トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 電動運搬車
【発明者】 【氏名】末繁 洋

【氏名】小野 直俊

【要約】 【課題】作業者の操作上の負担が軽く、しかも、狭い作業エリアで機動性が良く使いやすい動力運搬車を提供する。

【解決手段】車輪3とこの車輪3を駆動するモータ5とを備えた車体フレーム2の後部に接地スタンド7L,7Rを設け、車体フレーム2から後上方へ左右の操作ハンドル8L,8Rを延し、これら左右の操作ハンドル8L,8Rを持上げることで、地上から接地スタンド7L,7Rを浮かせた状態で操作するようにした電動運搬車において、左右の操作ハンドル8L,8Rの端部に各々グリップ9L,9Rを設け、これら左又は右のグリップ9L,9Rの近傍に且つ車幅中心CL側に、モータ5への供給電圧を制御する制御レバー31を配置した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車輪とこの車輪を駆動するモータとを備えた車体フレームの後部に接地スタンドを設け、前記車体フレームから後上方へ左右の操作ハンドルを延し、これら左右の操作ハンドルを持上げることで、地上から接地スタンドを浮かせた状態で操作するようにした電動運搬車において、前記左右の操作ハンドルの端部に各々グリップを設け、これら左又は右のグリップの近傍に且つ車幅中心側に、前記モータへの供給電圧を制御する制御レバーを配置したことを特徴とする電動運搬車。
【請求項2】 前記制御レバーは、前記グリップを握った手の親指で操作可能な位置に配置したものであることを特徴とする請求項1記載の電動運搬車。
【請求項3】 前記車体フレームに備えた車輪を、車体フレームの略車幅中心の単一の車輪としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動運搬車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電動運搬車に関する。
【0002】
【従来の技術】通称「猫車」(ねこぐるま)と言われる手押し式の一輪運搬車又は二輪運搬車は、小型で小回りが利くので、工事現場や農地など種々の場所で使用されている。しかし、このような簡易な構成の一・二輪運搬車で、重量物を運搬したり上り坂を登るには、操作する作業者の負担が大きい。作業者の負担を軽くするためには、一・二輪運搬車を動力で自力走行させることが考えられ、このような運搬車としては、例えば、実公昭51−25250号公報「原動機付手押し一輪運搬車」がある。
【0003】上記従来の技術は、その公報の第1図及び第2図によれば、車体1(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)に、単一の車輪3とエンジンからなる原動機25とを取付け、車体1の後部に接地用脚部7を設け、車体1から後上方へ左右のハンドル9,11を延し、左右のハンドル9,11を持上げることで、地上から脚部7を浮かせた状態で操作するようにした、原動機付手押し一輪運搬車である。さらに上記従来の技術は、その公報の第2図によれば、右のハンドル11にアクセルレバー53を取付け、このアクセルレバー53を操作して、原動機25を制御するというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術は、動力運搬車であるため、重量物を運搬したり上り坂を登るときの労力軽減にはなる。しかし、左右のハンドル9,11を持上げた状態を維持しつつ、手でアクセルレバー53を操作することは難しい。このため、アクセルレバー53を操作するときには、ハンドル9,11を持ち替えることになり、操作が面倒である。従って、手押し式の一・二輪運搬車のように機動性や使い易さが良いとはいえない。工事現場、ビニールハウス、屋内などの狭いエリアで使用する運搬車では、機動性や使い易さが求められる。
【0005】そこで、本発明の目的は、作業者の操作上の負担が軽く、しかも、狭い作業エリアで機動性が良く使いやすい動力運搬車を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1の発明は、車輪とこの車輪を駆動するモータとを備えた車体フレームの後部に接地スタンドを設け、車体フレームから後上方へ左右の操作ハンドルを延し、これら左右の操作ハンドルを持上げることで、地上から接地スタンドを浮かせた状態で操作するようにした電動運搬車において、左右の操作ハンドルの端部に各々グリップを設け、これら左又は右のグリップの近傍に且つ車幅中心側に、モータへの供給電圧を制御する制御レバーを配置したことを特徴とする。
【0007】一般に、左右の操作ハンドルを手で持上げるときには、親指を除く他の指で操作ハンドルを持上げることができる。このため、左右の操作ハンドルを他の指で持上げつつ、親指で制御レバーを操作すればよい。左右の操作ハンドルを手で握ったとき、親指は車幅中心側を向く。グリップの車幅中心側に制御レバーがあるので、この制御レバーを親指で操作することは容易である。
【0008】請求項2の発明は、制御レバーを、グリップを握った手の親指で操作可能な位置に配置したものであることを特徴とする。グリップを握った手の親指の近くに制御レバーがあれば、親指によるレバー操作は容易である。
【0009】請求項3の発明は、車体フレームに備えた車輪を、車体フレームの略車幅中心の単一の車輪としたことを特徴とする。従来の手押し式一輪運搬車と同様の機動性と、モータでの自走による労力軽減性とを兼ね備えた動力運搬車となる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は作業者から見た方向に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右側を示す。また、図面は符号の向きに見るものとする。
【0011】図1は本発明に係る電動運搬車の斜視図である。電動運搬車1は、平面視矩形の車体フレーム2に、単一の車輪3と左右のバッテリ4L,4Rとモータ5と、モータ5の出力を車輪3へ伝達する動力伝達機構6とを取付け、さらに、車体フレーム2の後部に接地スタンド7L,7Rを設け、車体フレーム2から後上方へ左右の操作ハンドル8L,8Rを延し、これら左右の操作ハンドル8L,8Rを持上げることで、地上から接地スタンド7L,7Rを浮かせた状態で操作するようにした、電動一輪運搬車である。左右の操作ハンドル8L,8Rはバーハンドルであり、その端部にグリップ9L,9Rを取付けたものである。さらに、左の操作ハンドル8Lはブレーキレバー11を備え、右の操作ハンドル8Rは制御レバー機構30を備える。図中、12は車体フレーム2上部の荷台、13は荷台用柵である。
【0012】図2は本発明に係る電動運搬車の側面図である。動力伝達機構6は、モータ5の動力を第1減速機構15と伝動軸16と第2減速機構17とによって、車軸18を介して車輪3に伝達する機構である。第1減速機構15は、モータ5から車軸18へのみ動力伝達可能な、図示せぬ一方向クラッチ(ワンウエイクラッチ)を内蔵する。
【0013】図3は本発明に係る電動運搬車の平面図であり、車輪3を車体フレーム2の車幅中心(車幅方向略中央)CLに配置し、2つのバッテリ4L,4Rを車体フレーム2の左右に配置し、モータ5を車幅中心CLから右寄りに配置したことを示す。車体フレーム2は、後部の取付板21にキースイッチ22及びバッテリ残量表示計23を取付けるとともに、荷台12の下にポテンショメータ40を取付けたものである。
【0014】図4は本発明に係る制御レバー機構の平面図であり、制御レバー機構30の制御レバー31を右のグリップ9Rの近傍に且つ車幅中心CL側に配置したことを示す。さらには、制御レバー31を、右のグリップ9Rを握った手Hの親指Fで操作可能な位置に配置したことを示す。制御レバー31は、図3に示すポテンショメータ40を介して、モータ5への供給電圧を制御するレバーである。図中、37は制御レバー機構取付バンドである。
【0015】図5(a),(b)は本発明に係る制御レバー機構の構成図であり、(a)は側面図、(b)は断面図である。ポテンショメータ40(図3参照)を作動させるための制御レバー機構30は、制御レバー31に右手の親指を掛けて図面時計回りに回すことで、軸32を中心に中継レバー33を時計回りに回すことにより、スロットルワイヤ34を図左から右へ引くものであり、オートリターン機構としてのねじりばね35を備える。軸32は、ケース36を貫通して図面手前へ延び、先端に制御レバー31を取付けたものである。
【0016】図6(a),(b)は本発明に係る制御レバー機構の作用図であり、(a)は側面図、(b)は断面図である。この図は、制御レバー31を時計回りに回したことで、中継レバー33を介してスロットルワイヤ34を引いたことを示す。ねじりばね35が中継レバー33を反時計回りに弾発しているので、掛けている親指Fを外すと中継レバー33は反時計回りに回ってスロットルワイヤ34を戻し、結果的に図5に示す状態となる。すなわち、ねじりばね35はオートリターン機構の役割を果たし、制御レバー31をフリーにすると、制御レバー31、中継レバー33及びスロットルワイヤ34を常に図5の姿勢に戻す。
【0017】図7は本発明に係るポテンショメータの平面図である。ポテンショメータ40は、ケース41に軸42を介してレバー43を取付けた抵抗器であり、図示せぬ3個の端子を備え、その中の2個を抵抗素子の両端に接続し、他の1個をレバー43の作用で抵抗素子に沿って、機械的に移動する摺動接点に接続したものである。
【0018】図8は図7の8−8線断面図である。ポテンショメータ40は、レバー43をスロットルワイヤ34(図5参照)で回すことにより、軸42が回り、下部に内蔵した摺動接点を移動させるものであり、軸42にオートリターン機構としてのねじりばね44を備える。このねじりばね44は、軸42を常に戻す役割を果たす。
【0019】図9は停車時のポテンショメータと制御レバーの作用図である。制御レバー31から指を外すと、制御レバー31は付属のオートリターン機構の作用で図の位置へ戻り、且つポテンショメータ40も付属のオートリターン機構の作用で図の中立位置へ戻り、モータへの給電を実質的にゼロにしてモータの回転数をゼロにする。
【0020】図5で説明したとおりに制御レバー31にオートリターン機構35を備え、且つ、図8で説明したとおりにポテンショメータ40にオートリターン機構44を備えたので、確実に図9の状態になり、モータを停止する。
【0021】図10は高速走行時のポテンショメータと制御レバーの作用図である。制御レバー31を図面時計方向へ倒すことにより、ポテンショメータ40のレバー43が時計回りに回り、モータへの供給電圧が高まり、走行速度が高まる。
【0022】図11(a)〜(c)は電動運搬車の作用図である。(a)は荷物を積んだ電動運搬車1が、車輪3と左右の接地スタンド7L,7Rとで自立した状態を示す。ポテンショメータ40は中立状態にあり、モータ5への給電を実質的にゼロにしてモータ5の回転数をゼロにしている(モータ停止)。電動運搬車1を走行させるには、作業者Mが、先ず左右のグリップ9L,9Rを握って、操作ハンドル8L,8Rを持上げることで、(b)に示すように、地上から接地スタンド7L,7Rを浮かせる。その状態で、左右のグリップ9L,9Rを押しながら歩行すれば、電動運搬車1を人力だけで走行させることができる。なお、第1減速機構15に一方向クラッチ(図示せず)を内蔵しているので、車輪3の回転力はモータ5に伝達されない。
【0023】重量物を積んだ電動運搬車1を走行させたり、上り坂で電動運搬車1を走行させる場合のように、モータ5の動力で走行させたいときには、(c)に示すように右のグリップ9Rを握った手Hの親指Fを、制御レバー31に掛けて押し操作することで、制御レバー31を倒す。この結果、(b)に示すポテンショメータ40によってモータ5への供給電圧を高めて、モータ5で動力を発生し、この動力で自力走行させることができる。自力走行させるので労力は軽減する。さらに、制御レバー31を倒す程度に応じてモータ5への供給電圧が高まり、電動運搬車1の走行速度は高まる。
【0024】このように作業者Mは、操作ハンドル8L,8Rを持上げることで接地スタンド7L,7Rを浮かせた状態で、(1)グリップ9L,9Rを握って電動運搬車1を人力だけで走行させたり、(2)右のグリップ9Rを握った手Hの親指Fを制御レバー31に掛けて操作することで、モータ5の動力で自力走行させることができる。グリップ9Rを握った手Hの親指Fで制御レバー31を操作するだけなので、操作感覚(操作フィーリング)が良好であり、操作性が高まるとともに、操作上の負担も軽い。
【0025】特に、電動運搬車1は一輪運搬車なので、運搬中に左右のグリップ9L,9Rから両手を離すことができない。このような電動運搬車1を手押し走行中に、自力走行をさせたい状況のときであっても、作業者Mは親指Fを動かすだけで、特別の操作をする必要がなく、従来の手押し式一輪運搬車(通称「猫車」)と同様の手押し作業を行うだけでよい。このため、運搬作業は極めて容易である。以上のように、電動運搬車1は従来の手押し式一輪運搬車と同様に小回りが利き、狭い作業エリアであっても機動性が良く、使いやすい。しかも、重量物を運搬したり上り坂を登るときであっても、作業者Mの負担は軽い。さらには、作業者Mの操作上の負担も軽い。
【0026】なお、上記本発明の実施の形態において、(1)電動運搬車1は、一輪運搬車に限定するものではなく、例えば、左右二輪運搬車、前後二輪運搬車、四輪運搬車であってもよい。
(2)制御レバー機構30は、左の操作ハンドル8Lに配置してもよく、その場合であっても、制御レバー31を車幅中心CL側に配置することになる。
【0027】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮する。請求項1は、左右の操作ハンドルの端部に各々グリップを設け、これら左又は右のグリップの近傍に且つ車幅中心側に、モータへの供給電圧を制御する制御レバーを配置したので、左右の操作ハンドルを手で握ったときに車幅中心側を向く親指によって、制御レバーを操作することは容易である。従って、グリップを握り、操作ハンドルを持上げて接地スタンドを浮かせつつ、電動運搬車を人力だけで走行させたり、この状態から、親指を除く他の指でグリップを握り、握った手の親指を制御レバーに掛けて操作することで、モータの動力で電動運搬車を自力走行させることができる。この結果、作業者の操作上の負担を軽くすることができるとともに、狭い作業エリアで機動性が良く使いやすい動力運搬車にすることができる。しかも、親指を除く他の指でグリップをしっかり握ることで、無駄の無い操縦力で、極めて安定した操縦をすることができるとともに、握った手の親指を、無理無く極めて自然な指使いで、制御レバーに掛けて操作することができる。従って、従来の手押し式運搬車と同様に小回りが利き、機動性が良く、使いやすい電動運搬車とすることができる。
【0028】請求項2の発明は、制御レバーを、グリップを握った手の親指で操作可能な位置に配置したので、グリップを握った手の親指の近くに制御レバーがあり、親指での操作をより容易にすることができる。
【0029】請求項3の発明は、車体フレームに備えた車輪を、車体フレームの略車幅中心の単一の車輪としたので、従来の手押し式一輪運搬車と同様に旋回性が良く、小回りが利き、狭い作業エリアであっても機動性が良く、使いやすい電動運搬車とすることができる。さらに、単一の車輪とした場合には、地上から接地スタンドを浮かせた状態での電動運搬車を、左右バランスを十分に保ちながら走行させることが、重要な操縦ポイントになるが、親指を除く他の指でグリップをしっかり握ることで、安定した操縦をすることができるとともに、握った手の親指を、極めて自然な指使いで制御レバーに掛けて操作することができる。この結果、機動性に優れた一輪運搬車であるとともに、手押し走行時と動力走行時のどちらにおいても、従来の手押し式一輪運搬車と同様の操作性並びに機動性を兼ね備えた動力運搬車となる。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成10年12月4日(1998.12.4)
【代理人】 【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
【公開番号】 特開2000−175310(P2000−175310A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−345867