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【発明の名称】 ATC車上装置、及びATC車上装置における状態情報の伝送方法
【発明者】 【氏名】大和田 晃揮

【要約】 【課題】異常時においてもATC車上装置の状態情報を確実に残すことができるATC車上装置、及びATC車上装置における状態情報の伝送方法を提供する。

【解決手段】RCPU24によりATC車上装置12の状態が正常であるか異常であるかを判別し状態情報30を出力させ、DIO1ユニット25により状態情報30を伝送させ、状態監視部27によりDIO1ユニット25から伝送された状態情報30を格納するとともに、DIO1ユニット25により伝送を行う送信周期を計測し送信周期ごとに状態情報30を状態監視部27に伝送させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ATC地上装置から送信されるATC情報を受信し、前記受信されたATC情報の内容に基づいてブレーキ制御を行い列車の速度を制御するATC車上装置であって、前記ATC車上装置の状態が正常であるか異常であるかを判別し状態情報を出力する論理手段と、前記論理手段から出力された状態情報を伝送する伝送手段と、前記伝送手段から伝送された状態情報を格納する状態情報格納手段を備え、前記伝送手段は、前記伝送を行う送信周期を計測し、前記送信周期ごとに前記状態情報を前記状態情報格納手段に伝送することを特徴とするATC車上装置。
【請求項2】 ATC地上装置から送信されるATC情報を受信し、前記受信されたATC情報の内容に基づいてブレーキ制御を行い列車の速度を制御するATC車上装置における状態情報の伝送方法であって、論理手段により、前記ATC車上装置の状態が正常であるか異常であるかを判別し状態情報を出力させ、伝送手段により、前記論理手段から出力された状態情報を伝送させ、前記状態情報格納手段により、前記伝送手段から伝送された状態情報を格納するとともに、前記伝送手段により、前記伝送を行う送信周期を計測し、前記送信周期ごとに前記状態情報を前記状態情報格納手段に伝送させることを特徴とするATC車上装置における状態情報の伝送方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄道等において列車等の速度を制御する自動列車制御装置(ATC:Automatic Train Control )の車両側の装置であるATC車上装置、及びATC車上装置における状態情報出力方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鉄道においては、列車を安全に運行するための手段との一つとして、ATCが用いられている。ATCは、先行列車との間隔ならびに進路の開通状況に応じて、許容運転速度情報を地上から列車側に伝送するとともに、列車側において列車の速度を連続的に照査し、許容速度(制限速度)を超える場合にはブレーキをかけ、許容速度以下の場合にはブレーキを緩めるといったブレーキ制御を行ない列車速度の減速制御を自動的に行なわせるシステムである。
【0003】次に、従来のATCの構成とその作用について、図を参照しつつ説明する。図3は、従来のATCの構成を示すブロック図である。図3に示すように、このATC10Aは、ATC地上装置11と、ATC車上装置12Aを備えて構成されている。
【0004】ATC地上装置11は、リレー回路を有しており、先行列車の位置や駅構内の進路状況等の必要な関連情報が取り込まれる。ATC地上装置は、これらの関連情報に基いて、該当する列車に送るべき許容運転速度情報(ATC情報)を含むATC信号を生成し、ATC信号を搬送波に重畳させ、該当する軌道回路のレールRに電流として流す。
【0005】ATC車上装置12Aは、図3に示すように、受電器13と、受信部14と、論理部15Aと、ブレーキ制御部16と、車輪17と、速度発電機18と、車内信号機19を有している。まず、受電器13がレールRからATC信号電流を取り込む。受電器13によって取り込まれたATC信号電流は、受信部14で検出され、論理部15Aへ出力される。
【0006】一方、走行中の列車は、速度発電機18により、自車の走行速度を常に検出している。自車走行速度は、列車内に設けられた速度計(図示せず)により運転士等に対して表示されるとともに、受信部14から論理部15Aに出力される。
【0007】次に、従来のATC車上装置12Aの受信部14と論理部15Aのさらに詳細な構成について、図2を参照しつつ説明する。受信部14は、図2に示すように、ASAユニット21と、DSAユニット22と、PLINユニット23を有している。また、論理部15Aは、RCPUユニット24と、DIO1ユニット25と、VDIO2ユニット26を有している。これらの各ユニットは、バスBにより相互に接続され入出力が行われるようになっている。また、DIO1ユニット25の出力は、状態監視部27に入力されるように接続されている。
【0008】上記した受信部14において、ASAユニット21は、受信されたアナログATC信号を復調して出力する部分である。また、DSAユニット22は、受信されたデジタルATC信号を復調して出力する部分である。また、PLINユニット23は、パイロット信号を計測する部分である。
【0009】また、上記した論理部15Aにおいて、RCPUユニット24は、CPU(Central Processing Unit :中央演算装置)を有している。このRCPUユニット24は、ATC車上装置12Aの受信部14の状態が正常であるか異常であるかを判別し、状態情報30を生成する。RCPUユニット24は、所定の手順にしたがって状態情報30をDIO1ユニット25に送る。DIO1ユニット25は、RCPUユニット24から送られた状態情報30を状態監視部27へシリアル伝送により伝送する。VDIO2ユニット26は、フェールセーフ入出力を行う部分である。また、状態監視部27は、状態情報30を受け、これを格納(記録保存)する部分である。
【0010】次に、従来のATC車上装置10Aにおける処理手順について、図5のフローチャートを参照しつつ説明を行う。
【0011】従来のATC車上装置10Aにおいては、図5のステップS31に示すように、DIO1ユニット25が状態情報30を状態監視部27へ送信する周期(以下、「送信周期」という。)を、RCPUユニット24が計測していた。
【0012】その後、所定の送信周期が経過し、送信時刻となった場合には、RCPUユニット24は、ステップS32において、「送信要求有り(Y)」と判別し、次のステップS32に移行する。
【0013】ステップS32においては、RCPUユニット24は、上記の状態情報30をDIO1ユニット25に出力する。図5に示すDPRAMは、DIO1ユニット25が有するRAM(Random Access Memory:随時書き込み読み出しメモリ)である。また、RCPUユニット24は、ステップS33に続いて、送信要求起動指令をDIO1ユニット25に出力する(ステップS34)。
【0014】DIO1ユニット25においては、ステップS41に示すように、RCPUユニット24からの送信要求起動指令の出力の有無を判別している。そして、RCPUユニット24から送信要求起動指令が有った場合(ステップS41における「Y」の場合)には、ステップS42に示すように、DIO1ユニット25は、RCPUユニット24が出力した状態情報30を入力して取り込み、ステップS43に示すように状態情報30を状態監視部27へ伝送する。状態監視部27は、伝送された状態情報30を格納する。以下、上記の処理手順が繰り返されていた。上記の処理手順プログラムは、論理部15A内のROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)等の記憶手段(図示せず)に格納されている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した従来のATC車上装置においては、RCPUユニット24が、「ATC車上装置12Aの受信部14の状態が異常である」と判別した場合(受信部14の故障時等)には、フェールセーフの観点から、RCPUユニット24の動作を停止(システムダウン)させていた。このため、DIO1ユニット25には、「ATC車上装置12Aの受信部14の状態が異常である」ことを示す状態情報30が出力されなくなる。また、RCPUユニット24からDIO1ユニットへ送信要求起動指令もかけられなくなるため、DIO1ユニット25から状態監視部27へ状態情報を伝送することができなくなる。したがって、状態監視部27に、「ATC車上装置12Aの受信部14の状態が異常である」ことを示す状態情報30(例えば故障情報等)を残すことができず、後の段階での異常の原因究明が困難になる、という問題があった。
【0016】本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、異常時においてもATC車上装置の状態情報を確実に残すことができるATC車上装置、及びATC車上装置における状態情報の伝送方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明に係るATC車上装置は、ATC地上装置から送信されるATC情報を受信し、前記受信されたATC情報の内容に基づいてブレーキ制御を行い列車の速度を制御するATC車上装置であって、前記ATC車上装置の状態が正常であるか異常であるかを判別し状態情報を出力する論理手段と、前記論理手段から出力された状態情報を伝送する伝送手段と、前記伝送手段から伝送された状態情報を格納する状態情報格納手段を備え、前記伝送手段は、前記伝送を行う送信周期を計測し、前記送信周期ごとに前記状態情報を前記状態情報格納手段に伝送することを特徴とする。
【0018】また、本発明に係るATC車上装置における状態情報の伝送方法は、ATC地上装置から送信されるATC情報を受信し、前記受信されたATC情報の内容に基づいてブレーキ制御を行い列車の速度を制御するATC車上装置における状態情報の伝送方法であって、論理手段により、前記ATC車上装置の状態が正常であるか異常であるかを判別し状態情報を出力させ、伝送手段により、前記論理手段から出力された状態情報を伝送させ、前記状態情報格納手段により、前記伝送手段から伝送された状態情報を格納するとともに、前記伝送手段により、前記伝送を行う送信周期を計測し、前記送信周期ごとに前記状態情報を前記状態情報格納手段に伝送させることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る列車進路設定支援装置の実施形態について、図面を参照しながら説明を行う。
【0020】図1は、本発明の一実施形態であるATCの構成を示すブロック図である。
【0021】図1に示すように、このATC10は、ATC地上装置11と、ATC車上装置12を備えて構成されている。ATC地上装置11は、従来のものと同様の構成と作用を有している。また、本実施形態のATC車上装置12は、受電器13と、受信部14と、論理部15と、ブレーキ制御部16と、車輪17と、速度発電機18と、車内信号機19を有している。これらのうち、従来のATC車上装置12Aと異なる構成要素は、論理部15であり、他の構成要素については、従来のものと同様の構成と作用を有しているので、その説明は省略する。
【0022】また、図2に示すように、論理部15は、RCPUユニット24と、DIO1ユニット25と、VDIO2ユニット26を有しており、従来の論理部15Aとハードウェアとしては同様の構成を有している。本実施形態の論理部15が、従来の論理部15と異なるのは、論理部15を制御する制御方法(制御プログラム)であり、他の構成要素については、従来のものと同様の構成と作用を有しているので、その説明は省略する。
【0023】次に、本実施形態のATC車上装置10における処理手順について、図3のフローチャートを参照しつつ詳細に説明を行う。
【0024】本実施形態のATC車上装置10においては、RCPUユニット24は、ATC車上装置12Aの受信部14の状態が正常であるか異常であるかを判別し、状態情報30を生成し、ステップS11に示すようにDIO1ユニット25に出力する。図3に示すDPRAMは、DIO1ユニット25が有するRAM(RandomAccess Memory:随時書き込み読み出しメモリ)である。また、RCPUユニット24は、ステップS11に続いて、「状態情報有り」の情報をDIO1ユニット25に出力する(ステップS12)。
【0025】また、DIO1ユニット25においては、ステップS21に示すように、RCPUユニット24からの「状態情報有り」の情報の出力の有無を判別している。そして、RCPUユニット24から「状態情報有り」の情報の出力が有った場合(ステップS21における「Y」の場合)には、ステップS22に示すように、DIO1ユニット25は、RCPUユニット24が出力した状態情報30を入力して取り込む。
【0026】また、本実施形態においては、ステップS23に示すように、DIO1ユニット25が、状態情報30を状態監視部27へ送信する送信周期を計測する。
【0027】その後、所定の送信周期が経過し、送信時刻となった場合には、DIO1ユニット25は、ステップS24において、「送信周期が経過した(Y)」と判別し、次のステップS25に移行する。
【0028】ステップS25においては、DIOユニット25は、上記の状態情報30を状態監視部27へ伝送する。状態監視部27は、伝送された状態情報30を格納する。以下、上記の処理が繰り返される。上記の処理手順プログラムは、論理部15内のROM(Read Only Memory:読み出し専用メモリ)等の記憶手段(図示せず)に格納されている。
【0029】上述したように、本実施形態のATC車上装置12においては、従来のATC車上装置12Aとは異なり、DIO1ユニット25自体が伝送を行う送信周期を計測し、所定の送信周期ごとに状態情報30をDIO1ユニット25が状態監視部27に伝送する。このため、以下のような利点がある。
【0030】1)RCPUユニット24がATC車上装置12の受信部14の異常(故障等)を検知した場合、RCPUユニット24はシステムダウンするが、システムを停止する直前にDIO1ユニット25に出力された状態情報30(「ATC車上装置12Aの受信部14の状態が異常である」ことを示す)は、DIO1ユニット25によって状態監視部27へ出力され、状態監視部27に確実に記録保存することができ、後の時点での異常原因究明の重要な材料とすることができる。
【0031】2)状態情報30をDIO1ユニット25から状態監視部27に伝送する送信周期はDIO1ユニット25自体が計測しているため、一定の周期を乱すことなく状態情報を状態監視部27へ伝送することができる。
【0032】上記において、RCPUユニット24は論理手段に相当し、DIO1ユニット25は伝送手段に相当し、状態監視部27は状態情報格納手段に相当している。
【0033】なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0034】例えば、上記実施形態においては、ATCが用いられる対象として鉄道を例に挙げて説明したが、本発明はこの例には限定されず、他の適用対象、例えば、モノレール、新交通システムであってもよい。また、本発明は、ATCシステムだけでなく、ATO(自動列車運転システム)にも適用可能である。また、ATC情報を送信する媒体についても、レールに流す信号電流以外に、電波、光等も利用可能である。
【0035】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば、論理手段によりATC車上装置の状態が正常であるか異常であるかを判別し状態情報を出力させ、伝送手段により状態情報を伝送させ、状態情報格納手段により伝送手段から伝送された状態情報を格納するとともに、伝送手段により伝送を行う送信周期を計測し送信周期ごとに状態情報を状態情報格納手段に伝送させるようにしたので、以下のような利点を有している。
【0036】a)論理手段が制御を停止した場合であっても、制御を停止する直前に伝送手段に出力された状態情報(「ATC車上装置の受信部の状態が異常である」ことを示す)は、伝送手段によって状態情報格納手段へ出力され確実に記録保存されるので、後の時点での異常原因究明に資することができる。
【0037】b)状態情報を伝送手段から状態情報格納手段に伝送する送信周期は伝送手段自体が計測しているため、一定の周期を乱すことなく状態情報を状態情報格納手段へ伝送することができる。
【出願人】 【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
【出願日】 平成11年3月1日(1999.3.1)
【代理人】 【識別番号】100105108
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 洋一
【公開番号】 特開2000−253513(P2000−253513A)
【公開日】 平成12年9月14日(2000.9.14)
【出願番号】 特願平11−52331