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【発明の名称】 車両用エネルギ管理装置および車両
【発明者】 【氏名】久野 勝美

【氏名】山根 哲哉

【氏名】岩崎 秀夫

【要約】 【課題】車両の予定された走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量に着目して、車両の走行エネルギ源としての二次電池のエネルギ管理を行い得る車両用エネルギ管理装置を提供する。

【解決手段】車両の予定された走行経路に関する情報、例えば道路の種別やその高低差、更には制限速度等の情報を取得し(処理A,B)、この走行経路に関する情報と前記車両の重量や走行抵抗等に依存する消費エネルギ特性(情報C)とに基づいて車両が該走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量を求める(処理D)。そして予測された駆動エネルギ量に従って二次電池に対する充放電を制御する(処理E,〜F)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 二次電池を走行エネルギ源として利用する車両の、予定された走行経路に関する情報を取得する情報取得手段と、上記走行経路に関する情報と前記車両の運動特性とに基づいて前記車両が該走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量を求めるエネルギ量予測手段と、上記予測された駆動エネルギ量に従って前記二次電池に対する充放電を制御する充放電制御手段とを具備したことを特徴とする車両用エネルギ管理装置。
【請求項2】 前記情報取得手段は、前記車両の現在地と設定された目的地とから走行経路を予測し、予測した走行経路に関する道路環境情報を地図情報や交通情報から求める経路探索手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用エネルギ管理装置。
【請求項3】 前記情報取得手段は、前記エネルギ量予測手段にて求められる駆動エネルギ量が最小となる走行経路を探索する最適走行経路探索手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の車両用エネルギ管理装置。
【請求項4】 前記充放電制御手段は、前記予定された走行経路の全てを走行するに必要な駆動エネルギ量、または前記二次電池を充電し得る地点までの走行に必要な駆動エネルギ量が、前記二次電池の充電量よりも大きいときに警報を発する手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用エネルギ管理装置。
【請求項5】 二次電池と、この二次電池をエネルギ源として車輪を走行駆動すると共に、前記車輪の回転力から前記二次電池を充電し得る回生エネルギを生成するモータとを具備した車両であって、該車両の予定される走行経路に関する情報を取得する情報取得手段と、上記走行経路に関する情報と該車両の運動特性とに基づいて該走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量を求めるエネルギ量予測手段と、上記予測された駆動エネルギ量に従って前記二次電池に対する充放電を制御する充放電制御手段とを具備したことを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二次電池を走行エネルギ源として利用する車両の予定された走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量に着目して前記二次電池のエネルギ管理を行うようにした車両用エネルギ管理装置およびこのエネルギ管理装置を備えた車両に関する。
【0002】
【関連する背景技術】近時、二次電池(バッテリ)を走行エネルギ源として利用する車両が、電気自動車(EV;Electric Vehicle)、ハイブリッド車(HEV;Hybrid ElectricVehicle)、パワーアシスト車等として種々開発されている。この種の車両は二次電池により駆動されるモータ(電動機)を備えて該モータの回転力を以て走行したり、或いはモータの回転力にて内燃機関や人力による走行をアシストするものである。
【0003】ところでこの種の車両においてはモータを駆動することなく走行し得るとき、例えば車両の減速制動時に上記モータから得られる回生エネルギにて前記二次電池を充電することで、エネルギの有効利用を図ることが行われている。例えばハイブリッド車においては、二次電池の充放電特性を考慮して、その平均的な充電量が一定の範囲(例えば満充電状態の80%程度)に収まるように、車両の走行状態に応じて前記二次電池に対する充放電を制御することが行われている。
【0004】一方、特開平8−126116号公報には、車両の走行経路に関する情報(道路の幅,種別,標高,制限速度等)から各走行地点の走行に必要なエネルギ量を推定することで、何処でどの程度のバッテリ残量(二次電池の充電量)があれば良いかを示す目標バッテリ容量を求め、この目標バッテリ容量に応じて二次電池の充放電を制御する手法が開示されている(同公報の図3,図4,図6参照)。この手法によれば、例えばバッテリエネルギの大量な消費(二次電池の放電)が想定される走行区間や、回生エネルギにより二次電池を充電し得ると想定される走行区間を見込んで予め二次電池の充電量(バッテリ残量)を制御することができるので、バッテリ残量の大幅な低下やその過剰充電を未然に防ぐことが可能となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで二次電池を走行エネルギ源として利用する場合、仮にその走行途中において回生エネルギによる二次電池の充電が見込まれるとしても、予定された走行経路を走行するに際して該二次電池から求め得るエネルギ量が十分であるか否かが重要な問題となる。特に二次電池以外に走行エネルギ源を備えない電気自動車や、比較的重量のあるパワーアシスト自転車や電動車椅子、パワーアシスト車椅子等の場合、二次電池の充電量(バッテリ残量)が大きな問題となる。
【0006】ちなみに二次電池の充電量が不足すると、電気自動車の場合には目的地に到達する前に走行が停止することになる。またハイブリッド車の場合には、内燃機関(エンジン)による走行駆動に委ねられることになるので排ガス等の問題が生じる。更にはパワーアシスト自転車の場合には、その走行が人力によるペダル踏圧に委ねられることになるので、相当の負担が強いられることになる。
【0007】しかしながら従来においては、特にハイブリッド車においては、専ら、二次電池の充放電特性に着目し、アクセル操作にブレーキ操作等による車両の走行状態に応じてその充放電を制御しているに過ぎない。この為、電気自動車やパワーアシスト自転車にあっては、目的地に到達する前に二次電池の充電量が大幅に低下する虞があった。またハイブリッド車の場合、前述した公報に開示される手法によれば二次電池の充電量については効果的に制御し得るが、その分、内燃機関の駆動が増えて、折角のハイブリッド機能を有効に活用できなくなる虞がある。
【0008】本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、車両の走行に必要な駆動エネルギ量を管理しながら、該車両の予定された走行経路に応じて二次電池に対する充放電を効率的に制御することのできる車両用エネルギ管理装置を提供することにある。また本発明の別の目的は、二次電池を走行エネルギ源とする車両であって、予定された走行路を走行するに必要な駆動エネルギ量を管理しながら、予定された走行経路に応じて二次電池に対する充放電を効率的に制御することのできる機能を備えた車両を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成するべく本発明に係る車両用エネルギ管理装置は、二次電池を走行エネルギ源とする車両の予定された走行経路に関する情報、例えば道路の種別やその高低差、更には制限速度等の情報を取得する情報取得手段と、この手段にて求められた上記走行経路に関する情報と前記車両の重量や走行抵抗等に依存する消費エネルギ特性とに基づいて前記車両が該走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量を求めるエネルギ量予測手段と、この手段にて予測された駆動エネルギ量に従って前記二次電池に対する充放電を制御する充放電制御手段とを具備したことを特徴としている。
【0010】即ち、本発明に係る車両用エネルギ管理装置は、予定された走行経路の情報に従って車両が該走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量に着目し、この走行に必要な駆動エネルギ量を求めることで、例えば前記二次電池の充電量(エネルギ量)が上記駆動エネルギ量を下回ることがないように前記二次電池に対する充放電を、その走行状態に応じて制御することを特徴としている。この際、前記走行経路の情報に従って二次電池に対する目標バッテリ残量を適応的に可変しながら、前記二次電池に対する充放電制御を実行することも勿論可能である。
【0011】また好ましくは請求項2に記載するように前記情報取得手段においては、前記車両の現在地と設定された目的地とから走行経路を予測し、予測した走行経路に関する道路環境情報を地図情報や交通情報から求める経路探索手段を備えることを特徴としている。更には請求項3に記載するように、前記情報取得手段は、前記エネルギ量予測手段にて求められる駆動エネルギ量が最小となる走行経路を探索する最適走行経路探索手段を備えることを特徴としている。
【0012】即ち、本発明の好ましい態様は、現在地と目的地との情報に従って走行経路を予測し、この予測された走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量を計算すると共に、この駆動エネルギ量が最小となる走行経路を探索することを特徴としている。また本発明の好ましい態様は、請求項4に記載するように前記充放電制御手段においては、予定された走行経路の全てを走行するに必要な駆動エネルギ量、または前記二次電池を充電し得る地点までの走行に必要な駆動エネルギ量が、前記二次電池の充電量よりも大きいときに警報を発する手段を備えることを特徴としている。
【0013】また本発明に係る車両は、請求項5に記載するように二次電池と、この二次電池をエネルギ源として車輪を走行駆動すると共に、前記車輪の回転力から前記二次電池を充電し得る回生エネルギを生成するモータとを具備したものであって、特に該車両の予定される走行経路に関する情報を取得する情報取得手段と、この手段にて求められた上記走行経路に関する情報と該車両の消費エネルギ特性とに基づいて該走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量を求めるエネルギ量予測手段と、上記予測された駆動エネルギ量に従って前記二次電池に対する充放電を制御する充放電制御手段とを備えることを特徴としている。
【0014】即ち、請求項1乃至請求項4に記載したような車両用エネルギ管理装置を備えた車両を提供することにある。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る車両用エネルギ管理装置と、この車両用エネルギ管理装置を備えてなる車両について説明する。図1は車両用エネルギ管理装置を備えたハイブリッド車の要部概略構成を示すもので、1は車輪11を走行駆動する内燃機関(エンジン)12、および電動機(モータ)13を備え、更に機械式ブレーキ14を備えた車両本体部である。車輪11は、内燃機関12および電動機13により選択的に駆動されて車両を走行させ、また機械式ブレーキ14により制動が加えられる。また内燃機関12および電動機13は、車輪11を回転駆動しない場合には該車輪11の回転に対する負荷として作用し、エンジンブレーキ或いは回生ブレーキとして前記車輪11に対して制動力を加えるものとなっている。
【0016】尚、前記内燃機関12の作動は、電子制御ユニット(ECU)からなる運転制御部21を主体とする走行制御部2の下でアクセルペダル22、およびブレーキペダル23の操作に選択的に応じて制御される。また電動機13は、前記運転制御部21によりその作動が制御されるインバータ24により二次電池を主体とする電池パック25をエネルギ源として通電駆動される。またインバータ24は、電動機13から回生エネルギが得られるとき、この回生エネルギにて前記電池パック(二次電池)25を充電すると共に、余分な回生エネルギについては抵抗器26を介して熱変換してエネルギ放出するものとなっている。
【0017】尚、前記アクセルペダル22およびブレーキペダル23は、速度計27にて表示される車速やその他の走行環境に応じて運転者DRVにより選択的に操作されるもので、運転制御部21は、基本的にはアクセルペダル22の操作から加速指示を検知し、またブレーキペダル23の操作から減速(制動)指示を検知して車両の走行を制御する。その他、前記運転制御部21は、特に図示しないが変速機の操作や、更にはクルーズコントロール機能を備える場合には、前記速度計27から得られる車速情報に従って車両の走行を制御する。
【0018】さて基本的には上述した如き車両本体1と走行制御部2とを備えて構成されるハイブリッド車が特徴とするするところは、更にナビゲーション装置3を備えると共にエネルギ管理部4を備える点にある。上記ナビゲーション装置3およびエネルギ管理部4は、前記運転制御部21と共に車両用エネルギ管理装置を構成する。しかして車両用エネルギ管理装置は、基本的には前記ナビゲーション装置3において車両の予定された、或いは予測された走行経路に関する情報を得(情報取得手段)、エネルギ管理部4により上記走行経路の情報に基づいて該走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量を求め(エネルギ量予測手段)、この予測した駆動エネルギ量に従って前記運転制御部21の下でインバータ24の作動を制御することで前記電池パック(二次電池)25の充放電を制御する如く構成される。
【0019】ちなみにナビゲーション装置3は、衛星を利用して車両の現在地を求めるGPS(グローバル・ポジショニング・システム)装置31、CD−ROM等によって提供される地図情報32、および時計装置33を備え、更には各種情報を記憶するための記憶装置(メモリ)34を備えたナビゲーション制御部35を主体として構成される。尚、地図情報32は、縮尺に応じて階層化された道路地図、およびその道路地図に示される各種道路の種別や幅、標高の情報、市街地/郊外の情報、交差点情報、更には制限速度の情報等を提供するものである。また地図情報32に、標準的な車両で走行したときの各地点でのエネルギ消費率の情報を記述しておくことも可能である。このようにすれば、この情報から簡易にエネルギ計算を行ったり、この情報を自車仕様に合わせて補正してエネルギ量を求めること等が可能となる。またナビゲーション制御部35は、必要に応じて通信装置36を用いて道路の混雑状況等のVICS情報を取得したり、ホストコンピュータ5との間で情報通信して各種の情報を取得する機能を備えてなる。
【0020】さてエネルギ管理部4は、特にエネルギ量計算部41を備えている。このエネルギ量計算部41は、前記ナビゲーション装置3で求められた走行経路に関する情報と、後述する車両の運動特性とに従って該走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量を計算する役割を担う。この駆動エネルギ量の計算については後述する。そして計算された駆動エネルギ量は運転制御部21に与えられ、車両を走行させる上での目安として運転者DRVに提示されると共に、電池バック(二次電池)25の充放電制御に利用される。
【0021】さて概略的には上述した如く構成される車両用エネルギ管理装置が特徴とするところは、図2にその処理概念を示すように走行経路を設定することから開始される(処理A)。この走行経路については現在地と目的地とに従ってその走行経路を一義的に指定することで設定しても良いが、ナビゲーション装置3が有する機能を活用して現在地と指定された目的地とに従って、前記地図情報32を参照して走行経路を探索し、例えば最短距離となる走行経路や走行所要時間が最短となるような走行経路、更には後述する駆動エネルギ量が最小となる走行経路等として複数種選定する。
【0022】しかして現在地から目的地に至る走行経路が設定されたならば、その走行経路に関する道路環境情報を前記地図情報32等から取得する(処理B)。この道路環境情報については、例えば前記走行経路を交差点や所定の走行距離に応じて区分した複数の走行区間毎に、その道路の種別や道路幅、標高に応じて求められる上り坂/下り坂の情報、市街地/郊外の別、制限速度、更には時間帯に応じた混雑状況等として求められる。
【0023】駆動エネルギ量計算部41は、車両の走行中における駆動力Fとその速度(車速)や加速度との関係等から同定される該車両の運動特性(情報C)と、上述した如く求められる道路環境情報とに従って、該車両が前記走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量を計算する(処理D)。この駆動エネルギ量の計算は、前述した如く想定された各走行経路毎に実行される。そして最終的には、例えばその駆動エネルギ量が最小となる走行経路が、最適走行経路として選定される。
【0024】即ち、走行経路の設定と、その走行経路を走行するに要する駆動エネルギ量の計算は、現在地(出発地)と目的地との情報に基づいて走行経路を仮設定し、この仮設定された走行経路を走行するに際して予測される車両の平均速度、最高速度、発信/停止の平均時間間隔、道路の標高変化(上り坂/下り坂)、更には車両の走行抵抗やエネルギ消費特性から計算される。
【0025】例えば車両の運動が A;車両の前面投影面積(m2), Cd;抗力係数 F;駆動力(N) , W;正味エネルギ消費率(W)
L;内部ロス(W) , g;重力加速度(m/s2
m;質量(kg) , x;距離(m)
μ;転がり摩擦係数 , ρ;空気密度(kg/m3
(dx/dt);速度(m/s) , (d2x/dt2);加速度(m/s2) θ;登坂角度としてm(d2x/dt2)+(1/2)ρACd(dx/dt)+μmg+mg(dx/dt)sinθ=FF= (W−L)/(dx/dt)で表されるとき、荷物や乗員数により変化する質量mや、天井部に取り付けたキャリア等の影響を受ける車両の前面投影面積および抗力係数Cd、更には車輪(タイヤ)の空気圧等に影響される転がり摩擦係数μは、前記距離xの1階時間微分値(速度)および2階時間微分値(加速度)と前記駆動力Fとの関係から同定することができる。
【0026】ちなみに上式においては、未知数は質量m,車両の前面投影面積Aと抗力係数Cdとの積、および転がり摩擦係数μの3つであるので、速度および加速度の異なる3時点での車両の運動状況を調べれば、これらの車両の運動特性に関わるはパラメータを求めることができる。但し、現実的には走行抵抗には、より複雑な要素が入り込むので、より多くの時点での運行状況を求めたり、車両のヨーレイト等を配慮して計算することが望ましい。
【0027】しかして上述した如くして各運動パラメータが求められたならば、これらの運動パラメータに基づいて正味エネルギ消費率Wを計算し得るようになる。この場合、内部ロスLに関しては、車両の運動特性に依存する速度や加速度の関数となる。またこの際、ガソリン等の燃料の消費に伴う質量mの軽量化を考慮して正味エネルギ消費率Wを計算するようにしても良い。更には車両における窓の開け閉めに起因する抗力係数Cdの変化や、乗員の乗車・下車に起因する質量mの変化を想定し、上述した車両特性を示すパラメータについては、その走行中に常時計算し直し、またその移動平均を求める等してノイズを除去しながら、駆動エネルギ量の計算に用いるようにすれば良い。
【0028】かくしてこのようにして求められた駆動エネルギ量は、前述したエネルギ量管理部4において監視され(処理E)、例えば図3(a)に示すような車両の運転席前方に設けられたインストルメントパネル(ダッシュボード)51に組み込まれた情報表示画面52上に、例えば図3(b)に示すようにナビゲーション画像と共に表示される。ちなみに図3(b)において、53は地図上における自車位置を示す自車マーク、54は地図上に示された道路マーク、55は方位の情報、そして56は電池パック(二次電池)25の現在の充電量、57は目的地までの走行に必要な駆動エネルギ量を示している。尚、前述した如く計算された車両の駆動エネルギ量は、例えば前記電池パック(二次電池)25の充電量に換算されて、該二次電池の現在の充電量56と対比して棒グラフ表示される。また上記駆動エネルギ量の情報は、当該車両に搭載されて前記電池パック(二次電池)25をエネルギ源とするエアコンディショナー等の補機の駆動に要するエネルギ量58と合わせて表示される。
【0029】この際、前述した如く求められた車両の駆動エネルギ量に比較して電池パック(二次電池)25が蓄えているエネルギ量(充電量)が不足するような場合、エネルギ管理部4は、適宜、表示や音等により警報を発することで運転者DRVに対して注意を促すものとなっている。ところで前述した如く計算された駆動エネルギ量を走行情報の1つとして入力する運転制御部21は、基本的には図2に示すように車両の現在の走行状況を判定すると共に(処理F)、その判定結果に従って前記インバータ24の作動を制御して電動機(モータ)13を駆動し(処理G)、或いは電動機13を回生運転する(処理H)。そして電動機13の回生運転時には、そのときの電池パック(二次電池)25の充電量に応じて該二次電池25に対する充電を制御する(処理I)。特に電池パック25のエネルギを用いて電動機13を駆動するか、逆に電動機13から得られる回生エネルギにて電池パック25を充電するかの判断は、車両の現在の走行状況と前述した如く求められた走行経路の情報に従って、その後、どの程度の駆動エネルギを必要とするかを判断しながら行われる。そして電池パック25の充電量が不足するような場合には、車両の走行に必要なエネルギを優先的に確保するべく、エアコンディショナー等の補機の駆動を停止することで、電池パック25に蓄積されているエネルギの有効利用を図る。
【0030】また前述した走行経路の情報から、電動機13の回生運転により電池パック25の充電が見込まれる場合には、前述した如く計算される駆動エネルギ量から回生エネルギ量を逆算し、回生エネルギにより補い得る電池パック25の充電量を求めながら、その充放電を制御する。尚、電池パック25を過剰に充電する虞がある場合には、前述した抵抗器26を駆動することで回生エネルギを放出させ、その充電量を制限する。
【0031】このような基本的な充放電制御に加え、運転制御部21では前述した如く計算される駆動エネルギ量から、例えば予め走行距離に応じて、或いは交差点等の目標に応じて区分された走行区間毎に、その区間を走行するに必要な駆動エネルギ量を求めている。そして現在の走行状態、および電池パック(二次電池)25の充電状態を基準として、その後の走行において予想される二次電池25の放電/充電区間に応じて前記電池パック(二次電池)25の充電量を適応的に制御するものとなっている。具体的には、その後の走行において大量の走行エネルギが必要と見込まれる場合には、電動機13を回生運転し得る走行状態において電池パック25を高めに充電し、また逆にその後の走行において大きな回生エネルギを得て電池パック25を十分に充電し得ると見込まれる場合には、電動機13から回生エネルギが得られると見込まれる地点まで、該電池パック25における充電量の減少を許容して電動機13を駆動するものとなっている。
【0032】例えば上述したハイブリッド車においては、内燃機関12からの駆動力を利用することで電池パック25からのエネルギ消費量を制御してその充放電を制御するものとなっている。尚、内燃機関12を備えていない電気自動車にあっては、例えばその速度を制御することで、更にはパワーアシスト自転車にあってはペダル踏力に対するアシスト力を制御することで、電池パック25からのエネルギ消費量を制御してその充放電が制御される。
【0033】このような充放電制御によれば、長い上り坂を走行した後、下り坂を走行するような場合、例えば図4(a)に示すように、車両の加速/減速に伴う数秒から数十秒程度の短い時間での充放電を繰り返しながら車両を走行させることで上り坂走行時に平均充電量を低くし、その反面、下り坂走行時における回生エネルギによる電池パック25の充電に余裕を持たせることが可能となるので、回生エネルギを抵抗器26を用いて無駄に消費することを抑えることができるので、上り管足りによるエネルギ損失を低減することができる。ちなみに従来一般的な充電制御にあっては、図4(b)に示すように二次電池(電池パック)25の平均充電量が一定化するようにしているので、上り下りにおけるエネルギ損失が増大することが否めない。具体的には下り坂の走行時であっても、二次電池(電池パック)25の平均充電量が充足しているような場合には、例えば機械式ブレーキ14が使用されたり、エンジンブレーキが使用されたりし、回生エネルギを用いた二次電池(電池パック)25の充電自体が抑制されることになる。このような従来の充放電制御と対比すれば明らかなように、走行経路に応じた充放電制御を実行することで、電池パック(二次電池)25が有する充電特性(電池容量)を十分に活用した効率的な走行が可能となる。
【0034】また前述した如く電池パック(二次電池)25の充電量を、走行に必要な駆動エネルギ量に応じて管理するので、例えば目的地に到達する前に、或いは予定した充電スタンドに到達する前に、更には回生エネルギにより電池パック(二次電池)25を充電し得る前に該電池パック(二次電池)25が放電し切るような事態を予め把握することができる。即ち、一般的に二次電池の充電量からだけでは把握し難い走行可能距離を、走行に必要な駆動エネルギ量との対比によって明確に把握することが可能となる。この結果、予測される駆動エネルギ量と電池パック(二次電池)25の現在の充電量とから、例えば車両の加速を抑えると共に低速上点することでエネルギ消費を抑制し、更には定速(慣性)運転による回生エネルギの回収を高めて二次電池を充電する機会を多くすることで、二次電池が有する電池能力を最大限に発揮させながら、その走行を行うことが可能となる。
【0035】尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば路線バスのようにその走行経路(路線)が予め決まっているような場合、運行業務に先立って計算される駆動エネルギ量と、各路線バスが搭載した電池パック(二次電池)25の充電量とを比較して、その路線バスをどの走行経路(路線)に割り当てるかを決定することも可能である。この場合、決定された路線に応じてその行き先き表示を自動的に切り替えるようにしても良い。またこの種の路線バスにあっては、各バス停毎に求められる乗車予測人数を取り込みながら、駆動エネルギ量を計算するように構成することも可能である。
【0036】また駆動エネルギ量を計算するに際し、情報通信により得られる道路の混雑状況等を加味したり、過去の運転履歴とエネルギ消費量との関係から、定常的に走行する道路(経路)における駆動エネルギ量を求めることも可能である。更に走行経路を探索するに際しては、運転者DVRの好みの情報を加味したり、利用頻度の多い道路を優先しながら走行経路を設定することも勿論可能であり、複数の通過点を指定しながら走行経路を設定することも勿論可能である。
【0037】更には車両の運動特性を、その車両の基本特性として固定的に与えることで駆動エネルギ量の計算の簡易化を図ることも可能である。その他、二次電池の充放電アルゴリズムについては、二次電池の充電容量やその充電特性等に応じて定めれば良く、要は予定された走行経路を走行するに要する駆動エネルギ量に応じてその充放電を制御するようにすればよく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、車両の予定された走行経路に関する情報を取得し、この走行経路に関する情報と前記車両の運動特性とに基づいて前記車両が該走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量を求めて、その走行エネルギ源としての二次電池に対する充放電を制御するので、回生エネルギを用いて二次電池を効果的に充電しながら、該二次電池のエネルギを管理して車両を走行制御することが可能となる。
【0039】特に請求項2に記載の発明によれば、走行経路を予測しながら、その走行経路を走行するに必要な駆動エネルギ量を求め、更に請求項3に記載するように駆動エネルギ量が最小となる走行経路を探索するので、二次電池の限られた電池容量を有効に活用して、しかも必要なエネルギを小さく抑えて目的とする走行を実現することができる。更には請求項4に記載するように予定された走行経路の全てを走行するに必要な駆動エネルギ量、または前記二次電池を充電し得る地点までの走行に必要な駆動エネルギ量が、前記二次電池の充電量よりも大きいときに警報を発するので、二次電池の過放電を未然に防ぐことができる等の効果が奏せられる。
【0040】またこのようなエネルギ管理機能を備えることで、無駄なエネルギ消費を抑えた経済的な走行を可能とする経済的な車両を実現することが可能となり、電気自動車、ハイブリッド車、パワーアシスト自転車等として実用上多大なる効果が奏せられる。
【出願人】 【識別番号】000003539
【氏名又は名称】東芝電池株式会社
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年3月31日(1999.3.31)
【代理人】 【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二 (外1名)
【公開番号】 特開2000−287302(P2000−287302A)
【公開日】 平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願番号】 特願平11−91746