| 【発明の名称】 |
車両駆動制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】中沢 洋介
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| 【要約】 |
【課題】各小歯車の分担するトルクを分散させて小さくすることによって各歯車の歯の断面積を小さくし、その結果としてギア比を高く設計することができ、電動機の高速回転化に伴う小型、軽量、低コスト化が図れる車両駆動制御装置を提供する。
【解決手段】車輪軸10に直結された大歯車11に、2つ以上の複数個の小歯車121-124をかみ合わせて、小歯車各々に直結された交流電動機131-134をさらにそれら各々に個別に接続されたインバータ装置141-144で給電する構成にすることにより、各小歯車の分担するトルクを分散させて小さくする。また、各インバータの直流入力端子同士を直列に接続して高電圧である架線より電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害を減少させ、大量生産される汎用インバータが流用できるようにする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車輪軸に直結された1つの大歯車と、前記大歯車にかみ合う複数の小歯車と、前記小歯車の各々に1台ずつ直結された交流電動機と、前記交流電動機の各々に電力を供給するためにそれらの各々に1台ずつ接続され、かつ、それらの直流入力側が直列に接続された複数のインバータとを備えて成る車両駆動制御装置。 【請求項2】 前記複数のインバータ各々は、架線から供給される直流電源電圧検出値と前記インバータ各々の入力電圧検出値とを入力し、前記直流電源電圧検出値を前記複数のインバータの直列段数で除した値と前記入力電圧検出値との偏差に応じて出力トルク指令を補正するインバータ制御装置を有することを特徴とする請求項1に記載の車両駆動制御装置。 【請求項3】 前記複数のインバータ各々は、自インバータに故障が発生した場合に閉じ、残りのインバータによって運転を継続させるために、その正負の直流入力端子間各々に短絡用スイッチを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両駆動制御装置。 【請求項4】 前記複数のインバータのうちの少なくとも1台が故障して残りのインバータによって継続運転している最中に、架線電源電圧が運転中のすべてのインバータの許容入力直流電圧の加算値を超えたときに架線の直流電源がこれらのインバータの直流入力側に供給されるのを遮断する電源遮断スイッチを備えたことを特徴とする請求項3に記載の車両駆動制御装置。 【請求項5】 前記インバータ各々の出力電流の合成値に基づいてインバータ出力電圧指令を演算し、各段のインバータを同一の電圧指令にしたがってパルスパターンを出力するインバータ制御装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両駆動制御装置。 【請求項6】 前記交流電動機各々のフレームと電源アースとを電気的に短絡し、各段のインバータのPWMパルスパターンを作成するための三角波に位相差を持たせるインバータ制御装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両駆動制御装置。 【請求項7】 前記インバータ各々の入力直流電圧検出値と入力直流電流検出値とに基づいて演算した出力有効電力と、電動機回転角周波数とトルク指令とに基づいて演算した有効電力指令値との偏差に基づき、トルク指令値を補正するインバータ制御装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両駆動制御装置。 【請求項8】 1編成中の少なくとも2つ以上の車輪軸に直結された各々1つずつの大歯車と、前記大歯車各々にかみ合った複数の小歯車と、前記小歯車の各々に1台ずつ直結された交流電動機と、前記交流電動機の各々に電力を供給するために前記交流電動機1台につき1台ずつ接続され、かつ、前記異なる車輪軸につながった前記交流電動機を駆動するものの直流入力端子同士が直列に接続されたインバータと、架線直流電源から前記インバータのすべてに供給される電力を同時に遮断するための電源遮断スイッチとを備えて成る車両駆動制御装置。 【請求項9】 車輪軸に直結された1つの大歯車と、前記大歯車にかみ合った1つの小歯車と、前記小歯車に直結された3×n(nは2以上の正の整数)相交流電動機と、前記交流電動機に対して電力を供給する、それらの直流入力側が直列接続されたn台のインバータとを備えて成る車両駆動制御装置。 【請求項10】 前記n台のインバータ各々は、架線から供給される直流電源電圧検出値と前記インバータ各々の入力電圧検出値とを入力し、前記直流電源電圧検出値を前記複数のインバータの直列段数nで除した値と前記入力電圧検出値との偏差に応じて出力トルク指令を補正するインバータ制御装置を有することを特徴とする請求項9に記載の車両駆動制御装置。 【請求項11】 前記n台のインバータ各々は、自インバータに故障が発生した場合に閉じ、残りのインバータによって運転を継続させるために、その正負の直流入力端子間各々に短絡用スイッチを有することを特徴とする請求項9又は10に記載の車両駆動制御装置。 【請求項12】 前記交流電動機が永久磁石同期電動機であり、少なくとも1台のインバータが故障したときに、健全な残りのインバータで永久磁石同期電動機の永久磁石磁束に起因する磁束を打ち消す方向の電流が流れるように制御するインバータ制御装置を備えたことを特徴とする請求項9に記載の車両駆動制装置。 【請求項13】 車輪軸に直結された1つの大歯車と、前記大歯車にかみ合う複数の小歯車と、前記小歯車の各々に1台ずつ直結された交流電動機と、前記交流電動機の各々に電力を供給するためにそれらの各々に1台ずつ接続された複数のインバータと、前記複数のインバータの直流入力側ごとに接続され、かつ、それらの交流入力端子が直列接続された複数のコンバータと、交流電源を入力として適切な定格の交流電圧に変圧して前記コンバータに出力する変圧器とを備えて成る車両駆動制御装置。 【請求項14】 前記複数のコンバータ各々は、自コンバータ又はその直流出力側に接続されているインバータに故障が発生した場合に閉じ、残りのコンバータ及びインバータによって運転を継続させるために、その交流入力端子各々に短絡用スイッチを有することを特徴とする請求項13に記載の車両駆動制御装置。 【請求項15】 車輪軸に直結された1つの大歯車と、前記大歯車にかみ合う複数の小歯車と、前記小歯車の各々に1台ずつ直結された交流電動機と、前記交流電動機の各々に電力を供給するためにそれらの各々に1台ずつ接続された複数のインバータと、交流電源を入力として適切な定格の交流電圧を得る変圧器と、直流出力側が前記複数のインバータの直流入力側各々に並列接続され、かつ、その交流入力端子が前記変圧器の二次側に接続されたコンバータと、前記複数のインバータの正負の直流入力端子間各々に接続され、自インバータに故障が発生した場合に閉じ、残りのインバータによって運転を継続させるための複数の短絡用スイッチとを備えて成る車両駆動制御装置。 【請求項16】 前記交流電動機各々とインバータ各々とを一体型にしたことを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の車両駆動制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車両駆動制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、車両駆動制御装置は図21及び図22に示す構成である。大歯車11と、小歯車12と、交流電動機13と、インバータ14と、フィルタリアクトル15と、給電装置16とから構成されている。大歯車11は車輪軸10と同軸上に直結され、小歯車12の歯とかみ合うように機械的に配置されている。そして、交流電動機13が発生するトルクは小歯車12と大歯車11とのギア比に応じたトルク増幅率で出力トルクを車輪回転トルクに変えて加速力、減速力を得ている。なお、符号9は台車、8は平滑コンデンサである。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の車両駆動制御装置では、大きなトルクを伝達するためには歯車の歯の大きさ(歯の面積)は一定量以上必要であるが、機械強度と車両床下の限られたスペースの中で歯車を構成するには、歯車の歯数に上限があった。すなわち、ギア比に上限があり、歯車の高トルク増幅率、電動機の高速回転化による電動機の小型、軽量、低コスト化に制限があった。 【0004】さらに、車両駆動用電動機に電力を供給するインバータ装置の入力直流電圧は、DC1500V程度と一般産業用の汎用インバータ装置の入力直流電圧DC280V程度に比べて格段に高いため、インバータ装置のスイッチングに伴う高調波誘導障害の問題が顕著であり、さらに特別仕様のインバータ装置を設計製造していたため、高コストになったり、信頼性が低下する問題点があった。 【0005】本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、車輪軸に直結された大歯車に、2つ以上の複数個の小歯車をかみ合わせて、小歯車各々に直結された交流電動機をさらにそれら各々に個別に接続されたインバータ装置で給電する構成にすることにより、各小歯車の分担するトルクを分散させて小さくし、これによって、各歯車の歯の断面積を小さくすることができ、その結果としてギア比を高く設計することができ、電動機の高速回転化に伴う小型、軽量、低コスト化が図れる車両駆動制御装置を提供することを目的とする。 【0006】本発明はまた、各インバータの直流入力端子同士を直列に接続して高電圧である架線より電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害を減少させ、大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上が図れる車両駆動制御装置を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明の車両駆動制御装置は、車輪軸に直結された1つの大歯車と、前記大歯車にかみ合う複数の小歯車と、前記小歯車の各々に1台ずつ直結された交流電動機と、前記交流電動機の各々に電力を供給するためにそれらの各々に1台ずつ接続され、かつ、それらの直流入力側が直列に接続された複数のインバータとを備えたものである。 【0008】請求項1の発明の車両駆動制御装置では、車輪軸に直結された大歯車に、2つ以上の複数個の小歯車をかみ合わせて、小歯車各々に直結された交流電動機をさらにそれら各々に個別に接続されたインバータ装置で給電する構成にすることにより、各小歯車の分担するトルクを分散させて小さくし、これによって、各歯車の歯の断面積を小さくしてギア比を高く設計し、電動機の高速回転化に伴う小型、軽量、低コスト化を図る。また、各インバータの直流入力端子同士を直列に接続して高電圧である架線より電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害を減少させ、大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上を図る。 【0009】請求項2の発明の車両駆動制御装置は、請求項1において、前記複数のインバータ各々が、架線から供給される直流電源電圧検出値と前記インバータ各々の入力電圧検出値とを入力し、前記直流電源電圧検出値を前記複数のインバータの直列段数で除した値と前記入力電圧検出値との偏差に応じて出力トルク指令を補正するインバータ制御装置を有するものであり、インバータを直列に多段接続した構成において、各インバータの個体差に起因して発生する直流電圧アンバランスを抑制し、直流電圧アンバランスによって生じるインバータの入力過電圧による運転停止を防止する。 【0010】請求項3の発明の車両駆動制御装置は、請求項1又は2において、前記複数のインバータ各々が、自インバータに故障が発生した場合に閉じ、残りのインバータによって運転を継続させるために、その正負の直流入力端子間各々に短絡用スイッチを有するものであり、万一インバータのうちの何台かが故障しても最低限のトルク低減のみで車両の運転を継続することができる。 【0011】請求項4の発明の車両駆動制御装置は、請求項3において、さらに、前記複数のインバータのうちの少なくとも1台が故障して残りのインバータによって継続運転している最中に、架線電源電圧が運転中のすべてのインバータの許容入力直流電圧の加算値を超えたときに架線の直流電源がこれらのインバータの直流入力側に供給されるのを遮断する電源遮断スイッチを備えたものであり、インバータのうちの何台かが故障した状態で車両の運転を継続している最中に、健全なインバータにその耐圧を超える直流入力過電圧が発生すれば、電源遮断スイッチを開放することによってインバータの破壊を防止する。 【0012】請求項5の発明の車両駆動制御装置は、請求項1において、さらに、前記インバータ各々の出力電流の合成値に基づいてインバータ出力電圧指令を演算し、各段のインバータを同一の電圧指令にしたがってパルスパターンを出力するインバータ制御装置を備えたものであり、力行運転において特別な直流電圧のバランス制御を行なうことなしに、自動的に直流電圧の均等化を図りながら運転を継続することができる。 【0013】請求項6の発明の車両駆動制御装置は、請求項1において、さらに、前記交流電動機各々のフレームと電源アースとを電気的に短絡し、各段のインバータのPWMパルスパターンを作成するための三角波に位相差を持たせるインバータ制御装置を備えたものであり、インバータのPWMスイッチングに起因する対地高周波漏れ電流を低減し、信号や通信への悪影響を低減する。 【0014】請求項7の発明の車両駆動制御装置は、請求項1において、さらに、前記インバータ各々の入力直流電圧検出値と入力直流電流検出値とに基づいて演算した出力有効電力と、電動機回転角周波数とトルク指令とに基づいて演算した有効電力指令値との偏差に基づき、トルク指令値を補正するインバータ制御装置を備えたものであり、電動機の永久磁石磁束の個体差などに起因して発生する出力トルクアンバランス、ひいては直流電圧アンバランスを抑制し、直流電圧アンバランスによって生じるインバータ入力過電圧による運転停止を防止する。 【0015】請求項8の発明の車両駆動制御装置は、1編成中の少なくとも2つ以上の車輪軸に直結された各々1つずつの大歯車と、前記大歯車各々にかみ合った複数の小歯車と、前記小歯車の各々に1台ずつ直結された交流電動機と、前記交流電動機の各々に電力を供給するために、前記交流電動機1台につき1台ずつ接続され、かつ、前記異なる車輪軸につながった前記交流電動機を駆動するものの直流入力端子同士が直列に接続されたインバータと、架線直流電源から前記インバータのすべてに供給される電力を同時に遮断するための電源遮断スイッチとを備えたものであり、万一のインバータの故障時に、車両編成としての駆動力を確保するために健全なインバータと電動機の電流及びトルクを増加させるような運転状態においても、トルクを2つの車輪軸でレールに伝えることができ、レール・車輪間の空転の発生の確率を低減して、編成としての加速力を確保しやすくする。 【0016】請求項9の発明の車両駆動制御装置は、車輪軸に直結された1つの大歯車と、前記大歯車にかみ合った1つの小歯車と、前記小歯車に直結された3×n(nは2以上の正の整数)相交流電動機と、前記交流電動機に対して電力を供給する、それらの直流入力側が直列接続されたn台のインバータとを備えたものであり、インバータ各々の直流入力端子同士を直列に接続して高電圧である架線より電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害の減少や、大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上を図る。 【0017】請求項10の発明の車両駆動制御装置は、請求項9において、前記n台のインバータ各々が、架線から供給される直流電源電圧検出値と前記インバータ各々の入力電圧検出値とを入力し、前記直流電源電圧検出値を前記複数のインバータの直列段数nで除した値と前記入力電圧検出値との偏差に応じて出力トルク指令を補正するインバータ制御装置を有するものであり、インバータを直列に多段接続した構成において、各インバータの個体差に起因して発生する直流電圧アンバランスを抑制し、直流電圧アンバランスによって生じるインバータの入力過電圧による運転停止を防止する。 【0018】請求項11の発明の車両駆動制御装置は、請求項9又は10において、前記n台のインバータ各々が、自インバータに故障が発生した場合に閉じ、残りのインバータによって運転を継続させるために、その正負の直流入力端子間各々に短絡用スイッチを有するものであり、万一インバータのうちの何台かが故障しても最低限のトルク低減のみで車両の運転を継続することができる。 【0019】請求項12の発明の車両駆動制御装置は、請求項9において、さらに、前記交流電動機が永久磁石同期電動機であり、少なくとも1台のインバータが故障したときに、健全な残りのインバータで永久磁石同期電動機の永久磁石磁束に起因する磁束を打ち消す方向の電流が流れるように制御するインバータ制御装置を備えたものであり、交流電動機に誘起電圧の高い永久磁石同期電動機を適用することが可能であり、電動機の高効率化、小型化が実現できる。 【0020】請求項13の発明の車両駆動制御装置は、車輪軸に直結された1つの大歯車と、前記大歯車にかみ合う複数の小歯車と、前記小歯車の各々に1台ずつ直結された交流電動機と、前記交流電動機の各々に電力を供給するためにそれらの各々に1台ずつ接続された複数のインバータと、前記複数のインバータの直流入力側ごとに接続され、かつ、それらの交流入力端子が直列接続された複数のコンバータと、交流電源を入力として適切な定格の交流電圧に変圧して前記コンバータに出力する変圧器とを備えたものである。 【0021】請求項13の発明の車両駆動制御装置では、車輪軸に直結された大歯車に、2つ以上の複数個の小歯車をかみ合わせて、小歯車各々に直結された交流電動機を、それら各々に個別に接続されたインバータ及びコンバータによって給電する構成にすることにより、各小歯車の分担するトルクを分散させて小さくし、これによって、各歯車の歯の断面積を小さくしてギア比を高く設計し、電動機の高速回転化に伴う小型、軽量、低コスト化を図る。また、各インバータの直流入力端子同士を各々コンバータを介して直列に接続して高電圧である架線より電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害を減少させ、大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上を図る。 【0022】さらに、コンバータの直列多重化により変圧器二次巻線にかかるPWM電圧を多レベル化して、電源、架線系統への高調波流出の低減、変圧器の高調波に起因する発熱損失の低減、低騒音化を図る。 【0023】請求項14の発明の車両駆動制御装置は、請求項13において、前記複数のコンバータ各々が、自コンバータ又はその直流出力側に接続されているインバータに故障が発生した場合に閉じ、残りのコンバータ及びインバータによって運転を継続させるために、その交流入力端子間各々に短絡用スイッチを有するものであり、万一インバータ又はコンバータのうちの何台かが故障しても、最低限のトルク低減のみで車両の運転を継続することができる。 【0024】請求項15の発明の車両駆動制御装置は、車輪軸に直結された1つの大歯車と、前記大歯車にかみ合う複数の小歯車と、前記小歯車の各々に1台ずつ直結された交流電動機と、前記交流電動機の各々に電力を供給するためにそれらの各々に1台ずつ接続された複数のインバータと、交流電源を入力として適切な定格の交流電圧を得る変圧器と、直流出力側が前記複数のインバータの直流入力側各々に並列接続され、かつ、その交流入力端子が前記変圧器の二次側に接続されたコンバータと、前記複数のインバータの正負の直流入力端子間各々に接続され、自インバータに故障が発生した場合に閉じ、残りのインバータによって運転を継続させるための複数の短絡用スイッチとを備えたものである。 【0025】請求項15の発明の車両駆動制御装置では、車輪軸に直結された大歯車に、2つ以上の複数個の小歯車をかみ合わせて、小歯車各々に直結された交流電動機を、それら各々に個別に接続されたインバータ及びこれらのインバータに共通に接続されたコンバータによって給電する構成にすることにより、各小歯車の分担するトルクを分散させて小さくし、これによって、各歯車の歯の断面積を小さくしてギア比を高く設計し、電動機の高速回転化に伴う小型、軽量、低コスト化を図る。また、各インバータの直流入力端子同士を直列に接続して高電圧である架線よりコンバータを介して電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害を減少させ、大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上を図る。 【0026】さらに、各インバータの正負の直流入力端子間各々に短絡用スイッチを有するので、万一インバータのうちの何台かが故障しても最低限のトルク低減のみで車両の運転を継続することができる。 【0027】請求項16の発明の車両駆動制御装置は、請求項1〜15において、前記交流電動機各々とインバータ各々とを一体型にしたものであり、交流電動機の高速化による小型化によって空いた台車内の空間を利用して、インバータと交流電動機とを一体化したユニットとして搭載することにより、交流電動機とインバータとの間の配線作業の手間を省略し、また、従来、車両の床下に搭載していたインバータの空間を不要にし、ひいては電動機付き車両も2階建て車両にして客席数を増加できるようにする。 【0028】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1及び図2は、本発明の第1の実施の車両駆動制御装置の構成を示している。この実施の形態の車両駆動制御装置は、大歯車11と、4つの小歯車121,122,123,124と、4つの交流電動機131,132,133,134と、4つのインバータ141,142,143,144と、フィルタリアクトル15と、給電装置16と、4つのたわみ継手171,172,173,174から構成されている。 【0029】大歯車11は、車輪軸10と同軸上に直結され、小歯車121〜124の歯とそれぞれかみ合うように機械的に配置されている。そして、交流電動機131〜134が発生するトルクは、小歯車121〜124と大歯車11とのギア比で増幅され、車輪軸10を回転させることにより駆動力に変換される。 【0030】このような大歯車11と小歯車121〜124との組合せにより、車両編成の中で、1つの車輪軸及び車輪が分担すべき駆動力が同一であるとすると、従来の1つの小歯車と大歯車との間ですべてのトルクを伝達しているのに対して、4つの小歯車121〜124によって必要トルクを4分割することができ、歯車の各歯に要求される機械的強度が低減される。これにより、歯をより小さく設計することができるようになり、同一直径の歯車に対して従来以上に多くの歯を作ることが可能になり、結果的に、高ギア比を達成することが可能になる。 【0031】小歯車121〜124は、それぞれたわみ継手171〜174を介して交流電動機131〜134の回転子軸と結合されている。そして、たわみ継手171〜174は、それぞれ交流電動機131〜134が発生するトルクを小歯車121〜124に伝達しながら、台車9に装荷された交流電動機131〜134と車輪軸10に装荷された小歯車121〜124とが台車9のバネ機構で軸中心が互いにずれても回転力を伝達する働きをする。 【0032】交流電動機131〜134は、インバータ141〜144から三相電力を給電されてトルクを発生する三相交流電動機であり、例えば、永久磁石同期電動機や誘導電動機、リラクタンス電動機が用いられる。 【0033】インバータ141〜144は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のような電力用半導体素子のスイッチングによって一定電圧直流から所望の三相交流電圧を得る一般的な三相PWM(パルス幅変調)インバータである。これらのインバータ141〜144の正負の直流入力端子間にはそれぞれ、平滑コンデンサ81〜84それぞれが接続され、また4段に直列接続されている。 【0034】給電装置16は架線と機械的、電気的に接触して架線から直流電力を得るパンタグラフであり、フィルタリアクトル15を介してインバータ141の直流入力プラス端子に電気的に接続されている。 【0035】フィルタリアクトル15は、インバータのPWMスイッチングに伴う高調波が架線に流出するのを防ぐと共に、万一、インバータのいずれかに直流短絡故障が発生したときに短絡電流を低減する働きをする。 【0036】インバータ144の直流入力マイナス端子は、車輪及びレールを介して電源マイナス端子に電気的に接続されている。 【0037】上記の構成の車両駆動制御装置では、給電装置16からフィルタリアクトル15を経て取り込んだ直流架線電圧を直列4段のインバータ141〜144それぞれに4分圧されて給電され、所望の周波数の三相交流電力に変換してそれぞれに接続されている交流電動機131〜134に出力して駆動する。この交流電動機131〜134の駆動により、たわみ継手171〜174を経て小歯車121〜124それぞれが回転駆動され、これらとかみ合っている大歯車11が回転駆動され、これに直結されている車輪軸10と車輪が回転駆動される。 【0038】これにより、各小歯車121〜124の分担するトルクが分散されて小さくなることにより、各歯車の歯の断面積を小さくすることができ、その結果、ギア比を高く設計できるようになり、ギア比を高く設計することにより電動機の高速回転化に伴う小型、軽量、低コスト化が実現できる。 【0039】また、各インバータ141〜144の直流入力側を直列に接続して高電圧である架線より電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害の減少や大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上が図れる。 【0040】次に、本発明の車両駆動制御装置の第2の実施の形態を、図3及び図4に基づいて説明する。第2の実施の形態の車両駆動制御装置は図3及び図4に示す構成である。この図3及び図4において、図1及び図2に示した第1の実施の形態と共通する構成部分には同一の符号を付して示してある。以下、その特徴部分について説明する。 【0041】インバータ141の制御部211は、インバータ141の直流入力電圧Vdc1と、直流全電圧Vdcと、運転台から送られるトルク指令と、U,W相出力電流フィードバック値Iu,Iwと、電動機回転位置フィードバック値θrとを入力して、次の演算により三相PWM電圧指令VuPWM,VvPWMを求めて出力する。 【0042】直流入力電圧Vdc1と、直流全電圧Vdcをインバータの直列段数(ここでは4段)で除した値の偏差がゼロになるようにゲインG(s)(ここでsはラプラス演算子)をかけた値をトルク指令補正値ΔTrqRefとして求める。 【0043】 【数1】
以下、交流電動機131〜134が永久磁石同期電動機であっ場合を例にして説明する。電流指令値演算部212では、トルク指令TrqRefから、トルク指令補正値ΔTrqRefを減じた値を用いてd,q軸電流指令値IdRef,Iqefを次の数2式により求める。 【0044】 【数2】
ここで、ΦPMは永久磁石磁束、Poは極対数である。 【0045】電流制御部213では、d,q軸電流指令値IdRef,IqRefと、U,W相出力電流フィードバック値Iu,Iwと、電動機回転位置フィードバック値θrとを入力として、次の演算により三相PWM電圧指令VuPWM,VvPWM,VwPWMを求めて出力する。 【0046】Iu,Iw,θrからd,q軸電流フィードバック値Id,Iqを一般的な座標変換の式を用いて次のように求める。 【0047】 【数3】
ここで、θrは電動機回転子位相であり、d,q軸座標が同期して回転する。 【0048】d軸電流Idとd軸電流指令IdRefとの偏差、q軸電流Iqとq軸電流指令IqRefとの偏差がそれぞれゼロになるように電流フィードバック制御を施し、d軸電圧指令Vd、q軸電圧指令Vqを次の式により求める。 【0049】 【数4】
ここで、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲインである。 【0050】d,q軸電圧指令Vd,Vqと電動機回転位置フィードバック値θrを用いて、三相電圧指令VuPWM,VvPWM,VwPWMを次の数5式によって求める。 【0051】 【数5】
インバータ141は、上記の三相電圧指令を基にして一般的な三角波比較PWM手法などを用いて、各半導体スイッチング素子のオン/オフを行ない、所望の出力電圧を得る。 【0052】なお、インバータ142〜144についても、インバータ141と同様にそれぞれの制御部(図示せず)により同様の制御に基づいて所望の出力電圧を得る。 【0053】これにより、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、さらに、インバータ141〜144を直列に多段接続した構成において、電流検出部の個体差などに起因して発生する直流電圧アンバランスを抑制し、直流電圧アンバランスによって生じるインバータ入力過電圧による運転停止を防止することができる。 【0054】次に、本発明の第3の実施の形態の車両駆動制御装置を、図5に基づいて説明する。第3の実施の形態の特徴は、図1及び図2に示した第1の実施の形態において、さらに、直流電源入力に対して直列4段に接続したインバータ141〜144それぞれに対して平滑コンデンサ81〜84それぞれと並列に直流入力短絡スイッチ311〜314を設けた点にある。その他の構成は第1の実施の形態と共通であり、同一の符号を付すことによってそれらの詳しい説明は省略する。 【0055】直流入力短絡スイッチ311〜314それぞれは、それらに接続されるインバータ141〜144それぞれが半導体素子の短絡破壊などで運転継続が困難になった場合に短絡状態にし、インバータ141〜144が健全な状態では開放状態にする。 【0056】給電装置16が給電する直流架線の電圧は、DC1500V程度であり、これに対してインバータ141〜144に汎用品である直流入力電圧の耐圧が500V程度のものを使用すれば、4台のインバータのうちのいずれか1台が故障しても、そのインバータ(例えば、インバータ141とする)に並列に接続された直流入力短絡スイッチ311を短絡させることにより、残りの健全な3台でDC1500Vを均等に分担して運転を継続させることができる。このときの出力トルクは3/4になってしまうが、従来であれば1台のインバータの故障によって車輪軸の電動機トルクがゼロになってしまっていた(ただし、他の車輪軸で運転は継続できているが)のに比べれば、駆動力の低減の度合いを最低限に抑えることができる。 【0057】これにより、第3の実施の形態では、第1の実施の形態に加えて、万一インバータ141〜144のうちの何台かが故障しても、最低限のトルク低減のみで運転を継続することができる。 【0058】次に、本発明の第4の実施の形態の車両駆動制御装置を、図6及び図7に基づいて説明する。第4の実施の形態の特徴は、図5に示した第3の実施の形態に対して、さらに、給電装置16とフィルタリアクトル15との間に、直流入力電源を遮断するための電源遮断スイッチ32を設けた点にある。その他の構成は第3の実施の形態と共通であり、同一の符号を付すことによってそれらの詳しい説明は省略する。 【0059】この電源遮断スイッチ32は、健全動作中は短絡状態にし、次の条件が発生した時に開放状態にすることによって回路要素を保護する。すなわち、インバータ141〜144のうちの1台(例えば、インバータ141とする)が故障してそれに接続されている直流入力短絡スイッチ311を短絡状態にして運転を継続している最中に、同じ架線から給電される別の車両が回生ブレーキを行なうなどの理由で直流入力電圧が規定値を超えた場合、例えば、各インバータ141〜144に直流入力耐圧が500Vのものを採用している場合であれば、架線電圧が1500V以下ではそのまま運転を継続させ、1500Vより高い電圧、例えば、1700Vに上昇した場合に電源遮断スイッチ32を開放させて残りの健全なインバータ142〜144が直流入力過電圧によって破壊されるのを防止する。 【0060】これにより、第4の実施の形態では、インバータ141〜144のうちの何台かが故障した状態で車両の運転を継続している最中に、健全なインバータにその耐圧を超える直流入力過電圧が発生すれば、電源遮断スイッチ32を開放することによって残りの健全なインバータの破壊を防止することができる。 【0061】次に、本発明の第5の実施の形態の車両駆動制御装置を、図8に基づいて説明する。第5の実施の形態の特徴は、複数台、ここでは4台のインバータ141〜144を1台のインバータ制御装置41によって一括制御するようにした点にある。その他の構成要素は、図1及び図2に示した第1の実施の形態と共通であり、同一の部分には同一の符号を付して示してある。 【0062】インバータ制御装置41は、4台のインバータ141〜144のU相電流の合計値Iuと、4台のW相電流の合計値Iwと、4台のうちの1台に取り付けられた電動機回転位置センサ42のフィードバック値θrと、4台分の電動機のトルク指令値TrqRefを入力として、次の演算により三相電圧指令Vu,Vv,Vwを求めて4台のインバータ141〜144に出力する。 【0063】以下、交流電動機131〜134が永久磁石同期電動機であっ場合を例にして、説明する。ただし、4台の電動機の回転子の固定子U相軸に対する回転角θrは4台共に同一になるように歯車を初期セッティングしておく必要がある。 【0064】電流指令値演算部411では、トルク指令TrqRefを用いてd,q軸電流指令値IdRef,Iqefを次の数6式により求める。 【0065】 【数6】
ここで、ΦPMは1台の電動機の永久磁石磁束、Poは極対数である。 【0066】電流制御部412では、d,q軸電流指令値IdRef,IqRefと、U,W相の合計出力電流フィードバック値Iu,Iwと、電動機回転位置フィードバック値θrとを入力として、次の演算により三相PWM電圧指令VuPWM,VvPWM,VwPWMを求めて出力する。 【0067】Iu,Iw,θrからd,q軸電流フィードバック値Id,Iqを一般的な座標変換の式を用いて次のように求める。 【0068】 【数7】
ここで、θrは電動機回転子位相であり、d,q軸座標が同期して回転する。 【0069】d軸電流Idとd軸電流指令IdRefとの偏差、q軸電流Iqとq軸電流指令IqRefとの偏差がそれぞれゼロになるように電流フィードバック制御を施し、d軸電圧指令Vd、q軸電圧指令Vqを次の式により求める。 【0070】 【数8】
ここで、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲインである。 【0071】d,q軸電圧指令Vd,Vqと電動機回転位置フィードバック値θrを用いて、三相電圧指令VuPWM,VvPWM,VwPWMを次の数9式によって求める。 【0072】 【数9】
各インバータ141〜144は、上記の三相電圧指令を基にして一般的な三角波比較PWM手法などを用いて、各半導体スイッチング素子のオン/オフを行ない、所望の出力電圧を得る。 【0073】これにより、第5の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、さらに、力行運転に関しては、第2の実施の形態に示すような特別な直流電圧のバランス制御を施すことなしに、自動的に直流電圧の均等化を図りながら運転継続を図ることができる。 【0074】次に、本発明の第6の実施の形態の車両駆動制御装置を、図9及び図10に基づいて説明する。第6の実施の形態の回路構成は図1及び図2に示した第1の実施の形態と共通である。そして第6の実施の形態の特徴は、各インバータ141〜144のPWMパルスパターンにある。例えば、インバータ141のPWMパルスパターンは、各相の電圧指令VuPWM,VvPWM,VwPWMと、キャリア三角波TRI1との大小比較により、次のようにして求める。 【0075】VuPWM>TRI1のとき、Vu1=1VuPWM<TRI1のとき、Vu1=0ここで、三角波TRI1は、周波数fTRI(例えば、200Hz)で、振幅Vdc/2の三角波である。 【0076】インバータ142〜144の三角波TRI2〜TRI4は、それぞれ三角波TRI1に対して三角波周期Ttri(=1/fTRI)の1/4,2/4,3/4ずつ位相のずれた三角波である。 【0077】なお、インバータの直列段数がこの実施の形態のように4段ではない場合、その直列段数に応じて適切な位相ずれを持たせることになる。 【0078】また、交流電動機131〜134のフレーム(外部ケース)は、お互いに電気的に短絡し、さらに車輪、レールを介して電源のマイナス端子に電気的に接続されるようにしてある。 【0079】これにより、第6の実施の形態では、インバータのPWMスイッチングに起因する対地高周波漏れ電流を低減し、信号や通信への悪影響を低減することができる。 【0080】次に、本発明の第7の実施の形態の車両駆動制御装置を、図11及び図12に基づいて説明する。この図11及び図12において、図1及び図2に示した第1の実施の形態と共通する構成部分には同一の符号を付して示してある。以下、その特徴部分について説明する。 【0081】第7の実施の形態では、インバータ141に対する制御部221は、インバータ141の直流入力電圧Vdc1と、直流入力電流Idc1と、運転台から送られるトルク指令と、U,W相出力電流フィードバック値Iu,Iwと、電動機回転位置フィードバック値θrとを入力とし、次の演算によって三相PWM電圧指令VuPWM,VvPWM,VwPWMを求めて出力する。 【0082】出力有効電力指令PowerRefを次の演算により求める。 【0083】 【数10】
また、出力有効電力Power1を次の演算によって求める。 【0084】 【数11】Powe1=Vdc1・Idc1そして、出力有効電力Power1が出力有効電力指令PowerRefに追従するようにトルク指令TrqRefを補正する。トルク指令補正値ΔTrqRefは、次の式で求める。 【0085】 【数12】ΔTrqRef=G(s)・(PowerRef−Power1) ここでは、直流有効電力Power1と出力有効電力指令PowerRefとの偏差がゼロになるようにゲインG(s)(ここでsはラプラス演算子)をかけた値をトルク指令補正値ΔTrqRefとして求めている。 【0086】以下、交流電動機131〜134が永久磁石同期電動機であっ場合を例にして説明する。電流指令値演算部222では、トルク指令TrqRefから、トルク指令補正値ΔTrqRefを減じた値を用いてd,q軸電流指令値IdRef,Iqefを次の数13式により求める。 【0087】 【数13】
ここで、ΦPMは永久磁石磁束、Poは極対数である。 【0088】電流制御部223では、d,q軸電流指令値IdRef,IqRefと、U,W相出力電流フィードバック値Iu,Iwと、電動機回転位置フィードバック値θrとを入力として、次の演算により三相PWM電圧指令VuPWM,VvPWM,VwPWMを求めて出力する。 【0089】Iu,Iw,θrからd,q軸電流フィードバック値Id,Iqを一般的な座標変換の式を用いて次のように求める。 【0090】 【数14】
ここで、θrは電動機回転子位相であり、d,q軸座標が同期して回転する。 【0091】d軸電流Idとd軸電流指令IdRefとの偏差、q軸電流Iqとq軸電流指令IqRefとの偏差がそれぞれゼロになるように電流フィードバック制御を施し、d軸電圧指令Vd、q軸電圧指令Vqを次の式により求める。 【0092】 【数15】
ここで、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲインである。 【0093】d,q軸電圧指令Vd,Vqと電動機回転位置フィードバック値θrを用いて、三相電圧指令VuPWM,VvPWM,VwPWMを次の数16式によって求める。 【0094】 【数16】
インバータ141は、上記の三相電圧指令を基にして一般的な三角波比較PWM手法などを用いて、各半導体スイッチング素子のオン/オフを行ない、所望の出力電圧を得る。 【0095】なお、インバータ142〜144についても、インバータ141と同様にそれぞれの制御部(図示せず)により同様の制御に基づいて所望の出力電圧を得る。 【0096】これにより、第7の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果に加えて、さらに、第2の実施の形態と同様、インバータ141〜144を直列に多段接続した構成において、電流検出部の個体差などに起因して発生する直流電圧アンバランスを抑制し、直流電圧アンバランスによって生じるインバータ入力過電圧による運転停止を防止することができる。 【0097】次に、本発明の第8の実施の形態の車両駆動制御装置を、図13に基づいて説明する。この実施の形態の車両駆動制御装置は、第1の車輪軸101に直結された大歯車111と、第2の車輪軸102に直結された大歯車112と、大歯車111とかみ合う2つの小歯車121,122と、大歯車112とかみ合う2つの小歯車123,124と、4つの交流電動機131〜134と、4つのインバータ141〜144と、給電装置16と、4つのたわみ継手171〜174と、2つの電源遮断スイッチ321,322とで構成されている。 【0098】大歯車111は、第1の車輪軸101と同軸上に直結され、小歯車121,122がこの周囲にそれぞれかみ合うように機械的に配置されている。交流電動機131,132の発生するトルクは小歯車121,122それぞれに伝達され、さらに大歯車111に伝達され、それらの間のギア比で増幅され、車輪を回転させることにより駆動力に変換される。 【0099】大歯車112は、第2の車輪軸102と同軸上に直結され、小歯車123,124がこの周囲にそれぞれかみ合うように機械的に配置されている。交流電動機133,134の発生するトルクは小歯車133,134それぞれに伝達され、さらに大歯車112に伝達され、それらの間のギア比で増幅され、車輪を回転させることにより駆動力に変換される。 【0100】小歯車121〜124はそれぞれたわみ継手171〜174を介して交流電動機131〜134の回転子軸と結合されている。そして、たわみ継手171〜174はそれぞれ交流電動機131〜134が発生するトルクを小歯車121〜124に伝達しながら、台車9(ここでは、図示せず。図1参照)に装荷された交流電動機131〜134と車輪軸101,102に装荷された小歯車121〜124とが台車のバネ機構によって軸中心が互いにずれても回転力を伝達する働きをする。 【0101】交流電動機131〜134は、インバータ141〜144から三相電力を給電されてトルクを発生する三相交流電動機であって、例えば、永久磁石同期電動機、誘導電動機又はリラクタンス電動機が用いられる。 【0102】インバータ141〜144は、IGBTのような電力用半導体素子のスイッチングによって一定電圧直流から所望の三相交流電圧を得る一般的な三相PWMインバータである。これらのインバータ141〜144の直流入力端子のプラスとマイナス間にはそれぞれ、平滑コンデンサ81〜84(ここでは、図示せず。図2参照)それぞれが接続されている。さらに、第1車輪軸101側のインバータ141のマイナス端子と第2車輪軸102側のインバータ143のプラス端子が直列接続され、また第1車輪軸101側のインバータ142のマイナス端子と第2車輪軸102側のインバータ144のプラス端子とが直列接続されている。 【0103】給電装置16は架線と機械的、電気的に接触して架線から直流電力を得るパンタグラフであり、電源遮断スイッチ321を介してインバータ141の直流入力プラス端子に接続され、また電源遮断スイッチ322を介してインバータ142の直流入力プラス端子に接続されている。 【0104】インバータ143,144それぞれの直流マイナス端子は、車輪及びレールを介して電源マイナス端子に電気的に接続されている。 【0105】上記の構成の車両駆動制御装置では、給電装置16から電源遮断スイッチ321,322を経て取り込んだ直流架線電圧がそれぞれ直列2段のインバータ141,143、またインバータ142,144に2分圧されて給電され、各インバータによって所望の周波数の三相交流電力に変換されてそれぞれに接続されている交流電動機131,133;132,134に出力され、それらを駆動する。この交流電動機131〜134の駆動により、たわみ継手171〜174を経て小歯車121〜124それぞれが回転駆動され、これらとかみ合っている大歯車111,112が回転駆動され、これに直結されている第1車輪軸101、第2車輪軸102とそれらに直結されている2つの車輪が回転駆動される。 【0106】これにより、2つの車輪に対して等トルクを与える(したがって、1つの車輪に対しては第1の実施の形態の場合の1/2のトルクを与える)ものとして、各小歯車121〜124の分担するトルクが分散されて小さくなり、第1の実施の形態と同様に各小歯車の歯の断面積を小さくすることができ、その結果、ギア比を高く設計できるようになり、ギア比を高く設計することにより電動機の高速回転化に伴う小型、軽量、低コスト化が実現できる。 【0107】また、例えば、インバータ141が半導体素子短絡故障などにより動作できなくなった場合、電源遮断スイッチ321のみを開放し、電源遮断スイッチ322は短絡接続の状態を保持する。その上で、インバータ142とインバータ144を正常に動作させると、2つの車輪軸101,102それぞれの発生する駆動力はそれぞれ健全な状態の時の半分にはなるが、運転を継続することができる。 【0108】さらに、この第8の実施の形態では、上記のような万一のインバータの故障時に、車両編成としての駆動力を確保するために健全なインバータ、電動機(上記の場合にはインバータ142,144と交流電動機132,134)の電流及びトルクを増加させるような運転状態にしても、必要トルクが2つの車輪軸101,102に分散されるので、1つの車輪軸によって同じトルクをレールに伝える場合よりもレール・車輪間の空転の発生の確率を低減することができ、車両編成としての加速力が確保しやすくなる利点がある。 【0109】次に、本発明の第9の実施の形態の車両駆動制御装置を、図14及び図15に基づいて説明する。この実施の形態の車両駆動制御装置は、大歯車11と、小歯車12と、交流入力が三相交流である場合に3×nにおいてn=4とした12相交流電動機13と、n個(ここではn=4)のインバータ141,142,143,144と、フィルタリアクトル15と、給電装置16と、たわみ継手17から構成されている。 【0110】12相交流電動機13は、固定子が12スロットで構成され、各スロットに4台のインバータ141〜144の同一相の巻線が挿入される。各巻線は、4台のインバータ141〜144につながる三相巻線ごとに中性点短絡し、4つの中性点同士は電気的に接続していない。 【0111】小歯車12は、たわみ継手17を介して交流電動機13の回転子軸と結合され、さらに大歯車11の歯とかみ合うように配置されている。そして、たわみ継手17は、交流電動機13が発生するトルクを小歯車12に伝達しながら、台車9に装荷された交流電動機13と車輪軸10に装荷された小歯車12とが台車9のバネ機構で軸中心が互いにずれても回転力を伝達する働きをする。 【0112】インバータ141〜144は、IGBTのような電力用半導体素子のスイッチングによって一定電圧直流から所望の三相交流電圧を得る一般的な三相PWMインバータである。これらのインバータ141〜144の直流入力端子のプラスとマイナス間にはそれぞれ、平滑コンデンサ81〜84(ここでは、図示せず。図2参照)それぞれが接続され、またインバータ141〜144の直流入力側は4段に直列接続されている。 【0113】給電装置16は架線と機械的、電気的に接触して架線から直流電力を得るパンタグラフであり、フィルタリアクトル15を介してインバータ141の直流入力プラス端子に電気的に接続されている。 【0114】フィルタリアクトル15は、インバータのPWMスイッチングに伴う高調波が架線に流出するのを防ぐと共に、万一、インバータのいずれかに直流短絡故障が発生したときに短絡電流を低減する働きをする。 【0115】インバータ144の直流マイナス端子は、車輪及びレールを介して電源マイナス端子に電気的に接続されている。 【0116】上記の構成の車両駆動制御装置では、給電装置16からフィルタリアクトル15を経て取り込んだ直流架線電圧を直列4段のインバータ141〜144それぞれに4分圧されて給電され、所望の周波数の三相交流電力に変換してそれぞれに接続されている交流電動機131〜134に出力して駆動する。この交流電動機131〜134の駆動により、たわみ継手171〜174を経て小歯車121〜124それぞれが回転駆動され、これらとかみ合っている大歯車11が回転駆動され、これに直結されている車輪軸10と車輪が回転駆動される。 【0117】これにより、各インバータ141〜144の直流入力端子同士を直列に接続して高電圧である架線より電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害の減少や大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上が図れる。 【0118】なお、この第9の実施の形態においても、図3及び図4に示した第2の実施の形態と同様にインバータ141〜144を制御することができる。ただし、この実施の形態の場合、駆動する交流電動機は1台であるので、交流電動機の回転位置フィードバック値θrは、1台だけの交流電動機13から取り込むことになる。これにより、第2の実施の形態と同様に、インバータ141〜144を直列に多段接続した構成において、電流検出部の個体差などに起因して発生する直流電圧アンバランスを抑制し、直流電圧アンバランスによって生じるインバータ入力過電圧による運転停止を防止することができる。 【0119】なおまた、上記の第9の実施の形態において、図5に示した第3の実施の形態と同様に、各インバータ141〜144に対して直流入力短絡スイッチ311〜314を設け、いずれかのインバータ、例えば、インバータ141が短絡故障したような場合には、短絡スイッチ311を短絡状態にし、他の健全なインバータ142〜144によって継続運転する構成にすることができる。これにより、万一インバータの何台かに故障が発生しても、最低限のトルク低減のみで運転継続することが可能となる。 【0120】さらにまた、上記の第9の実施の形態において、図6及び図7に示した第4の実施の形態で採用した電源遮断スイッチ32を採用することができる。そしてその場合には、次のような制御を行なう。ただし、この実施の形態の場合、駆動する交流電動機は1台である。 【0121】交流電動機13が永久磁石同期電動機である場合、インバータの動作にかかわらず、電動機の回転により交流誘起電圧が発生する。万一インバータ141〜144のうちの少なくとも1台が短絡故障した場合、インバータの動作を停止させても、電動機誘起電圧に起因した短絡トルク電流が流れ、故障したインバータの拡大破壊が起こったり、不要なブレーキ力が発生することにより、車輪の滑走、ひいては車輪の削れによる回転不能すら起こり得る。そこで、万一のインバータの短絡故障時には、電源遮断スイッチ32を開放した上で、故障していない健全なインバータを以下に示す制御することにより、電動機誘起電圧を打ち消す方向の電流を流す。 【0122】d軸電流指令IdRefを次の値に設定する。 【0123】 【数17】
ここで、Idはd軸電流、ΦPMは永久磁石磁束、Ldはd軸インダクタンスである。 【0124】q軸電流指令IqRefは、インバータを動作させるのに必要な直流電圧を確保するために、直流平滑コンデンサ81〜84を充電状態に保つのに必要な回生トルクから得られる値−Iq0に設定する。 【0125】 【数18】IqRef=−Iq0q軸電流指令IqRefは、直流コンデンサ電圧Vdc1〜Vdc4のうちの対応するものをフィードバックし、それが一定値になるようにIqRefを調整するようなフィードバックループを組むことも可能である。 【0126】この制御を採用することにより、交流電動機に誘起電圧の高い永久磁石同期電動機を採用することができ、電動機の高効率化、小型化が実現できる。 【0127】次に、本発明の第10の実施の形態の車両駆動制御装置を、図16及び図17に基づいて説明する。この実施の形態の車両駆動制御装置は、大歯車11と、4つの小歯車121,122,123,124と、4つの交流電動機131,132,133,134と、4つのインバータ141,142,143,144と、給電装置16と、4つのたわみ継手171,172,173,174と、そして4つのコンバータ511〜514から構成されている。 【0128】大歯車11と、4つの小歯車121〜124と、4つのたわみ継手171〜174と、4つの交流電動機131〜134の構成、作用は図1及び図2に示した第1の実施の形態と同様である。 【0129】そして、インバータ141〜144は、IGBTのような電力用半導体素子のスイッチングによって一定電圧直流から所望の三相交流電圧を得る一般的な三相PWMインバータである。これらのインバータ141〜144の直流入力端子のプラスとマイナス間には平滑コンデンサ81〜84それぞれが接続され、さらに、4つのコンバータ511〜514それぞれの直流出力端子と接続されている。 【0130】コンバータ511〜514は、インバータ同様のIGBTのような電力用半導体素子のスイッチングによって単相交流電圧から所望の直流電圧を得る一般的な単相PWMコンバータである。これらのコンバータ511〜514の直流出力端子は、それぞれインバータ141〜144の直流入力端子に接続されている。また、コンバータ511の交流入力端子の一方(V相)はコンバータ512の交流入力端子の一方(U相)に接続され、コンバータ512の交流入力端子の他方(V相)はコンバータ513の交流入力端子の一方(U相)に接続され、コンバータ513の交流入力端子の他方(V相)はコンバータ514の交流入力端子の一方(U相)に接続されて直列構成になっている。 【0131】そして、コンバータ511の交流入力端子の残りの片方(U相)は変圧器52の低圧二次巻線の一端に接続され、コンバータ514の交流入力端子の残りの片方(V相)は変圧器52の同じ二次巻線の他端に電気的に接続されている。 【0132】給電装置16は交流架線と機械的、電気的に接触して電力を得るパンタグラフであり、変圧器52の高圧一次巻線の一端に電気的に接続されている。この変圧器52の高圧一次巻線の他端は、車輪、レールを介してアースされている。 【0133】上記の構成の車両駆動制御装置では、給電装置16から変圧器52を経て取り込んだ交流架線電圧を4つのコンバータ511〜514それぞれで所定電圧の直流に変換し、さらにその各々を4つのインバータ141〜144各々に入力し、所望の周波数の三相交流電力に再変換してそれぞれに接続されている交流電動機131〜134に出力して駆動する。 【0134】この交流電動機131〜134の駆動により、たわみ継手171〜174を経て小歯車121〜124それぞれが回転駆動され、これらとかみ合っている大歯車11が回転駆動され、これに直結されている車輪軸10と車輪が回転駆動される。 【0135】これにより、第10の実施の形態では、各小歯車121〜124の分担するトルクが分散されて小さくなることにより、歯車の歯の断面積を小さくすることができ、その結果、ギア比を高く設計できるようになり、ギア比を高く設計することにより電動機の高速回転化に伴う小型、軽量、低コスト化が実現できる。また、各インバータ141〜144の直流入力には、高電圧である架線交流電力を4段の直列構成のコンバータ511〜514によって直流電力に変換し、1/4の電圧にしてに給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害の減少や大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上が図れる。 【0136】加えて、この第10の実施の形態では、コンバータ511〜514の直列多重化により、変圧器52の二次巻線にかかるPWM電圧が多レベル化され、電源・架線系統への高調波の漏出を低減し、変圧器52の高調波に起因する発熱損失を低減し、低騒音化が図れる。 【0137】次に、本発明の第11の実施の形態の車両駆動制御装置を、図18に基づいて説明する。第11の実施の形態の車両駆動制御装置の機械的な構造は図16に示した第10の実施の形態と同様である(ただし、コンバータは1台だけである)。そして、第11の実施の形態の回路構成は、4つの小歯車121,122,123,124にたわみ継手171〜174によってそれぞれ結合されている4つの交流電動機131,132,133,134と、4つのインバータ141,142,143,144と、平滑コンデンサ81,82,83,84と、インバータ直流短絡スイッチ311,312,313,314と、これらの4つのインバータ141〜144に電力を供給するための1つのコンバータ51と、変圧器52と、給電装置16とから構成されている。 【0138】インバータ141〜144は図17に示した第10の実施の形態と同様のものである。そして、コンバータ51は、IGBTのような電力用半導体素子のスイッチングによって単相交流電圧から所望の直流電圧を得る一般的な単相PWMコンバータである。このコンバータ51の交流入力端子の一方(U相)は変圧器52の低圧二次巻線の一端に接続され、コンバータ51の交流入力端子の他方(V相)は変圧器52の二次巻線の他端に接続されている。 【0139】コンバータ51の直流出力端子のプラス側はインバータ141の直流入力プラス端子に、コンバータ51の直流出力端子のマイナス側はインバータ144の直流入力マイナス端子に接続されていて、このコンバータ51の直流出力に対し、4つのインバータ141〜144が直列4段に接続された構成となっている。 【0140】インバータ141〜144には直流入力電圧の耐圧が500V程度のものを採用し、通常時にはコンバータ51の直流出力電圧設定を500Vの直列段数4倍である2000Vに設定する。そして、万一4台のインバータ141〜144のうちのいずれか1台が故障した場合(ここでは、インバータ141が故障したとする)には該当するインバータの直流短絡スイッチ311を短絡した上で、コンバータ51の直流出力電圧設定値を健全なインバータ142〜144の直列段数3倍である1500Vに変更して運転を継続する。 【0141】これにより、この実施の形態では、1台のインバータの故障により出力トルクが、通常時の3/4に低下するが、従来であれば1台のインバータの故障によってその軸の電動機トルクはゼロになってしまっていたのが、トルク低下の程度を抑えることができる。また、健全時にも各インバータの直流入力電圧はその耐圧を最大限に活用する500Vで運転して、必要な出力パワーに対して、パワー余裕を最小にすることができる。 【0142】次に、本発明の第12の実施の形態の車両駆動制御装置を、図19に基づいて説明する。第12の実施の形態の特徴は、図16及び図17に示した第11の実施の形態に対して、さらに、4つのコンバータ511〜514それぞれの交流入力側に、交流入力短絡スイッチ531〜534を設けたことを特徴とする。その他の構成は、図16及び図17に示した第10の実施の形態と共通である。 【0143】交流入力短絡スイッチ531〜534それぞれは、コンバータ511〜514それぞれの交流入力端子間に接続されている。そして、万一コンバータ511〜514のいずか、又はインバータ141〜144のいずれかが故障した場合、該当する位置の交流入力短絡スイッチを閉じて短絡状態にすることにより、残りの健全なコンバータとインバータによって運転を継続するようにしている。 【0144】これにより、コンバータ又はインバータの何台かに故障が発生しても、最低限のトルク低減のみで運転継続が可能となる。 【0145】次に、本発明の第13の実施の形態の車両駆動制御装置を、図20に基づいて説明する。第13の実施の形態の特徴は、その機械的な配置構造にあり、ここでは4台の交流電動機131〜134それぞれを駆動する4台のインバータ141〜144を各交流電動機131〜134と一体化し、第1の実施の形態〜第12の実施の形態によって交流電動機131〜134の高速回転化による小型化によって空いた台車9(ここでは、図示せず。図1を参照)内の空間を利用して、そこに組み込んだ構造にしている。 【0146】これにより、インバータと交流電動機との一体ユニット化により、台車9への組み込み作業において、交流電動機とインバータとの間の配線作業の手間を省略することができ、また従来、車両の床下に搭載されていたインバータのスペースが不要になるので電動機付き車両であっても2階建て車両にして客席数を増加できるメリットがある。 【0147】 【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、車輪軸に直結された大歯車に、2つ以上の複数個の小歯車をかみ合わせて、小歯車各々に直結された交流電動機をさらにそれら各々に個別に接続されたインバータ装置で給電する構成にすることにより、各小歯車の分担するトルクを分散させて小さくし、これによって、各歯車の歯の断面積を小さくしてギア比を高く設計し、電動機の高速回転化に伴う小型、軽量、低コスト化が図れる。また、各インバータの直流入力端子同士を直列に接続して高電圧である架線より電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害を減少させ、大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上が図れる。 【0148】請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、インバータを直列に多段接続した構成において、各インバータの個体差に起因して発生する直流電圧アンバランスを抑制し、直流電圧アンバランスによって生じるインバータの入力過電圧による運転停止を防止することができる。 【0149】請求項3の発明によれば、請求項1又は2の発明の効果に加えて、複数のインバータ各々が、自インバータに故障が発生した場合に閉じ、残りのインバータによって運転を継続させるために、その正負の直流入力端子間各々に短絡用スイッチを有しているので、万一インバータのうちの何台かが故障しても最低限のトルク低減のみで車両の運転を継続することができる。 【0150】請求項4の発明によれば、請求項3の発明の効果に加えて、複数のインバータのうちの少なくとも1台が故障して残りのインバータによって継続運転している最中に、架線電源電圧が運転中のすべてのインバータの許容入力直流電圧の加算値を超えたときに架線の直流電源がこれらのインバータの直流入力側に供給されるのを遮断する電源遮断スイッチを備えているので、インバータのうちの何台かが故障した状態で車両の運転を継続している最中に、健全なインバータにその耐圧を超える直流入力過電圧が発生すれば、電源遮断スイッチを開放することによってインバータの破壊を防止することができる。 【0151】請求項5の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、インバータ各々の出力電流の合成値に基づいてインバータ出力電圧指令を演算し、各段のインバータを同一の電圧指令にしたがってパルスパターンを出力するインバータ制御装置を備えているので、力行運転において特別な直流電圧のバランス制御を行なうことなしに、自動的に直流電圧の均等化を図りながら運転を継続することができる。 【0152】請求項6の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、交流電動機各々のフレームと電源アースとを電気的に短絡し、各段のインバータのPWMパルスパターンを作成するための三角波に位相差を持たせるインバータ制御装置を備えているので、インバータのPWMスイッチングに起因する対地高周波漏れ電流を低減し、信号や通信への悪影響を低減することができる。 【0153】請求項7の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、インバータ各々の入力直流電圧検出値と入力直流電流検出値とに基づいて演算した出力有効電力と、電動機回転角周波数とトルク指令とに基づいて演算した有効電力指令値との偏差に基づき、トルク指令値を補正するインバータ制御装置を備えているので、電動機の永久磁石磁束の個体差などに起因して発生する出力トルクアンバランス、ひいては直流電圧アンバランスを抑制し、直流電圧アンバランスによって生じるインバータ入力過電圧による運転停止を防止することができる。 【0154】請求項8の発明によれば、万一のインバータの故障時に、車両編成としての駆動力を確保するために健全なインバータと電動機の電流及びトルクを増加させるような運転状態においても、トルクを2つの車輪軸でレールに伝えることができ、レール・車輪間の空転の発生の確率を低減して、編成としての加速力が確保しやすい。 【0155】請求項9の発明によれば、インバータ各々の直流入力端子同士を直列に接続して高電圧である架線より電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害の減少や、大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上が図れる。 【0156】請求項10の発明によれば、請求項9の発明の効果に加えて、n台のインバータ各々が、架線から供給される直流電源電圧検出値とインバータ各々の入力電圧検出値とを入力し、直流電源電圧検出値を複数のインバータの直列段数nで除した値と入力電圧検出値との偏差に応じて出力トルク指令を補正するインバータ制御装置を有しているので、インバータを直列に多段接続した構成において、各インバータの個体差に起因して発生する直流電圧アンバランスを抑制し、直流電圧アンバランスによって生じるインバータの入力過電圧による運転停止を防止することができる。 【0157】請求項11の発明によれば、請求項9又は10の発明の効果に加えて、n台のインバータ各々が、自インバータに故障が発生した場合に閉じ、残りのインバータによって運転を継続させるために、その正負の直流入力端子間各々に短絡用スイッチを有しているので、万一インバータのうちの何台かが故障しても最低限のトルク低減のみで車両の運転を継続することができる。 【0158】請求項12の発明によれば、請求項9の発明の効果に加えて、交流電動機が永久磁石同期電動機であり、少なくとも1台のインバータが故障したときに、健全な残りのインバータで永久磁石同期電動機の永久磁石磁束に起因する磁束を打ち消す方向の電流が流れるように制御するインバータ制御装置を備えているので、交流電動機に誘起電圧の高い永久磁石同期電動機を適用することが可能であり、電動機の高効率化、小型化が実現できる。 【0159】請求項13の発明によれば、車輪軸に直結された大歯車に、2つ以上の複数個の小歯車をかみ合わせて、小歯車各々に直結された交流電動機を、それら各々に個別に接続されたインバータ及びコンバータによって給電する構成にすることにより、各小歯車の分担するトルクを分散させて小さくし、これによって、各歯車の歯の断面積を小さくしてギア比を高く設計し、電動機の高速回転化に伴う小型、軽量、低コスト化が図れる。また、各インバータの直流入力端子同士を各々コンバータを介して直列に接続して高電圧である架線より電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害を減少させ、大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上が図れる。 【0160】さらに、コンバータの直列多重化により変圧器二次巻線にかかるPWM電圧を多レベル化して、電源、架線系統への高調波出力の低減、変圧器の高調波に起因する発熱損失の低減、低騒音化が図れる。 【0161】請求項14の発明によれば、請求項13の発明の効果に加えて、複数のコンバータ各々が、自コンバータ又はその直流出力側に接続されているインバータに故障が発生した場合に閉じ、残りのコンバータ及びインバータによって運転を継続させるために、その交流入力端子各々に短絡用スイッチを有するものであり、万一インバータ又はコンバータのうちの何台かが故障しても、最低限のトルク低減のみで車両の運転を継続することができる。 【0162】請求項15の発明によれば、車輪軸に直結された大歯車に、2つ以上の複数個の小歯車をかみ合わせて、小歯車各々に直結された交流電動機を、それら各々に個別に接続されたインバータ及びこれらのインバータに共通に接続されたコンバータによって給電する構成にすることにより、各小歯車の分担するトルクを分散させて小さくし、これによって、各歯車の歯の断面積を小さくしてギア比を高く設計し、電動機の高速回転化に伴う小型、軽量、低コスト化が図れる。また、各インバータの直流入力端子同士を直列に接続して高電圧である架線よりコンバータを介して電力を給電することにより、各インバータの入力直流電圧を汎用インバータ並みに低下させ、高調波誘導障害を減少させ、大量生産される汎用インバータをそのまま流用することによる低コスト化、信頼性の向上が図れる。 【0163】さらに、各インバータの正負の直流入力端子間各々に短絡用スイッチを有しているので、万一インバータのうちの何台かが故障しても最低限のトルク低減のみで車両の運転を継続することができる。 【0164】請求項16の発明によれば、交流電動機各々とインバータ各々とを一体型にしたので、交流電動機の高速化による小型化で空いた台車内の空間を利用して、インバータと交流電動機とを一体化したユニットとして搭載することにより、交流電動機とインバータとの間の配線作業の手間を省略し、また、従来、車両の床下に搭載していたインバータの空間を不要にし、ひいては電動機付き車両も2階建て車両にして客席数を増加できるようになる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝
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| 【出願日】 |
平成11年2月18日(1999.2.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083806 【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−245005(P2000−245005A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月8日(2000.9.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−40620 |
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