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【発明の名称】 車両の補機駆動装置
【発明者】 【氏名】山田 良昭

【氏名】山田 淳

【氏名】佐々木 正和

【要約】 【課題】車両の原動機としての走行用電動機と、その出力を車両の駆動輪に伝達する動力伝達機構と、ブレーキなどに用いる空気圧の発生源としてのエアコンプレッサやパワーステアリングに用いる油圧の発生源としてのオイルポンプなど補機類を駆動する補機用電動機と、を備える車両において、補機用電動機系に故障など異常が発生しても、車両の走行中は補機類の作動を確保できるようにする。

【解決手段】動力伝達機構に補機類20,21の駆動軸を連結する動力取出機構8,9,10a,10b,10cと、動力取出機構を断続する電磁クラッチ11と、補機用電動機22系が正常か異常かを判定するためんの手段30〜32、この判定結果から補機用電動機22系が正常なときは電磁クラッチ11を切断状態に保つとともに補機電動機22系が異常なときには電磁クラッチ11を接続状態に切り替えるように制御する手段30と、を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車両の原動機としての走行用電動機と、その出力を車両の駆動輪に伝達する動力伝達機構と、ブレーキなどに用いる空気圧の発生源としてのエアコンプレッサやパワーステアリングに用いる油圧の発生源としてのオイルポンプなど補機類を駆動する補機用電動機と、を備える車両において、動力伝達機構に前記補機類の駆動軸を連結する動力取出機構と、動力取出機構を断続する電磁クラッチと、補機用電動機系が正常か異常かを判定するための手段と、この判定結果から補機用電動機系が正常なときは電磁クラッチを切断状態に保つとともに補機電動機系が異常なときには電磁クラッチを接続状態に切り替えるように制御する手段と、を設けたことを特徴とする車両の補機駆動装置。
【請求項2】車両の原動機としての走行用電動機と、その出力を車両の駆動輪に伝達する動力伝達機構と、ブレーキなどに用いる空気圧の発生源としてのエアコンプレッサやパワーステアリングに用いる油圧の発生源としてのオイルポンプなど補機類を駆動する補機用電動機と、を備える車両において、動力伝達機構に動力取出機構を介して連結する予備用のエアコンプレッサやパワーステアリング用オイルポンプなど補機類と、動力取出機構を断続する電磁クラッチと、補機用電動機系が正常か異常かを判定するための手段と、この判定結果から補機用電動機系が正常なときは電磁クラッチを切断状態に保つとともに補機電動機系が異常なときには電磁クラッチを接続状態に切り替えるように制御する手段と、を設けたことを特徴とする車両の補機駆動装置。
【請求項3】補機用電動機系が正常か異常かを判定するための手段として、補機用電動機の回転を検出する手段と、走行用電動機の回転を検出する手段と、これらの検出信号に基づいて車両の走行時に補機用電動機が停止およびそれに近い状態のときに補機用電動機系の異常を判定する手段と、を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補機駆動装置。
【請求項4】補機用電動機の異常時に作動する警報手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の補機駆動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は車両の補機駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】車両走行用の原動機として、エンジンと電動機を組み合わせる、ハイブリッド電気自動車が知られている(特開平10ー75502号公報,特開平10ー51907号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような車両においては、パワーステアリングに用いる油圧の発生源としてのオイルポンプやブレーキなどに用いる空気圧の発生源としてのエアコンプレッサなど補機類の電動化も見られるが、補機用電動機系に故障など異常が発生すると、パワーステアリングへの油圧やブレーキなどへの空気圧を確保できないという可能性が考えられる。
【0004】この発明はこのような課題に着目してなされたものであり、補機用電動機系に故障が発生しても、車両の走行中は補機類の作動を確保できるようにする。
【0005】
【課題を解決するための手段】第1の発明では、車両の原動機としての走行用電動機と、その出力を車両の駆動輪に伝達する動力伝達機構と、ブレーキなどに用いる空気圧の発生源としてのエアコンプレッサやパワーステアリングに用いる油圧の発生源としてのオイルポンプなど補機類を駆動する補機用電動機と、を備える車両において、動力伝達機構に前記補機類の駆動軸を連結する動力取出機構と、動力取出機構を断続する電磁クラッチと、補機用電動機系が正常か異常かを判定するための手段と、この判定結果から補機用電動機系が正常なときは電磁クラッチを切断状態に保つとともに補機電動機系が異常なときには電磁クラッチを接続状態に切り替えるように制御する手段と、を設ける。
【0006】第2の発明では、車両の原動機としての走行用電動機と、その出力を車両の駆動輪に伝達する動力伝達機構と、ブレーキなどに用いる空気圧の発生源としてのエアコンプレッサやパワーステアリングに用いる油圧の発生源としてのオイルポンプなど補機類を駆動する補機用電動機と、を備える車両において、動力伝達機構に動力取出機構を介して連結する予備用のエアコンプレッサやパワーステアリング用オイルポンプなど補機類と、動力取出機構を断続する電磁クラッチと、補機用電動機系が正常か異常かを判定するための手段と、この判定結果から補機用電動機系が正常なときは電磁クラッチを切断状態に保つとともに補機電動機系が異常なときには電磁クラッチを接続状態に切り替えるように制御する手段と、を設ける。
【0007】第3の発明では、第1の発明または第2の発明における、補機用電動機系が正常か異常かを判定するための手段として、補機用電動機の回転を検出する手段と、走行用電動機の回転を検出する手段と、これらの検出信号に基づいて車両の走行時に補機用電動機が停止またはそれに近い状態のときに補機用電動機系の異常を判定する手段と、を設ける。
【0008】第4の発明では、第1の発明または第2の発明において、補機用電動機の異常時に作動する警報手段を設ける。
【0009】
【発明の効果】第1の発明では、車両の走行中に補機用電動機系の異常が判定されると、電磁クラッチが接続され、動力伝達機構から回転が動力取出機構を介してエアコンプレッサやパワーステアリング用オイルポンプなど補機類の駆動軸に伝達される。このため、補機用電動機系の異常時にも、補機類は走行用電動機の駆動力で作動するため、ブレーキなどへの空気圧やパワーステアリングへの油圧を良好に確保できる。補機用電動機系が正常なときは、電磁クラッチは切断され、走行用電動機への負荷を軽減する一方、補機類は補機用電動機で駆動される。
【0010】第2の発明では、車両の走行中に補機用電動機系の異常が判定されると、電磁クラッチが接続され、動力伝達機構から動力取出機構を介して出力される回転により予備用の補機類が駆動される。このため、補機用電動機系の異常時には、予備用の補機類が作動することにより、ブレーキなどへの空気圧やパワーステアリングへの油圧を良好に確保できる。補機用電動機系が正常なときは、電磁クラッチは切断され、走行用電動機への負荷を軽減する一方、補機類は補機用電動機で駆動される。
【0011】第3の発明では、補機用電動機は、車両の走行中に常時運転されることを前提にすると、補機類の回転と走行用電動機の回転とから、補機用電動機が異常かどうかを簡単に判定できる。つまり、走行用電動機が回転状態にあるにも拘わらず、補機類が停止のときは、補機用電動機系が異常と判定されるのである。
【0012】第4の発明では、運転者に補機用電動機系の異常を警報できる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1において、1は車両の原動機としての電動機(走行モータ)であり、電動機1は電源の供給を受けると、車両走行用の駆動力を発生する。その駆動力は減速用のギヤボックス3を介してプロペラシャフト4に出力され、デファレンシャル5からアクスル6を介して駆動輪7へと伝達される。つまり、電動機1の出力を車両の駆動輪7へ伝達する動力伝達機構として、減速用のギヤボックス3,プロペラシャフト4,デファレンシャル5,アクスル6、が設けられる。
【0014】減速用のギヤボックス3には、電動機1に連結する入力軸3aと、プロペラシャフト4に連結する出力軸3bと、これらの間に所定の歯数比でかみ合う1対の歯車3c,3dと、が設けられる。また、出力軸3bの歯車3dに所定の歯数比でかみ合う歯車8と、その回転をギヤボックス3の外側へ取り出すための回転軸9と、が備えられる。回転軸9と後述する補機類20,21の駆動軸との間に1対のプーリ10a,10bとこれらを同期的に回転させるベルト10cが設けられ、歯車8およびその回転軸9とともに動力伝達機構から回転を補機類20,21の駆動軸へ伝達する動力取出機構を構成する。そして、回転軸9の途中に動力の伝達を断続する電磁クラッチ11が介装される。
【0015】その一方、20はブレーキなどに用いる空気圧の発生源としてのエアコンプレッサ、21はパワーステアリングに用いる油圧の発生源としてのオイルポンプであり、これら補機類20,21は互いの駆動軸どうしが同軸上に連結され、エアコンプレッサ20側の駆動軸に補機用電動機22(補機モータ)の回転軸が連結される。補機用電動機20は、車両の走行中は常時運転され、停車中は所定の条件に応じて運転する(たとえば、エアタンクの空気圧が所定値以下のときは、停車中でも運転する)ように制御される。
【0016】電磁クラッチ11を制御するのがコントローラ30であり、補機用電動機22の回転を検出する回転センサ31と、走行用電動機1の回転を検出する回転(車速)センサ32と、が設けられる。コントローラ30は、これらセンサ31,32の検出信号に基づいて、補機用電動機22系に異常がないかどうかを判定し、その判定結果から補機用電動機22系の正常時は電磁クラッチ11を切断状態に保つとともに補機用電動機22系の異常時は電磁クラッチ11を接続状態に切り替える。また、補機用電動機22系の異常を判定すると、所定の警報を発生するように運転室の警報器33(ブザーやランプなど)の作動を制御する機構も備える。
【0017】図2はコントローラ30で行われる制御内容について、補機用電動機22系の異常をどのように判定するのかを含めて説明する表であり、補機用電動機22は正常時において、車両の走行中は常時運転され、停車中は所定の条件に応じて運転されるのであり、これを前提に補機用電動機22系の正常か異常かの判定は行われる。すなわち、コントローラ30は回転センサ31,32の検出信号に基づいて、走行用電動機1が停止で補機用電動機22が停止または回転中のときは、前提に反しないため、補機用電動機22系の正常を判定し、電磁クラッチ11を切断状態に保つ。同じく走行用電動機1が回転中で補機用電動機22が回転中のときは、前提と合致するため、補機用電動機22系の正常を判定し、電磁クラッチ11を切断状態に保つ一方、同じく走行用電動機1が回転中で補機用電動機22が停止のときは、前提に反するため、補機用電動機22系の異常を判定し、電磁クラッチ11を接続状態に切り替えるのである。
【0018】このような構成により、車両の走行中に補機用電動機22の異常が判定されると、電磁クラッチ11が接続され、走行用電動機1の回転が減速用のギヤボックス3から動力取出機構を介してエアコンプレッサ20およびパワーステアリング用オイルポンプ21の駆動軸へ伝達される。このため、補機用電動機22系が停止しても、エアコンプレッサ20およびオイルポンプ21は、走行用電動機1の回転で駆動されるから、ブレーキなどに用いる空気圧やパワーステアリングに用いる油圧を良好に確保できる。その際、運転室の警報器33が作動するため、運転者は補機用電動機22系の異常を知ることができる。補機用電動機22系が正常なときは、電磁クラッチ11は切断状態に保たれ、走行用電動機1への負荷を軽減する一方、エアコンプレッサ20およびパワーステアリング用オイルポンプ21は補機用電動機22の回転で駆動される。
【0019】図3は別の実施形態を表すものであり、減速用のギヤボックス3において、その出力軸3bと回転軸9との間に所定の歯数比でかみ合う1対の歯車8a,8bが設けられ、ギヤボックス3の外部で回転軸9に予備用の補機類としてエアコンプレッサ20aおよびパワーステアリング用オイルポンプ21aが同軸上に連結される。つまり、予備用のエアコンプレッサ20aおよびオイルポンプ21aは、1対の歯車8a,8bと回転軸9とからなる動力取出機構を介してギヤボックス3の出力軸3bに連結される。回転軸9の途中に動力を断続する電磁クラッチ11が介装され、電磁クラッチ11を図2のように制御するコントローラ30が設けられる。なお、図1と同じ部品に同じ符号を付ける。
【0020】このような構成により、車両の走行中に補機用電動機22の異常が判定されると、電磁クラッチ11が接続され、減速用のギヤボックス3から動力取出機構を介して出力される回転により予備用のエアコンプレッサ20aおよびパワーステアリング用オイルポンプ21aが駆動される。このため、補機用電動機22が停止しても、予備用の補機類20a,21aが走行用電動機1の回転で作動することにより、ブレーキなどに用いる空気圧やパワーステアリングに用いる油圧を良好に確保できる。補機用電動機22系が正常なときは、電磁クラッチ11は切断状態に保たれ、走行用電動機1への負荷を軽減する一方、補機類20,21は補機用電動機22の回転で駆動される。
【0021】図3において、エアコンプレッサ20,20aはエアタンク40に対して並列に配管される。エアコンプレッサ20,20aの一方が駆動されると、エアタンク40へ空気圧が供給されるが、その空気圧が停止中のもう一方のエアコンプレッサ20a,20を介して漏れるのを防止するため、配管の並列部にそれぞれチェック弁41,41aが介装される。オイルポンプ21,21aについても、吸込側と吐出側がそれぞれパワーステアリング装置45とオイルタンク46に対して並列に配管される。オイルポンプ21,21aの一方が駆動されると、パワーステアリング装置45へ油圧が供給されるが、その油圧が停止中のもう一方のオイルポンプ21a,21を介して低圧側へ逃げるのを防止するため、各吐出側の配管にそれぞれチェック弁46,46aが介装される。
【0022】なお、電磁クラッチ11は補機用電動機22系の異常時だけでなく、必要に応じて接続するように制御することも考えられる。その場合、2系統の補機類20,20a、21,21aが同時に作動するため、エアタンク40への圧縮空気の流量やパワーステアリング装置45への圧油の流量が増加することになり、エアタンク40の空気圧を速やかに上昇できるとともにパワーステアリング装置45のアシスト力を増大できるという効果も得られる。
【出願人】 【識別番号】000003908
【氏名又は名称】日産ディーゼル工業株式会社
【出願日】 平成10年10月15日(1998.10.15)
【代理人】 【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜 (外1名)
【公開番号】 特開2000−125402(P2000−125402A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−293672