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【発明の名称】 電気車制御装置の故障記録装置
【発明者】 【氏名】三宅 亙

【要約】 【課題】故障解析に利用するため、故障時のデータを記録する装置において、重要な記録が上書きされて消失してしまうことを防ぐ。

【解決手段】故障データを記録する際に、故障に対応した重要度を設定し、新たに故障が発生した場合、その故障の重要度が、現在記録されている重要度より高い場合のみ新たなデータを上書きし、新たな故障の方が重要度が低い場合には、その故障データは記録しないようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】電気車のモータ電流やフィルタコンデンサ電圧,車両速度,運転指令等を常時記録しておき、故障が発生した場合には、故障の前後の状態の記録を保持しておく電気車制御装置の故障記録装置において、故障の内容に重要度を設定し、現在記録されている故障より重要度の高い故障が新たに発生した場合のみ、記録の上書きを許可することを特徴とした電気車制御装置の故障記録装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気車制御装置の故障記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気車の駆動用モータを制御する、インバータ装置などの制御装置では、過電流や過電圧のような異常時には、半導体素子をターンオフしたり、接触器を開放するなどの保護動作を行い、機器の損傷を防止するようにしている。
【0003】また、そのような異常が発生した場合は、後に原因究明するために、故障発生時の各部の電流や電圧などのデータを記録することが、一般的に行われている。このように、故障発生時のデータを記録できるようになったのは、制御装置にマイコンが使われ、メモリが大容量化されたことによるが、車両に搭載するためには制御装置の寸法・重量などの制約があり、詳細なデータを何回分も記録するためには、十分な容量を確保するのは困難な状況である。
【0004】そのため、現在は、3〜5回程度の故障記録が行えるメモリ領域を確保しておき、例えば3回分の記録を行う場合は次のようにしている。
【0005】(1)1回目のメモリ領域に記録されたデータは、次の故障が発生しても消去せずに残しておく。
【0006】(2)2回目のメモリ領域に記録されたデータも、次の故障が発生しても消去せずに残しておく。
【0007】(3)3回目のメモリ領域に記録されたデータは、常に最新の故障データに置換える。
【0008】このようにしている理由は、初期の段階で装置が損傷するような重要な故障が発生し、その後は2次的な故障が起きることを想定しているためであり、最初の2回のデータは残しておき、3回目は最新として、最後にどのような状況であったかがわかるようにしているためである。
【0009】図2は、故障データを記録する領域を示す図である。例えば、3回分のデータを記録できるようにする場合には、4つの領域31〜34を準備している。
【0010】故障データ記録領域への故障記録を行うフローチャートの例を図3に示す。まず、2では記録領域1が既に記録済みかどうかを判断する。31〜34の全ての領域に記録がされていない初期状態では、3に進み、31にデータを記録する。4では、故障が発生したかどうかを判断しており、故障が発生していれば、5に進み、31へのデータ記憶処理を行う。ここでは、例えば故障が発生する2秒前からのデータを記憶し、さらに故障発生の1秒後までのデータを31に記憶する処理を行い、故障前後のデータが得られるようにしている。6では、31の領域が記録済みであることを示すフラグをセットする。
【0011】もし、4において、故障が発生していなければ、5〜6の処理は行われず、31へのデータの記録を継続して故障の発生に備える。
【0012】31が記録済みになると、2から7へ進み、続いて32への記録を開始する。7〜11の内容は2〜6と同様であり、記録領域が異なるのみである。
【0013】33と34は最新のデータを残すために、2つの領域が対になっている。12では、2や7と同様に33が記録済みかどうかを判断する。未記録であった場合には、13から18の処理により、8〜11と同様に33への記録を行う。19は、最新のデータを33または34に記録するために必要な処理であり、33または34のどちらかに最新のデータを記録するためのものである。
【0014】33が記録済みとなった場合は、12から20に進み、21〜26の処理により、13〜18と同様に34への記録を行う。
【0015】34に記録を行うと、次の故障が発生した場合は33に記録を行うことにより、最新のデータを得るようにする。そのため、27では、33を未記録状態とする処理を行う。これにより、次回は12から13に進むことになり、13〜18の処理で33への記録が行われる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来は1回目と2回目の故障データおよび最新のデータを残すようにしている例があるが、現実には故障の発生の仕方は千差万別であり、1〜2回目に重要でない故障記録が残り、その後に重要な故障が発生して3回目の領域に記録されても、更に2次的な故障が起きると、3回目の領域の重要なデータが上書きされて消えてしまい、故障解析ができないという問題があった。
【0017】例えば、1回目の記録領域には、回生ブレーキ中のフィルタコンデンサ電圧過電圧が記録され、2回目の記録領域には、補助電源の異常による送風機停止が記録されたとする。そして、3回目の記録領域に、インバータ装置のスイッチング素子が故障して、モータ電流過電流が記録されたとする。その後、運転士がモータ電流過電流保護をリセットし、再起動しようとしたが、素子が故障しているために、フィルタコンデンサ充電不良が発生し、3回目の記録領域のデータはフィルタコンデンサ充電不良のデータに上書きされた、という状況を考えてみる。
【0018】1回目は、回生ブレーキ中に他の力行している負荷車がなくなったためのフィルタコンデンサ電圧過電圧であり、インバータ装置自身の問題ではない。また、2回目は補助電源の異常であり、やはりインバータ装置自身の問題ではない。3回目の最初に記録された、モータ電流過電流は、インバータ装置の素子が故障した際のデータであり、故障解析に重要なデータである。このデータは、是非とも残しておきたいものであるが、従来のように、3回目の領域には最新のデータを記録するようになっていた場合、このデータは、フィルタコンデンサ充電不良時のデータに上書きされて、消えてしまうことになる。フィルタコンデンサ充電不良は、素子故障後の2次的な現象であるため、データとしての重要度は低いので、このような場合は、フィルタコンデンサ充電不良のデータを記録せず、その前に起きたモータ電流過電流時のデータを残すようにしたい。
【0019】本発明の目的は、このように故障の発生の仕方によって、重要な故障記録データが消失することを防ぎ、故障解析に有用なデータを常に提供できる故障記録装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】このためには、種々の故障要因に重要度の順位付けをする手段と、現在記録されている故障データの重要度と、新たに発生した故障の重要度とを比較する手段と、データを更新するかどうかの判別手段を設ければ良い。
【0021】すなわち、現在記録されている故障データの重要度より、新たに発生した故障の重要度の方が高い場合はデータを上書きして更新するが、新たに発生した故障の方が重要度の低い故障であった場合は、データの更新を行わないようにする。このようにすることにより、故障解析に重要なデータが上書きされて消失してしまうことを防ぐことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の一実施例のフローチャートを図1に示す。図3と同様の処理については、同じ記号を付してある。また、故障データ記録領域の構成は、図2に示した従来例と同様である。
【0023】31〜32の領域への記録は、1〜11の処理によって、図2の場合と同様に行われる。
【0024】33への記録については、12〜14は図3と同様であるが、故障が発生した場合には、15に進み、その故障内容に応じた重要度を設定する。16では、いま33に記録しようとしている重要度と、34に記録されている重要度とを比較し、33の重要度の方が高ければ、17に進み、33への記録を行う。重要度の低かった34については、19で未記録の処理を行い、次の故障に備えることになる。
【0025】16で、33に記録しようとしている故障より、34に記録されている故障の重要度の方が高かった場合には、33への記録は行わず、より重要度の高い34の記録を残すようにする。
【0026】34への記録については、20〜27の処理により、12〜19の処理と同様に行われる。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、33と34の領域には、常に重要度の高い故障データが記録として残ることになり、2次的な故障の発生によって、重要なデータが上書きされて消失してしまうことがなくなる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成10年7月13日(1998.7.13)
【代理人】 【識別番号】100068504
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
【公開番号】 特開2000−32604(P2000−32604A)
【公開日】 平成12年1月28日(2000.1.28)
【出願番号】 特願平10−196972