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【発明の名称】 ハイブリッド車の制御装置
【発明者】 【氏名】新田 智昭

【氏名】神保 宜孝

【氏名】藤木 晴夫

【要約】 【課題】シリーズ走行とパラレル走行との切り換え時の回転変動やトルク変動を防止する。

【解決手段】シリーズ走行モードからパラレル走行モードへの移行時、モータBの回転数Nbを検出し(S201)、モータAの回転数NaをモータBの回転数Nbに合わせるべく回転数指令を与える(S202)。そして、モータAの実回転数Naの回転数NaがモータBの回転数Nbに一致したとき、エンジンのトルクTegを0とするトルク指令を与え(S205)、次に、ロックアップクラッチを締結する指令を与える(S206)。また、パラレル走行モードからシリーズ走行モードへの移行では、エンジンのトルクを徐々に小さくして、その分のトルクをモータBから出力するようにし、エンジンのトルクが0になったとき、モータAの回転数をモータBの回転数に合わせ、ロックアップクラッチを解放する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンの出力軸とシングルピニオン式プラネタリギヤのサンギヤとの間に連結される第1のモータ、上記プラネタリギヤのリングギヤに連結される第2のモータ、上記プラネタリギヤのサンギヤとキャリアとを締結・解放するロックアップクラッチ、及び、上記プラネタリギヤのキャリアに連結され、複数段あるいは無段階に切り換え可能な変速比に応じて上記プラネタリギヤと駆動輪との間で変速及びトルク増幅を行なう動力変換機構を備えたハイブリッド車の制御装置であって、上記ロックアップクラッチを解放して上記エンジンによって上記第1のモータを発電機として駆動し、主として上記第2のモータの駆動力を走行駆動源とするシリーズ走行モードで上記ハイブリッド車を走行させる手段と、上記ロックアップクラッチを締結し、上記エンジンの駆動力に上記第2のモータの駆動力を加算して上記エンジン単独或いは上記エンジンと上記第2のモータとの双方の駆動力を走行駆動源とするパラレル走行モードで上記ハイブリッド車を走行させる手段と、上記シリーズ走行モードから上記パラレル走行モードへの移行時、上記第1のモータの回転数を上記第2のモータの回転数に一致或いは実質的に一致させた上で上記エンジンの駆動トルクを実質的に0とし、上記ロックアップクラッチを締結させる手段と、上記パラレル走行モードから上記シリーズ走行モードへの移行時、上記エンジンの駆動トルクを漸次的に減少させると共に上記エンジンの駆動トルクの減少分だけ上記第2のモータの駆動トルクを漸次的に増加させ、上記エンジンの駆動トルクが実質的に0となったときの上記第2のモータの回転数に上記第1のモータの回転数を実質的に一致させて上記ロックアップクラッチを解放させる手段とを備えたことを特徴とするハイブリッド車の制御装置。
【請求項2】 エンジンの出力軸とシングルピニオン式プラネタリギヤのサンギヤとの間に連結される第1のモータ、上記プラネタリギヤのリングギヤに連結される第2のモータ、上記プラネタリギヤのサンギヤとキャリアとを締結・解放するロックアップクラッチ、及び、上記プラネタリギヤのキャリアに連結され、複数段あるいは無段階に切り換え可能な変速比に応じて上記プラネタリギヤと駆動輪との間で変速及びトルク増幅を行なう動力変換機構を備えたハイブリッド車の制御装置であって、上記ロックアップクラッチを解放して上記エンジンによって上記第1のモータを発電機として駆動し、主として上記第2のモータの駆動力を走行駆動源とするシリーズ走行モードで上記ハイブリッド車を走行させる手段と、上記ロックアップクラッチを締結し、上記エンジンの駆動力に上記第2のモータの駆動力を加算して上記エンジン単独或いは上記エンジンと上記第2のモータとの双方の駆動力を走行駆動源とするパラレル走行モードで上記ハイブリッド車を走行させる手段と、上記シリーズ走行モードから上記パラレル走行モードへの移行時、上記第1のモータの回転数を上記動力変換機構の入力回転数に一致或いは実質的に一致させた上で上記エンジンの駆動トルクを実質的に0とし、上記ロックアップクラッチを締結させる手段と、上記パラレル走行モードから上記シリーズ走行モードへの移行時、上記エンジンの駆動トルクを漸次的に減少させると共に上記エンジンの駆動トルクの減少分だけ上記第2のモータの駆動トルクを漸次的に増加させ、上記エンジンの駆動トルクが実質的に0となったときの上記第2のモータの回転数に上記第1のモータの回転数を実質的に一致させて上記ロックアップクラッチを解放させる手段とを備えたことを特徴とするハイブリッド車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンと2つのモータとを併用するハイブリッド車の制御装置に関し、より詳しくは走行条件に応じてシリーズ走行モードとパラレル走行モードとを切り換え可能なハイブリッド車の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車等の車両においては、低公害、省資源の観点からエンジンとモータとを併用するハイブリッド車が開発されており、このハイブリッド車では、発電用と動力源用との2つのモータを搭載することで動力エネルギーの回収効率向上と走行性能の確保とを図る技術が多く採用されている。
【0003】このようなハイブリッド車では、エンジンの機械出力によって発電用のモータを駆動し、発電出力及び電池の放電出力によって走行用のモータを駆動して走行するシリーズ走行と、主としてエンジンの機械的出力によって走行し、要求出力に対するエンジンの機械的出力の差をモータによって補うパラレル走行とを条件に応じて切り換えるものが知られている。
【0004】例えば、特開平8−98322号公報には、エンジンと、エンジンの機械的出力により駆動される発電機と、発電機の発電出力により充電される電池と、電池の放電出力により駆動されるモータと、発電機とモータとの間の機械的連結を開閉するクラッチ等の連結開閉手段とを有するシリーズパラレル複合電気自動車が開示されている。
【0005】上述のシリーズパラレル複合電気自動車では、クラッチ締結でパラレル走行、クラッチ解放でシリーズ走行を行うようになっており、クラッチを締結する際には発電機の回転数とモータの回転数とを一致させることで、クラッチ締結のショックを防止するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シリーズ走行からパラレル走行への切り換えに際し、単に発電機の回転数とモータの回転数とを一致させてクラッチを閉じるのみでは、エンジン側とモータ側との間の出力トルクの相違からトルク変動を生じる虞があり、また、パラレル走行からシリーズ走行への切り換えに際しても、単にクラッチを解放するだけでは、回転変動やトルク変動が生じる虞がある。
【0007】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、シリーズ走行とパラレル走行との切り換え時に回転変動やトルク変動を防止し、運転フィーリングを悪化させることなく円滑な走行を実現することのできるハイブリッド車の制御装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、第1の発明は、エンジンの出力軸とシングルピニオン式プラネタリギヤのサンギヤとの間に連結される第1のモータ、上記プラネタリギヤのリングギヤに連結される第2のモータ、上記プラネタリギヤのサンギヤとキャリアとを締結・解放するロックアップクラッチ、及び、上記プラネタリギヤのキャリアに連結され、複数段あるいは無段階に切り換え可能な変速比に応じて上記プラネタリギヤと駆動輪との間で変速及びトルク増幅を行なう動力変換機構を備えたハイブリッド車の制御装置であって、上記ロックアップクラッチを解放し、上記エンジンによって上記第1のモータを発電機として駆動し、主として上記第2のモータの駆動力を走行駆動源とするシリーズ走行モードで上記ハイブリッド車を走行させる手段と、上記ロックアップクラッチを締結し、上記エンジンの駆動力に上記第2のモータの駆動力を加算して上記エンジン単独或いは上記エンジンと上記第2のモータとの双方の駆動力を走行駆動源とするパラレル走行モードで上記ハイブリッド車を走行させる手段と、上記シリーズ走行モードから上記パラレル走行モードへの移行時、上記第1のモータの回転数を上記第2のモータの回転数に一致或いは実質的に一致させた上で上記エンジンの駆動トルクを実質的に0とし、上記ロックアップクラッチを締結させる手段と、上記パラレル走行モードから上記シリーズ走行モードへの移行時、上記エンジンの駆動トルクを漸次的に減少させると共に上記エンジンの駆動トルクの減少分だけ上記第2のモータの駆動トルクを漸次的に増加させ、上記エンジンの駆動トルクが実質的に0となったときの上記第2のモータの回転数に上記第1のモータの回転数を実質的に一致させて上記ロックアップクラッチを解放させる手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】第2の発明は、エンジンの出力軸とシングルピニオン式プラネタリギヤのサンギヤとの間に連結される第1のモータ、上記プラネタリギヤのリングギヤに連結される第2のモータ、上記プラネタリギヤのサンギヤとキャリアとを締結・解放するロックアップクラッチ、及び、上記プラネタリギヤのキャリアに連結され、複数段あるいは無段階に切り換え可能な変速比に応じて上記プラネタリギヤと駆動輪との間で変速及びトルク増幅を行なう動力変換機構を備えたハイブリッド車の制御装置であって、上記ロックアップクラッチを解放して上記エンジンによって上記第1のモータを発電機として駆動し、主として上記第2のモータの駆動力を走行駆動源とするシリーズ走行モードで上記ハイブリッド車を走行させる手段と、上記ロックアップクラッチを締結し、上記エンジンの駆動力に上記第2のモータの駆動力を加算して上記エンジン単独或いは上記エンジンと上記第2のモータとの双方の駆動力を走行駆動源とするパラレル走行モードで上記ハイブリッド車を走行させる手段と、上記シリーズ走行モードから上記パラレル走行モードへの移行時、上記第1のモータの回転数を上記動力変換機構の入力回転数に一致或いは実質的に一致させた上で上記エンジンの駆動トルクを実質的に0とし、上記ロックアップクラッチを締結させる手段と、上記パラレル走行モードから上記シリーズ走行モードへの移行時、上記エンジンの駆動トルクを漸次的に減少させると共に上記エンジンの駆動トルクの減少分だけ上記第2のモータの駆動トルクを漸次的に増加させ、上記エンジンの駆動トルクが実質的に0となったときの上記第2のモータの回転数に上記第1のモータの回転数を実質的に一致させて上記ロックアップクラッチを解放させる手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】すなわち、本発明では、ロックアップクラッチを解放し、エンジンの出力軸とプラネタリギヤのサンギヤとの間に連結される第1のモータをエンジンによって発電機として駆動し、プラネタリギヤのリングギヤに連結される第2のモータの駆動力を主として走行駆動源とするシリーズ走行モードと、ロックアップクラッチを締結してプラネタリギヤのサンギヤとキャリアとを結合し、サンギヤからのエンジンの駆動力にリングギヤからの第2のモータの駆動力を加算してキャリアから出力することで、エンジンの駆動力に第2のモータの駆動力を加算してエンジン単独或いはエンジンと第2のモータとの双方の駆動力を走行駆動源とするパラレル走行モードとを切り換えて走行することができる。そして、シリーズ走行モードからパラレル走行モードへ切り換える際には、第1のモータの回転数を第2のモータの回転数或いは動力変換機構の入力回転数に一致或いは実質的に一致させた上でエンジンの駆動トルクを実質的に0としてロックアップクラッチを締結させる。又、パラレル走行モードからシリーズ走行モードへ切り換える際には、エンジンの駆動トルクを漸次的に減少させると共にエンジンの駆動トルクの減少分だけ第2のモータの駆動トルクを漸次的に増加させ、エンジンの駆動トルクが実質的に0となったときの第2のモータの回転数に第1のモータの回転数を実質的に一致させてロックアップクラッチを解放させる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1〜図7は本発明の第1実施の形態に係わり、図1はシリーズ走行モードの制御ルーチンを示すフローチャート、図2はシリーズ走行モードからパラレル走行モードへの切換制御ルーチンを示すフローチャート、図3はパラレル走行モードの制御ルーチンを示すフローチャート、図4はパラレル走行モードからシリーズ走行モードへの切換制御ルーチンを示すフローチャート、図5は駆動制御系の構成を示す説明図、図6はHEV_ECUを中心とする制御信号の流れを示す説明図、図7はエンジンとモータとのトルク分配を示す説明図である。
【0012】本発明におけるハイブリッド車は、エンジンとモータとを併用する車両であり、図5に示すように、エンジン1と、エンジン1の起動及び発電・動力アシストを担うモータA(第1のモータ)と、エンジン1の出力軸1aにモータAを介して連結されるプラネタリギヤユニット3と、このプラネタリギヤユニット3の機能を制御し、発進・後進時の駆動力源になるとともに減速エネルギーの回収を担うモータB(第2のモータ)と、変速及びトルク増幅を行なって走行時の動力変換機能を担う動力変換機構4とを基本構成とする駆動系を備えている。
【0013】詳細には、プラネタリギヤユニット3は、サンギヤ3a、このサンギヤ3aに噛合するピニオンを回転自在に支持するキャリア3b、ピニオンと噛合するリングギヤ3cを有するシングルピニオン式のプラネタリギヤであり、サンギヤ3aとキャリア3bとを締結・解放するためのロックアップクラッチ2が併設されている。
【0014】また、動力変換機構4としては、歯車列を組み合わせた変速機や流体トルクコンバータを用いた変速機等を用いることが可能であるが、入力軸4aに軸支されるプライマリプーリ4bと出力軸4cに軸支されるセカンダリプーリ4dとの間に駆動ベルト4eを巻装してなるベルト式無段変速機(CVT)を採用することが望ましく、本形態においては、以下、動力変換機構4をCVT4として説明する。
【0015】すなわち、本発明におけるハイブリッド車の駆動系では、サンギヤ3aとキャリア3bとの間にロックアップクラッチ2を介装したプラネタリギヤユニット3がエンジン1の出力軸1aとCVT4の入力軸4aとの間に配置されており、プラネタリギヤユニット3のサンギヤ3aがエンジン1の出力軸1aに一方のモータAを介して結合されるとともにキャリア3bがCVT4の入力軸4aに結合され、リングギヤ3cに他方のモータBが連結されている。そして、CVT4の出力軸4cに減速歯車列5を介してデファレンシャル機構6が連設され、このデファレンシャル機構6に駆動軸7を介して前輪或いは後輪の駆動輪8が連設されている。
【0016】この場合、前述したようにエンジン1及びモータAをプラネタリギヤユニット3のサンギヤ3aへ結合するとともにリングギヤ3cにモータBを結合してキャリア3bから出力を得るようにし、さらに、キャリア3bからの出力をCVT4によって変速及びトルク増幅して駆動輪8に伝達するようにしているため、2つのモータA,Bは発電と駆動力供給との両方に使用することができ、比較的小出力のモータを使用することができる。
【0017】また、走行条件に応じてロックアップクラッチ2によりプラネタリギヤユニット3のサンギヤ3aとキャリア3bとを結合することで、間に2つのモータA,Bが配置された、エンジン1からCVT4に至るエンジン直結の駆動軸を形成することができ、効率よくCVT4に駆動力を伝達し、或いは駆動輪8側からの制動力を利用することができる。
【0018】尚、ロックアップクラッチ2の結合・解放時のプラネタリギヤユニット3を介したエンジン1及びモータA,Bのトルク伝達や発電による電気の流れについては、本出願人が先に提出した特願平10−4080号に詳述されている。
【0019】以上の駆動系は、7つの電子制御ユニット(ECU)を多重通信系で結合したハイブリッド車の走行制御を行う制御系(ハイブリッド制御システム)によって制御されるようになっており、各ECUがマイクロコンピュータとマイクロコンピュータによって制御される機能回路とから構成されている。各ECUを結合する多重通信系としては、高速通信に対応可能な通信ネットワークを採用することが望ましく、例えば、車両の通信ネットワークとしてISOの標準プロトコルの一つであるCAN(Controller Area Network)等を採用することができる。
【0020】具体的には、システム全体を統括するハイブリッドECU(HEV_ECU)20を中心とし、モータAを駆動制御するモータAコントローラ21、モータBを駆動制御するモータBコントローラ22、エンジン1を制御するエンジンECU(E/G_ECU)23、ロックアップクラッチ2及びCVT4の制御を行うトランスミッションECU(T/M_ECU)24、バッテリ10の電力管理を行うバッテリマネージメントユニット(BAT_MU)25が第1の多重通信ライン30でHEV_ECU20に結合され、ブレーキ制御を行うブレーキECU(BRK_ECU)26が第2の多重通信ライン31でHEV_ECU20に結合されている。
【0021】HEV_ECU20は、ハイブリッド制御システム全体の制御を行うものであり、ドライバの運転操作状況を検出するセンサ・スイッチ類、例えば、図示しないアクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ(APS)11、図示しないブレーキペダルの踏み込みによってONするブレーキスイッチ12、変速機のセレクト機構部13の操作位置がPレンジ又はNレンジのときにONし、Dレンジ,Rレンジ等の走行レンジにセットされているときにOFFするインヒビタスイッチ14等が接続されている。
【0022】そして、HEV_ECU20では、各センサ・スイッチ類からの信号や各ECUから送信されたデータに基づいて必要な車両駆動トルクを演算して駆動系のトルク配分を決定し、図6に示すように、多重通信によって各ECUに制御指令を送信する。
【0023】尚、HEV_ECU20には、車速、エンジン回転数、バッテリ充電状態等の車両の運転状態を表示する各種メータ類や、異常発生時に運転者に警告するためのウォーニングランプ等からなる表示器27が接続されている。この表示器27は、T/M_ECU24にも接続されており、HEV_ECU20に異常が発生したとき、HEV_ECU20に代ってT/M_ECU24が異常時制御を行い、表示器27に異常表示を行う。
【0024】一方、モータAコントローラ21は、モータAを駆動するためのインバータを備えるものであり、基本的に、HEV_ECU20から多重通信によって送信されるサーボON/OFF指令や回転数指令によってモータAの定回転数制御を行う。また、モータAコントローラ21からは、HEV_ECU20に対し、モータAのトルク、回転数、及び電流値等をフィードバックして送信し、更に、トルク制限要求や電圧値等のデータを送信する。
【0025】モータBコントローラ22は、モータBを駆動するためのインバータを備えるものであり、基本的に、HEV_ECU20から多重通信によって送信されるサーボON/OFF(正転、逆転を含む)指令やトルク指令(力行、回生)によってモータBの定トルク制御を行う。また、モータBコントローラ22からは、HEV_ECU20に対し、モータBのトルク、回転数、及び電流値等をフィードバックして送信し、更に、電圧値等のデータを送信する。
【0026】E/G_ECU23は、基本的にエンジン1のトルク制御を行うものであり、HEV_ECU20から多重通信によって送信される正負のトルク指令、燃料カット指令、エアコンON/OFF許可指令等の制御指令、及び、実トルクフィードバックデータ、車速、インヒビタスイッチ14による変速セレクト位置(P,Nレンジ等)、APS11の信号によるアクセル全開データやアクセル全閉データ、ブレーキスイッチ12のON,OFF状態、ABSを含むブレーキ作動状態等に基づいて、図示しないインジェクタからの燃料噴射量、ETC(電動スロットル弁)によるスロットル開度、A/C(エアコン)等の補機類のパワー補正学習、燃料カット等を制御する。
【0027】また、E/G_ECU23では、HEV_ECU20に対し、エンジン1の制御トルク値、燃料カットの実施、燃料噴射量に対する全開増量補正の実施、エアコンのON,OFF状態、図示しないアイドルスイッチによるスロットル弁全閉データ等をHEV_ECU20にフィードバックして送信すると共に、エンジン1の暖機要求等を送信する。
【0028】T/M_ECU24は、HEV_ECU20から多重通信によって送信されるCVT4の目標プライマリ回転数、CVT入力トルク指示、ロックアップ要求等の制御指令、及び、E/G回転数、アクセル開度、インヒビタスイッチ14による変速セレクト位置、ブレーキスイッチ12のON,OFF状態、エアコン切替許可、ABSを含むブレーキ作動状態、アイドルスイッチによるエンジン1のスロットル弁全閉データ等の情報に基づいて、ロックアップクラッチ2の締結・解放を制御すると共にCVT4の変速比を制御する。
【0029】また、T/M_ECU24からは、HEV_ECU20に対し、車速、入力制限トルク、CVT4のプライマリ回転数及びセカンダリプーリ回転数、ロックアップ完了、インヒビタスイッチ14に対応する変速状態等のデータをフィードバックして送信すると共に、CVT4の油量をアップさせるためのE/G回転数アップ要求、低温始動要求等を送信する。
【0030】BAT_MU25は、いわゆる電力管理ユニットであり、バッテリ10を管理する上での各種制御、すなわち、バッテリ10の充放電制御、ファン制御、外部充電制御等を行い、バッテリ10の残存容量、電圧、電流制限値等のデータや外部充電中を示すデータを多重通信によってHEV_ECU20に送信する。また、外部充電を行う場合には、コンタクタ9を切り換えてバッテリ10とモータAコントローラ21及びモータBコントローラ22とを切り離す。
【0031】BRK_ECU26は、HEV_ECU20から多重通信によって送信される回生可能量、回生トルクフィードバック等の情報に基づいて、必要な制動力を演算し、ブレーキ系統の油圧を制御するものであり、HEV_ECU20に対し、回生量指令(トルク指令)、車速、油圧、ABSを含むブレーキ作動状態等をフィードバックして送信する。
【0032】以上のハイブリッド制御システムによって制御されるハイブリッド車の走行モードは、トランスミッション入力軸から見た場合、以下に示す3つの基本モードに大別することができ、走行状況に応じて各走行モードの状態遷移が繰り返される。
(1)シリーズ(シリーズ&パラレル)走行モード要求駆動力が小さいとき、ロックアップクラッチ2を解放し、エンジン1によってモータAを発電機として駆動し、主としてモータBで走行する。このとき、エンジン1の駆動力の一部がプラネタリギヤユニット3のサンギヤ3aに入力され、リングギヤ3cのモータBの駆動力と合成されてキャリア3bから出力される。
(2)パラレル走行モード要求駆動力が大きいとき、ロックアップクラッチ2を締結してプラネタリギヤユニット3のサンギヤ3aとキャリア3bとを結合し、エンジン1の駆動力にリングギヤ3cからモータBの駆動力を加算してキャリア3bから出力し、エンジン1単独或いはエンジン1とモータBとの双方のトルクを用いて走行する。
(3)制動力回生モード減速時、ブレーキ制御と協調しながらモータBで制動力を回生する。すなわち、プレーキペダルの踏み込み量に応じたブレーキトルクをモータBによる回生トルクとブレーキ機構による制動トルクとで協調して分担し、回生制動を行う。
【0033】以下、HEV_ECU20によるシリーズ走行モードとパラレル走行モードとの各制御、及び、シリーズ走行モードとパラレル走行モードとの間の切換制御について、図1〜図4のフローチャートを用いて説明する。
【0034】図1はシリーズ走行モードにおける制御ルーチンであり、ステップS101で多重通信によりモータAコントローラ21にモータAを所定回転数で定速運転させるための回転数指令を与えると、ステップS102でAPS11の出力に基づくアクセルペダル踏み込み量から車両駆動トルクTallを算出する。
【0035】次いで、ステップS103へ進み、プラネタリギヤユニット3のプラネタリギヤ比(プラネタリ比:定数K)を用い、以下の(1),(2)式に従ってリングギヤ側のトルクTrとサンギヤ側のトルクTsとを算出すると、ステップS104でリングギヤ3cに連結されるモータBの必要電力Wbを、モータBの回転数とリングギヤ側のトルクTrとから算出する。
Tr=Tall×(1−K)/K …(1)Ts=Tall×K …(2)【0036】続くステップS105では、バッテリ10の残存容量から所定の充電電力Waを算出し、ステップS106でモータBの必要電力Wbとバッテリ10の充電電力WaとモータAの回転数とから発電のためのトルクTbatを算出する。そして、ステップS107で、以下の(3)式に示すように、サンギヤ側のトルクTsと発電トルクTbatとを加算してエンジン1の駆動トルクTegを算出する。
Teg=Ts+Tbat …(3)【0037】その後、ステップS108へ進み、モータAの発電力とエンジン1の出力特性とから、上述のステップS107で算出した駆動トルクTegをエンジン1から出力可能か否かを調べ、駆動トルクTegを出力困難な場合、モータAの回転数を変更してモータAコントローラ21へ新たな回転数指令を与え、再度、モータBの必要電力Wbとバッテリ10の充電電力WaとモータAの回転数とから発電トルクTbatを算出し、この発電トルクTbatとサンギヤ側のトルクTsとを加算してエンジン1の駆動トルクTegを算出する。
【0038】そして、ステップS109でリングギヤ側のトルクTrをモータBのトルクとして多重通信によりモータBコントローラ22にトルク指令を与え、ステップS110で多重通信によりE/G_ECU23に駆動トルクTegのトルク指令を与えてステップS111へ進む。
【0039】ステップS111では、モータAコントローラ21、モータBコントローラ22、E/G_ECU23からの各フィードバック値に基づいて算出される車両駆動トルクのフィードバック値により、モータBによる走行を制御してルーチンを抜ける。
【0040】すなわち、HEV_ECU20では、モータAコントローラ21から受信したモータAの発電用トルクフィードバック値Ta’と、モータBコントローラ22から受信したモータBのトルクフィードバック値Tb’に基づくモータBのトルクの反力(Tb’×K(1−K))とを加算してE/G_ECU23へフィードバックし、E/G_ECU23では、HEV_ECU20からのトルク指令値Tegとフィードバック値(Ta’+Tb’×K/(1−K))との差分を学習してエンジン1の制御を行う。
【0041】そして、モータBのトルクフィードバック値Tb’に、エンジン1のトルクフィードバック値Teg’とモータAのトルクフィードバック値Ta’との差を加算して車両駆動トルクのフィードバック値とし、この車両駆動トルクのフィードバック値(Tb’+Teg’−Ta’)に基づいてモータBによる走行制御を行う。
【0042】これにより、要求駆動力が小さい低負荷のシリーズ走行モードでは、エンジン1とモータAとでモータBの反力を支えながらモータBの駆動によるバッテリ10の消費電力を補充することができ、安定した定トルク走行を確保することができる。
【0043】以上のシリーズ走行モードでの走行中、アクセルペダルが踏み込まれて要求駆動トルクが大きくなると、シリーズ走行モードからパラレル走行モードへ移行する。
【0044】シリーズ走行モードからパラレル走行モードへの移行は、図2の切換制御ルーチンによって行われ、モータBの回転数とモータAの回転数とを合わせた上でエンジン1のトルクを0とし、ロックアップクラッチ2を締結する。
【0045】具体的には、先ず、ステップS201でモータBコントローラ22からフィードバック送信された回転数データによってモータBの回転数Nbを検出し、ステップS202でモータAの回転数NaをモータBの回転数Nbに合わせるべく多重通信によりモータAコントローラ21に回転数指令を与える。
【0046】続くステップS203では、モータAコントローラ21からフィードバック送信された回転数データによってモータAの実回転数Naを検出し、ステップS204でモータAの実回転数NaがモータBの回転数Nbに等しくなったか否かを調べる。その結果、Na≠Nbのときには、ステップS204から前述のステップS201へ戻ってモータAの回転数をモータBの回転数に一致させる処理を繰り返す。
【0047】そして、ステップS204でモータAの回転数NaとモータBの回転数Nbが等しくなると、ステップS204からステップS205へ進んで多重通信によりE/G_ECU23へエンジン1のトルクTegを0とするトルク指令を与え、また、ステップS206で多重通信によりT/M_ECU24へロックアップクラッチ2を締結する指令を与え、パラレル走行モードに移行する。
【0048】すなわち、シリーズ走行モードからパラレル走行モードへ移行させる場合には、モータAの回転数NaをモータBの回転数Nbに一致させた後、エンジン1の駆動トルクを実質的に0としてロックアップクラッチ2を締結させるため、回転変動やトルク変動を防止して円滑な切り換えとすることができ、運転者に違和感を与えることがない。
【0049】次に、パラレル走行モードでは、図3の制御ルーチンによってエンジン1とモータBとのトルク配分が決定され、エンジン1のみによる走行或いはエンジン1をモータBによってアシストするアシスト走行が行われる。
【0050】このパラレル走行の制御ルーチンでは、ロックアップクラッチ2を締結してシリーズ走行モードから移行したとき、先ずステップS301でモータAのトルクを0とするトルク0指令を多重通信によってモータAコントローラ21に与える。
【0051】すなわち、パラレル走行モードでは、ロックアップクラッチ2を締結してプラネタリギヤユニット3のサンギヤ3aとキャリア3bとを結合し、サンギヤ3aからのエンジン1の駆動力にリングギヤ3cからのモータBの駆動力を加算してキャリア3bから出力するため、エンジン1及びモータBの出力トルクをそのまま駆動輪側に伝達するには、モータAの回転数を出来なりに合わせなければならず、制御が困難である。この場合、モータAをシリーズ走行モードでの回転数制御のままとすると、モータAによって駆動トルクが吸収されてしまい、一方、モータAの回転数制御を止めると、鉄損によりエンジン1及びモータBの出力トルクが減じられる。
【0052】いずれにしてもモータAがシリーズ走行モードの回転数制御のままでは、パラレル走行モードにおいて車両駆動トルクの制御が困難であるため、パラレル走行モードでは、モータAを回転数制御しているモータAコントローラ21にトルク0指令を与えることで、モータAを弱め界磁等によってトルク0とし、エンジン1の出力トルクとモータBの出力トルクとを損失無くCVT4に入力する。
【0053】そして、モータAをトルク0で運転した後、ステップS302へ進んでAPS11の出力に基づくアクセルペダル踏み込み量から車両駆動トルクTallを算出し、ステップS303でバッテリ10の残存容量が所定値以上か否かを調べる。その結果、バッテリ10の残存容量が所定値より小さい場合には、ステップS304へ進んでスロットル開度に応じてエンジン1のみの走行を行うべく、多重通信によりE/G_ECU23へ所定のトルク指令を与え、ステップS310へ進む。
【0054】一方、ステップS303においてバッテリ10の残存容量が所定値以上の場合には、ステップS303からステップS305へ進んでエンジン1のスロットル開度とCVT4のプライマリ回転数とからエンジン最大出力トルクTegmaxを算出する。そして、ステップS306で車両駆動トルクTallとエンジン最大出力トルクTegmaxとの差分ΔTを算出し(ΔT=Tall−Tegmax)、ステップS307で差分ΔTをモータBの駆動トルクTbとする(Tb=ΔT)。
【0055】すなわち、パラレル走行モードでは、図7に示すように、エンジン1の等スロットル開度曲線から定まる最大出力トルクTegmaxとモータBの最大駆動トルクとによって車両全体の仮想最大出力特性が定まり、要求車両駆動トルクTallがエンジン1の最大出力トルクTegmaxよりも大きい場合、その分のトルクをモータBによってアシストすべく、(Tall−Tegmax)をモータBの駆動トルクとする。
【0056】その後、ステップS308で多重通信によりE/G_ECU23にエンジン最大出力トルクTegmaxのトルク指令を与えると共に、ステップS309で多重通信によりモータBコントローラ22に駆動トルクTbのトルク指令を与え、ステップS310でモータBコントローラ22から受信したモータBのトルクフィードバック値Tb’とE/G_ECU23から受信したエンジン1のトルクフィードバック値Teg’とを加算した値(Tb’+Teg’)を車両駆動トルクのフィードバック値として走行制御を行い、ルーチンを抜ける。
【0057】このパラレル走行モードでは、モータAを回転数制御からトルク制御へと本格的に切り換えることなく、簡単な指令と限定された定トルク制御でエンジン1及びモータBの出力トルクを損失無く駆動輪側に伝達することができ、車両駆動トルクを容易に制御することができる。
【0058】次に、パラレル走行モードからシリーズ走行モードへの移行は、図4の切換制御ルーチンによって行われる。このルーチンでは、エンジン1のトルクを徐々に小さくして、その分のトルクをモータBから出力するようにし、エンジン1のトルクが0になったとき、モータAのトルク0指令を解除してモータAの回転数をモータBの回転数に合わせ、ロックアップクラッチ2を解放する。
【0059】すなわち、先ず、ステップS401で、エンジン駆動トルクTegを所定比率n分だけ減少させたトルク値Teg(Teg=Teg−Teg/n)のトルク指令を多重通信によってE/G_ECU23に与え、次に、ステップS402で、エンジン駆動トルクの減少分Teg/nを現在のモータBの駆動トルクTbに加算してモータBの新たな駆動トルクTbとし(Tb+Tb/n)を、この新たな駆動トルクTbのトルク指令を多重通信によりモータBコントローラ22に与える。
【0060】そして、ステップS403でエンジン駆動トルクTegが0になったか否かを調べ、その結果、Teg≠0のときには、ステップS403から前述のステップS401へ戻ってエンジン1のトルクを所定量減少させてモータBのトルクを所定量増加させる処理を繰り返す。
【0061】その後、ステップS403でエンジン駆動トルクTegが0になると、ステップS404へ進んでモータBの回転数Nbを検出し、ステップS405でモータAコントローラ21へのモータAに対するトルク0指令を解除してモータAの回転数NaをモータBの回転数Nbと同じ回転数とするべく、モータAコントローラ21に回転数指令を与える。そして、ステップS406で多重通信によりT/M_ECU24へロックアップクラッチ2を解放させる指令を与えてルーチンを抜ける。
【0062】すなわち、パラレル走行モードからシリーズ走行モードへの移行では、モータAの回転数とモータBの回転数とを合わせてロックアップクラッチ2を解放する前に、エンジン1のトルクを徐々に0に近づけ、その分のトルクをモータBから出力するようにしているため、回転変動やトルク変動を生じることなくパラレル走行モードからシリーズ走行モードへ移行させることができ、運転フィーリングの悪化を防止することができる。
【0063】又、図8に本発明の第2実施の形態によるシリーズ走行モードからパラレル走行モードへの切換制御ルーチンを示す。通常制御では、シリーズ走行モードでのエンジン1、両モータA,B全体での効率が低下したとき、パラレル走行モードへ移行する処理が行われるが、このときのクラッチ締結タイミングが遅れると、実際にクラッチが締結された時点では、既に運転条件が変わってしまい、エンジン1、両モータA,Bを最も効率の良い領域で切換動作させることができず、燃費が悪化してしまう不都合が生じる。
【0064】そのため、本実施の形態では、モータBの回転数NbがモータAの回転数Naに完全に一致するまで待たずに、この両モータA,Bの差回転が設定範囲に収束したとき、すなわち、両回転数Na,Nbがロックアップクラッチ2締結時に回転変動やトルク変動が生じない実質的に一致と見なされたとき、エンジン1のトルクを0とし、ロックアップクラッチ2を締結させることで、ロックアップクラッチ2の締結タイミングの適正化を図るようにしたものである。
【0065】すなわち、本実施の形態では、ステップS501〜S503までは、第1実施の形態と同様の処理を行い、続いて、ステップS504へ進み、モータAの回転数NaとモータBの回転数Nbとの差回転の絶対値|Na−Nb|が設定値KNに以下となったか否かを調べ、|Na−Nb|>KNのときには、ステップS501へ戻り、モータAの回転数NaとモータBの回転数Nbとの差回転が設定値KN以下となるまで処理を繰り返す。尚、設定値KNは、モータA,Bの回転数Na,Nbが実質的に一致すると見なされる範囲であり、走行実験、或いはシュミュレーション等により求めたものである。
【0066】そして、|Na−Nb|≦KN、すなわちモータAとモータBとの回転数Na,Nbが実施的に一致したと見なされたとき、両回転数Na,Nbが完全に一致するのを待たずに、ステップS504からステップS505,S506へ進み、第1実施の形態のステップS205,S206と同様の処理を行う。
【0067】このように、本実施の形態では、両モータA,Bの差回転が設定値KNの範囲に収束した時点で、ロックアップクラッチ2を締結させるようにしたので、クラッチ締結タイミングが適正化され、エンジン1、両モータA,Bを最も効率の良い領域で切換動作させることができ、燃費が向上する。
【0068】又、図9に本発明の第3実施の形態によるシリーズ走行モードからパラレル走行モードへの切換制御ルーチンを示す。本実施の形態では、シリーズ走行モードからパラレル走行モードへ移行する際に、モータAの回転数NaをCVT4の入力回転数であるプライマリ回転数Npに一致させた後、エンジン1の駆動トルクを実質的に0としてロックアップクラッチ2を締結させるようにしたものである。
【0069】すなわち、先ず、ステップS601で、T/M_ECU24からフィードバック送信されたプライマリプーリ4bの回転数データに基づきプライマリ回転数Npを検出し、ステップS602でモータAの回転数Naをプライマリ回転数Npに合わせるべくモータAコントローラ21に回転数指令を与える。
【0070】続くステップS602では、モータAコントローラ21からフィードバック送信された回転数データによってモータAの実回転数Naを検出し、ステップS604でモータAの実回転数Naがプライマリ回転数Npに等しくなったか否かを調べ、Na≠Npのときには、ステップS601へ戻り、モータAの回転数Naをプライマリ回転数Npに一致させる処理を繰り返す。
【0071】そして、ステップS604でモータAの回転数Naとプライマリ回転数Npとが等しくなったとき、ステップS605,S606へ進み、第1実施の形態のステップS205,S206と同様の処理を行う。
【0072】このように、本実施の形態では、ロックアップクラッチ2の入力側回転数であるモータAの回転数Naがロックアップクラッチ2の出力側でプラネタリギヤ3のキャリヤ3bに連結するプライマリ回転数Npに一致したとき、ロックアップクラッチ2を締結するようにしたので、モータAとプラネタリギヤ3のキャリヤ3bとリングギヤ3cを介したモータBの回転数Na,Nbが一致したときにロックアップクラッチ2締結させる第1実施の形態に比し、クラッチ締結時のショックがより一層軽減される。
【0073】又、図10に本発明の第4実施の形態によるシリーズ走行モードからパラレル走行モードへの切換制御ルーチンを示す。上述した第3実施の形態では、モータAの回転数Naがプライマリ回転数Npに一致したとき、ロックアップクラッチ2を締結させるようにしたが、本実施の形態では、モータAの回転数Naとプライマリ回転数Npとがロックアップクラッチ3締結時に回転変動やトルク変動が生じない実質的に一致と見なされたとき、ロックアップクラッチ2を締結させるようにしたもである。
【0074】従って、本実施の形態では、ステップS701,S702,S703で、上述した第3実施の形態のステップS601,S602,S603と同様の処理を行った後、ステップS704へ進み、モータAの回転数Naとプライマリ回転数Npとの差回転の絶対値|Na−Np|が設定値KN以下となったか否かを調べ、|Na−Np|>KNのときには、ステップS701へ戻り、モータAの回転数Naとプライマリ回転数Npとの差回転が設定値KN以下となるまで処理を繰り返す。
【0075】そして、|Na−Np|≦KN、すなわちモータAの回転数Naとプライマリプーリ回転数Npとが実質的に一致したと見なされたとき、両回転数Na,Npが完全に一致するのを待たずに、ステップS704からステップS705,S706へ進み、第3実施の形態のステップS605,S606と同様の処理を行う。
【0076】このように、本実施の形態では、モータAの回転数Naとプライマリ回転数Npとが一致する時期を待たずに、その両回転数Na,Npの差回転が設定値KNの範囲に収まった時点で、ロックアップクラッチ2を締結させるようにしたので、クラッチ締結タイミングが改善され、エンジン1、両モータA,Bを最も効率の良い領域で切換動作させることができ、クラッチ締結時のショックを軽減し、且つ燃費の向上を図ることができる。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、シリーズ走行モードからパラレル走行モードへ切り換える際には、エンジンの出力軸とプラネタリギヤのサンギヤとの間に連結される第1のモータの回転数を、プラネタリギヤのリングギヤに連結される第2のモータの回転数に一致させた上でエンジンの駆動トルクを実質的に0としてロックアップクラッチを締結させ、パラレル走行モードからシリーズ走行モードへ切り換える際には、エンジンの駆動トルクを漸次的に減少させると共にエンジンの駆動トルクの減少分だけ第2のモータの駆動トルクを漸次的に増加させ、エンジンの駆動トルクが実質的に0となったときの第2のモータの回転数に第1のモータの回転数を実質的に一致させてロックアップクラッチを解放させるため、ロックアップクラッチの締結・解放に伴う回転変動やトルク変動を防止することができ、運転フィーリングを悪化させることなく円滑な走行を実現することができる等優れた効果が得られる。
【0078】この場合、シリーズ走行モードからパラレル走行モードへ切り換える際に、第1のモータの回転数が、第2のモータの回転数に一致する時期を待たず、実質的に一致した時点でロックアップクラッチを締結させるようにすれば、クラッチ締結タイミングが適正化され、エンジン及び両モータを最も効率の良い領域で切換動作させることができ、燃費を向上させることができる。
【0079】更に、第2のモータの回転数に代えて、プラネタリギヤのキャリヤに連結される動力変換機構の入力回転数を読込み、この入力回転数に第1のモータの回転数が一致し、或いは実施的に一致したときロックアップクラッチを締結させるようにすれば、クラッチ締結時のショックをより一層低減させることができる。
【出願人】 【識別番号】000005348
【氏名又は名称】富士重工業株式会社
【出願日】 平成11年4月12日(1999.4.12)
【代理人】 【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
【公開番号】 特開2000−217204(P2000−217204A)
【公開日】 平成12年8月4日(2000.8.4)
【出願番号】 特願平11−104482