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【発明の名称】 車両用補助電源装置
【発明者】 【氏名】吉 良 浩 忠

【要約】 【課題】車両間渡り部の高価な信号用高圧栓線を不要とし、電源入力車両に搭載される電気部品を削減し、安価で小型・軽量となしうる車両用補助電源装置を提供する。

【解決手段】この提案の車両用補助電源装置は、フィルタコンデンサ8の入力側に主電流回路に直列に接続された、電源投入時にフィルタコンデンサ8の充電電流を制限する充電抵抗器11および第1のスイッチ10の直列回路と、この直列回路に並列に接続された第2のスイッチ7と、車両間渡り部を介して導入された架線電圧を検出する電圧検出器13と、この電圧検出器13によって架線電圧が検出されていることを条件として第1のスイッチ10をオンにし、この第1のスイッチ10のオンの後、所定時間経過後に第2のスイッチ7をオンにする制御部14とを具備したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】他の車両に設けられているパンタグラフによって受電された直流電力が高速度開閉器および車両間渡り部を介して自己車両内に導入され、さらにフィルタコンデンサを含むフィルタを通して、補助電源用の電力変換を行う電力変換部に導かれる車両用補助電源装置において、前記フィルタコンデンサの入力側に主電流回路に直列に接続された、電源投入時に前記フィルタコンデンサの充電電流を制限する充電抵抗器および第1のスイッチの直列回路と、この直列回路に並列に接続された第2のスイッチと、前記車両間渡り部を介して導入された架線電圧を検出する電圧検出器と、この電圧検出器によって架線電圧が検出されていることを条件として前記第1のスイッチをオンにし、この第1のスイッチのオンの後、所定時間経過後に前記第2のスイッチをオンにする制御部とを具備したことを特徴とする車両用補助電源装置。
【請求項2】請求項1に記載の車両用補助電源装置において、前記第1のスイッチおよび第2のスイッチが電子スイッチからなっていることを特徴とする車両用補助電源装置。
【請求項3】請求項1に記載の車両用補助電源装置において、前記第1のスイッチおよび第2のスイッチが機械的開閉器からなっていることを特徴とする車両用補助電源装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、他の車両に設けられているパンタグラフによって受電された直流電力が高速度開閉器および車両間渡り部を介して自己車両内に導入され、さらにフィルタコンデンサを含むフィルタを通して、補助電源用の電力変換を行う電力変換部に導かれる車両用補助電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】他の車両、すなわち電源入力車両に設けられているパンタグラフによって受電された直流電力が高速度開閉器および車両間渡り部を介して自己車両内に導入され、さらにフィルタリアクトルおよびフィルタコンデンサからなるフィルタを通して、補助電源用の電力変換を行う電力変換部に導かれる車両用補助電源装置は広く用いられている。
【0003】図4および図5は、この種の従来の車両用補助電源装置の回路構成例を示すものである。
【0004】図4の補助電源装置においては、他の車両すなわち電源入力車両で直流架線1からパンタグラフ2、および高速度開閉器3(高速度遮断器または電磁接触器)を介して直流電圧を得、それを、車両間に設けられた渡り部5を介して補助電源車両である自己車両に導き、さらにフィルタリアクトル6、サイリスタ7およびフィルタコンデンサ8を介して電力変換部9に入力する。フィルタリアクトル6およびフィルタコンデンサ8によってフィルタが構成されている。電力変換部9は入力された直流を任意周波数・任意電圧の交流に変換して出力する。架線1に対応する帰路はレール等の帰路回路4によって構成される。サイリスタ7には、電源投入時のフィルタコンデンサ8の初期充電電流を抑制するために、サイリスタ10および充電抵抗11の直列回路が並列に接続されている。ここまでが補助電源装置の主回路である。ここでサイリスタ7,10は電子スイッチとして用いられている。
【0005】架線電圧を検出するために電源入力車両にはパンタグラフ2の出力側からヒューズ12を介して架線電圧を導入し、これを渡り部5を介して補助電源車両に導き、帰路回路4との間に接続された電圧検出器(V)13によって架線電圧を検出し、その検出信号を制御部14に導入する。制御部14は電圧検出器13によって検出された架線電圧に基づいてサイリスタ7,10のオン/オフを制御する。なお、電力変換部9の制御は制御部14によってもよいし、別に設けた専用の制御装置によってもよい。
【0006】入力側の高速度開閉器3の投入は、パンタグラフ2が架線1に完全に当接してから行われねばならない。これは、パンタグラフ2が架線1に対してバウンドしている最中に高速度開閉器3の投入が行われた場合には、フィルタコンデンサ8への初期充電電流をパンタグラフ2と架線1の間で投入/遮断を繰り返すことになり、架線1またはパンタグラフ2を損傷させることになるからである。また、高速度開閉器3の投入後、フィルタコンデンサ8の充電電圧を監視し、フィルタコンデンサ8のパンクや電力変換部9の短絡を検知することも行われているが、その場合、それらの短絡電流と充電電流との区別が難しく、誤検知を行うおそれもある。
【0007】以上の説明のとおり、高速度開閉器3の投入はパンタグラフ2が架線1に完全に接触していることを確認してから行われなければならないが、これを確認するためには、高速度開閉器3の前段の電圧を検出する必要がある。そのため、図4の回路においては、ヒューズ12および渡り部5を介して接続された電圧検出器13によってパンタグラフ2の受電電圧を検出し、パンタグラフ2が架線1に完全に当接していることを確認するようにしている。しかし、この場合においては、高速度開閉器3が、補助電源装置の制御部14とは別の車両に設けられているため、車両のノイズに弱い低電圧信号を出力する電圧検出器13は、制御部14と同じ車両に搭載する必要があることから、高速度開閉器3の前段の高圧電位を持った電線が車両を渡る必要がある。高圧線を車両間で渡らせるためには、車両の連結・開放を安全かつ容易に行うために、高価な高圧連結栓を用いる必要がある。図5は図4の高圧線の渡りを削除するものとして考案された従来の回路装置である。
【0008】図5の回路装置において、高速度開閉器3と同一車両すなわち電源入力車両にヒューズ12、電圧検出器15、および信号出力リレー16を搭載することによって、架線1の電圧を電圧検出器15によって検出した後、架線1の電圧の有無を、信号出力リレー16によって、比較的車両ノイズに強いDC100Vのオン/オフ信号として、補助電源車両に送るようにしている回路例である。しかし、この回路装置の場合には、高速度開閉器3の高圧絶縁が必要な防水箱とは別に、ヒューズ12、電圧検出器15および信号出力リレー16を収納する防水箱が必要になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述のごとく、図4の回路は2本の高圧線を渡らせるために高価な高圧連結栓を用いる必要があり、図5の回路は電源入力車両に電圧検出器15等を収納するための防水箱が余分に必要になる。
【0010】そこで本発明は、一方では車両間渡り部の高価な信号用高圧栓線を不要とし、他方では電源入力車両に搭載される電気部品を削減し、安価で小型・軽量となしうる車両用補助電源装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明の車両用補助電源装置は、フィルタコンデンサの入力側に主電流回路に直列に接続された、電源投入時にフィルタコンデンサの充電電流を制限する充電抵抗器および第1のスイッチの直列回路と、この直列回路に並列に接続された第2のスイッチと、車両間渡り部を介して導入された架線電圧を検出する電圧検出器と、この電圧検出器によって架線電圧が検出されていることを条件として第1のスイッチをオンにし、この第1のスイッチのオンの後、所定時間経過後に第2のスイッチをオンにする制御部とを具備したことを特徴とする。
【0012】第1のスイッチおよび第2のスイッチは、電子スイッチ、例えばサイリスタによって構成することもでき、また機械的開閉器、例えば電磁接触器によって構成することもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】<請求項1および2の実施形態>図1は請求項1および2に係る発明の実施形態を示すものである。この実施形態の主回路は、すでに述べた図4または図5の主回路と同一である。渡り部5は主回路電流を流すただ1本の電線しか存在しない。そこで、ここでは渡り部5の出力段に電圧検出器13を接続し、その検出電圧を制御部14に導入する。他に電圧検出器は存在しない。ここで、サイリスタ7,10は、すでに述べた通り、電子スイッチとして用いられているものである。
【0014】図2は制御部14の動作態様を示すものである。まずステップ21で制御電圧が確立したか否かをチェックし、制御電圧の確立を待って、電圧検出器13による架線電圧の有無に関わらず高速度開閉器3を投入する(ステップ22)。高速度開閉器3を投入したとき、電圧検出器13の検出電圧によって、正規の入力電圧が検出されているか否かの確認を行う(ステップ23)。ここで正規の入力電圧が検出されていなければ、正規の入力電圧が検出されるときまで待機する。正規の入力電圧が検出されて初めてサイリスタ10をオンにし(ステップ24)、充電抵抗11を介してフィルタコンデンサ8の充電を開始させる。サイリスタ10をオンにすることによりフィルタコンデンサ8の充電電流は充電抵抗11によって制限された形で流れる。この後は、従来技術に従い、適当なタイミングをもってサイリスタ7をオンにしてフィルタコンデンサ8および電力変換部9に全電圧を印可し、定常運転に入る。このとき、サイリスタ7は、サイリスタ10および充電抵抗11の直列回路を短絡するので、直列回路にはほとんど電流が流れない。そのため、定常運転においてサイリスタ10はオンのままでもよいし、またオフにしてもよい。
【0015】<請求項3の実施形態>図3は請求項3に係る発明の実施形態を示すものである。この実施形態の主回路は、図1の主回路におけるサイリスタ7,10をそれぞれ機械的開閉器、例えば電磁接触器17,18に置換したものである。他の回路部分は図1のものと変わりがない。
【0016】図3の補助電源装置においても、電磁接触器17,18は機能的には図1のサイリスタ7,10と同等であり、制御部14は制御電源が確立すると、まず入力電圧の有無にかかわらず入力側の前段の高速度開閉器3を投入する。高速度開閉器3の投入後は、電圧検出器13によって架線電圧の有無を確認することができるので、架線電圧があれば電磁接触器18をオンにし、充電抵抗11を介してフィルタコンデンサ8の充電を開始させる。それ以後、所定時間後に電磁接触器17をオンにして定常運転に入る。
【0017】図3の回路装置も全体として図1のものと同等の作用・効果を奏することができる。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、電力線以外には車両間を渡る高圧線が不要であり、高価な高圧連結栓を不必要とし、従来、電源入力車両に搭載されていたヒューズや、電圧検出器、電圧比較判断部等を不要とし、かつこれらを収納する防水箱を不要とし、全体として安価で小型・軽量な車両用補助電源装置を提供することができる。また、電源入力車両から単にヒューズ、電圧検出器、電圧比較判断部を削除した場合に生じうる、電磁接触器または高速度遮断器の投入後の架線に対するパンタグラフのバウンドによるフイルタコンデンサの充電電流の投入/遮断に基づくパンタグラフおよび架線の高速劣化を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年2月18日(1999.2.18)
【代理人】 【識別番号】100064285
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開2000−245001(P2000−245001A)
【公開日】 平成12年9月8日(2000.9.8)
【出願番号】 特願平11−39753