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【発明の名称】 車両の制動力制御装置
【発明者】 【氏名】中村 誠志

【氏名】多賀 豊

【氏名】天野 正弥

【要約】 【課題】モータ・ジェネレータの回生制動力を運転者の意図に可及的に適合させる。

【解決手段】車輪から入力される運動エネルギにより回転されて回生制動力を発生するモータ・ジェネレータを有し、所定の条件に対応してモータ・ジェネレータにより発生するべき基準回生制動力が予め設定されている車両の制動力制御装置において、車両の乗員により操作される回生制動力調整用ポテンショの操作内容を判断する回生制動力変更意図判断手段(ステップ101)と、基準回生制動力および回生制動力調整用ポテンショの操作内容に基づいて、モータ・ジェネレータの回生制動力を制御する回生制動力制御手段(ステップ102,〜ステップ110)とを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車輪から入力される運動エネルギにより回転されて回生制動力を発生するモータ・ジェネレータを有し、このモータ・ジェネレータの回生制動力を含む車両の総合制動力が予め設定されている車両の制動力制御装置において、車両の乗員により操作される回生制動力変更装置の操作内容を判断する回生制動力変更意図判断手段と、前記回生制動力変更装置の操作内容に基づいて、予め設定されている総合制動力を補正する制動力補正手段と、この制動力補正手段により補正された総合制動力に基づいて、前記モータ・ジェネレータの回生制動力を制御するモータ・ジェネレータ制御手段とを備えていることを特徴とする車両の制動力制御装置。
【請求項2】 前記車両にエンジンが搭載されており、前記モータ・ジェネレータ制御手段には、前記補正後の総合制動力からエンジンブレーキ力を減じた値に基づいて、前記モータ・ジェネレータを制御する機能が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の車両の制動力制御装置。
【請求項3】 前記車両には乗員により操作されて減速要求を発生する減速要求発生装置が設けられており、前記制動力補正手段には、前記減速要求発生装置の操作により減速要求が発生する場合に、前記回生制動力変更装置の操作内容に基づいて、予め設定されている総合制動力を補正する機能が含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の制動力制御装置。
【請求項4】 前記制動力補正手段には、前記回生制動力変更装置が操作されてから所定時間以内に、前記減速要求発生装置の操作による減速要求が発生しない場合は、前記回生制動力変更装置の操作内容をキャンセルする機能が含まれていることを特徴とする請求項3に記載の車両の制動力制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、回生制動力を発生するモータ・ジェネレータを有する車両の制動力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、2種類以上の駆動力源を搭載したハイブリッド車が提案されている。このようなハイブリッド車においては、各々の駆動力源の有する特性を生かしつつ、駆動力源同士で相互に欠点を補うことにより、総合的な効率の向上を図ることが可能である。このようなハイブリッド車の制御装置の一例が、特開平9−277847号公報に記載されている。この公報に記載された制御装置においては、エンジンと自動変速機との間にモータ・ジェネレータが設けられている。
【0003】そして、複数のエンジンブレーキ力を選択できるエンジンブレーキレベル選択手段と、エンジンブレーキレベル選択手段によって選択されたエンジンブレーキレベルに応じて自動変速機の変速比を変更し、エンジンが車両の運動エネルギにより回転駆動されることにより、変速比に応じた制動力を車両に作用させるエンジンブレーキ用変速制御手段と、エンジンブレーキレベル選択手段によって選択されたエンジンブレーキレベルに応じて、自動変速機の変速制御により得られる車両制動力と等しい車両制動力が得られるように、モータ・ジェネレータの発電力を制御するエンジンブレーキ用発電力制御手段とを備えている。前記エンジンブレーキレベル選択手段としてはシフトレバーが例示されている。
【0004】その結果、シフトレバーの操作によりエンジンブレーキレベルが選択され、そのエンジンブレーキレベルに応じてモータ・ジェネレータの発電力が制御され、その発電力に応じた制動力が車両に作用する。なお、上記公報において「エンジンブレーキ」には、エンジンのポンプ作用などによる車両制動作用のみならず、モータ・ジェネレータの回生制動トルクによる車両制動作用も含むとされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公報に記載された制御装置においては、モータ・ジェネレータの回生制動トルクが、シフトレバーの操作に対応して各変速段毎に一律に設定される。このため、モータ・ジェネレータの回生制動力が運転者の意図に適合せずに運転者が違和感をもつ可能性があった。
【0006】この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、モータ・ジェネレータの回生制動力を運転者の意図に可及的に適合させることの可能な車両の制動力制御装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、車輪から入力される運動エネルギにより回転されて回生制動力を発生するモータ・ジェネレータを有し、このモータ・ジェネレータの回生制動力を含む車両の総合制動力が予め設定されている車両の制動力制御装置において、車両の乗員により操作される回生制動力変更装置の操作内容を判断する回生制動力変更意図判断手段と、前記回生制動力変更装置の操作内容に基づいて、予め設定されている総合制動力を補正する制動力補正手段と、この制動力補正手段により補正された総合制動力に基づいて、前記モータ・ジェネレータの回生制動力を制御するモータ・ジェネレータ制御手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0008】請求項1の発明によれば、車両の乗員により操作される回生制動力変更装置の操作内容に基づいて総合制動力が補正され、補正後の総合制動力に基づいて、モータ・ジェネレータの回生制動力が制御される。
【0009】請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記車両にエンジンが搭載されており、前記モータ・ジェネレータ制御手段には、前記補正後の総合制動力からエンジンブレーキ力を減じた値に基づいて、前記モータ・ジェネレータを制御する機能が含まれていることを特徴とするものである。
【0010】請求項2の発明によれば、請求項1と同様の作用が生じるほか、エンジンブレーキ力とモータ・ジェネレータの回生制動力との対応関係に基づいて、モータ・ジェネレータの回生制動力が制御される。
【0011】請求項3の発明は、請求項1または2の構成に加えて、前記車両には乗員により操作されて減速要求を発生する減速要求発生装置が設けられており、前記制動力補正手段には、前記減速要求発生装置の操作により減速要求が発生する場合に、前記回生制動力変更装置の操作内容に基づいて、予め設定されている総合制動力を補正する機能が含まれていることを特徴とするものである。
【0012】請求項3の発明によれば、請求項1または2と同様の作用が生じるほか、減速要求発生装置の操作により減速要求が発生している場合に、予め設定されている総合制動力が補正される。
【0013】請求項4の発明は、前記制動力補正手段には、前記回生制動力変更装置が操作されてから所定時間以内に、前記減速要求発生装置の操作による減速要求が発生しない場合は、前記回生制動力変更装置の操作内容をキャンセルする機能が含まれていることを特徴とするものである。
【0014】請求項4の発明によれば、請求項3と同様の作用が生じるほか、回生制動力変更装置が操作されてから所定時間以内に減速要求が発生しない場合は、回生制動力変更装置の操作内容がキャンセルされる。
【0015】この発明において、回生制動力変更装置の操作内容に基づいて、予め設定されている総合制動力を補正する機能には、演算処理により総合制動力を補正する機能と、予め回生制動力変更装置の操作内容に応じて複数の変更用総合制動力を用意しておき、回生制動力変更装置の操作内容に応じて、総合制動力を変更用総合制動力に読み替える機能とが含まれる。上記請求項3または請求項4において、減速要求の発生には、実際に減速要求が発生している場合と、減速要求が発生する可能性がある場合とが含まれる。
【0016】
【発明の実施の形態】つぎにこの発明を図を参照してより具体的に説明する。図2は、この発明を適用したハイブリッド車のパワートレーンの構成を示すスケルトン図、図3は、図2のハイブリッド車のシステムの構成を示すブロック図、図4は、ハイブリッド車の制御回路を示すブロック図である。この実施形態におけるハイブリッド車は、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2を有する。エンジン1は、車両の第1の駆動力源としての機能と、エンジンブレーキ力発生源としての機能とを有する。また、モータ・ジェネレータ2は、車両の第2の駆動力源としての機能と、回生制動力発生源としての機能とを有する。そして、エンジン1の出力側にモータ・ジェネレータ2が配置されている。また、モータ・ジェネレータ2と車輪3との間の動力伝達経路にはトルクコンバータ4が配置され、上記動力伝達経路におけるトルクコンバータ4と車輪3との間には、自動変速機5が配置されている。
【0017】上記エンジン1としては、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンまたはLPGエンジン等の内燃機関が用いられる。このエンジン1は、始動装置(スタータモータ)6、燃料噴射装置7、吸排気装置8、点火装置9、冷却装置10等を備えた公知の構造のものである。
【0018】また、エンジン1の吸気管には電子スロットルバルブ11が設けられており、電子スロットルバルブ11の開度が電気的に制御されるように構成されている。エンジン1のクランクシャフト12と、モータ・ジェネレータ2の回転軸13との間の動力伝達経路にはクラッチ14が設けられており、このクラッチ14の係合・解放により、クランクシャフト12と回転軸13との間の動力伝達経路が接続もしくは遮断される。さらに、クラッチ14とクランクシャフト12との間の動力伝達経路にはダンパ15が設けられている。なお、特に図示しないが、クラッチ14を設けることなく、回転軸13とダンパ15とを直結する構成を採用することも可能である。
【0019】モータ・ジェネレータ2は、例えば交流同期型のものが適用される。モータ・ジェネレータ2は、永久磁石を有する回転子16と、コイルが巻き付けられた固定子17とを備えている。そして、コイルの3相巻き線に3相交流電流を流すと回転磁界が発生し、この回転磁界を回転子16の回転位置および回転速度に合わせて制御することによりトルクが発生する。モータ・ジェネレータ2により発生するトルクは電流の大きさにほぼ比例し、モータ・ジェネレータ2の回転数は、交流電流の周波数により制御される。そして、このモータ・ジェネレータ2は電気エネルギを機械エネルギに変換する電動機としての機能と、機械エネルギを電気エネルギに変換する発電機としての機能とを有する。
【0020】前記トルクコンバータ4は、駆動側部材のトルクを流体を介して従動側部材に伝達する機能を備えており、このトルクコンバータ4は、ポンプインペラ18に一体化させたフロントカバー19と、自動変速機5の入力軸20に連結されたタービンランナ21と、ポンプインペラ18から流体を介してタービンランナ21に伝達されるトルクを増幅するためのステータ22とを有する。そして、フロントカバー19が回転軸13に対して接続されている。さらに、フロントカバー19の内部には、係合・解放可能なロックアップクラッチ23が設けられており、ロックアップクラッチ23の係合・解放により、回転軸13と入力軸20との間におけるトルク伝達状態が変更される。なお、ロックアップクラッチ23の係合には、完全係合とスリップとが含まれる。
【0021】前記自動変速機5は、複数の遊星歯車機構24と、これらの遊星歯車機構24のトルク伝達経路を切り換えるために係合・解放される複数の摩擦係合装置25とを備えた公知の有段式自動変速機である。これらの摩擦係合装置25の係合・解放状態の切り換えにより、自動変速機5の変速比(つまり変速段)が制御される。この自動変速機5は、例えば前進段において第1速〜第5速のいずれかが設定されるように構成されている。一方、油圧制御装置26が設けられており、この油圧制御装置26により、自動変速機5の変速段の設定または切り換え制御、ロックアップクラッチ23の係合・解放やスリップ制御、摩擦係合装置25に作用する油圧の油圧回路におけるライン圧の制御、摩擦係合装置25の係合圧の制御などがおこなわれる。
【0022】この油圧制御装置26は電気的に制御されるもので、自動変速機5の変速を実行するための第1ないし第3のシフトソレノイドバルブS1 ,〜S3 と、エンジンブレーキ状態を制御するための第4ソレノイドバルブS4 とを備えている。さらに、油圧制御装置26は、油圧回路のライン圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLTと、自動変速機5の変速過渡時におけるアキュームレータ背圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLNと、ロックアップクラッチ23や所定の摩擦係合装置の係合圧を制御するためのリニアソレノイドバルブSLUとを備えている。
【0023】さらに、自動変速機5のケーシングの内部には、オイルポンプ27が設けられている。このオイルポンプ27は、油圧制御装置26により制御される油圧の元圧を発生する機能を備えている。そして、回転軸13の動力がポンプインペラ18を介してオイルポンプ27に伝達され、この動力によりオイルポンプ27が駆動される構成になっている。つまり、オイルポンプ27は、エンジン1の動力またはモータ・ジェネレータ2の動力のいずれでも駆動することが可能である。
【0024】前記自動変速機5の出力軸28にはプロペラシャフト29が接続されており、このプロペラシャフト29が差動装置30に接続されている。なお、この差動装置30は最終減速装置としての機能をも備えている。そして、差動装置30にアクスルシャフト31が接続され、アクスルシャフト31に対して車輪3が取り付けられている。
【0025】つぎに、図3に基づいて、モータ・ジェネレータ2の制御回路を説明する。モータ・ジェネレータ2と、モータ・ジェネレータ2に電力を供給するメインバッテリ32との間の回路にはインバータ33が配置されている。メインバッテリ32の定格電圧は、例えば288Vに設定されている。インバータ33は、メインバッテリ32の直流電流を3相交流電流に変換してモータ・ジェネレータ2に供給する一方、モータ・ジェネレータ2で発電された3相交流電流を直流電流に変換してメインバッテリ32に供給する3相ブリッジ回路(図示せず)を備えている。
【0026】この3相ブリッジ回路は、例えば6個のパワートランジスタ(図示せず)を電気的に接続して構成され、これらのパワートランジスタのオン・オフを切り換えることにより、モータ・ジェネレータ2とメインバッテリ32との間の電流の向きを切り換える。このようにして、3相交流電流と直流電流との相互の変換と、モータ・ジェネレータ2に印可される3相交流電流の周波数の調整と、モータ・ジェネレータ2に印可される3相交流電流の大きさの調整と、モータ・ジェネレータ2の回生制動トルクの大きさの調整とがおこなわれる。
【0027】前記メインバッテリ32の正極とインバータ33との間の回路には、第1のシステムメインリレーSMR1が配置されている。また、第1のシステムメインリレーSMR1と相互に並列に第3のシステムメインリレーSMR3が配置されているとともに、第2のシステムメインリレーSMR2に対して直列に制限抵抗34が配置されている。さらに、メインバッテリ32の負極とインバータ33との間の回路には、第3のシステムメインリレーSMR3が配置されている。これら第1ないし第3のシステムメインリレーSMR1ないしSMR3は、モータ・ジェネレータ2とメインバッテリ32との間に形成されている高電圧回路の接続・遮断をおこなう機能を有する。
【0028】また、前記メインバッテリ32は、所定電圧のセルを複数直列に配置することにより1モジュールを構成したものであり、複数のモジュールを2つのホルダーに分割して直列に接続した構成が採用されている。このメインバッテリ32の回路には、安全プラグ35が接続されている。
【0029】さらに、インバータ33と第2のシステムメインリレーSMR2との間、およびインバータ33と第3のシステムメインリレーSMR3との間には、DCDCコンバータ36が接続されている。このDCDCコンバータ36には補機バッテリ37が接続されている。補機バッテリ37の定格電圧は、例えば12Vに設定されている。このDCDCコンバータ36は、メインバッテリ32の直流電圧を所定電圧に降圧し、補機バッテリ37に充電する機能を有する。この補機バッテリ37は、エアコン用コンプレッサ、メインバッテリ32を冷却するウォーターポンプ51などに電力を供給する機能と、各種の電子制御装置(後述)に電力を供給する機能とを有する。
【0030】一方、メインバッテリ32には、メインバッテリ用電子制御装置38を介してハイブリッド用電子制御装置39が接続されているとともに、インバータ33には、モータ・ジェネレータ用電子制御装置40を介してハイブリッド用電子制御装置39が接続されている。メインバッテリ用電子制御装置38、ハイブリッド用電子制御装置39、モータ・ジェネレータ用電子制御装置40は、それぞれ、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RAM、ROM)ならびに入力・出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。
【0031】そして、メインバッテリ32とメインバッテリ用電子制御装置38とが相互にデータ通信可能に接続され、メインバッテリ用電子制御装置38とハイブリッド用電子制御装置39とが相互にデータ通信可能に接続されている。また、インバータ33とモータ・ジェネレータ用電子制御装置40とが相互にデータ通信可能に接続され、モータ・ジェネレータ用電子制御装置40とハイブリッド用電子制御装置39とが相互にデータ通信可能に接続されている。
【0032】前記メインバッテリ用電子制御装置38は、メインバッテリ32の充電量SOCを検出するとともに、メインバッテリ32とモータ・ジェネレータ2との間に流れる電流の電流値を検出する機能を有する。モータ・ジェネレータ用電子制御装置40は、ハイブリッド用電子制御装置39からの信号により、インバータ33を介してモータ・ジェネレータ2を制御する機能を有する。
【0033】さらに、ハイブリッド用電子制御装置39には、変速機用電子制御装置41と、エンジン用電子制御装置42と、ブレーキ用電子制御装置43と、エアコン用電子制御装置44とが接続されている。そして、変速機用電子制御装置41と、エンジン用電子制御装置42と、ブレーキ用電子制御装置43と、エアコン用電子制御装置44とは、それぞれ、中央演算処理装置(CPU)および記憶装置(RAM、ROM)ならびに入力・出力インターフェースを主体とするマイクロコンピュータにより構成されている。そして、ハイブリッド用電子制御装置39と、変速機用電子制御装置41およびエンジン用電子制御装置42およびブレーキ用電子制御装置43およびエアコン用電子制御装置44とが、相互にデータ通信可能に接続されている。上記各電子制御装置は、補機バッテリ37を電源として起動される。
【0034】また、変速機用電子制御装置41には、自動変速機5の変速比を制御するために、車両の走行状態、例えば車速およびアクセル開度をパラメータとする変速線図が記憶されている。さらに、変速機用電子制御装置41には、車速およびアクセル開度をパラメータとしてロックアップクラッチ23の係合・解放を制御するロックアップクラッチ制御マップが記憶されている。
【0035】さらに、シフトレバー45のシフトポジションを検出するシフトポジションセンサ46の信号が変速機用電子制御装置41に入力されている。このシフトレバー45により、例えば、P(パーキング)ポジション、R(リバース)ポジション、N(ニュートラル)ポジション、D(ドライブ)ポジション、2ポジション、L(ロー)ポジションなどを選択することが可能に構成されている。そして、このシフトポジションセンサの信号に基づいて、ハイブリッド用電子制御装置39から制御信号が出力され、この制御信号に基づいて、油圧制御装置26の各種のリニアソレノイドバルブなどのアクチュエータが制御される。
【0036】また、車両の乗員により操作されるアクセルペダル47の踏み込み量、すなわちアクセル開度を検出するアクセル開度センサ48の信号がエンジン用電子制御装置42に入力されている。そして、アクセル開度センサ48の信号およびシフトポジションセンサ46の信号に基づいてエンジン1の出力、自動変速機5の変速比(変速段)、モータ・ジェネレータ2のトルクが演算され、車両の駆動力が制御される。ここで、エンジン1の出力は、電子スロットルバルブ11の開度制御、燃料噴射装置7の燃料噴射量制御、点火装置9の点火時期制御などにより調整される。また、自動変速機5の変速比は油圧制御装置26により制御される。さらに、モータ・ジェネレータ2のトルクは電流値により制御される。
【0037】また、ハイブリッド車は、油圧ブレーキ装置(図示せず)を備えており、この油圧ブレーキ装置は、ブレーキペダル49、マスターシリンダ、ホイールシリンダ、ホイールシリンダに作用する油圧を制御するアクチュエータなどを有する公知のものである。そして、ブレーキ用電子制御装置43にはブレーキペダル49の踏み込み量を検出するセンサの信号が入力されており、ブレーキペダル49の踏み込み量に基づいて車両に対する制動要求(減速要求)を判断することが可能である。この判断結果に基づいて、油圧ブレーキ装置により確保する制動力と、モータ・ジェネレータ2の機能により確保する制動力(回生制動力)とが演算され、その演算結果に基づいて、モータ・ジェネレータ2の回生制動トルクおよび油圧ブレーキ装置のホイールシリンダの油圧が制御される。さらに、車両の減速時にはブレーキペダル49の踏み込みに関わりなく、モータ・ジェネレータ2の回生制動力と協同して、所定の車両総合制動力を確保するために、ホイールシリンダに油圧を作用させる制御をおこなうことも可能である。
【0038】また、エアコン用電子制御装置44にはエアコンスイッチ50の信号が入力されている。このエアコンスイッチ50の信号に基づいてエアコン用コンプレッサの駆動が制御される。なお、ハイブリッド用電子制御装置39には各種センサ52の信号が入力されているとともに、これらのセンサ52の信号もしくはその他のセンサやスイッチの信号に基づいて、各種のアクチュエータ53に対する制御信号が出力される。これらのセンサ52には、シフトポジションセンサ46、アクセル開度センサ48、入力軸20の回転数(言い換えればタービン回転数)を検出する入力軸回転数センサ61、出力軸28の回転数を検出する出力軸回転数センサ62などが含まれる。この出力軸回転数センサ62の信号に基づいて車速が演算される。
【0039】また、アクチュエータ53には、油圧制御装置26の各種のリニアソレノイドバルブ、油圧ブレーキ装置のアクチュエータ、電子スロットルバルブ11の開度を制御するアクチュエータ、クラッチ14を係合・解放させるアクチュエータなどが含まれる。
【0040】つぎに、ハイブリッド用電子制御装置39における入出力信号を、図4に基づいて総括的に説明する。ハイブリッド用電子制御装置39に対しては、補機バッテリ37の充電量SOCを検出する補機バッテリ用電子制御装置54の信号、イグニッションキーの操作位置を検出するイグニッションスイッチ55の信号、メインバッテリ用電子制御装置38の信号、インバータ33の温度を示す信号、メインバッテリ32の電圧を示すメインバッテリ用電子制御装置38の信号、モータ・ジェネレータ2の回転数および回転角度を検出するレゾルバ57の信号、エンジン用電子制御装置42の信号が入力されている。
【0041】また、ハイブリッド用電子制御装置39に対しては、変速機用電子制御装置41の信号、ブレーキ用電子制御装置43の信号、エアコン用電子制御装置44の信号、エンジン用電子制御装置42の信号系統に異常が発生したときのダイアグノーシス信号、車両の衝突時に膨張・展開するエアバッグ装置(図示せず)を制御するエアバッグ用電子制御装置58の信号、ストップランプスイッチ59の信号、インターロックスイッチ60の信号、車両の乗員により操作され、かつ、モータ・ジェネレータ2の回生制動力を調整するための回生制動力調整用ポテンショ63の信号、乗員により操作され、かつ、回生制動力調整用ポテンショ63の操作内容を確定させるための回生制動力変更指示セットスイッチ64の信号が入力されている。
【0042】すなわち、予めハイブリッド用電子制御装置39には、車速およびシフトポジションをパラメータとして、車両に作用する制動力を制御するための基本総合制動力が記憶されている。この基本総合制動力には、エンジン1により発生するエンジンブレーキ力と、モータ・ジェネレータ2の回生制動力とが含まれている。そして、運転者が回生制動力調整用ポテンショ63を操作することにより、基本総合制動力を増・減させることが可能である。
【0043】一方、ハイブリッド用電子制御装置39からは、始動装置6に対する駆動信号(スタータ信号)、始動装置6のスタータリレーに対する制御信号、ハイブリッドシステムにおける各種のリレー56に対する制御信号、第1ないし第3のシステムメインリレーSMR1ないしSMR3に対する駆動信号、DCDCコンバータ36に対する駆動信号または停止信号、インバータ33に対する停止要求信号、インバータ33の3相、すなわちU相、V相、W相に対する駆動信号、エンジン用電子制御装置42に対する制御信号、変速機用電子制御装置41に対する制御信号、ブレーキ用電子制御装置43に対する信号、エアコン用電子制御装置44に対する信号などが出力されている。
【0044】ここで、上記ハイブリッド車の構成と、この発明の構成との対応関係を説明する。すなわち、回生制動力調整用ポテンショ63がこの発明の回生制動力変更装置に相当し、アクセルペダル47またはブレーキペダル49がこの発明の減速要求発生装置に相当し、回生制動力変更指示セットスイッチ64がこの発明の確定装置に相当する。
【0045】上記ハード構成を有するハイブリッド車の制御内容を簡単に説明する。すなわち、アクセル開度および車速ならびにその他の条件に基づいて電子スロットルバルブ11の開度制御をおこなう。また、アクセルペダル47の操作状態、およびブレーキペダル49の操作状態に基づいて、車両に対する速度変更要求(言い換えれば駆動力の変更要求)が判断される。具体的には加速要求もしくは減速要求が判断される。そして、アクセル開度およびシフトポジションに基づいて、必要な駆動力が判断され、エンジン1の出力、自動変速機5の変速比、モータ・ジェネレータ2のトルクなどが制御される。
【0046】図5は、ハイブリッド車の駆動力特性を決定するプロペラシャフト29の回転数と、プロペラシャフト29のトルクとの関係を示す線図である。図5においては、エンジン1が単独で駆動するエンジン駆動状態(言い換えればエンジン走行状態)におけるプロペラシャフト29の回転数およびプロペラシャフト29の回転数と、モータ・ジェネレータ2が単独で駆動するモータ・ジェネレータ駆動状態(言い換えればEV走行状態)におけるプロペラシャフト29の回転数およびプロペラシャフト29の回転数とが示されている。エンジン駆動状態については、自動変速機5の第1速〜第5速に対応する特性がそれぞれ示されている。また、図5には、エンジン1に対応するプロペラシャフト29の負のトルク(エンジンブレーキ力)の特性の一例と、モータ・ジェネレータ2に対応するプロペラシャフト29の負のトルク(回生制動力)の特性の一例とが示されている。
【0047】車両の走行に際しては、アクセル開度ならびに車速に基づいて演算される必要エンジン出力と、しきい値Pevとが比較される。このしきい値Pevは、ハイブリッド用電子制御装置39に予め記憶されている。そして、演算された必要エンジン出力が値Pev以上である場合は、エンジン1が駆動され、かつ、クラッチ14が係合されるとともに、モータ・ジェネレータ2は停止される。つまり、エンジン1のトルクのみにより車両が走行する、いわゆるエンジン走行状態になる。また、自動変速機5の変速比、およびロックアップクラッチ23の状態は、予め自動変速機用電子制御装置41に記憶されているマップに基づいて制御される。
【0048】これに対して、アクセル開度ならびに車速に基づいて演算される必要エンジン出力が、しきい値Pev未満である場合は、クラッチ14を解放し、かつ、エンジン1を停止するとともに、モータ・ジェネレータ2が駆動される。つまり、モータ・ジェネレータ2の出力トルクのみにより車両が走行する、いわゆるEV走行状態になる。また、自動変速機5の変速比、およびロックアップクラッチ23は、エンジン走行状態の場合と同様にして制御される。なお、クラッチ14の無い構成が採用されている場合は、EV走行時において、燃料噴射装置7によるフューエルカット制御がおこなわれる。したがって、モータ・ジェネレータ2のトルクにより、エンジン1が従動回転する。
【0049】つぎに、車両の総合制動力に関する具体的な制御内容を、図1のフローチャートに基づいて説明する。ここで、総合制動力には、エンジン1により発生するエンジンブレーキ力と、モータ・ジェネレータ2により発生する回生制動力とが含まれる。まず、各種のセンサやスイッチの検出信号が各種の電子制御装置に入力され、これらの信号が処理される。そして、車両の減速に先立って操作されている回生制動力調整用ポテンショ63の操作内容が読み込まれる(ステップ101)。つまり、予めハイブリッド用電子制御装置39に記憶されている基本総合制動力を、運転者の意図により増減する意図が判断される。
【0050】ついで、予め設定されている基本総合制動力のマップに基づいて、現時点の車速に対応する総合制動力マップf(base)を読み出す(ステップ102)。さらに、ステップ102で読み出された総合制動力マップf(base)を、回生制動力調整用ポテンショ63の操作により設定された値により補正し、変更用総合制動力マップF(set )を求める(ステップ103)。この変更用総合制動力マップF(set )の演算手法としては次の2つが例示される。
【0051】まず、第1の手法は、予め設定されている総合制動力マップf(base)に対して、回生制動力調整用ポテンショ63の操作内容に応じた係数(ゲイン)kを乗じて、変更用総合制動力マップF(set )を演算するものであり、F(set )=k×f(base)・・・(1)
により求められる。
【0052】図6は、車速に対応する車両の駆動力の値を示す線図であり、図6の線図には、前記総合制動力マップf(base)に対応する特性の一例と、上記式(1)により演算された変更用総合制動力マップF(set )に対応する特性の一例とが示されている。この線図に示すように、所定車速以上で発生する負(−)の駆動力、つまり制動力が、総合制動力マップf(base)よりも、変更用総合制動力マップF(set )の方が大きくなるように補正されている。
【0053】また、第2の手法は、総合制動力マップf(base)に対して、回生制動力調整用ポテンショ63の操作内容に応じた制動力Δf(add )を加算もしくは減算して変更用総合制動力マップF(set )を演算するものであり、F(set )=f(base)+Δf(add )・・・(2)
または、F(set )=f(base)−Δf(add )・・・(3)
により求められる。
【0054】図7は、車速に対応する車両の駆動力の値を示す線図であり、図7の線図には、前記総合制動力マップf(base)に対応する特性の一例と、上記式(2)により演算された変更用総合制動力マップF(set )に対応する特性の一例とが示されている。この線図に示すように、所定車速以上で発生する負(−)の駆動力、つまり制動力が、総合制動力マップf(base)よりも、変更用総合制動力マップF(set )の方が大きくなるように変更されている。
【0055】また、総合制動力マップf(base)で制動力が生じる車速よりも、変更用総合制動力マップF(set )で制動力が生じる車速の方が低く設定されている。なお、特に図示しないが、式(3)に対応する特性線は、駆動力「零」と総合制動力マップf(base)の特性との間に設定することが可能である。この場合は、所定車速以上で発生する負(−)の駆動力、つまり制動力が、総合制動力マップf(base)よりも、変更用総合制動力マップF(set )の方が小さくなる。
【0056】上記のように、変更用総合制動力マップF(set )を演算した後、アクセルペダル47がオフされたか否か、言い換えれば、アクセルペダル47に対する踏力が解除されたか否かが判断される(ステップ104)。つまり、このステップ104は、運転者による減速要求(回生制動要求)が発生しているか否かを判断している。ステップ104で肯定判断された場合は、ステップ103で演算された変更用総合制動力マップF(set )を、実際の総合制動力の制御に用いる総合制動力マップF(map )として仮設定する(ステップ105)。
【0057】ついで、回生制動力変更指示セットスイッチ64がオンされているか否かが判断され(ステップ106)、ステップ106で肯定判断された場合は、ステップ105で仮設定した総合制動力マップF(map )が、実際の総合制動力の制御に用いるデータとして最終的に確定する(ステップ107)。そして、確定した総合制動力マップF(map )に基づいて、車速に応じた総合制動力が読み出されるとともに(ステップ108)、ステップ108で読み出された総合制動力に基づいてモータ・ジェネレータ2により負担するべき回生制動力を演算する(ステップ109)。ここで、モータ・ジェネレータ2の回生制動力の演算方法としては次の2つが例示される。具体的には、車速に応じた総合制動力の全部をモータ・ジェネレータ2の回生制動力により確保する場合と、車速に応じた総合制動力の全部を、モータ・ジェネレータ2の回生制動力およびエンジン1のエンジンブレーキ力により確保する場合とである。
【0058】まず、車速に応じた総合制動力の全部をモータ・ジェネレータ2の回生制動力により確保する場合、モータ・ジェネレータ2の回生制動力TMGは、 TMG=Ttire×{1/(Diff ×ηdiff)}×{1/(TM×ηtm)}
・・・(4)
により求められる。
【0059】上記式(4)において、Ttireは車輪3における制動力であり、Diff は差動装置30の減速比(つまりデフ比)であり、ηdiffは差動装置30のトルク伝達効率であり、TMは自動変速機5の変速比であり、ηtmは自動変速機5のトルク伝達効率である。ここでは、車速に応じた総合制動力の全部をモータ・ジェネレータ2の回生制動力により確保するのであるから、Ttireがそのまま総合制動力マップF(map )になる。
【0060】これに対して、車速に応じた総合制動力を、モータ・ジェネレータ2の回生制動力およびエンジン1のエンジンブレーキ力により確保する場合は、次式(5)によりモータ・ジェネレータ2の回生制動力TMGを求める。
TMG+TENG=Ttire×{1/(Diff ×ηdiff)}×{1/(TM×ηtm)
} ・・・(5)
【0061】ここで、TENG はエンジン1の運動部分によるフリクションロス(すなわちエンジンブレーキ力)を意味しており、フリクションロスTENG は車速に基づいて一律に決定される値である。したがって、式(5)の左辺の値からフリクションロスTENGを減算することにより、モータ・ジェネレータ2により確保するべき回生制動力TMGが求められる。
【0062】上記のようにしてモータ・ジェネレータ2により発生するべき回生制動力を演算した後、モータ・ジェネレータ2の回生制動力を制限する必要性があれば、その回生制動力を制限するための制御がおこなわれる(ステップ110)。すなわち、メインバッテリ32の充電量SOCの許容残量と、ステップ109で演算されたモータ・ジェネレータ2の対応関係によっては、ステップ109で演算された値に基づいてモータ・ジェネレータ2の回生制動力を制御すると、メインバッテリ32の充電許容量をオーバーする可能性がある。そこで、ステップ110においては、メインバッテリ32の充電量SOCの許容残量に応じてモータ・ジェネレータ2の発電効率、すなわち回生制動力を低減する演算をおこなうとともに、回生制動力の低減分に相当する制動力分を、油圧ブレーキ装置の制動力により確保するための演算がおこなわれる。その後、ステップ109,110に対応する制御信号を出力し(ステップ111)、リターンされる。
【0063】ところで、前記ステップ106で否定判断された場合は、運転者が、予め設定されている基本総合制動力を変更する意図がないことになるため、ステップ108に進み、例えば次のような制御をおこなう。すなわち、前回、図1の制御ルーチンが実行されてからイグニッションスイッチ55がオフされている場合は、ステップ102で読み出された総合制動力マップf(base)を、実際に使用する総合制動力マップF(map )として読み出す。これに対して、前回、図1の制御ルーチンが実行されてからイグニッションスイッチ55がオンされたままであれば、前回のステップ107で確定された変更用総合制動力マップF(set )を、実際に使用する総合制動力マップF(map )として読み出す。
【0064】一方、前記ステップ104で否定判断された場合は、アクセルオン、つまりアクセルペダル47の踏み込みから所定時間Xsec が経過したか否かが判断される(ステップ112)。ステップ112で否定判断された場合は、未だ減速要求が発生していないものの、アクセルペダル47の踏み込みによる加速時間が短く、比較的短時間以内に減速要求が発生する可能性があるため、ステップ105に進む。これに対して、ステップ112で肯定判断された場合は、回生制動力変更指示セットスイッチ64が操作されたことを意味するセットフラグがオンしているか否かが判断される(ステップ113)。
【0065】ステップ113で肯定判断された場合は、減速要求が発生しにくい道路状況、または運転状況であるものの、運転者により、既に回生制動力変更指示セットスイッチ64が操作されている。そこで、車両の総合制動力を運転者の意図に適合させるため、ステップ106に進む。これに対して、ステップ112を経由してステップ113で否定判断された場合は、道路状況の変化または運転者の意図の変化により、減速要求が発生する可能性が低いことになる。そこで、ステップ103で演算された変更用総合制動力マップF(set )をキャンセルし、予め設定されている基本総合制動力マップf(base)を、実際に使用する総合制動力マップF(map )として仮設定し(ステップ114)、ステップ106に進む。なお、上記制御例において、モータ・ジェネレータ2により回生制動力を発生させる場合は、ロックアップクラッチ23を係合または解放のいずれを選択することも可能である。
【0066】ここで、図1に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明する。ステップ101がこの発明の回生制動力変更意図判断手段に相当し、ステップ102,〜ステップ108がこの発明の回生制動力制御手段に相当し、ステップ109,〜111がこの発明のモータ・ジェネレータ制御手段に相当する。
【0067】以上のように、図1の制御例によれば、車両の乗員により操作される回生制動力調整用ポテンショ63の操作内容に基づいて、予めハイブリッド用電子制御装置39に設定されている基本総合制動力マップが補正され、その補正値に基づいて、モータ・ジェネレータ2の回生制動力が制御される。したがって、モータ・ジェネレータ2の回生制動力、ひいては車両に作用する総合制動力に対して運転者の意図を反映させることが可能であり、運転者の意図に適合する制動力もしくは減速状態を実現でき、ドライバビリティが向上する。
【0068】また、車両の総合制動力を、回生制動力およびエンジンブレーキ力により確保する場合は、エンジンブレーキ力と回生制動力との対応関係に基づいて、モータ・ジェネレータ2が制御される。このため、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の機能の実状に基づいて、モータ・ジェネレータ2の回生制動力を制御することが可能であり、一層ドライバビリティが向上する。
【0069】さらに、アクセルペダル47のオフ操作により減速要求が発生している場合、もしくはアクセルペダル47がオンされていても、比較的短時間以内に減速要求が発生する可能性がある場合に限り、基本総合制動力が補正される。また、回生制動力調整用ポテンショ63が操作されて変更用総合制動力マップが演算されたとしても、所定時間以上、減速要求が発生しない状況である場合は、変更用総合制動力マップがキャンセルされる。したがって、運転者の意図を総合制動力の内容に確実に反映させることが可能であり、ドライバビリティが一層向上する。
【0070】なお、上記制御例においては、基本総合制動力マップを補正する場合に、演算処理により変更用総合制動力マップに切り換えているが、予め、基本総合制動力マップの他に、回生制動力調整用ポテンショ63の操作内容に応じて、複数の変更用総合制動力マップを用意しておき、回生制動力調整用ポテンショ63の操作があった場合に、基本総合制動用マップを、回生制動力調整用ポテンショ63の操作内容に対応するマップに読み替える手法を採用することも可能である。
【0071】また、上記制御例においては、ステップ104でアクセルペダル47のオンが判断されている場合にステップ105に進んでいるが、ステップ104の判断内容を、ブレーキペダル49の踏み込みに置き換えたり、ステップ104の判断内容に、ブレーキペダル49の踏み込みを追加することも可能である。また上記ハイブリッド車においては、自動変速機5に代えて、手動操作により変速比を変更することの可能な手動変速機、または変速比を無段階(つまり連続的)に変更することの可能な無段変速機(CVT)を搭載することも可能である。
【0072】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、車両の乗員により操作される回生制動力変更装置の操作内容に基づいて、予め設定されている基本総合制動力が補正され、その補正値に基づいて、モータ・ジェネレータの回生制動力が制御される。したがって、モータ・ジェネレータの回生制動力、ひいては車両に作用する総合制動力に対して運転者の意図を反映させることが可能であり、運転者の意図に適合する制動力もしくは減速状態を実現でき、ドライバビリティが向上する。
【0073】請求項2の発明によれば、請求項1と同様の効果を得られる他、車両の総合制動力を、回生制動力およびエンジンブレーキ力により確保する場合は、エンジンブレーキ力と回生制動力との対応関係に基づいて、モータ・ジェネレータが制御される。このため、エンジンおよびモータ・ジェネレータの機能の実状に基づいて、モータ・ジェネレータの回生制動力を制御することが可能であり、一層ドライバビリティが向上する。
【0074】請求項3の発明によれば、減速要求が発生する場合に、基本総合制動力が補正される。また、請求項4の発明によれば、回生制動力変更装置が操作されて総合制動力が補正されたとしても、所定時間以上、減速要求が発生しない場合は、総合制動力の補正がキャンセルされる。したがって、請求項3または請求項4の発明によれば、請求項1または2と同様の効果に加えて、運転者の意図を総合制動力の内容に確実に反映させることが可能であり、ドライバビリティが一層向上する。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成10年12月3日(1998.12.3)
【代理人】 【識別番号】100083998
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 丈夫
【公開番号】 特開2000−175303(P2000−175303A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−344690