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【発明の名称】 リニアモ―タ式搬送台車の輸送設備
【発明者】 【氏名】藤澤 友二

【氏名】中野 陽二

【氏名】石塚 仁司

【氏名】浪岡 敏幸

【要約】 【課題】リニアモータ式輸送ラインにおいて搬送台車の往復走行を可能にし輸送効率を向上する【解決手段】 往復路兼用の励磁コイル3を中に挟んでその両側にコの字型の往復レール4Aおよび4Bが配設されている。往復レール4Aおよび4Bを、それぞれ、搬送台車5が走行可能である。輸送ライン1の先端および後端に乗り移り装置9が設けられている。往路レール4Aを走行してきた搬送台車5は、乗り移り装置9で減速し、停止し、この場所で荷物20が降ろされる。次いで、搬送台車5は、レールの一部13A、13Bとともに回転し、レールの一部13Aと復路レール4Bとが合わせられる。次いで、搬送台車5は、復路レール4Bを走行し、輸送ライン1の後端の乗り移り装置で停止し、同様にレール4の乗り移りを行う。このようにして循環輸送が行われる。

【解決手段】往復路兼用の励磁コイル3を中に挟んでその両側にコの字型の往復レール4Aおよび4Bが配設されている。往復レール4Aおよび4Bを、それぞれ、搬送台車5が走行可能である。輸送ライン1の先端および後端に乗り移り装置9が設けられている。往路レール4Aを走行してきた搬送台車5は、乗り移り装置9で減速し、停止し、この場所で荷物20が降ろされる。次いで、搬送台車5は、レールの一部13A、13Bとともに回転し、レールの一部13Aと復路レール4Bとが合わせられる。次いで、搬送台車5は、復路レール4Bを走行し、輸送ライン1の後端の乗り移り装置で停止し、同様にレール4の乗り移りを行う。このようにして循環輸送が行われる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 輸送ラインに所定間隔で取り付けられた励磁コイルと、前記励磁コイルの位置毎に取付けられた磁気センサと、複数の搬送台車に取り付けられた複数極の永久磁石とからなる同期型のリニアモータと、前記リニアモータによって駆動する搬送台車からなる輸送設備において、前記輸送ラインは、往復路兼用の前記励磁コイルを挟んで配された前記搬送台車の往路レールおよび復路レールと、往復路兼用のリニア駆動装置と、前記輸送ラインの先端および後端に設けられた前記往路レールおよび復路レール相互間の乗り移り装置とを備えることを特徴とするリニアモータ式搬送台車の輸送設備。
【請求項2】 前記乗り移り装置は、前記搬送台車の全長よりも所定距離長い長さで区切られた、長手方向の中心軸を軸として回転可能に設けられた、前記往路レールおよび復路レールの一部と、前記往路レールおよび復路レールの一部を回転駆動するための駆動源とからなり、前記乗り移り装置において、前記搬送台車の停止、荷物の積み降ろしおよび前記レール相互間の乗り移りをする請求項1記載の輸送設備。
【請求項3】 前記輸送ラインは、前記励磁コイル、前記磁気センサおよび前記リニア駆動装置がそれぞれ独立したゾーンからなり、前記ゾーンは複数相の整数倍の励磁コイルで構成されたセクションに更に分割されており、前記ゾーンの数は前記搬送台車の台数以上とし、1ゾーンに前記搬送台車が往路および復路にそれぞれ1台が存在しこれを超える台数が存在しないように常時前記搬送台車の速度を計測して制御する速度制御装置を備える請求項1または2記載の輸送設備。
【請求項4】 前記永久磁石の幅、前記励磁コイルのピッチおよび前記磁気センサによる前記永久磁石の磁束の検知によって複数の検知パターンを形成し、前記検知パターンに対応した複数相の前記励磁コイルに一定方向の推力が発生するように通電方向のパターンを形成して前記輸送台車を走行せしめ、また、逆方向に電流を流すことにより逆方向に推力を発生させて前記搬送台車の制動および逆方向の走行を可能とした請求項1、2または3記載の輸送設備。
【請求項5】 輸送ラインの途中に移動および取付け可能な停止装置を設け、前記停止装置において停止および荷物の積み降ろしを可能とした請求項1、2、3または4記載の輸送設備。
【請求項6】 前記検知パターン化によって前記搬送台車への推力方向を設定し、前記励磁コイル1つに対して前記磁気センサを1つ設け、前記ゾーン内の前記磁気センサの信号線を相毎にシリーズで結線して線数を低減した請求項4または5記載の輸送設備。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、輸送ラインの往復走行を可能にし、輸送効率を向上するリニアモータ式搬送台車の輸送設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】台車方式等による輸送において、台車の往復走行による効率の向上が課題となっている。物資の往復搬送が可能な従来技術として下記があげられる、(1)走行台車、モノレールおよびロープウェイで輸送する方法(以下、「先行技術1」という)。
(2)コンベアによる輸送方法(以下、「先行技術2」という)。
(3)自走台車による輸送方法(以下、「先行技術3」という)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技術は次のような問題点を有している。
(1)先行技術1:走行台車、モノレールおよびロープウェイで輸送する場合、往復輸送ラインが必要であった。単線であれば1台のみでの往復走行か、擦れ違いのための輸送ラインが必要なため輸送量は多くすることができなかった。
(2)先行技術2:コンベア輸送はコストが安く、一般的に用いられている方式であるが、コンベアで輸送する場合、曲がり部は乗り繋ぎが必要で、ここでの輸送物の落下対策および輸送対象物の制限があった。
(3)先行技術3:自走台車で輸送する方法では、複数台で駆動する場合、必ず往復路が必要である。
【0004】従って、この発明の目的は、上述の課題を解決し、往復走行を可能にし、輸送効率を向上することができるリニアモータ式搬送台車の輸送設備を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、輸送ラインに所定間隔で取り付けられた励磁コイルと、前記励磁コイルの位置毎に取付けられた磁気センサと、複数の搬送台車に取り付けられた複数極の永久磁石とからなる同期型のリニアモータと、前記リニアモータによって駆動する搬送台車からなる輸送設備において、前記輸送ラインは、往復路兼用の前記励磁コイルを挟んで配された前記搬送台車の往路レールおよび復路レールと、往復路兼用のリニア駆動装置と、前記輸送ラインの先端および後端に設けられた前記往路レールおよび復路レール相互間の乗り移り装置とを備えることに特徴を有するものである。
【0006】請求項2記載の発明は、前記乗り移り装置は、前記搬送台車の全長よりも所定距離長い長さで区切られた、長手方向の中心軸を軸として回転可能に設けられた、前記往路レールおよび復路レールの一部と、前記往路レールおよび復路レールの一部を回転駆動するための駆動源とからなり、前記乗り移り装置において、前記搬送台車の停止、荷物の積み降ろしおよび前記レール相互間の乗り移りをすることに特徴を有するものである。
【0007】請求項3記載の発明は、前記輸送ラインは、前記励磁コイル、前記磁気センサおよび前記リニア駆動装置がそれぞれ独立したゾーンからなり、前記ゾーンは複数相の整数倍の励磁コイルで構成されたセクションに更に分割されており、前記ゾーンの数は前記搬送台車の台数以上とし、1ゾーンに前記搬送台車が往路および復路にそれぞれ1台が存在しこれを超える台数が存在しないように常時前記搬送台車の速度を計測して制御する速度制御装置を備えることに特徴を有するものである。
【0008】請求項4記載の発明は、前記永久磁石の幅、前記励磁コイルのピッチおよび前記磁気センサによる前記永久磁石の磁束の検知によって複数の検知パターンを形成し、前記検知パターンに対応した複数相の前記励磁コイルに一定方向の推力が発生するように通電方向のパターンを形成して前記輸送台車を走行せしめ、また、逆方向に電流を流すことにより逆方向に推力を発生させて前記搬送台車の制動および逆方向の走行を可能としたことに特徴を有するものである。
【0009】請求項5記載の発明は、輸送ラインの途中に移動および取付け可能な停止装置を設け、前記停止装置において停止および荷物の積み降ろしを可能としたことに特徴を有するものである。
【0010】請求項6記載の発明は、前記検知パターン化によって前記搬送台車への推力方向を設定し、前記励磁コイル1つに対して前記磁気センサを1つ設け、前記ゾーン内の前記磁気センサの信号線を相毎にシリーズで結線して線数を低減したことに特徴を有するものである。
【0011】複数のゾーンに分けた同期型リニアモータを敷設した輸送ラインにおいて、励磁コイルを挟んでその両側に往路レールおよび復路レールを設け、そして、乗り移り装置を設ける。乗り移り装置を輸送ラインの先端および後端に設け、ここで、停止、荷物の積み降ろし、往・復レール相互間の移りを行う。また、1つのゾーンにおいて、搬送台車が往路を走行している場合、復路レールの搬送台車は往路レールの搬送台車が同ゾーンを外れるまで停止させておく。これにより、1つのリニアモータで搬送台車の往復駆動、輸送が可能である。
【0012】永久磁石、励磁コイルおよび磁気センサの検知によって検知パターンがパターン化され、1励磁コイルに対し往復路用各1センサの設置とし、それぞれ複数相毎にシリーズ結線を行うことで配線数を減らすことができる。
【0013】永久磁石を用いるリニアモータを使用しているため安定した推力が得られ、走行がスムーズであり、搬送台車の走行を高速化できる。また、万一停電になっても電源線を短絡することにより、容易に回生ブレーキが利用でき、衝突を防止できる。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0015】図1は、この発明の実施の形態に係る輸送ラインを示す平面図、図2は、この発明の実施の形態に係る輸送ラインを示す正面図、図3は、この発明の実施の形態に係る輸送ラインおよび往復レールの乗り移り装置を示す正面図、図4は、ストッパを示す側面図、図5は、この発明の実施の形態に係る輸送ラインの側面図である。
【0016】輸送ライン1には、等ピッチ(ピッチ:P)で、(3/磁石の極数)Pの幅(図1、2参照)を有する励磁コイル3が配列されている。なお、ここで幅とは、輸送ラインの長手方向(搬送台車の走行方向)の長さ(距離)を示している。輸送ライン1の長手方向に、励磁コイル3を中に挟んでその両側にコの字型の往復レール4Aおよび4Bが配設(図3、5においては上下に配設)されている(図5参照)。往復レール4(4Aおよび4B)においては、それぞれ、搬送台車5(5Aおよび5B)が走行可能である。2は搬送台車5の走行方向を示している。(図1参照)。搬送台車5には、バックプレート6が取り付けられ、バックプレート6を介して複数極(4〜5極)の永久磁石7が取り付けられている。永久磁石7の固定板として高磁性材のバックプレート6を用いることにより透磁効果が上がり効率が向上し、リニアモータの構成を簡素化することができ、コストを低減することができる。永久磁石7は1極(1枚)が(3/磁石の極数)Pの幅を有するように構成されている。永久磁石7の位置を検知するための磁気センサ8は、励磁コイル3の中央線上(図2参照)に取付けられている。
【0017】励磁コイル3を横切る永久磁石7の磁束に対し、フレミングの左手の法則に従い、永久磁石7に磁力が働き、搬送台車5にはそれの反力として推力が働く。推力の大きさは、励磁コイル3の巻き数と電流および磁束密度で決定される。このように、搬送台車の推力は、永久磁石数および励磁コイルの巻数で調整できるため、容易にコストを低減できる。
【0018】図3に示されるように、乗り移り装置9は、輸送ライン1の先端および後端(即ち、始点および終点)に設置されている。往路レール4Aおよび復路レール4Bは、輸送ライン1の端部から搬送台車5の全長よりも所定距離長い長さで区切られ、往路レールおよび復路レールの一部13Aおよび13Bを構成している。レールの一部13Aおよび13Bの先端には、ギヤードモータ14によって回転可能な回転フレーム12が取付けられている。回転フレーム12は回転フレーム12を止めるための伸縮または回転自在のストッパ15によって停止されロックされるようになっている。レールの一部13Aおよび13Bは、回転フレーム12によって長手方向の中心軸を軸として回転可能となっている。搬送台車5は、レールの一部13A、13Bとともに回転フレーム12によって回転し、往路レール4Aまたは復路レール4Bに乗り移ることができるようになっている。なお、レール4および13はコの字型のため(図5参照)、搬送台車5が落下することはない。図3、5において、10は全体フレーム、11は搬送台車の位置決め装置、16は制御用ボックス、17は全体フレーム10の高さ調整のためのアジャストボルト、23は分電盤、24はケーブルラックである。18は設備の組み立てや分解時に全体フレーム10を運搬させる輸送用キャスターである。
【0019】搬送台車5の永久磁石7は、励磁コイル3と近接する所定位置に設けられている。また、搬送台車5は、断面コの字型のレール4の走行面(下面)と接触する走行車輪21および側面と接触するサイド車輪22を有している。
【0020】図示しないが、輸送ラインの途中の所定位置に停止装置を設け、ここで停止し、荷物の積み降ろしをしてもよい。
【0021】図3に示される乗り移り装置9が設けられている場所は、輸送ライン1の先端である。この場所で搬送台車5に荷物を積み込む場合、往路レール4Aを走行してきた搬送台車5は、乗り移り装置9で減速し、位置決め装置11によって停止する。そして、この場所で荷台19から荷物20が降ろされる。次いで、新たな荷物20が積み込まれる。または、空のままとなる。次いで、搬送台車5は、レールの一部13A、13Bとともに回転し、レールの一部13Aと復路レール4Bとが合わせられる。次いで、搬送台車5は、復路レール4Bを走行し、輸送ライン1の後端の乗り移り装置(図示せず)において停止し、その場所で同様にレール4の乗り移りを行う。このようにして循環輸送が行われる。
【0022】図6は、複数のゾーン25におけるリニア駆動制御系統図である。ゾーン25毎にリニア駆動装置28が連結されており、ゾーン25は更に複数のセクション27A、27Bに分割されている。また、複数のリニア駆動装置28は、分散制御装置29で制御され、これらの全体システムを総合制御盤30で制御している。
【0023】また、磁気センサ8の信号は、リニア駆動装置28、分散制御装置29および総合制御盤30に入力される。ゾーン25は、励磁コイル3と往復路別々の磁気センサ8とリニア駆動装置28とがそれぞれ独立し、各ゾーン25に往復路用にそれぞれ1台の搬送台車5が存在しこれを超える台数が存在しないようにするように駆動制御される。
【0024】図7は、1セクション27の励磁コイル3の構成を示したものである。リニア駆動装置28からの複数相の電源線31は、セクション27毎に電源切替器32用分電盤23を通してパラレル接続される。配線38は、3相毎にシリーズで結線し、端末でつなぐ、スター結線で構成される。セクション27の励磁コイル3は、複数相の整数倍で構成され、相に合わせた励磁コイル3と磁気センサ8がシリーズで結線されている。このように相毎にシリーズ結線していることから、配線数を低減することができる。3相に対応した磁気センサ8の信号は、増幅回路34を通してリニア駆動装置28に伝送される。また、この信号をOR回路35に結ぶことで、搬送台車5がセクション27に存在する限り検知し続けることができる。この信号は3相電源の切替器32をONとし、セクション27毎に番地付けされた信号をリニア駆動装置28に伝送し続けることになる。これによって搬送台車5が存在するセクション27のみに電流を流すことができ、且つ、搬送台車5の位置信号が送られ、位置を知ることができる。
【0025】図8は、リニアモータの駆動方法を示し、永久磁石7と励磁コイル3の位置による電流の流し方(転流パターン)を示している。複数極の永久磁石7{搬送台車5には、幅が(3/磁石の極数)Pの永久磁石が5枚(5極)取り付けられている}、励磁コイル3、および、励磁コイル3の中央線上に取り付けた1方向性の磁気センサ8の検知によって8種類の検知パターン36がパターン化される。この検知パターン36に対応した、励磁コイル3に一定方向の最大推力が働くように電流の出力パターンがパターン化(1/4正、1/8停止、1/4負の電流方向)される(出力パターン37)。また、ゾーン25の切替え部において、永久磁石7の幅の分だけ各ゾーン25の出入り口に磁気センサ8を重複して設けることにより推力が低下せず次のゾーン25への乗り移りがスムーズになる。
【0026】このように、検知をパターン化することによって1つの励磁コイル3に対し1つの磁気センサ8の設置とすることができ、複数相毎にシリーズ結線を行うことで配線(信号線)38および電源線31数を減らすことができる。永久磁石7から出た磁束は励磁コイル3を通過して電流力が引き出される。推力の大きさは、励磁コイル3の巻数と電流および磁束密度で決定される。
【0027】本発明設備を予め工場等で製作しておき、現地に運んでここで連結がすることが可能なため輸送ラインの延長が容易であり、コストを低減することができる。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、下記に示す有用な効果がもたらされる。
(1)往路レールおよび復路レール、乗り移り装置を設け循環式の輸送ラインとすることにより、搬送台車の往復走行が可能であり輸送量の増大および輸送の高効率化を実現することができる。往復路の励磁コイルを兼用とすることでコスト低減ができる。
(2)永久磁石を用いるリニアモータを使用しリニアモータ駆動が磁気センサと永久磁石の極数によってパターン化して方向性を決定しているため安定した推力が得られる。
(3)輸送ラインがゾーンおよびセクションに分割されているため、複数の搬送台車の走行および輸送動力の低減が可能であり、低コストで輸送を実施することができ、また、機構を簡素化することができる。
(4)リニアモータを使用するため搬送台車に駆動部が無く構造を簡素化でき、台車の大きさの割に荷物を多く積み込めペイロードを大きくでき、輸送量の増大および輸送の高効率化を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【識別番号】000231132
【氏名又は名称】日本鋼管工事株式会社
【出願日】 平成11年1月14日(1999.1.14)
【代理人】 【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男
【公開番号】 特開2000−209708(P2000−209708A)
【公開日】 平成12年7月28日(2000.7.28)
【出願番号】 特願平11−7488