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【発明の名称】 電動車両用電源システム
【発明者】 【氏名】寺田 潤史

【要約】 【課題】環境温度が高いときに充電開始上限温度付近から充電を始めた場合でも所定の充電容量を確保でき、充電時間を短縮でき、電池寿命性能を確保できる電動車両の電源装置を提供する。

【解決手段】充電式電池400と、該電池400の残存容量及び温度を含む電池状態の管理を行なう電池管理装置401と、上記充電式電池102を充電する充電装置402とを備えた電動車両の電源システム403において、上記充電式電池400を充電する充電手段404と、電池残存容量, 電池温度に応じた充電電流値を上記充電手段404に指令する充電指令手段405とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 充電式電池と、該充電式電池を充電する充電手段と、該充電手段に上記充電式電池の残存容量及び温度を含む電池状態に応じた充電電流値を指令する充電指令手段とを備えていることを特徴とする電動車両用電源システム。
【請求項2】 請求項1において、上記充電指令手段は、上記充電式電池の残存容量及び温度を含む電池状態の管理を行なう電池管理装置に備えられていることを特徴とする電動車両用電源システム。
【請求項3】 請求項1において、上記充電指令手段は、上記充電式電池を充電する充電装置に備えられており、該充電指令手段は、上記充電式電池の残存容量及び温度を含む電池状態の管理を行なう電池管理装置からの電池状態に応じて上記充電電流値を決定することを特徴とする電動車両用電源システム。
【請求項4】 請求項1又は2において、上記充電指令手段は、上記充電電流値を、電池温度が所定値以下のときは上記充電手段の最大出力に対応した値とし、電池温度が上記所定値を越えるときは電池温度が高くなるほど小さい値とすることを特徴とする電動車両用電源システム。
【請求項5】 請求項4において、上記充電指令手段は、上記電池温度の所定値を、電池残存容量が小さいほど低い温度に設定することを特徴とする電動車両用電源システム。
【請求項6】 請求項1ないし5の何れかにおいて、上記充電指令手段は、充電電流の指令値を変更すると同時に、上記充電手段による充電時間を再設定することを特徴とする電動車両用電源システム。
【請求項7】 請求項1ないし6の何れかにおいて、上記充電式電池は、単電池を複数直列に接続してなる組電池を複数組並列に接続して構成されており、上記充電指令手段は、最も温度の高い組電池の電池残存容量と、該組電池の温度とに応じた充電電流値を上記充電手段に指令することを特徴とする電動車両用電源システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば電動自転車,電動車椅子,電動スクータ等にエネルギ源として採用されるNi−Cd,Ni−MH等の充電式電池の状態の管理を行なう電池管理装置と、上記充電式電池を充電する充電装置とを備えた電動車両用電源システムに関する。
【0002】
【従来の技術】充電式電池を充電する充電装置には、充電開始温度の上限値及び下限値を固定的に設定し、電池温度がその範囲内であれば自動的に定電流で充電が開始されるものがある。
【0003】また、充電停止については−ΔV, dT/dt, Tco等の停止制御手法を単独または複数併用して制御するのが一般的である。上記−ΔVは電池の最大電圧からの低下電圧値を、上記dT/dtは充電時間に対する電池温度の変化率を、上記Tcoは電池の充電停止温度をそれぞれ示しており、各値に基づいて充電停止が行なわれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、Ni−MH電池は充電反応が発熱反応であることから、環境温度が高い場合等に、充電開始上限温度付近から充電を始めると満充電になる前にTco(充電停止温度)を検知し充電が終了してしまう。なお、Tco値は電池の寿命性能を確保する為に極力低く設定される。
【0005】上述の、満充電になる前に充電が終了する問題を回避するためには、■充電レート(供給する充電電流値)を下げる,■充電開始温度を下げる,■Tco温度値を上げる等の策があるが、上記■では充電時間が長くなり、上記■では充電待機時間が長くなり、上記■では電池寿命性能に悪影響を及ぼすという問題がある。
【0006】本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、環境温度が高いときに充電開始上限温度付近から充電を始めた場合でも、所定の充電容量を確保でき、電池寿命を確保できる電動車両の電源装置を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】図19のクレーム構成図に示すように、請求項1の発明は、充電式電池400と、該充電式電池400を充電する充電手段404と、該充電手段404に上記充電式電池400の残存容量及び温度を含む電池状態に応じた充電電流値を指令する充電指令手段405とを備えたことを特徴とする電動車両用電源システムである。
【0008】請求項2の発明は、請求項1において、上記充電指令手段405は、上記電池400の残存容量及び温度を含む電池状態の管理を行なう電池管理装置401に備えられていることを特徴としている。
【0009】図20のクレーム構成図に示すように、請求項3の発明は、請求項1において、上記充電指令手段405は上記充電式電池400を充電する充電装置402に備えられており、該充電指令手段405は、上記電池400の残存容量及び温度を含む電池状態の管理を行なう電池管理装置401からの電池状態に応じて上記充電電流値を決定することを特徴としている。
【0010】請求項4の発明は、請求項1又は2において、上記充電指令手段405は、上記充電電流値を、電池温度が所定値以下のときは上記充電手段404の最大出力に対応した値とし、電池温度が上記所定値を越えるときは電池温度が高くなるほど小さい値とすることを特徴としている。
【0011】請求項5の発明は、請求項4において、上記充電指令手段405は、上記電池温度の所定値を、電池残存容量が小さいほど低い温度に設定することを特徴としている。
【0012】請求項6の発明は、請求項1ないし5の何れかにおいて、上記充電指令手段405は、充電電流の指令値を変更すると同時に、上記充電手段404による充電時間を再設定することを特徴としている。
【0013】請求項7の発明は、請求項1ないし6の何れかにおいて、上記充電式電池400が、単電池406を複数直列に接続してなる組電池407を複数組並列に接続して構成されており、上記充電指令手段405は、最も温度の高い組電池407の電池残存容量と、該組電池407の温度とに応じた充電電流値を上記充電手段404に指令することを特徴としている。
【0014】
【発明の作用効果】請求項1の発明に係る電動車両用電源システム403では、充電指令手段405により、充電式電池400を充電する充電手段404に、電池残存容量, 電池温度に応じた充電電流値を指令するようにしたので、例えば請求項4に示すように、充電電流値を、電池温度が所定値以下のときは充電手段404の最大出力に対応した値とし、上記所定値以上のときは電池温度が高くなるほど小さい値とし、また請求項5の発明に示すように、上記電池温度の所定値を電池残存容量が小さいほど低い温度に設定する、というように自由に設定することができる。例えば、環境温度が高いときに充電開始上限温度付近から充電を始めた時には、残存容量が小さいほど電池温度が高くなる前から充電電流を小さくして温度上昇を抑制することができ、満充電になる前に電池温度がTco(充電停止温度)となって充電が終了することを防止でき、充分に充電することができる。
【0015】請求項2の発明に係る電動車両用電源システム403では、電池の残存容量及び温度を含む電池状態の管理を行なう電池管理装置401に充電指令手段405を設けたので、電池残存容量, 電池温度に応じた充電電流値の演算時間を短縮することができる。
【0016】請求項3の発明に係る電動車両用電源システム403では、充電装置402に充電指令手段405を設け、該充電指令手段405により、電池管理装置401からの電池残存容量及び電池温度に応じて充電電流値を決定するようにしたので、電池管理装置401の構成を簡単にできる。
【0017】請求項4の発明では、充電中において充電電流値を、例えば図8に示すように、電池温度が所定値T1 〜T3 以下の期間は最大値に設定したので、充電時間を最短とすることができ、また上記所定値を越える期間は電池温度が高いほど充電電流を小さくしたので、電池温度の上昇を抑制でき、電池温度が充電停止温度に達するまでに充分な充電容量を確保できる。
【0018】また請求項5の発明では、例えば図8に示すように、上記電池温度の所定値を、電池残存容量が小さいほど低い温度に設定したので、残存容量が小さいほど電池温度の上昇を抑制でき、それだけ充電停止に至るまでの充電時間が長くなり、充電容量を確保できる。
【0019】請求項6の発明に係る電動車両用電源システム403では、充電指令手段405により、充電電流の指令値を変更すると同時に充電手段404による充電時間を再設定するようにしたので、充電時間の管理を正確に行なうことができる。即ち、充電電流値を小さく再設定した場合は必要な充電時間が延びることとなるが、充電電流の再設定に合わせて充電時間を再設定(延長)するようにしたので、充電電流を小さくしながら、十分な充電量を確保できる。
【0020】請求項7の発明に係る電動車両の電源装置403では、充電式電池400を、単電池406を複数直列に接続してなる組電池407を複数組並列に接続して構成し、充電指令手段405により、最も温度の高い組電池407の電池残存容量と該組電池407の温度とに応じた充電電流値を充電手段404に指令するようにしたので、全ての組電池において温度上昇を抑制でき、電池の寿命性能を確保することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1ないし図14は、請求項1, 2及び4ないし7の発明の第1実施形態による電動補助自転車用電源システムを説明するための図であり、図1は上記電動車両としての電動補助自転車の側面図、図2は上記電源システムのブロック構成図、図3は上記電源システムの変形例を示すブロック構成図、図4〜図6は上記電池管理装置と充電装置との間で送受信される信号データを説明するための図、図7は無段階電流制御による電池残存容量,充電電流,電池温度の関係を示す特性図、図8は多段階電流制御による電池残存容量,電池温度,充電電流の関係を示す特性図、図9は充電器出力パルス制御による放電深度(DOD),電池温度の関係を示す特性図、図10は電池残存容量と電池温度,電池電圧との関係を示す特性図、図11は上記電池管理装置の動作を、図12〜図14は上記充電装置の動作を、それぞれ説明するためのフローチャート図である。
【0022】図において、1は本実施形態電源システムのうち充電装置を非車載とし、着脱式電池ケースを備えた電動車両としての電動補助自転車であり、これの車体フレーム2はヘッドパイプ3と、該ヘッドパイプ3から車体後方斜め下方に延びるダウンチューブ4と、該ダウンチューブ4の後端から上方に略起立して延びるシートチューブ5と、上記ダウンチューブ4の後端から後方に略水平に延びる左, 右一対のチェーンステー6と、該両チェーンステー6の後端部と上記シートチューブ5の上端部とを結合する左, 右一対のシートステー7と、上記ヘッドパイプ3とシートチューブ5とを接続するトップチューブ11とを備えている。
【0023】上記ヘッドパイプ3にはフロントフォーク8が左右に回動可能に枢支されている。該フロントフォーク8の下端には前輪9が軸支されており、上端には操向ハンドル10が固着されている。また上記シートチューブ5の上端にはサドル12が装着されている。さらに上記チェーンステー6の後端には後輪(車輪)13が軸支されている。
【0024】なお、図示していないが、上記操向ハンドル10の中央には速度メータ等を備えた計器パネル(不図示)が設けられており、このパネル部分に、リフレッシュ放電が必要と判断された時にその旨が表示される表示装置を設けても良い。
【0025】上記車体フレーム2の下端部には、クランク軸16の両端突出部に取り付けられたクランクアーム16aを介してペダル16bに入力されたペダル踏力(人力)と、内蔵する電動モータ17からの人力の大きさに比例した補助動力との合力を出力するパワーユニット15が搭載されている。即ち、ペダル踏力の大きさがモータ駆動指令28となる。上記パワーユニット15からの出力はチェーン30を介して上記後輪13に伝達される。
【0026】なお、本実施形態自転車1は外部からモータ駆動指令28を入力するための自走レバー14をも備えており、該自走レバー14を操作することにより、ペダル16bに入力することなく電動モータ17からの動力のみで走行することも可能となっている。
【0027】また上記電動モータ17等の電源となる電池ケース100は上記シートチューブ5の後面に沿うように、かつ左,右のシートステー7,7に挟まれるように車体に対して着脱自在に配設されている。上記電池ケース100は、多数の単電池101を直列に接続してなる電池(充電式電池)102を収納しており、また上記電池102の温度を検出する温度センサ103と、該電池102の電流値を測定する電流計104とを備えている。さらに上記電池ケース100は、上記電池102の管理等を行なう電池管理装置105と、所定のデータを記憶するEEPROM106とを備えている。このEEPROM106には、上記所定のデータとして、充電式電池の充電中の残存容量, 温度等が記憶される【0028】また、上記電池ケース100は車載時には、コネクタ107, 108によりモータ駆動回路22と、コネクタ110, 111により上記電動補助自転車1の走行制御を行なう走行制御部109と通信I/F120a,120bを介して接続されている。
【0029】一方、上記電池ケース100は、充電時には車体から取り外された状態で、あるいは車載状態のままで上記コネクタ113, 114により非車載で全く独立に構成された充電装置112の出力側と接続され、コネクタ115, 116により上記充電装置112の通信I/F127,120cを介して接続される。
【0030】ここで図1において、100aは電池ケース100に設けられた充電口であり、該充電口100aに上記コネクタ113,114,115,116の電池ケース側端子が配置される。また121は充電装置112の充電プラグであり、この中に上記コネクタ113〜116の充電装置側端子が配置されており、上記充電口100aに差し込み自在となっている。上記電池ケース100と充電装置112とで本実施形態における電源システム21が構成される。
【0031】上記電池管理装置105は、上記温度センサ103からの電池温度データTと、電流計104からの電流値データIと、電池102の電圧データVとが入力され、上記充電式電池102のリフレッシュ放電の制御等を行なう電池管理・制御部117と、所定のデータを記憶する上記EEPROM106とを備えている。また、上記電池管理装置105は、上記電池管理・制御部117からの信号に基づいて、表示を必要とするときに表示ボタン118を押すことにより電池残存容量やリフレッシュお知らせ情報が表示される表示装置119と、上記充電装置112との通信を行なう通信I/F120cとを備えている。なお、上記表示装置119は、速度メータ等が設置される車両側の表示パネル部分, 又は上記充電装置112側に設けても良い。
【0032】そして、上記電池管理・制御部117は、上記充電中に充電式電池の残存容量及び温度に応じた充電電流を上記充電装置112に指令する充電指令手段として機能している。
【0033】上記充電装置112は、プラグ123をコンセントに接続することにより供給された交流電源を直流に変換するAC/DCコンバータ(充電手段)124と、該コンバータ124の出力の電圧値, 電流値を計測する電圧計125, 電流計126と、上記充電式電池102のリフレッシュ放電を行なう放電器135と、上記電圧計125, 電流計126からの計測値や上記通信I/F127からの所定の信号等が入力される充電/放電制御部128とを備えている。
【0034】また、上記充電装置112は、この充電装置112と上記電池ケース100とが接続されていることを示す接続信号を、上記充電/放電制御部128に出力する電池接続検知部129を備えている。
【0035】さらにまた、上記充電装置112には、後述する表示装置133にリフレッシュ放電が必要な旨が表示されている場合に、ユーザが押すことによって上記充電/放電制御部128にリフレッシュ放電指示信号を出力するリフレッシュスイッチ131が設けられている。なお、図2に示すように、上記リフレッシュスイッチ131と同じ機能を有するリフレッシュスイッチ137を電池ケース100側にも設けてもよい。
【0036】上記AC/DCコンバータ124の出力は出力制御部132を介して上記充電/放電制御部128により制御される。また、表示装置133や上記放電器135は上記充電/放電制御部128により制御される。そして上記表示装置133には、充電待機中,充電中,充電完了,充電停止,リフレッシュお知らせ,リフレッシュ中,リフレッシュ終了等の情報が表示される。このうちリフレッシュお知らせを電池ケース側の表示装置119にも同時に表示させるようにしても良い。
【0037】なお、図3に示すように、電池102´として、複数の電池102・・102が並列に接続されたものを用いる場合、各電池102の温度を検出する複数の温度センサ103・・103が設けられ、各センサ103・・103の検出値T1・・Tnが上記電池管理・制御部117に入力されるよう構成される。図3において、図2と同符号は同一または相当部分を示している。
【0038】次に、図4〜図6に基づいて、上記電動補助自転車1における電池管理装置105と充電装置112との間で送受信される信号データについて説明する。なお、図4〜図6は、信号データのナンバー(No),及び該ナンバーの内容を示している。
【0039】図4は、上記電池管理装置105から充電装置112にまとめて送信される充放電制御データを示しており、1として「リフレッシュお知らせ」が、2として「リフレッシュ放電電流値」が、3として「リフレッシュ放電停止電圧」が、4として「リフレッシュタイマー値」が、5として「充電開始下限温度」が、6として「充電開始上限温度」が含まれている。なお、上記「リフレッシュお知らせ」は、「有」又は「無」が示され、リフレッシュ放電の要否を知らせる信号として機能する。
【0040】図5は、上記電池管理装置105から充電装置112にまとめて送信される電池状態データを示しており、1として「充電電流値」が、2として「電池温度(1)」が、3として「電池温度(2)」が、4として「電池電圧」が、5として「現時点での電池残存容量」が、6として「電池実力容量、即ち現時点での容量学習値」が含まれている。なお、この容量学習値とは、充放電等を繰り返すうちに電池は次第に劣化しし、最大容量も次第に変化(低下)していく中で現時点での学習した最大の容量値のことである。
【0041】また、上記電池温度(1)は、図2に示すように上記充電式電池102を1組備える構成の電池温度を、上記電池温度(2)は2組備える構成の2組目の電池温度をそれぞれ意味している。また、図3に示すように上記充電式電池102を複数組備える場合には電池温度(1)〜(n)まで含まれる。
【0042】図6は、上記充電装置112から電池管理装置105にまとめて送信される充電器状態データを示しており、1として「充放電制御データ要求」6が、2として「電池状態データ要求」が、3として「リフレッシュ中」が、4として「リフレッシュ終了」が、5として「充電中」が、6として「充電待機中」が、7として「充電完了」が、8として「充電停止」が含まれる。なお、「充電完了」とは100%充電されたことを意味し、「充電停止」とはこれ以上充電を続けると危険である等の理由により充電を止めたことを意味している。
【0043】次に、図7〜図10に基づいて、本実施形態で行われる充電制御について説明する。図7に示す無段階電流制御では、充電電流値は、電池温度が所定値以下のときは上記充電装置112の最大出力に対応した値(Amax)に設定され、上記所定値を越えたときは電池温度が高くなるほど小さい値に設定される。そして、上記電池温度の所定値は電池残存容量が小さいほど低い温度に設定される。
【0044】具体的には、電池残存容量a=90%, b=60%, c=30%とすると、電池温度が所定の充電開始下限温度(例えば0℃)から充電停止温度(例えば50℃)まで変化する間に供給される充電電流は、上記残存容量a, b, cの電池の温度が所定値(T1, T2, T3)以下のときは上記充電装置112の最大出力に対応した値(Amax)に設定されるとともに、上記所定値(T1, T2, T3)を越えると温度上昇に伴って小さい値に設定される。上記所定値T1〜T3は、電池残存容量が小さいほど低い温度に設定される。従って充電電流は、電池温度が同じ場合(例えば45℃の時)には、残存容量の多い電池ほど大きい値に設定される。
【0045】上記電池残存容量とは、充電中においては充電容量を意味しており、充電の進行に伴って残存容量は増加する。従って充電電流は、無段階に変化することとなる。
【0046】また、上記多段階電流切替制御では、図8の特性図がマップデータとして用いられ、上記電池温度,電池残存容量が位置するハッチング領域に応じて、充電電流は、A1又はA2又はA3の何れかに設定される。従って、充電電流は電池温度が同じ場合(例えば45℃の時)には、残存容量の多い電池ほど大きい値に設定される。
【0047】さらにまた、上記電流出力パルス制御では、図9の特性図がマップデータとして用いられ、上記電池温度,放電深度(DOD)が位置するハッチング領域に応じて、定電流出力の充電電流のパルス幅が、I又はII又はIII の何れかに設定される。なお、パルス幅とは出力オン時の時間を意味し、パルス幅が大きい程平均充電電流が大きくなる。従って、充電電流は電池温度が同じ場合(例えば45℃の時)には、放電深度(DOD)の大きい電池ほど大きい幅のパルスが設定される。
【0048】図10は充電中における電池の残存容量(充電容量)と、電池温度,電池電圧の関係を示す。充電を開始すると電池電圧Vの上昇に伴って電池温度Tも上昇する。この電池温度Tは、充電電流が大きいほど急上昇する(T1,T2参照)。なお、図中における充電電流はT1>T>T2に設定されている。そのため、充電開始時電池温度,環境温度の如何及び充電電流の設定如何によっては、電池残存容量(SOC)が満充電Qに達する前に電池温度Tが充電停止温度TCOに達してしまうおそれがある。上記図8,図9は電池温度がこのような満充電前に充電停止温度に達するのを防止できる充電電流を予め実験等で求めたものである。
【0049】次に、図11〜図14のフローチャート図に基づいて、本電源システム21における電池管理装置105及び充電装置112の動作を説明する。図11は上記電池管理装置105の動作を、図12〜図14は上記充電装置112の動作をそれぞれ示している【0050】まず、図11に基づいて電池管理装置における充電電流値の決定処理動作を説明する。上記電池管理装置105が待機モードであって(ステップC1)、後述の接続信号(D9)の割込により、充電器接続信号が検出され(ステップC2)、上記充電装置112から送信された図6のNo1に示す「充放電制御データ要求」信号(D10)が受信されると(ステップC3)、上記電池管理装置105はリフレッシュ放電要否判定を実施し(ステップC4)、充放電制御データを作成し(ステップC5)、電池管理装置105から充電装置112に図4に示す充放電制御データが送信される(ステップC6)。
【0051】なお、上記ステップC4におけるリフレッシュ放電の要否判定は、初期もしくは先回のリフレッシュ放電からの充電回数,放電回数,又は充放電サイクル数や、先回のリフレッシュ放電必要の表示後のリフレッシュ放電実行の有無、あるいは放電停止電圧が検出されるまでの放電容量と実力容量との差に基づいて行われる。例えば上記充放電サイクル数が20回以上の場合、及びリフレッシュ放電必要表示後のリフレッシュ放電不実行時にリフレッシュ放電要と判定される。
【0052】次に、図6の「充電器状態データ」信号の受信が待機され(ステップC7)、この信号が正常に受信されると(ステップC8)、電池温度, 電圧, 電流が計測される(ステップC9)。そして、電池の残存容量が計算されて(ステップC10)、図7〜図9に基づいて充電電流値が決定され(ステップC11)、図5に示す電池状態データが上記充電装置112に送信される(ステップC12)。
【0053】そして、この電池管理装置105に上記充電装置112が接続されており(ステップC13)、上記「充電器状態データ」から充電完了信号が検出されると(ステップC14)、上記ステップC1の待機モードに処理が移行する。なお、上記ステップC13において、この電池管理装置105と上記充電装置112との接続が検出されない時も上記ステップC1の待機モードに処理が移行する。
【0054】また、上記ステップC8において、「充電器状態データ」信号が正常に受信されない時は、通信異常として(ステップC15)、異常表示2として上記表示装置133に交互点滅表示が行われる(ステップC16)。
【0055】次に、図12に基づいて充電準備段階にある上記充電装置112のACプラグ接続後の動作を説明する。上記充電装置112のプラグ123がコンセントに接続されると(ステップD1)、上記電池ケース100の接続検知が待機される(ステップD2。)
【0056】上記接続が検知され(ステップD2)、充電式電池102の電圧Vが20V未満であることが検出されると(ステップD3)、充電電流0. 5Aによる予備充電が開始され(ステップD4)、上記LED133が点灯されて充電中であることが表示され(ステップD5)、タイマーがオンされて充電時間が計測される(ステップD6)。
【0057】そして、上記充電式電池102の電圧Vが20V以上になると(ステップD7)、上記充電出力が停止され(ステップD8)、この充電装置112から上記電池管理装置105に、上記ステップC2で受信される充電器接続信号が送信され(ステップD9)、また、上記ステップC3で受信される図6に示す「充放電制御データ要求」信号の送信が開始され(ステップD10)、上記ステップC6で送信された上記充放電制御データが正常に受信されれば(ステップD11)、後述のリフレッシュ放電モードへ移行する。
【0058】また、上記ステップD11において、上記充放電制御データが正常に受信されない時は、通信異常として(ステップD12)、異常表示2が表示装置133に表示され(ステップD13)、この処理が終了する。
【0059】また、上記ステップD7において上記電圧が20V以上ではない状態が60分継続されると(ステップD14)、異常表示1が表示装置133に表示され(ステップD15)、この処理が終了する。
【0060】次に、図13に基づいて上記充電装置112のリフレッシュ放電処理動作を説明する。上記充電装置112がリフレッシュ放電モードであって(ステップE1)、上記ステップC5で作成された充放電制御データに「リフレッシュお知らせ」信号が含まれておれば(ステップE2)、上記表示装置133を構成する例えばLEDが一定時間点滅してリフレッシュ放電操作が必要であることを示すリフレッシュお知らせ表示が行われるとともに(ステップE3)、タイマーがオンされて経過時間の計測が開始される(ステップE4)。なお、上記ステップE2において、上記「リフレッシュお知らせ」信号が含まれて以内場合は、後述の充電モードへ処理が移行する。
【0061】上記ステップE4の計測開始から所定時間内に、上記リフレッシュスイッチ131がオンされない時は、タイムオーバーとして(ステップE5, E6)、上記リフレッシュお知らせ表示が消灯され(ステップE7)、後述の充電モードに移行する。これによって急いでいる場合等にはリフレッシュ放電を省略して充電時間を短縮できる。
【0062】上記ステップE5において、所定時間内に上記リフレッシュスイッチ131がオンされると、リフレッシュお知らせ表示が行われ(ステップE8)、この充電装置112から上記電池管理装置105に「充放電制御データ要求」信号を含む充電器状態データが送信開始され(ステップE9)、上記充電式電池のリフレッシュ放電が開始される(ステップE10)。
【0063】そして、上記ステップC12にて送信された図5に示す電池状態データが正常に受信され(ステップE11)、該データ内容に基づいてリフレッシュ放電を終了する判定がなされれば(ステップE12)、充電器状態データとしてリフレッシュ終了(図6No4)を送信し(ステップE13)、リフレッシュお知らせ表示が消灯され(ステップE14)、上記ステップE9において送信開始された「充電器状態データ」の送信が停止されて(ステップE15)、リフレッシュ放電が終了され(ステップE16)、後述の充電モードに移行する。
【0064】なお、上記ステップE11において、上記電池状態データが正常に受信されない時は、通信異常として(ステップE16)、異常表示2の処理が行なわれ(ステップE17)、この処理が終了する。また上記ステップE12においてリフレッシュ放電を終了する判定がなされないときはリフレッシュ中(図6No3)を送信する(ステップE13′)。
【0065】次に、図14に基づいて上記充電装置112の充電動作を説明する。この充電装置112が充電モードに移行すると(ステップF1)、該充電装置112から電池管理装置105に図6に示す「電池状態データ要求」信号を含む充電器状態データが送信開始される(ステップF2)。上記ステップC12にて上記電池管理装置105から送信された図5に示す電池状態データが正常に受信されると(ステップF3)、この電池状態データ内の電池温度が充放電制御データ内に設定されている充電開始下限温度と充電開始上限温度との間の充電開始温度かどうか判定され(ステップF4)、該充電開始温度でない時は充電は待機され(ステップF5)、上記表示装置133が充電待機表示として点滅されて(ステップF6)、上記ステップF3に処理が移行する。
【0066】上記ステップF4において電池温度が充電開始温度と判定されると、充電が開始され(ステップF7)、トータルタイマーによる経過時間の計測が開始され(ステップF8)、この充電装置112から上記電池管理装置105に図6に示す「電池状態データ要求」信号を含む充電器状態データが送信される(ステップF9)。上記ステップC12にて上記電池管理装置105から送信された図5に示す電池状態データが正常に受信されれば(ステップF10)、充電の終了判定が行なわれる(ステップF11)。
【0067】上記ステップF11において電池状態データより充電終了と判定された時は、この充電装置112から上記電池管理装置105に、上記ステップC20にて受信される図6に示すNo7の「充電完了」信号, 又はNo8の「充電停止」信号の何れかを含む充電器状態データが送信されるとともに(ステップF12)、補充電タイマーによる経過時間の計測が開始され(ステップF13)、補充電(例えば0.5A×2h)が開始され(ステップF14)、所定時間を経過すると補充電が停止されて(ステップF15)、この処理が終了となる。
【0068】また、上記ステップF3,F10において、上記電池管理装置105からの電池状態データが正常に受信されないときは、通信異常として(ステップF16)、異常表示2が表示装置133に表示され(ステップF17)、この処理が終了する。
【0069】上記ステップF11において充電終了と判定されない時は、充電電流のデータが変更されたかどうかが判断され(ステップF18)、変更されていればトータルタイマーが再設定され(ステップF19)、充電電流が変更されて上記ステップF9に処理が戻る(ステップF20)。なお、上記ステップF18において充電電流データが変更されていない時は充電電流を変更することなく上記ステップF9に処理が戻る。
【0070】このように本実施形態では、電池管理装置105から充電装置112に、充電中の電池残存容量,電池温度に応じた充電電流を指令するようにしたので、充電時間を最短にしながら、環境温度が高い場合でも満充電になる前に電池温度が充電停止温度に達して充電が終了することを防止でき、充電容量を確保できる。
【0071】即ち、上記充電電流を設定するにあたり、図7,図8に示すように、電池温度が所定値T1〜T3に達するまでは充電器最大出力に相当する充電電流としたので充電時間を最短にすることができる。また上記所定温度T1〜T3を越えた後は、充電電流値を電池温度が高くなるほど小さくしたので、電池温度の上昇が抑えられ、その結果電池温度が充電停止温度に達しにくくなり充電量が増加する。
【0072】また、上記ステップF19において、充電電流値を変更した場合には充電時間をトータルタイマで再設定するようにしたので、充電時間の管理を正確に行なうことができ、充電時間が不足することで充電量が少なくなるといった問題を回避できる。
【0073】次に、請求項1, 3ないし7の発明の第2実施形態による電動補助自転車の電源装置を、図15〜図17に基づいて説明する。本第2実施形態は、上記第1実施形態において電池管理装置105に設けた充電指令手段を充電装置112に設けたものであり、上記第1実施形態と異なる点のみを説明する。図15は電池管理装置から充電装置に送信される電池状態データを示す図、図16は電池管理装置の動作を、図17は充電装置の動作をそれぞれ説明するためのフローチャート図である。
【0074】本第2実施形態では、図2に示す上記充電/放電制御部128が充電指令手段として機能している。また、図15に示すように、上記電池管理装置105から充電装置112に送信される電池状態データは、上記第1実施形態における図5のNo2〜No6が、No1〜No5として送信される。
【0075】次に、図16に基づいて上記電池管理装置105の動作を説明する。本第2実施形態の電池管理装置105の動作は、上記第1実施形態で行なわれていた図11ステップC11の充電電流決定処理が行なわれないこと以外は上記第1実施形態と同様である。
【0076】次に、図17に基づいて上記充電装置112の充電動作を説明する。本第2実施形態の充電装置112では、ステップF11において充電終了判定が行なわれない時は、図15の電池状態データに基づいて充電電流データ変更の判断が行なわれる(ステップF21)。そして、上記充電電流データの変更がある場合は上記図7〜9に基づいて新たな充電電流値が設定され(ステップF22)、さらにトータルタイマーの再設定が行なわれ(ステップF23)、充電電流が変更されて(ステップF24)、上記ステップF9に処理が戻る。
【0077】このように、本第2実施形態では、上記充電装置112において、充電中の電池残存容量,電池温度に応じた充電電流を指令するようにしたので、上記第1実施形態と比べて上記電池管理装置105の構成を簡単にできる。また、電池の残存容量と温度とに応じて充電することができるため、環境温度が高いときに満充電になる前に充電が終了することを防止でき、所定の充電容量を確保できる。
【0078】また、充電電流が変更された時に計測時間を再設定して計測を再開するようにしたので、充電時間の管理を正確に行なうことができる。
【0079】なお、上記第1, 第2実施形態では、電源システム21が電池ケース100と充電装置112とを別体とし、充電装置112を非車載とし、電池ケース100を着脱式に車載した場合を示したが、充電装置112と電池ケース100とを分離可能にユニット化し、このユニットを車体に着脱自在としてもよい。何れの場合も充電装置112と電池ケース100とはコネクタで接続することになるが、本発明の電源システムは電池ケースと充電装置とを完全一体化して車体に対して着脱自在としても良い。また、充電式電池と充電装置を車体に固定式に搭載し(常時搭載)とし、充電時には単にプラグをコンセントに接続するだけとしてもよい。
【0080】図18は充電式電池と充電装置を車体に固定式に搭載(常時搭載)した、例えば電動スクータのような場合の第3実施形態を示す。本第3実施形態の電源システム200は、多数の単電池101を直列接続してなる電池102を備えた電池部212と、該電池102を充電する充電部214と、該充電部214による充電制御、及びリフレッシュ放電の制御を行なう制御部(ECU)215と、モータの駆動制御を行う駆動部216とを備えている。
【0081】上記制御部215は、AC/DCコンバータ124の出力側に接続された電流計126, 電圧計125からの各計測値や上記リフレッシュスイッチ131からの放電指令が入力され、出力制御部132,放電器135を制御する充電/放電制御部128と、上記電池102の電圧値V, 温度センサ103からの温度検出値T, 電流計104からのバッテリ電流値Iが入力される電池管理・制御部117とを有する。また上記駆動部216は、外部からの駆動指令28、例えばスロットルグリップからの指令が入力され、上記モータ駆動回路22を制御する走行制御部109を備えている。
【出願人】 【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
【出願日】 平成10年12月28日(1998.12.28)
【代理人】 【識別番号】100087619
【弁理士】
【氏名又は名称】下市 努
【公開番号】 特開2000−197212(P2000−197212A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−374097