| 【発明の名称】 |
覆いを備えるパンタグラフ |
| 【発明者】 |
【氏名】山上 順雄
【氏名】高瀬 秀樹
【氏名】小林 昇
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| 【要約】 |
【課題】車両走行時にパンタグラフから発生する騒音を低減させる。
【解決手段】Z形パンタグラフ1の枠組5の関節部5aは、外側覆い17と内側覆い18とで覆われている。外側覆い17は、枠組5の外側から関節部5aを覆うように形成される。その前縁28は、パンタグラフ1の常用作用高さにおいて、上下方向に延びる直線に沿って延び、水平方向における断面形状がほぼ半円状であるように形成される。外側覆い17の幅は上枠9或いは下枠10の幅とほぼ一致し、後縁29a,29bは上枠9および下枠10との成す角を鈍角とするように直線または曲線である微分連続線を基線として形成する鋸歯形、ならびに直線または曲線である微分連続線で外側覆いの後縁を空力的に強調する。これによって車両のなびき方向の走行時には、上枠9、外側覆い17、下枠10の各々で生じる気流の渦が相互に干渉することを避けさせて、空力騒音を低減することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上枠と下枠とを結合する関節部で、上枠と下枠との成す角が鈍角となる外側に設けられる外側覆いであって、前記外側覆いの前縁は、半円状、または先端の曲率半径が小さく、後縁へいくほど曲率半径が大きくなる滑らかな曲線状をして、外側覆いの最大幅が、上枠および下枠双方の幅、或いは下枠の幅とほぼ同一であり、パンタグラフの常用作用高さにおいて、外側覆いの後縁と上枠および下枠との成す角が直角を含んで鈍角となることを特徴とする覆いを備えるパンタグラフ。 【請求項2】 上枠と下枠とを結合する関節部で、上枠と下枠との成す角が鈍角となる外側に設けられる外側覆いであって、パンタグラフの常用作用高さにおいて、外側覆いの後縁の基線と上枠および下枠との成す角が直角を含んで鈍角となり、後縁の形状が直線を基線として形成する鋸歯形で直線を強調することを特徴とする覆いを備えるパンタグラフ。 【請求項3】 上枠と下枠とを結合する関節部で、上枠と下枠との成す角が鈍角となる外側に設けられる外側覆いであって、パンタグラフの常用作用高さにおいて、外側覆いの後縁と上枠および下枠との成す角が直角を含んで鈍角となるように、外側覆いが前縁に向かって凸の曲線をした後縁を持つことを特徴とする覆いを備えるパンタグラフ。 【請求項4】 外側覆いの後縁が曲線を基線として形成する鋸歯形で、基線とする曲線と上枠および下枠との成す角が直角を含んで鈍角となるようにしたことを特徴とする請求項3記載の覆いを備えるパンタグラフ。 【請求項5】 パンタグラフの常用作用高さにおいて、外側覆いの上面を構成する主な面がほぼ水平面となることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の覆いを備えるパンタグラフ。 【請求項6】 パンタグラフの常用作用高さにおいて、外側覆いの下面を構成する主な面がほぼ水平面となることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の覆いを備えるパンタグラフ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、たとえば高速鉄道車両に好適に実施される、覆いを備えるパンタグラフに関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、電気鉄道車両においては、たとえば空中に支持された架線に、車両の屋根に取付けられたパンタグラフの舟体などが接触し、摺動しながら集電して車両に電力を供給する集電方式を採用している。パンタグラフには、舟体を支える枠組の構造によって、Z形パンタグラフ、菱形パンタグラフ、およびシングルアーム形パンタグラフなどがある。 【0003】Z形パンタグラフは、上枠、下枠、および2本の補助リンク部材などで構成されるリンク機構を形成する。上枠の一端には舟体が接続され、上枠の他端は下枠の一端と角変位自由に結合される。枠組は、前記上枠と下枠とが角変位自由に結合された関節部で、「く」の字状に屈曲する。Z形パンタグラフは、枠組を関節部で角変位することによって上下方向に伸縮され、舟体を昇降させる。 【0004】Z形パンタグラフに関する従来技術として、特開平1−138904号公報が挙げられる。上述の特開平1−138904号公報に開示されているZ形パンタグラフでは、Z形パンタグラフの下枠または中枠のいずれか一方の部材に、当該パンタグラフを上昇させるような回転力を加え、回転力を加えた部材に、その断面中心線を下縁側に向くようなオフセット量を加える。これによって、Z形パンタグラフの舟体を架線に押付ける付勢手段の部材の強度を保ちつつ軽量化し、架線への追随性を向上させることができる。 【0005】このようなZ形パンタグラフにおいて、前記関節部は、上枠、下枠、および2本の補助リンク部材などを角変位自由に連結するための多数のピン結合部材などによって凹凸が多く、車両走行時には周囲の気流を乱して空力騒音の発生原因になる。本件発明者は、空力騒音を低減させることができるパンタグラフについて、特開平8−265906号公報に開示されるように、既に提案している。 【0006】上述の特開平8−265906号公報に開示されているZ形パンタグラフは、前記関節部に、上枠と下枠との成す角が鈍角となる角度が大きい側の外側に設けられる外側覆いと、上述した上枠と下枠との成す角が鋭角となる角度が小さい側の内側に設けられる内側覆いとを備える。Z形パンタグラフは、外側覆いおよび内側覆いによって、関節部を走行方向前方に向けて走行するなびき方向、および関節部を走行方向後方に向けて走行する反なびき方向のいずれの走行であっても、関節部における気流の乱れを抑制して、空力騒音を低減することができる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】新幹線に代表される高速鉄道車両では、車両速度の高速化が進められている。また、速度上昇に伴い増加する騒音を減少させるために、様々な技術が考案され実施されている。特に新幹線では、騒音基準を満たすために、車両に様々な改良が加えられている。このように騒音を低減できるように車両を改良するために、車両の走行に伴う空力騒音の発生をより低減することのできるパンタグラフが望まれている。 【0008】本発明の目的は、車両が走行するときに発生する空力騒音を低減することができるパンタグラフを提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明は、上枠と下枠とを結合する関節部で、上枠と下枠との成す角が鈍角となる外側に設けられる外側覆いであって、前記外側覆いの前縁は、半円状、または先端の曲率半径が小さく、後縁へいくほど曲率半径が大きくなる滑らかな曲線状をして、外側覆いの最大幅が、上枠および下枠双方の幅、或いは下枠の幅とほぼ同一であり、パンタグラフの常用作用高さにおいて、外側覆いの後縁と上枠および下枠との成す角が直角を含んで鈍角となることを特徴とする覆いを備えるパンタグラフである。 【0010】本発明に従えば、上枠と下枠とを関節部で結合して形成されるパンタグラフにおいて、関節部の上枠と下枠とが鈍角を成す側である外側に、外側覆いが設けられる。前記外側覆いの、関節部から遠い側の端部である前縁は、半円状、または先端の曲率半径が小さく、後縁すなわち関節部に近い側へ向かうにつれて曲率半径が大きくなるような滑らかな曲線状を成す。このような外側覆いの最大幅と、上枠および下枠双方の幅、あるいは下枠の幅とはほぼ同一である。これによって車両が関節部を前側にして、すなわち外側覆いの前縁を走行方向前方に向けて走行するなびき方向に高速で走行するとき、車両の走行に伴って関節部に前方から衝突する気流を左右に円滑に振り分けることができる。これによって空力騒音を低減することができる。 【0011】また外側覆いの後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、上枠との成す角および下枠との成す角が、それぞれ直角を含む鈍角となる。これによって車両が前記なびき方向に高速で走行するときに、上枠、外側覆い、下枠の各々で生じる気流の渦が相互に干渉することを避けさせて、空力騒音を低減することができる。 【0012】また前記なびき方向の反対方向である反なびき方向に高速で走行するときも、上枠、外側覆い、下枠の各々で生じる気流の渦が相互に干渉することを避けさせて、空力騒音を低減することができる。 【0013】請求項2記載の本発明は、上枠と下枠とを結合する関節部で、上枠と下枠との成す角が鈍角となる外側に設けられる外側覆いであって、パンタグラフの常用作用高さにおいて、外側覆いの後縁の基線と上枠および下枠との成す角が直角を含んで鈍角となり、後縁の形状が直線を基線として形成する鋸歯形で直線を強調することを特徴とする覆いを備えるパンタグラフである。 【0014】本発明に従えば、上枠と下枠とを関節部で結合して形成されるパンタグラフにおいて、上枠と下枠とが鈍角を成す側である外側に、外側覆いが設けられる。 【0015】外側覆いの関節部に近い側の端部である後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、上枠との成す角および下枠との成す角が、それぞれ直角を含む鈍角となる。これによって車両が関節部を前側にして走行するなびき方向に高速で走行するときに、上枠、外側覆い、下枠の各々で生じる気流の渦が相互に干渉することを避けさせて、空力騒音を低減することができる。 【0016】前記後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、その上縁端および下縁端間にわたって延びる直線を基線とする鋸歯形に形成され、かつ直線が強調される。ここで直線を強調するとは、鋸歯形であるけれども、大略的に直線状であることを意味する。これによって車両が前記なびき方向およびなびき方向の反対方向である反なびき方向のいずれに高速で走行するときにも、上述の効果を達成した上で、鋸歯形に形成される後縁によって発生する渦を微細化することができ、大きな渦が互いに干渉することを防ぎ、より確実に空力騒音を低減することができる。 【0017】請求項3記載の本発明は、上枠と下枠とを結合する関節部で、上枠と下枠との成す角が鈍角となる外側に設けられる外側覆いであって、パンタグラフの常用作用高さにおいて、外側覆いの後縁と上枠および下枠との成す角が直角を含んで鈍角となるように、外側覆いが前縁に向かって凸の曲線をした後縁を持つことを特徴とする覆いを備えるパンタグラフである。 【0018】本発明に従えば、上枠と下枠とを関節部で結合して形成されるパンタグラフにおいて、上枠と下枠とが鈍角を成す側である外側に、外側覆いが設けられる。 【0019】また外側覆いの関節部に近い側の端部である後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、上枠との成す角および下枠との成す角が、それぞれ直角を含む鈍角となる。これによって車両が関節部を前側にして走行するなびき方向に高速で走行するときに、上枠、外側覆い、下枠の各々で生じる気流の渦が相互に干渉することを避けさせて、空力騒音を低減することができる。 【0020】前記後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、上枠および下枠との成す角が、それぞれ直角を含む鈍角となるような曲線に形成される。前記曲線は、関節部から遠い側の端部である前縁に向かって凸となる。これによって前記後縁の上縁端付近および下縁端付近における前記曲線の接線と上枠および下枠とのそれぞれ成す角を、後縁が直線である場合と比べて大きな鈍角とすることができ、車両が前記なびき方向およびなびき方向の反対方向である反なびき方向のいずれに高速で走行するときにも、気流の乱れによって発生する渦が互いに干渉することをより確実に防ぐことができ、より確実に空力騒音を低減することができる。 【0021】請求項4記載の本発明は、請求項3記載の発明の構成において、外側覆いの後縁が曲線を基線として形成する鋸歯形で、基線とする曲線と上枠および下枠との成す角が直角を含んで鈍角となるようにしたことを特徴とする。 【0022】本発明に従えば、前記後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、上枠との成す角および下枠との成す角がそれぞれ直角を含む鈍角となるような曲線を基線とする鋸歯形に形成される。これによって車両が前記なびき方向および反なびき方向のいずれに走行するときにも、鋸歯形に形成される後縁によって発生する渦を微細化することができ、大きな渦が互いに干渉することを防ぎ、より確実に空力騒音を低減することができる。 【0023】請求項5記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成において、パンタグラフの常用作用高さにおいて、外側覆いの上面を構成する主な面がほぼ水平面となることを特徴とする。 【0024】本発明に従えば、前記外側覆いの上面を構成する主な面は、パンタグラフの常用作用高さにおいてほぼ水平面となるので、車両が前記なびき方向および反なびき方向のいずれに走行するときにも、前記上面を構成する主な面によって走行時の気流を円滑に下流側へ導いて、空力騒音をより少なくすることができる。 【0025】請求項6記載の本発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明の構成において、パンタグラフの常用作用高さにおいて、外側覆いの下面を構成する主な面がほぼ水平面となることを特徴とする。 【0026】本発明に従えば、前記外側覆いの下面を構成する主な面は、パンタグラフの常用作用高さにおいてほぼ水平面となるので、車両が前記なびき方向および反なびき方向のいずれに走行するときにも、前記下面を構成する主な面によって走行時の気流を円滑に下流側へ導いて、空力騒音をより少なくすることができる。 【0027】 【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の第1の形態のZ形パンタグラフ1の構成を示す正面図であり、図2は図1の左側から見たZ形パンタグラフ1の側面図であり、図3は図1の上方から見たZ形パンタグラフ1の平面図であり、図4は関節部5a付近を拡大して示す斜視図である。なお、図1は図解を容易にするため、部分的に切欠いて示されている。また本発明では便宜上、軌条が延びる方向である車両の前後軸方向を水平方向とし、軸条が敷設される地表面に垂直な方向を上下方向として説明する。本実施の形態のZ形パンタグラフ1は、たとえば車両2の屋根上に電気絶縁用の碍子3を介して固定される。Z形パンタグラフ1は、枠4、枠組5、舟体支持部材6、および舟体7を含んで構成される。 【0028】枠4は、枠組5を支え、この枠組5を碍子3を介して車両2の屋根上に固定する。また枠4には、舟体7を昇降させるために、ばねおよび空気シリンダなどで構成される昇降装置8が取付けられている。 【0029】枠組5は、略直円筒状の上枠9と、略長円筒状の下枠10と、上枠9内に挿通される第1補助リンク部材11と、下枠10内に挿通される第2補助リンク部材12とを有する。前記上枠9は、その上辺すなわち上部側表面21が、上枠9の軸線L1に平行となるように形成され、ストレートに通っている。上枠9の軸線方向一端部201は、上方に開放した略U字状の連結部材13に角変位自由に連結される。この連結部材13には、下枠10の軸線方向一端部202が固定される。上枠9および下枠10の各軸線方向一端部201,202は、連結部材13を介して、車両2の前後軸方向一方A1に凸となるように、上枠9の軸線L1および下枠10の軸線L2を含む仮想一平面(図1の紙面に平行な平面)内で角変位自由に結合される。このように枠組5は、上枠9、下枠10、第1補助リンク部材11、および第2補助リンク部材12によってリンク機構が形成され、上枠9と下枠10とが結合部である関節部5aで角変位して上下方向に伸縮する。 【0030】上枠9の軸線方向他端部203には、前記仮想一平面内で角変位自由に結合される舟体支持部材6を介して、舟体7が連結される。舟体7は、架線19と接触して、摺動しながら集電を行う。舟体7の幅方向両端には、一対のホーン15が取付けられている。このような舟体7は、枠組5が昇降装置8によって伸縮駆動されることによって、上下方向に昇降変位することができる。 【0031】また下枠10の軸線方向他端部204は、枠4の固定部材14に前記仮想一平面内で角変位自由に連結される。昇降装置8は、前記固定部材14と連動して舟体7を昇降させる。枠4には、図1に二点鎖線で示すように、昇降装置8および固定部材14を覆うカバー部材22が設けられる。 【0032】枠組5の関節部5aには、関節部5aを覆う覆い16が設けられる。覆い16は、上枠9および下枠10の各軸線L1,L2の成す角が鈍角(直角を含む)となる角度が大きい側の外側に設けられる外側覆い17と、前記角が鋭角となる角度が小さい側に設けられる内側覆い18とを有する。 【0033】外側覆い17は、前後軸方向一方A1側から関節部5aを覆うように設けられる。外側覆い17は、周壁25と、前記関節部5aに上方から臨む上壁26と、関節部5aに下方から臨む下壁27とを有する。前記周壁25の前後軸方向一方A1側の端部である前縁28は、水平な平面における断面形状が前後軸方向一方に凸となる半円状であるように形成される。このような前縁28の最も前後軸方向一方A1側の先端35を、前記仮想一平面に垂直な方向(図1の紙面に垂直な方向)から見たときの側面17aは、直線状に形成される。この側面17aは、Z形パンタグラフ1が常用作用高さにある状態で、上下方向に沿って延びる。前縁28は、車両2が関節部5aを前側にしてなびき方向である前後軸方向一方A1に走行するとき、外側覆い17の前方側となる端部である。 【0034】外側覆い17の前記仮想一平面に垂直な方向の最大幅W3は、上枠9の幅W1または下枠10の幅W2とほぼ同一に形成される。 【0035】外側覆い17の前後軸方向他方A2側の各後縁29a,29bは、前記仮想平面に投影して見たとき、Z形パンタグラフ1が常用作用高さに配置される状態で、上枠9の軸線L1との成す角度θ1および下枠10の軸線L2との成す角度θ2が直角を含む鈍角となる直線に沿って、それぞれ形成される。以下単に鈍角という場合も、90°である直角および90°より大きい鈍角を含むものとする。上述した後縁29a,29bは、車両2が前記なびき方向に走行するときに外側覆い17の後方側となる端部である。各後縁29a,29bは、各上縁端30a,30bが上方および前後軸方向他方A2に向かって凸となる滑らかな弧を描いて上壁26に連なる。 【0036】外側覆い17の上壁26の上面である上平面26aおよび下壁27の下面を構成する主な面である下平面27aは、図1に実線で示されるようにZ形パンタグラフ1が常用作用高さに配置される状態で、ほぼ水平面に沿うように形成される。前記下平面27aの前後軸方向他方A2側に連なって、下傾斜面27bが形成される。この下傾斜面27bは、前後軸方向他方A2に下方に傾斜する下枠10の下部側表面24に沿った曲面であって、下部側表面24に滑らかに連なる。 【0037】内側覆い18は、たとえば「ひれ」のような形状を有し、上枠9と下枠10との間に装着される。内側覆い18は、たとえば蛇腹形で実現され、枠組5が伸縮するのに伴って、上枠9に接する曲面と下枠10に接する曲面との角度を増減する方向、すなわち矢符20方向に伸縮自在に形成される。これによって、図1の二点鎖線23で示されるように枠組5を折り畳んだとき、内側覆い18は、関節部5aを前後軸方向他方A2側から覆った状態のままで、上枠9と下枠10とによって圧縮され、また図1の実線で示されるように、枠組5が常用作用高さに伸長したとき、前記関節部5aを覆った状態で元の状態に復帰し、上枠9および下枠10の角変位動作を許容することができる。 【0038】内側覆い18の関節部5aから遠い側の端部である先端部18aの水平方向における断面形状は、「ひれ」の幅が、関節部5aに近接する方向から離隔する方向に沿って狭くなる。すなわち内側覆い18は、前後軸方向他方A2に向かうにつれて先細状に形成される。 【0039】上述のように構成される外側覆い17および内側覆い18によって、枠組5の関節部5aが覆われる。これによって車両2が関接部5aを走行方向前方に向けて走行するなびき方向に高速で走行するとき、この走行によって発生する気流を、水平方向における断面形状が前後軸方向一方A1に凸となる半円状である前縁28によって前記上枠9および下枠10の各軸線L1,L2を含む仮想一平面に沿って滑らかに振り分けることができる。これによって前記前縁28の水平方向における断面形状が半円状に形成されない構成と比較して、空力騒音を低減することができる。また前縁28の前記側面17aは前記仮想一平面に垂直な方向から見て上下方向に沿って延びる直線に沿って形成されており、これによって前記側面が上述の方向から見て直線状に形成されない構成と比べて気流の乱れがより抑制され、空力騒音を低減することができる。またこのとき内側覆い18は、上述のように外側覆い17で左右に振り分けられた気流を整流して合流させ、さらに空力騒音を低減することができる。 【0040】さらに本実施の形態の外側覆い17は、各後縁29a,29bによって上枠9、外側覆い17、および下枠10の各々で生じる気流の渦が相互に干渉することを避けさせて、空力騒音を低減することができる。詳しく述べると、車両2が前記なびき方向に高速で走行するとき、外側覆い17の前縁28の前記側面17aによって滑らかに振り分けられた気流41は、上枠9および下枠10に挟まれる外側覆い17近傍の領域40、本実施の形態では内側覆い18が設けられる領域およびその付近の領域に、各後縁29a,29bを越えて流れ込む。また前記領域40には、上平面26aに案内され、上枠9によって振り分けられる気流42、および下平面27aおよび下平面27aに連なる下傾斜面27bに案内され、下枠10によって振り分けられる気流43も流れ込む。本実施の形態の外側覆い17の各後縁29a,29bは、Z形パンタグラフ1が常用作用高さに配置される状態で、上枠9の軸線L1との成す角度θ1および下枠10の軸線L2との成す角度θ2が、それぞれ鈍角となるように形成される。これによって気流41が領域40に流れ込むときの流れの方向と、気流42が領域40に流れ込むときの流れの方向と、気流43が領域40に流れ込むときの流れの方向との成す角度は小さくなる。気流の渦は、図4に二点鎖線の矢符41〜43で示される各気流の先で、各々生じる。各気流41,42の成す角度、および各気流41,43の成す角度が小さければ、気流41によって生じる渦と、気流42によって生じる渦とが干渉しにくく、また気流41によって生じる渦と、気流43によって生じる渦とが干渉しにくい。したがってこれらの渦同士が相互に干渉することによる空力騒音の発生を抑制し、空力騒音を低減することができる。 【0041】またさらに外側覆い17の上壁26の上面である上平面26aおよび下壁27の下面を構成する主な面である下平面27aは、Z形パンタグラフ1が常用作用高さにある状態でほぼ水平面に沿って形成されるので、上述のように車両2の走行によって生じる気流を円滑に下流側に導いて、空力騒音をより少なくすることができる。また下壁27の下傾斜面27bは、Z形パンタグラフ1が常用作用高さにある状態で、下枠10の下部側表面24とほぼ滑らかに連なる曲面であるので、これによっても気流を滑らかに案内することができる。 【0042】さらに上枠9は、上辺すなわち上部側表面21が、上枠9の軸線L1と平行となるようにストレートに形成されているので、これによっても気流を滑らかに案内することができる。 【0043】逆に、車両2が反なびき方向に走行するときには、前記走行方向下流側に向かうにつれて、先細状に形成された内側覆い18によって、車両2の走行に伴って走行方向下流側から関節部5aに作用する気流を、上枠9および下枠10の各軸線L1,L2を含む前記仮想一平面に沿って滑らかに振り分けることができる。さらにこのとき、上述の振り分けられた気流は、外側覆い17の側方を滑らかに通過する。すなわち外側覆い17は、上述の振り分けられた気流を周壁25の側面に沿って乱すことなく、走行方向の上流側へと流すことができる。したがって前記気流は関節部5aに直接作用して乱れることによって発生する渦の相互の干渉を防ぎ、空力騒音を低減することができる。 【0044】またこの場合にも本実施の形態の外側覆い17は、上枠9、外側覆い17、および下枠10の各々で生じる気流の渦が相互に干渉することを避けさせて、空力騒音を低減することができる。詳しく述べると、車両2が前記反なびき方向に走行するとき、内側覆い18によって左右に振り分けられて前記領域40に流れ込んだ気流は、外側覆い17、上枠9および下枠10によって、車両2がなびき方向に走行するときの各気流41〜43が流れ込む方向とほぼ逆方向に流れるように、矢符44〜46で示す相互に離反する方向に振り分けられる。したがってこれらの振り分けられる各気流が後縁29a,29bを越えた後に生じる渦と、上枠9を越えた後に生じる渦と、下枠10を越えた後に生じる渦とが、互いに干渉することが防がれる。したがってこれらの渦同士が相互に干渉することによる空力騒音の発生を抑制し、空力騒音をさらに低減することができる。 【0045】またさらに上述したような内側覆い18で関節部5aを覆っていることによって、降雪時に車両2が前記反なびき方向に走行しているときには、関節部5aに雪が入り込むのを防ぐことができる。すなわち上述した降雪時における反なびき方向の走行では、雪が直接関節部5aにあたるとともに、車両2の走行に伴う気流によって関節部5aに雪が集まる傾向があり、関節部5aに雪が入り込み氷着することが考えられる。氷着が起こるとZ形パンタグラフ1の機能を阻害することもある。このような不具合を解決するために、本発明では、内側覆い18は関節部5aに雪が入り込むのを防ぐ役目もある。 【0046】また上述したように、昇降装置8および固定部材14を覆ってカバー部材22が設けられるので、これによって車両2の走行に伴う気流が、昇降装置8および固定部材14に直接作用するのを防ぐことができる。したがって前記カバー部材22が設けられない構成と比較して、空力騒音をより低減することができる。 【0047】図5(a)は、本発明の実施の第2の形態のZ形パンタグラフ51の関節部付近の正面図であり、図5(b)はその平面図である。本実施の形態のZ形パンタグラフ51は、上述の実施の第1の形態のZ形パンタグラフ1と類似しており、同様の構成を有する部分は、同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成を有する部分についてだけ説明する。上述の第1の形態のZ形パンタグラフ1と異なるのは、外側覆い52だけである。上述の実施の第1の形態の外側覆い17は、各後縁29a,29bが、Z形パンタグラフ1の常用作用高さにおいて上枠9の軸線L1と成す角θ1および各後縁29a、29bが下枠10の軸線L2と成す角度θ2がそれぞれ鈍角となるような直線に沿って形成されるのに対して、本実施の形態の外側覆い52は、各後縁53a,53bが、前記直線を基線として形成される鋸歯形であり、前記直線が強調される。つまり、鋸歯状であって、かつ大略的に見たとき、直線状である。各後縁53a,53bは、上縁端および下縁端にわたって前後軸方向に交互に凹凸を成す凹状部分54と凸状部分55とによって形成される。凹状部分54は、前後軸方向他方A2に凹の略V字状に形成され、凸状部分55は、前後軸方向他方A2に凸の略V字状に形成される。本実施の形態では、凸状部分55が4つ形成され、各凸状部分55間に、1つずつ計3つ凹状部分54が形成される。 【0048】ここで後縁53bは、上枠9および下枠10の図5(a)の紙面に関して奥行き側に配置され、上枠9の軸線L1および下枠10の軸線L2を含む前記仮想一平面に関して後縁53aと対称に形成される。後縁53bは、図5に示さない。 【0049】本実施の形態の外側覆い52の上壁56には、Z形パンタグラフ51が常用作用高さに配置される状態で、ほぼ水平面に沿うように形成される上平面56aと、上平面56aの前後軸方向一方A1側に連なる上傾斜面56bが形成される。上傾斜面56bは、前後軸方向一方A1に下方に傾斜する。 【0050】このような本実施の第2の形態のZ形パンタグラフ51によれば、上述の第1の形態のZ形パンタグラフ1の効果に加えて、車両2が前記なびき方向および反なびき方向のいずれに走行した場合であっても、凹状部分54および凸状部分55の走行方向上流側に臨む部分または走行方向下流側に臨む部分によって生じる渦は、直線状の後縁と比較して微細であり、大きな渦の干渉を防ぐことができる。さらにこの微細な渦は、円滑に走行方向上流側から下流側に導かれて、これらの微細な渦の干渉も防がれ、より確実に空力騒音を低減することができる。 【0051】さらに上傾斜面56bが形成されることによって、車両2が前記なびき方向に走行する場合には、外側覆い52の上面に沿って気流を滑らかに通過させることができる。これによって外側覆いの上壁に上傾斜面が形成されない構成と比較して、気流の乱れがより抑制され、このような気流の乱れによって発生する渦の相互の干渉による空力騒音の発生が防がれ、空力騒音をより低減することができる。 【0052】図6は、本発明の実施の第3の形態のZ形パンタグラフ61の関節部付近を拡大して示す正面図である。本実施の形態のZ形パンタグラフ61は、上述の実施の第1および第2の形態のZ形パンタグラフ1,51と類似しており、同様の構成を有する部分は、同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成を有する部分についてだけ説明する。上述の第1および第2の形態のZ形パンタグラフ1,51と異なるのは、外側覆い62だけである。上述の実施の第1の形態の外側覆い17は、各後縁29a,29bが、Z形パンタグラフ1の常用作用高さにおいて上枠9の軸線L1および下枠10の軸線L2との成す角度θ1,θ2がそれぞれ鈍角となるような直線に沿って形成されるのに対して、本実施の第3の形態の外側覆い62は、各後縁63a,63bが前記角度がともに鈍角となるような曲線に沿って形成される。前記曲線は、前縁66に向かって、すなわち前後軸方向一方A1側に凸に湾曲する曲線である。これによって上述した実施の第1の形態の後縁29a,29bと比較して、各後縁63a,63bの上縁端付近における前記曲線の接線68a,68bが上枠9の軸線L1と成す角度θ3および各後縁63a,63bの下縁端付近における前記曲線の接線69a,69bと下枠10の軸線L2との成す角度θ4をより大きく形成することができる。 【0053】ここで後縁63bは、上枠9および下枠10の図6の紙面に関して奥行き側に配置され、上枠9の軸線L1および下枠10の軸線L2を含む前記仮想一平面に関して後縁63aと対称に形成される。後縁63bおよび接線68b,69bは、図6に示さない。 【0054】また本実施の第3の形態の外側覆い62の上壁64には、上述した実施の第2の形態の外側覆い52と同様に、Z形パンタグラフ61が常用作用高さに配置される状態で、ほぼ水平面に沿うように形成される上平面64aと、上平面64aの前後軸方向一方A1側に連なる上傾斜面64bが形成される。上傾斜面64bは、前後軸方向一方A1に下方に傾斜する。また本実施の第3の形態の外側覆い62の下壁65には、Z形パンタグラフ61が常用作用高さに配置される状態で、ほぼ水平面に沿うように形成される下平面65aのみが形成される。 【0055】このような本実施の第3の形態のZ形パンタグラフ61によれば、上述の実施の第1の形態のZ形パンタグラフ1の効果に加えて、各後縁63a,63bを上述したような曲線に沿って形成することによって、図4に示される領域40に流れ込む気流による渦の相互の干渉をさらに抑制することができる。したがって空力騒音の発生をより確実に低減することができる。このように各後縁63a,63bを曲線に沿って形成するとき、後縁63aを越えた気流同士および後縁63bを越えた気流同士は、相互に近接するように移動するけれども、渦が大きく干渉しあい空力騒音を発生してしまうことがない程度の曲率に選ばれ、後縁を曲線にすることによる影響はない。 【0056】さらに上述した実施の第2の形態と同様に上傾斜面64bが形成されることによって、車両2がなびき方向に走行する場合には、外側覆い62の上面に沿って気流を滑らかに通過させることができ、上傾斜面が形成されない構成と比較して気流の乱れを抑制し、空力騒音をより低減することができる。 【0057】図7は、本発明の実施の第4の形態のZ形パンタグラフ71の関節部付近を拡大して示す正面図である。本実施の形態のZ形パンタグラフ71は、上述の実施の第1〜第3の形態のZ形パンタグラフ1,51,61と類似しており、同様の構成を有する部分は、同一の参照符号を付して説明を省略し、異なる構成を有する部分についてだけ説明する。上述の第1〜第3の形態のZ形パンタグラフ1,51,61と異なるのは、外側覆い72だけである。実施の第2の形態のZ形パンタグラフ51の外側覆い52は、各後縁53a,53bが上枠9および下枠10の各軸線L1,L2との成す角度が鈍角となる直線を基線とする鋸歯形に形成され、また実施の第3の形態のZ形パンタグラフ61の外側覆い62は、各後縁63a,63bが前縁66に向かって、すなわち前後軸方向一方A1側に凸に湾曲する曲線に沿って形成されたのに対して、本実施の第4の形態のZ形パンタグラフ71の外側覆い72は、各後縁73a,73bが、上述の前後軸方向一方A1側に凸に湾曲する曲線を基線とする鋸歯形に形成される。つまり鋸歯形であって、かつ大略的に見たとき、曲線状である。このように各後縁73a,73bは、上述した曲線を基線として形成されることによって、上述した実施の第3の形態の各後縁63a,63bと同様に各後縁73a,73bの上縁端付近における前記曲線の接線と上枠9の軸線L1との成す角度および各後縁73a,73bの下縁端付近における前記曲線の接線と下枠10の軸線L2との成す角度をより大きく形成することができる。さらに各後縁73a,73bは、上縁端および下縁端にわたって前後軸方向に交互に凹凸を成す凹状部分74と凸状部分75とによって形成される。凹状部分74は、前後軸方向他方A2に凹の略V字状に形成され、凸状部分75は、前後軸方向他方A2に凸の略V字状に形成される。本実施の形態では、凸状部分75が5つ形成され、各凸状部分75間に、1つずつ計4つ凹状部分74が形成される。 【0058】ここで後縁73bは、上枠9および下枠10の図7の紙面に関して奥行き側に配置され、前記仮想一平面に関して後縁73aと対称に形成される。後縁73bは、図7に示さない。 【0059】このような本実施の第4の形態のZ形パンタグラフ71によれば、上述の実施の第1の形態のZ形パンタグラフ1の効果に加えて、車両が前記なびき方向および反なびき方向のいずれに走行した場合であっても、凹状部分74および凸状部分75によって生じる渦を、曲線状の後縁と比較して微細にして、大きな渦が干渉することを防止することができる実施の第2の形態のZ形パンタグラフ51によって達成される効果と、各後縁73a,73bを曲線を基線として形成することによって上述したような領域40に流れ込む気流による渦の相互の干渉を直線状の後縁と比較してさらに抑制することができる実施の第3の形態のZ形パンタグラフ61によって達成される効果とを、同時に達成することができる。 【0060】本発明のZ形パンタグラフが、特開平8−265906号公報に示される従来の技術のZ形パンタグラフと比較して空力騒音をさらに低減することを確認するために、縮尺1/5の模型81,82および騒音計測装置83を用いて騒音計測を行った。図8は模型81,82を用いた騒音計測装置83の正面図であり、図9は図8の騒音計測装置83の平面図であり、図10は図8の騒音計測装置83の側面図である。 【0061】平坦な地面板84の中央に、模型81または模型82が設置される。図8では、地面板84の左側縁部に風洞出口85が設けられ、風が矢符86方向、図8では右向きに吹出す。風の向きは車両の進行方向と逆向きであり、すなわち矢符87方向にZ形パンタグラフを設けた車両が進行するものと想定する。すなわち風は、車両の走行に伴って矢符86方向に発生する気流として想定される。前記模型81または模型82は、枠組88の長手方向が矢符86で示す風の方向と平行であり、舟体89の長手方向が風の方向と直交するように配置される。模型81または模型82の舟体89は、風洞出口85から距離D1だけ離して設置される。風速は、60m/sとする。 【0062】模型81または82の舟体89の幅方向中心軸線90の延長上に、騒音を集音するためのマイク91が設けられる。マイク91は、地面板からの高さが舟体89と同等になる高さであり、かつ枠組88から距離D2だけ離れた位置に設置される。マイク91で集音された騒音は、1/3オクターブ毎の周波数において音圧レベルが計測される。 【0063】図11(a)は覆いの形状を機構的に合理的に配置したZ形パンタグラフの模型81を示す平面図であり、図11(b)はその正面図である。模型81は、特開平8−265903号公報に示される従来の技術のZ形パンタグラフの模型である。模型81は、平板状の枠92に、上枠93および下枠94を有する枠組88が固定され、上枠93に舟体支持部材99によって舟体89が固定される。上枠93および下枠94は、常用作用高さに伸長された状態が想定されて車両の前後軸方向一方100に凸に屈曲するように連結され、上枠93および下枠94の連結部に外側覆い95および内側覆い96がそれぞれ設けられる。この模型81の上枠93、下枠94、舟体89、舟体支持部材99、および内側覆い96は、本実施の第1の形態のZ形パンタグラフ1の上枠9、下枠10、舟体7、舟体支持部材6、および内側覆い18と、ほぼ同様の形状をそれぞれ有する。模型81の外側覆い95は、各後縁97a,97bが、上枠93の軸線L3に対して鈍角となる角度θ5を成す各直線98a,98bに沿って形成される。模型81は、昇降装置、第1および第2補助リンク部材などが省略されている。 【0064】図12(a)は本発明に従って、外側覆いの後縁と上枠ならびに下枠との成す角を鈍角とし、後縁をわずかに強調した場合のZ形パンタグラフ1の模型82を示す平面図であり、図12(b)はその正面図である。模型82は、本実施の第1の形態のパンタグラフ1の模型である。模型82は、平板状の枠92に、上枠93および下枠94を有する枠組88が固定され、上枠93に舟体支持部材99によって舟体89が固定される。上枠93および下枠94は、常用作用高さに伸長された状態が想定されて車両の前後軸方向一方側100に凸に屈曲するように連結され、上枠93および下枠94の連結部に外側覆い101および内側覆い96がそれぞれ設けられる。この模型82の上枠93、下枠94、舟体89、舟体支持部材99、外側覆い101および内側覆い96は、本実施の第1の形態のZ形パンタグラフ1の上枠9、下枠10、舟体7、舟体支持部材6、外側覆い17および内側覆い18と、ほぼ同様の形状をそれぞれ有する。外側覆い101の各後縁102a,102bは、上枠93の軸線L3および下枠94の軸線L4に対して鈍角となる角度θ6,θ7をそれぞれ成す直線103a,103bに沿って延びている。模型82は、昇降装置、第1および第2補助リンク部材などが省略されている。 【0065】上述した模型81または82を、騒音計測装置83を用いて同様の計測条件で模型81または模型82の周囲に生じる気流の乱れに起因する空力騒音を、マイク91によって集音し、1/3オクターブ毎の周波数における空力騒音の音圧レベルを計測した。 【0066】図13は、模型82とによっそれぞれ生じる騒音の音波の周波数と音圧レベルとの関係を示すグラフである。横軸は空力騒音の周波数を示し、縦軸は音圧レベルを示す。実線111は、本実施の第1の形態のZ形パンタグラフ1の模型82を用いて計測した空力騒音の音圧レベルを示し、破線112は、従来の技術のZ形パンタグラフの模型81を用いて計測した空力騒音の音圧レベルを示す。グラフに示されるように、周波数は約100Hz以下の周波数帯域では、各模型81,82による空力騒音の音圧レベルは、ほとんど差がないけれども、周波数が約100Hzを超え、10kHz以下の周波数帯域では、模型82による空力騒音の音圧レベルは、模型81による空力騒音の音圧レベルよりも低い。このような結果から模型82は、模型81よりも、空力騒音は小さく、したがって本実施の第1の形態のZ形パンタグラフ1は、従来の技術のZ形パンタグラフに比べて、車両2の走行に伴う気流を乱すことによって生じる空力騒音を低減できる。 【0067】本発明の覆いを備えるパンタグラフは、Z形パンタグラフだけでなく、菱形パンタグラフで実現されてもよい。また、他の形状のパンタグラフで実現されてもよい。 【0068】また本発明の外側覆いは、各後縁が上枠および下枠との成す角が直角を含む鈍角を成す形状に形成されればよく、直線または曲線のような微分値が連続するような線、いうなれば微分連続線を基線として形成する鋸歯形、あるいは直線または曲線である微分連続線に沿って形成されればよい。 【0069】さらにまた上述した各実施の形態の外側覆いは、前縁が半円状に形成されていたけれども、先端の曲率半径が小さく、後縁へいくほど曲率半径が大きくなる滑らかな曲線状に形成されてもよい。 【0070】またさらに上述した各実施の形態の覆いを備えるパンタグラフは、外側覆いの最大幅が、上枠の幅とほぼ同一であり、かつ外側覆いの最大幅が下枠の幅とほぼ同一であるように形成されていたけれども、外側覆いの最大幅は少なくとも下枠の幅と等しく形成されていればよい すなわち外側覆いを配慮すること、具体的には外側覆いの形状などを上枠に応じた形状とすることによって、上枠の幅を下枠の幅および外側覆いの最大幅よりも狭く形成し、空力騒音をより低減することも可能である。 【0071】 【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、上枠と下枠とを関節部で結合して形成されるパンタグラフにおいて、関節部の上枠と下枠とが鈍角を成す側である外側に、外側覆いが設けられる。前記外側覆いの、関節部から遠い側の端部である前縁は、半円状、または先端の曲率半径が小さく、後縁すなわち関節部に近い側へ向かうにつれて曲率半径が大きくなるような滑らかな曲線状を成す。このような外側覆いの最大幅と、上枠および下枠双方の幅、あるいは下枠の幅とはほぼ同一である。これによって車両が関節部を前側にして、すなわち外側覆いの前縁を走行方向前方に向けて走行するなびき方向に高速で走行するとき、車両の走行に伴って関節部に前方から衝突する気流を左右に円滑に振り分けることができる。これによって空力騒音を低減することができる。 【0072】また外側覆いの後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、上枠との成す角および下枠との成す角が、それぞれ直角を含む鈍角となる。これによって車両が前記なびき方向に高速で走行するときに、上枠、外側覆い、下枠の各々で生じる気流の渦が相互に干渉することを避けさせて、空力騒音を低減することができる。 【0073】また前記なびき方向の反対方向である反なびき方向に高速で走行するときも、上枠、外側覆い、下枠の各々で生じる気流の渦が相互に干渉することを避けさせて、空力騒音を低減することができる。 【0074】請求項2記載の本発明によれば、上枠と下枠とを関節部で結合して形成されるパンタグラフにおいて、上枠と下枠とが鈍角を成す側である外側に、外側覆いが設けられる。 【0075】外側覆いの関節部に近い側の端部である後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、上枠との成す角および下枠との成す角が、それぞれ直角を含む鈍角となる。これによって車両が関節部を前側にして走行するなびき方向に高速で走行するときに、上枠、外側覆い、下枠の各々で生じる気流の渦が相互に干渉することを避けさせて、空力騒音を低減することができる。 【0076】前記後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、その上縁端および下縁端間にわたって延びる直線を基線とする鋸歯形に形成され、かつ直線が強調される。ここで直線を強調するとは、鋸歯形であるけれども、大略的に直線状であることを意味する。これによって車両が前記なびき方向およびなびき方向の反対方向である反なびき方向のいずれに高速で走行するときにも、上述の効果を達成した上で、鋸歯形に形成される後縁によって発生する渦を微細化することができ、大きな渦が互いに干渉することを防ぎ、より確実に空力騒音を低減することができる。 【0077】請求項3記載の本発明によれば、上枠と下枠とを関節部で結合して形成されるパンタグラフにおいて、上枠と下枠とが鈍角を成す側である外側に、外側覆いが設けられる。 【0078】また外側覆いの関節部に近い側の端部である後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、上枠との成す角および下枠との成す角が、それぞれ直角を含む鈍角となる。これによって車両が関節部を前側にして走行するなびき方向に高速で走行するときに、上枠、外側覆い、下枠の各々で生じる気流の渦が相互に干渉することを避けさせて、空力騒音を低減することができる。 【0079】前記後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、上枠および下枠との成す角が、それぞれ直角を含む鈍角となるような曲線に形成される。前記曲線は、関節部から遠い側の端部である前縁に向かって凸となる。これによって前記後縁の上縁端付近および下縁端付近における前記曲線の接線と上枠および下枠とのそれぞれ成す角を、後縁が直線である場合と比べて大きな鈍角とすることができ、車両が前記なびき方向およびなびき方向の反対方向である反なびき方向のいずれに高速で走行するときにも、気流の乱れによって発生する渦が互いに干渉することをより確実に防ぐことができ、より確実に空力騒音を低減することができる。 【0080】請求項4記載の本発明によれば、前記後縁は、パンタグラフが常用作用高さに配置される状態で、上枠との成す角および下枠との成す角がそれぞれ直角を含む鈍角となるような曲線を基線とする鋸歯形に形成される。これによって車両が前記なびき方向および反なびき方向のいずれに走行するときにも、鋸歯形に形成される後縁によって発生する渦を微細化することができ、大きな渦が互いに干渉することを防ぎ、より確実に空力騒音を低減することができる。 【0081】請求項5記載の本発明によれば、前記外側覆いの上面を構成する主な面は、パンタグラフの常用作用高さにおいてほぼ水平面となるので、車両が前記なびき方向および反なびき方向のいずれに走行するときにも、前記上面を構成する主な面によって走行時の気流を円滑に下流側へ導いて、空力騒音をより少なくすることができる。 【0082】請求項6記載の本発明によれば、前記外側覆いの下面を構成する主な面は、パンタグラフの常用作用高さにおいてほぼ水平面となるので、車両が前記なびき方向および反なびき方向のいずれに走行するときにも、前記下面を構成する主な面によって走行時の気流を円滑に下流側へ導いて、空力騒音をより少なくすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000974 【氏名又は名称】川崎重工業株式会社 【識別番号】598143103 【氏名又は名称】川重車両エンジニアリング株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年3月25日(1999.3.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075557 【弁理士】 【氏名又は名称】西教 圭一郎 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−278803(P2000−278803A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月6日(2000.10.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−82610 |
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