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【発明の名称】 交流き電系における車両の異電源通過方法
【発明者】 【氏名】渡辺 秀夫

【要約】 【課題】異電源区間の通過を列車側で対応し、力行状態で通過可能とする。

【解決手段】列車11のパンタ12A,12Bと母線13A,13B間に切替遮断器CBA,CBBを接続し、母線を連絡遮断器CBCで接続し、CBA,CBCの入力側に継電器27A,27Bを接続する。またデッドセクション(DS)2の手前側軌道回路に列車に信号を渡すDS接近区間3を設ける。列車11がパンタ12Bが区間3に入ると信号が列車に渡され、CBBが開放され列車はパンタ12Aの電力で走る。27BはDS2に入ると動作し、トロリー12の区間に入ると復帰し、CBAを開とし微少時間遅れでCBBを閉としてパンタ12Bの電力で走る。パンタ12Aがトロリー12の区間に入ると27Aが復帰しCBAは閉となり、CBA,CBBは共に閉となる。パンタ12B,12Aが夫々DS2に入るときCBB,CBAは夫々開となっているのでアークを生じない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 異電源の第1,第2のトロリー線間にデッドセクションが設けられている異電源区間を複数のパンタグラフを有する列車が力行状態で通過しうる交流き電系における車両の異電源通過方法であって、前記デッドセクション手前の軌道回路に列車に信号を渡すデッドセクション接近区間を設け、列車には各パンタグラフに接続する各母線とそれぞれ直列に各切替遮断器を設けると共に、この各切替遮断器の出力側の母線を連絡遮断器で接続し、列車は各切替遮断器を閉とした状態で第1のトロリー線を走行して前記デッドセクション近くに来たとき前記デッドセクション接近区間からの信号を受けて前側の切替遮断器を開として後側パンタグラフで受電した電力で走行し、次いで、前側のパンタグラフがデッドセクションを通過したことを前側パンタグラフの電圧復帰を検出して後側の切替遮断器を開にすると共に微小時間遅れで前側の切替遮断器を閉にして前側パンタグラフで受電した電力で走行し、その後、後側のパンタグラフがデッドセクションを通過したことを後側パンタグラフの電圧復帰を検出して後側の切替遮断器を閉とし、通常の各切替遮断器を閉とした状態での走行に戻ることを特徴とする交流き電系における車両の異通過方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、交流電気鉄道において電気車が異電源区間を通過するための、交流き電系における車両の異電源通過方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】交流電気鉄道では、三相電源をスコット変圧器またはウッドブリッジ変圧器を用いてそのM座,T座巻線から90°位相の違う2つの単相(M座,T座電源)に変換してき電している。また、き電系は連続しているため隣り合う変電所の電源突き合わせ箇所がある。
【0003】これら電源突き合わせ場所にはトロリー線から電源を集電する列車のパンタグラフが、異電源を短絡させることなく通過できるような構成となっている。
【0004】在来線では図3に示すように、異電源のトロリー線11,12間に約8mのFRP又はウッド等の絶縁材料を挿入してデッドセクション2として絶縁を保っている。列車11はこの異電源区間を通過する時アークが発生したり、異電源のトロリー線11,12間に短絡を起きないように、デッドセクション2の手前に設けたデッドセクション標識51を見てノッチオフとし、デッドセクション通過位置に設けたデッドセクション標識52を見てノッチオンとしている。
【0005】新幹線においては図4に示すように異電源のトロリー線11,12間に約1kmの切替セクション(中セクション)4を設け、トロリー線11と切替セクション4間及びトロリー線12と切替セクション4間にそれぞれ切替遮断器CB1,CB2を接続し、切替遮断器CB1,CB2を列車11の進行に合わせて切替セクション4がトロリー線11のM(A)座の電源又はトロリー線12のT(B)座電源により加圧され、ノッチオンのまま列車11が通過しうるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記在来線の場合、(1)デッドセクションを設けるための条件に制約があるため、本来変電所直下に設けるのが最良であるが、トロリー線を引き回しているケースが多いため設備費が嵩む。
(2)デッドセクション付近ではノッチオフとするため高速運転に適さない。
(3)デッドセクション通過時ノッチオフとしているが、補機電力等はオン状態のままであり、トロリー線からデッドセクションに移るときある程度のアークが発生するため、定期的なデッドセクションの点検及び交換が必要であり、保守費の負担が大きい。
【0007】また上記新幹線の場合、(1)切替セクション区間におけるトロリー線の引き回しが多く複雑となり、設備費が嵩む。
(2)変電所の切替設備は2重系とする等設備費が嵩む。
(3)切替遮断器は多頻度で開閉するので定期的な点検,交換が必要であり、保守費の負担が大きい。
(4)切替遮断器は一方の遮断器が入りの時他方の遮断器は切りとなっており、切りとなっている遮断器には常に異電源の電圧が極間に印加されているため、僅かなコンタクトの荒れにより短絡事故が発生するケースが多い。
【0008】この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、デッドセクションを有する異電源区間を力行状態で高速通過することのできる、交流き電系における車両の異電源通過方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、異電源の第1,第2のトロリー線間にデッドセクションが設けられている異電源区間を複数のパンタグラフを有する列車が力行状態で通過しうる交流き電系における車両の異電源通過方法であって、前記デッドセクション手前の軌道回路に列車に信号を渡すデッドセクション接近区間を設け、列車には各パンタグラフに接続する各母線とそれぞれ直列に各切替遮断器を設けると共に、この各切替遮断器の出力側の母線を連絡遮断器で接続し、列車は各切替遮断器を閉とした状態で第1のトロリー線を走行して前記デッドセクション近くに来たとき前記デッドセクション接近区間からの信号を受けて前側の切替遮断器を開として後側パンタグラフで受電した電力で走行し、次いで、前側のパンタグラフがデッドセクションを通過したことを前側パンタグラフの電圧復帰を検出して後側の切替遮断器を開にすると共に微小時間遅れで前側の切替遮断器を閉にして前側パンタグラフで受電した電力で走行し、その後、後側のパンタグラフがデッドセクションを通過したことを後側パンタグラフの電圧復帰を検出して後側の切替遮断器を閉とし、通常の各切替遮断器を閉とした状態での走行に戻ることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明は、従来列車が異電源区間を通過するために地上側で行っていた対応を、車両側において実施するものである。
【0011】そのシステム構成を図1に示す。同図において、11,12は異電源のトロリー線、2はトロリー線11,12間に設けられたデッドセクション、3は軌道回路に設けられたデッドセクション接近区間で、この区間を通る車両に区間3の信号を渡すためのものである。
【0012】11はパンタグラフ付の車両11A,11Bを有する編成の列車、CBA,CBBは車両11A,11Bのパンタグラフ12A,12Bと母線13A,13B間に接続された切替用遮断器で、進行方向前側の遮断器CBBは当該車両11Bが上記デッドセクション接近区間3の信号を受けた時開放される。CBCは車両11A,11Bの母線13A,13Bを接続する連絡用遮断器、27A,27Bはそれぞれ遮断器CBA,CBBの入力側に計器用変圧器PTA,PTBを介して接続された不足電圧継電器で、それぞれパンタグラフ電圧無しで動作し、パンタグラフ点電圧有りで復旧し当該受電用遮断器を投入させる。
【0013】上記システムの動作を図2のタイムチャートを用いて説明する。従来の在来線では列車の各パンタグラフは各々独立していたが、図1のシステムではパンタグラフ12A,12Bを遮断器CBA,CBB,CBCと母線14を介して連結する。
【0014】列車11が矢印方向に進行し、進行方向前側の車両11Bが軌道回路のデッドセクション接近区間3に入るとこの区間信号を受け取り(a)、遮断器CBBを開放し(b)、パンタグラフ12Bはデッドセクション2に進入する。このためデッドセクション進入時にパンタグラフ12Bにアークが発生することがない。列車11はパンタグラフ12Aによるトロリー線11からの電力で走行する。
【0015】パンタグラフ12Bのデッドセクション2への進入により不足電圧継電器27Bが動作する(d)。その後パンタグラフ12Bがデッドセクション2を通過するとトロリー線12の電圧により不足電圧継電器27Bが復帰する(e)。
【0016】不足電圧継電器27Bの復帰を条件に車両11Aの遮断器CBAを開放し(f)、250ms〜350ms以内に車両11Bの遮断器CBBを投入する(g)。これにより列車11はパンタグラフ12Bによるトロリー線12からの電力での走行に切り替る。遮断器CBAが遮断された状態でパンタグラフ12Aがデッドセクション2に侵入するので、パンタグラフ12Bにアークが発生することはない。パンタグラフ12Aがデッドセクション2に進入すると不足電圧不継電器27Aが動作し(h)、デッドセクション2を通過するとトロリー線12の電圧により復帰し(i)、車両11Aの遮断器CBAを投入させる(j)。これにより車両11はパンタグラフ12A,12Bによるトロリー線12の電力で走行する。
【0017】不測の事態によりパンタグラフ12A,12Bがデッドセクション2を挾んで列車11が停止してしまった場合に初期状態として母線連絡用遮断器CBCを開放させる。表1に列車位置と遮断器状態及び電圧条件を示す。
【0018】
【表1】

【0019】上記実施の形態はパンタグラフを有する車両が2台の場合であるが、3台以上の場合でも上記同様の原理によりノッチをオフとせずにデッドセクションを力行状態で通過するようにできる。
【0020】また、この発明によれば、異電源区間を力行状態で通過することができるので、高速運転が可能となる。そのため新幹線への適用も可能である。
【0021】
【発明の効果】この発明は、上述のとおり構成されているので、以下に記載する効果を奏する。
【0022】(1)デッドセクションを運転手が意識することなく力行状態で通過することができ、高速運転が可能となる。
【0023】(2)デッドセクションをパンタグラフが通過する際のアーク発生がなく、デッドセクションの寿命が長くなる。
【0024】(3)母線引通しにより集電性能が向上し、パンタグラフの離線によるアーク発生が少なくなり、トロリー線、パンタグラフともに寿命が長くなる。
【0025】(4)デッドセクションを勾配区間にも設備できるなど設置条件が緩和され、設備費の軽減が図れる。
【0026】(5)新幹線では切替セクションをなくすことにより、設備量の大幅な低減が可能となる。
【0027】(6)切替遮断器の極間は従来の地上の切替遮断器のように常時電源が突き合っている訳でないため、信頼度が高い。
【出願人】 【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
【出願日】 平成10年10月13日(1998.10.13)
【代理人】 【識別番号】100062199
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 富士弥 (外1名)
【公開番号】 特開2000−125409(P2000−125409A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−289906