| 【発明の名称】 |
鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構 |
| 【発明者】 |
【氏名】佐藤 與志
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| 【要約】 |
【課題】保守点検の複雑な流体機構を使用せず、曲線路においても確実にパンタグラフを線路の鉛直線上に位置させること。
【解決手段】台車枠1に回転が自在に取付けた捩り棒4の両端に、腕5の基端部を一体的に取付ける。腕5の先端部に回転が自在にリンク6の一端側を枢着する。リンク6の他端側に、中央屈曲部を車体2の上側に枢着されたベルクランク7の一端を枢着する。これらベルクランク7の他端同士を連結棒8によって回転が自在に連結する。この連結棒8の中央部に、他方側が車体2上の一点に回転が自在に枢支されたパンタグラフ支持台10の一方側を枢着する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 台車枠に回転が自在なように取付けた捩り棒の両端に、基端部を一体的に取付けた腕と、これらの腕の先端部に回転が自在なように一端側を枢着したリンクと、これらリンクの他端側に一端を枢着され、中央屈曲部は車体の上側に枢着されたベルクランクと、これらベルクランクの他端同士を回転が自在なように連結する連結棒と、この連結棒の中央部に一方側が枢着され、他方側は車体上の一点に回転が自在なように枢支されたパンタグラフ支持台を備えたことを特徴とする鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構。 【請求項2】 請求項1記載の鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構において、腕とリンク間に、腕の先端部に一端側を枢支された下側リンクと、この下側リンクの他端側を一端側に、また、他端側は前記リンクの一端側に回転が自在なように枢着され、中央部を車体の下面に枢着したてこを介設したことを特徴とする鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構。 【請求項3】 連結棒とパンタグラフ支持台との枢着部に弾性体を介在させると共に、弾性体を介して連結棒を2分割したことを特徴とする請求項1又は2記載の鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構に関するものである。 【0002】 【従来の技術】鉄道車両の高速化を図るため、曲線路を高速で通過出来るように、曲線路走行中は、曲線路の内側に車体を傾斜させて、車内の乗客が遠心力を感じないようにする振子車両は従来から使用に供されている。 【0003】ところで、車両には車体傾斜動作を行わないものもあるため、電力供給用の架線は、曲線路においても線路の鉛直線上に架設されている。従って、更なる高速化を図るため、振子車両において、曲線路内側への車体の傾斜角度を大きくした場合、傾斜角度によってはパンタグラフが架線から外れてしまう。 【0004】そこで、このような問題を解決するために、曲線路における内側への傾斜にあわせて、パンタグラフを車体の傾斜と逆の方向に傾け、パンタグラフが架線から外れるのを防止する機構が種々提案されている。 【0005】例えば佐々木浩一他3名、鉄道車両と技術(1996年12月号)の「TRY−Zのパンタグラフ姿勢保持機構」には、車体の床下に2本の油圧シリンダ(変位検知シリンダ)を配置して車体ロール角を検出し、この車体ロール角の変化量を流量に変換し、閉回路の配管を通して車体の屋根上に配置したパンタグラフ台駆動用の油圧シリンダ(姿勢保持シリンダ)に伝達することで、車体の傾斜角度の変化に拘らず、台車に対するパンタグラフの位置を保持するものが開示されている。 【0006】また、特開平6−233406号には、車体の一部を貫通し、台車枠に結合した支持フレームによってパンタグラフを支持したパンタグラフ支持装置において、集電舟の架線に対する相対運動を極力小さくすることで、集電舟の摩耗の偏りを無くし、かつ、集電舟が架線から外れる危険性を防止しようとするものが開示されている。 【0007】また、特開平5−115104号には、パンタグラフ及びパンタグラフ支持架台が、車体の進行方向に対して直角方向に、車体屋根に対して相対移動が可能なパンタグラフ支持架台案内装置において、パンタグラフ支持架台を伸縮しないロープで拘束することによって、車体が傾斜してもパンタグラフの中立位置を保持できものが開示されている。 【0008】また、特開昭58−212302号には、ころ式自然車両におけるころの回転力及び回転角度を利用することで、パンタグラフの架線に対する変位量を適切に復元するものが開示されている。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鉄道車両と技術の「TRY−Zのパンタグラフ姿勢保持機構」で開示された方式では、駆動手段として油圧を使用しているので、油圧動作機構の保守点検が必要不可欠であり、コストが高くつく。 【0010】また、特開平6−233406号で開示された方式では、台車枠の上にパンタグラフ支持枠を直接取付けているので、パンタグラフ支持枠の自重が直接台車枠に作用し、車両の枕ばね下重量が増加する。また、台車枠の上下振動が直接パンタグラフ支持枠に作用するので、パンタグラフ支持枠に悪い影響がでるという問題もある。 【0011】また、特開平5−115104号で開示された方式では、車体の進行方向に対する直角方向のパンタグラフの支持をロープで行っているので、枕ばねの撓みによって、車体が台車枠に対し純粋に上下方向に変位した場合には、ロープが全体として緩むか、或いは、引っ張られることになって、その分の変位を補正する機構が別途必要になる。 【0012】また、特開昭58−212302号で開示された方式では、枕ばねの撓みによって、車体が台車枠に対し純粋に上下方向に変位した場合には、パンタグラフを傾けてしまうという問題がある。 【0013】本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、油圧などの保守の複雑な流体機構を使用せず、曲線路においても、リンク機構のみで確実にパンタグラフを線路の鉛直線上に位置させることができる鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構を提供することを目的としている。 【0014】 【課題を解決するための手段】上記した目的を達成するために、本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構は、台車枠に回転が自在なように取付けた捩り棒の両端に、その基端部を一体として腕を取付け、これらの腕の先端部に、リンクの一端側を回転が自在なように枢着し、これらのリンクの他端側を、中央屈曲部が車体の上側に枢着されたベルクランクの一端に枢着し、これらベルクランクの他端同士を連結棒によって回転が自在なように連結すると共に、この連結棒の中央部に、他方側が車体上の一点に回転が自在なように枢支されたパンタグラフ支持台の一方側を枢着したこととしている。そして、このようにすることで、機械的なリンク機構のみで、台車枠に対して車体が傾斜する変位に応じて、車体の傾斜と逆の方向にパンタグラフを変位させることができる。 【0015】 【発明の実施の形態】従来より、台車枠と車体との間のローリング変位に対して適度な剛性を与える手段として、捩り棒と、その両端に腕を取付けたアンチローリング装置が採用されている。このアンチローリング装置は、機構として、車体と台車枠との間のローリング変位(傾き)のみを抽出する作用がある。従って、このアンチローリング装置を構成する腕の先にリンクを取付け、このリンクを車体上のパンタグラフ支持台に連結すれば、車体と台車枠との間の傾斜変位のみに対応して、パンタグラフを移動させることが可能になる。 【0016】本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構は、上記した考え方によって成されたものであり、台車枠に回転が自在なように取付けた捩り棒の両端に、基端部を一体的に取付けた腕と、これらの腕の先端部に回転が自在なように一端側を枢着したリンクと、これらリンクの他端側に一端を枢着され、中央屈曲部は車体の上側に枢着されたベルクランクと、これらベルクランクの他端同士を回転が自在なように連結する連結棒と、この連結棒の中央部に一方側が枢着され、他方側は車体上の一点に回転が自在なように枢支されたパンタグラフ支持台を備えたものであり、必要に応じて、腕とリンク間に、腕の先端部に一端側を枢支された下側リンクと、この下側リンクの他端側を一端側に、また、他端側は前記リンクの一端側に回転が自在なように枢着され、中央部を車体の下面に枢着したてこを介設したり、或いは、連結棒とパンタグラフ支持台との枢着部に弾性体を介在させると共に、弾性体を介して連結棒を2分割したりする。 【0017】本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構は、上記したように構成したので、油圧機構のように複雑な保守を必要とすることなく、機械的なリンク機構のみで、台車枠に対して車体が傾斜する変位に対応して、前記車体の傾斜と逆の方向にパンタグラフを変位させて、常に線路の鉛直線上に位置させることができる。 【0018】また、本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構においては、台車枠に対して車体が傾斜と共に純粋に上下変位をしても、その傾斜変位分のみを検出して、パンタグラフの位置を自動調整することができる。 【0019】本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構において、腕とリンク間に、腕の先端部に一端側を枢支された下側リンクと、この下側リンクの他端側を一端側に、また、他端側は前記リンクの一端側に回転が自在なように枢着され、中央部を車体の下面に枢着したてこを介設した場合には、車体の下側(台車側)から車体の上側(パンタグラフ側)に、車体と台車枠の間の傾斜変位を伝達するリンク機構の配置に自由度ができるので、車体の客室スペースがより確保しやすくなる。 【0020】また、本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構において、連結棒とパンタグラフ支持台との枢着部に弾性体を介在させると共に、弾性体を介して連結棒を2分割した場合には、台車枠と車体間の傾斜変位の振動成分が直接パンタグラフに伝達されるのを防止でき、さらに、車体の左右に配置したリンクの製作誤差による変位差を吸収することができる。 【0021】 【実施例】以下、本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構を図1〜図7に示す実施例に基づいて説明する。図1は請求項1に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構の概略説明図、図2(a)は請求項2に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構の概略説明図、(b)は(a)の矢視A図、図3は請求項3に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構の概略説明図、図4は請求項1に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構を備えた車両の傾斜時の動作を説明する図で、(a)は正位時、(b)は紙面左側に傾斜した時、(c)は紙面右側に傾斜した時、図5は請求項1に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構を備えた車両の上下変位時の動作を説明する図で、(a)は正位時、(b)は下方に変位した時、(c)は上方に変位した時、図6は請求項1に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構を備えた車両が左右方向に変位した時の動作を説明する図、図7は請求項2に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構を備えた車両の傾斜時の動作を説明する図で、(a)は正位時、(b)は紙面左側に傾斜した時を示す図である。 【0022】図1において、1は車体2の裏面側に配置される台車枠であり、この台車枠1には、軸受け3aを介して回転が自在なように、車体2の幅方向に捩り棒4が設けられている。そして、この捩り棒4の両端には、腕5の基端部が一体的に取付けられている。 【0023】6は車体2の両側方に垂直に配置されるリンクであり、その一端側は前記した腕5の先端部に回転が自在なように枢着されている。また、このリンク6の他端側は、中央屈曲部が車体2の上側に例えば軸受け3bを介して枢着されたベルクランク7の一端に枢着されている。 【0024】8は前記したベルクランク7の他端同士を回転が自在なように連結する連結棒であり、この連結棒8の中央部に、パンタグラフ9を備えたパンタグラフ支持台10の一方側が、枢着されている。そして、このパンタグラフ支持台10の他方側は、車体2上の一点にピン11によって回転が自在なように枢支されていると共に、裏面側には、車体2の上面に敷設された案内レール12上を転動するローラ13が回転自在なように取付けられている。従って、連結棒8が車体2の幅方向に移動した場合には、パンタグラフ支持台10の一方側は、他方側のピン11を中心として案内レール12に沿って移動することになる。 【0025】請求項1の本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構は上記した構成であり、図4(a)に示した正位時から、車体2と台車枠1の間で傾きが発生すると、図4(b)(c)に示したように、車体2の傾きと逆の方向にリンク6が回転し、パンタグラフ支持台10に連結されている連結棒8が、前記傾きによる車体上面の幅方向変位と逆方向に移動する。この連結棒8の移動により、車体2の傾きに関係なく、パンタグラフ9は常に台車1の鉛直線上に位置することになる。 【0026】一方、請求項1の本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構では、図5(a)に示した正位時から、車体2と台車枠1との間で、純粋に上下方向のみの相対変位が発生した場合には、図5(b)(c)に示したように、両側の捩り棒4(腕5)が一緒に回転するので、パンタグラフ9は移動しない。 【0027】また、車体2と台車枠1との間で、単純に車体幅方向の相対変位、例えば図6に示したように、紙面左方向に車体2が移動した場合には、リンク6が傾斜した分、腕5が上方向に回転するので、パンタグラフ9の位置は移動しない。 【0028】以上説明したように、請求項1の本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構では、車体2と台車枠1との間の相対的な傾斜変位のみに対応して、パンタグラフ9を移動させ、台車枠1の鉛直線上に保持することができる。 【0029】本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構は、図1に示したものに限らず、図2に示したものでも良い。すなわち、図2に示したものは、図1に示した請求項1に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構の、腕6の先端部に下側リンク14の一端側を枢支し、この下側リンク14の他端側を、その中央部を車体2の下面に枢着したてこ15の一端側に枢着すると共に、てこ15の他端側はリンク6の一端側に回転が自在なように枢着したものである。これが請求項2に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構である。 【0030】この請求項2に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構によれば、車体2の下側(台車側)から車体2の上側(パンタグラフ側)に、車体2と台車枠1の間の傾斜変位を伝達するリンク機構の配置に自由度ができるので、車体2の客室スペースがより確保しやすくなる。 【0031】この請求項2に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構の場合においても、図7(a)に示した正位時から、車体2と台車枠1の間で傾きが発生すると、図7(b)に示したように、車体2の傾きと同方向にリンク6が回転し、パンタグラフ支持台10に連結されている連結棒8が、前記傾きによる車体上面の幅方向変位と逆方向に移動する。そして、この連結棒8の移動により、車体2の傾きに関係なく、パンタグラフ9は常に台車1の鉛直線上に位置することになる。 【0032】また、本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構は、図1や図2に示したものに限らず、図3に示したものでも良い。すなわち、図3に示したものは、例えば図1に示した請求項1に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構の、連結棒8とパンタグラフ支持台10との枢着部に弾性体16を介在させると共に、弾性体17例えばコイルスプリングを介して連結棒8を2分割したものである。このような構成と成した場合には、弾性体16によって、台車枠1と車体2間の傾斜変位の振動成分が直接パンタグラフ9に伝達されるのを防止できると共に、弾性体17によって、車体2の左右に配置したリンク6の製作誤差による変位差を吸収することができる。これが請求項3に対応する本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構である。 【0033】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構では、油圧機構のように複雑な保守点検を必要とすることなく、機械的なリンク機構のみで、台車枠に対して車体が傾斜する変位に対応して、前記車体の傾斜と逆の方向にパンタグラフを変位させて、常に線路の鉛直線上にパンタグラフを位置させることができる。 【0034】また、本発明に係る鉄道車両用パンタグラフの姿勢保持機構では、車体と台車枠との間の、上下、左右方向の変位に対しては、パンタグラフは移動しないので、車体が傾斜しない区間の走行においても、誤動作がなく、信頼性が高い。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002118 【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年4月16日(1999.4.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100060829 【弁理士】 【氏名又は名称】溝上 満好 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−308202(P2000−308202A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月2日(2000.11.2) |
| 【出願番号】 |
特願平11−109071 |
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