| 【発明の名称】 |
電気自動車における電力線の保持構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】西堀 毅雄
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| 【要約】 |
【課題】電気自動車のバッテリボックスとモータとを接続する電力線の中間部の妄動を防止しながら、衝突時に前記電力線の損傷を確実に防止する。
【解決手段】バッテリボックスとモータとを接続する電力線43の中間部にホルダー46を固定し、車体に前上がりに傾斜して固定したステー45の係止孔455 にホルダー46の係止爪57を係合させることにより、電力線43を前上がりの状態で保持する。車両の衝突による衝撃でモータが後退し、あるいはバッテリボックスが前進して電力線43に車体前後方向の荷重F1 ,F2 が作用すると、ホルダー46はステー45の支持面454 に当接するフランジ部56の前縁Pを支点として矢印M方向に回転する。その結果、係止爪57が係止孔455 から引き抜かれてホルダー46がステー45から分離し、電力線43は中間部の拘束を解除されて損傷を免れる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バッテリ(10)を収納したバッテリボックス(9)と走行用のモータ(5)とを接続する電力線(43)の中間部をホルダー(46)を介して車体に保持すべく、電力線(43)に固定したホルダー(46)の係止爪(57)を車体の支持面(454 )に設けた係止孔(455 )に分離可能に係合させてなる電気自動車における電力線の保持構造であって、車体の支持面(454 )は、そこにホルダー(46)を介して保持された電力線(43)が車体前後方向に対して傾斜するように配置されており、電力線(43)に作用した車体前後方向の荷重(F1 ,F2 )が該電力線(43)からホルダー(46)に伝達されたとき、ホルダー(46)に設けた係止解除手段(56)で係止爪(57)の係止孔(455 )からの分離を促進することを特徴とする電気自動車における電力線の保持構造。 【請求項2】 前記ホルダー(46)に設けた係止解除手段(56)は、電力線(43)に固定されるクランプ部(54,55)と係止孔(455 )に係合する係止爪(57)との間に設けられて前記支持面(454 )に当接するフランジ部であることを特徴とする、請求項1に記載の電気自動車における電力線の保持構造。 【請求項3】 前記ホルダー(46)の係止爪(57)は、係止孔(455)への挿入方向の前方側に設けられた第1テーパー面(573 )と、前記挿入方向の後方側に設けられた第2テーパー面(574 )とを備えたことを特徴とする、請求項1に記載の電気自動車における電力線の保持構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリを収納したバッテリボックスと走行用のモータとを電力線で接続してなる電気自動車に関し、特にその電力線の保持構造に関する。 【0002】 【従来の技術】かかる電気自動車において、バッテリボックスとモータとを接続する電力線の中間部が自由に移動できるようになっていると、走行に伴う振動や慣性で電力線の中間部が車体に接触して擦れたり、カプラーやターミナルに接続された電力線の端部に張力が作用したりして損傷する虞がある。そこで従来は、電力線の中間部を車体の適所に保持して走行時に妄動しないようにし、前記損傷を回避することが行われていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電気自動車が衝突すると、衝突の衝撃でモータが後退したり衝突の慣性でバッテリボックスが前進する場合があり、このような場合に電力線の中間部が車体に強固に固定されていると、両端がモータおよびバッテリボックスに接続された電力線に強い力が作用して損傷する可能性がある。 【0004】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、電気自動車のバッテリボックスとモータとを接続する電力線の中間部の妄動を防止しながら、衝突時に前記電力線の損傷を確実に防止することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、バッテリを収納したバッテリボックスと走行用のモータとを接続する電力線の中間部をホルダーを介して車体に保持すべく、電力線に固定したホルダーの係止爪を車体の支持面に設けた係止孔に分離可能に係合させてなる電気自動車における電力線の保持構造であって、車体の支持面は、そこにホルダーを介して保持された電力線が車体前後方向に対して傾斜するように配置されており、電力線に作用した車体前後方向の荷重が該電力線からホルダーに伝達されたとき、ホルダーに設けた係止解除手段で係止爪の係止孔からの分離を促進することを特徴とする。 【0006】上記構成によれば、通常時には、バッテリボックスとモータとを接続する電力線の中間部をホルダーを介して車体の支持面に保持することにより、その電力線の中間部の妄動を抑制することができる。また車両の衝突による衝撃でバッテリボックスが前進し、あるいはモータが後退して電力線に車体前後方向の荷重が作用したとき、支持面に取り付けられたホルダーは電力線から伝達された車体前後方向の荷重によって回転しようとする。このとき、ホルダーに設けた係止解除手段で係止爪の係止孔からの分離が促進されるため、ホルダーが車体の支持面から確実に分離して電力線の中間部が自由に移動できるようになり、電力線の損傷を回避することができる。 【0007】また請求項2に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、前記ホルダーに設けた係止解除手段は、電力線に固定されるクランプ部と係止孔に係合する係止爪との間に設けられて前記支持面に当接するフランジ部であることを特徴とする。 【0008】上記構成によれば、ホルダーの係止解除手段を、電力線に固定されるクランプ部と係止孔に係合する係止爪との間に設けられて支持面に当接するフランジ部から構成したので、電力線から伝達される荷重でホルダーが回転するときに前記フランジ部の端縁が支点となり、係止爪を係止孔から引き抜く方向に積極的に移動させてホルダーを車体の支持面から確実に分離することができる。 【0009】また請求項3に記載された発明は、請求項1の構成に加えて、前記ホルダーの係止爪は、係止孔への挿入方向の前方側に設けられた第1テーパー面と、前記挿入方向の後方側に設けられた第2テーパー面とを備えたことを特徴とする。 【0010】上記構成によれば、ホルダーの係止爪が、挿入方向の前方側に設けられた第1テーパー面を備えているので、係止爪を係止孔に挿入する作業を容易に行うことができる。またホルダーの係止爪が、挿入方向の後方側に設けられた第2テーパー面を備えているので、車両の衝突により電力線からホルダーに荷重が加わったときに、係止爪を係止孔から確実に引き抜くことができる。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。 【0012】図1〜図10は本発明の一実施例を示すもので、図1は電気自動車の全体側面図、図2は電気自動車の全体斜視図、図3はバッテリボックスを取り外した状態での電気自動車の全体斜視図、図4は電気自動車の駆動系および制御系のブロック図、図5は図1の5−5線拡大断面図、図6は図5の6−6線断面図、図7は図5の要部拡大図、図8は図7の8方向矢視図、図9は図8の9方向矢視図、図10は図9に対応する作用説明図である。 【0013】図1〜図3に示すように、左右の前輪WFL,WFRおよび左右の後輪WRL,WRRを備えた電気自動車Vは、車体前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム1L,1R と、車体左右方向に延びて両サイドフレーム1L ,1R を接続する前部クロスメンバ2および後部クロスメンバ3とから構成される車体フレーム4を備える。左右のサイドフレーム1L ,1R の前端間に搭載された走行用駆動源であるモータ5には減速機6および差動装置7が一体に設けられており、この差動装置7から左右に延びるドライブシャフト8L ,8R が左右の前輪WFL,WFRにそれぞれ接続される。 【0014】車体フレーム4の下面には、上面が開放した浅いトレー状のバッテリボックス9が着脱自在に支持されており、このバッテリボックス9の後半部にモータ5に給電するための24個のバッテリ10…が2列に搭載されるとともに、その前半部にモータ5、バッテリ10…、各種補機類等を制御するためのコントロールユニット11と、コントロールユニット11からの指令でモータ5の駆動および回生を制御するインバータよりなるPDU12(パワードライブユニット)とが搭載される。 【0015】次に、電気自動車Vの駆動系および制御系の概略構成を、図4に基づいて説明する。尚、図4において太い実線は高電圧・高電流ラインを、中間の太さの実線は高電圧・中低電流ラインを、細い実線は低電圧・低電流ラインを、矢印付きの破線は信号ラインをそれぞれ示している。 【0016】コントロールユニット11は、コンタクタボックス21と、ジャンクションボード22と、マネージングECU23(マネージング電子制御ユニット)と、モータECU24(モータ電子制御ユニット)と、オンボードチャージャ25と、ダウンバータ26と、エアコン用インバータ27とから構成される。 【0017】バッテリボックス9に搭載されたバッテリ10…はNi−MHバッテリよりなり、それらが24個直列に接続されて総電圧は288ボルトになる。バッテリボックス9とモータ5との間には、コンタクタボックス21、ジャンクションボード22およびPDU12が直列に接続される。 【0018】バッテリ10…に連なるコンタクタボックス21には、イグニッションスイッチに連動して開閉するメインコンタクタ28と、メインコンタクタ28の閉成時に突入電流により該メインコンタクタ28が損傷するのを防止するためのプリチャージコンタクタ29およびプリチャージ抵抗29aとが設けられる。ジャンクションボード22は、コンタクタボックス21およびPDU12の間からオンボードチャージャ25、ダウンバータ26およびエアコン用インバータ27に配電する機能を有する。オンボードチャージャ25はバッテリ10…を充電するためのもので、外部の商用電源に接続されるプラグ30を備える。ダウンバータ26は電気自動車Vの各種補機類を駆動するための12ボルトの補助バッテリ31を充電するためのもので、バッテリ10…の電圧を14.5ボルトに降圧して補助バッテリ31に供給する。エアコン用インバータ27はバッテリ10…の直流電流を交流電流に変換してエアコンのコンプレッサ32を駆動する。 【0019】マネージングECU23はメインコンタクタ28の開閉制御と、オンボードチャージャ25、ダウンバータ26およびエアコン用インバータ27への電力供給と、バッテリ10…の残容量信号の出力と、警報信号の出力とを司る。またモータECU24は、ブレーキ信号、セレクタポジション、アクセル開度およびモータ回転数に基づいてPDU12を制御することにより、モータ5が発生する駆動力および回生制動力を制御する。 【0020】図5および図6に示すように、バッテリボックス9の右前部にカプラー収納凹部91 が形成されており、バッテリボックス9側に固定された3個の雌カプラー41…に着脱自在に結合される3個の雄カプラー42…が前記カプラー収納凹部91 内に配置される。雄カプラー42…に連なる3本の電力線43…(図4において太い実線で示す3相交流の高電圧・高電流ラインの一部)は、前部クロスメンバ2の下方を通過してモータ5に設けたグロメット44…から該モータ5の内部に延びている。3本の電力線43…の中間部は、前部クロスメンバ2の下面に固定したステー45にホルダー46…を介して着脱自在に保持される。 【0021】尚、図5において、バッテリボックス9の内部からグロメット47…を介して延出する3本のハーネス48…は、図4に矢印付きの破線で示す信号ラインの一部であって、運転席に延びるハーネス49にカプラー50…を介して着脱自在に結合される。 【0022】図7を併せて参照すると明らかなように、前記ステー45は断面溝型の部材であって、その後側に突出する1個のブラケット451 がボルト51で前部クロスメンバ2の後部下面に固定され、その前側に突出する2個のブラケット452 ,453 がボルト52,53で前部クロスメンバ2の前部下面に固定される。 【0023】次に、図8および図9に基づいてホルダー46の構造を説明する。尚、3個のホルダー46は同一構造であって相互に互換可能である。 【0024】ホルダー46は合成樹脂で一体成形された部材であって、円弧状の固定クランプ部54と、固定クランプ部54の一端に薄肉のヒンジ541 を介して枢支された円弧状の可動クランプ部55と、固定クランプ部54の上面に一体に連なる四角い板状のフランジ部56と、フランジ部56の上面から一体に突出する係止爪57とを備える。フランジ部56は本発明の係止解除手段を構成する。 【0025】図8に鎖線で示すように、可動クランプ部55を固定クランプ部54に対して開いた状態で固定クランプ部54の内側に電力線43を嵌合させ、可動クランプ部55をヒンジ541 回りに図8の矢印方向に回転させると、固定クランプ部54に設けた係止突起542 に可動クランプ部55に設けた係止孔551 が係合し、固定クランプ54および可動クランプ55間に電力線43が強固に固定される。 【0026】車体前後方向に対して前上がりに配置されたステー45の支持面454 に形成された四角形の係止孔455 に下方から挿入されるホルダー46の係止爪57は、その左右両面に一対のガイド面571 ,571 を備えるとともに、その前後両面に一対の抜け止め突起572 ,572 を備える。それぞれの抜け止め突起572 は、係止爪57の挿入方向前側に設けられて挿入方向前方に向けてテーパーする一対の第1テーパー面573 ,573 と、係止爪57の挿入方向後側に設けられて挿入方向後方に向けてテーパーする一対の第2テーパー面574 ,574 とを備える。 【0027】ホルダー46の係止爪57を、そのガイド面571 ,571 で案内しながらステー45の係止孔455 に挿入すると、係止孔455 のエッジに第1テーパー面573 ,573 を圧縮された抜け止め突起572 ,572 が弾性変形して該係止孔455 のエッジを乗り越えることにより、ホルダー46がステー45に取り付けられる。この状態で、ホルダー46のフランジ部56がステー45の支持面454 に密着する。 【0028】而して、電気自動車Vが衝突した衝撃でモータ5が車体後方に移動すると、ホルダー46よりも前方の電力線43がモータ5に押されて車体後方に移動する。また電気自動車Vが衝突した慣性でバッテリボックス9が車体前方に移動すると、ホルダー46よりも後方の電力線43がバッテリボックス9に押されて車体前方に移動する。このとき、ホルダー46の前後で電力線43が前上がりに傾斜して配置されているため、図9において、モータ5から電力線43の前半部に伝達される車体後向きの荷重F1 と、バッテリボックス9から電力線43の後半部に伝達される車体前向きの荷重F2 とによって、ホルダー46に時計方向のモーメントMを効果的に発生させることができる。 【0029】上述したようにホルダー46に時計方向のモーメントMが作用すると、図10に示すように、ホルダー46がフランジ部56の前縁Pを支点として時計方向に回転するため、係止爪57をステー45の係止孔455 から引く抜く方向の荷重F3 が発生する。その結果、前記荷重F3 により係止爪57が係止孔455 から引き抜かれてホルダー46がステー45から分離するため、ホルダー46による拘束を解除された電力線43の中間部は自由に移動できるようになって損傷を免れるれる。またホルダー46の係止爪57に前記荷重F3 が作用したとき、係止爪57の抜け止め突起572 ,572 の第2テーパー面574 ,574 の作用により、ホルダー46をステー45からスムーズに分離することができる。 【0030】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。 【0031】例えば、実施例ではホルダー46…に支持された電力線43…が車体前後方向に対して前上がりに傾斜しているが、その傾斜の方向は任意である。また実施例では電力線43…を前部クロスメンバ2に保持しているが、それらを車体の他の任意の部分に保持することができる。 【0032】 【発明の効果】以上のように請求項1に記載された構成によれば、通常時には、バッテリボックスとモータとを接続する電力線の中間部をホルダーを介して車体の支持面に保持することにより、その電力線の中間部の妄動を抑制することができる。また車両の衝突による衝撃でバッテリボックスが前進し、あるいはモータが後退して電力線に車体前後方向の荷重が作用したとき、支持面に取り付けられたホルダーは電力線から伝達された車体前後方向の荷重によって回転しようとする。このとき、ホルダーに設けた係止解除手段で係止爪の係止孔からの分離が促進されるため、ホルダーが車体の支持面から確実に分離して電力線の中間部が自由に移動できるようになり、電力線の損傷を回避することができる。 【0033】また請求項2に記載された発明によれば、ホルダーの係止解除手段を、電力線に固定されるクランプ部と係止孔に係合する係止爪との間に設けられて支持面に当接するフランジ部から構成したので、電力線から伝達される荷重でホルダーが回転するときに前記フランジ部の端縁が支点となり、係止爪を係止孔から引き抜く方向に積極的に移動させてホルダーを車体の支持面から確実に分離することができる。 【0034】また請求項3に記載された発明によれば、ホルダーの係止爪が、挿入方向の前方側に設けられた第1テーパー面を備えているので、係止爪を係止孔に挿入する作業を容易に行うことができる。またホルダーの係止爪が、挿入方向の後方側に設けられた第2テーパー面を備えているので、車両の衝突により電力線からホルダーに荷重が加わったときに、係止爪を係止孔から確実に引き抜くことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年9月8日(1998.9.8) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071870 【弁理士】 【氏名又は名称】落合 健 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−92623(P2000−92623A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願平10−254148 |
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