| 【発明の名称】 |
ハイブリッド車の駆動機構 |
| 【発明者】 |
【氏名】中尾 章裕
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| 【要約】 |
【課題】発進用モータと発電用モータと無段変速機とを組み合わせることで、発進制御の容易化、Vベルトの耐久性向上を図るハイブリッド車の駆動機構を提供する。
【解決手段】エンジン1と連結された入力プーリ13と、車軸26,27と連結された出力プーリ14と、両プーリ間に巻き掛けられたVベルト15とからなる無段変速機10を備え、無段変速機の出力プーリ14と車軸26,27との間に発進用モータ28を取り付ける。また、エンジン1によってロータが直結駆動される発電用モータ3を設け、エンジン1から無段変速機10への動力伝達を断接するクラッチ6を設ける。発進はモータ28によって行い、所定車速以上になると、クラッチ6を締結してエンジン駆動による走行状態へ移行する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】エンジンと連結された入力プーリと、車軸と連結された出力プーリと、両プーリ間に巻き掛けられたVベルトとを有する無段変速機と、無段変速機の出力プーリと車軸との間に設けられ、少なくとも発進領域において駆動される発進用モータと、エンジンによってロータが直結駆動され、発進用モータを駆動するための電力を補給する発電用モータと、エンジンと無段変速機との間に設けられ、エンジンから無段変速機に伝達される駆動力を断接するクラッチ手段と、を備えたことを特徴とするハイブリッド車の駆動機構。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はハイブリッド車の駆動機構、特に無段変速機を搭載したハイブリッド車の構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、エンジンとモータを併用したハイブリッド車が提供されている。ハイブリッド車は、エンジンによって発電機を駆動して電気エネルギーを発生させ、この電気エネルギーによってモータを回転させ、その回転を駆動輪に伝えるシリーズ型と、エンジンおよびモータによって直接駆動輪を回転させるパラレル型とに分類される。シリーズ型の場合には、エンジンが発生する機械エネルギーを一旦電気エネルギーに変換し、さらにモータによって機械エネルギーに変換しているので、エネルギー伝達効率が悪くなる欠点がある。これに対し、パラレル型の場合にはこのような欠点はないが、一般に変速機が必要となる。 【0003】従来、変速機として無段変速機を用いたハイブリッド車が知られている(特開平9−267647号公報)。このハイブリッド車はエンジンと発電用モータとを組み合わせたものであり、エンジン出力軸に第1の無段変速機と第2の無段変速機のそれぞれの入力軸を連結し、第1の無段変速機の出力軸を発進クラッチを介して車軸と連結するとともに、第2の無段変速機の出力軸に発電用モータを取り付けたものである。この場合には、車両の加速時にエンジン出力に加えて発電用モータを駆動用モータとして利用することにより、加速性が向上するとともに、減速時には発電用モータを発電機として利用することにより、減速エネルギーを車軸から回収することができる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかし、このハイブリッド車では、2つの無段変速機を必要とするので、変速機全体が大型化するとともに、第1の無段変速機には発進時から走行状態まで連続的に駆動トルクがかかるので、Vベルトの寿命が短くなるという欠点がある。特に、Vベルト式無段変速機は最大変速比領域においては伝達効率が悪い。また、第1の無段変速機の出力軸と車軸との間に発進クラッチが設けられているが、この発進クラッチの発進制御(例えばクリープ制御や半クラッチ制御)が非常に難しく、クラッチの寿命が短くなるという欠点がある。さらに、2つの無段変速機および発進クラッチとは別に前後進切替機構が必要であり、この前後進切替機構のために変速機の構造が大型化するとともに、複雑になるという欠点がある。 【0005】そこで、本発明の目的は、発進用モータと発電用モータと無段変速機とを組み合わせることで、上記のような問題点を解消したハイブリッド車の駆動機構を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的は請求項1に記載の発明によって達成される。すなわち、エンジンと連結された入力プーリと、車軸と連結された出力プーリと、両プーリ間に巻き掛けられたVベルトとを有する無段変速機と、無段変速機の出力プーリと車軸との間に設けられ、少なくとも発進領域において駆動される発進用モータと、エンジンによってロータが直結駆動され、発進用モータを駆動するための電力を補給する発電用モータと、エンジンと無段変速機との間に設けられ、エンジンから無段変速機に伝達される駆動力を断接するクラッチ手段と、を備えたことを特徴とするハイブリッド車の駆動機構を提供する。 【0007】車両の発進時にはクラッチ手段を解放するとともに、発進用モータによって車軸を回転させ、発進する。つまり、エンジン動力を使用せずモータで発進するので、モータ電流を制御することで、クリープ制御や半クラッチ制御と同様な機能を発揮できる。したがって、発進クラッチおよび発進クラッチによる複雑な発進制御が不要である。また、発進段階ではVベルトには駆動力が伝達されないので、伝達効率の低下を防止できるとともに、Vベルトの耐久性を低下させない。発進が完了して一定車速以上になると、無段変速機の制御によって入力軸と出力軸との回転速度比を所望の変速段(例えば2速)に応じた速度比に調整した上で、クラッチ手段を締結し、モータ駆動にかわってエンジン動力によって走行する。このように無段変速機によって入力軸と出力軸の同期をとることが可能であるので、モータ駆動からエンジン駆動へショックなく移行できる。走行状態に移行すれば、通常の無段変速機と同様にして変速制御を行なう。逆に、走行状態から発進状態へ移行する場合には、モータの回転速度を制御することで、エンジン駆動からモータ駆動へショックなく移行できる。 【0008】本発明のクラッチ手段は単に動力伝達を断接する機能を有すれば良く、発進クラッチのような微妙な締結力制御を行なう必要がない。したがって、クラッチ制御が簡単で、クラッチ手段の寿命が短くなることがない。なお、本発明のクラッチ手段としては、乾式クラッチや湿式クラッチなどの別のクラッチを設けてもよいが、無段変速機の入力プーリまたは出力プーリで代用することもできる。すなわち、プーリの間隔を動力伝達状態より広げることにより、実質的にVベルトが空回り状態となり、クラッチ解放状態と同様になるからである。 【0009】本発明では、発進用モータを逆駆動すれば容易に後退走行できるので、前後進切替機構および後退用ギヤを設ける必要がない。そのため、変速機の構造を大幅に簡素化でき、小型化できる。 【0010】発電用モータはエンジンと直結されているので、バッテリの容量不足時には、エンジン動力によって発生した電気をバッテリに充電することができ、常に発進用モータを良好な駆動状態に維持できる。また、Vベルトの許容トルクを越えるエンジントルクが入力された場合、発電用モータがエンジントルクの一部を吸収するようにすれば、この電気エネルギーを発進用モータに供給することで、エンジン動力を無駄なく駆動力に用いることができるとともに、Vベルトの寿命を向上させることができる。なお、発電用モータによってエンジンのトルク変動をキャンセルする方向のトルクを与えることにより、エンジンのトルク変動を吸収することもできる。 【0011】本発明の発進用モータは、主に発進時に使用されるが、バッテリに余裕がある場合には、通常走行状態に移行した後もエンジン動力をアシストするために用いることができる。これにより、非ターボエンジンのような低トルクエンジンを搭載した車両でも、高出力エンジン車並みの動力性能を得ることが可能である。なお、発進用モータは、車両の減速時の制動エネルギーを回収するための発電機として利用することが可能である。そのため、燃費が向上する。 【0012】 【発明の実施の形態】図1は本発明にかかるハイブリッド車の駆動機構(以下、駆動ユニットと呼ぶ)の一例の概略構造を示す。エンジン1の出力軸2には発電用モータ3のロータ3aが取り付けられており、ステータ3bは駆動ユニット4のハウジング5に取り付けられている。この実施例の駆動ユニット4はFF横置き式である。エンジン出力軸2は乾式クラッチ6を介して駆動ユニット4の入力軸11に接続されている。乾式クラッチ6はアクチュエータ7によって断接制御される。このアクチュエータ7は油圧式アクチュエータを用いてもよいし、ステップモータなどの電動式アクチュエータを用いてもよい。ハウジング5の内部には、乾式Vベルト15を用いた無段変速機10が収容されている。すなわち、無段変速機10は、車幅方向に平行に支持された入力軸11と出力軸12とを備え、これら軸11,12にはそれぞれ入力プーリ13と出力プーリ14とが取り付けられ、これらプーリ13,14間にVベルト15が巻き掛けられている。プーリ13,14は公知の方法(例えば実公平7−10119号公報参照)によってプーリ溝間隔を可変することにより、ベルト巻き掛け径を可変し、変速比を無段階に調整できるものである。この実施例では、入力プーリ13にアクチュエータ16を設け、出力プーリ14にはスプリング17を設けてある。 【0013】出力軸12の始端側(エンジン側)には出力ギヤ20が固定され、出力ギヤ20は軸21に固定された減速ギヤ22,23を介してディファレンシャル装置24のリングギヤ25と噛み合い、駆動力を左右の車軸26,27へ分配している。上記減速ギヤ22には、発進用モータ28の駆動ギヤ29も噛み合っている。すなわち、発進用モータ28のロータ28aは駆動ギヤ29と直結されており、ステータ28bはハウジング5に取り付けられている。なお、図1に示す駆動ユニット4では、後退用ギヤを備えておらず、後退用ギヤを切り替えるための切替機構も備えていない。 【0014】上記クラッチ6は上記のようにクラッチ制御用アクチュエータ7によって断接駆動され、無段変速機10の入力プーリ13は変速用アクチュエータ16によって可変駆動される。これらアクチュエータ7,16は第1のコントローラ30によって制御される。一方、発電用モータ3および発進用モータ28は、第2のコントローラ31を介してキャパシタを兼ねるバッテリ32と接続されている。このコントローラ31は、上記第1のコントローラ30と一体的に構成してもよい。コントローラ30,31には、車速、スロットル開度、エンジン回転数、入出力軸の回転数、バッテリ容量などの各種信号が入力される。 【0015】上記実施例では、乾式クラッチ6と乾式の無段変速機10とを用いている。すなわち、出力ギヤ20,減速ギヤ22,23およびディファレンシャル装置24のみをオイルで潤滑された室40に収容し、クラッチ6や無段変速機10が収容された室41と隔離してある。そのため、クラッチ6や無段変速機10にオイルが付着するのを防止できるとともに、オイルの攪拌抵抗を最小限にでき、燃費を向上させることができる。なお、乾式の無段変速機10の制御方法としては、実施例のように入力プーリ13をアクチュエータ16で駆動し、出力プーリ14をスプリング17によって付勢するものに限るものではない。 【0016】次に、上記構成よりなるハイブリッド車の制御方法、特に発進状態から通常走行に移行するまでの動作を図2にしたがって説明する。まずクラッチ6を解放状態とし(ステップS1)、エンジン1を始動する(ステップS2)。次に、バッテリ32の容量が十分あるか否かを判定し(ステップS3)、容量が不十分であれば、エンジン1によって発電用モータ3で発電し、バッテリ32の充電を行なう(ステップS4)。なお、発電用モータ3で発電した電気を直接発進用モータ25に供給すれば、バッテリ容量が不十分でも迅速に発進できる。バッテリ容量が十分あれば、発進用モータ28によって減速ギヤ22,23、ディファレンシャル装置24を介して車軸26,27を駆動し、発進を行なう(ステップS5)。すなわち、エンジン動力を使用せずに発進を行なう。なお、発電用モータ3はエンジン1が駆動している間中、常時バッテリ32に充電するので、走行中にバッテリ32の電力が消耗するのを防止できる。 【0017】発進を開始して車速が一定値(例えば10km/h)以上になれば(ステップS6)、入力軸11と出力軸12との回転速度比が所望の変速段(例えば2速)に相当する速度比になるように無段変速機10を同期制御する(ステップS7)。この状態で、クラッチ6を締結し(ステップS8)、エンジン動力によって走行を開始する(ステップS9)。そして、エンジン動力が車軸26,27に十分に伝わった後、発進用モータ28の電源をOFFし、回転自由状態とする(ステップS10)。このように、発進(1速)から通常走行(2速以上)への変速途中も発進用モータ28によって駆動力をアシストしているので、変速途中の減速感が解消される。エンジン動力によって走行している間は、無段変速機10を介して駆動力が伝達されるので、公知の方法により無段変速走行を行なえばよい。 【0018】乾式Vベルトを用いた無段変速機の場合、急停止時にVベルトが高速段位置にあると、低速段へ戻ることができず、発進できないという不具合がある。本発明では、発進をモータ28によって行なうので、上記のような不具合が発生することがない。車両の後退時には、発進用モータ28を逆回転させることにより、容易に後退できる。そのため、駆動ユニット4から前後進切替機構および後退用ギヤを排除することができ、変速機構を簡素化できる。また、発進用モータ28は発進用としてだけでなく、車両の制動時の制動エネルギーを回収し、電気エネルギーに変換してバッテリ32へ充電するための回生用発電機としても利用できる。なお、同様にエンジンブレーキ時には発電用モータも回生用発電機として利用できる。 【0019】上記説明では、発進を終了して通常走行へ移行した後、発進用モータ28をOFFする例について説明したが、通常走行へ移行した後も発進用モータ28を適宜駆動し、エンジン動力をアシストするようにしてもよい。例えば、急な坂道や加速走行時に、発進用モータ28でエンジン動力をアシストするようにすれば、低トルクエンジンでも高出力エンジンと同様な動力性能を発揮できる。 【0020】上記実施例では、発進用モータ28の駆動力を減速ギヤ22に伝達するようにしたが、発進用モータ28のロータを出力軸12に取り付けてもよい。いずれにしても、発進用モータは無段変速機の出力プーリと車軸との間に設ければよい。本発明の駆動ユニットは、FF式に限らず、例えばFR式に適用することも可能である。この場合には、発進用モータをカウンタ軸に取り付けてもよい。上記実施例では、乾式クラッチと乾式の無段変速機とを用いたが、湿式クラッチと湿式の無段変速機との組み合わせ、湿式クラッチと乾式の無段変速機との組み合わせ、さらに乾式クラッチと湿式の無段変速機との組み合わせでもよい。湿式の場合には、公知の油圧制御装置によって制御可能である。 【0021】 【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明によれば、発進用モータで発進するようにしたので、従来のようなクラッチによる発進制御が不要となり、スムーズな発進が可能となるとともに、制御が容易となる。また、クラッチは発進状態から走行状態へ移行する間で断接するだけでよいので、制御が大幅に簡素化され、寿命が向上する。また、大きなトルクがかかる発進時にVベルトを駆動する必要がないので、Vベルトの耐久性を向上させることができるとともに、伝達効率のよい通常走行状態(例えば2速相当以上)でVベルトを介してエンジン駆動するので、伝達効率が向上する。さらに、後退走行時には、発進用モータを逆駆動させるだけでよいので、従来のような前後進切替機構や後退用ギヤが不要となり、駆動機構を大幅に簡素化できるという利点がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002967 【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年3月25日(1999.3.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085497 【弁理士】 【氏名又は名称】筒井 秀隆
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| 【公開番号】 |
特開2000−278809(P2000−278809A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月6日(2000.10.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−81205 |
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