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【発明の名称】 車 輌
【発明者】 【氏名】古平 貴大

【氏名】勝田 隆之

【要約】 【課題】バッテリの充電能力を最大限利用することにより、エネルギー効率良く電動機を駆動させることのできる車輌を提供すること。

【解決手段】本発明の車輌は、バッテリ11の電力を消費して車輪を駆動する電動機2,7,8と、バッテリ11の目標充電状態量を変更・決定する目標充電状態決定手段と、目標充電状態決定手段により決定された目標充電状態量となるように、電動機2,7,8により発生される回生電力をバッテリ11に充電する充電手段とを有することを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 バッテリの電力を消費して車輪を駆動する電動機と、前記バッテリの目標充電状態量を変更・決定する目標充電状態決定手段と、前記目標充電状態決定手段により決定された目標充電状態量となるように、前記電動機により発生される回生電力を前記バッテリに充電する充電手段とを有することを特徴とする車輌。
【請求項2】 燃料を消費して車輪の駆動力を発生させる駆動力発生手段と、前記燃料の残量を検出する燃料残量検出手段とを有し、前記目標充電状態決定手段が、前記燃料残量検出手段により検出された燃料残量に基づいて前記目標充電状態量を決定することを特徴とする請求項1に記載の車輌。
【請求項3】 前記目標充電状態決定手段が、走行状況予測に基づいて前記バッテリの充放電予測を行い、前記充放電予測に基づいて前記目標充電状態量を決定することを特徴とする請求項1に記載の車輌。
【請求項4】 走行経路を検索するナビゲーションシステムを有し、前記ナビゲーションシステムにより検索された前記走行経路に基づいて前記走行状況予測を行うことを特徴とする請求項3に記載の車輌。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バッテリにより電動機を駆動して車輪を回転させると共に、この電動機により発生される回生電力をバッテリに充電する車輌に関する。
【0002】
【従来の技術】バッテリにより電動機を駆動して車輪を回転させることができると共に、電動機により発生された回生電力をバッテリに対して充電することもできる車輌としては、特開平4-238730号公報に記載されたものなどが知られている。特開平4-238730号公報に記載の車輌は、電動機の他に駆動力発生手段であるエンジンも有している、いわゆるハイブリッド自動車である。このため、駆動力発生手段であるエンジンにより車輌を駆動している間に電動機により発生される回生電力によってバッテリを充電することが可能である。回生電力を回収することは、エネルギー効率を向上させる上で非常に有効な手段である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、回生電力を回収するには、バッテリに受け入れるだけの余裕がなくてはならない。回生電力発生時には、電動機に働く制動力を利用して車輌にブレーキをかける、いわゆる回生制動を行うことができるが、バッテリに回生電力を回収する余裕がないと、この制動力が得られなくなってしまう。このため、バッテリはフル充電状態以下の状態が維持される必要があり、バッテリの目標充電状態量はフル充電状態の半分程度の一定の値に固定されていた。即ち、バッテリは、常にその充電能力を十分に使い切ることができなかった。
【0004】従って、本発明の目的は、バッテリの充電能力を最大限利用することにより、エネルギー効率良く電動機を駆動させることのできる車輌を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、バッテリの電力を消費して車輪を駆動する電動機と、バッテリの目標充電状態量を変更・決定する目標充電状態決定手段と、目標充電状態決定手段により決定された目標充電状態量となるように、電動機により発生される回生電力をバッテリに充電する充電手段とを有することを特徴としている。
【0006】請求項1に記載の発明によれば、電動機によって発生される回生電力を充電手段によりバッテリに充電する際に、目標充電状態量を目標充電状態決定手段により変更することができるため、バッテリの充電能力を最も効率よく使える。このため、バッテリに充電された電力量を最適化することができ、さらにエネルギー効率良く電力を消費・回収することができる。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、燃料を消費して車輪の駆動力を発生させる駆動力発生手段と、燃料の残量を検出する燃料残量検出手段とを有し、目標充電状態決定手段が、燃料残量検出手段により検出された燃料残量に基づいて目標充電状態量を決定することを特徴としている。
【0008】請求項2に記載の発明によれば、燃料残量検出手段により検出された燃料残量に基づいて、目標充電状態決定手段により決定される目標充電状態量を変更・決定するため、駆動力発生手段のエネルギー効率と電動機のエネルギー効率をバランス良く調和させることができ、より一層エネルギー効率良く電力を消費・回収することができる。
【0009】特に、燃料残量検出手段により検出された燃料残量が少なくなるにつれて目標充電状態量が高くなるように、目標充電状態決定手段により目標充電状態量を変更・決定することができる。この結果、燃料切れにより駆動力発生手段により駆動力を発生させることができなくなったときには、バッテリが充電能力を最大限活用して充電されているので、燃料切れの後もより長い区間を電動機により走行することができる。
【0010】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、目標充電状態決定手段が、走行状況予測に基づいてバッテリの充放電予測を行い、充放電予測に基づいて目標充電状態量を決定することを特徴としている。
【0011】請求項3に記載の発明によれば、バッテリの充放電予測が車輌の走行状況予測に基づいて行われるので、バッテリの正確な充放電予測を行うことができる。この結果、バッテリによる電力消費及びバッテリへの電力回収を、バッテリの充電能力を最大限活用して、より一層エネルギー効率良く行うことができる。
【0012】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、走行経路を検索するナビゲーションシステムを有し、ナビゲーションシステムにより検索された走行経路に基づいて走行状況予測を行うことを特徴としている。
【0013】請求項4に記載の発明によれば、走行状況予測をナビゲーションシステムにより検索された走行経路に基づいて行うので、正確な走行状況予測を行うことができ、これに基づくバッテリの充放電予測もさらに正確に行えることになる。
【0014】
【発明の実施の形態】
【0015】図1は本発明の一実施形態である車輌の構成を示すシステム図である。この車輌は、駆動力発生手段であるエンジン1と電動機であるハイブリッドモータ2とにより、主駆動輪である左右前輪3,4を駆動させる、いわゆるハイブリッド自動車である。また、この車輌は、左右後輪5,6に電動機であるホイールモータ7,8が取り付けられており、左右後輪5,6を副駆動輪として駆動させることができる。
【0016】ホイールモータ7,8は、モータの全部または一部が車輪のロードホイール内に収納され、ホイールモータ7,8内部のロータの回転駆動力をこのロータに直結されたロードホイール、即ち左右後輪5,6に直接伝達し、駆動力伝達経路でのエネルギーロスを少なくすることができるものである。ホイールモータ7,8は、ディーラーなどで後付可能とされており、一旦取り付けた後に取り外すこともできる。また、ホイールモータ7,8が取り付けられていても、ホイールモータ7,8により左右後輪5,6を回転駆動させなければ、左右後輪5,6を単なる従動輪として使用することもできる。
【0017】ハイブリッドモータ2は、インバータ9を介してハイブリッドモータECU(電子制御ユニット)10に接続されている。インバータ9は、バッテリ11にも接続されておりバッテリ11からの直流電流をモータ駆動用の交流電流に変換してハイブリッドモータ2に供給している。即ち、ハイブリッドモータECU10は、インバータ9を制御して、ハイブリッドモータ2の駆動を制御している。
【0018】同様に、ホイールモータ7,8は、インバータ12を介してホイールモータECU13に接続されている。インバータ12は、上述したバッテリ11にも接続されておりバッテリ11からの直流電流をモータ駆動用の交流電流に変換してホイールモータ7,8に供給している。即ち、ホイールモータECU13は、インバータ12を制御して、ホイールモータ7,8の回転駆動を制御している。なお、インバータ12は、左側のホイールモータ7用のものと右側のホイールモータ8用のものとが別々に設けられても良い。
【0019】ハイブリッドモータ2とホイールモータ7,8とを連動させる必要があることから、このハイブリッドモータECU10とホイールモータECU13との間は互いに接続されている。また、エンジン1とハイブリッドモータ2とを連動させる必要があることから、ハイブリッドモータECU10にはEFI(電子制御燃料噴射装置)ECU14も接続されている。
【0020】EFI-ECU14は、燃料タンク15内のガソリンをエンジン1に供給する際の混合比や噴射タイミングなどを制御している。燃料タンク15には、タンク内のガソリン残量を検出する燃料残量検出手段としての燃料残量センサ16が取り付けられており、この燃料残量センサ16は、ハイブリッドモータECU10に接続されている。なお、燃料残量センサ16は、EFI-ECU14を介してハイブリッドモータECU10と接続されても良い。
【0021】この車輌においては、ハイブリッドモータ2用のECU10とホイールモータ7,8用のECU13とを別々に設けたが、両モータ用のECUを一つに統合することも可能である。また、この車輌においては、ハイブリッドモータ2及びホイールモータ7,8は、単一のバッテリ11を電力の供給源としているが、ハイブリッドモータ2用のバッテリとホイールモータ7,8用のバッテリとを別々に設けても良い。
【0022】このようにエンジン1、ハイブリッドモータ2及びホイールモータ7,8を有しているため、エンジン1により主駆動輪である左右前輪3,4を回転駆動させて車輌を走行させているときには、ハイブリッドモータ2により発生された回生電力によりバッテリ11を充電することができる。また、エンジン1により主駆動輪である左右前輪3,4を回転駆動させて車輌を走行させているときに、左右後輪5,6を回転駆動させずに単なる従動輪として使用すれば、ホイールモータ7,8によって発生された回生電力によりバッテリ11を充電することができる。
【0023】また、バッテリをハイブリッドモータ2用のものとホイールモータ7,8用のものとを別個に設ければ、ハイブリッドモータ2により主駆動輪である左右前輪3,4を回転駆動させると共に左右後輪5,6を従動輪として使用すれば、ホイールモーター7,8によって発生された回生電力をホイールモータ7,8用のバッテリ11を充電することも可能となる。上述したように、モータ2,7,8は、バッテリ11に対して充電を行う充電手段としても機能する。
【0024】なお、エンジン1とインバータ9との間に、発電機構となるジェネレータ(図示せず)を配置すれば、ジェネレータを用いてエンジン1により発電し、この電力でハイブリッドモータ2を駆動することも可能となる。あるいは、ジェネレータを用いてエンジン1により発電し、この電力をバッテリ11に充電することも可能となる。同様に、エンジン1とインバータ12との間にジェネレータを配置すれば、エンジン1により発電した電力でホイールモータ7,8を駆動したり、バッテリ11を充電したりすることも可能となる。
【0025】回生電力によりバッテリ11を充電する際には、ハイブリッドモータECU10が、バッテリ11の充電状態(SOC:State Of Charge)を監視すると共に、種々の車輌情報に基づいて目標充電状態量(以下、目標SOCとも言う)を変更・決定する。ハイブリッドモータ2によって発生される回生電力によりバッテリ11を充電するときには、ハイブリッドモータECU10のみで目標SOCを変更・決定する。ホイールモータ7,8によって発生される回生電力によりバッテリ11を充電するときには、ハイブリッドモータECU10とホイールモータECU13とにより目標SOCを変更・決定する。即ち、ハイブリッドモータECU10及びホイールモータECU13とは、目標充電状態決定手段としても機能する。
【0026】図2は、上述した車輌における目標SOCの変更・決定制御のフローチャートである。この実施形態においては、特に、燃料残量センサ16により検出された燃料残量に基づいて目標SOCを変更・決定する。
【0027】制御に先立って、燃料残量に対して予め一定の規定値が設定される。この規定値は、燃料切れによるエンジン停止直前の値であり、例えば、燃料がガソリンの場合は残量が1リットル程度の量である。燃料タンク15内の燃料残量は燃料残量センサ16により監視されており、まず、この燃料残量センサ16により検出された燃料残量が上述した規定値を上回っているかどうかを判断する(ステップ100)。
【0028】燃料残量が規定値を上回っていないようであれば、エンジンによる走行が直ぐにも停止するということであるから、運転者から目視できる位置に設置した燃料切れ予告灯を点灯させて運転者に告知すると共に、ハイブリッドモータ2及びホイールモータ7,8の駆動と回生制動とを禁止する(ステップ108)。燃料切れ予告灯は、一般に車両に設置されている燃料切れ警告灯と別個に設けても良いし、統合させることも可能である。
【0029】ステップ100において燃料残量が規定値を上回っているようであれば、まだエンジンによる走行が可能であるとして、燃料残量に基づいて目標SOCを変更する(ステップ101)。目標SOCの値は、図1中のステップ101におけるグラフに示されているように、燃料残量が十分にあるときは、基準値であるバッテリ11の充電能力の60%となるようにされ、燃料残量が少なくなるにつれて、徐々に100%となるようにされている。基準値が60%とされているのは、バッテリ11によるモータ2,7,8の駆動及びバッテリ11への回生電力の充電の双方のエネルギー効率や、発生される回生電力を受け入れて回生制動を行えるようにすることなどを考慮して決定された値である。
【0030】燃料残量が充分にある場合は、目標SOCを上述した基準値としてモータ2,7,8の駆動及び回生制動を行うが、燃料残量が少なくなってくると、燃料切れによるエンジン1の停止が危惧されるようになる。そこで、燃料残量が少なくなってくると、バッテリ11の充電能力を使い切るようにバッテリ11の目標SOCを変更し、燃料切れでエンジン1が停止してからもバッテリ11の電力によってより長い距離を走行できるようにしている。燃料残量がゼロ、即ち、燃料切れが生じたときに、バッテリ11がフル充電状態となるようにされている。
【0031】次に、ステップ101において変更された目標SOCに基づいて、実際の充電状態量(以下、現SOCとも言う)が目標SOCとなるように制御する。現SOCは、バッテリ11の電圧値又は電流値などにより判断される。このとき、現SOCが目標SOCに対して±ΔSOCの範囲内に収まるように、モータ2,7,8の駆動及び回生制動が制御される。ΔSOCは、上述した制御範囲を特定するために予め決定されている。
【0032】まず、現SOCが目標SOC+ΔSOC以下であるかどうかを判断する(ステップ102)。現SOCが目標SOC+ΔSOCを超えている場合、即ち、ステップ102が否定されたときは、モータ2,7,8の回生制動を禁止する(ステップ103)。現SOCが目標SOC+ΔSOCを超えているということは、現SOCが目標SOCに対して制御範囲よりも上側にあるということであるから、回生制動を禁止してバッテリ11への充電を禁止する。なお、回生制動を禁止することにより必要とする制動力が不足すると判断される場合は、通常のブレーキ(ディスクブレーキやドラムブレーキなどの車輪自体の制動やエンジンブレーキなど)による制動力を予め増加させる制御などを行って対応できる。
【0033】現SOCが目標SOC+ΔSOC以下である場合、即ち、ステップ102が肯定されたときは、続いて、現SOCが目標SOC-ΔSOC以上であるかどうかを判断する(ステップ104)。現SOCが目標SOC-ΔSOC未満である場合、即ち、ステップ104が否定されたときは、モータ2,7,8の駆動を禁止する(ステップ105)。現SOCが目標SOC-ΔSOC未満であるということは、現SOCが目標SOCに対して制御範囲よりも下側にあるということであるから、駆動を禁止してバッテリ11の放電を抑止する。
【0034】現SOCが目標SOC-ΔSOC以上である場合、即ち、ステップ104が肯定された場合や、ステップ103,105に続いて、ステップ101において決定された目標SOCと車輌状態量とから、モータ2,7,8の出力トルクを決定する(ステップ106)。車輌状態量とは、車輌に取り付けられた各種センサーなどにより検出される諸情報である。例えば、これらの車体状態量としては、アクセル開度や車速などがあり、ホイールモータ7,8の駆動により姿勢制御を行う場合などは、ステアリング操舵角や車体加速度や車体ヨーレートなどがある。
【0035】ステップ106に続いて、ステップ107において、ステップ103,105における処理を反映させる補正を行う。ステップ103において回生禁止とした場合、ステップ106において算出されたトルクが負トルクであるときは、これをゼロとする。即ち、モータ2,7,8を回生制動をさせてバッテリ11を充電しようとするトルクは出力させない。逆に、ステップ105において駆動禁止とした場合、ステップ106において算出されたトルクが正トルクであるときは、これをゼロとする。即ち、モータ2,7,8を駆動させてバッテリ11が放電するトルクは出力させない。
【0036】ステップ107の後、ステップ100からの処理を再度繰り返す。そのうち、燃料残量が減ってきて、上述したステップ100が否定され、ステップ108に移行する。ステップ108においては、上述したように、燃料による走行が直ぐに不可能になる旨を告知し、モータ2,7,8の駆動及び回生制動を禁止する。このときには、ステップ101によって目標SOCは100%とされており、バッテリ11はフル充電状態にある。
【0037】次いで、エンジン1が運転できる状態であるか、即ち、燃料切れでないかどうかを判断する(ステップ109)。まだ運転できる状態である場合、即ち、ステップ109が肯定された場合は、ステップ107に進む。即ち、ステップ108においてモータ2,7,8の駆動及び回生制動を禁止しているので、ステップ107ではモーターによる駆動も回生制動も行われず、エンジン1によってのみ車両が走行される。
【0038】ステップ109において、燃料切れによってエンジン1が運転できない状態となったと判断された場合、即ち、ステップ109が否定されたときは、エンジン1による駆動に代えて、モータ2,7,8の何れか又は全てで車両を走行させる。このとき、運転者に対して非常用駆動であることを告知し、アクセル開度に応じたトルク出力が行われるように制御する(ステップ110)。これ以後は、モータ2,7,8による駆動が行われることになる。
【0039】次に、本発明の他の実施形態について説明する。この実施形態においては、車両の走行状況予測に基づいてバッテリ11の充放電予測を行い、この充放電予測に基づいて目標SOCを変更・決定する。特に、走行状況予測は、車輌に搭載されたナビゲーションシステム17により検索された走行経路に基づいて行われる。
【0040】この実施形態の車輌のシステムは、図1に示された車輌と同一であるが、搭載されたナビゲーションシステム17が、目標SOCを変更・決定するハイブリッドモータECU10に接続されている。これにより、ナビゲーションシステム17により検索された走行経路の情報が、ハイブリッドモータECU10に送られる。
【0041】図3は、この実施形態における目標SOCの変更・決定制御のフローチャートである。
【0042】まず、ナビゲーションシステム17により、走行経路を検索する(ステップ200)。次に、自車が走行経路上にいるかどうかを判断する(ステップ201)。後述するステップ202〜207が実行された後、再びステップ200から繰り返されるので、その都度、ステップ201において自車が経路上にいるかどうかを判断している。
【0043】ステップ201において自車が経路上にいないと判断された場合、即ち、ステップ201が否定された場合は、目標SOCは予め決定されている基準値に変更される。ここでは、上述したように、フル充電状態の60%とされている。一方、ステップ201において自車が経路上にいると判断された場合、即ち、ステップ201が肯定された場合は、ステップ200において設定された走行経路に基づいて、走行状況予測を行う(ステップ202)。
【0044】走行状況予測には、道路の起伏、高速道路の位置、渋滞状況、交差点の位置、路面状況などが含まれる。例えば、上り坂が多ければ(あるいは長ければ)、それだけ走行に要するエネルギーは必要となりバッテリ11の放電は多くなると予測され、下り坂が多ければ(あるいは長ければ)、回生制動によりバッテリ11の充電が見込める。その他の情報もモータ2,7,8の駆動によるバッテリ11の放電、モータ2,7,8によって発生された回生電力によるバッテリ11の充電に関する予測を行う上で有用な情報である。
【0045】次に、ステップ202において行われた走行状況予測に基づいて、バッテリ11の充放電予測を行う(ステップ203)。この充放電予測は、上述した各種情報を加味した走行状況予測に基づいて、走行経路上における各地点でバッテリ11がどのような電力消費(あるいは電力回収)を行うかを予測したものである。例えば、図3中のステップ203におけるグラフに示されるているような充放電予測がされる。
【0046】モータ2,7,8を高出力トルクで駆動するようなバッテリ11への負荷が大きい上り坂などの場合は、バッテリ11の電力消費、即ち放電が大きくなる。一方、モータ2,7,8を回生制動してバッテリ11への充電を行える下り坂などの場合は、バッテリ11の電力回収、即ち充電が大きくなる。
【0047】次に、ステップ203において行われた充放電予測に基づいて、目標SOCのスケジューリングを行う(ステップ204)。即ち、放電が予測される場合は、その前区間で目標SOCを上げておき、バッテリ11を充分に充電しておく。また、充電できることが予測されている場合は、その前区間において目標SOCを下げて、バッテリ11に蓄積された電力を積極的に用いてモータ2,7,8を駆動させる。このようなスケジューリングを行えば、バッテリ11の充電能力を最大限活用してエネルギー効率良くバッテリ11を使用することができる。
【0048】ステップ204に続いて、目標SOC変更モードにあるかどうかを判断する(ステップ205)。このモードの設定は運転者により行われるものであり、目標SOC変更モードは、目標SOCを変更するかどうかを運転者の意志によって決定させるためのものである。このステップ205の時点で、運転者に対して目標SOC変更モードに入るかどうかを選択させるようにしても良い。また、このステップ205は、ステップ200とステップ201の間で行っても良い。
【0049】ステップ205において目標SOC変更モードでないと判断された場合、即ち、ステップ205が否定された場合は、上述したステップ208に移行し、目標SOCは基準値に変更される。目標SOCが基準値であった場合は、当然そのまま維持されることになる。一方、ステップ205において目標SOC変更モードであると判断された場合、即ち、ステップ205が肯定された場合は、ステップ204において行われたスケジューリングに基づいて目標SOCを変更する(ステップ206)。
【0050】ステップ206,208に続いて、変更された目標SOCと車輌状態量とから、モータ2,7,8の出力トルクを決定する(ステップ207)。ステップ207の後、ステップ200からの処理を再度繰り返す。ナビゲーションシステム17により走行経路を再度設定し直さなければ、ステップ202〜204は同一の処理を行うことになるので、スキップするようにしても良い。
【0051】なお、ナビゲーションシステム17が、自車位置や渋滞箇所などの走行情報をリアルタイムに反映させ、将来の走行経路を、逐次、修正変更することができるものである場合、繰り返し行われる上述した制御の最中に、ステップ200において、走行経路情報を、逐次、修正変更しても良い。この場合、ステップ202における走行状況予測、ステップ203における充放電予測及びステップ204における目標SOCのスケジューリングも、その都度、修正変更される。
【0052】また、走行状況予測を行う際に、時間や気温や天候についての情報が考慮されれば、各種ライト類の点灯による放電負荷やエアコンによる放電負荷をも加味して充放電予測を行えるようになる。各種ライト類やエアコンの電力源となるバッテリをモータ2,7,8のバッテリ11とは別に用意した場合であっても、各種ライト類やエアコンの駆動は車輌全体としてみればエンジン1への負荷を増加させる要因となり、その分、モータ2,7,8への負荷も増加すると言えるので、バッテリ11の充放電予測に影響を与える。
【0053】なお、上述した実施形態は、走行状況予測を車輌に搭載されたナビゲーションシステム17により検索された走行経路に基づいて行う場合であった。しかし、走行状況予測は、他の情報に基づいて行われても良い。例えば、道路上に送信機を設置して各種交通情報を車輌に対して提供する、いわゆるVICSなどのサービスに基づいて走行状況予測を行っても良い。あるいは、先行して走行する車両から、車車間通信を用いて得た情報に基づいて走行状況予測を行っても良い。
【0054】また、これらの情報を複合させて走行状況予測を行っても良く、例えば、燃料残量とナビゲーションシステムによって検索された走行経路に基づく充放電予測とを複合させて目標SOCを変更・決定しても良い。
【0055】本発明の車輌は、上述した実施形態のものに限定されない。例えば、ハイブリッド自動車であっても左右後輪にホイールモータを有していないものや、左右前輪をエンジンによってのみ駆動すると共に左右後輪をホイールモータにより駆動するものなどにも本発明を適用することが可能である。また、上述した実施形態の車輌は、駆動力発生手段としてエンジン(内燃機関)を有する車輌であったが、請求項2に記載の発明においては、駆動力発生手段として燃料電池及び電動機を有する車輌であっても良い。燃料電池電気自動車は、上述した燃料電池の他に、電動機からの回生電力を蓄えると共に電動機を駆動するバッテリも有しており、燃料電池の残量に応じて、このバッテリの目標充電状態量を決定すれば良い。
【0056】
【発明の効果】本発明の車輌によれば、電動機によって発生される回生電力を充電手段によりバッテリに充電する際に、目標充電状態量を目標充電状態決定手段により変更することができるため、バッテリの充電能力を最も効率よく使える。このため、バッテリに充電された電力量を最適化することができ、さらにエネルギー効率良く電力を消費・回収することができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成10年7月14日(1998.7.14)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹 (外1名)
【公開番号】 特開2000−32606(P2000−32606A)
【公開日】 平成12年1月28日(2000.1.28)
【出願番号】 特願平10−199168