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【発明の名称】 無接触給電設備
【発明者】 【氏名】安次嶺 徹夫

【氏名】舩橋 和人

【氏名】稲葉 雅人

【氏名】市野 清秀

【要約】 【課題】本発明は、給電能力を維持しながら、誘導線路へ給電される電流の周波数の変動を許容可能とする無接触給電設備を提供することを目的とする。

【解決手段】ピックアップコイル5を、断面がエ字状またはI字状のコアの中央部の両面に渡ってケーブルを巻回して形成し、自走車Vの直進部では、ピックアップコイル5の両側部に位置するように、誘導線路47を敷設し、自走車Vの分岐部では、分岐方向のピックアップコイル5の側部に位置するように、ループさせた誘導線路47を敷設する。この構成によれば、自走車Vが分岐部を移動中、直線部と同様に、常に2本の誘導線路47により給電されることにより、常に直進部と同様に誘導線路47が2本のときの周波数の変動を許容することができ、従来のように給電能力を維持するために、誘導線路へ給電される電流の周波数の変動を極力抑えなければならないという問題を解消することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 移動体の移動経路に沿って高周波電流を流す誘導線路を敷設し、前記移動体に前記誘電線路に対向してピックアップコイルを設け、このピックアップコイルに誘導される起電力により負荷に給電する無接触給電設備であって、前記ピックアップコイルを、コアにケーブルを巻回して形成し、前記移動経路の直進部では、前記ピックアップコイルの両側部に位置するように、前記誘導線路を敷設し、移動経路の分岐部では、分岐方向のピックアップコイルの側部に位置するように、ループさせた誘導線路を敷設したことを特徴とする無接触給電設備。
【請求項2】 前記コアの断面をエ字状またはI字状またはT字状とし、前記ケーブルは、前記コアの中央の垂直部分の両面に渡って巻回されていることを特徴とする請求項1記載の無接触給電設備。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無接触給電設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の無接触給電設備としては、たとえば特開平6−153305号公報に開示されている。
【0003】すなわち、移動体の移動線路に沿って高周波電流を流す誘導線路を張設し、前記移動体に、前記誘電線路から無接触で給電されるピックアップコイルを設け、このピックアップコイルに共振回路を形成するコンデンサを接続し、このコンデンサに整流/平滑回路を接続し、さらに直流電圧安定化回路を介して、負荷に接続し、負荷に無接触で給電している。
【0004】上記ピックアップコイルは、断面がE形状のコアの中央の凸部に、たとえばリッツ線からなるケーブルを巻いて形成しており、上記誘導線路は、ピックアップコイルのコアの両凹部の中心に位置するように敷設されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従来の移動体の給電設備では、ピックアップコイルを横向き(断面がE形状のコアの凸部を水平とした向き)とすると、移動体を分岐路に案内するとき、分岐路側の誘導線路の設置位置に移動体が移動するまでは給電が停止されてしまうという問題が発生し、またピックアップコイルを上向きあるいは下向き(コアの凸部を垂直とした向き)とすると、移動体を分岐路に案内しようとしても、ピックアップコイルの両端の凸部に邪魔されてピックアップコイルから誘導線路を抜くことができないため、分岐路へ案内することができないという問題が発生する。
【0006】上記問題を解消するため、コアの形状をエ字状またはI字状としたピックアップコイルが提案されている(たとえば、特開平9−298801号公報参照)。このピックアップコイルを採用した誘導線路の敷設図を図7に示す。2本の誘導線路51がピックアップコイル52のコア53の両凹部内に位置するように敷設されている。しかし、図7から明らかなように、分岐路において、どうしても1本の誘導線路51でしか給電されない箇所が発生する。図2に示すように、誘導線路51が1本だと理想的な周波数(f0)において、誘導線路51が2本のときの2分の1の給電能力を有するが、周波数が変動したとき給電能力の落ち込みが大きく、したがって、給電能力を維持するために、誘導線路51へ給電される電流の周波数の変動を極力抑えなければならないという問題が発生する。
【0007】そこで、本発明は、給電能力を維持しながら、誘導線路へ給電される電流の周波数の変動を許容可能とする無接触給電設備を提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、移動体の移動経路に沿って高周波電流を流す誘導線路を敷設し、前記移動体に前記誘電線路に対向してピックアップコイルを設け、このピックアップコイルに誘導される起電力により負荷に給電する無接触給電設備であって、前記ピックアップコイルを、コアにケーブルを巻回して形成し、前記移動経路の直進部では、前記ピックアップコイルの両側部に位置するように、前記誘導線路を敷設し、移動経路の分岐部では、分岐方向のピックアップコイルの側部に位置するように、ループさせた誘導線路を敷設したことを特徴とするものである。
【0009】上記構成によれば、移動体は移動経路の直進部を移動中は、ピックアップコイルの両側部に位置する誘導線路が発生する磁束により、ピックアップコイルに起電力が誘起され、分岐部を移動中は、分岐方向のピックアップコイルの側部に位置するループさせた2本の誘導線路が発生する磁束により、ピックアップコイルに起電力が誘起され、負荷に給電される。これにより、移動体を分岐路に案内するときに給電できなくなるという不具合を解消できるとともに、分岐部での給電能力が分岐部以外の直進部の移動経路の給電能力に維持される。
【0010】さらに、分岐部において常に2本の誘導線路により給電されることにより、分岐部においても直進部と同等の周波数特性を有することになり、常に直進部と同様に誘導線路が2本のときの周波数の変動を許容することができ、従来のように給電能力を維持するために、誘導線路へ給電される電流の周波数の変動を極力抑えなければならないという問題が解消される。
【0011】また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明であって、前記コアの断面をエ字状またはI字状またはT字状とし、前記ケーブルは、前記コアの中央の垂直部分の両面に渡って巻回されていることを特徴とするものである。
【0012】上記構成によれば、ピックアップコイルに断面がエ字状またはI字状またはT字状のコアを採用し、このコアの中央の垂直部分の両面にケーブルを巻回することにより、誘導線路はこのケーブルの側部に誘導線路が位置する。よって、ピックアップコイルの両端の凸部に邪魔されてピックアップコイルから誘導線路を抜くことができないため、分岐路へ案内することができないという不具合が解消され、移動体を分岐路に案内するときに給電できなくなるという不具合が解消される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図3は本発明の実施の形態における無接触給電設備を備えた荷の搬送設備の平面図、図4は同搬送設備の自走車の側面図、図5は同搬送設備の一部断面正面図である。
【0014】荷の搬送設備は、複数の自走車(移動体の一例)Vとこの自走車Vの移動経路(搬送経路)を形成するレール装置Bから構成されており、自走車Vはレール装置Bに案内されて移動する。自走車Vとレール装置Bを詳細に説明する。
〔自走車〕自走車Vは、自走車本体1と、この自走車本体1の中央部に立設された前後(自走車Vの走行方向)2本の支持体2に支持され、搬送する荷Cが載置される荷台3から構成されている。
【0015】前記荷台3の下面中央には、後述する誘導線路が発生する磁束により起電力が誘起されるピックアップコイル5が取付けられている。このピックアップコイル5は、図6に示すように、断面がエ字状(I字状あるいはT字状でもよい)のフェライトからなるコア6を5個、横方向(図4においてレール装置Bに沿う方向)に並べ、非磁性体のプレート7を介してベース体8にねじ8Aにより固定している。また横方向に並べたコア6の中央部6Aの両面に渡って、たとえば10〜20ターンのリッツ線からなるケーブル9を巻いて形成している。またベース体8の側部に取付け部材10を取付けて構成されている。また、両端のコア6とプレート7の折りかえし部間にウレタンゴム10Aを挿入している。
【0016】自走車本体1には、走行手段として、車軸を介して遊転自在に取付けられ、自走車Vを支持する前後左右計4個の走行用車輪11と、車軸を介して遊転自在に取付けた前後左右計8個の横移動規制用車輪12と、リニアモータのステータ(一次コイル)13と、前記ピックアップコイル5より給電され、リニアモータの一次コイル13に一次電流を供給するリニアモータのドライバ14が設けられている。
【0017】また自走車本体1には、走行経路を選択するための手段として、前後にそれぞれ配置され、左右端部にそれぞれ乗り換え用車輪21を取り付けたシーソー22と、このシーソー22の中央の支軸を回転自在に支持する支持体23と、シーソー22の支軸に連結され、さらに前記ピックアップコイル5より給電され、支軸を回動させて左右の乗り換え用車輪21の位置を上下に移動させるモータなどからなる駆動部24と、前後に位置するシーソー22の中央の支軸を連結するシャフト25が設けられている。
【0018】また、自走車本体1には、自走車本体1の移動により後述する走行レール31の第1走行案内面41との接触により回動するローラ26と、このローラ26の回転軸に連結されたエンコーダ27と、このエンコーダ27から出力されるパルス信号をカウントすることにより走行位置を確認しながら、走行・停止や移動する走行経路を判断するコントローラ(図示せず)が設けられており、コントローラは走行時にリニアモータのドライバ14へ走行指令を出力し、走行経路を変更するときには駆動部24を駆動する。リニアモータのドライバ14は、コントローラの走行指令に応じてリニアモータの一次コイル13に一次電流を供給する。
〔レール装置〕レール装置Bは、自走車Vの自走車本体1が走行時に発生する塵埃を外部へ拡散させることのないように、自走車本体1をカバーする形状とされており、左右一対の走行レール31と、この左右の走行レール31にそれぞれ固定された左右の側壁パネル32と、荷台3(支持体2を含む)のみを通過可能とした左右一対の上部パネル33とから構成している。また左右一対の走行レール31は、その下端部で連結されている。
【0019】前記走行レール31は、走行用車輪11に下から接当する第1走行案内面41と、横移動規制用車輪12に外側から接当する第2走行案内面42を有しており、さらに走行レール31の内方に、リニアモータの一次コイル18に対向して自走車Vの走行方向にN極の磁石とS極の磁石44が繰り返し配列されている。
【0020】また左右の側壁パネル32のそれぞれの内側面に、左右の乗り換え用車輪21にそれぞれ接当する走行案内面を有す一対の案内レール45が設けられ、さらに左右一対の上部パネル33の対向する端部に、この端部より突設されたハンガー46に支持されて誘導線路47が敷設されている。この誘導線路47のレール装置Bの分岐部における敷設図を図1に示す。
【0021】図1に示すように、移動経路(レール装置B)の直進部では、誘導線路47を上記ピックアップコイル5のエ字状のコア6の側部の両凹部の中心に位置するように敷設し、分岐部では、ピックアップコイル5から一方の誘導線路47が離れる箇所において、分岐方向のピックアップコイル5の凹部内に位置するように、ループさせた誘導線路47を敷設している。図1において矢印は電流の流れる方向を示す。
【0022】上記構成による作用を説明する。まず、誘導線路47に給電されると、移動経路の直進部では、ピックアップコイル5の両凹部内(側部)に位置する左右の誘導線路47が発生する磁束により、ピックアップコイル5に起電力が誘起され、自走車Vのピックアップコイル5に起電力が誘起され、この起電力により発生した交流電流は、整流され、所定の電圧に整圧されて上記コントローラと、リニアモータのドライバ14と、駆動部24へ供給される。そして、コントローラより走行指令が、リニアモータのドライバ14へ出力されると、リニアモータのドライバ14は、コントローラの走行指令に応じてリニアモータの一次コイル13に一次電流を供給し、よって自走車Vは走行レール43に案内されて移動する。
【0023】また移動経路を変更するとき、コントローラは駆動部24へ指令して、選択した移動経路側の案内レール45に乗り換え用車輪21が接当するように、シーソー22を駆動する。そして、分岐部に到達すると、乗り換え用車輪21が選択した移動経路側の案内レール45に案内されることにより移動経路が変更される。また分岐部では、分岐方向のピックアップコイル5の凹部(側部)内に位置するようにループさせた2本の誘導線路47が発生する磁束により、自走車Vのピックアップコイル5に起電力が誘起され、同様にこのピックアップコイル5よりコントローラとリニアモータのドライバ14と駆動部24へ給電される。
【0024】図2に示すように、誘導線路47が1本だと理想的な周波数(f0)において、誘導線路47が2本のときの2分の1の給電能力を有するが、周波数が変動したとき給電能力の落ち込みが大きく、周波数の変動を2本のとき以上に抑える必要がでてくる。上記のように分岐部において常に2本の誘導線路47により給電することにより、直進部のときと同等の周波数特性を有することになり、常に誘導線路47が2本のときの周波数の変動を許容することができ、従来のように給電能力を維持するために、誘導線路へ給電される電流の周波数の変動を極力抑えなければならないという問題を解消することができる。
【0025】このように、自走車Vが移動経路の分岐部を移動中は、分岐方向のピックアップコイル5の凹部内に位置するループさせた2本の誘導線路47が発生する磁束により、ピックアップコイル5に起電力が誘起されることにより、分岐部において直進部と同等の周波数特性を有し、周波数の変動を許容することができ、かつ分岐部での給電能力を直進部の給電能力に維持することができる。またピックアップコイル5に断面がエ字状のコア6を採用することにより、自走車Vを分岐可能とするとともに、自走車Vを分岐路に案内するときに給電できなくなるという不具合を解消できる。
【0026】なお、本実施の形態では、2本の誘導線路47を水平方向に並べて配置しているが、さらに多くの誘導線路を並べることにより、1本の誘導線路47に流れる電流を許容電流値以下に抑えながら、ピックアップコイル5に誘導される起電力を増加させることができる。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、移動体が分岐部を移動中、直線部と同様に、常に2本の誘導線路により給電されることにより、常に直進部と同様に誘導線路が2本のときの周波数の変動を許容することができ、従来のように給電能力を維持するために、誘導線路へ給電される電流の周波数の変動を極力抑えなければならないという問題を解消することができる。
【出願人】 【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
【出願日】 平成10年11月11日(1998.11.11)
【代理人】 【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開2000−152403(P2000−152403A)
【公開日】 平成12年5月30日(2000.5.30)
【出願番号】 特願平10−319677