| 【発明の名称】 |
走行速度制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】桜庭 俊典
|
| 【要約】 |
【課題】車両の消費エネルギーを最小とすることができる走行速度制御装置を提供する。
【解決手段】車両の現在位置の勾配を検出する勾配センサ10と、車両の目標対気速度を入力する目標対気速度入力装置12と、車両特性値を記憶する車両特性値記憶装置19を有し、目標対気速度及び車両特性値から空気抵抗による消費エネルギーを計算するとともに、車両特性値から転がり抵抗による消費エネルギーを、勾配及び車両特性値から勾配抵抗による消費エネルギーをそれぞれ算出して対気速度を一定に保つために必要な電力を計算し、算出された電力に基づいて走行用モータ22へ供給する電力を制御するコンピュータ18とを備える。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の現在位置の勾配を検出する勾配検出手段と、前記車両の目標対気速度を入力する目標対気速度入力手段と、車両特性値を記憶する記憶手段を有し、前記目標対気速度及び前記車両特性値から空気抵抗による消費エネルギーを計算するとともに、前記車両特性値から転がり抵抗による消費エネルギーを、前記勾配及び前記車両特性値から勾配抵抗による消費エネルギーをそれぞれ算出して対気速度を一定に保つために必要な電力を計算する電力算出手段と、前記電力算出手段により算出された電力に基づいて走行用モータへ供給する電力を制御する供給電力制御手段とを具備することを特徴とする走行速度制御装置。 【請求項2】 車両の現在位置の勾配を検出する勾配検出手段と、前記車両の目標対気速度を入力する目標対気速度入力手段と、車両特性値を記憶する記憶手段を有し、前記目標対気速度及び前記車両特性値から空気抵抗による消費エネルギーを計算するとともに、前記車両特性値から転がり抵抗による消費エネルギーを、前記勾配及び前記車両特性値から勾配抵抗による消費エネルギーをそれぞれ算出して対気速度を一定に保つために必要な出力を計算する出力算出手段と、前記出力算出手段により算出された出力に基づいて内燃機関の出力を制御する出力制御手段とを具備することを特徴とする走行速度制御装置。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、自動車における走行速度制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、ガソリン車や電気自動車等の四輪車において、走行速度を一定に保つオート・クルーズ制御装置が案出されている。このオート・クルーズ制御装置は、運転者の操作により希望の走行速度(対地速度)を設定する走行速度設定装置、車速センサ、ECU(エンジン・コントロール・ユニット)等を備えている。オート・クルーズを実行する場合には、まず運転者が走行速度設定装置によって、設定速度(対地速度)を設定する。そして、四輪車の走行中にECUがタイヤの回転数等の車速センサから出力される車速情報に基づいて、実際の車速(対地速度が設定速度に収束するよう制御する。 【0003】このように、従来は、車速センサを備え、この車速センサから出力される車速情報と設定速度とを比較し、実際の車速(対地速度)が設定速度(対地速度)に収束するようフィードバック制御していた。このような制御は、ガソリン車のみならず電気自動車においても用いられている。また、電気自動車等の走行モータを備えた四輪車においては、走行モータへ供給する電力を設定速度が得られるであろう値となるよう制御していた。この制御方法においては、走行モータへ供給する電力を、下記の(1)式から得られる値の電力に設定するように制御していた。 【数1】
【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した従来の技術においては、路面勾配の大きさや風速等の走行に関する環境の変化に拘らず、対地速度を一定にする制御が行われる。環境変化が生ずると走行抵抗が変化するが、走行抵抗の変化が生じているにも拘らず単に対地速度を一定にしているだけでは有効にエネルギーを活用しているとはいえない。よって、従来は、ガソリン車の場合にはガソリン消費量が増大し、電気自動車の場合には電力消費量が増大していた。 【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、車両の消費エネルギーを最小とすることができる走行速度制御装置を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】まず、上記課題を解決するための本発明の指針及び原理について説明する。オート・クルーズを行う場合に、走行に関する環境の因子の中でエネルギー消費に最も関係する因子が何であるかを考察する。図1は、走行に関する環境の因子の中でエネルギー消費に最も関係する因子を得るために用いる説明図である。いま、図1(a)に示された路面勾配を有するモデルを考える。図1(a)中の符号は以下の意味を有する。 S1,S2:走行距離[km] V1,V2:車速(対気速度)[km/h] θ1,θ2:路面勾配[rad] 【0007】車両が地点P0から車速(対気速度)V1で地点P1まで至り、地点P1から車速(対気速度)V2で地点P2に至る場合の消費エネルギーE(単位ジュール(J))は、以下の(2)式から求められる。 【数2】
(2)式において、用いられる変数は、以下の意味を有する。 ρ :空気密度Cd:空気抵抗係数A :前面投影面積[m3] μr:転がり抵抗係数Wt:車両総重量[kg] g :重力加速度【0008】上記(2)式において右辺第1項は空気抵抗による消費エネルギーを示し、第2項は転がり抵抗による消費エネルギーを示し、第3項は勾配抵抗による消費エネルギーを示す。上記(2)式を参照すると、車速(対気速度)V1,V2の変化によって変化する項は、右辺第1項の空気抵抗に関する項のみである。つまり、車速(対気速度)V1, V2の変化は、転がり抵抗による消費エネルギーや勾配抵抗による消費エネルギーの変化に関与しない。 【0009】また、図1(b)は、車速(対気速度)V1,V2の比と消費エネルギーの関係を示す図である。この図においては、車両が地点P0から地点2までに至るまでに要する時間が一定であるという条件下において、車速(対気速度)V1とV2との比を変化させた場合の消費エネルギーをシミュレートして算出した結果である。図1(b)から分かるように、車速(対気速度)V1と車速(対気速度)V2とを等しく設定した場合に消費エネルギーが最小になる結果が得られた。この結果から、目標とする地点までの到着時間が等しいという条件下においては、路面勾配の大きさによらず対気速度を一定に保つことが消費エネルギーを最小とすることができる。 【0010】上記(2)式に示した第1項は前述したように空気抵抗による消費エネルギーを示しているが、これは車両の車速と風速との相対速度、つまり対気速度に依存する。いま、無風状態を考えると対気速度は車速、つまり対地速度に等しくなる。以上から、消費エネルギーを最小とするためには、第1に車両の車速と風速との相対速度(対気速度)に着目し、第2にこの対気速度を一定とすることがポイントとなる。よって、路面勾配の大きさに拘らず対気速度を一定に保つよう車速を制御して走行抵抗を最小とすることが車両の消費エネルギーを最小とするための指針となる。 【0011】以上の指針を考慮した上で、上記課題を解決するために、本発明は、車両の現在位置の勾配を検出する勾配検出手段(勾配センサ10)と、前記車両の目標対気速度を入力する目標対気速度入力手段(目標対気速度入力装置12)と、車両特性値を記憶する記憶手段(車両特性値記憶装置19)を有し、前記目標対気速度及び前記車両特性値から空気抵抗による消費エネルギーを計算する(ステップS14の処理)とともに、前記車両特性値から転がり抵抗による消費エネルギーを、前記勾配及び前記車両特性値から勾配抵抗による消費エネルギーをそれぞれ算出して(各々ステップS16及びステップS18の処理)対気速度を一定に保つために必要な電力を計算する(ステップS20の処理)電力算出手段(コンピュータ18)と前記電力算出手段により算出された電力に基づいて走行用モータへ供給する電力を制御する供給電力制御手段(コンピュータ18)とを具備することを特徴としている。 【0012】この発明によれば、電力算出手段が路面勾配に拘りなく目標対気速度及び車両特性値から空気抵抗による消費エネルギーを計算し、車両特性値から転がり抵抗による消費エネルギーを、勾配及び車両特性値から勾配抵抗による消費エネルギーをそれぞれ算出して対気速度を一定に保つために必要な電力を計算し、供給電力制御手段が電力算出手段により算出された電力に基づいて走行用モータへ供給する電力を制御する。 【0013】また、本発明は、車両の現在位置の勾配を検出する勾配検出手段(勾配センサ30)と、前記車両の目標対気速度を入力する目標対気速度入力手段(目標対気速度入力装置32)と、車両特性値を記憶する記憶手段(車両特性値記憶装置39)を有し、前記目標対気速度及び前記車両特性値から空気抵抗による消費エネルギーを計算する(ステップS34の処理)とともに、前記車両特性値から転がり抵抗による消費エネルギーを、前記勾配及び前記車両特性値から勾配抵抗による消費エネルギーをそれぞれ算出して(各々ステップS36及びステップS38の処理)対気速度を一定に保つために必要な出力を計算する(ステップS40の処理)出力算出手段(コンピュータ38)と前記出力算出手段により算出された出力に基づいて内燃機関の出力を制御する出力制御手段(コンピュータ38)とを具備することを特徴としている。 【0014】この発明によれば、出力算出手段が路面勾配に拘りなく目標対気速度及び車両特性値から空気抵抗による消費エネルギーを計算し、車両特性値から転がり抵抗による消費エネルギーを、勾配及び車両特性値から勾配抵抗による消費エネルギーをそれぞれ算出して対気速度を一定に保つために必要な出力を計算し、出力制御手段が出力算出手段により算出された出力に基づいて内燃機関の出力を制御する。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態による走行速度制御装置について詳細に説明する。 〔第1実施形態〕図2は、本発明の第1実施形態による走行速度制御装置の制御系の構成を示すブロック図である。本実施形態は電気自動車に適用した場合である。図2に示したように、本実施形態による走行速度制御装置は、勾配センサ10、電圧センサ14、及び電流センサ16と、目標対気速度入力装置12と、コンピュータ18と、インバータ20と、走行用モータ22と、バッテリ24とからなる。 【0016】勾配センサ10は車両に取り付けられ、車両の傾斜から間接的に路面勾配を検出する。尚、この路面勾配を測定する手段として勾配センサ10以外に、例えば地形の勾配データを格納して記憶している勾配データ記憶装置と車両の現在位置を検出するGPS(Clobal Positioning Systen)を備えた構成であってもよい。この場合、まずGPSによって車両の現在位置を検出し、現在位置の勾配を勾配データから得ることになる。 【0017】目標対気速度入力装置12は、運転席等に設けられ、運転者の操作により車両の目標対気速度を入力するためのものである。電圧センサ14及び電流センサ16は、バッテリ24の出力電圧及び出力電流をそれぞれ検出する。コンピュータ18は、勾配センサ10、電圧センサ14、及び電流センサ16の検出信号と目標対気速度入力装置12によって入力された目標対気速度を入力とし、各種演算を施してPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力し、走行用モータ22の消費電力の制御を行う。 【0018】また、コンピュータ18は、(2)式において用いられる空気密度、空気抵抗係数、前面投影面積、転がり抵抗係数、車両総重量、及び重力加速度等の車両に関する車両特性値を記憶する車両特性値記憶装置19を有する。コンピュータ18の計算及び動作の詳細については後述する。インバータ20はコンピュータ18から出力されるPWM信号に基づいて、バッテリ24を電源として、出力する駆動パルスの幅を変化させることにより、走行用モータ22へ供給する平均的な電力を変化させる。 【0019】次に、以上の構成における本発明の第1実施形態による走行速度制御装置の動作について説明する。図3は、本発明の第1実施形態による走行速度制御装置の動作を示すフローチャートである。まず、処理が開始すると、勾配センサ10において路面勾配を検出する処理が行われる(ステップS10)。検出された路面勾配はコンピュータ18へ入力される。 【0020】次に、目標対気速度を入力する処理が行われる(ステップS12)。この処理では、運転者が目標対気速度入力装置12を操作することにより目標対気速度がコンピュータ18へ入力される。また、ステップS14〜ステップS18にて空気抵抗により消費されるエネルギーE1、転がり抵抗により消費されるエネルギーE2、勾配抵抗により消費されるエネルギーE3を計算する処理が順次行われる。これらの処理は以下の(3)式に基づいて行われる。 【数3】
(3)式中において用いられている記号のうち、Vは図3中のステップS12で入力された目標対気速度を示し、θは図3中のステップS10で検出された路面勾配を示す。 【0021】上記(3)式は、前述した(2)式とほぼ同様の式であるが、(2)式は図1に示したモデルの走行路を走行した場合に消費されるエネルギーを計算する式であり、実際の走行における消費エネルギーを求める式として適用できない。(3)式は実際の走行で消費されるエネルギーを計算するための式である。(3)式において、右辺第1項は空気抵抗により消費されるエネルギーE1を求める式であり、右辺第2項は転がり抵抗により消費されるエネルギーE2を求める式であり、右辺第3項は勾配抵抗により消費されるエネルギーE3を求める式である。 【0022】ステップS14では、空気抵抗により消費されるエネルギーE1を計算する処理が行われる。この処理においては、目標対気速度入力装置12によって入力される目標対気速度と、車両特性値記憶装置19に記憶された車両特性値とによって(3)式右辺第1項に示される式を用いて空気抵抗による消費エネルギーE1が計算される。尚、エネルギーは一般的にジュール(J)又はワットアワー(Wh)等で表されるが、ここでは単位当たりの(走行用モータ)の出力として「ワット(W)」を用いている。 【0023】続いてステップS16では車両特性値記憶装置19に記憶された車両特性値によって転がり抵抗により消費されるエネルギーE2を(3)式右辺第2項から計算する処理が行われ、ステップS18では勾配センサ10から出力される路面勾配と車両特性値記憶装置19に記憶された車両特性値とによって勾配抵抗により消費されるエネルギーE3を(3)式右辺第3項から計算する処理が行われる。ステップS14〜ステップS18における計算処理は図2中のコンピュータ18によって行われる。尚、ステップS16の処理では車両特性値のみによって転がり抵抗により消費されるエネルギーを計算しているが、これは(3)式右辺第2項においてθ≒0である場合にcosθ=1と近似できるためである。この近似を用いない場合には、勾配及び車両特性値を用いて転がり抵抗により消費されるエネルギーを計算してもよい。 【0024】次に、コンピュータ18はステップS14〜ステップS18の計算処理によって求められた空気抵抗による消費エネルギーE1、転がり抵抗により消費されるエネルギーE2、及び勾配抵抗により消費されるエネルギーE3を加算して走行用モータの全消費エネルギー(モータ消費電力)Eを計算する処理を行う(ステップS20)。この処理においては車体走行により消費される単位時間当たりのエネルギー(単位:W(ワット))を走行用モータの電力(単位:W(ワット))に換算している。以上の処理によって、車両の現在の走行環境(風による抵抗、路面勾配)を考慮したうえで車速を目標対気速度に維持するための消費エネルギー(以下、目標電力と称する)が計算されたことになる。 【0025】以上の処理で求められた「目標電力」で、直接モータを制御しても良いが、モータの個体差やバッテリ電圧の変動などを補正するために、以下のフィードバック制御を行っている。コンピュータ18は、電圧センサ14及び電流センサ16の検出信号を取り込み、実際に走行用モータ22で消費されているモータ消費電力を検出する処理を行う(ステップS22)。この処理においてモータ消費電力は、電圧センサ14から出力される検出信号(モータ電流)と電流センサ16から出力される検出信号(モータ電圧)とを乗算することにより計算される。 【0026】ステップS24では、実際に走行用モータ22で消費されているモータ消費電力とステップS22で計算された目標電力とを比較する処理が行われる。この処理において、モータ消費電力が目標電力よりも小と判断されると処理はステップS26へ進む。ステップS26において、コンピュータ18は、走行用モータ22に供給されるモータ供給電力がより増大するようインバータ20へ出力するPWM信号のデューティ比を増大させる。 【0027】一方、ステップS24において、モータ消費電力が目標電力よりも大と判断されると処理はステップS28へ進む。ステップS28において、コンピュータ18は、走行用モータ22に供給されるモータ供給電力がより減少するようインバータ20へ出力するPWM信号のデューティ比を減少させる。 【0028】このように、本実施形態においては、車両の現在の走行環境(風による抵抗、路面勾配)を考慮したうえで車速を目標対気速度に維持するための消費エネルギーを計算し、実際に消費されているモータ消費電力と比較し、比較結果に応じて走行用モータ22へ供給するモータ供給電力を変化させている。このように制御することで、車両の速度を目標対気速度にすることができるので、車両の消費エネルギーを最小とすることができる。 【0029】〔第2実施形態〕図4は、本発明の第2実施形態による走行速度制御装置の制御系の構成を示すブロック図である。本実施形態はガソリン車に適用した場合である。図4に示したように、本実施形態による走行速度制御装置は、勾配センサ30、エンジン回転センサ34、及びスロットル弁開度センサ36と、目標対気速度入力装置32と、コンピュータ38と、スロットル弁開閉モータ40と、エンジン42とからなる。 【0030】勾配センサ30は第1実施形態において説明した勾配センサ30と同様のものであり、車両の傾斜から間接的に路面勾配を検出する。尚、本実施形態においても第1実施形態と同様に路面勾配を測定する手段として勾配センサ30以外に、例えば地形の勾配データを格納して記憶している勾配データ記憶装置と車両の現在位置を検出するGPSを備えた構成であってもよい。この場合、まずGPSによって車両の現在位置を検出し、現在位置の勾配を勾配データから得ることになる。 【0031】目標対気速度入力装置32は第1実施形態で説明した目標対気速度入力装置12と同様のものであり、運転者の操作により車両の目標対気速度を入力するためのものである。エンジン回転センサ34はエンジン42の回転数を、スロットル弁開度センサ36はスロットル弁開閉モータ40の回転数又は回転角度等からエンジン42のスロットル弁の開度をそれぞれ検出する。コンピュータ38は、勾配センサ30、エンジン回転センサ34、及びスロットル弁開度センサ36の検出信号と目標対気速度入力装置32によって入力された目標対気速度を入力とし、各種演算を施してスロットル弁開閉モータ40の動作を制御する制御信号を出力し、エンジン42のスロットル弁の開度の制御を行う。 【0032】また、コンピュータ38は、前述した(2)式において用いられる空気密度、空気抵抗係数、前面投影面積、転がり抵抗係数、車両総重量、及び重力加速度等の車両に関する車両特性値や、エンジン42の空燃比、点火時期等の情報を記憶する車両特性値記憶装置39を有する。コンピュータ38の計算及び動作の詳細については後述する。スロットル弁開閉モータ40はコンピュータ38から出力される制御信号に基づいて、エンジン42のスロットル弁の開閉制御又は開度の変化を制御する。 【0033】次に、以上の構成における本発明の第2実施形態による走行速度制御装置の動作について説明する。図5は、本発明の第2実施形態による走行速度制御装置の動作を示すフローチャートである。まず、処理が開始すると、勾配センサ30において路面勾配を検出する処理が行われる(ステップS30)。検出された路面勾配はコンピュータ38へ入力される。次に、目標対気速度を入力する処理が行われる(ステップS32)。この処理では、運転者が目標対気速度入力装置32を操作することにより目標対気速度がコンピュータ38へ入力される。 【0034】また、ステップS34〜ステップS38にて空気抵抗により消費されるエネルギーE1、転がり抵抗により消費されるエネルギーE2、勾配抵抗により消費されるエネルギーE3を計算する処理が順次行われる。これらの処理は第1実施形態と同様に前記した(3)式に基づいて行われる。 【0035】ステップS34では、空気抵抗により消費されるエネルギーE1を計算する処理が行われる。この処理においては、目標対気速度入力装置32によって入力される目標対気速度と、車両特性値記憶装置39に記憶された車両特性値とによって(3)式右辺第1項に示される式を用いて空気抵抗による消費エネルギーE1が計算される。尚、エネルギーは一般的にジュール(J)又はワットアワー(Wh)等で表されるが、ここでは単位当たりの(エンジン)の出力として「ワット(W)」を用いている。 【0036】続いてステップS36では車両特性値記憶装置39に記憶された車両特性値によって転がり抵抗により消費されるエネルギーE2を(3)式右辺第2項から計算する処理が行われ、ステップS38では勾配センサ30から出力される路面勾配と車両特性値記憶装置39に記憶された車両特性値とによって勾配抵抗により消費されるエネルギーE3を(3)式右辺第3項から計算する処理が行われる。ステップS34〜ステップS38における計算処理は図4中のコンピュータ38によって行われる。 【0037】尚、ステップS36の処理では車両特性値のみによって転がり抵抗により消費されるエネルギーを計算しているが、これは(3)式右辺第2項においてθ≒0である場合にcosθ=1と近似できるためである。この近似を用いない場合には、勾配及び車両特性値を用いて転がり抵抗により消費されるエネルギーを計算してもよい。 【0038】次に、コンピュータ38はステップS34〜ステップS38の計算処理によって求められた空気抵抗による消費エネルギーE1、転がり抵抗により消費されるエネルギーE2、及び勾配抵抗により消費されるエネルギーE3を加算してエンジン42によって消費される全エネルギー(エンジン出力)Eを計算する処理を行う(ステップS40)。この処理においては車体走行により消費される単位時間当たりのエネルギー(単位:W(ワット))をエンジン出力(単位:W(ワット)又はPS(馬力))に換算している。以上の処理によって、車両の現在の走行環境(風による抵抗、路面勾配)を考慮したうえで車速を目標対気速度に維持するためのエンジンの出力(以下、目標出力と称する)が計算されたことになる。 【0039】次に、コンピュータ38は、エンジン回転センサ34の検出信号を取り込み、エンジンの回転数を検出する処理を行い(ステップS42)、検出されたエンジン回転数からエンジン42のエンジントルクを推定する処理が行われる(ステップS44)。この処理においては、スロットル弁開度センサ36によって検出されたスロットル弁の開度、エンジン回転センサ34により検出された回転数、車両特性値記憶装置39に記憶されているエンジン42の空燃比及び点火時期の情報からトルクを求めている。従って、実際のエンジントルクではないため「推定」という言葉を用いている。尚、通常点火時期、空燃比はほとんど変化させないのでトルクの値はスロットル弁の開度及びエンジン回転数だけで求めてもよい。 【0040】また、モータの個体差やバッテリ電圧の変動などを補正するために、以下のフィードバック制御を行っている。ステップS46では、ステップS44で推定したエンジントルクと、エンジン回転センサ34で検出されたエンジン回転数とを乗算することにより実際のエンジントルクに近似するエンジントルクを計算する処理が行われる。ステップS48では、実際のエンジン出力とステップS46で計算された目標出力とを比較する処理が行われる。この処理において、エンジン出力が目標出力よりも小と判断されると処理はステップS50へ進む。従って、ステップS50においては、コンピュータ38は、エンジン42の出力がより増大するようスロットル弁開閉モータ40へ出力する制御信号を出力する。 【0041】一方、ステップS48において、エンジン出力が目標出力よりも大と判断されると処理はステップS52へ進む。従って、ステップS52においては、コンピュータ38は、スロットル弁の開度が小さくなるようなスロットル弁開閉モータ40に制御信号を出力する。 【0042】このように、本実施形態においては、車両の現在の走行環境(風による抵抗、路面勾配)を考慮したうえで車速を目標対気速度に維持するための目標出力を計算し、実際に出力されているエンジン出力と比較し、比較結果に応じてスロットル弁開閉モータ40へ供給する制御信号を変化させてスロットル弁の開度を変化させている。このように制御することで、車両の速度を目標対気速度にすることができるので、車両の消費エネルギーを最小とすることができる。 【0043】以上、本発明の第2実施形態を説明したが、エンジンの効率(ガソリン消費量に対するエンジン出力)は、スロットル弁の開度(エンジン充填効率)やエンジン回転数によって変化するが、上記実施形態においては効率を一定として説明した。また、スロットル弁の開度やエンジン回転数の変化幅が小さくなれば、ほぼエンジン効率が一定であるとみなし、車両の消費エネルギーを最小にすることを達成すれば全体として消費エネルギーを最小にすることができるとした。 【0044】前述した第1実施形態においては走行速度制御装置を電気自動車に適用した場合、第2実施形態においては、ガソリン車に適用した場合について説明したが、勿論これらをあわせたハイブリッドカーにも適用可能である。また、第1実施形態及び第2実施形態に実施形態においては勾配センサ10,30やGPSを用いた場合のセンサについて説明したが、より精度の高い勾配情報が得られればそのセンサを用いた方がより精度良く消費エネルギーを最小とすることができる。 【0045】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、電力算出手段が路面勾配に拘りなく目標対気速度及び車両特性値から空気抵抗による消費エネルギーを計算し、車両特性値から転がり抵抗による消費エネルギーを、勾配及び車両特性値から勾配抵抗による消費エネルギーをそれぞれ算出して対気速度を一定に保つために必要な電力を計算し、供給電力制御手段が電力算出手段により算出された電力に基づいて走行用モータへ供給する電力を制御するようにしたので、対気速度を一定とすることができることとなり、従って走行用モータを備える車両の消費エネルギーを最小とすることができるという効果がある。また、本発明によれば、出力算出手段が路面勾配に拘りなく目標対気速度及び車両特性値から空気抵抗による消費エネルギーを計算し、車両特性値から転がり抵抗による消費エネルギーを、勾配及び車両特性値から勾配抵抗による消費エネルギーをそれぞれ算出して対気速度を一定に保つために必要な出力を計算し、出力制御手段が出力算出手段により算出された出力に基づいて内燃機関の出力を制御するようにしたので、対気速度を一定とすることができることとなり、従ってエンジンを備える車両の消費エネルギーを最小とすることができるという効果がある。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005326 【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年7月31日(1998.7.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064908 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武 (外9名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−50416(P2000−50416A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月18日(2000.2.18) |
| 【出願番号】 |
特願平10−218341 |
|