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【発明の名称】 ハイブリッド車両
【発明者】 【氏名】島崎 勇一

【氏名】稲垣 裕巳

【要約】 【課題】ハイブリッド車両としてのレイアウトの自由度が高く、モータ異常時においても安全性を確保できるハイブリッド車両を提供する。

【解決手段】前輪を駆動するエンジンと、エンジンによって駆動される発電機6と、発電機6の発電電圧で後輪を駆動するモータ8と、発電機6の発電電圧で充電されるバッテリ11とを備え、モータ8によるアシストが必要なときに発電機6の発電電圧をレギュレータ調整器9により42Vにして3端子スイッチ10をモータ側端子mに切り換え、アシストが不要なときには発電電圧をレギュレータ調整器9により12Vにして3端子スイッチ10をバッテリ側端子bに切り換えるコントロールユニット16を設け、電流計14と電圧計15による検出結果によりモータ8の異常が検出されたら、発電電圧を12Vに調整すると共に3端子スイッチ10をバッテリ側端子bに切り換える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1の駆動輪を駆動するエンジンと、該エンジンによって駆動される発電機と、該発電機の発電電圧で第2の駆動輪を駆動するモータと、前記発電機の発電電圧で充電され、電気負荷に電力を供給するバッテリと、前記発電機の発電電圧の供給を前記モータと前記バッテリとで切り換える切換スイッチと、前記発電機の発電電圧を可変の電圧に調整する発電電圧調整手段と、前記モータによるアシストが必要なときに前記発電機の発電電圧を高電圧側に調整すると共に切換スイッチをモータ側に切り換え、アシストが不要なときには発電電圧を低電圧側に調整すると共に切換スイッチをバッテリ側に切り換える第1の制御手段と、前記モータの異常を検出する異常検出手段と、前記モータの異常時に発電電圧を低電圧側に調整すると共に切換スイッチをバッテリ側に切り換える第2の制御手段を備えていることを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項2】 前記第2の制御手段は、モータの異常が発生したときに発電電圧を低電圧側に調整し、所定時間経過後に切換スイッチをバッテリ側に切り換えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項3】 前記第2の制御手段は、モータの異常が発生したときに発電電圧を低電圧側に調整し、発電電圧が低下したことを検知したときに切換スイッチをバッテリ側に切り換えることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ハイブリッド車両に係るものであり、特に、前輪をエンジンで駆動し、後輪はモータで駆動する4WDタイプのハイブリッド車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、エンジンの駆動力をモータによりアシストするハイブリッド車両が知られている。この種のハイブリッド車両の中には、エンジンにモータ/ジェネレータを並列に設け、加速時にはモータ/ジェネレータをモータとして作動させてエンジンをアシストし、減速時にはモータ/ジェネレータをジェネレータとして作動させ、バッテリに充電を行うパラレルハイブリッド車両がある(例えば、類似技術として、特開平9−140006号公報参照)。また、量産タイプのガソリン車に対して若干の改良を施し、従来の12Vバッテリによりモータで後輪をアシストする簡易的なハイブリッド車両も検討されている。
【0003】そして、特開平8−237811号公報に示されているように、エンジンで発電機を駆動して得られた電力で12Vのバッテリを充電し、このバッテリ電力で後輪モータを駆動するものであって、前記バッテリを2個配置して、通常走行時は2つのバッテリを並列(12V)にして使用し、モータ高回転時は2つのバッテリを直列(24V)にして駆動電圧を高くするものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の従来技術のモータ/ジェネレータを設けたものにあっては、モータ/ジェネレータは、モータあるいはジェネレータとして選択して使用されるため、発電と同時に駆動させることはできないという問題がある。また、例えば、フロントエンジン車ではフロントエンジンに連結したモータ/ジェネレータはフロント側に配置せざるを得ない等、レイアウトの自由度が低いという問題がある。一方、第2の従来技術の後輪をアシストする簡易的なハイブリッド車両においては、12Vでモータを駆動するためモータ電流が大きく、配線での電力損失が大きいため、配線を太くせざるを得ないという問題がある。
【0005】そして、第3の従来技術である後輪アシスト式ハイブリッド車両にあっては、モータ駆動電圧は高くできるが、ジェネレータは依然として低電圧であるため、上述した配線における電力損失が大きいという問題がある。そこで、この発明は、ハイブリッド車両としてのレイアウトの自由度が高く、モータ駆動電圧を高電圧にすることで配線を太くする必要がなく、更に、モータ異常時においても安全性を確保できるハイブリッド車両を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、第1の駆動輪(例えば、実施形態における前輪1)を駆動するエンジン(例えば、実施形態におけるエンジン2)と、該エンジンによって駆動される発電機(例えば、実施形態における発電機6)と、該発電機の発電電圧で第2の駆動輪(例えば、実施形態における後輪7)を駆動するモータ(例えば、実施形態におけるモータ8)と、前記発電機の発電電圧で充電され、電気負荷(例えば、実施形態における電気負荷12)に電力を供給するバッテリ(例えば、実施形態におけるバッテリ11)と、前記発電機の発電電圧の供給を前記モータと前記バッテリとで切り換える切換スイッチ(例えば、実施形態における3端子スイッチ10)と、前記発電機の発電電圧を可変の電圧に調整する発電電圧調整手段(例えば、実施形態におけるレギュレータ調整器9)と、前記モータによるアシストが必要なときに前記発電機の発電電圧を高電圧(例えば、実施形態における42V)側に調整すると共に切換スイッチをモータ側(例えば、実施形態におけるモータ側端子m)に切り換え、アシストが不要なときには発電電圧を低電圧(例えば、実施形態における12V)側に調整すると共に切換スイッチをバッテリ側(例えば、実施形態におけるバッテリ側端子b)に切り換える第1の制御手段(例えば、実施形態におけるコントロールユニット16)と、前記モータの異常を検出する異常検出手段(例えば、実施形態におけるステップS23、ステップS24)と、前記モータの異常時に発電電圧を低電圧側に調整すると共に切換スイッチをバッテリ側に切り換える第2の制御手段(例えば、実施形態におけるステップS26、ステップS27、ステップS28)を備えていることを特徴とする。
【0007】このように構成することで、アシストが必要な場合には、第1の制御手段によって発電機の発電電圧を発電電圧調整手段で高電圧側に調整すると共に切換スイッチをモータ側に切り換えるため、エンジンが駆動すると発電機によって第2の駆動輪が駆動してエンジンをアシストできる。一方、アシストが不要な場合には、第1の制御手段によって発電機の発電電圧を発電電圧調整手段で低電圧側に調整すると共に切換スイッチをバッテリ側に切り換えるため、エンジンが駆動すると発電機によってバッテリに電力を供給できる。ここで、異常検出手段によりモータに異常があることが検出されると、第2の制御手段によって発電機の発電電圧を発電電圧調整手段で低電圧側に調整すると共に切換スイッチをバッテリ側に切り換えるため、エンジンが駆動すると発電機によってバッテリに電力を供給できる。
【0008】請求項2に記載した発明は、前記第2の制御手段が、モータの異常が発生したときに発電電圧を低電圧側に調整し、所定時間経過後に切換スイッチをバッテリ側に切り換えることを特徴とする。このように構成することで、モータ異常時において発電電圧を低電圧側に調整してから、切換スイッチをバッテリ側に切り換えるまでの間に所定時間を確保することで発電電圧を十分に低下させることができる。
【0009】請求項3に記載した発明は、前記第2の制御手段が、モータの異常が発生したときに発電電圧を低電圧側に調整し、発電電圧が低下したことを検知したときに切換スイッチをバッテリ側に切り換えることを特徴とする。このように構成することで、モータ異常時において発電電圧が低電圧側に調整されたことを検知してから、切換スイッチをバッテリ側に切り換えることで、バッテリに対して、適正な電圧をかけることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面と共に説明する。図1はこの発明の実施形態のハイブリッド車両のレイアウトを示す平面説明図である。同図において1は前輪を示し、この前輪1はエンジン2にディファレンシャルギア3およびトランスミッション4を介して駆動される。エンジン2にはベルト5を介して発電機6が連結されている。一方、7は後輪を示し、この後輪7は、左右の後輪7に連結されたモータ8によって駆動するもので、前記発電機6によって発電された発電電力によって、モータ8を駆動し後輪7を駆動するようになっている。
【0011】図2に示すのは、上記ハイブリッド車両の電気配線図である。同図において、発電機6はエンジン2によって駆動し、通常の車両に搭載されるオルタネータと同様の構成のもので、この発電機6はレギュレータ調整器9により出力電圧を可変(少なくとも12Vから42V)に調整できるようになっている。発電機6の出力側には3端子スイッチ10が接続され、この3端子スイッチ10によって発電機6の発電電圧をモータ8とバッテリ11とで切り換えるようになっている。
【0012】3端子スイッチ10のバッテリ側端子bには12Vのバッテリ11が接続され、更に、このバッテリ11から電力を供給されるヘッドランプ、エンジン補器等の電気負荷12が接続されている。3端子スイッチ10のモータ側端子mにはスイッチ13を介してモータ8が接続されている。尚、Gはモータ8、バッテリ11および電気負荷12のアースを示す。
【0013】モータ8の入力側には電流計14と電圧計15が設けられ、この電流計14と電圧計15によってモータ8の電圧値と電流値を検出する。ここで、上記電流計には非接触タイプのものが使用されている。また、16はコントロールユニットを示し、コントロールユニット16は3端子スイッチ10とスイッチ13と上記レギュレータ調整器9とモータ8の故障表示ランプ17に制御信号を送り、上記電流計14と上記電圧計15からの出力信号を入力するものである。
【0014】したがって、モータ8によるアシストが必要な場合には、スイッチ13をONにしコントロールユニット16によってレギュレータ調整器9で発電機6の出力電圧を42Vに調整すると共に3端子スイッチ10をモータ側端子mに切り換えて、発電機6からの出力電圧によりモータ8を駆動して後輪7を駆動する。したがって、前輪1がスリップした場合や、急加速したい場合に速やかに対応できる。尚、ここでモータ8の駆動電力はスイッチ13をトランジスタ等で構成してスイッチング制御することで調整できるが、他にモータ8への調整信号(他励モータの場合は界磁電流、交流モータの場合にはインバータのスイッチング制御等)によって制御できる。
【0015】また、アシストが必要ない通常走行の場合には、スイッチ13をOFFにしてモータ8を停止し、コントロールユニット16によってレギュレータ調整器9で発電機6の出力電圧を12Vに調整すると共に3端子スイッチ10をバッテリ側端子bに切り換えて、発電機6からの出力電圧による電力をバッテリ11に供給し、上記バッテリ11を介して電気負荷12に電力を供給できる。
【0016】上記実施形態によれば、エンジン2を駆動することにより発電機6を駆動して発電を行うと同時に、この発電機6の発電電力によって後輪7を駆動することができるため、発電機6により発電をしている場合にも、モータ8によるエンジン2のアシストを行うことができる。また、フロント側にはエンジン2と発電機6を設け、リア側にはモータ8を配置できるため、フロント側にエンジン2と発電機6とモータ8を設けた場合に比較してレイアウトの自由度が高まる。また、42Vで発電してモータ8を作動させることができるため、配線を細くでき電力損失を低減することができる。
【0017】次に、図3のフローチャートによってスリップ時のアシスト制御について説明する。同図のステップS10において、エンジン2が始動して、モータ8、および、発電機6に異常がないことが確認され作動条件が成立すると、次のステップS11において、車輪速、エンジン回転数Ne、ギア位置が比較され、ステップS12において車両がスリップしているか否かが判定される。車両がスリップしていない場合にはリターンする。ステップS12において、車両がスリップしていると判定された場合にはステップS13においてスイッチ10がONとなり、ステップS14でスリップ量に応じて発電機6の出力増大、または、モータ8の入力が増大され、ステップS15において車両のスリップが終わったか否かが判定される。
【0018】ステップS15において車両のスリップが終わったと判定された場合には、ステップS16において発電機6の出力を低減、または、モータ8の入力を減少させ、ステップS17においてスイッチ10をOFFにしてリターンする。ステップS15において車両のスリップが終わっていないと判定された場合には、ステップS14に進み、前述と同様の操作を繰り返す。したがって、前輪1がスリップしている場合には、モータ8を駆動して4WDに切り替えて、車両のスリップ状態から速やかに脱却することができる。
【0019】次に、モータ8が故障した場合の制御を図4のフローチャートによって説明する。同図のステップS21においてモータ8が作動しているか否か、つまり車両が4WDモードであるか否かが判定される。ステップS21においてモータ8が作動していないと判定された場合にはリターンする。ステップS21においてモータ8が作動していると判定された場合には、ステップS22において電流計14によるモータ電流値の検出と、電圧計15によるモータ電圧値の検出を行う。
【0020】ステップS23においてモータ8の電圧値Vmが下限値Aと上限値Bとの間であると判定された場合には、次のステップS24においてモータ8の電流値Imが下限値Cと上限値Dとの間にあるか否かが判定される。ステップS24においてモータ8の電流値Imが下限値Cと上限値Dとの間であると判定された場合にはリターンする。ステップS23においてモータ8の電圧値Vmが下限値Aから上限値Bの範囲外であると判定された場合、あるいは、ステップS24においてモータ8の電流値Imが下限値Cから上限値Dの範囲外であると判定された場合には、つまりモータ8に異常がある場合にはステップS25に進む。
【0021】ステップS25においてはスイッチ13をOFFにしてモータ8を停止したり、モータ8の出力を低下させ、次のステップS26において発電機6の電圧をレギュレータ調整器9によって12Vに低減してステップS27に進む。ステップS27においてタイマにより所定時間(発電電圧が12Vに低下するに十分な時間)経過したか、あるいは、発電電圧が低下したことを電圧計15が検知した場合には、ステップS28において3端子スイッチ10をバッテリ側端子bに切り換える。次いで、ステップS29において故障表示ランプ17を点灯させ運転者にモータ8の異常を知らせてリターンする。
【0022】したがって、モータ8に何らかの異常が発生した場合には、発電機6を低電圧側にしてバッテリ11への電力供給がなされるため、電気負荷12への電力供給が停止する時間が短くでき、モータ8異常時におけるバッテリ11上がりを防止できる。
【0023】また、ステップS27において、所定時間経過したと判定された場合には、発電電圧は切換後十分に時間が経ち12Vに低下しているため、発電電圧が十分に低下していない状態で3端子スイッチ10をバッテリ11側に切り換えた場合に生ずるバッテリ11の破損を防止できる。一方、ステップS27において、発電電圧が低下したと判定された場合には、発電電圧は確実に12Vに低下しているため、発電電圧が十分に低下していない状態で3端子スイッチ10をバッテリ11側に切り換えた場合に生ずるバッテリ11の破損を防止できる。
【0024】尚、この発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、後輪をエンジンで駆動し、前輪をモータで駆動する構成にしても良い。また、発電機の出力電圧の高電圧として42Vを例にして説明したが、モータ8をアシストできれば電圧値は42Vに限られない。
【0025】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、エンジンを駆動することにより発電機を駆動して発電を行うと同時に、この発電機の発電電力によって第2の駆動輪を駆動することができるため、発電機により発電をしている場合にも、モータによるエンジンのアシストを行うことができる効果がある。また、発電機とモータを別々に配置することができるため、例えば、フロント側にはエンジンと発電機を設け、リア側にはモータを配置する等、ハイブリッド車両としてのレイアウトの自由度が高まるという効果がある。
【0026】更に、モータによるアシストが必要な時には高電圧でモータを作動させることができるため、配線を細くしても電力損失を低減することができる効果がある。そして、モータ異常時においては発電機を低電圧側にしてバッテリへの電力供給がなされるため、電気負荷への電力供給が停止する時間が短くでき、モータ異常時におけるバッテリ上がりを防止できる効果がある。
【0027】請求項2に記載した発明によれば、モータ異常時において発電電圧を低電圧側に調整してから、所定時間経過すると切換スイッチをバッテリ側に切り換えるまでの間に発電電圧を十分に低下させることができるため、発電電圧が十分に低下していない状態で切換スイッチをバッテリ側に切り換えた場合に生ずるバッテリの破損を防止できる効果がある。請求項3に記載した発明によれば、モータ異常時において発電電圧を低電圧側に調整してから、発電電圧が低下したことを検知してから切換スイッチをバッテリ側に切り換えるようにしたため、発電電圧が十分に低下していない状態で切換スイッチをバッテリ側に切り換えた場合に生ずるバッテリの破損を防止できる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年2月24日(1999.2.24)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外8名)
【公開番号】 特開2000−245012(P2000−245012A)
【公開日】 平成12年9月8日(2000.9.8)
【出願番号】 特願平11−47244