| 【発明の名称】 |
ハイブリッド駆動装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】村上 新
【氏名】長島 伸幸
【氏名】梅山 光広
【氏名】伊藤 寛
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| 【要約】 |
【課題】走行用の電動機で内燃機関を始動することのできるハイブリッド駆動装置を提供する。
【解決手段】ダブルピニオン型遊星歯車機構3のサンギヤ4に電動機2が連結されるとともに、その遊星歯車機構3のキャリヤ6に内燃機関1が連結され、さらにその遊星歯車機構3のリングギヤ5に出力部材9が連結され、前記サンギヤ4とキャリヤ6とリングギヤ5とのうちの少なくとも2つの部材を互いに一体的に連結して前記遊星歯車機構3を一体化する一体化クラッチ手段C1 と、前記キャリヤ6の回転を選択的に止める第1のブレーキ手段B1 とを有するハイブリッド駆動装置において、前記リングギヤ5の回転を選択的に止める第2のブレーキ手段B2 が設けられている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ダブルピニオン型遊星歯車機構のサンギヤに電動機が連結されるとともに、その遊星歯車機構のキャリヤに内燃機関が連結され、さらにその遊星歯車機構のリングギヤに出力部材が連結され、前記サンギヤとキャリヤとリングギヤとのうちの少なくとも2つの部材を互いに一体的に連結して前記遊星歯車機構を一体化する一体化クラッチ手段と、前記キャリヤの回転を選択的に止める第1のブレーキ手段とを有するハイブリッド駆動装置において、前記リングギヤの回転を選択的に止める第2のブレーキ手段が設けられていることを特徴とするハイブリッド駆動装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関とモータやモータ・ジェネレータなどの電力によって動作してトルクを出力する電動機とを動力源として備えたハイブリッド駆動装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】車両の燃費の向上および内燃機関から生じる排ガス量の低減ならびにその浄化のために、車両の駆動装置としてハイブリッド形式のものが使用されるようになってきている。これは、内燃機関のほかに排ガスの生じない動力装置例えば電動機を駆動源として採用し、これらの動力装置から出力されるトルクを選択的に駆動輪に伝達し、もしくは各動力装置の出力トルクを合成して駆動輪に出力するように構成されている。 【0003】各動力装置の出力トルクを選択的にもしくは合成して出力する装置として遊星歯車機構を主体として構成された装置が、従来、知られている。周知のように遊星歯車機構は、3つの回転要素を有し、それらのいずれかを入力要素、他の1つを出力要素、更に他の1つを固定要素とすることにより、増速もしくは減速作用をおこない、またいずれか2つの要素を連結することにより全体が一体化されて入力をそのまま出力する。このような遊星歯車機構の機能を利用し、2つの動力装置を遊星歯車機構の互いに異なる回転要素に連結し、更に他の1つの回転要素を出力軸などの出力部材に連結することにより、エンジン出力トルクを電動機によって増幅して出力し、また電動機の回転数(トルク)を適宜に制御することにより、出力トルク(出力回転数)をゼロにして停止状態を維持することができる。 【0004】その一例が、特開平9−37411号公報に記載されている。この公報には、ダブルピニオン型遊星歯車機構を使用してエンジントルクおよびモータトルクを合成・分配するように構成した装置が記載されている。具体的には、ダブルピニオン型遊星歯車機構のサンギヤにモータ・ジェネレータが連結され、またキャリヤにエンジンが入力クラッチを介して連結され、そのキャリヤがブレーキによって選択的に固定されるようになっている。そしてリングギヤに出力軸が連結されるとともに、遊星歯車機構の全体を一体化するための一体化クラッチが、キャリヤとサンギヤとの間に配置されている。 【0005】したがって上記の公報に記載された装置では、入力クラッチを係合させてエンジンの出力トルクをキャリヤに入力し、その状態でモータ・ジェネレータを正回転もしくは逆回転させれば、キャリヤに入力されたトルクが増幅させられてリングギヤから出力される。また、エンジンを回転させたままの状態で、モータ・ジェネレータの回転数(トルク)を適宜に制御すれば、リングギヤの回転が止まり、出力軸にトルクが出力されなくなる。このように、上記従来の装置では、エンジントルクを増幅してリングギヤから出力することができ、またエンジンを回転させたままであっても、リングギヤからの出力を止めることができるので、従来の自動変速機に組み込まれている流体式のトルクコンバータと同様に機能させることができる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】一般に、ハイブリッド駆動装置におけるトルクの合成・分配機構は、内燃機関と電動機(モータ・ジェネレータ)との両方の駆動装置を出力部材に連結するものであるから、トルク合成・分配機構に対するこれらの駆動装置の連結状態あるいはクラッチ手段の係合状態によっては、各駆動装置が相互に連結された状態となる。そして、各駆動装置の間でトルクを伝達することが可能な場合がある。 【0007】しかしながら、上述した従来のハイブリッド装置では、モータ・ジェネレータがダブルピニオン型遊星歯車機構のサンギヤに連結され、かつエンジンがその遊星歯車機構のキャリヤに連結されているが、モータ・ジェネレータからエンジンに対して充分にトルクを伝達することができない場合がある。すなわち、車両が停止している状態では、出力軸と一体のリングギヤが停止し、特にトルクが掛かっていず、この状態でモータ・ジェネレータを駆動してサンギヤにトルクを入力すると、リングギヤにトルクが抜けてしまい、キャリヤを回転させるトルクすなわちエンジンに対するトルクがゼロもしくは小さくなってしまう。そのため、上述した従来の装置では、モータ・ジェネレータによってエンジンを回転させることができないので、エンジンを始動するためには、ハイブリッド車以外の一般的な車両と同様に、スタータモータによってエンジンを回転させる必要がある。 【0008】このように上記従来のハイブリッド装置では、モータ・ジェネレータを備えているのも関わらず、エンジンの始動のための電動機を更に設ける必要があり、その結果、車両に搭載する部品数が多くなって小型軽量化の要請を阻害する可能性があった。 【0009】この発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、スタータモータを廃止して小型軽量化を図ることのできるハイブリッド駆動装置を提供することを目的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段およびその作用】請求項1の発明は、上記の目的を達成するために、ダブルピニオン型遊星歯車機構のサンギヤに電動機が連結されるとともに、その遊星歯車機構のキャリヤに内燃機関が連結され、さらにその遊星歯車機構のリングギヤに出力部材が連結され、前記サンギヤとキャリヤとリングギヤとのうちの少なくとも2つの部材を互いに一体的に連結して前記遊星歯車機構を一体化する一体化クラッチ手段と、前記キャリヤの回転を選択的に止める第1のブレーキ手段とを有するハイブリッド駆動装置において、前記リングギヤの回転を選択的に止める第2のブレーキ手段が設けられていることを特徴とするものである。 【0011】したがって、請求項1の発明によれば、第2のブレーキ手段を係合させることによりリングギヤが固定され、電動機を駆動してサンギヤにトルクを入力すれば、キャリヤがサンギヤとは反対方向に回転する。電動機は、その回転方向を電気的に制御できるので、内燃機関の回転方向とは反対方向にサンギヤが回転するように電動機を駆動することにより、キャリヤに連結されている内燃機関が正回転させられる。したがってこれと同時に内燃機関に対する燃料の供給および必要に応じて点火をおこなえば、内燃機関を始動することができる。 【0012】また、一体化クラッチ手段と各ブレーキ手段とを解放した状態で、内燃機関と電動機とを駆動すれば、前記遊星歯車機構によってトルクコンバータとしての機能が得られる。すなわち内燃機関からキャリヤに正回転方向のトルクを入力した状態で、電動機によってサンギヤに正回転方向もしくは逆回転方向のトルクを与えると、出力部材であるリングギヤには、サンギヤに入力されるトルクに応じたトルクが生じる。具体的には、サンギヤを遊星歯車機構のギヤ比に基づく所定の回転数で逆回転させると、リングギヤが停止する。その状態からサンギヤに対する正回転方向のトルクを次第に増大させると、リングギヤが正回転するとともに、そのトルクが、内燃機関の出力トルクを遊星歯車機構のギヤ比に応じて増大させたトルクとなる。その結果、遊星歯車機構がトルクコンバータとして機能する。 【0013】 【発明の実施の形態】つぎに、この発明をより具体的に説明する。図1はこの発明に係るハイブリッド駆動装置の一例を示す模式図であって、内燃機関1と電動機2とが、トルクの合成・分配機構を構成しているダブルピニオン型遊星歯車機構3に連結されている。その内燃機関1は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの供給された燃料を燃焼させて動力を出力する動力装置であり、外力によって強制的に回転させて始動する構成のものである。また、電動機2は、要は、電力が供給されて回転することにより動力を出力するものであり、発電機能をも備えたモータ・ジェネレータを使用するもできる。 【0014】ダブルピニオン型遊星歯車機構3は、サンギヤ(S)4と、リングギヤ(R)5とキャリヤ(C)6とを回転要素する周知の構成のものであり、外歯歯車であるサンギヤ4と同心円上に、内歯歯車であるリングギヤ5が配置され、そのサンギヤ4に噛合したピニオンギヤとこのピニオンギヤおよびリングギヤに噛合した他のピニオンギヤとが、キャリヤ6によって自転および公転自在に保持されている。この遊星歯車機構3におけるキャリヤ6に内燃機関(以下、エンジンと記す)1の出力軸(具体的にはクランクシャフト)が直接的に連結されている。また、サンギヤ4に電動機(以下、モータ・ジェネレータと記す)2のロータ2rが直接的に連結されている。 【0015】上記の遊星歯車機構3における2つの回転部材、具体的にはサンギヤ4とキャリヤ6との間には、これらを連結して遊星歯車機構3の全体を一体化させるクラッチC1 が設けられている。また、キャリヤ6とケーシング7との間には、キャリヤ6を選択的に固定する第1ブレーキB1 が設けられている。さらに、リングギヤ5とケーシング7との間にはリングギヤ5を選択的に固定する第2ブレーキB2 が設けられている。 【0016】上記のリングギヤ5は出力要素となっており、このリングギヤ5が出力部材としての変速機8の入力軸9に連結されている。ここで、図1に示す変速機8は、一例としてベルト式の無段変速機であって、溝幅を変更可能な駆動プーリ10と従動プーリ11とにベルト(図示せず)が巻き掛けられており、それらのプーリ10,11の溝幅を変更することにより、ベルトの巻き掛け半径を変更して変速比を連続的に変化させるように構成されている。その従動プーリ11がカウンタギヤ対12およびカウンタシャフト13を介して出力ギヤ14に連結されている。 【0017】つぎに上述したハイブリッド装置の作用について説明する。この発明に係る上述した装置では、クラッチC1 および各ブレーキB1 ,B2 の係合状態に応じて各種の運転モードが可能であって、これを表に示せば図2のとおりである。なお、図2において、×印は解放状態を示し、また○印は係合状態を示す。以下、各運転モードについて説明する。 【0018】先ず、エンジンの始動モードについて説明する。このモードは、車両の停止状態でエンジン1を始動するモードであって、摩擦係合装置の係合・解放状態としては、第2ブレーキB2 のみを係合した状態とする。すなわち遊星歯車機構3におけるリングギヤ5をケーシング7に対して固定しておく。この状態でエンジン1を始動する回転方向とは反対方向にモータ・ジェネレータ2を駆動してサンギヤ4を逆回転させると、リングギヤ5が固定されていることにより、キャリヤ6が正回転する。すなわちキャリヤ6に連結されたエンジン1が正回転させられるので、同時に燃料の供給を開始し、またガソリンエンジンであれば点火をおこなうことにより、エンジン1が始動する。 【0019】つぎに前進走行時のETCモードについて説明する。このETCモードは、上述した装置をトルクコンバータとして機能させるモードであり、上記のクラッチC1 およびブレーキB1 ,B2 を解放する。このモードでは、エンジン1を例えば最も効率の良い状態で運転し、これに対してモータ・ジェネレータ2は、リングギヤ5に生じるトルクが走行の要求に沿うものとなるように駆動する。この状態を示す共線図は、例えば図3のとおりであり、エンジン1が駆動していることによりキャリヤ6に正のトルクが生じており、これに対して車両を走行させるための負荷によりリングギヤ5には負のトルクが作用しており、さらにサンギヤ4にはモータ・ジェネレータ2の出力するトルクが作用している。この状態でモータ・ジェネレータ2を逆回転させれば、リングギヤ5の回転数が低下し、モータ・ジェネレータ2の回転数によっては、図3に実線で示してあるように、リングギヤ5の回転数がゼロになり、車両が停止した状態となる。すなわち、エンジン1を駆動しつつ車両を停止状態に維持することができる。 【0020】また、図3に実線で示す状態からモータ・ジェネレータ2の正方向の出力トルクを増大させてその回転数を正回転方向に増大させると(逆回転方向の回転数を減少させると)、エンジン1およびこれと一体のキャリヤ6の回転数が一定に維持されているので、図3に破線で示すように、出力要素であるリングギヤ5が正方向に回転する。そしてそのトルクは、入力したトルクを、遊星歯車機構3のギヤ比(サンギヤの歯数とリングギヤの歯数との比)ρに応じて増幅させたトルクとなる。すなわちトルクの増幅作用が生じる。言い換えれば、モータ・ジェネレータ2によるアシスト作用が生じる。 【0021】さらに、モータモードについて説明する。このモードは、エンジン1を停止してモータのみによって走行するモードであって、第1ブレーキB1 のみを係合させ、その状態でモータ・ジェネレータ2を駆動する。したがってモータ・ジェネレータ2を正回転させると、キャリヤ6が固定されていることにより、リングギヤ5がサンギヤ4より低回転数で正回転し、モータ・ジェネレータ2の出力トルクが増幅させられてリングギヤ5から変速機8に出力される。なお、このようにキャリヤ6を固定している状態では、サンギヤ4とリングギヤ5との回転方向が同じになるので、モータ・ジェネレータ2を逆回転させれば、リングギヤ5が逆回転して後進走行(Rev)モードになる。なお、その後進時の出力トルクは、遊星歯車機構3のギヤ比ρに応じて増幅された大きいトルクとなる。 【0022】そして、エンジン・モータ(Eng+モータ)モードについて説明する。このモードは、いわゆる直結走行モードであって、一体化クラッチC1 を係合させてサンギヤ4とキャリヤ6とを連結することにより、遊星歯車機構3の全体を一体化する。この状態でエンジン1およびモータ・ジェネレータ2を同速度で正回転方向に駆動する。その結果、エンジン1およびモータ・ジェネレータ2の出力トルクが合成されてリングギヤ5から変速機8に出力され、大きい駆動力を得ることができる。 【0023】したがって上記のハイブリッド装置では、エンジン1を止めて車両が停止している状態で、第2ブレーキB2 を係合させるとともに、モータ・ジェネレータ2を逆回転させれば、エンジン1が正回転するので、エンジン1を始動することができ、その結果、従来、必要としていたスタータモータを廃止でき、それに伴い駆動装置に付随する機器さらには車両を小型軽量化することができる。また、ETCモードとして説明したように、エンジン1を駆動した状態でモータ・ジェネレータ2によって出力トルクを増大させ、大きい駆動力を得ることができる。 【0024】なお、上記の具体例では、変速機としてベルト式の無段変速機を示したが、この発明では、これに替えてトロイダル式の無段変速機を使用してもよく、また有段式の変速機を使用してもよい。更に、クラッチ手段やブレーキ手段は、湿式多板式の摩擦係合装置以外にベルト式や噛み合い式など、適宜の構成のものを使用することができる。 【0025】 【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、遊星歯車機構における出力部材に連結されている回転要素を固定するブレーキ手段を設け、かつその固定要素に対して相互に反転要素となる他の2つの回転要素に内燃機関と電動機とを個別に連結したので、電動機によって内燃機関を始動することができ、また内燃機関の出力トルクを電動機によって増幅して出力要素から出力させることができ、その結果、この発明の装置によれば、内燃機関を始動するためにのみ設けられていた従来のスタータモータを廃止して小型軽量化を図ることができ、かつハイブリッド駆動装置として要求される電動機により出力トルクを増幅するアシスト機能を兼備することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年9月7日(1998.9.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083998 【弁理士】 【氏名又は名称】渡辺 丈夫
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| 【公開番号】 |
特開2000−92611(P2000−92611A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【出願番号】 |
特願平10−253119 |
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