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【発明の名称】 ハイブリッド車の制御装置
【発明者】 【氏名】田端 淳

【要約】 【課題】エンジンおよび電動機を有するハイブリッド車において、流体式トルク伝達装置の特性に応じてモータ・ジェネレータのトルクを制御する。

【解決手段】エンジンまたはモータ・ジェネレータの少なくとも一方から出力されたトルクを、トルクコンバータを介して車輪に伝達することの可能なハイブリッド車の制御装置において、モータ・ジェネレータから出力するトルクを、トルクコンバータの回転部材同士のトルク比に基づいて制御する電動機制御手段(ステップ201,〜210)を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エンジンまたは電動機の少なくとも一方から出力されたトルクを、流体式トルクコンバータを介して車輪に伝達することの可能なハイブリッド車の制御装置において、前記電動機から出力するトルクを、前記流体式トルクコンバータの回転部材同士のトルク比に関連する物理量に基づいて制御する電動機制御手段を備えていることを特徴とするハイブリッド車の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、複数の動力源を備えているハイブリッド車の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、車両の動力源として一般に使用されている内燃機関(エンジン)に加えて、第2の動力源として電動機を搭載した車両が開発されている。この種の車両では、電動機の出力する動力が、車両の走行のためには必ずしも充分ではないが、電動機の出力の制御性がよいこと、電動機を発電機として機能させればエネルギの回生をおこなうことできること、電動機は排ガスを生じないことなどの利点を生かして電動機を使用するように構成している。
【0003】このように、エンジンおよび電動機を動力源とするハイブリッド車の制御装置一例が、特開平8−168104号公報および特開平9−84210号公報に記載されている。まず、特開平8−168104号公報に記載された制御装置は、エンジンおよびモータ・ジェネレータの動力伝達経路に、トルクコンバータおよび変速機が配置されている。また、このトルクコンバータはロックアップクラッチを有する。さらに、モータ・ジェネレータには、インバータを介してバッテリが接続されている。そして、エンジンの回転脈動をキャンセルするように、モータ・ジェネレータのトルクを制御することにより、低車速域におけるロックアップクラッチの係合が可能になるとされている。
【0004】一方、特開平9−84210号公報に記載されたトルク制御装置は、前輪駆動車を対象としており、内燃機関またはモータ・ジェネレータから出力されたトルクが、変速機(CVT)を介して駆動輪に伝達されるように構成されている。また、モータ・ジェネレータのコイルに供給される界磁電流を制御する界磁制御部と、キャパシタの電力をモータ・ジェネレータに供給するインバータと、キャパシタの端子間電圧を検出する電圧センサとを有する。そして、駆動輪に伝達するべきトルクをモータ・ジェネレータのトルクによりアシストする場合に、キャパシタの端子間電圧が高いほど、モータ・ジェネレータによりトルクアシストする負荷領域を低負荷側に拡大することが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記公報に記載されているようなハイブリッド車において、エンジンおよびモータ・ジェネレータの駆動領域は、車速およびアクセル開度により設定される場合がある。これは、走行に必要、かつ充分な駆動力を発生することを基本とするが、エンジンやモータ・ジェネレータから出力されたトルクは、トルクコンバータにより増幅され、またその増幅率(トルク比)が走行状態によって変化することがある。すなわち、実際に得られる駆動力は、トルクコンバータの動作状態によって変化するが、上記各公報に記載された発明においては、トルクコンバータの性能と、モータ・ジェネレータのトルクとの関係については認識されていない。このため、駆動力が不足して走行性能が低下したり、あるいは反対に過剰な駆動力が発生して燃費が悪化したりする可能性があった。
【0006】この発明は上記課題を解決するためのもので、車輪に伝達するべきトルクを電動機によりアシストするにあたり、駆動力が不足して走行性能が低下したり、あるいは過剰な駆動力が発生して燃費が悪化したりすることを抑制することのできるハイブリッド車の制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目的を達成するためにこの発明は、エンジンまたは電動機の少なくとも一方から出力されたトルクを、流体式トルクコンバータを介して車輪に伝達することの可能なハイブリッド車の制御装置において、前記電動機から出力するトルクを、前記流体式トルクコンバータの回転部材同士のトルク比に関連する物理量に基づいて制御する電動機制御手段を備えていることを特徴とするものである。ここで、トルク比に関連する物理量には、トルク比または速度比が含まれる。
【0008】この発明によれば、電動機から出力するトルクが、流体式動力伝達装置の回転部材同士のトルク比に基づいて制御される。このトルク比は、道路状況に応じて変化する。したがって、たとえば、車輪に伝達するべきトルクを、エンジンのみにより発生する場合と、エンジンおよび電動機により発生する場合とに区分する条件を、流体式トルク伝達装置のトルク比に応じて変更することにより、車輪に伝達されるトルクを道路状況に即したものにすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図面を参照して具体的に説明する。図2は、この発明を適用したハイブリッド車の基本的な構成を示している。ここに示す例は、エンジン1の出力側にモータ・ジェネレータ(MG)2が配置され、モータ・ジェネレータ2の出力側にトルクコンバータ(T/C)5を介して自動変速機6が配置されている。エンジン1は、燃料の燃焼によって動力を出力する形式の装置であり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンのほかに、液化石油ガスや天然ガスなどのガス燃料を燃焼させるエンジンなどがその例である。
【0010】図3は、エンジン1からトルクコンバータ5に至るパワートレーンの構成を示すブロック図であり、図4はエンジン1から自動変速機6に至るパワートレーンのスケルトン図である。エンジン1のクランクシャフト13にフライホイール3が連結されているとともに、このフライホイール3に制振機構(ダンパ)4が連結されている。また、エンジン1とモータ・ジェネレータ2との間には、係合・解放可能なクラッチ100が設けられている。
【0011】モータ・ジェネレータ2は、エンジン1とは異なる種類の動力源であり、電気的エネルギを回転運動などの運動エネルギに変換して出力することのできる電動機としての機能と、運動エネルギを電気的エネルギに変換する発電機としての機能(回生機能)とを有する。前記モータ・ジェネレータ2として、例えば永久磁石型同期モータが使用され、その出力側部材であるロータの回転角度を検出するためのレゾルバ7がモータ・ジェネレータ2と並列に配列されている。そして、レゾルバ7のロータもモータ・ジェネレータ2のロータと同様に、ダンパ4とトルクコンバータ5とを連結している部材もしくはトルクコンバータ5の入力側の部材に連結されている。
【0012】さらに、モータ・ジェネレータ2にはインバータ101を介してバッテリ102が接続され、モータ・ジェネレータ2およびインバータ101ならびにバッテリ102を制御するコントローラ103が設けられている。前記インバータ101は、バッテリ102の直流電流を3相交流電流に変換してモータ・ジェネレータ2に供給する一方、モータ・ジェネレータ2で発電された3相交流電流を直流電流に変換してバッテリ102に供給する3相ブリッジ回路を備えている。
【0013】この3相ブリッジ回路は、例えば6個のパワートランジスタを電気的に接続して構成され、これらのパワートランジスタのオン・オフを切り換えることにより、モータ・ジェネレータ2とバッテリ102との間の電流の向きを切り換える。このようにして、3相交流電流と直流電流との相互の変換と、モータ・ジェネレータ2に印可される3相交流電流の周波数の調整と、モータ・ジェネレータ2に印可される3相交流電流の大きさの調整と、モータ・ジェネレータ2の回生制動トルクの大きさの調整とがおこなわれる。
【0014】そして、モータ・ジェネレータ2を電動機として機能させる場合は、バッテリ102からの直流電圧を交流電圧に変換してモータ・ジェネレータ2に供給する。また、モータ・ジェネレータ2を発電機として機能させる場合は、回転子の回転により発生した誘導電圧をインバータ101により直流電圧に変換してバッテリ102に充電する。さらに、コントローラ103は、バッテリ102からモータ・ジェネレータ2に供給される電流値、またはモータ・ジェネレータ2により発電される電流値を検出または制御する機能を備えている。また、コントローラ103は、モータ・ジェネレータ2の回転数を制御する機能と、バッテリ102の充電状態(SOC:state of charge)を検出および制御する機能とを備えている。
【0015】上記のモータ・ジェネレータ2は、エンジン1を始動させる機能と、車輪104に伝達する動力(トルク)を出力する機能と、車輪32Aから入力される運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを有する。このモータ・ジェネレータ2によりエンジン1を始動させる場合はクラッチ100が係合される。さらに、エンジン1を始動るためのスタータモータ1Cが別途設けられている。
【0016】一方、前記トルクコンバータ5は、フロントカバー33、ポンプインペラ35、ハブ46、タービンランナ48、ステータ35A、一方向クラッチ43、ロックアップクラッチ49などを有する公知の構造のものである。また、前記自動変速機6は変速機入力軸44を有し、その先端部にハブ46が取り付けられている。そして、このハブ46に対して、タービンランナ48とロックアップクラッチ49とが連結されている。ロックアップクラッチ49が解放されている場合は、ポンプインペラ35とタービンランナ48との間でオイルによりトルクが伝達され、ロックアップクラッチ49が係合された場合は、フロントカバー33とハブ46との間で機械的にトルクが伝達される。また、ロックアップクラッチ49がオフされている状態では、ポンプインペラ35からタービンランナ48に伝達されるトルクが増幅するトルクコンバータレンジと、トルクが増幅されない流体継手レンジとが設定される。
【0017】このトルクコンバータ5は、速度比eが増加するにともない、トルク比tが、トルクコンバータレンジにおいて徐々に減少し、カップリングポイントを境界とする流体継手レンジの速度比eにおいては、ほぼ一定のトルク比tを示す性能を有する。ここで、速度比eは、フロントカバー33およびポンプインペラ35の回転速度と、ハブ46および入力軸44の回転速度との比であり、トルク比tは、フロントカバー33およびポンプインペラ35ののトルクと、ハブ46および入力軸44のトルクとの比である。
【0018】また、自動変速機6は、後述する歯車変速機構55と油圧制御装置39とを備えており、歯車変速機構55から後方側に延びた出力軸32を介して車輪32Aにトルクを出力するようになっている。さらに、油圧制御装置39は、前記ロックアップクラッチ49の係合・解放の制御および変速制御ならびに摩擦係合装置の係合圧の制御をおこなうためのものであって、複数の電磁バルブや切り換えバルブならびに調圧バルブを備え、電磁バルブを電気的に制御することにより、上記の各制御を実行するように構成されている。なお、この油圧制御装置39としては、従来知られている自動変速機用の油圧制御装置を採用することができる。また、この実施形態においては、モータ・ジェネレータ2の他にモータ・ジェネレータ1Fが設けられており、このモータ・ジェネレータ1Fにより駆動される電動オイルポンプ1Dが設けられている。そして、電動オイルポンプ1Dにより発生した油圧を、油圧制御装置39の油圧回路に供給することが可能である。
【0019】図4に示す自動変速機6は、後進段を含む複数の変速段、具体的には前進5段・後進1段の変速段を設定することが可能である。すなわち、自動変速機6は、トルクコンバータ5に続けて副変速部61と、主変速部62とを備えている。その副変速部61は、いわゆるオーバードライブ部であって1組のシングルピニオン型遊星歯車機構63によって構成され、キャリヤ64が前記変速機入力軸44に連結され、またこのキャリヤ64とサンギヤ65との間に一方向クラッチF0と一体化クラッチC0 とが並列に配置されている。なお、この一方向クラッチF0 はサンギヤ65がキャリヤ64に対して相対的に正回転(変速機入力軸44の回転方向の回転)する場合に係合するようになっている。またサンギヤ65の回転を選択的に止める多板ブレーキB0 が設けられている。そしてこの副変速部61の出力要素であるリングギヤ66が、主変速部62の入力要素である中間軸67に接続されている。
【0020】したがって副変速部61は、多板クラッチC0 もしくは一方向クラッチF0 が係合した状態では遊星歯車機構63の全体が一体となって回転するため、中間軸67が変速機入力軸44と同速度で回転し、低速段となる。またブレーキB0 を係合させてサンギヤ65の回転を止めた状態では、リングギヤ66が変速機入力軸44に対して増速されて正回転し、高速段となる。
【0021】他方、主変速部62は三組の遊星歯車機構70,80,90を備えており、それらの回転要素が以下のように連結されている。すなわち第1遊星歯車機構70のサンギヤ71と第2遊星歯車機構80のサンギヤ81とが互いに一体的に連結され、また第1遊星歯車機構70のリングギヤ73と第2遊星歯車機構80のキャリヤ82と第3遊星歯車機構90のキャリヤ92との三者が連結され、かつそのキャリヤ92に出力軸57が連結されている。さらに第2遊星歯車機構80のリングギヤ83が第3遊星歯車機構90のサンギヤ91に連結されている。
【0022】この主変速部62の歯車列では後進段と前進側の四つの変速段とを設定することができ、そのためのクラッチおよびブレーキが以下のように設けられている。先ずクラッチについて述べると、互いに連結されている第2遊星歯車機構80のリングギヤ83および第3遊星歯車機構90のサンギヤ91と中間軸67との間に第1クラッチC1 が設けられ、また互いに連結された第1遊星歯車機構70のサンギヤ71および第2遊星歯車機構80のサンギヤ81と中間軸67との間に第2クラッチC2 が設けられている。
【0023】つぎにブレーキについて述べると、第1ブレーキB1 はバンドブレーキであって、第1遊星歯車機構70および第2遊星歯車機構80のサンギヤ71,81の回転を止めるように配置されている。またこれらのサンギヤ71,81(すなわち共通サンギヤ軸)とトランスミッションハウジング10との間には、第1一方向クラッチF1 と多板ブレーキである第2ブレーキB2 とが直列に配列されており、その第1一方向クラッチF1 はサンギヤ71,81が逆回転(変速機入力軸44の回転方向とは反対方向の回転)しようとする際に係合するようになっている。
【0024】多板ブレーキである第3ブレーキB3 は第1遊星歯車機構70のキャリヤ72とトランスミッションハウジング10との間に設けられている。そして第3遊星歯車機構90のリングギヤ93の回転を止めるブレーキとして多板ブレーキである第4ブレーキB4 と第2一方向クラッチF2 とがトランスミッションハウジング10との間に並列に配置されている。なお、この第2一方向クラッチF2 はリングギヤ93が逆回転しようとする際に係合するようになっている。
【0025】上述した各変速部61,62の回転部材のうち副変速部61のクラッチC0 の回転数を検出するタービン回転数センサ68と、自動変速機6の出力軸32の回転数を検出する出力軸回転数(車速)センサ69とが設けられている。そして、出力軸32にはプロペラシャフト(図示せず)などの動力伝達装置が接続され、この動力伝達装置を介して動力が車輪32Aに伝達されるように構成されている。
【0026】上記の自動変速機6では、各クラッチやブレーキを図5の作動図表に示すように係合・解放することにより前進5段・後進1段の変速段を設定することができる。なお、図5において○印は係合状態、空欄は解放状態、◎印はエンジンブレーキ時の係合状態、△印は係合するものの動力伝達に関係しないことをそれぞれ示す。
【0027】また自動変速機6は、シフトレバー4Cをマニュアル操作することにより、例えばP(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、4ポジション、3ポジション、2ポジション、Lポジションを選択することが可能である。
【0028】ここで、Dポジションは車速やアクセル開度などの車両の走行状態に基づいて前進第1速ないし第5速を設定するためのポジションであり、また4ポジションは、第1速ないし第4速、3ポジションは第1速ないし第3速、2ポジションは第1速および第2速、Lポジションは第1速をそれぞれ設定するためのポジションである。
【0029】上記のエンジン1、モータ・ジェネレータ2、自動変速機6、クラッチ100などの各装置は、車両の状態を示す各種の検出信号や、予め設定されているデータならびに制御パターンに基づいて制御される。具体的には、図6に示すように、マイクロコンピュータを主体とする総合制御装置(ECU)60に各種の信号を入力し、その入力された信号に基づく演算結果を制御信号として出力するようになっている。
【0030】この入力信号には、ABS(アンチロックブレーキシステム)コンピュータからの信号、車両安定化制御(VSC:商標)コンピュータからの信号、エンジン回転数NE の信号、エンジン水温の信号、イグニッションスイッチからの信号、バッテリ102のSOC(State of Charge:充電状態)信号、アクセルペダル1Aの操作量を示すアクセル開度の信号、エンジン1の吸気管に配置されている電子スロットルバルブ1Bの開度を示すスロットル開度信号、デフォッガのオン・オフ信号、エアコンのオン・オフ信号が含まれる。
【0031】また上記入力信号には、車速信号、自動変速機6の作動油温の信号、シフトレバー4Cの操作を示すシフトポジション信号、サイドブレーキのオン・オフ信号、フットブレーキペダル1Eのオン・オフ信号、触媒(排気浄化触媒)温度信号、カム角センサからの信号、スポーツシフト信号、車両加速度センサからの信号、モータ・ジェネレータ2の回生制動トルクを調整するための動力源ブレーキ力スイッチからの信号、タービン回転数NT センサ68からの信号、レゾルバ7の信号が含まれる。
【0032】また、出力信号には、クラッチ100への制御信号、点火装置への制御信号、燃料噴射装置への制御信号、コントローラ103への信号、スタータモータ1Cへの信号、油圧制御装置39の自動変速機(AT)ソレノイドへの信号、油圧制御装置39のATライン圧コントロールソレノイドへの信号、ABSアクチュエータへの信号、モータ・ジェネレータ1Fを制御する信号、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の駆動・停止をそれぞれ別個に表示する動力源インジケータへの信号が含まれる。
【0033】さらに出力信号には、スポートモードインジケータへの信号、VSCアクチュエータへの信号、油圧制御装置39のATロックアップコントロールバルブへの信号、電子スロットルバルブ1Bに対する制御信号、アシストインジケータ61に対する信号が含まれる。このアシストインジケータ61は、車輪32Aに伝達するべきトルクの少なくとも一部を、モータ・ジェネレータ2により発生することが可能であるか否かを、ランプもしくは音声などにより出力するためのものである。
【0034】上記ハード構成を有するハイブリッド車においては、アクセル開度、シフトポジション、車速、フットブレーキペダル1Eのオン・オフなどの信号が総合制御装置60に入力されると、これらの信号に基づいて駆動力要求が演算され、その演算結果に基づいて車両の駆動力が制御される。図7には、アクセル開度および車速をパラメータとして、エンジン1の駆動領域と、モータ・ジェネレータ2の駆動領域とを設定したマップの一例が示されている。つまり、発進時のように比較的軽負荷領域では、モータ・ジェネレータ2の単独駆動になるように設定され、エンジン効率の良好な領域においては、エンジン1の単独駆動になるように設定されている。
【0035】このようにして、駆動力要求の全部をエンジン1で発生させる駆動モードと、加速時などのように、駆動力要求の一部をエンジン1で発生させ、その不足分をモータ・ジェネレータ2の動力により補う駆動モードと、発進時などのように、エンジン効率の低い状態において、駆動力要求の全部をモータ・ジェネレータ2により発生させる駆動モードとを選択することが可能である。
【0036】さらに、総合制御装置60には、自動変速機6の変速段を制御するための変速線図(マップ)が記憶されている。この変速線図は、車速およびスロットル開度をパラメータとして設定されている。また、総合制御装置60にはロックアップクラッチ49の係合・解放を制御するためのロックアップクラッチ制御マップが記憶されている。このロックアップクラッチ制御マップは、車速およびスロットル開度をパラメータとして設定されている。ここで、実施形態の構成とこの発明の構成との対応関係を説明する。すなわち、モータ・ジェネレータ2がこの発明の電動機に相当し、トルクコンバータ5がこの発明の流体式トルク伝達装置に相当し、フロントカバー33、ポンプインペラ35、タービンランナ48、ハブ46、入力軸44がこの発明の回転部材に相当する。
【0037】図1は、上記ハード構成を有するハイブリッド車の制御例を説明するためのフローチャートである。先ず、データの読み込みなどの入力信号の処理(ステップ201)をおこない、図7に示すマップに基づいて、例えば、エンジン1の単独駆動状態に制御される。ついで、検出されるアクセル開度の変化率Δθが、予め総合制御装置60に設定されている所定値θA以上であるか否かが判断される(ステップ202)。つまり、ステップ202においては、運転者によるアクセルペダル1Aの急速な踏み込みの有無を判断している。
【0038】ステップ202で否定判断された場合は、運転者が急加速を要求していないことになるためそのままリターンし、ステップ202で肯定判断された場合は、運転者が急加速を要求していることになるため、車輪32Aに伝達するべきトルクの一部を、モータ・ジェネレータ2のトルクによりアシストする必要性がある。そこで、モータ・ジェネレータ2を駆動する前に、バッテリ102の充電量SOCが、予め総合制御装置60に設定されている所定充電量L%以上であるか否かが判断される(ステップ203)。なお、この所定充電量L%は、固定値でもよいし、アクセル開度の変化率Δθに応じて異なる値を適用してもよい。
【0039】ステップ203で否定判断された場合は、モータ・ジェネレータ2により負担するべきアシストトルクを発生することが不可能であるため、そのままリターンする。これに対して、ステップ203で肯定判断された場合は、現在の車速およびスロットル開度と、車速の変化率およびスロットル開度の変化率Δθと、現在のトルクコンバータ5の速度比eとに基づいて、直後(所定時間後)におけるトルクコンバータ5の速度比eを演算により予測する(ステップ204)。
【0040】そして、ステップ204で演算されたトルク比tが、所定値例えば1.5以上であるか否かが判断される(ステップ205)。ステップ205で否定判断された場合は、アクセルペダル1Aが急速に踏み込まれていたとしても、トルクコンバータ5のトルク比tが大きな領域にはならないような道路状況(例えば平坦路)であるため、モータ・ジェネレータ2によるトルクのアシストはおこなわず、エンジン1の単独駆動による走行を継続して(ステップ206)、リターンする。
【0041】前記ステップ205で肯定判断された場合は、運転者が急激な加速度の増加を要求しており、かつ、その後も継続して加速が必要な走行状態(例えば登坂路)であることになるため、車輪32Aに伝達するべきトルクを、エンジン1により発生する制御に加えて、モータ・ジェネレータ2のトルクによりアシストする制御をおこなう(ステップ207)。そして、バッテリ102の充電量SOCが所定充電量L%以上であるか否かが判断される(ステップ208)。つまり、ステップ207でおこなっているアシストトルクを、継続して維持することが可能か否かを判断している。
【0042】ステップ208で肯定判断された場合は、モータ・ジェネレータ2によるトルクのアシストが可能であることを、アシストインジケータ61により出力し(ステップ209)、リターンされる。これに対して、ステップ208で否定判断された場合は、モータ・ジェネレータ2によるトルクのアシストが不可能であることを、アシストインジケータ61により出力し(ステップ210)、リターンされる。このアシストインジケータ61の出力により、ステップ202に対応するアクセルペダル1Aの操作と同様な操作をおこなったとしても、アシストインジケータ61により「不可」が出力されている状態では、モータ・ジェネレータ2によりトルクをアシストすることはできず、加速性能が劣ることを運転者が予測的に理解することができる。
【0043】ここで、図1のフローチャートに示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明する。ステップ201,〜210がこの発明の電動機制御手段に相当する。以上のように図1の制御例によれば、車輪32Aに伝達するべきトルクを、エンジン1のみにより発生する場合(負荷領域)と、エンジン1に加えてモータ・ジェネレータ2によりアシストする場合(負荷領域)とに区分する条件(例えばアクセル開度および車速)を、トルクコンバータ5のトルク比tに応じて変更することが可能である。したがって、登坂路のように、継続的な加速が要求される道路状況において、車両の加速性能を向上することができる。これとは反対に大きな加速要求が発生していないような場合には、モータ・ジェネレータ2のアシストトルクを抑制し燃費を向上させることができる。なお、モータ・ジェネレータ2のトルク比と速度比とは一定の関係にあるため、モータ・ジェネレータ2によりアシストする場合の条件を、トルクコンバータ5の速度比に応じて変更することも可能である。
【0044】
【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、車輪に伝達するべきトルクを、エンジンのみにより発生する場合と、エンジンに加えて電動機によりアシストする場合とに区分する条件を、流体式トルクコンバータの回転部材のトルク比に応じて変更することが可能である。したがって、継続的な加速が要求されるような道路状況においては、車両の加速性能を向上することができ、これとは反対に大きな加速要求が発生していないような場合には、電動機のアシストトルクを抑制し燃費を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成10年12月24日(1998.12.24)
【代理人】 【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 丈夫
【公開番号】 特開2000−197209(P2000−197209A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−368080