トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 EV用電気接続箱内の電流センサ保護構造
【発明者】 【氏名】濱中 昭則

【氏名】真壁 徹

【要約】 【課題】車両走行時に、電流センサに形成された貫通孔の開口縁とブスバーの角部との接触を防止する。

【解決手段】ブロック状のセンサ本体5に形成された貫通孔6にブスバー10を挿入し、ブスバーに流れる電流方向又は電流値を検知するEV用電気接続箱1内の電流センサ4において、EV用電気接続箱を組み付けた車両の走行時に、貫通孔の開口縁7aとブスバーの角部10aとの接触を防止する緩衝部材20を、貫通孔内と貫通孔の両側開口7,7の外側近傍とに対応するブスバーの接触防止面11に取り付けた。緩衝部材の断面を貫通孔の開口より小さくすると共に、緩衝部材の外周面20aと貫通孔の開口縁との間に遊びSを形成する。緩衝部材がブスバーの接触防止面に巻回されたテープ材22である。緩衝部材がブスバーの接触防止面に組み付けられるチューブ状又は枠状の保護材である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ブロック状のセンサ本体に形成された貫通孔にブスバーを挿入し、該ブスバーに流れる電流方向又は電流値を検知するEV用電気接続箱1内の電流センサにおいて、前記EV用電気接続箱を組み付けた車両の走行時に、前記貫通孔の開口縁と前記ブスバーの角部との接触を防止する緩衝部材を、該貫通孔内と該貫通孔の両側開口の外側近傍とに対応する該ブスバーの接触防止面に取り付けたことを特徴とするEV用電気接続箱内の電流センサ保護構造。
【請求項2】 前記緩衝部材の断面を前記貫通孔の開口より小さくすると共に、該緩衝部材の外周面と該貫通孔の開口縁との間に遊びを形成することを特徴とする請求項1記載のEV用電気接続箱内の電流センサ保護構造。
【請求項3】 前記緩衝部材が前記ブスバーの接触防止面に巻回されたテープ材であることを特徴とする請求項1又は2記載のEV用電気接続箱内の電流センサ保護構造。
【請求項4】 前記緩衝部材が前記ブスバーの接触防止面に組み付けられるチューブ状又は枠状の保護材であることを特徴する請求項1又は2記載のEV用電気接続箱内の電流センサ保護構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気自動車(以下、EVという)用電気接続箱内の電流センサ保護構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、図13のような電流センサ80が提案されている。この電流センサ80はセンサ本体81と、センサ本体81に形成された貫通孔82と、貫通孔82内に挿入されたブスバー83に流れる電流方向を検知する制御部(図示せず)とから成る。制御部によりブスバー83に流れる電流の方向(図中の矢印方向)を常に一定に保つことができる。
【0003】しかしながら、電流センサ80を配置したEV用電気接続箱(図示せず)を搭載した車両(図示せず)が走行時に揺れるので、ブスバー83又は(及び)電流センサ80に振動が伝播する。それによって、電流センサ80自身が揺れて貫通孔82の開口縁82aがブスバー83の角部83aに接触する。又は、図14に示すように、ブスバー83が揺れて貫通孔82の開口縁82aに角部83aが接触する恐れがあった。そのため、異音(打音や擦れ音)が発生したり、貫通孔82の開口縁82aが破損したり、又は制御部自身が破損したりする恐れがあった。また、図15の如くに、電線84を貫通孔82に挿入した場合でも殆ど同様に、電線84の外周面84aと貫通孔82の開口縁82aとが接触する不具合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した点に鑑み、車両走行時に、電流センサに形成された貫通孔の開口縁とブスバーの角部との接触を防止するEV用電気接続箱内の電流センサ保護構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、ブロック状のセンサ本体に形成された貫通孔にブスバーを挿入し、該ブスバーに流れる電流方向又は電流値を検知するEV用電気接続箱内の電流センサにおいて、前記EV用電気接続箱を組み付けた車両の走行時に、前記貫通孔の開口縁と前記ブスバーの角部との接触を防止する緩衝部材を、該貫通孔内と該貫通孔の両側開口の外側近傍とに対応する該ブスバーの接触防止面に取り付けたEV用電気接続箱内の電流センサ保護構造を基本とする(請求項1)。前記緩衝部材の断面を前記貫通孔の開口より小さくすると共に、該緩衝部材の外周面と該貫通孔の開口縁との間に遊びを形成するEV用電気接続箱内の電流センサ保護構造を採用する(請求項2)。前記緩衝部材が前記ブスバーの接触防止面に巻回されたテープ材であるEV用電気接続箱内の電流センサ保護構造も有効である(請求項3)。前記緩衝部材が前記ブスバーの接触防止面に組み付けられるチューブ状又は枠状の保護材であるEV用電気接続箱内の電流センサ保護構造も併せて採用する(請求項4)。
【0006】
【発明の実施の形態】図1〜図4は本発明に係るEV用電気接続箱内の電流センサ保護構造の第一実施例を示すものである。なお、従来例と同一構成部材には同一名称を付けて詳細な説明を省略する。図1において、このEV用電気接続箱1内の電流センサ保護構造は、電流センサ4に貫通孔6を形成し、貫通孔6にブスバー10を挿入し、貫通孔6の開口縁7aとブスバー10の角部10aとの接触を防止する緩衝部材20をブスバー10に設けた構造である。2は接続箱本体であり、3は接続箱本体2を覆うカバーである。そして、EV用電気接続箱1は車両(図示せず)に搭載される。
【0007】図1及び図2に示すように、電流センサ4は、ブロック状のセンサ本体5に貫通孔6を形成し、貫通孔6内に電流方向又は電流値を検知する制御部(図示せず)を有するものである。制御部によってブスバー10に流れる電流の方向又は電流値が検知(又は制御)される。
【0008】図2及び図3の如くに、緩衝部材20は、貫通孔6内と貫通孔6の両側開口7の外側近傍とに対応するブスバー10の接触防止面11に取り付けられる。車両走行時に貫通孔6の開口縁7aと接触する場所は、貫通孔6の両側開口7,7の外側近傍に対応する接触防止面11の両端面11a,11aである。そのため、貫通孔6内に対応する接触防止面11の中間面11bをそのままにして両端面11a,11aのみに緩衝部材20を取り付けることもできる。
【0009】緩衝部材20の断面は貫通6孔の開口7よりも小さい。そのため、緩衝部材20の外周面20aと貫通孔6の開口縁7aとの間には遊びSが形成されている。車両走行時の振動が遊びSの範囲内であれば、緩衝部材20の外周面20aと貫通孔6の開口縁7aとが接触せず、ブスバー10の角部10aと開口縁7aとが接触しない。また、該振動が遊びSの範囲を越えた場合には、緩衝部材20の外周面20aと貫通孔6の開口縁7aとが接触する。しかし、接触防止面11が緩衝部材20によって保護されているから、接触防止面11が直接、開口縁7aと接触しない。
【0010】これにより、ブスバー10の角部10aと貫通孔6の開口縁7aとの接触が防止される。そのため、電流センサ4の破損が防止される共に、貫通孔6の開口縁7aとブスバー10の角部10aとの接触による異音の発生を抑制することができる。そして、電流センサ4の制御部とブスバー10との接触も防止できる。
【0011】本実施例では、緩衝部材20はPVC(ポリ塩化ビニル)、ブチル又はシリコン製のテープ材22である。テープ材22を巻回する目安は、図4のように、接触防止面11を含めた全体のテープ幅Dが約20mm、且つテープ厚Tが最大約2mmである。緩衝部材20にテープ材22を利用すれば、テープ材22のコストを安価にでき、図1のEV用電気接続箱1の製造を低コストにできる。また、テープ材22を接触防止面11に巻回するだけなので、接触防止面11への緩衝部材20の取り付け作業が簡単である。
【0012】図5及び図6は本発明に係るEV用電気接続箱内の電流センサ保護構造の第二実施例を示すものである。なお、第一実施例と同一構成部材には同一名称と符号とを付けて詳細な説明を省略する。図5に示すように、本実施例の緩衝部材20はブスバー10の接触防止面11に組み付けたチューブ状の保護材25である。
【0013】チューブ状の保護材25としては、例えば、コルゲートチューブ、ポリ塩化ビニルチューブ又は熱収縮性チューブようなものである。保護材25には軸方向に挿着孔26が形成されている。挿着孔26への接触防止面11の組み付け方法は、挿着孔26に直接ブスバー10を挿入して接触防止面11まで移動する。又は、保護材25に軸方向と平行な挿入切込27を形成し、挿入切込27へブスバー10の接触防止面11を直接押し込むことで挿着孔26に組み付ける。そして、図6の如くに、接触防止面11に組み付けた保護材25の断面は、貫通孔6の開口7よりも小さい。また、保護材25に弾力性を持たせれば、保護材25を接触防止面11に密着できる。
【0014】図7に示す如くに、緩衝部材20を枠状の保護材28にすることもできる。枠状の保護材28としては、例えばウレタン、ラバー、発泡ゴム又は合成樹脂製のものである。保護材28は断面矩形状の枠本体29に挿着孔30を形成し、枠本体29の上壁30aに軸方向と平行な挿入切込31を設けてなる。図8のように、接触防止面11に組み付けた状態の保護材28の断面は貫通孔6の開口7よりも小さい。
【0015】図7及び図8に示すように、接触防止面11に保護材28を組み付けるには、ブスバー10を挿着孔30に挿入して接触防止面11まで移動する。又は、挿入切込31にブスバー10の接触防止面11を直接押し込んで挿着孔30に組み付ける。
【0016】また、図9のように、枠本体29を左枠体33aと右枠体33bとに二分割する。図10に示すように、ブスバー10の接触防止面11に先ず左枠体33aを、それから右枠体33bをそれぞれ直接組み付けることもできる。
【0017】さらに、緩衝部材20として、図11のような保護材35も可能である。保護材35は枠本体36の形状を断面楕円状に形成し、枠本体36に挿着孔37を設けると共に、枠本体36に軸方向と平行な挿入切込38を形成することも可能である。その変形例として、図12に示すように、左枠体40aと右枠体40bとに二分割された保護材39も可能である。
【0018】
【発明の効果】以上の如くに、請求項1によれば、緩衝部材が貫通孔と貫通孔の両側開口の外側近傍とに対応するブスバーの接触防止面に取り付けられる。これにより、車両走行時の振動で緩衝部材が貫通孔の開口縁に接触しても、ブスバーの接触防止面と貫通孔の開口縁とが直接接触しない。そのため、従来と比較して電流センサの破損や、ブスバーの角部と貫通孔の開口縁との接触による異音を抑制できる。
【0019】請求項2によれば、緩衝部材の断面を貫通孔の開口よりも小さくするから、ブスバーの接触防止面に緩衝部材を取り付けた後でも容易にブスバーを貫通孔に挿入できる。緩衝部材の外周面と貫通孔の開口縁との間に遊びを形成する。これにより、例えば車両走行時にブスバー又は電流センサの振動が遊びの範囲内であれば、ブスバーの接触防止面と貫通孔の開口縁との接触が確実に防止される。また、該振動が遊びの範囲外であっても、緩衝部材の外周面と貫通孔の開口縁とが接触することで、ブスバーの接触防止面や角部と、貫通孔の開口縁との直接的な接触が防止される。
【0020】請求項3によれば、緩衝部材がテープ材であるから、テープ材がブスバーの接触防止面に容易に巻回される。これにより、緩衝部材のコストを安価にできる。請求項4によれば、緩衝部材がチューブ状又は枠状の保護材であるから、例えば保護材にブスバーを挿入することで、保護材がブスバーの接触防止面に組み付けられる。これにより、ブスバーへの緩衝部材の取り付け作業を簡単に行うことができる。
【0021】請求項3及び4によれば、テープ材のコストは保護材よりも安価にできる。また、テープ材をブスバーの接触防止面に巻回する作業と比較し、接触防止面に保護材を組み付ける作業の方が容易である。
【出願人】 【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
【出願日】 平成10年7月14日(1998.7.14)
【代理人】 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄 (外1名)
【公開番号】 特開2000−32613(P2000−32613A)
【公開日】 平成12年1月28日(2000.1.28)
【出願番号】 特願平10−198690