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【発明の名称】 荷搬送用台車
【発明者】 【氏名】久野 剛

【要約】 【課題】本発明は、誘導線路への給電が遮断されたときの急制動を防止する荷搬送用台車を提供することを目的とする。

【解決手段】直流安定化電源回路22より給電される電力回生が可能なインバータ24と、インバータ24より給電されて走行用車輪を駆動する誘導モータ4’と、給電時に開放される走行用車輪のブレーキ27と、電源回路22およびインバータ24に接続されブレーキ27へ給電するブレーキ回路基板25を備え、ブレーキ回路基板25の入力電圧許容範囲を、インバータ24の入力電圧許容範囲より広くする。この構成により、電源回路22からの給電が遮断されると、モータ4’の回生電力がインバータ24を通してブレーキ回路基板25へ給電され、このときブレーキ回路基板25の入力電圧許容範囲は広いことから、インバータ24が動作している間は必ずブレーキ回路基板25はブレーキ27へ給電し、よって台車の急制動が防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電源に接続され、この電源から給電される電力回生が可能なインバータと、前記インバータより給電され、走行用車輪を駆動する誘導モータと、給電時に開放される前記走行用車輪のブレーキと、前記電源とインバータに接続され、前記ブレーキへ給電するブレーキ回路を備え、前記ブレーキ回路の入力電圧許容範囲を、前記インバータの入力電圧許容範囲より広くしたことを特徴とする荷搬送用台車。
【請求項2】 前記電源とインバータに接続された制御機器を備えたことを特徴とする請求項1記載の荷搬送用台車。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、給電線路より給電されながら一定経路を移動する荷搬送用台車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の上記荷搬送用台車の一例を、図2および図3に基づいて説明する。荷搬送用台車Vは、駆動トロリー1A、従動トロリー1B、およびこれらトロリー1A,1Bにて支持される物品搬送用キャリア1Cから構成され、この荷搬送用台車Vを移動自在に案内する案内レール(一定経路)Bとが設けられている。
【0003】駆動トロリー1Aは、案内レールBの上部に係合する走行用車輪2、案内レールBの下部に両横側から接触する振れ止めローラ3、および集電子ユニットDを備え、走行用車輪2が減速機付電動モータ4にて駆動される。また従動トロリー1Bは、案内レールBの上部に係合する走行用車輪5、および案内レールBの下部に両横側から接触する振れ止めローラ6を備えている。
【0004】案内レールBは、その上部に車輪案内部7、その下部にローラ案内部8を備え、横一側部に連結される支持枠9によって、天井などから吊り下げ状態に支持され、また案内レールBの支持枠9が取り付けられた側部とは他方の側部に、通電レールユニットUが取り付けられている。
【0005】この通電レールユニットUは、電力を3相交流にて荷搬送用台車Vに供給し、かつ走行制御用信号を荷搬送用台車Vに伝達するために設けられたものであって、4本の通電レールLを備え、各通電レールLを並列状態に支持するレール支持枠10が案内レールBに設けた上下一対の係止部11に係止された状態でビス止めされている。
【0006】通電レールLは、図3(b)に拡大して示すように、銅などの導電材にて形成されるレール本体12と、合成樹脂などの非導電材にて形成されるホルダー13とからなり、ホルダー13には、レール本体12の両横側部から集電子側に突設される一対の防護壁部が備えられ、またレール本体12の集電子接触面が、レール横巾方向中央側ほど奥側に位置する凹入面に形成されている。
【0007】集電子ユニットDは、図3に示すように、各通電レールLのそれぞれに一対の集電子14を備え、1つの通電レールLに対する一対の集電子14が、車体Vの前後方向に間隔を隔てて位置され、車体前方の4つの集電子14が、1つのユニットにまとめられ、同様に車体後方の4つの集電子14が1つのユニットにまとめられている。
【0008】また駆動トロリー1Aには、走行用車輪2のブレーキのブレーキ回路と荷搬送用台車Vの制御機器(いずれも図示せず)が搭載されている。前記ブレーキは、ブレーキ回路から電流を流すことにより開放され、電流がオフなると走行用車輪2を拘束する。
【0009】上記構成により、荷搬送用台車Vは、案内レールBの通電レールユニットUの通電レールLから集電子14を介して給電され、走行時には集電子14より減速機付電動モータ4とブレーキ回路に給電され、ブレーキが開放され、モータ7が駆動され、よって走行用車輪2が駆動され、案内レールBに案内されて移動する。また集電子14より、荷搬送用台車Vの制御機器へ給電されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記荷搬送用台車Vの構成では、通電レールLへの給電が遮断されると、モータ、制御機器、ブレーキの電源が全て瞬時に遮断されることから、荷搬送用台車Vが高速走行をしていた場合、急制動がかかり、荷崩れや荷の落下が発生する恐れがあった。また制御機器は、現在の状態データ(荷搬送用台車の現在位置データなど)を保存することができず、よって状態データを入力しなければ走行を開始することができず、走行開始までに時間がかかるという問題があった。
【0011】そこで、本発明は、給電が遮断されたときの急制動を防止し、状態データの保存が可能な荷搬送用台車を提供することを目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、電源に接続され、この電源から給電される電力回生が可能なインバータと、前記インバータより給電され、走行用車輪を駆動する誘導モータと、給電時に開放される前記走行用車輪のブレーキと、前記電源とインバータに接続され、前記ブレーキへ給電するブレーキ回路を備え、前記ブレーキ回路の入力電圧許容範囲を、前記インバータの入力電圧許容範囲より広くしたことを特徴とするものである。
【0013】上記構成によれば、電源からの給電が遮断されると、インバータは所定の減速カーブにより停止しようとし、そのときのモータの回生電力がブレーキ回路へ給電される。ブレーキ回路の入力電圧許容範囲は、インバータの入力電圧許容範囲より広いことから、インバータが動作している間は必ずブレーキ回路は制御可能であり、ブレーキ回路はブレーキへ給電し、ブレーキを開放続けることができ、台車の急制動が防止される。
【0014】また請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の荷搬送用台車であって、前記電源とインバータに接続された制御機器を備えたことを特徴とするものである。ここで、制御機器は、コントローラ、センサ、エンコーダなどである。
【0015】上記構成によれば、電源からの給電が遮断されると、インバータは所定の減速カーブにより停止しようとし、そのときのモータの回生電力が制御機器へ給電され、制御機器は、この回生電力により現在の状態データを保存することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態における荷搬送用台車Vの回路構成図である。この回路は、駆動トロリー1Aに搭載される。なお、図1の回路以外の構成は、従来例の図2および図3と同様の構成であり、同一の符号を付して説明する。
【0017】図1に示すように、集電子14にダイオードからなる整流回路21を接続し、この整流回路21に出力を所定直流電圧に制御する直流安定化電源回路(以下、PSBと略す)22を接続し、このPSB22に直流母線23を接続している。この直流母線23に並列に、電力回生が可能なインバータ24とブレーキ回路基板25とコントロール機器26を接続し、インバータ24に走行用車輪2を駆動する誘導モータ4’を接続し、ブレーキ回路基板25に走行用車輪2のブレーキ27を接続している。上記PSB22が、特許請求の範囲に記載する電源に相当する。
【0018】上記ブレーキ回路基板25は、PSB22(直流母線23)の電力をブレーキ27へ供給するDC−DCコンバータを構成しており、その入力電圧許容範囲を、インバータ24の入力電圧許容範囲より広くしている。たとえば、インバータ24の入力電圧許容範囲をDC170〜350V、ブレーキ回路基板25の入力電圧許容範囲をDC150〜380Vとする。
【0019】上記コントロール機器26は、コントローラ、センサ、エンコーダなどである。また上記ブレーキ27は、ブレーキ回路基板25から電流を流すことにより開放され、電流がオフなると走行用車輪を拘束する。
【0020】上記構成による作用を説明する。通電レールLより集電子14を介して給電された交流電流は整流回路21で整流され、PSB22により所定の電圧(たとえば、DC300V)に整圧され直流母線23を通してインバータ24とブレーキ回路基板25とコントロール機器26へ供給される。インバータ24より所定電圧(たとえば、AC200V)で誘導モータ4’に供給され、給電されたこの誘導モータ4’により走行用車輪2が駆動され、またブレーキ回路基板25よりたとえば、DC90Vでブレーキ27へ給電され、ブレーキ27が開放されることにより、荷搬送用台車Vは案内レールBに案内されて一定速度で移動する。また停止時は、インバータ24より誘導モータ4’へ供給される電圧は、所定の減速カーブにしたがって低下され、よって荷搬送用台車Vの走行速度が落とされ、所定の低速度まで下降すると、ブレーキ回路基板25からブレーキ27への給電が停止され、ブレーキ27により走行用車輪2が拘束され、荷搬送用台車Vは停止する。
【0021】また上記荷搬送用台車Vが走行中に、通電レールLへ供給されている電流が遮断されると、インバータ24へPSB22より電力が供給されなくなり、インバータ24は所定の減速カーブにより車体Vを停止しようとする。すると、モータ4の回生電力がインバータ24を通して直流母線23へ貯えられ、このとき電圧は最大電圧(たとえば、DC350V)まで上昇し、直流母線23からブレーキ回路基板25へ供給される。このとき、上記のようにブレーキ回路基板25の入力電圧許容範囲を、インバータ24の入力電圧許容範囲より広くしていることにより、インバータ24が動作している間は必ずブレーキ回路基板25は制御可能である。よって、荷搬送用台車Vが移動している間はブレーキ回路基板25は確実にブレーキ27を開放しつづけ、急制動が回避される。
【0022】また直流母線23からコントロール機器26へ供給され、電源が完全に落ちるまでにコントロール機器26、たとえばコントロールは、現在の台車の位置データなどの状態データをバッテリでバックアップされたメモリに保存する。よって走行開始時に状態データを入力する必要が無くなり、走行再開までの時間が短縮される。
【0023】誘導モータ4’が停止すると同時に回生電力は無くなり、全ての電力がなくなると、走行用車輪2はブレーキ27により拘束される。このように、通電レールLへ供給される電流が遮断されたとき、確実に台車の急制動を防止でき、荷崩れや荷の落下を防止することができ、よって作業員の安全を確保することができ、また現在の状態のデータを保存することができ、よって走行再開に際して作業員が各台車に対して状態データを入力する必要がなくなり、作業員の手間を省くことができ、走行再開までの時間を短縮でき、効率を改善することができる。
【0024】なお、本実施の形態では、直流安定回路22を特許請求の範囲に記載した電源としているが、他の電源としてもよく、本発明は電源からインバータ24とブレーキ回路基板25とコントロール機器26へ電流が供給される荷搬送用台車Vに適用することができる。
【0025】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、確実に台車の急制動を防止でき、荷崩れや荷の落下を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
【出願日】 平成10年8月5日(1998.8.5)
【代理人】 【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開2000−59910(P2000−59910A)
【公開日】 平成12年2月25日(2000.2.25)
【出願番号】 特願平10−220924