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【発明の名称】 直流分巻モータ制御方式
【発明者】 【氏名】牧野 憲昭

【氏名】馬場 正

【要約】 【課題】直流分巻モータ制御方式において、起動時などの超低速域で大きいトルクが得られ、登り坂等でも緩やかな起動を可能とする。

【解決手段】起動に際しての低速駆動時にチョッパ制御のデューティを低くすると共に、アマチュア電流に比例してフィールド電流を流す。これにより、チョッパ制御のデューティを絞っても、直巻モータの場合に比べて大きいアマチュア電流が流れ、起動時に所望の大きいトルクが得られる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 操作指令値に応じてモータ電流をオン・オフチョッパ制御する電気車における直流分巻モータ制御方式において、モータのアマチュア回路をオン・オフ制御する制御素子と、分巻フィールドコイルに流れるフィールド回路をオン・オフ制御する制御素子と、上記各制御素子をチョッパ制御するための指令を出力する制御回路とを備え、上記制御回路は、上記アマチュア回路制御素子のチョッパデューティが操作指令値に比例する特性とした上で、アマチュア電流の増大に比例してフィールド電流を大きくするように制御する特性を有したことを特徴とする直流分巻モータ制御方式。
【請求項2】 上記直流分巻モータは、電気車の走行用のモータであり、上記制御回路は、走行を操作するアクセルからの操作指令値が入力されることを特徴とする請求項1に記載の直流分巻モータ制御方式。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気車等の走行用モータの駆動制御に好適な直流分巻モータ制御方式に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の走行用モータの制御方式としては、直流直巻モータと、そのアマチュア電流をオン/オフチョッパ制御するものが一般的である。直巻モータは、低速高トルク、高速低トルクの特性を呈することから、電気車駆動用として適性性能を有している。図5に直巻モータの制御方式を示す。モータのアマチュアAとフィールドコイルFとチョッパ制御素子Qは、電源ラインとグランドとの間に直列に接続されており、チョッパ制御素子Qは、アクセルの操作指令値に応じたパルス幅変調(PWM)によりオンオフ制御される。なお、コンタクタMF、MRの切り替えにより、フィールドコイルFに流れる電流が切り替わり、モータ回転方向が切り替えられる。アマチュア電流Iに対する速度N及びトルクτの関係は、図6に示すごとくである。またアクセル角に対するアマチュア・チョッパ・デューティ出力とアマチュア電流の特性は図7に示すごとくである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のような直巻モータの制御方式にあって、起動時などの超低速域では、アクセルの操作量は僅かにして、PWMデューティを絞る必要がある。このとき、PWMデューティは小さく、直巻モータではアマチュアAに直列に入っているフィールドコイルFのリアクタンスが大きいため、アマチュア電流IAは抑制され、カレントリミット値IAmaxまで達せず、大きいトルクを得ることはできず、登り坂等では緩やかな起動が困難になる。そこで、従来では、運転者は起動時にアクセル操作量を一時的に大きくして起動させ、車が動き始めると、トルクは少なくて済むので、直ちにアクセル操作量を小さい値に戻すといった操作を行っている。ところが、このような運転操作は熟練を要するばかりか、急発進を起こし易いといった問題がある。
【0004】本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、起動時などの超低速域で大きいトルクが得られ、登り坂等でも緩やかな起動が可能で、直巻モータの場合のように超低速域で大きいトルクを得ようとして急発進を起こすといったことのない直流分巻モータ制御方式を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1の発明は、操作指令値に応じてモータ電流をオン・オフチョッパ制御する電気車における直流分巻モータ制御方式において、モータのアマチュア回路をオン・オフ制御する制御素子と、分巻フィールドコイルに流れるフィールド回路をオン・オフ制御する制御素子と、上記各制御素子をチョッパ制御するための指令を出力する制御回路とを備え、上記制御回路は、上記アマチュア回路制御素子のチョッパデューティが操作指令値に比例する特性とした上で、アマチュア電流の増大に比例してフィールド電流を大きくするように制御する特性を有したものである。
【0006】上記直流分巻モータ制御方式においては、起動に際しての低速駆動時にチョッパ制御のデューティを低く押さえても、大なるアマチュア電流を流せるようにして、かつ、アマチュア電流に比例してフィールド電流を流す。アマチュアのリアクタンスは小さく、直巻モータの場合に比べて分巻フィールドコイルのリアクタンス分がないので、チョッパ制御のデューティを絞っても、比較的大きい(直巻モータの場合の数倍乃至数十倍)アマチュア電流IAが流れる。得られるトルクは、アマチュア電流と分巻フィールドコイル電流による磁束に比例したものとなるので、起動時に所望の大きいトルクが得られる。
【0007】また、上記直流分巻モータは、電気車の走行用のモータであり、上記制御回路は、走行を操作するアクセルからの操作指令値が入力されるものである。この構成においては、電気車が登り坂等で起動する場合にも、アクセルの操作量を大きくすることなく、緩やかに低速で起動することが可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の直流分巻モータ制御方式を具体化した一実施形態を図面を参照して説明する。図1はバッテリーフォークリフト車に適用された走行用直流分巻モータの制御装置を示す。制御装置は、リフト車の走行動作を司るコンピュータからなる制御回路1と、モータのアマチュアA及び分巻フィールドコイルFに流れる電流をパルス幅変調(PWM)によりオン・オフチョッパ制御するパワートランジスタ等からなる制御素子Q,Q1〜Q4と、運転者が操作指令値(速度)を制御回路1に与えるアクセル2とを備えている。アマチュアAと制御素子Qは直列に接続され、電源に対して分巻フィールドコイルFとは並列関係に接続される。分巻フィールドコイルFはブリッジ接続された制御素子Q1〜Q4の中点に接続される。また、モータのアマチュアAには、並列にフライホイールダイオードが接続される。
【0009】制御回路1は、アクセル2からの操作指令値に応じて、制御素子Q,Q1〜Q4を所定のデューティでチョッパ制御するための指令を出力する。ここに、制御回路1は、起動に際しての低速駆動時にチョッパ制御のデューティを低くすると共に、アマチュア電流の増大に比例してフィールド電流を大きくするようにデューティ制御する。また、制御素子Q1,Q4を導通させる時と、制御素子Q3,Q4を導通させる時とで、分巻フィールドコイルFに流れる電流方向が切り替わり、モータの回転方向が切り替わる。
【0010】図2はアマチュア電流IAに対するフィールド電流IF及びトルクτの関係を示す。アマチュア電流IAとフィールド電流IFとは比例関係にある。限流値は、アクセル2を最大量だけ操作した時に、アマチュアAに流れる最大設定電流値である。制御回路1は、アマチュア電流IAとフィールド電流IFとを図2に示すような関係でデューティ制御する。図3はアマチュア電流IAに対するフィールド電流IFと回転数N(速度)との特性を示す。電圧一定とすると、弱めフィールド電流IF1に対して、強めフィールド電流IF2の方が回転数Nは低くなり、また、電圧が下がっても、回転数Nは低くなる特性を呈する。アマチュア電流IAを増やし、フィールド電流IFも増やすと、回転数Nは低くなる。また、アクセル角に対するアマチュア・チョッパ・デューティ出力とアマチュア電流の特性は図4に示すごとくである。
【0011】上記のように構成された走行用直流分巻モータの制御装置において、制御回路1は、起動に際しての低速駆動時、アクセル角僅少WLのときのデューティ出力をPWML、アマチュア電流ILとして、チョッパ制御のデューティPWMLを低くすると共に、アマチュア電流IA即ちILに比例してフィールド電流IFを流す特性を有す。ここに、アマチュアAのリアクタンスは小さく、直巻モータの場合に比べて、分巻フィールドコイルFのリアクタンス分がないので、チョッパ制御のデューティを絞っても、直巻モータと比較して数倍乃至数十倍のアマチュア電流ILが流れる。その時に得られるトルクは、アマチュア電流IAと分巻フィールドコイル電流IFによる各磁束の積に比例したものとなるので、起動時に所望の大きいトルクを得ることができる。
【0012】そのため、超低速でも比較的大きいトルクが得られる。従って、バッテリーフォークリフト車が登り坂等で起動する場合にも、従来の直巻モータの場合のようにアクセル2の操作量を大きくすることなく、緩やかに低速で起動することが可能となり、超低速域で大きいトルクを得ようとして急発進を起こすようなことがなくなる。
【0013】なお、本発明は上記実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、分巻フィールドコイルFに流れる電流を制御するためのの構成は、ブリッジ接続された制御素子Q1〜Q4によるものに限られず、一方向回転で、1つの制御素子によりチョッパ制御するものであってもよい。
【0014】
【発明の効果】以上のように本発明の直流分巻モータ制御方式によれば、低速駆動時にチョッパ制御のデューティを低くしても、直巻モータの場合に比べて大きいアマチュア電流が流れるので、アマチュア電流に比例してフィールド電流を流すことにより、超低速起動時でも所望の大きいトルクを得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000232807
【氏名又は名称】日本輸送機株式会社
【出願日】 平成10年10月15日(1998.10.15)
【代理人】 【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
【公開番号】 特開2000−125418(P2000−125418A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−293389