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【発明の名称】 電動機制御装置及び制御方法
【発明者】 【氏名】新郷 和晃

【要約】 【課題】電気自動車において、トルクに影響を与えることなくジェネレータの温度保護を図る。

【解決手段】エンジン10、ジェネレータ26及びモータ28を備える。通常走行時は、エンジン10からの動力をジェネレータ26に分配し、ジェネレータ26で得られた電力をモータ28に供給してトルクアシストする。ジェネレータ26の温度を検出し一定温度以上に達すると、制御CPU56はジェネレータ26の回転数を減少制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 駆動用電動機と発電用電動機を備えた車両の発電用電動機制御装置であって、前記発電用電動機の温度を検出する温度検出手段と、検出された前記温度が所定温度以上の場合に、前記発電用電動機の回転数を減少制御する制御手段と、を有することを特徴とする電動機制御装置。
【請求項2】 駆動用電動機と発電用電動機を備えた車両の発電用電動機制御方法であって、前記発電用電動機の温度を検出し、検出された前記温度が所定温度以上である場合に、前記発電用電動機の回転数を減少させることを特徴とする電動機制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電動機制御装置及び制御方法、特に電気自動車におけるジェネレータの温度保護に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、低公害や省エネルギの観点から電気自動車(エンジンとモータを組み合わせたハイブリッド型を含む)の研究、開発が盛んに行われている。
【0003】このような電気自動車の例として、エンジンの動力を遊星ギア機構を用いてドライブシャフトとジェネレータに分配するとともにモータをドライブシャフトに接続し、低速走行時にはモータトルクによってドライブシャフトを駆動して走行し、通常走行時にはエンジンからのトルクでドライブシャフトを駆動するとともに、エンジン動力によりジェネレータを作動させて発電し、得られた電力をモータに供給してモータのトルクで駆動力をアシストする技術が開発されている。
【0004】そして、これらモータやジェネレータを確実に動作させるためには、冷却等の温度管理が不可欠であり、例えば特開平6−98590号公報では、モータの温度を測定し、得られた温度を基準値と比較してモータへの供給電流を減少させる技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような電流制御をそのまま上記の電気自動車に適用した場合、電流に比例してモータのトルクが減少するため車速の低下や加速度の低下、あるいは登坂力の低下等を招き、ドライバーにとって走行性の違和感につながる問題がある。特に、ジェネレータの温度上昇は鉄損が支配的であり、鉄損は主に回転数の1〜2乗に比例するため、単に電流値を制御するだけではトルク低下のみならず温度保護の観点からも効果的でないという動作点があった。
【0006】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みなされたものであり、その目的は、車両の走行性を低下させることなく発電用電動機(ジェネレータ)の温度上昇を確実に防止することができる制御装置及び制御方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、第1の発明は、駆動用電動機(モータ)と発電用電動機(ジェネレータ)を備えた車両の発電用電動機制御装置であって、前記発電用電動機の温度を検出する温度検出手段と、検出された前記温度が所定温度以上の場合に、前記発電用電動機の回転数を減少制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0008】また、第2の発明は、駆動用電動機と発電用電動機を備えた車両の発電用電動機制御方法であって、前記発電用電動機の温度を検出し、検出された前記温度が所定温度以上である場合に、前記発電用電動機の回転数を減少させることを特徴とする。
【0009】このように、本発明では発電用電動機(ジェネレータ)の電流値を減少させることにより温度保護を行うのではなく、発電用電動機の回転数を減少制御することで温度保護を図っている。上述したように、ジェネレータ等の高回転型電動機では回転数の1〜2乗に比例して鉄損が生じるので、回転数を減少制御することによりトルクに影響を与ることなく鉄損を防ぎ温度保護を図ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0011】図1には、本実施形態におけるハイブリッド型電気自動車の構成が示されている。
【0012】エンジン10の出力軸12には、ねじれダンパを介して遊星ギア機構16のプラネタリギア18を支持するプラネタリキャリア20が接続されている。遊星ギア機構16のサンギア22とリングギア24は、それぞれ発電用電動機(ジェネレータ)26と駆動用電動機(モータ)28のロータ30、32に接続されている。リングギア24には、さらに動力取り出しギア34が接続されている。動力取り出しギア34は、チェーン36、ギア列38を介してデイファレンシャルギア40に接続されている。ディファレンシャルギア40の出力側には、図示しない駆動輪が結合されたドライブシャフト42が接続されている。
【0013】エンジン10は、アクセルペダル44の操作量や冷却水温、吸気管負圧などの環境条件、さらにジェネレータ26、モータ28の運転状態に基づいてエンジンECU46によりその出力や回転数が制御される。ジェネレータ26及びモータ28は、制御装置48により制御される。制御装置48は、ジェネレータ26及びモータ28に電力を供給し、またこれらからの電力を受ける電池(二次電池)50を含んでいる。電池50とジェネレータ26及びモータ28との電力のやりとりは、それぞれ第1インバータ52、第2インバータ54を介して行われる。2つのインバータ52、54の制御は、制御CPU56が行う。この制御は、エンジンECU46からのエンジン10の運転状態の情報、アクセルペダル44の操作量、ブレーキペダル58の操作量、シフトレバー60で定められるシフトレンジ、電池の蓄電状態、遊星ギア機構16のサンギアの回転角、プラネタリキャリアの回転角、リングギアの回転角に基づき行われるとともに、ジェネレータ26の温度に基づいても行われる。
【0014】遊星ギア機構16の三要素の回転角は、それぞれプラネタリキャリアレゾルバ62、サンギアレゾルバ64及びリングギアレゾルバ66により検出される。ジェネレータ26の温度は、例えばステータ巻線に温度センサを設けることで検出される。制御CPU56は、上記の条件やジェネレータ26及びモータ28のu相、v相、W相の電流さらには電池または他方のインバータから供給される、あるいは供給する電流L1、L2に基づき第1及び第2インバータ52、54のトランジスタTr1〜Tr6、Tr11〜Tr16の開閉を制御する。
【0015】本実施形態のハイブリッド型電気自動車の動作は以下の通りである。まず、発進時や低速時等、エンジン10の効率が低い領域ではエンジン10を停止し、電池50からの電力をモータ28に供給してモータ28により走行する。そして、通常走行時には、エンジン10の動力を遊星ギア機構16を介してサンギア22とリングギア24に分配する。上述したように、リングギア24には動力取り出しギア34が接続されているので、このエンジン10からの分配動力によりドライブシャフトを駆動する。また、サンギア22にはジェネレータ26のロータ30が接続されており、ジェネレータ26で発電して得られた電力をモータ28に供給してトルクアシストする(リングギア24にはモータ28のロータ32が接続されており、モータ28が作動するとリングギア24を介してモータ28のトルクがドライブシャフトに印加される)。高負荷時には、ジェネレータ26からの電力のみならず、電池50から電力をモータ28に供給してさらにトルクアシストを行う。
【0016】このように、ジェネレータ26は、通常走行時にエンジン10からの分配動力により発電し、得られた電力をモータ28に供給してトルクアシストしているが、ジェネレータ26として例えば外周面に複数個の永久磁石を有するロータと、回転磁界を形成する三相コイルが巻回され電磁鋼板の薄板を積層してなるステータから構成した場合、鉄損による熱で温度が上昇し、不具合が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、制御CPU56がジェネレータ26の温度をモニタし、ジェネレータ26の温度が一定値以上となった場合に、ジェネレータ26の回転数を減少制御することで加熱からジェネレータ26を保護している。
【0017】図2には、制御CPU56におけるジェネレータ26の回転数制御の様子が示されている。図において、横軸は温度センサで検出されたジェネレータ26の温度であり、縦軸はジェネレータ26の回転数の制御割合である。ここで、制御割合とは、本来の指令値に対してどの程度減少させるかの度合いを示したものであり、制御割合が100%とは、本来の指令値(要求回転数)そのままを制御値として第1インバータ52に出力することを意味し、制御割合が50%とは、本来の指令値の50%の回転数を制御値として第1インバータ52に出力することを意味する。従って、本来の指令回転数がN、制御割合がA(%)である場合、出力回転数Nmは、【数1】Nm=N・A/100となる。そして、図に示すように、制御割合はある一定の温度T1までは100%であり、温度がT1〜T2の間は単調に減少し、温度T2では0%となる。
【0018】このように、制御CPU56は、温度T1までは要求回転数通りにジェネレータ26を駆動して発電するが、温度がT1を超えると要求回転数を温度に対して単調に減少させる。既述したように、ジェネレータ26の鉄損は回転数の1〜2乗に比例して増大するので、従来のように電流値を減少させるのではなく、回転数を減少させることで効果的に温度上昇を抑制することができる。
【0019】また、従来のように電流を減少させた場合、ジェネレータ26のトルクは電流に比例して減少するため、車速の低下や加速の低下などを招いていたが、本実施形態のように回転数を減少させることで、トルク低下を防ぎ、走行性を維持することが可能となる。すなわち、エンジン10の発生トルクはジェネレータ26のトルクと遊星ギア比との積としてドライブシャフトに伝達されるので、ジェネレータ26のトルクを一定に維持することで、駆動力を一定に維持することができる。
【0020】図3には、参考のためジェネレータ26の典型的なトルク曲線を示す。図において、横軸は回転数、縦軸はトルクである。高回転域までトルクがほぼ一定であり、ある回転数以上となるとトルクが急減する特性である。従って、要求回転数がN1であり、図2に示された制御割合に従って回転数をN2まで減少させてもトルクはほぼ一定であり、従来のようにトルク低下を招くことなくジェネレータ26の温度保護を図ることができる。従来の温度保護においては図中アで示すように電流値を減少させることでトルクを減少させて温度上昇を防止していたのであり、本実施形態のようにトルクを維持しつつ回転数を減少させる技術(図中イで示す)とは本質的に相違することに注意されたい。
【0021】なお、モータ28に関しては、従来技術と同様に電流値を減少させることで温度上昇を防止してもよい。
【0022】また、本実施形態では、図2に示すようにある一定の温度T1を超えた場合にジェネレータの回転数を単調に減少させているが、減少の方法は任意であり、例えば放物線等で減少曲線を規定することも可能である。図2の関係は、制御CPU56が関数としてメモリに格納してもよく、マップとしてメモリに格納してもよい。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、車両の走行性を低下させることなく発電用電動機(ジェネレータ)の温度上昇を確実に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成10年8月10日(1998.8.10)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2000−59913(P2000−59913A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−226042