| 【発明の名称】 |
電動車両用電源制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】浦野 広暁
【氏名】金森 彰彦
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| 【要約】 |
【課題】電動車両の電源部内の不要電荷を迅速かつ搭乗者に不快感を与えることなく放電する。
【解決手段】制御部30は電源部10の動作と切替機構62の動作を制御することができる。切替機構62は、モータ16の接続先をエンジン12、発電機14のいずれか、又はいずれにも接続しない状態に切り替えることができる。制御部30は、電源部10の不要な電荷を放電する際には、切替機構62のスリーブ64をアクチュエータ66によりスライドさせ、モータ16をフロートのリング70に接続させるとともに、モータ16に3相交流を生成して供給する電源部10内のインバータ回路を制御する。停車時に電源部10内のコンデンサに残存する不要電荷やバッテリ20の余剰電荷が、インバータ回路を介してモータ16の回転に利用され、放電される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電動車両に用いられ、直流電源と前記直流電源から車両駆動用モータを駆動する交流電流を生成する変換器と前記変換器の入力に設けられた平滑化コンデンサとを含んだ電源部を制御する電動車両用電源制御装置において、前記車両駆動用モータの出力側の動力伝達経路を切断するモータ出力切断手段と、前記モータ出力切断手段を動作させるとともに、前記変換器を制御して前記車両駆動用モータを駆動し電力を消費させる放電制御部と、を有することを特徴とする電動車両用電源制御装置。 【請求項2】 請求項1記載の電動車両用電源制御装置において、前記放電制御部は、前記直流電源から前記変換器への電力供給の遮断時に、前記モータ出力切断手段の動作及び前記車両駆動用モータの駆動を実行し、前記平滑化コンデンサを放電させることを特徴とする電動車両用電源制御装置。 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の電動車両用電源制御装置において、前記電動車両は、エンジンが発生する駆動力を電磁的カップリングを用いた手段により、発電エネルギーと車両駆動エネルギーとに分配する電気分配式ハイブリッド車であることを特徴とする電動車両用電源制御装置。 【請求項4】 請求項1又は請求項2に記載の電動車両用電源制御装置において、前記電動車両は、エンジンが発生する駆動力を機械的手段により、発電エネルギーと車両駆動エネルギーとに分配する機械分配式ハイブリッド車であることを特徴とする電動車両用電源制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電動車両の車両駆動用モータにエネルギーを供給する電源部を制御する電源制御装置に関し、特に電源部の余剰電荷の制御に関する。 【0002】 【従来の技術】電気自動車やハイブリッド自動車は、バッテリ(直流電源)からの直流電流をインバータ回路(変換器)により交流に変換し車両駆動用モータ(以下、単に「モータ」)へ供給する電源部を有している。モータは、この電源部から出力される交流により駆動される。 【0003】さて、電源部の特にインバータ回路の入力側においては、不必要な電荷が貯まる場合がある。例えば、ハイブリッド車においては、バッテリはエンジン出力や回生制動により充電され、SOC(State of Charge:充電状態)が上昇する場合があるが、バッテリの過充電はバッテリの寿命劣化を生じるという問題がある。そこで、一般には、SOCが過充電領域に達しないように発電系統の制御が行われる。この制御は、制御上限SOCを設定し、実SOC又は積算等による推定SOCがこの制御上限SOCに達すると、ジェネレータからの交流を直流に変換するインバータ回路を停止するという制御である。この制御では、制御上限SOCを超える蓄積電荷を余剰電荷と考えることができる。 【0004】また、インバータ回路の入力側には、バッテリと並列に平滑化コンデンサが設けられる。このコンデンサは、バッテリからインバータ回路への電力供給のオン/オフを制御するシステムメインリレー(SMR)の断続時の電流の急峻な変化を緩和し、当該急峻な電流変化によってインバータ回路に用いているパワー素子が破損されることを防止する。例えば、保守作業等において、この電荷が蓄積されたコンデンサに関わる部分に触れると、感電するおそれがあるといった問題がある。すなわち、このコンデンサに貯まった電荷は、保守作業等が行われる車両停車時には、除去しておくことが望ましい不必要な電荷である。 【0005】これら、電源部内の余剰電荷に対する従来の考え方、対処方法としては、まず、バッテリ内の制御上限SOCを超える電荷に関しては、制御上限SOCをSOCの過充電領域に対し所定余裕を持って設定することにより、実SOCが過充電領域に達する前に充電の抑制を開始し、モータによる電力消費により自然と実SOCが低減するのを待つのが一般的であった。 【0006】また、インバータ回路の入力に設けられたコンデンサの電荷に関しては、それを放電する幾つかの方法が提案されていた。この放電に際しては、モータが駆動輪に動力的に接続されているため、車両が付勢されないようにモータを回転させずに行う工夫が必要であった。その第一の方法としては、d−q座標系(磁極座標系)によるモータのベクトル制御において、トルクの発生に寄与するトルク電流Iqを流さないようにしつつ、磁化電流Idのみを流すようにインバータ回路を制御するという方法があった。この方法によれば、Iq=0の状態ではモータにトルクが発生せず、磁化電流Idがモータのコイル等を流れる際の電導損失によりコンデンサに蓄積された電荷が放電され、熱エネルギーに変換される。 【0007】第二の方法としては、コンデンサに並列にある程度大きな抵抗値の抵抗を接続するという方法である。この方法では、インバータのスイッチング素子を全てオフしてモータに通電しない状態とした場合に、コンデンサと抵抗とが閉回路を形成し、コンデンサ中の電荷が放電される。ここで抵抗の抵抗値はある程度大きく設定されるので、インバータが動作している通常の状態で抵抗を流れる無駄な電流が抑制される。 【0008】第三の方法は、特開平7−7807号公報に開示されるものである。この方法は、モータを一方向に回転させないため、モータの左回転、右回転を数ミリ秒ずつ交互に行うようインバータ回路を制御するというものである。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術のうち、SOCがバッテリの制御上限SOCを超え充電が抑制されている間は、回生制動が効かなくなるという問題がある。すなわち、運転者は通常状態よりも強くブレーキを踏む必要があるという問題や、ブレーキの磨耗が促進されるという問題があった。ちなみに、バッテリの余剰電荷に関して、上述したコンデンサの放電と同様の方法を用いることも可能であるが、その場合には、コンデンサの放電と同様の以下に述べる問題が生じる。 【0010】コンデンサを放電する上記第一の方法に関しては、実際には、磁化電流Idのみを流すというのは難しいという問題があった。すなわち、モータの製造上のばらつきやモータの回転角を検出する位置センサの検出誤差等により、トルク電流Iqもわずかながら発生し、それに応じてモータがトルクを発生してしまう。このトルクは、それほど大きくはなく、またコンデンサに残存する電荷がなくなれば消滅するものである。そのため、車両停止時に当該放電操作を行っても、パーキングロックやブレーキ等に抗して車両が動き出すという深刻な問題とはなりにくいが、瞬間的な車両の揺れが発生する可能性があり、搭乗者の快適さを損なうという問題があった。 【0011】上記第二の方法に関しては、抵抗という本質的には走行に不要な部品が必要となり、コストや組立の手間が増加するという問題があった。また、走行時においても、多少なりとも抵抗に電流が流れ、バッテリの電力が無駄に消費されるという点も問題であった。 【0012】上記第三の方法に関しては、モータの小刻みな左右交互回転により車両が振動し、搭乗者の快適さを損なうという問題があった。 【0013】本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、電源部のバッテリの余剰電荷や平滑化コンデンサの残余電荷を、搭乗者に不快感を与えることなく制御することができる電動車両用電源制御装置を提供することを目的とする。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明の電動車両用電源制御装置は、車両駆動用モータの出力側の動力伝達経路を切断するモータ出力切断手段と、前記モータ出力切断手段を動作させるとともに変換器を制御して前記車両駆動用モータを駆動し電力を消費させる放電制御部とを有することを特徴とする。 【0015】本発明によれば、モータ出力切断手段を動作させることにより車両駆動用モータが出力する駆動力を駆動輪へ伝達しないようにできる。放電制御部はモータ出力切断手段を操作してその状態を実現した後、車両駆動用モータを駆動させ電力を消費することにより、変換器の入力側の電荷、例えば直流電源であるバッテリ、又は平滑化コンデンサに蓄積された電荷を放電させることができる。 【0016】本発明の電動車両用電源制御装置においては、前記放電制御部が、直流電源から前記変換器への電力供給の遮断時に、前記モータ出力切断手段の動作及び前記車両駆動用モータの駆動を実行し、平滑化コンデンサを放電させることを特徴とする。 【0017】本発明によれば、例えばシステムメインリレーがオフ状態とされ、直流電源から変換器への電力供給が遮断される状態において、平滑化コンデンサに残留する電荷が放電される。 【0018】本発明の好適な態様は、電動車両が、エンジンが発生する駆動力を電磁的カップリングを用いた手段により、発電エネルギーと車両駆動エネルギーとに分配する電気分配式ハイブリッド車であるものである。 【0019】また本発明の他の好適な態様は、電動車両が、エンジンが発生する駆動力を機械的手段により、発電エネルギーと車両駆動エネルギーとに分配する機械分配式ハイブリッド車であるものである。 【0020】 【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。 【0021】図1は、ハイブリッド型電気自動車の概略のシステム構成を示す模式図であり、特にバッテリを含みモータへの駆動電力の供給を行う電源部10を中心的に示す図である。エンジン12が発生する動力は、動力分割機構(図示せず)により発電機14にまわされる動力と駆動輪(図示せず)にまわされる動力とに分割される。また、ハイブリッド車は、駆動輪の駆動に用いられるモータ16も有している。 【0022】発電機14はエンジン12からの動力により電力を生成し、その電力は電源部10へ供給される。一方、モータ16は電源部10から供給される電力により駆動される。 【0023】電源部10は、直流電流の充放電が可能なバッテリ20の他、発電機14からの3相交流電流を直流に変換するインバータ回路22と、モータ16を駆動する3相交流を直流から生成するインバータ回路24とを含んでいる。インバータ回路22の出力は、バッテリ20とインバータ回路24の入力に接続される。このインバータ回路22から出力される発電機14の生成電力は、バッテリ20に充電することもできるし、モータ16がエンジン12をアシストして車両駆動力を発生する場合には、モータ16の駆動電力として利用される。つまり、モータ16は、バッテリ20と発電機14の出力との双方の電力を駆動電力として利用することができる。例えば、通常走行時には、モータ16は発電機14からの電力のみでエンジン12をアシストし、高負荷時には発電機14からの電力に加えてバッテリ20からも電力供給を受けてエンジン12をアシストする。 【0024】このような電源部10の動作は制御部30によって制御される。制御部30は、バッテリ20からの電力供給を断続するSMR32の開閉の制御や、インバータ回路22,24におけるPWM(Pulse Width modulation)制御を実施する。なお、制御部30は、PWM制御を通して、発電機14、モータ16の動作を制御する機能も有している。 【0025】さて、インバータ回路22の出力端子間及びインバータ回路24の入力端子間、すなわち各インバータ回路22,24のバッテリ20に接続される側の端子間には、それぞれ平滑化コンデンサ34,36がバッテリ20と並列に接続される。これらコンデンサは、従来技術で述べたように、SMR32のオン/オフによりバッテリ20の高電圧が急激にインバータ回路22,24に印加されることを回避し、インバータ回路に用いているパワー素子が破損されることを防止するものである。また、電圧センサ38は、電源部10の後述する制御に用いられるものであり、計測結果は制御部30に入力される。 【0026】図2は、電気分配式ハイブリッド車の概略のシステム構成を示す模式図であり、特に駆動系を中心的に示す図である。発電機14のロータ50は、エンジン12のシャフトに接続され、エンジン12に連動して回転する。発電機14のステータ52は回転可能に保持される。電気分配式ハイブリッド車では、ロータ50とステータ52との間の電磁的なカップリングにより、ロータ50に伝達されたエンジン12出力の一部がステータ52に分配される。すなわち、エンジン12によりロータ50が回転されると、電磁カップリングによりトルクがステータ52に伝達され、ステータ52も回転する。このステータ52の回転はチェーンやギヤなどの動力伝達手段53を介してディファレンシャル機構部54に伝達され、駆動輪56が駆動される。一方、ステータ52に伝達されなかったエンジン出力エネルギーは、発電機14での発電エネルギーとして取り出される。すなわち、エンジン12で発生したエネルギーは、発電機14のステータ52の回転運動エネルギーと、ステータ52に対するロータ50の相対的な回転運動のエネルギーとに分割され、前者が車両駆動エネルギーとして取り出され、後者は発電エネルギーとして取り出すことができる。 【0027】エンジン12の出力の発電エネルギーと車両駆動エネルギーとの分配の割合は、インバータ回路22におけるPWM制御によって制御される。すなわち制御部30が電源部10のインバータ回路22を介して発電機14のステータ52とロータ50との相対回転速度を制御することにより、エネルギーの分配比率が定まる。 【0028】モータ16は、そのロータ60を、切替機構62を介して発電機14のステータ52とともに回転する軸に接続されうる。図においては、その状態が示されている。この切替機構62は例えばスプラインにより実現することができる。スリーブ64は、軸方向に互いに平行な複数の歯を、スリーブの軸方向の2箇所の内周に有している。図においてこれらスリーブ64の内周の歯がそれぞれ、ロータ60につながった軸の外周に設けられた歯及びステータ52につながった軸の外周に設けられた歯に噛み合うように、スリーブ64は配置され、ロータ60とステータ52との間で機械的にトルクを伝達する。 【0029】スリーブ64は、アクチュエータ66で軸方向にスライド可能である。例えばオーバードライブ状態(すなわち回転速度が増加しかつトルクが低減した状態)にするためには、図においてスリーブ64の内周の歯がロータ60とエンジン12の軸に取り付けられたギヤ68とに噛み合うようにスリーブ64を左にシフトさせ、ロータ60とエンジン12との間でトルク伝達を可能にする。ちなみに、スリーブ64が右にシフトし、ロータ60とステータ52との間でトルク伝達を可能にした図に示された上述の状態は、アンダードライブ状態(すなわち回転速度が低下しかつトルクが増加した状態)に対応している。 【0030】さて、本装置の一つの特徴は、切替機構62においてロータ60がエンジン12にも発電機14にも接続されない状態(以下、「モータ切り離し状態」と称する)が実現されることである。つまり、本装置の切替機構では、例えば、スリーブ64の2箇所の内周の歯のうち一方がロータ60の歯に噛み合っても、他方がギヤ68にもステータ52の軸の歯にも噛み合わない状態が存在する。この状態は、図においてスリーブ64をオーバードライブとアンダードライブとの中間の位置に置いた場合であり、スリーブ64がロータ60とフロートのリング70とを接続した状態である。この状態では、モータ16が発生する駆動力は駆動輪には伝達されない。つまり、切替機構62はモータ16と駆動輪との間の動力伝達を切断するモータ切り離し手段として機能する点が本装置の特徴の一つである。なお、ここでは、図においてモータ切り離し状態におけるスリーブ64の接続先が明示され理解が容易な構成として、フロートのリング70を有する場合を示したが、このリング70は特別な機能を有さないので、省略した構成も可能である。 【0031】制御部30は、スリーブ64をシフト駆動するアクチュエータ66を操作して、切替機構62をモータ切り離し状態とすることができる。 【0032】本電源制御装置は、制御部30とモータ切り離し状態を実現可能な切替機構62とを含んで構成され、電源部10の不要な電荷を放電制御するものである。制御部30内において本装置の特徴的動作を行う部分が放電制御部である。以下、放電制御部の動作を説明する。図3は、放電制御部の動作を説明する概略のフロー図である。放電制御部は、イグニッションスイッチIGがオフ状態とされると(S100)、SMR32をオフする(S102)。これにより、バッテリ20からの電源供給を停止されるが、平滑化コンデンサ34,36にはそれまでの動作中に蓄積された電荷が残存している可能性がある。既に述べたように、この電荷は電源部10の点検を行う場合に作業者の感電を引き起こす可能性があるため、安全のため除去すべき不要な電荷である。 【0033】電圧センサ38は、コンデンサ34,36に並列に接続され、それらに残存する電荷に応じた電圧VCが電圧センサ38の両端に印加される。放電制御部は、電圧センサ38により電圧VCを計測し、その電圧が安全上要求される基準値Vth以上であることを検知すると(S104)、本電源制御装置の特徴的動作である余剰電荷制御処理を開始する。 【0034】余剰電荷制御処理では、放電制御部は、まず切替機構62をモータ切り離し状態に切り替える(S106)。そして、モータ16を駆動するようにインバータ回路24を制御する(S108)。すると、コンデンサ34,36に残存した電荷が直流電流となってインバータ回路24に入力され、インバータ回路24からはモータ16を駆動する3相交流が出力され、モータ16のロータ60が回転させられる。これにより、コンデンサ34,36に蓄積されていた電気エネルギーは、ロータ60の回転エネルギー、モータ16のコイルを含む電線の抵抗成分で発生する熱エネルギーに変換され消費されていく。放電制御部は、その消費状況を電圧センサの出力によりモニタし、その電圧VCが基準値Vthを下回るまで(S110)、S108のモータ16の駆動制御を継続する。 【0035】一方、放電制御部は電圧VCが基準値Vthを下回ったことを検知すると(S110)、モータ16が発生するトルクを駆動輪に伝達可能なように、切替機構62を切り替え(S112)、放電制御動作が終了する。ちなみに、車両は停車状態にあるので、放電制御部は放電制御動作終了後、例えば切替機構62を発進時に適したアンダードライブ状態に切り替える。 【0036】上述の余剰電荷制御処理は、停車時にコンデンサ34,36に残っている不要電荷を放電するものであったが、本装置はバッテリ20のSOCの調整にも利用することができる。図4は、バッテリ20に対する放電制御部の動作を説明する概略のフロー図である。放電制御部は、車両が停車していること及びイグニッションスイッチがオン状態であることを検知すると(S200)、さらにSOCのチェックを行う(S202)。SOCが目標レベル以上であると判断された場合には、SMR32をオン状態に保ったまま余剰電荷制御処理を開始する。この処理中の切替機構62の切り替え動作S106及びモータ駆動動作S108は、上述のコンデンサ放電の処理と同様である。放電制御部は、モータ駆動動作S108によるバッテリ20の放電状況をSOCの監視により把握し、SOCが目標レベルを下回るまで(S204)、S108のモータ16の駆動制御を継続する。 【0037】一方、放電制御部はSOCが目標レベルを下回ったことを検知すると(S204)、モータ16の駆動を停止し、コンデンサ放電の場合と同様、切替機構62を例えばアンダードライブに切り替え(S112)、放電制御動作が終了する。ちなみに、車両は停車状態にあるので、放電制御部は放電制御動作終了後、例えば切替機構62を発進時に適したアンダードライブ状態に切り替える。 【0038】上述の実施形態は、電気分配式ハイブリッド車に本発明を適用したものであるが、本発明は、機械分配式ハイブリッド車や、エンジンを有さずモータのみで車両を駆動する純粋な電気自動車にも適用することができる。また、上述のような、エンジン12とモータ16との双方が車輪を直接駆動できるパラレルハイブリッドシステムの場合にも、エンジンはモータへの電力供給源としてのみ動作し直接の車輪駆動はモータが行うシリーズハイブリッドシステムの場合にも適用することができる。例えば、図5は、本発明を適用した機械分配式ハイブリッド車の概略のシステム構成を示す模式図であり、特に駆動系を中心的に示す図である。上記実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を簡単にする。 【0039】機械分配式ハイブリッド車と電気分配式ハイブリッド車との相違点は、エンジン12の出力エネルギーを、車両駆動エネルギーと発電エネルギーとに分割する動力分割機構にある。電気分配式では発電機14が回転可能なステータ52とロータ50との電磁的なカップリングにより動力分割を実現するが、機械分配式では、上記エネルギーの分配を行うために遊星歯車機構300を備えている。 【0040】遊星歯車機構300はリングギヤ302、プラネタリーキャリア304、サンギヤ306を含んで構成され、それらは同一の中心軸を有する。プラネタリーキャリア304には、リングギヤ302の内周とサンギヤ306の外周との間隔に応じた直径を有したピニオンギヤ308の中心が取り付けられる。リングギヤ302とピニオンギヤ308と、及びピニオンギヤ308とサンギヤ306とはそれぞれ互いに接し、互いに相関を有して回転する。これにより遊星歯車機構300は、回転リングギヤ302、プラネタリーキャリア304、サンギヤ306の3つの回転動力のうち2つの動力が決定されると残りの1つの動力が決定される性質を有している。 【0041】ここに示す構成では、サンギヤ306は発電機14のロータ50に接続され、プラネタリーキャリア304はエンジン12に接続される。また、リングギヤ302は、切替機構62を介してモータ16のロータ60に接続され得る。またリングギヤ302の回転はチェーンやギヤを介してディファレンシャル機構部54に伝達され、駆動輪56が駆動される。この遊星歯車機構300により、エンジン12からの動力は、車両駆動エネルギーと発電エネルギーとに分割される。 【0042】さて、切替機構62はモータ16を、リングギヤ302、つまり駆動輪に動力を伝達可能な状態、エンジン12に接続された状態、又はいずれにも接続されないモータ切り離し状態のいずれかにする。図に示す状態は、スリーブ64がモータ16のロータ60とリングギヤ302の軸とを接続した状態であり、アンダードライブの状態である。また、スリーブ64を左にシフトしてロータ60とエンジンシャフトに取り付けられたギヤ68とを接続した状態とすると、オーバードライブの状態が実現される。切替機構62の特徴は、上記実施形態で述べたように、ロータ60をギヤ68にもリングギヤ302にも接続しない状態とすることができることである。つまり図に示す構成では、スリーブ64をアンダードライブとオーバードライブとの中間の位置に移動させ、ロータ60をフロートのリング70に接続することにより、モータ16を駆動輪から動力的に切り離すことができる。 【0043】放電制御部は、この切替機構62を用い、図3,4により説明した放電制御を実施することにより、機械分配式ハイブリッド車においても、平滑化コンデンサ34,36の放電やバッテリ20のSOC低減操作を行うことができる。 【0044】従来のモータに電流を流して放電を行う方法では、磁化電流Idのみによる電導損失でエネルギーを消費していたのに対し、本電源制御装置によれば、磁化電流Idだけでなくトルク電流Iqも流すことができるので、電導損失によるエネルギー消費だけでも従来より効率的な放電が達成される。しかし、本装置の最たる効果は、電源部10の余剰電荷によりモータ16のロータ60を回転させ、不要な電気エネルギーをロータの運動エネルギーに変換して消費することによって得られる。モータ16が車両駆動に必要とされないタイミングにおいて、切替機構62によりモータ16を駆動系から切り離して回転させることにより、車両に生じる振動を抑制しながら放電を迅速に行うことができる。 【0045】イグニッションスイッチがオフされたときに、本装置で平滑化コンデンサの放電を行うことにより、電源部10の点検等の作業における安全性が停車後速やかに確保される。また、本装置は放電を迅速に行うことができるため、バッテリ20の余剰電荷を放電に利用すれば、SOCを速やかに適正な目標レベルまで低減することができる。従来は、主としてSOCが制御上限に達した場合は、充電を禁止し、もっぱらモータ16等での使用による自然な放電によるSOC減少に頼っていたため、SOCが適正なレベルにまで低減するのに長時間を要する場合もあった。充電を禁止する処置は、モータ16による回生制動も禁止することを意味する。その結果、機械ブレーキが多用されることになり磨耗が速くなったり、例えば長い下り坂などでは機械ブレーキが過熱状態となるという事態を生じる。この点、本装置によれば、速やかに放電が行われるため、回生制動の禁止時間が短縮され、機械ブレーキの磨耗等の問題が抑制されるという効果が得られる。 【0046】なお、電圧センサ38は、従来よりSMR32オン時の突入電流防止のために、コンデンサ34,36の端子間電圧をモニタするために設けられていたものである。つまりSMR32をオンする前に、それと並列に設けられた制限抵抗付きリレーをオンし、コンデンサ34,36をある程度まで充電し、その後SMR32をオンするという動作を行っている。本装置の電圧センサ38は、この動作においてコンデンサ34,36の充電状態をモニタするために設けられていたものをそのまま利用することができ、改めて設ける必要はない。 【0047】また、電圧センサ38を用いない実施形態も可能である。モータ16の回転や電導損失によるエネルギー消費率がどの程度であるかは、予め見積もることができる。よって例えば、放電制御部がこのエネルギー消費率に基づいて、モータを回転させる余剰電荷制御処理を時間制御するように、本装置を構成することができる。つまり、放電制御部は、コンデンサ34,36の容量やバッテリ20の現SOCと目標レベルのSOCとの差に応じた時間をタイマー処理で計測し、当該時間中、モータ16を回転させる余剰電荷制御処理の継続時間を実行するように構成可能であり、その構成では電圧センサ38を用いない制御が実現される。 【0048】なお、制御部30はマイクロプロセッサを用いて構成することができ、放電制御部は、そのプロセッサ上で実行されるプログラムとして実現することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年11月17日(1998.11.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075258 【弁理士】 【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−152419(P2000−152419A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月30日(2000.5.30) |
| 【出願番号】 |
特願平10−326385 |
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