| 【発明の名称】 |
ハイブリッド駆動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】田端 淳
【氏名】茨木 隆次
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| 【要約】 |
【課題】36Vなどの低電圧の蓄電装置や電動モータを使用できるハイブリッド駆動装置を提供する。
【解決手段】第1遊星歯車装置30および第2遊星歯車装置32から成る副変速機16のサンギヤS1をモータジェネレータ14に連結し、サンギヤS2を第1クラッチC1を介してエンジン12に連結し、キャリアCを反力ブレーキBに接続し、リングギヤRを出力部材36を介して無段変速機18の入力軸38に接続し、サンギヤS1とS2を第2クラッチC2で連結できるようにした。そして、クラッチC1、C2を解放するとともに反力ブレーキBを係合した低速段において、モータジェネレータ14を動力源として低速の前後進を行う一方、クラッチC1、C2を係合するとともに反力ブレーキBを解放した高速段において、エンジン12を動力源として高速で前進する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料の燃焼で作動するエンジンと電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行用の駆動力源として備えているハイブリッド駆動装置であって、第1遊星歯車装置と、該第1遊星歯車装置に連結される第2遊星歯車装置と、反力ブレーキと、出力部材とを有する副変速機を備えているとともに、前記第1遊星歯車装置の第1サンギヤが前記電動モータに連結され、前記第2遊星歯車装置の第2サンギヤが前記エンジンに連結され、前記反力ブレーキおよび前記出力部材は、該反力ブレーキが係合させられると前記電動モータから該出力部材へのトルク増幅が前記エンジンから該出力部材へのトルク増幅より大きい低速段が成立させられるように、前記第1サンギヤおよび第2サンギヤ以外の回転要素に連結されていることを特徴とするハイブリッド駆動装置。 【請求項2】 前記エンジンと前記第2サンギヤとの間を連結、遮断する第1クラッチと、前記第1遊星歯車装置および前記第2遊星歯車装置の全ての回転要素を一体回転させるように該回転要素の任意の2つを連結する第2クラッチとを有することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド駆動装置。 【請求項3】 前記第1クラッチおよび前記第2クラッチが共に解放されるとともに前記反力ブレーキが係合させられることにより前記低速段が成立させられ、前記第1クラッチおよび前記第2クラッチが共に係合させられるとともに前記反力ブレーキが解放されることにより、前記エンジンおよび前記電動モータを前記出力部材に直結する高速段が成立させられることを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド駆動装置。 【請求項4】 前記第1遊星歯車装置はダブルプラネタリ型で、前記第2遊星歯車装置はシンプルプラネタリ型であり、前記反力ブレーキは、前記第1遊星歯車装置の第1キャリアおよび前記第2遊星歯車装置の第2キャリアに連結され、前記出力部材は、前記第1遊星歯車装置の第1リングギヤおよび前記第2遊星歯車装置の第2リングギヤに連結されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のハイブリッド駆動装置。 【請求項5】 前記出力部材は、主変速機である無段変速機に連結されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のハイブリッド駆動装置。 【請求項6】 前記電動モータのみを駆動力源としてクリープトルクを発生させるクリープトルク発生手段と、前記エンジンを始動し、該エンジンおよび前記電動モータの両方を駆動力源として発進する発進手段とを有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のハイブリッド駆動装置。 【請求項7】 前記高速段において、前記第1クラッチをスリップ制御することによりエンジンブレーキ力の大きさを制御するエンジンブレーキ力制御手段を有することを特徴とする請求項3に記載のハイブリッド駆動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はハイブリッド駆動装置に係り、特に、電動モータを駆動力源として走行する際に大きなトルク増幅が得られるハイブリッド駆動装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】燃料の燃焼で作動するエンジンと電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行用の駆動力源として備えているハイブリッド駆動装置が提案されている。特開平10−73161号公報に記載されている装置はその一例で、シンプルプラネタリ型の遊星歯車装置から成る副変速機が設けられ、2つのクラッチの係合状態によって電動モータのみを駆動力源とするモータ走行モード、エンジンのみを駆動力源とするエンジン走行モード、電動モータで反力を受けてエンジンにより発進するエンジン発進モードなどが成立させられるようになっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のハイブリッド駆動装置においては、モータ走行モードでは変速比が1の直結状態でトルク増幅作用が得られないとともに、エンジン発進モードではエンジン出力に応じた所定のモータトルクが必要であるため、高電圧の蓄電装置を用いて高出力の電動モータを使用する必要があり、比較的低電圧の蓄電装置や電動モータは出力不足で使用できないという問題があった。 【0004】本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、低電圧の蓄電装置や電動モータを使用できるハイブリッド駆動装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、第1発明は、燃料の燃焼で作動するエンジンと電気エネルギーで作動する電動モータとを車両走行用の駆動力源として備えているハイブリッド駆動装置であって、(a) 第1遊星歯車装置と、その第1遊星歯車装置に連結される第2遊星歯車装置と、反力ブレーキと、出力部材とを有する副変速機を備えているとともに、(b) 前記第1遊星歯車装置の第1サンギヤが前記電動モータに連結され、前記第2遊星歯車装置の第2サンギヤが前記エンジンに連結され、(c) 前記反力ブレーキおよび前記出力部材は、その反力ブレーキが係合させられると前記電動モータからその出力部材へのトルク増幅が前記エンジンからその出力部材へのトルク増幅より大きい低速段が成立させられるように、前記第1サンギヤおよび第2サンギヤ以外の回転要素に連結されていることを特徴とする。 【0006】第2発明は、第1発明のハイブリッド駆動装置において、(a) 前記エンジンと前記第2サンギヤとの間を連結、遮断する第1クラッチと、(b) 前記第1遊星歯車装置および前記第2遊星歯車装置の全ての回転要素を一体回転させるようにその回転要素の任意の2つを連結する第2クラッチとを有することを特徴とする。 【0007】第3発明は、第2発明のハイブリッド駆動装置において、(a) 前記第1クラッチおよび前記第2クラッチが共に解放されるとともに前記反力ブレーキが係合させられることにより前記低速段が成立させられ、(b) 前記第1クラッチおよび前記第2クラッチが共に係合させられるとともに前記反力ブレーキが解放されることにより、前記エンジンおよび前記電動モータを前記出力部材に直結する高速段が成立させられることを特徴とする。 【0008】第4発明は、第1発明〜第3発明の何れかのハイブリッド駆動装置において、(a) 前記第1遊星歯車装置はダブルプラネタリ型で、前記第2遊星歯車装置はシンプルプラネタリ型であり、(b) 前記反力ブレーキは、前記第1遊星歯車装置の第1キャリアおよび前記第2遊星歯車装置の第2キャリアに連結され、(c) 前記出力部材は、前記第1遊星歯車装置の第1リングギヤおよび前記第2遊星歯車装置の第2リングギヤに連結されていることを特徴とする。 【0009】第5発明は、第1発明〜第4発明の何れかのハイブリッド駆動装置において、前記出力部材は、主変速機である無段変速機に連結されていることを特徴とする。 【0010】第6発明は、第1発明〜第5発明の何れかのハイブリッド駆動装置において、(a) 前記電動モータのみを駆動力源としてクリープトルクを発生させるクリープトルク発生手段と、(b) 前記エンジンを始動し、そのエンジンおよび前記電動モータの両方を駆動力源として発進する発進手段とを有することを特徴とする。 【0011】第7発明は、第3発明のハイブリッド駆動装置において、前記高速段において、前記第1クラッチをスリップ制御することによりエンジンブレーキ力の大きさを制御するエンジンブレーキ力制御手段を有することを特徴とする。 【0012】 【発明の効果】第1発明のハイブリッド駆動装置においては、反力ブレーキを係合させることにより、電動モータから出力部材へのトルク増幅がエンジンから出力部材へのトルク増幅より大きい低速段が成立させられるため、比較的低電圧の蓄電装置や電動モータを用いて停車時に実用上十分な大きさのクリープトルクを発生させたり、そのまま車両を発進させたりすることが可能となる。 【0013】第2発明では、エンジンと第2サンギヤとの間に第1クラッチが設けられるとともに、副変速機を一体回転させる第2クラッチが設けられているため、例えば第3発明のように、第1クラッチおよび第2クラッチが共に解放されるとともに反力ブレーキが係合させられることにより低速段が成立させられ、第1クラッチおよび第2クラッチが共に係合させられるとともに反力ブレーキが解放されることにより高速段が成立させられる他、高速段で第1クラッチを解放してエンジンを切り離すことにより、電動モータを回生制御して効率良く充電しながら制動力を発生させることもできるなど、3つの係合装置(クラッチおよびブレーキ)の切換えで種々の変速モードが得られる。 【0014】上記低速段では、電動モータのみを駆動力源として正逆両方向へ回転駆動することにより、車両を前方または後方へ発進させたり所定のクリープトルクを発生させたりすることができる。高速段では、エンジンおよび電動モータの何れか一方、或いは両方を駆動力源として前進走行を行うことができるし、第1クラッチをスリップ制御することによりエンジンを駆動力源として前進方向のクリープトルクを発生させたり発進を行ったりすることができる。 【0015】第4発明では、第1キャリアおよび第2キャリアが反力ブレーキに連結され、第1リングギヤおよび第2リングギヤが出力部材に連結されるため、反力ブレーキを係合させた低速段における電動モータのトルク増幅が大きいとともに、エンジンや電動モータ、反力ブレーキ、出力部材を連結するための取り回しが容易である。また、第1キャリアのリングギヤ側のピニオンギヤと第2キャリアのピニオンギヤとを一体化するとともに、第1リングギヤおよび第2リングギヤを一体化することが可能で、部品点数を減らして装置を一層簡単且つコンパクトに構成することができる。 【0016】第5発明では、主変速機として無段変速機が用いられているため、その無段変速機により大きな変速比を確保することが可能で、前記副変速機の低速段と相まって一層大きなトルク増幅作用が得られる。 【0017】第6発明では、クリープトルク発生手段により電動モータのみを駆動力源としてクリープトルクを発生させるとともに、車両発進時には、発進手段によりエンジンを始動してエンジンおよび電動モータの両方を駆動力源として発進するため、低電圧の蓄電装置や電動モータを用いる場合でも優れた発進性能が得られる。 【0018】第7発明では、エンジンを出力部材に直結する高速段において、第1クラッチをスリップ制御することによりエンジンブレーキ力の大きさを制御するエンジンブレーキ力制御手段を有するため、電動モータ(モータジェネレータ)による回生制動およびエンジンブレーキによって、或いはエンジンブレーキのみで所望の制動力を発生させることができる。 【0019】 【発明の実施の形態】ここで、本発明は、電動モータとして数十V程度の比較的低電圧で作動するものを用いる場合に特に効果的であるが、高電圧で作動する電動モータを用いることも可能である。電動モータとしては、駆動力源としてトルクを発生するだけでなく、車両の運動エネルギーで回転駆動されることにより発電することが可能なモータジェネレータが好適に用いられる。エンジンとしては、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどが好適に用いられる。 【0020】エンジンは、第1クラッチを介して第2サンギヤに連結することが望ましいが、トルクコンバータやフルードカップリング等の流体継手を介して直接(第1クラッチを用いることなく)第2サンギヤに連結することもできる。変速ショックなどを防止するために第1クラッチとエンジンとの間に流体継手を配置するようにしても良い。 【0021】主変速機としては、数十Vの低電圧の電動モータを用いる場合、主変速機から車輪までの間で大きな変速比が得られるものが良く、第5発明のようにベルト式等の無段変速機が好適に用いられるが、遊星歯車式や2軸噛合式などの有段の変速機を用いることもできる。無段変速機の場合、変速ショックが殆ど発生しないためエンジンと第1クラッチとの間の流体継手が必ずしも必要でない。主変速機は、有段、無段に拘らず、アクセル操作量や車速などに応じて変速比や変速段を自動的に変更する自動変速式でも、運転車のシフトレバー操作やスイッチ操作などに従って機械的に或いは変速アクチュエータによって変速比や変速段を変更する手動変速式でも良い。 【0022】第1遊星歯車装置、第2遊星歯車装置としては、それぞれダブルプラネタリ型、シンプルプラネタリ型の何れの遊星歯車装置を用いることもできるが、第4発明のように第1遊星歯車装置はダブルプラネタリ型で、第2遊星歯車装置はシンプルプラネタリ型とすることが望ましい。 【0023】反力ブレーキや第1クラッチ、第2クラッチとしては、油圧単板式、多板式などの摩擦係合式のものが好適に用いられ、必要に応じてスリップ係合させることもできる。これ等3つの係合装置により、前後進や回生制動などの必要な種々の変速モードを成立させることができるが、更に別のブレーキやクラッチを設けることもできる。油圧式のクラッチやブレーキを用いる場合、電動オイルポンプで油圧を発生させれば良いが、電磁式のクラッチやブレーキを採用することもできる。 【0024】第2クラッチは、第1遊星歯車装置および第2遊星歯車装置の全ての回転要素を一体回転させるように設けられれば良いが、例えば第4発明の場合には第1サンギヤと第2サンギヤとを連結、遮断するように設けることが望ましい。その場合に、電動モータは第2クラッチを経由することなく、常時第1サンギヤに連結されるように設ければ良い。 【0025】第6発明のクリープトルク発生手段は、例えばシフトレバーが走行ポジションに操作されている場合には、アクセルがOFF(非操作)でも車両を前進或いは後進させることができる程度のクリープトルクを発生させるように構成される。発進手段は、クリープトルクによって車速が略0に近い所定の低車速(例えば数km/時)を越えた場合、或いはアクセルが操作された場合などに、エンジンを始動するとともに前記第1クラッチをスリップ制御することにより、エンジンストールを回避しながらエンジンの伝達トルクを徐々に増大させて発進制御を行うように構成される。第3発明の場合、クリープトルク発生手段は前後進共に副変速機が低速段の状態で制御を実行し、発進手段は、前進時には副変速機が高速段の状態で制御を実行する一方、後進時には副変速機が低速段の状態で制御を実行するように構成される。 【0026】第7発明のエンジンブレーキ力制御手段は、例えば低電圧の電動モータ(モータジェネレータ)を用いる場合でも十分な駆動力源ブレーキが得られるように、電動モータによる回生制動と合わせてエンジンブレーキを効かせるように構成されるが、蓄電装置が最大許容蓄電量を越えている場合に、電動モータによる回生制動の代わりにエンジンブレーキのみを作用させるものでも良い。 【0027】以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の一実施例であるハイブリッド駆動装置10の骨子図である。このハイブリッド駆動装置10はFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両用のもので、燃料の燃焼によって作動するガソリンエンジン12と、電気エネルギーで作動する電動モータおよび発電機としての機能を有するモータジェネレータ14と、遊星歯車式の副変速機16と、ベルト式の無段変速機18と、差動装置20とを備えており、出力軸22R、22Lから図示しない左右の前輪(駆動輪)に駆動力が伝達される。エンジン12、モータジェネレータ14、副変速機16、および無段変速機18の入力軸38は、同一の軸線上にその順番で配設されている。エンジン12およびモータジェネレータ14は車両走行用の駆動力源である。また、無段変速機18は主変速機で、本実施例では出力軸22R、22Lまでの間で3〜11程度の変速比が得られるようになっている。 【0028】エンジン12は、モータジェネレータ24によって回転駆動(クランキング)されることにより始動させられるようになっており、そのモータジェネレータ24には蓄電装置としてのバッテリ26から電気エネルギーが供給されるようになっている。バッテリ26は、モータジェネレータ14にも電気エネルギーを供給して作動させるもので、本実施例では36V程度の比較的低電圧のものが用いられており、モータジェネレータ14の回生制動によって車両走行中に逐次充電される。バッテリ26の蓄電量SOCが所定値以下まで低下した時、すなわちモータジェネレータ14を電動モータとして作動させることができない場合は、モータジェネレータ24によりエンジン12を始動するとともに、そのエンジン12でモータジェネレータ24を回転駆動して発電させることにより、バッテリ26を充電する。バッテリ26には、モータジェネレータ24によってエンジン12を始動できる程度の蓄電量SOCが常に確保されるようになっている。 【0029】副変速機16は、互いに近接して並列に配設されたダブルプラネタリ型の第1遊星歯車装置30およびシンプルプラネタリ型の第2遊星歯車装置32を備えている。これらの遊星歯車装置30、32は、共通のリングギヤRおよびキャリアCを有するとともに、第1遊星歯車装置30のキャリアのリングギヤ側のピニオンギヤと第2遊星歯車装置32のキャリアのピニオンギヤとが一体化されているラビニヨ型である。そして、第1遊星歯車装置30のサンギヤS1には、前記モータジェネレータ14が連結され、第2遊星歯車装置32のサンギヤS2には、第1クラッチC1およびダンパ装置34を介してエンジン12が連結されるようになっている。また、それ等のサンギヤS1およびS2は第2クラッチC2によって連結されるとともに、キャリアCは反力ブレーキBによってハウジング44に連結されて回転が阻止されるようになっており、リングギヤRは出力部材36を介して無段変速機18の入力軸38に連結されている。クラッチC1、C2、反力ブレーキBは、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる摩擦係合式のものである。上記サンギヤS1、S2はそれぞれ第1サンギヤ、第2サンギヤで、キャリアCは第1キャリアおよび第2キャリアで反力用回転要素に相当し、リングギヤRは第1リングギヤおよび第2リングギヤで出力用回転要素に相当する。 【0030】上記サンギヤS1は、第1遊星歯車装置30に隣接して配設されるモータジェネレータ14の中心を貫通して配設された円筒状の連結部材40を介して、そのモータジェネレータ14よりもエンジン12側に設けられた第2クラッチC2に接続されており、モータジェネレータ14のロータは連結部材40の中間位置に相対回転不能に固定されている。サンギヤS2は、上記連結部材40を挿通して相対回転可能に配設された連結部材42を介して、モータジェネレータ14よりもエンジン12側に設けられた第1クラッチC1に接続されているとともに、その第1クラッチC1を経由することなく第2クラッチC2に接続されている。また、前記反力ブレーキBは、副変速機16とモータジェネレータ14との間から外周側へ延び出すキャリアCをハウジング44に固定するように配設されている。 【0031】図2は、上記副変速機16の各回転要素S1、S2、R、Cの回転数の相互関係を直線で表す共線図で、縦軸が回転数であり、各回転要素S1、S2、R、Cの位置および間隔は、連結状態や遊星歯車装置30、32のギヤ比ρ1、ρ2によって一義的に定まる。この共線図上において、入力回転要素であるサンギヤS1、S2は互いに反対側の両端に位置しているとともに、出力用回転要素であるリングギヤRは反力用回転要素であるキャリアCとサンギヤS1との間に位置している。 【0032】図3は、クラッチC1、C2、および反力ブレーキBの係合状態と副変速機16の変速モード(一例)との関係を示す図で、エンジン12を駆動力源として使用する場合、モータジェネレータ14を駆動力源として使用する場合、或いはシフトレバーの操作ポジション(図6参照)などにより場合分けして示したものである。エンジン12とモータジェネレータ14の使い分けは、基本的には図4に示すように定められ、高車速、高トルク(アクセル操作量大)ではエンジン12を使用し、低車速、低トルク(アクセル操作量小)ではモータジェネレータ14を使用する。低電圧のモータジェネレータ14を使用する本実施例では、モータジェネレータ14の使用範囲は比較的狭く、車両停止時のクリープトルクおよび僅かな走行領域に限定されている。また、この境界線は、無段変速機18の変速比などに応じて変化する。また、減速時には、モータジェネレータ14により回生制動を行ってバッテリ26を充電する。 【0033】図6の「D」ポジションは、予め定められた変速条件に従って無段変速機18の変速比をアクセル操作量や車速などの運転状態に応じて連続的に変化させながら前進走行する自動変速位置で、「M」ポジションは、「+」位置または「−」位置へシフトレバーが操作されることにより有段変速機のように無段変速機18の変速比を段階的に変化させる有段手動変速位置で、「B」ポジションは、シフトレバーの前後方向位置に応じて無段変速機18の変速比を連続的に変化させる無段手動変速位置である。また、「R」は車両を後進させるリバース位置で、「N」はニュートラル位置で、「P」はパーキングロック機構などで車両の走行を阻止するパーキング位置である。 【0034】図3において、エンジン12を駆動力源として前進走行する「D」、「M」、「B」ポジションでは、クラッチC1、C2を共に係合させるとともに反力ブレーキBを解放することにより、変速比が1の高速前進モード「2nd」が成立させられる。この高速前進モード「2nd」は高速段に相当する。その場合に、第1クラッチC1をスリップ係合させれば、エンジン発進が可能なエンジン低速前進モード「2nd(低速)」が成立させられ、バッテリ26の蓄電量SOCの低下や故障などでモータジェネレータ14を使用できない場合でも、エンジン12で前進方向のクリープトルクを発生させたり車両を前方へ発進させたりすることができる。「R」ポジションでは、第1クラッチC1および反力ブレーキBを係合させるとともに第2クラッチC2を解放することにより、変速比が−1/ρ2(ρ2は、第2遊星歯車装置32のギヤ比(=サンギヤS2の歯数/リングギヤRの歯数))の高速後進モード「高速」が成立させられる。その場合に第1クラッチC1をスリップ係合させれば、前進時と同様にエンジン発進が可能なエンジン低速後進モード「低速(エンジン)」が成立させられ、バッテリ26の蓄電量SOCの低下や故障などでモータジェネレータ14を使用できない場合でも、エンジン12で後進方向のクリープトルクを発生させたり車両を後方へ発進させたりすることができる。また、「N」ポジションでは、クラッチC1、C2を共に解放するとともに反力ブレーキBを係合させることにより、エンジン12からの動力伝達を遮断する。 【0035】モータジェネレータ14を駆動力源として前進走行する「D」、「M」、「B」ポジションでは、クラッチC1、C2を共に解放するとともに反力ブレーキBを係合させることにより低速前進モード「1st」が成立させられ、車両停止時には前進方向のクリープトルクを発生させるとともにアクセル操作に従って発進する。この時の変速比は1/ρ1(ρ1は第1遊星歯車装置30のギヤ比(=サンギヤS1の歯数/リングギヤRの歯数))で比較的大きく、大きなトルク増幅が得られるため、無段変速機18の大きな変速比と相まって、36V程度の電圧によって作動させられるモータジェネレータ14においても、実用上満足できるクリープトルクや発進性能が得られる。この低速前進モード「1st」は低速段である。本実施例ではρ1<ρ2であり、上記変速比1/ρ1は、第1クラッチC1を係合させてエンジン12を使って後進走行する場合の変速比の大きさ|−1/ρ2|よりも大きく、大きなトルク増幅作用が得られる。 【0036】そして、上記低速前進モード「1st」からエンジン12による高速前進モード「2nd」への移行は、例えば、第2クラッチC2を係合させながら反力ブレーキBを解放して副変速機16を一体回転させるとともに、エンジン12の回転数がサンギヤS2と同期した後に第1クラッチC1を係合させ、その後にモータジェネレータ14への電力供給を停止して無負荷状態にする。 【0037】また、クラッチC1、C2を共に係合させるとともに反力ブレーキBを解放することにより、エンジン12およびモータジェネレータ14の両方を駆動力源として走行する変速比が1のアシストモード「2nd(アシスト)」が成立させられ、第1クラッチC1および反力ブレーキBを解放するとともに第2クラッチC2を係合させれば、モータジェネレータ14を回生制御して効率良く充電しながら制動力を発生させる変速比が1の回生制動モード「2nd(回生)」が成立させられる。なお、アシストモード「2nd(アシスト)」は、エンジン12による高速前進モード「2nd」の実行時にモータジェネレータ14を作動させれば良いし、回生制動モード「2nd(回生)」は、エンジン12による高速前進モード「2nd」の実行時に第1クラッチC1を解放してエンジン12を切り離すとともにモータジェネレータ14を回生制御すれば良い。 【0038】また、モータジェネレータ14を駆動力源として後進走行する「R」ポジションでは、クラッチC1、C2を共に解放するとともに反力ブレーキBを係合させることにより低速後進モード「低速(モータ)」が成立させられ、モータジェネレータ14に逆回転のトルクを発生させることにより、車両停止時には後進方向のクリープトルクを発生させるとともにアクセル操作に従って後方へ発進する。この時の変速比は−1/ρ1で比較的大きく、大きなトルク増幅が得られるため、無段変速機18の大きな変速比と相まって、36V程度の電圧によって作動させられるモータジェネレータ14においても、実用上満足できるクリープトルクや発進性能が得られる。この低速後進モード「低速(モータ)」も低速段である。そして、この低速後進モード「低速(モータ)」からエンジン12による高速後進モード「高速」への移行は、エンジン12を作動させて第1クラッチC1を係合させた後にモータジェネレータ14への電力供給を停止して無負荷状態にすれば良い。 【0039】図5は、本実施例のハイブリッド駆動装置10の作動を制御する制御系統を示す図で、ECU(Electronic Control Unit)50には図5の左側に示すスイッチやセンサ等から各種の信号が入力されるとともに、ROM等に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行って右側に示す各種の装置等に制御信号などを出力することにより、例えば車速Vやアクセル開度(アクセルペダルの操作量)θ、シフトポジション(シフトレバーの操作位置)、バッテリ蓄電量SOC、フットブレーキ操作の有無などの運転状態に応じて副変速機16の変速モードを切り換えたり、エンジン12およびモータジェネレータ14の作動を制御したりする。 【0040】図5の減速度/トルク設定スイッチ52は、例えば図7に示すようなスライドスイッチによって構成され、シフトレバーの近傍などに配設される。これは、副変速機16が回生制動モード「2nd(回生)」の時のモータジェネレータ14の回生制動トルクを手動で調整するもので、手前に引く程制動トルクは増大する。すなわち、この減速度/トルク設定スイッチの操作位置に従って、モータジェネレータ14の回生制動トルクのマップは図4において上下に移動させられるのである。図8の設定減速度インジケータ54には、減速度/トルク設定スイッチ52の操作位置に応じて、回生制動トルクが大きくなる程長さが長くなる後向きの矢印で設定状態が表示される。この設定減速度インジケータ54は、インストルメントパネルに設けられる。 【0041】また、図5のコントローラ(MG14)60、コントローラ(MG24)62はモータジェネレータ14、24の出力(トルク)制御および回生制御等を行うインバータで、電動オイルポンプ64は前記副変速機16のクラッチC1、C2やブレーキB、或いはABSアクチュエータ66等に油圧を供給するためのものである。システムインジケータ68は、シフトレバーが前記「M」ポジションまたは「B」ポジションへ操作された場合にアクティブになり、無段変速機全体の変速比を図9に示すように数値表示する。何等かの理由により「M」ポジション、「B」ポジションで変速比が点灯しない場合はフェール判定が為される。フェール時には、変速比を点滅させるようにしても良い。 【0042】シフトポジションスイッチ70は、シフトレバーのシフトポジション(操作ポジション)を検出するためのもので、車速センサ72は車速Vを検出するためのもので、フットブレーキスイッチ74はフットブレーキの踏込み操作の有無(ON、OFF)を検出するためのもので、アクセル開度センサ76はアクセル開度(アクセルペダルの操作量)θを検出するためのもので、バッテリSOCセンサ78はバッテリ26の蓄電量SOCを検出するためのもので、エンジン回転数センサ80はエンジン回転数NEを検出するためのもので、イグニッションスイッチ82はハイブリッド駆動装置10の駆動システムのON、OFF(エンジン12を点火するためのものではない)を切り換えるためのものである。なお、エンジン12の点火は走行状態などに応じて自動的に行われる。 【0043】ここで、本実施例のハイブリッド駆動装置10の副変速機16は、モータジェネレータ14を駆動力源として走行する場合に反力ブレーキBを係合させることによって成立する低速段、すなわち低速前進モード「1st」や低速後進モード「低速(モータ)」で大きな変速比1/ρ1または−1/ρ1が得られる。また、これ等の低速段「1st」、「低速(モータ)」では、電動モータ14から出力部材36へのトルク増幅がエンジン12から出力部材36へのトルク増幅(高速後進モード「高速」時のトルク増幅)よりも大きい。このため、36V程度の低電圧のバッテリ26やモータジェネレータ14を用いて停車時に実用上十分な大きさのクリープトルクを発生させたり、そのまま車両を発進させたりすることができる。 【0044】また、エンジン12とサンギヤS2との間に第1クラッチC1が設けられるとともに、副変速機16を一体回転させるようにサンギヤS1とS2との間に第2クラッチC2が設けられているため、第1クラッチC1および第2クラッチC2が共に解放されるとともに反力ブレーキBが係合させられることによって前記低速段「1st」、「低速(モータ)」が成立させられる他、第1クラッチC1および第2クラッチC2が共に係合させられるとともに反力ブレーキBが解放されることにより変速比が1の高速段、すなわち高速前進モード「2nd」やアシストモード「2nd(アシスト)」、その高速前進モード「2nd」で第1クラッチC1を解放してエンジン12を切り離すことにより、モータジェネレータ14を回生制御して効率良く充電しながら制動力を発生させる回生制動モード「2nd(回生)」など、3つの係合装置C1、C2、およびBの切換えで図3に示す種々の変速モードが得られる。 【0045】また、両遊星歯車装置30、32は、サンギヤS1、S2、および共通のリングギヤR、キャリアCの計4つの回転要素にて構成されているため、クラッチやブレーキの係合装置が少なくて済むなど、装置が全体として簡単且つコンパクトに構成される。特に、第1遊星歯車装置30のキャリアのリングギヤ側のピニオンギヤと第2遊星歯車装置32のキャリアのピニオンギヤとが一体化されているラビニヨ型であるため、部品点数が少なくなって一層簡単且つコンパクトに構成される。 【0046】また、サンギヤS1は、モータジェネレータ14の中心を貫通して配設された円筒状の連結部材40を介して第2クラッチC2に接続されているとともに、モータジェネレータ14のロータはその連結部材40の中間位置に相対回転不能に固定されている一方、サンギヤS2は、連結部材40を挿通して相対回転可能に配設された連結部材42を介して第1クラッチC1に接続されているとともに、その連結部材42は第1クラッチC1を経由することなく第2クラッチC2に接続されており、反力ブレーキBは、副変速機16とモータジェネレータ14との間から外周側へ延び出すキャリアCをハウジング44に固定するようになっており、リングギヤRはそのまま出力部材36を介して無段変速機18の入力軸38に接続されるため、エンジン12やモータジェネレータ14、反力ブレーキB、出力部材36を連結するための取り回し(連結構造など)が簡単である。 【0047】次に、このようなハイブリッド駆動装置10の副変速機16の変速モードの切換制御の具体例を、図10〜図13を参照して説明する。図10は前進走行時の切換制御の一例で、前記図4の代わりに図11に示すマップを用いて行われる。また、図12は後進走行時の切換制御の一例で、図13に示すマップを用いて行われる。何れも、予め定められたプログラムに従って前記ECU50により実行される。 【0048】図10のステップS1−1では、本制御に必要な各種の信号を読み込む等の入力信号処理を行い、ステップS1−2では、シフトポジションスイッチ70から供給される信号に基づいてシフトレバーの操作位置が前進ポジション、すなわち「D」、「M」、または「B」であるか否かを判断する。前進ポジションであれば、ステップS1−3において、現在の車両運転状態すなわち車速Vおよびアクセル操作量θに基づいて、図11の切換マップに従って低速前進モード「1st」の領域か否かを判断し、「1st」の領域であれば、ステップS1−4でクラッチC1、C2を解放し且つブレーキBを係合して変速モードを低速前進モード「1st」にするとともに、モータジェネレータ14を力行制御して所定の駆動トルクを発生させる。この時のトルクは、基本的にはアクセル操作量θに応じて定められるが、アクセル操作量θが略0の場合でも、略水平な平坦路であれば車両をゆっくりと前進させることができる程度のクリープトルクを発生させる。なお、図11における「1st」の領域は、車速Vが例えば数km/時程度以下の低車速の範囲である。また、ブレーキペダルが踏込み操作されて車速Vが0の場合でも、クリープトルクが発生させられる。 【0049】上記ステップS1−3の判断がNOの場合、すなわち「1st」の領域でない場合には、ステップS1−5でモータジェネレータ24によりエンジン12をクランキングして始動する。すなわち、モータジェネレータ14による駆動トルクで車両を前進させながら、その駆動トルクに影響を与えることなくエンジン12を始動するのである。ステップS1−6では、ブレーキBを解放するとともに第2クラッチC2を係合し、副変速機16が一体回転させられるようにする。ステップS1−7では、現在の車両運転状態すなわち車速Vおよびアクセル操作量θに基づいて、図11の切換マップに従って高速前進モード「2nd」の領域か否かを判断し、比較的車速Vが大きい高速前進モード「2nd」の領域であればステップS1−10以下を実行する一方、高速前進モード「2nd」の領域でない場合、すなわち低速のエンジン低速前進モード「2nd(低速)」の領域の場合にはステップS1−8以下を実行する。 【0050】ステップS1−8では、エンジン12をエンジンストールする恐れがない所定の回転数以上に維持しながら第1クラッチC1をスリップ係合させることにより、エンジントルクを伝達する。また、ステップS1−9ではモータジェネレータ14の力行制御を継続し、これにより、エンジン12およびモータジェネレータ14の両方を駆動力源として前進走行する。すなわち、この領域ではエンジン+モータ走行モードで走行するのである。一方、ステップS1−10では、エンジントルクを効率良く伝達するように第1クラッチC1を完全係合させ、ステップS1−11ではモータジェネレータ14の力行制御を中止する。これにより、エンジン12のみを駆動力源として走行するエンジン走行モードになる。この領域は、第1クラッチC1を完全係合させてもエンジンストールを生じる恐れがない車速域に設定される。 【0051】なお、図11の回生制動モード「2nd(回生)」はアクセル全閉時やブレーキ操作時等に行われるが、図10のフローチャートでは省略されている。 【0052】図12のステップS2−1では、本制御に必要な各種の信号を読み込む等の入力信号処理を行い、ステップS2−2では、シフトポジションスイッチ70から供給される信号に基づいてシフトレバーの操作位置が後進ポジション「R」か否かを判断する。後進ポジションであれば、ステップS2−3において、現在の車両運転状態すなわち車速Vおよびアクセル操作量θに基づいて、図13の切換マップに従って低速後進モード「低速(モータ)」の領域か否かを判断し、「低速(モータ)」の領域であれば、ステップS2−4でクラッチC1、C2を解放し且つブレーキBを係合して変速モードを低速後進モード「低速(モータ)」にするとともに、モータジェネレータ14を力行制御して所定の駆動トルクを発生させる。この時のトルクは、基本的にはアクセル操作量θに応じて定められるが、アクセル操作量θが略0の場合でも、略水平な平坦路であれば車両をゆっくりと後進させることができる程度のクリープトルクを発生させる。なお、図13における「低速(モータ)」の領域は、車速Vが例えば数km/時程度以下の低車速の範囲である。また、ブレーキペダルが踏込み操作されて車速Vが0の場合でも、クリープトルクが発生させられる。 【0053】上記ステップS2−3の判断がNOの場合、すなわち「低速(モータ)」の領域でない場合には、ステップS2−5でモータジェネレータ24によりエンジン12をクランキングして始動する。すなわち、モータジェネレータ14による駆動トルクで車両を前進させながら、その駆動トルクに影響を与えることなくエンジン12を始動するのである。ステップS2−6では、現在の車両運転状態すなわち車速Vおよびアクセル操作量θに基づいて、図13の切換マップに従って高速後進モード「高速」の領域か否かを判断し、比較的車速Vが大きい高速後進モード「高速」の領域であればステップS2−9以下を実行する一方、高速後進モード「高速」の領域でない場合、すなわち低速のエンジン低速後進モード「低速(エンジン)」の領域の場合にはステップS2−7以下を実行する。 【0054】ステップS2−7では、エンジン12をエンジンストールする恐れがない所定の回転数以上に維持しながら第1クラッチC1をスリップ係合させることにより、エンジントルクを伝達する。また、ステップS2−8ではモータジェネレータ14の力行制御を継続し、これにより、エンジン12およびモータジェネレータ14の両方を駆動力源として後進走行する。すなわち、この領域ではエンジン+モータ走行モードで走行するのである。一方、ステップS2−9では、エンジントルクを効率良く伝達するように第1クラッチC1を完全係合させ、ステップS2−10ではモータジェネレータ14の力行制御を中止する。これにより、エンジン12のみを駆動力源として走行するエンジン走行モードになる。この領域は、第1クラッチC1を完全係合させてもエンジンストールを生じる恐れがない車速域に設定される。 【0055】なお、図13の『「低速(モータ)」での回生』は、副変速機16の変速モードが低速後進モード「低速(モータ)」の状態でモータジェネレータ14を回生制御するもので、アクセル全閉時やブレーキ操作時等に行われるが、図12のフローチャートでは省略されている。 【0056】本実施例では、前進ポジションまたは後進ポジションでの停車時または低速走行時には、前後進共にモータジェネレータ14の力行制御でクリープトルクを発生させるとともに、その低速走行領域を越える車両発進時には、エンジン12を始動してエンジン12およびモータジェネレータ14の両方を駆動力源として発進するため、低電圧のバッテリ26やモータジェネレータ14の使用に拘らず優れた発進性能が得られる。 【0057】本実施例は第6発明の一実施例で、ECU50による一連の信号処理のうちステップS1−4、S2−4を実行する部分はクリープトルク発生手段として機能しており、ステップS1−5、S1−8、S1−9、S2−5、S2−7、S2−8を実行する部分は発進手段として機能している。 【0058】図14および図15は、前記ハイブリッド駆動装置10において駆動力源ブレーキを発生させる際の作動を説明するフローチャートで、同じくECU50により実行される。 【0059】図14のステップS3−1では、本制御に必要な各種の信号を読み込む等の入力信号処理を行い、ステップS3−2では、回生条件が成立しているか否かを判断する。回生条件は、例えば所定車速以上で且つアクセル全閉であること、或いは非駆動のコースト状態であることなどで、車速センサ72やアクセル開度センサ76から供給される信号などに基づいて判断される。回生条件が成立している場合は、ステップS3−3で蓄電量SOCが最大許容蓄電量SOCF 以上か否かを判断し、SOC≧SOCF の場合はそれ以上充電できないため、ステップS3−4以下を実行することにより、モータジェネレータ14による回生制動の代わりにエンジンブレーキを発生させる。すなわち、ステップS3−4で副変速機16の変速モードを高速前進モード「2nd」に切り換えるとともに、ステップS3−5で図16の(b) のマップに従って第1クラッチC1を係合制御することにより、エンジン12の回転抵抗により所望のエンジンブレーキ力を発生させるのである。この場合に、エンジンブレーキを必要とするような比較的高車速(V>V2)では第1クラッチC1を完全係合させるが、エンジンブレーキをそれ程必要としないような低車速(V≦V2)では第1クラッチC1をスリップ制御する。このスリップ制御では、エンジンストールを防止しながら、エンジンブレーキ力を大きくする場合は第1クラッチC1の係合力を大きくしてスリップ率を小さくし、エンジンブレーキ力を小さくする場合は第1クラッチC1の係合力を低くしてスリップ率を大きくする。上記V2は、エンジンストールを配慮すべき車速域を設定するための値である。 【0060】ステップS3−3の判断がNOの場合、すなわち蓄電量SOCが最大許容蓄電量SOCF より低い場合は、ステップS3−6以下を実行し、図16の(a) のマップに従って駆動力源ブレーキを発生させる。ステップS3−6では車速Vが所定車速V1以下か否かを判断し、V≦V1の場合はステップS3−7以下を実行する。所定車速V1は略0に近い低車速で、次の発進を考慮してステップS3−7で副変速機16を低速前進モード「1st」に切り換えるとともに、ステップS3−8でモータジェネレータ14を回生制御して駆動力源ブレーキを発生させる。 【0061】ステップS3−6の判断がNOの場合、すなわち車速Vが所定車速V1よりも大きい場合は、図15のステップS3−9を実行し、副変速機16の変速モードを高速前進モード「2nd」に切り換える。ステップS3−10では、車速Vが所定車速V2以下か否かを判断し、V≦V2の場合は、ステップS3−11で第1クラッチC1をスリップ係合させてエンジンブレーキ力を発生させるとともに、ステップS3−12でモータジェネレータ14を回生制御する。第1クラッチC1のスリップ率は、必要なエンジンブレーキ力などに応じて適宜設定され、回生制御による制動力と合わせて所望の駆動力源ブレーキが発生させられる。また、車速Vが所定車速V2より大きい場合は、ステップS3−13で第1クラッチC1を完全係合させてエンジンブレーキ力を発生させるとともに、ステップS3−12でモータジェネレータ14を回生制御する。 【0062】なお、上記ステップS3−10、S3−11、およびS3−13は、ステップS3−12のモータジェネレータ14の回生制御だけでは十分な駆動力源ブレーキが得られない場合に、必要に応じて実施するだけでも良い。また、第1クラッチC1を完全係合させてエンジンブレーキ力を作用させる際に、電子スロットル弁の開閉制御でエンジンブレーキ力を調整することもできる。トータルの駆動力源ブレーキについては、少なくともモータジェネレータ14の回生制御およびエンジンブレーキ制御(第1クラッチC1のスリップ制御或いは電子スロットル制御)の何れか一方で行えば良いが、両方をそれぞれ調整することも可能である。また、図16では車速V2以下で第1クラッチC1のスリップ制御を行うようになっているが、エンジンブレーキを発生させる全域で必要に応じて第1クラッチC1のスリップ制御を行うようにしても良い。 【0063】本実施例では、エンジン12を出力部材36に直結する高速段、具体的には高速前進モード「2nd」において、第1クラッチC1をスリップ制御することにより任意の大きさのエンジンブレーキ力が得られるようになっているため、ステップS3−11およびS3−12ではモータジェネレータ14による回生制御およびエンジンブレーキによって所望の制動力を発生させることができるとともに、モータジェネレータ14の回生制御を実施できないステップS3−5においてもエンジンブレーキのみで所望の制動力を発生させることができる。 【0064】本実施例は第7発明の一実施例で、ECU50による一連の信号処理のうちステップS3−4、S3−5、S3−9、S3−11を実行する部分はエンジンブレーキ力制御手段として機能している。 【0065】なお、後進走行時においては、ブレーキBを係合したエンジン低速後進モード「低速(エンジン)」や高速後進モード「高速」でエンジンブレーキ力を発生させることが可能であり、第1クラッチC1のスリップ率の制御でエンジンブレーキ力を調整できる。 【0066】図17および図18は、前記ハイブリッド駆動装置10の発進時の制御の別の例を説明するフローチャートで、同じく前記ECU50により実行される。図17のステップS4−1では、本制御に必要な各種の信号を読み込む等の入力信号処理を行い、ステップS4−2では、シフトポジションスイッチ70からの信号に基づいてシフトレバーの操作位置が走行ポジション、すなわち「D」、「M」、「B」、または「R」であるか否かを判断する。走行ポジションであれば、ステップS4−3において車速Vが所定車速V3以下か否かを判断し、V≦V3の場合はステップS4−5以下を実行する一方、車速Vが所定車速V3より大きい場合はステップS4−4において例えば前記図11、図13等の切換マップに従って副変速機16の変速モードを切り換える。所定車速V3は、例えば数km/時程度の低車速である。 【0067】ステップS4−5では、フットブレーキスイッチ74からの信号に基づいてフットブレーキが踏込み操作されている(ON)か否かを判断し、ブレーキONの場合はステップS4−6でエンジン12およびモータジェネレータ14の作動を共に停止するとともに、ステップS4−7においてヒルホールド制御を実施する。ヒルホールド制御は、前記ABSアクチュエータ66を利用してホイールシリンダに油圧を作用させることにより、車輪をロックして前進、後進を共に阻止する。 【0068】フットブレーキがOFFの場合は、上記ステップS4−5に続いて図18のステップS4−8を実施し、モータジェネレータ14や電気系統の故障などでモータジェネレータ14が使用不可か否かを判断する。モータジェネレータ14が使用可能の場合は、ステップS4−9において蓄電量SOCが下限値SOCL 以上か否かを判断し、SOC≧SOCL であればステップS4−12でモータジェネレータ14を力行制御して所定の駆動トルクを発生させる。下限値SOCL は、バッテリ26の蓄電量SOCがモータジェネレータ14の力行制御に耐え得る程残っているか否かを基準として定められる。また、ステップS4−12のモータジェネレータ14のトルク制御は、基本的にはアクセル操作量θに応じて定められるが、アクセル操作量θが略0の場合でも、略水平な平坦路であれば車両をゆっくりと前進または後進させることができる程度のクリープトルクを発生させる。次のステップS4−13では、ヒルホールド制御を解除して車両の発進を許容する。 【0069】上記ステップS4−9の判断がNOの場合、すなわち蓄電量SOCが下限値SOCL より少ない場合は、ステップS4−10でモータジェネレータ24によりエンジン12を始動する。ステップS4−11では、エンジン12によって回転駆動されるモータジェネレータ24を発電制御することにより、発生した電気エネルギーをバッテリ26を経由してモータジェネレータ14に供給する。これにより、バッテリ26の残量(蓄電量SOC)に関係なく、常にモータジェネレータ14を力行制御して走行できるようになり、前記ステップS4−12以下を実行する。 【0070】また、モータジェネレータ14が使用不可の場合は、ステップS4−8に続いてステップS4−14を実行し、モータジェネレータ24によりエンジン12をクランキングして始動するとともに、ステップS4−15で第1クラッチC1をスリップ制御して所定の駆動トルクを発生させる。ステップS4−15では、シフトレバーの操作位置が前進走行ポジション「D」、「M」、または「B」の場合は副変速機16の変速モードをエンジン低速前進モード「2nd(低速)」に切り換え、後進走行ポジション「R」の場合はエンジン低速後進モード「低速(エンジン)」に切り換えて、第1クラッチC1をスリップ制御する。第1クラッチC1のスリップ制御は、エンジンストールを回避しつつアクセル操作量θに応じた所定の駆動トルクを発生するように制御されるが、アクセルOFF時においても略水平な平坦路であれば車両をゆっくりと前進または後進させることができる程度のクリープトルクを発生させる。 【0071】この実施例では、車速Vが所定車速V3以下の停止時または低車速の状態で、基本的にはモータジェネレータ14を優先使用してクリープトルク等の駆動トルクを発生させるとともに、バッテリ26の蓄電量SOCが不足している場合はエンジン12でモータジェネレータ24を回転駆動するとともに、そのモータジェネレータ24を発電制御してモータジェネレータ14に電力供給するため、モータジェネレータ14が故障でない限り常にモータジェネレータ14を用いて、車両を滑らかに発進させることができる。また、モータジェネレータ14が使用不可の場合は、エンジン12を用いて第1クラッチC1のスリップ制御でクリープトルク等の駆動トルクを発生させるため、モータジェネレータ14の故障時においても滑らかな発進性能が得られる。 【0072】図19は、前記ハイブリッド駆動装置10の制御の別の例を説明するフローチャートで、同じく前記ECU50により実行される。図19のステップS5−1では、本制御に必要な各種の信号を読み込む等の入力信号処理を行い、ステップS5−2では、シフトポジションスイッチ70からの信号に基づいてシフトレバーの操作位置が走行ポジション、すなわち「D」、「M」、「B」、または「R」であるか否かを判断する。走行ポジションであれば、ステップS5−3において第1クラッチC1のスリップ制御が可能か否かを判断し、スリップ制御が不可の場合はステップS5−4でモータジェネレータ14のみを駆動力源として走行するモータ走行領域を拡大するとともに、ステップS5−5で第1クラッチC1のスリップ制御を禁止する。第1クラッチC1のスリップ制御が不可の場合は、例えば第1クラッチC1の制御系のフェールや低油温などでスリップ制御を行うことができない場合である。また、モータ走行領域の拡大は、例えば前進時に前記図11の切換マップに従って変速モードの切換制御が行われる場合に、『「2nd(低速)」+MG』の領域を図20の(b) に示すようにモータジェネレータ14のみで駆動力を発生させる「MG」領域とする。すなわち、変速モードがエンジン低速前進モード「2nd(低速)」の状態で、第1クラッチC1のスリップ制御を行うことなくモータジェネレータ14を作動させて駆動トルクを発生させるのである。 【0073】ステップS5−3の判断がYESの場合、すなわちスリップ制御が可能な場合は、ステップS5−6を実行し、モータジェネレータ14や電気系統の故障などでモータジェネレータ14が使用不可か否かを判断する。モータジェネレータ14が使用可能の場合は、ステップS5−7で、例えば図11の切換マップ等に従って通常の駆動切換制御を行う一方、モータジェネレータ14が使用不可の場合はステップS5−8以下を実行する。ステップS5−8では、モータジェネレータ24によりエンジン12をクランキングして始動し、ステップS5−9では第1クラッチC1のスリップ領域すなわちエンジン12のみを駆動力源として走行するエンジン走行領域を車速V=0まで拡大し、ステップS5−10でモータジェネレータ14の力行制御を中止する。エンジン走行領域の拡大は、例えば前進時に図11の切換マップに従って変速モードの切換制御が行われる場合に「1st」領域および『「2nd(低速)」+MG』の領域を図20の(a) に示すように「2nd(低速)」領域とし、第1クラッチC1をスリップ制御してエンジンストールを回避しつつエンジン12のみを駆動力源として走行する。 【0074】本実施例では、第1クラッチC1のスリップ制御が不可の場合はモータ走行領域を拡大し、モータジェネレータ14が使用不可の場合はエンジン走行領域を拡大するようになっているため、常に円滑な発進性能が得られる。 【0075】以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年3月31日(1999.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085361 【弁理士】 【氏名又は名称】池田 治幸 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−245013(P2000−245013A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月8日(2000.9.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−93205 |
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