを比較し、ゲート信号が出力される。 【0009】ゲート制御部8では、比較部27からのゲート信号に応じて、VVVFインバータ2が制御される。 【0010】さて、このような従来の交流電気車駆動装置においては、VVVFインバータ2の出力電圧を指令制御する電圧指令V* が、直流リンク電圧Vdcに応じて変化するように制御が行なわれる。 【0011】すなわち、整流器30の直流側には、整流に伴なう電流リプルが含まれるが、リアクトル31および直流フィルタコンデンサ1からなるLC回路により、直流リンク電圧Vdcが安定化される。 【0012】しかしながら、LC回路のフィルタ作用により除去しきれない電流リプルは、直流リンク電圧Vdcの脈動となって現われる。そして、この直流リンク電圧Vdcの脈動に起因して、相電流がビートを起こしたり、誘導電動機24が発生するトルクにリプルが重畳するという問題が発生する。 【0013】このため、従来では、直流リンク電圧Vdcに応じて電圧指令V* を補正することにより、上述のビート現象を抑制するようにしている。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、制御系には各種の遅れが存在しているため、直流リンク電圧Vdcを瞬時に電圧指令V* に反映することは困難である。特に、近年のディジタル制御化により、その傾向はますます顕著となってきている。 【0015】ここで、問題となるビート現象は、負荷の共振周波数と直流リンク電圧Vdcの脈動周波数が一致する時に顕在化するものである。共振とは、インピーダンスが非常に小さくなることと等価であるため、上述の制御系の遅れによる影響は大きく、従来の構成では、ビート現象の十分な抑制効果を期待することができない。 【0016】本発明の目的は、単相の電力脈動に起因して直流リンク電圧に脈動が存在する場合、制御系に各種の遅れが存在する場合にも、ビート現象といった電動機出力への影響を低減することが可能な交流電気車駆動装置を提供することにある。 【0017】 【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1の発明の交流電気車駆動装置は、架線とレール間にかかる単相の交流を集電する集電手段と、当該集電手段により集電された単相交流を低圧化する低圧化手段と、当該低圧化手段により低圧化された単相交流を直流に変換する単相コンバータと、当該単相コンバータの直流側に接続された直流フィルタコンデンサと、当該直流フィルタコンデンサの両端に接続され、直流を任意の周波数で任意の大きさの交流電圧に変換するインバータと、当該インバータの交流側に接続されて駆動制御される永久磁石同期電動機とから主回路を構成し、直流フィルコンデンサにかかる電圧である直流リンク電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段により検出された直流リンク電圧を入力とし、当該直流リンク電圧が直流リンク電圧指令に一致するように単相コンバータを制御する電圧制御手段と、インバータの変調率基準を演算する変調率基準演算手段、電圧検出手段により検出された直流リンク電圧から脈動する成分を抽出する脈動量検出手段、当該脈動量検出手段からの出力である直流リンク電圧の脈動成分に応じて変調率基準演算手段からの変調率基準を補償しインバータの変調率を出力する変調率補償手段からなる変調率演算手段と、脈動量検出手段からの出力である直流リンク電圧の脈動成分に対し、その位相を別途入力される位相補償量に応じて補償し変調率補償手段への入力量として出力する位相補償手段と、インバータが変調率演算手段からの出力である変調率に応じた電圧を出力するようにインバータを制御するゲート制御手段とを備えている。 【0018】従って、請求項1の発明の交流電気車駆動装置においては、直流リンク電圧の脈動の位相を補償した値に基づいて変調率を補償することで、検出機構や制御系に存在する位相のずれを補償することにより、相電流のビートや電動機のトルク脈動を抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップを抑制したり、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。また、直流リンク電圧の脈動を許容できるため、直流フィルタコンデンサの容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。 【0019】また、請求項2の発明では、上記請求項1の発明の交流電気車駆動装置において、位相補償手段に入力される位相補償量は、直流リンク電圧の脈動成分の位相を進めるように設定している。 【0020】従って、請求項2の発明の交流電気車駆動装置においては、直流リンク電圧の脈動の位相を進み補償した値に基づいて変調率を補償することで、検出機構や制御系に存在する位相は遅れであり、位相を進める方向に補償することにより、相電流のビートや電動機のトルク脈動を抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップを抑制したり、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。また、直流リンク電圧の脈動を許容できるため、直流フィルタコンデンサの容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。 【0021】一方、請求項3の発明では、上記請求項1の発明の交流電気車駆動装置において、交流電気車駆動装置本体の動作状況に応じて位相補償量を演算し出力する位相補償量演算手段を付加している。 【0022】従って、請求項3の発明の交流電気車駆動装置においては、直流リンク電圧の脈動に対し、位相補償した値に基づいて変調率を補償することで、位相の補償量を動作状況に応じて可変して、動作状況に応じた設定を行なうことにより、交流電気車駆動装置の動作状況に依存せずに、検出機構や制御系に存在する遅れを補償することができ、相電流のビートや電動機のトルク脈動を効果的に抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップの抑制や、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。また、直流リンク電圧の脈動を許容できるため、直流フィルタコンデンサの容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。 【0023】また、請求項4の発明では、上記請求項3の発明の交流電気車駆動装置において、位相補償量演算手段は、インバータの制御周期に応じて位相補償量を演算し出力する第2の位相補償量演算手段から構成している。 【0024】従って、請求項4の発明の交流電気車駆動装置においては、直流リンク電圧の脈動に対して、位相補償した値に基づいて変調率を補償することで、位相補償量をインバータの制御周期に応じて設定し、また制御遅れの要因の一つが制御周期であり、制御周期が可変となるアプリケーションにおいて、制御周期に応じて位相補償量を可変とすることにより、インバータの制御周期に応じた適切な位相補償量を設定することができる。このため、制御周期に依存せずに、検出機構や制御系に存在する遅れを補償することができ、相電流のビートや電動機のトルク脈動を効果的に抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップの抑制や、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。また、直流リンク電圧の脈動を許容できるため、直流フィルタコンデンサの容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。 【0025】さらに、請求項5の発明では、上記請求項3の発明の交流電気車駆動装置において、位相補償量演算手段は、単相交流の周波数に応じて位相補償量を演算し出力する第3の位相補償量演算手段から構成している。 【0026】従って、請求項5の発明の交流電気車駆動装置においては、直流リンク電圧の脈動に対し、位相補償した値に基づいて変調率を補償することで、位相補償量を直流リンク電圧の脈動周波数に応じて設定することにより、交流電気車等のように直流リンク電圧の脈動電源が可変となる交流電気車駆動装置において有効であり、直流リンク電圧の脈動周波数に依存せずに、検出機構や制御系に存在する遅れを補償することができ、相電流のビートや電動機のトルク脈動を効果的に抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップの抑制や、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。また、直流リンク電圧の脈動を許容できるため、直流フィルタコンデンサの容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。 【0027】一方、請求項6の発明では、上記請求項1の発明の交流電気車駆動装置において、上記脈動量検出手段および位相補償手段の代わりに、電圧検出手段により検出された直流リンク電圧から脈動する成分をその位相を補償して抽出し変調率補償手段への入力量として出力する第2の脈動量検出手段を備えている。 【0028】従って、請求項6の発明の交流電気車駆動装置においては、直流リンク電圧の脈動に対し、位相補償した値に基づいて変調率を補償することで、検出機構や制御系に存在する遅れを進み位相補償することにより、相電流のビートや電動機のトルク脈動を効果的に抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップの抑制や、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。また、直流リンク電圧の脈動を許容できるため、直流フィルタコンデンサの容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。さらに、脈動量検出手段と位相補償手段とを兼ね備えることにより、前記請求項1乃至請求項5の発明に比べて、制御系の遅れをより一層小さくすると共に、制御系の簡略化を図ることができる。 【0029】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。 【0030】(第1の実施の形態:請求項1に対応)図1は、本実施の形態による交流電気車駆動装置の全体構成例を示すブロック図であり、図9と同一部分には同一符号を付して示している。 【0031】図1において、架線とレール間にかかる単相の交流を集電する集電手段であるパンタグラフ41および車輪42と、このパンタグラフ41および車輪42により集電された単相交流を低圧化する低圧化手段である変圧器16と、この変圧器16により低圧化された単相交流を直流に変換する単相PWMコンバータ17と、この単相PWMコンバータ17の直流側に接続された直流フィルタコンデンサ1と、この直流フィルタコンデンサ1の両端に接続され、直流を任意の周波数で任意の大きさの交流電圧に変換するVVVFインバータ2と、このVVVFインバータ2の交流側に接続されて駆動制御される永久磁石同期電動機4とから、主回路を構成している。 【0032】一方、電圧検出器3と、位置検出器5と、変調率基準演算手段である出力電圧演算部6と、ゲート制御部8と、脈動量検出部9と、位相補償演算部10と、乗算器12、平均値演算部13、加算器14、除算器15からなる変調率補償部11と、電圧制御部18とから、制御装置を構成している。 【0033】なお、出力電圧演算部6と、脈動量検出部9と、変調率補償部11とから、変調率演算手段を構成している。 【0034】電圧検出器3は、直流フィルタコンデンサ1にかかる電圧である直流リンク電圧を検出する。 【0035】位置検出器5は、永久磁石同期電動機4に備えられ、この永久磁石同期電動機4の磁極の位相を検出する。 【0036】電圧制御部18は、電圧検出器3により検出された直流リンク電圧を入力とし、この直流リンク電圧が直流リンク電圧指令に一致するように単相PWMコンバータ17を制御する。 【0037】出力電圧演算部6は、VVVFインバータ2の変調率基準を演算する。 【0038】脈動量検出部9は、電圧検出器3により検出された直流リンク電圧から脈動する成分を抽出する。 【0039】変調率補償部11は、脈動量検出部9からの出力である直流リンク電圧の脈動成分に応じて出力電圧演算部6からの変調率基準を補償し、VVVFインバータ2の変調率を出力する。 【0040】位相補償演算部10は、脈動量検出部9からの出力である直流リンク電圧の脈動成分に対し、その位相を別途入力される位相補償量に応じて補償し、上記変調率補償部11への入力量として出力する。 【0041】ゲート制御部8は、VVVFインバータ2が変調率補償部11からの出力である変調率に応じた電圧を出力するようにVVVFインバータ2を制御する。 【0042】次に、以上のように構成した本実施の形態の交流電気車駆動装置の動作について、図2乃至図4を用いて説明する。 【0043】図1において、直流フィルタコンデンサ1にかかる電圧である直流リンク電圧Vdcは、電圧検出器3により検出される。この直流リンク電圧Vdcは、電圧制御部18に入力される。 【0044】電圧制御部18では、直流リンク電圧Vdcが直流リンク電圧指令値Vdccmdと一致するように、単相PWMコンバータ17が制御される。 【0045】出力電圧演算部6では、例えば、永久磁石電動機4の発生するトルク出力Tmがトルク指令Tm* に追従するように、出力電圧指令が演算される。 【0046】この出力電圧演算部6からの出力である出力電圧指令は、変調率基準AL* と制御座標系上での出力電圧の位相角θvとして表わされるものとする。 【0047】なお、上記において、出力電圧演算部6への指令は、トルク指令Tm* ではなく、速度指令、あるいは位置指令である場合もある。 【0048】この出力電圧演算部6の具体的な演算方法について、以下に詳細に述べる。 【0049】なお、ここでは、dq軸回転座標系上で制御を行なう方式とする。 【0050】通常、d軸は永久磁石電動機4の磁束軸に一致させる。出力電圧演算部6に入力されるトルク指令Tm* に基づいて、以下のようにして、磁束軸(d軸)電流指令Id* とトルク軸(q軸)電流指令Iq* とが演算される。 【0051】 【数1】
【0052】ただし、ΔL:Ld−Lq、φ* :磁束指令、φf:永久磁石磁束、Ld:d軸インダクタンスである。 【0053】次に、この磁束軸(d軸)電流指令Id* とトルク軸(q軸)電流指令Iq*とを入力として、次式のような演算により、d軸電圧指令Vd* とq軸電圧指令Vq* とが演算される。 【0054】 【数2】
【0055】ただし、R:抵抗、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、ωi:インバータ出力周波数、φf:永久磁石磁束である。 【0056】次に、d軸電圧指令Vd* とq軸電圧指令Vq* とに基づいて、次式のような演算により、dq軸座標系上での電圧指令の大きさ|V|とd軸からの位相角θvとが演算される。 【0057】 【数3】
【0058】また、変調率基準AL* は、次のような式により演算される。ここでの変調率の定義は、VVVFインバータ2が出力し得る最大電圧で正規化するものとしている。このVVVFインバータ2が最大電圧を出力し得るのは、周知のように1パルスモードである。 【0059】 【数4】
【0060】ただし、Vdc:直流リンク電圧である。 【0061】以上により、出力電圧演算部6では、dq軸座標系上での変調率基準AL* と出力電圧のd軸からの位相θvとが演算して出力される。 【0062】一方、電圧検出器3により検出された直流リンク電圧Vdcは、脈動量検出部9にも入力される。 【0063】脈動量検出部9では、直流リンク電圧Vdcの脈動分ΔVdcが抽出されて出力される。この直流リンク電圧の脈動分ΔVdcは、位相補償部10に入力される。 【0064】位相補償部10では、直流リンク電圧Vdcの脈動分ΔVdcに対して、その位相を位相補償量Pcmp[deg]分補償した値ΔVdc’が出力される。 【0065】図2は、位相補償部10の入出力の関係を示す図である。 【0066】すなわち、図2に示すように、直流リンク電圧Vdcの脈動量ΔVdcに対して、その大きさを変えず、位相のみをPcmp[deg]補償した値ΔVdc’が出力される。 【0067】位相補償部10からの出力である補償値ΔVdc’は、変調補償部11に入力される。 【0068】変調率補償部11は、平均値演算部13、加算器14、除算器15、乗算器12から構成されており、平均値演算部13には、電圧検出器3により検出された直流リンク電圧Vdcが入力されて、その平均値Vdc* が演算されて出力される。 【0069】加算器14では、位相補償部10からの出力である補償値Vdc’と、平均値演算部13からの出力である平均値Vdc* とが加算された値Vdc’が出力される。 【0070】除算器15では、直流リンク電圧Vdcの平均値Vdc* が、加算器14からの出力である加算値Vdc’で除算され、変調率補償量Kが演算される。 【0071】乗算器12では、出力電圧演算部6からの出力である変調率基準AL* と、除算器15からの出力である変調率補償量Kとが乗算されて、VVVFインバータ2の変調率ALが出力される。 【0072】ゲート制御部8では、出力電圧演算部6からの出力である位相角θvと、乗算器12からの出力である変調率ALと、永久磁石同期電動機4に備えられた位置検出器5からの出力である磁極の位相θabとに基づいて、電圧指令と一致した出力電圧が得られるようにVVVFインバータ2にゲート指令が出力される。 【0073】ここで、実際に出力する電圧位相θ* は、次のような式により演算される。 【0074】 【数5】
【0075】以上により、本実施の形態の交流電気車駆動装置では、直流リンク電圧Vdcの脈動量ΔVdcの位相を補償した値に基づいて、変調率が補償され、ビート現象が抑制される。 【0076】次に、このビート現象を抑制できることについて、具体的に説明する。 【0077】直流リンク電圧Vdcと変調率ALとの関係は、次式により表わされる。 【0078】出力電圧|V|は、実際の出力電圧をdq軸回転座標系上へ変換した値とする。 【0079】 【数6】
【0080】上記(7)式において、変調率ALを一定とした場合、直流リンク電圧Vdcが脈動すると、出力電圧|V|も同様に脈動することがわかる。 【0081】ここで、変調率ALを、直流リンク電圧Vdcに応じて、以下のような式により補償する。 【0082】 【数7】
【0083】この場合、出力電圧|V|は次のような式となり、直流リンク電圧Vdcに依存せず一定となる。 【0084】 【数8】
【0085】しかしながら、制御系には、各種の遅れが存在する。 【0086】図3は、ディジタル制御を行なう場合の制御タイミングを示すタイミングチャートの一例である。 【0087】図3において、CT(k)は、k番目の制御演算の開始を表わすタイミングである。制御周期は、ΔTctである。k番目に演算された変調率ALは、k+1番目の制御演算の開始時CT(k+1)に、実際の変調率として反映されるものと仮定する。 【0088】また、本実施の形態においては、実波形の検出に遅れが全くないものと仮定し、k番目の制御演算時に使用する値は、k番目の制御開始時での値とする。 【0089】図3は、仮に実波形をそのまま、変調率に反映しようとする場合であるが、遅れが確認できる。ここで、遅れ量は、検出時点から変調率に反映するまでの遅れと制御期間は変調率が一定となることに起因する遅れから成ると近似できる。 【0090】本実施の形態の場合、前者の遅れはΔTctに相当し、後者の遅れはΔTct/2.に相当する。この時間的遅れを脈動成分の位相に換算すると、例えば100Hzの直流リンク電圧の脈動があり、制御周期ΔTctを250usとする場合には、脈動周波数に対する制御遅れの位相角は、250e−6[s]×100[Hz]×360[deg]=9[deg] となる。 【0091】なお、制御の遅れには、上記の要因以外にも、検出系の遅れ等があり、実際には、さらに遅れることとなる。 【0092】位相補償部10では、これら制御の遅れを補償するため、脈動量検出部9により検出された直流リンク電圧Vdcの脈動量ΔVdcに対して、その位相を補償する。 【0093】図4は、直流リンク電圧が脈動する条件での永久磁石同期電動機4の発生するトルクリプル率を表わす図である。 【0094】なお、トルクリプル率は、トルクの平均値に対するトルクリプル波高値の割合で定義している。 【0095】図4において、a)変調率の補償を行わない場合、直流リンク電圧Vdcの検出から変調率への反映までの遅れが制御周期をΔTctとして、それぞれc)1ΔTct、b)2ΔTctである場合、d)直流リンク電圧の検出から変調率への反映までの遅れが1ΔTctであり、この系の遅れを補償すべく1.5ΔTct分進み位相補償を施す場合、e)変調率への反映までに遅れがない場合の5ケースをそれぞれ示している。 【0096】変調率の補償を行なう効果は確認できるものの、制御遅れが増加するに従い、トルクリプル抑制の効果が低減している。これに対し、遅れを打ち消すべく、位相を進めて補償した方式では、トルクリプルを効果的に抑制していることがわかる。 【0097】上述したように、本実施の形態の交流電気車駆動装置では、検出機構や制御系に存在する位相のずれを補償するようにしているので、相電流のビートや電動機のトルク振動を抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップを抑制したり、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。 【0098】また、直流リンク電圧の脈動を許容できるため、直流フィルタコンデンサ1の容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。 【0099】(第2の実施の形態:請求項2に対応)本実施の形態では、前述した第1の実施の形態において、位相補償部10に入力される位相補償量Pcmpを、前記直流リンク電圧Vdcの脈動成分ΔVdcの位相を進めるように(位相補償が進みの方向となるように)設定している。 【0100】すなわち、図2に示すようにPcmpを定義すれば、Pcmp>0となるように設定することと等価である。 【0101】次に、以上のように構成した本実施の形態の交流電気車駆動装置においては、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcの位相を進み補償した値に基づいて、変調率が補償される。 【0102】検出機構や制御系に存在する位相は遅れであり、位相を進める方向に補償するようにしていることにより、相電流のビートや電動機のトルク脈動を抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップを抑制したり、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。 【0103】また、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcを許容できるため、直流フィルタコンデンサ1の容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。 【0104】(第3の実施の形態:請求項3に対応)図5は、本実施の形態による交流電気車駆動装置の全体構成例を示すブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。 【0105】すなわち、本実施の形態の交流電気車駆動装置は、図5に示すように、図1に位相補償量演算部19を付加した構成としている。 【0106】位相補償量演算部19は、交流電気車駆動装置本体の動作状況に応じて、前記位相補償部10への入力である位相補償量Pcmpを演算し出力する。 【0107】次に、以上のように構成した本実施の形態の交流電気車駆動装置の動作について説明する。 【0108】なお、図1と同一部分の動作についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の動作についてのみ述べる。 【0109】図2において、位相補償量演算部19では、交流電気車駆動装置本体の動作状況、すなわち系の動作条件に応じた位相補償量Pcmpが演算され、位相補償部10に入力される。 【0110】すなわち、本実施の形態の交流電気車駆動装置においては、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcに対し、位相補償した値に基づいて、変調率が補償される。この場合、位相の補償量は系の動作状況に応じて可変であり、系の動作状況に応じた設定ができる。 【0111】このため、系の動作状況に依存せずに、検出機構や制御系に存在する遅れを補償することができ、相電流のビートや電動機のトルク脈動を効果的に抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップの抑制や、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。 【0112】また、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcを許容できるため、直流フィルタコンデンサ1の容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。 【0113】(第4の実施の形態:請求項4に対応)図6は、本実施の形態による交流電気車駆動装置の全体構成例を示すブロック図であり、図5と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。 【0114】すなわち、本実施の形態の交流電気車駆動装置は、図6に示すように、図5における位相補償量演算部19を、第2の位相補償量演算部20から構成するようにしている。 【0115】第2の位相補償量演算部20は、前記VVVFインバータ2の制御周期に応じて、前記位相補償部10への入力である位相補償量Pcmpを演算し出力する。 【0116】次に、以上のように構成した本実施の形態の交流電気車駆動装置の動作について説明する。 【0117】なお、図5と同一部分の動作についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の動作についてのみ述べる。 【0118】図6において、第2の位相補償量演算部20には、VVVFインバータ2の制御周期ΔTctが入力され、VVVFインバータ2の制御周期ΔTctに応じた位相補償量Pcmpが演算され、位相補償部10に入力される。 【0119】ここで、位相補償部10における演算方式の例として、例えば図3に示すような制御タイミングである場合には、次のような式により、位相補償量Pcmpを演算することができる。 【0120】 【数9】
【0121】ただし、ΔTct:VVVFインバータ2の制御周期[sec]、F:脈動周波数[Hz]であり、位相補償量Pcmpは正で進み補償を表わすものとする。 【0122】すなわち、本実施の形態の交流電気車駆動装置においては、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcに対し、位相補償した値に基づいて、変調率が補償される。この場合、位相補償量Pcmpは、VVVFインバータ2の制御周期ΔTctに応じて設定される。 【0123】前記第3の実施の形態で説明したように、制御遅れの要因の一つがVVVFインバータ2の制御周期ΔTctである。 【0124】そして、VVVFインバータ2の制御周期ΔTctが可変となるアプリケーションにおいて、この制御周期ΔTctに応じて位相補償量Pcmpを可変とすることで、制御周期ΔTctに応じた適切な位相補償量を設定することができる。 【0125】このため、VVVFインバータ2の制御周期ΔTctに依存せずに、検出機構や制御系に存在する遅れを補償することができ、相電流のビートや電動機のトルク脈動を効果的に抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップの抑制や、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。 【0126】また、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcを許容できるため、直流フィルタコンデンサ1の容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。 【0127】(第5の実施の形態:請求項5に対応)図7は、本実施の形態による交流電気車駆動装置の全体構成例を示すブロック図であり、図5と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。 【0128】すなわち、本実施の形態の交流電気車駆動装置は、図7に示すように、図5における位相補償量演算部19を、第3の位相補償量演算部21から構成するようにしている。 【0129】第3の位相補償量演算部21は、前記単相交流の周波数に応じて、前記位相補償部10への入力である位相補償量Pcmpを演算し出力する。 【0130】次に、以上のように構成した本実施の形態の交流電気車駆動装置の動作について説明する。 【0131】なお、図5と同一部分の動作についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の動作についてのみ述べる。 【0132】図7において、第3の位相補償量演算部21には、単相交流の周波数を表わすフラグF50_60が入力され、単相交流の周波数に応じた位相補償量Pcmp[deg]が演算され、位相補償部10に入力される。 【0133】ここで、本実施の形態におけるフラグF50_60は、単相交流の周波数を表わすものである。単相交流の周波数が50Hzの場合には、F50_60=0であり、単相交流の周波数が60Hzの場合には、F50_60=1である。 【0134】単相交流を整流する場合、単相交流の周波数の2倍の電力脈動が、直流リンク電圧の脈動となって現われる。そして、この直流リンク電圧の脈動のうち、支配的な周波数は、単相交流の周波数の2倍成分である。従って、単相交流の周波数を表わすフラグF50_60は、直流リンク電圧の脈動の周波数を表わすと考えられる。 【0135】すなわち、第3の位相補償量演算部21では、単相交流の周波数を表わすフラグF50_60に応じて、位相補償量Pcmpが演算され出力される。 【0136】例えば、第3の位相補償量演算部21は、切替器32から構成される。 【0137】この切替器32では、単相交流の周波数が60Hz、すなわち直流リンク電圧Vdcの脈動周波数が120Hzであることを示すF50_60=1の場合に、単相交流の周波数60Hz用の位相補償量Pcmp60が選択され、位相補償量Pcmpとして出力される。 【0138】また、切替器32では、単相交流の周波数が50Hz、すなわち直流リンク電圧Vdcの脈動周波数が100Hzであることを示すF50_60=0場合に、単相交流の周波数50Hz用の位相補償量Pcmp50が選択され、位相補償量Pcmpとして出力される。 【0139】すなわち、本実施の形態の交流電気車駆動装置においては、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcに対し、位相補償した値に基づいて、変調率が補償される。この場合、位相補償量Pcmpは、単相交流の周波数に応じて設定されため、交流電気車が50Hz、60Hzのどちらの周波数の電源にも対応する場合に有効である。 【0140】前述したように、直流リンク電圧Vdcの脈動周波数は、単相交流の周波数の2倍となる。 【0141】例えば、制御遅れが200[us]とすると、脈動周波数における遅れ位相[deg]は、単相交流の周波数が50Hzの場合、 Pcmp=200e−6[s]×2×50[Hz]×360[deg] =7.2[deg] であり、単相交流の周波数が60Hzの場合、 Pcmp=200e−6[s]×2×60[Hz]×360[deg] =8.64[deg] となる。 【0142】すなわち、同一の制御遅れに対する位相補償量Pcmp[deg]は、補償すべき周波数に応じて異なることが分かる。 【0143】このため、単相交流の周波数の脈動周波数に応じて、位相補償量を可変とするようにしていることにより、直流リンク電圧Vdcの脈動周波数に依存せずに、検出機構や制御系に存在する遅れを補償することができ、相電流のビートや電動機のトルク脈動を効果的に抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップの抑制や、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。 【0144】また、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcを許容できるため、直流フィルタコンデンサ1の容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。 【0145】(第6の実施の形態:請求項6に対応)図8は、本実施の形態による交流電気車駆動装置の全体構成例を示すブロック図であり、図1と同一部分には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。 【0146】すなわち、本実施の形態の交流電気車駆動装置は、図8に示すように、図1における脈動量検出部9、および位相補償部10を省略し、これに代えて新たに、第2の脈動量検出部13を備えた構成としている。 【0147】第2の脈動量検出部13は、前記電圧検出器3により検出された直流リンク電圧Vdcから脈動する成分をその位相を補償して抽出し、前記変調率補償部11への入力量として出力する。 【0148】次に、以上のように構成した本実施の形態の交流電気車駆動装置の動作について説明する。 【0149】なお、図1と同一部分の動作についてはその説明を省略し、ここでは異なる部分の動作についてのみ述べる。 【0150】図8において、電圧検出器3により検出された直流リンク電圧Vdcは、第2の脈動量検出部23に入力される。 【0151】第2の脈動量検出部23では、検出された直流リンク電圧Vdcからその脈動分に関し、位相を補償した値ΔVdc’が直接出力される。すなわち、前述した第1の実施の形態の交流電気車駆動装置における、脈動量検出部9および位相補償部10の作用が同時に行なわれる。 【0152】例えば、第2の脈動量検出部23は、以下のような伝達特性を有するバンドパスフィルタから構成される。 【0153】 【数10】
【0154】ここで、Fは特性周波数、QはいわゆるバンドパスフィルタのQ値、Gはゲインである。 【0155】このバンドパスフィルタは、特性周波数F[rad/s]の角周波数近傍の成分のみを通過させるものであり、F[rad/s]の角周波数成分の入出力間の位相差は零、G=1として入出力間ゲインは1である。 【0156】また、F[rad/s]よりも低い角周波数成分に対して、その入出力間の位相差は進みとなり、F[rad/s]よりも高い角周波数成分に対して、その入出力間の位相差は遅れとなる。 【0157】例えば、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcの角周波数よりも若干高い角周波数を特性周波数Fとして設定することにより、直流リンク電圧Vdcの脈動量ΔVdcに関しては、位相が進んだ値を検出することができる。 【0158】ただし、この場合、G>1として入出力間ゲインを1とするような調整が必要である。 【0159】すなわち、本実施の形態の交流電気車駆動装置においては、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcに対し、位相補償した値に基づいて、変調率が補償される。この場合、検出機構や制御系に存在する遅れを進み位相補償するようにしていることにより、相電流のビートや電動機のトルク脈動を効果的に抑制することが可能となる。これにより、過電流によるトリップの抑制や、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。 【0160】また、直流リンク電圧Vdcの脈動ΔVdcを許容できるため、直流フィルタコンデンサ1の容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。 【0161】さらに、前述した脈動量検出部9と位相補償部10とを、第2の脈動量検出部23で兼ね備えていることにより、前述した第1乃至第5の各実施の形態に比べて、制御系の遅れをより一層小さくすると共に、制御系の簡略化、あるいは制御機器の簡略化を図ることが可能となる。 【0162】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の交流電気車駆動装置によれば、単相の電力脈動に起因して直流リンク電圧に脈動が存在する場合、制御系に各種の遅れが存在する場合にも、相電流のビートや永久磁石同期電動機のトルク脈動を低減することが可能となる。これにより、過電流によるトリップを抑制したり、騒音や振動を低減する効果を期待することができる。また、直流リンク電圧の脈動を許容できるため、直流フィルタコンデンサの容量をある程度小さい値に設計することが可能となる。これにより、機器の小型化・軽量化・コストダウンの効果を期待することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000173784 【氏名又は名称】財団法人鉄道総合技術研究所 【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成11年4月21日(1999.4.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−308205(P2000−308205A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月2日(2000.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願平11−113697 |
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