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【発明の名称】 車両の発電制御装置
【発明者】 【氏名】田端 淳

【要約】 【課題】自動変速機を備える車両において、自動変速機用流体の温度の上昇を抑制し、その劣化を防止する車両の発電制御装置を提供する。

【解決手段】専用の発電モードに切り替えるためのマニュアル発電スイッチ12を有し、専用の発電モードにおいて、流体温度センサ19により自動変速機用流体の温度Tatfを測定し、この値が所定の閾値Temp1を超えている場合に、ECU8が外部への給電を禁止する。これにより、外部給電のためにエンジン1が駆動されることがなくなり、エンジン1とともに自動変速機が回転することがなくなり、自動変速機用流体の温度が高温となることを防止できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンと、ジェネレータと、流体継手と、発電で得た電力を車両外部へ給電するための外部端子と、を有し、車両停車時に、エンジンによりジェネレータで発電し、前記外部端子を通じて車両外部に給電を行う車両の発電制御装置であって、前記流体継手用流体の温度が所定値より高い場合に、前記外部端子を通じた車両外部への給電を禁止することを特徴とする車両の発電制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の発電制御装置、特に外部へ給電するための外部端子を有する車両の発電制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年は自動車を利用したオートキャンプがさかんであり、照明器具、調理器具又はTV等の各種の家庭用電化製品をキャンプ地でも利用できるようにするために、発電機を持参していく場合がある。しかし、発電機運搬のために車内スペースが削られてしまうことや、発電機が生ずる騒音等不便な点もある。そこで、車両に外部コンセント(外部端子)を設けて、積載してあるバッテリの電力又はエンジントルクによりジェネレータで発電した電力が利用できれば発電機を持参する必要がなくなり便利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、流体継手を備える車両において、エンジントルクをジェネレータに伝達してこのジェネレータにて発電する場合、流体継手用流体の温度が高い状態で発電を継続すると、流体継手のすべり等により、さらに流体継手用流体の温度が上昇し、この流体継手用流体が劣化するという問題があった。
【0004】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、流体継手を備える車両において、流体継手用流体の温度の上昇を抑制し、その劣化を防止する車両の発電制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、第1の発明は、エンジンと、ジェネレータと、流体継手と、発電で得た電力を車両外部へ給電するための外部端子と、を有し、車両停車時に、エンジンによりジェネレータで発電し、外部端子を通じて車両外部に給電を行う車両の発電制御装置であって、流体継手用流体の温度が所定値より高い場合に、外部端子を通じた車両外部への給電を禁止することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下、実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0007】図1には、本実施形態におけるハイブリッド車両の構成ブロック図が示される。エンジン1の出力軸は、本発明に係るジェネレータであるモータジェネレータ(MG)2に接続されており、モータジェネレータ2の出力軸は、トルクコンバータ(T/C)3に接続され、トルクコンバータ3の出力軸は、歯車変速機部4aに接続されている。すなわち、エンジン1の動力とモータジェネレータ2の動力とをトルクコンバータ3を介して歯車変速機部4aに出力できるように構成されている。また、歯車変速機部4aで発生した油圧によりどのギヤを使用するかを制御する油圧制御部4bも設けられている。
【0008】なお、上記構成は例として挙げたものであり他の構成であっても本発明は適用可能である。例えば、ハイブリッド車だけでなく、通常のエンジン駆動車両において、エンジンで駆動されるオルタネータの電力を外部へ給電するもの、あるいは、モータジェネレータを車両の駆動には用いず、エンジンの始動及び発電にのみ用いる方式でもよい。
【0009】エンジン1は、燃料の燃焼によって動力を出力する形式の装置であり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンの他、液化石油ガスや天然ガス等のガス燃料を燃焼させるエンジンが含まれる。モータジェネレータ2は、電気的エネルギを回転運動等の運動エネルギに変換して出力するモータ機能と、伝達された動力エネルギを電気エネルギに変換する発電機能を併せ持つ。
【0010】トルクコンバータ3は、駆動部材のトルクを流体により従動部材に伝達させるもので、例えば図示しないがポンプインペラに一体化されたフロントカバーとタービンライナを一体に取付けたハブと、ロックアップクラッチからなる。また、歯車変速機部4aと油圧制御部4bとの組み合わせにより入力回転数と出力回転数の比(変速比)を自動で適宜変更することのできる装置が構成され、これには有段式の変速機や変速比を連続式に変化させることのできる無段変速機等がある。これらのトルクコンバータ3、歯車変速機部4a、油圧制御部4bにより本発明の流体継手に相当する自動変速機が構成される。この自動変速機には、自動変速機用流体が封入されており、トルクコンバータ3、歯車変速機部4a、油圧制御部4bにおいて、各油圧動作及び各部の潤滑に使用される。
【0011】図2に本実施形態のシステム構成図を示す。モータジェネレータ2にはインバータ5を介してバッテリ6が接続されている。インバータ5は、モータジェネレータ2に対する電流及び周波数を制御し、またモータジェネレータ2で発電する際の電流を制御するように構成されている。そしてそれらの制御を行うためにコントローラ7が設けられている。このコントローラ7は、例えば、エンジン1の始動要求、発進要求及び制動要求に従ってインバータ5及びバッテリ6を制御するように構成されている。
【0012】エンジン1、モータジェネレータ2、トルクコンバータ3、歯車変速機部4a、油圧制御部4b、バッテリ6等には、各種センサが設けられており、そのセンサの検出信号は、ECU8に送られる。ECU8は、マイクロコンピュータで構成され、エンジン1等に制御信号を送り、車速信号やアクセル開度信号、SOC(State Of Charge;充電状態)信号等の検出信号に基づいてトルクコンバータ3のスリップ率や歯車変速機部4a、油圧制御部4bの変速比等を制御する。
【0013】他方、車室内に設けられたシフトレバー(図示せず)の基部の近傍には、図3に示すようにロックソレノイド21を設置する。このロックソレノイド21は、ECU8に電気的に接続されており、その制御信号に応じて後述のとおり突出後退作動するものであり、ロックソレノイド21の突出作動時には、シフトレバーは、その操作位置すなわちシフトレバー位置が、停車位置であるPポジション(パーキングポジション)から走行位置であるR(後退)・N(中立)・D(通常走行)・4・3・2・L(ロー)の各ポジションに移動しないようにロックされる。
【0014】インバータ5には、本発明に係る外部端子に相当する外部電源コンセント9が接続されており、インバータ5と外部電源コンセント9の間にはON/OFFの切替スイッチ10が設けられている。
【0015】図示していないが、エンジン1から排出された排気ガス経路である排気管には、排気ガス浄化用の触媒が設けられている。触媒は、一般に固体金属触媒であり、網状の金属担体上に保持されている。この触媒層を排気ガスが通過することにより排気ガス中の一酸化炭素、炭化水素、酸化窒素等の有害成分が除去される。排気管内には触媒の近傍の排気ガスの温度を検知するための触媒温度センサ11が設けられており、ECU8に検知信号を送る。
【0016】本実施形態においては、通常のモードとは別に外部給電のための発電モードを有し、そのためのマニュアル発電スイッチ12が設けられている。また、外部給電のための発電モードで発電していることを乗員に知らせるためのモードインジケータ13が備えられている。
【0017】車両発進時や低速走行時にはモータジェネレータ2をモータとして機能させモータ出力のみで走行する。通常走行時には、エンジン1を始動させてエンジン出力で走行する。上坂路や加速時等エンジン1に高負荷がかかる時にはエンジン1に加えモータジェネレータ2をモータとして機能させ両動力源より走行する。車両減速時や制動時には、モータジェネレータ2を発電機として機能させ、バッテリ6に電力を回生する。さらにバッテリ6のSOCが低下した場合には、エンジン1の出力を増大させ、エンジン出力をモータジェネレータ2で電力に変換してバッテリ6に充電する。
【0018】また、上記シフトレバー位置がPポジションの場合には、マニュアル発電スイッチ12により発電モードを選択し、エンジン1の出力によりモータジェネレータ2で発電しつつ、この電力を外部電源コンセント9から外部へ給電させることもできる。この場合、ハイブリッド車の走行直後等に、自動変速機用流体の温度が高い状態でエンジン1を駆動し、モータジェネレータ2での発電を行わせると、前述したとおり、トルクコンバータやクラッチのすべり等により、さらに自動変速機用流体の温度が上昇する。このように、自動変速機用流体の温度が高くなると、自動変速機用流体が劣化する危険がある。したがって、自動変速機用流体が高温の時には、上記外部への給電を禁止する必要がある。
【0019】このため、本実施形態では、図2に示された流体温度センサ19により自動変速機用流体の温度Tatfを測定してECU8に入力し、Tatfが所定の閾値Temp1を超えていると、ECU8が車両外部への給電を禁止する構成となっている。外部給電が禁止されれば、外部給電のためにエンジン1が駆動されることもなくなるので、エンジン1とともにトルクコンバータ3や歯車変速機部4aが回転することもなくなる。これにより自動変速機用流体の温度上昇も抑制できる。
【0020】次に、図4に示す本実施形態における車両の発電制御装置の処理フローチャートを用いて外部給電のための発電手順を説明する。
【0021】まず、ECU8は、各種センサの入力信号を処理し(S20)、次に、マニュアル発電スイッチ12がON状態かどうかを判定する(S30)。乗員が外部給電のためにモータジェネレータ2による発電若しくはバッテリ6からの放電を行いたい場合は、マニュアル発電スイッチ12をONにして外部給電のための発電モードを設定し、このマニュアル発電スイッチ12からECU8に送られる信号14によってON/OFFが判定される。マニュアル発電スイッチ12がOFF状態の場合は、外部電源コンセント9からの電力取出を禁止する(S100)。この場合はECU8から切替スイッチ10をONにする信号15が送られず、切替スイッチ10がOFF状態にあるため外部電源コンセント9から電力を取出すことができない。外部への給電をマニュアル発電スイッチ12がONされた場合のみに限定するように構成したのは、この発電モードの実行中であれば、発電を行わずにバッテリ6の放電により給電した場合でも、SOCが低くなればエンジン1が始動され、バッテリ6への充電が開始される結果、バッテリ6内の電力が全て消費される事態を回避できるからである。
【0022】ステップ30にてスイッチONの場合は、続いてシフトレバー位置がPポジション(停車位置)かどうかを、シフトレバーの位置センサ(図示せず)の検出信号に基づいて判定する(S40)。ステップ40においてシフトレバー位置がPポジション以外である場合には、発電を開始せず、外部電源コンセント9からの電力取出を禁止する(S100)。また、モードインジケータ13を消灯し、外部電源コンセント9が使用できない状態にあることを乗員に認識させる(S110)。このようにシフトレバー位置がPポジションの場合にのみ発電を行うこととしたのは、Pポジションの場合には車両が停車中であり、エンジン1に負荷がかかっていない状態だからである。
【0023】他方、シフトレバー位置がPポジションにあるときは、流体温度センサ19により測定した自動変速機用流体の温度Tatfが所定の閾値Temp1を超えていないかどうかを判定する(S45)。TatfがTemp1を超えている場合は、ECU8が外部電源コンセント9からの電力取出を禁止する(S100)。
【0024】これに対し、TatfがTemp1以下の場合には、続いてSOCが所定値A%以上かどうかを、バッテリ6に設けられたSOCセンサ(図示せず)からの信号16に基づいて判定する(S50)。
【0025】SOCが所定値A%以上のときは、バッテリ6の容量が充分であるため、発電を開始しない。所定値A%未満のときは、専用制御ロジックでエンジン1を駆動させる(S60)。ここで専用制御ロジックとは、例えば触媒温度センサ11により触媒近傍の排気ガス温度をモニターし信号17としてECU8に送り、排気ガス温度が所定の触媒活性温度より低い場合に、エンジン回転数を増加させて排気ガス温度を高める制御をいう。エンジン回転数の制御はスロットルバルブの開閉によって行われる。ここではエンジン始動当初よりむしろアイドリング程度のエンジン回転数を長時間続けた場合の排気ガス温度の低下が問題となる。なお、このように触媒温度センサ11の検出値が所定値を維持するように制御する構成に代えて、エンジン回転数が所定値を維持するように制御する構成としてもよく、このような構成によっても触媒の温度低下による排気ガス浄化能力低下を防止することができる。このような専用制御ロジックの実行により、排気ガス浄化用の触媒が常に十分な活性化温度範囲に維持される。
【0026】また、図5に示すモータジェネレータ2の特性図におけるモータ効率の最高点で発電できるように、モータトルクと回転数を制御してもよい。図5は横軸にモータ回転数NM、縦軸にモータトルクTMをとった場合のモータ効率ηMが示されている。図に示すように回転数NM及びトルクTMが増大するほどモータ効率ηMは増大し、ある回転数NM及びトルクTMの範囲で極大となる。
【0027】さらに排気ガス温度が触媒活性温度以上となるエンジン1の最低回転数N1以上の回転数であって、最もモータジェネレータ2のモータ効率が良くなる点で発電できるようモータトルク又はモータ回転数を制御してもよい。尚、この専用制御ロジックは、外部電源コンセント9と特別なマニュアル発電スイッチ12を設けた本実施形態に限らず、これらを有しない一般のハイブリッド車にも、例えば歯車変速機部4a、油圧制御部4bの変速比を適切に制御する構成とすることによって適用することが可能である。
【0028】続いて補機の作動が禁止される(S70)。補機とはここでは、外部給電のための発電と無関係の装置、例えばエアコンや、歯車変速機部4a、油圧制御部4bの電動オイルポンプのモータをいう。ガソリン車はエンジン始動とともにクランクシャフトの回転を伝達して機械式のオイルポンプを作動させるが、ハイブリッド車両は、発進時はエンジン1が始動しないため、バッテリ6の電力を用いて電動オイルポンプを作動させている。従って、通常の車両を停止させてのバッテリ6の充電モードにおいては、前記の電動オイルポンプは作動しており、エンジン1に対する負荷となるため、燃費が悪くなる。同様にエアコン等も負荷となる。これに対し本実施形態では、外部給電のための発電モードの実行中には、ステップ70で補機の作動を禁止した結果、これらの負荷がなく燃費を向上できる一方、車両停車中にはトルクをタイヤに伝えることを考慮する必要がないため、補機を作動させなくとも不都合はない。
【0029】続いてステップ60にいう専用制御ロジックに基づいて所定のモータトルク・回転数にてモータジェネレータ2が駆動され発電が行われる(S80)。
【0030】モータジェネレータ2で発電された電力はインバータ5により所定の電圧に落とされ、外部電源コンセント9へ送られる。このとき、余剰に発電された電力はバッテリ6へ送られ、バッテリ6を充電する(S90)。尚、このように余剰に発電された電力を利用してバッテリ6を充電することに加え、バッテリ6のSOCの低下が検出された場合には積極的に充電を行う構成としてもよい。
【0031】続いて外部電源コンセント9からの電力の取出が許可される(S140)。この場合ECU8から切替スイッチ10へ信号15が送られ、スイッチ10がONに切り替えられインバータ5から外部電源コンセント9へ送電される。
【0032】次に、ステップ150において、シフトレバー近傍のロックソレノイド21に対して制御信号が送られ、これによりロックソレノイド21が突出作動し、シフトレバー位置が停車位置であるPポジションから走行位置であるR・N・D・4・3・2・Lの各ポジションに移動しないようにロックされる。このようにしてシフトレバーが停車位置であるPポジションでロックされる結果、モータジェネレータ2の給電運転中にシフトレバーが走行位置に誤操作されることに起因した車両の飛び出しやショックの発生を防止でき、また他方、このような車両の飛び出しやショックの発生のおそれを考慮することなく、例えば高い回転数でモータジェネレータ2を運転する等、発電モードの制御内容を自由に設計できるという利点がある。
【0033】最後にECU8から発電モードインジケータ13へ点灯信号18が送られ、インジケータ13が点灯する(S160)。これにより乗員は、外部給電が可能な状態であることを知ることができる。
【0034】他方、ステップ50においてSOCが所定値A%以上と判定された場合、エンジン1が作動している場合にはこれを停止する(S120)。従って、このときは発電は行われない。次にバッテリ6の放電モードが設定され(S130)、これによりバッテリ6の電力がインバータ5を介して外部電源コンセント9へ送られる。ステップ140以下の処理は同じである。尚、バッテリ6の放電の結果、SOCが所定値A%を下回ると、ステップ50で再び否定判定され、ステップ60より専用制御ロジックでエンジン1が駆動され、再びモータジェネレータ2による発電が開始される。
【0035】ここで、切替スイッチ10により外部への給電をカットしたのは、シフトレバー位置がPポジション以外の場合だけであるが、この他、モータジェネレータ2による発電及びバッテリ6の放電が正常状態でない場合に切替スイッチ10により給電をカットする構成としてもよい。モータジェネレータ2による発電及びバッテリ6の放電が正常状態でない場合としては、例えば、バッテリ6のSOCの極度の低下や、電圧低下、モータジェネレータ2による発電ができないとき、外部電源コンセント9系の故障等がある。これにより、車両の移動を防止できる他、バッテリ6等を保護することができる。本実施形態では、ハイブリッド車両について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、通常のエンジンにより駆動される車両であって、このエンジンの動力で発電を行うジェネレータの電力を外部へ給電するように構成した車両であってもよい。
【0036】
【発明の効果】このように、本発明では、外部給電のための発電モードを通常の充電モード以外に別途設け、流体継手用流体の温度が所定値より高い場合に、外部への給電を禁止するので、外部給電中に流体継手用流体の温度がさらに上昇し、劣化することを防止できる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成11年4月19日(1999.4.19)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2000−308201(P2000−308201A)
【公開日】 平成12年11月2日(2000.11.2)
【出願番号】 特願平11−110468