| 【発明の名称】 |
リニアモータ電気車の制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】安藤 武
【氏名】仲田 清
【氏名】小澤 勉
【氏名】関澤 俊彦
【氏名】安藤 正博
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| 【要約】 |
【課題】リアクションプレートの状態を検出する手段を設けることなく、該プレートの種類に拘らず推力を一定に保つと共に、該プレートのない部分を通過したときにも、過大な電流を抑えることにある。
【解決手段】電力変換器1と、電気車の車上側に1次巻線、地上側にリアクションプレートを設けたリニア誘導電動機2と、励磁電流指令Id*とトルク電流指令Iq*を演算する手段3と、前記電動機の1次電流から励磁電流成分Id及びトルク電流成分Iqを検出する手段10と、Id*及びIq*よりすべり周波数指令値ωs*を演算する手段7と、Id*、Iq*及び1次周波数指令値ω1*より電圧指令値を演算する手段5を備え、Iq*とIqの偏差に基づいてすべり周波数補正量dfを演算し、すべり周波数指令値を補正する手段6と、Id*とIdの偏差に基づいて電圧指令補正量dvを演算し、電圧指令値を補正する手段4を設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可変電圧、可変周波数の交流を出力する電力変換器と、この電力変換器によって駆動され、電気車の車上側に1次巻線を有し、地上側に2次導体としてリアクションプレートを設けたリニア誘導電動機と、このリニア誘導電動機に与える励磁電流指令とトルク電流指令を演算する手段と、リニア誘導電動機の1次電流から励磁電流成分及びトルク電流成分を検出する手段と、前記励磁電流指令及びトルク電流指令よりすべり周波数指令値を演算する手段と、前記励磁電流指令、トルク電流指令及びすべり周波数指令値を含む1次周波数指令値より電圧指令値を演算する手段を備えたリニアモータ電気車の制御装置において、前記トルク電流指令値とトルク電流検出値の偏差に基づいてすべり周波数補正量を演算し、前記すべり周波数指令値を補正する手段と、前記励磁電流指令値と励磁電流検出値の偏差に基づいて電圧指令補正量を演算し、前記電圧指令値を補正する手段を設けることを特徴とするリニアモータ電気車の制御装置。 【請求項2】 可変電圧、可変周波数の交流を出力する電力変換器と、この電力変換器によって駆動され、電気車の車上側に1次巻線を有し、地上側に2次導体としてリアクションプレートを設けたリニア誘導電動機と、このリニア誘導電動機に与える励磁電流指令、トルク電流指令及び1次電流実効値指令を演算する手段と、リニア誘導電動機の1次電流から電流の実効値及びトルク電流成分を検出する手段と、前記励磁電流指令及びトルク電流指令よりすべり周波数指令値を演算する手段と、前記励磁電流指令、トルク電流指令及びすべり周波数指令値を含む1次周波数指令値より電圧指令値を演算する手段を備えたリニアモータ電気車の制御装置において、前記トルク電流指令値とトルク電流検出値の偏差に基づいてすべり周波数補正量を演算し、前記すべり周波数指令値を補正する手段と、前記1次電流実効値指令と1次電流実効値検出値の偏差に基づいて電圧指令補正量を演算し、前記電圧指令値を補正する手段を設けることを特徴とするリニアモータ電気車の制御装置。 【請求項3】 請求項1または請求項2において、すべり周波数補正量を電圧指令値の補正に用いることを特徴とするリニアモータ電気車の制御装置。 【請求項4】 請求項1から請求項3のいずれかにおいて、励磁電流指令が変化する場合には、すべり周波数補正量及び電圧指令補正量を零とするか、これらの補正量の絶対値を小さくすることを特徴とするリニアモータ電気車の制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、可変電圧、可変周波数の交流を出力する電力変換器によって鉄車輪支持の車上1次リニア誘導電動機をベクトル制御を用いて駆動するリニアモータ電気車の制御装置に関する。 【0002】 【従来の技術】電気車の車上側に1次巻線を有し、地上側に2次導体としてリアクションプレートを設けたリニア誘導電動機によって電気車を走行する場合、電気車が走行する走行区間によって材質の異ったリアクションプレートを混合して用い、鉄車輪支持の車上1次リニアモータ電気車を制御することが知られている。この種の技術は第2689186号特許公報に記載され、この場合経済性の観点から銅のリアクションプレートとアルミのリアクションプレートを使い分け、走行区間信号を検出し、この区間信号に基づいてすべり周波数パターンを切り替え、リニアモータ電気車を走行制御している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前述の公知例においては、区間検出信号に基づいてすべり周波数パターンを切り替えるに当って、走行区間毎に区間検出手段を設けている。しかしながら、この場合にはリアクションプレートの種類を検出する何らかの手段を設ける必要があり、その分のコストがかかる、という課題がある。また、リニアモータ電気車では、分岐器部や車庫内などリアクションプレートを設けることができない場所がある。リニアモータ電車がこのリアクションプレートのない部分を通過すると、過大な電流が流れる、という課題がある。 【0004】本発明の課題は、リアクションプレートの状態を検出する手段を設けることなく、リアクションプレートの種類に拘らず推力を一定に保つと共に、リアクションプレートのない部分を通過したときにも、過大な電流が流れることのないリニアモータ電気車の制御装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決されるために、トルク電流指令値とトルク電流検出値の偏差に基づいてすべり周波数補正量を演算し、すべり周波数指令値を補正する手段と、励磁電流指令値と励磁電流検出値の偏差に基づいて電圧指令補正量を演算し、電圧指令値を補正する手段を設ける。また、トルク電流指令値とトルク電流検出値の偏差に基づいてすべり周波数補正量を演算し、すべり周波数指令値を補正する手段と、1次電流実効値指令と1次電流実効値検出値の偏差に基づいて電圧指令補正量を演算し、電圧指令値を補正する手段を設ける。ここで、すべり周波数補正量を電圧指令値の補正に用いる。また、励磁電流指令が変化する場合には、すべり周波数補正量及び電圧指令補正量を零とするか、これらの補正量の絶対値を小さくする。 【0006】リニア誘導電動機の1次側が銅のリアクションプレート上からアルミのリアクションプレート上に移動したとするとき、銅とアルミではアルミの方が抵抗が大きいので、リニア誘導電動機の等価回路で考えると、等価回路の2次抵抗の値が急に大きくなったことになる。このときリニア誘導電動機の制御にベクトル制御を用い、等価回路定数として銅のリアクションプレートの定数で制御を行っていたとすると、アルミリアクションプレート領域に入ったとき、トルク電流指令値に比べてトルク電流検出値が小さくなり、偏差が生じる。この偏差に応じてすべり周波数が大きくなるように補正する制御を行うことによって、2次抵抗の大きいアルミリアクションプレートの等価回路定数を用いてベクトル制御を行った場合と等価になる。このときトルク電流指令、励磁電流指令に変化がなければ、発生推力はリアクションプレートが切り替わった直後を除いて自動的に一定に保たれる。逆に、アルミから銅のリアクションプレートに移動した場合にはトルク電流指令値とトルク電流検出値の偏差がなくなり、元の状態に戻る。また、リニア誘導電動機の1次側がリアクションプレート上からリアクションプレートのない場所に移動したときには、リニア誘導電動機の等価回路で考えると、等価回路の励磁インダクタンスが小さくなり、2次抵抗の値がさらに大きくなったことになる。このときリアクションプレートが銅からアルミに変わったときと同様に制御すると、2次側のインピーダンスが減少し、大きな励磁電流成分が流れることになる。そこで、励磁電流検出値と励磁電流指令値の偏差が大きくなった場合には出力電圧指令が小さくなるように制御する。これによりリアクションプレートのない場所を通ったときには、推力を発生することはできないが、過大な電流が流れないようにすることができる。また、励磁電流検出値の代わりに、検出の容易な1次電流実効値検出値を用いても同様の効果を呈する。 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態によるリニアモータ電気車の制御装置を示す。図1において、直流電源11から供給される直流は、フィルタコンデンサ12によって平滑され、電力変換器であるパルス幅変調(以下、PWMと称する。)インバータ1に与えられる。PWMインバータ1は、電源となる直流電圧を3相の可変電圧、可変周波数の交流に変換し、リニア誘導電動機2の1次巻線に電圧を供給する。この1次巻線とこれに対向して地上側に設けられたリアクションプレート(図示せず)の間の相互作用によって電気車が走行する。制御装置は、電流指令発生器3、電圧指令補正器4、電圧指令演算器5、すべり周波数補正器6、すべり周波数演算器7、加算器8、座標変換器9,10、PWM信号演算器13からなる。電流指令発生器3は、励磁電流指令値Id*及びトルク電流指令値Iq*を発生する。電圧指令補正器4は、励磁電流指令値Id*及び後述する座標変換器10の出力である励磁電流検出値Idの偏差に基づいて電圧指令補正信号dvを電圧指令演算器5に出力する。電圧指令演算器5は、励磁電流指令値Id*、トルク電流指令値Iq*、電圧指令補正信号dv及び後述する1次周波数指令値ω1*に基づいてリニア誘導電動機2に供給される回転磁界座標系の2つの電圧成分の指令であるVd*、Vq*を演算する。すべり周波数補正器6は、トルク電流指令値Iq*及びトルク電流検出値Iqからすべり周波数指令補正信号dfを演算し、すべり周波数演算器7に出力する。すべり周波数演算器7は、励磁電流指令値Id*、トルク電流指令値Iq*及びすべり周波数指令補正信号dfからすべり周波数指令値ωs*を演算し、出力する。一方、車輪15に取り付けられた速度検出器16から出力される電気車速度ωrは、加算器8ですべり周波数演算器7の出力であるすべり周波数指令値ωs*と加算され、1次周波数指令値ω1*を生成する。この1次周波数指令値ω1*は電圧指令演算器5及び座標変換器9、10に与えられる。座標変換器9は、電圧指令Vd*、Vq*を入力して、1次周波数指令値ω1*に基づいて静止座標系の3相電圧指令Vu、Vv、Vwに変換する。座標変換器10は、PWMインバータ1の出力電流を検出する電流検出器14u、14v、14wにより検出された電動機電流iu、iv、iwを入力して、1次周波数指令値ω1*に基づいて回転磁界座標系の励磁電流成分Id、トルク電流成分Iqに変換する。PWM信号演算器13では、座標変換器9の出力Vu、Vv、Vwよりオン、オフパルスSu、Sv、Swを発生し、PWMインバータ1に与える。 【0008】以下、本実施形態の動作について説明する。図2に、リニア誘導電動機の1相分の等価回路を示す。図2において、r1は1次抵抗、l1は1次漏れインダクタンス、lmは励磁インダクタンス、l2は2次漏れインダクタンス、r2は2次抵抗、sはリニア誘導電動機のすべりを表す。リアクションプレートの材質が銅からアルミに変ったとすると、銅とアルミではアルミの方が1.5倍ほど抵抗が高いので、2次抵抗r2が1.5倍大きくなることになる。r2以外に2次漏れインダクタンスl2が若干変化するが、影響が小さいので、無視すると、その他の定数は1次、2次間のエアギャップが変らなければ、変化しない。したがって、等価回路定数でみると、リアクションプレートの材質変化により2次抵抗r2が変化する。このとき本実施形態では、後述するように、すべり周波数補正器6及びすべり周波数演算器7の働きにより、トルク電流指令値Iq*とトルク電流検出値Iqの偏差に基づいてすべり周波数指令値ωs*を補正するように制御する。 【0009】すべり周波数補正器6の構成例を図3に、すべり周波数演算器7の構成例を図4に示す。図3において、31はトルク電流指令値Iq*とトルク電流検出値Iqの偏差を求める減算器、32は1次遅れ要素を表し、偏差が急激に変化したときに制御が不安定になるのを防ぐ働きをする。この1次遅れ要素の出力がすべり周波数補正量dfとなる。33はリミッタであり、すべり周波数補正量dfが所定値を越えないようにすることにより、リアクションプレートが無くなって等価回路定数が大きく変化した場合でも、制御が発散するのを防ぐ働きをする。また、図4において、41、42はそれぞれ係数器、除算器を表し、トルク電流指令値Iq*及び励磁電流指令値Id*よりすべり周波数指令値ωs*を計算する。ここで、すべり周波数補正量dfが0のとき、すべり周波数指令値ωs*は(数1)の値となる。 【数1】
43は加算器であり、すべり周波数指令値にすべり周波数補正量dfを加えることにより、補正したすべり周波数指令値ωs*を出力する。このような構成において、リアクションプレートの材質が銅からアルミに変ったとすると、2次抵抗r2が増えるため、リニア誘導電動機のインピーダンスが増加し、流れる電流が減少する。そのときトルク電流検出値Iqも減少し、トルク電流指令Iq*との間に偏差が発生し、すべり周波数補正量dfに値が発生する。この値をすべり周波数演算器7ですべり周波数指令値に加えて補正することにより、すべり周波数指令値ωs*が大きくなるので、(数1)のr2が大きくなったのと等価な働きをする。このようにすべり周波数が大きくなるように制御される結果、電流は銅リアクションプレートのときとほぼ同じ電流となる。一方、リニア誘導電動機の推力Fは(数2)で表される。 【数2】
τ:リニア誘導電動機のポールピッチ(数2)より励磁電流Id、トルク電流Iqが一定であれば、推力も維持されることが分かる。つまり、dfの補正により、アルミの場合のωs*は大きくなり、ω1*も大きくなり、電圧指令値Vd*、Vq*が大きくなる。これにより、アルミの場合のId、Iqと銅の場合のId、Iqが一致し、この結果、(数2)により推力が維持される。逆に、アルミから銅に変った場合には、リニア誘導電動機の電流が増える方向に変化するため、指令値との偏差が小さくなり、最終的に元の状態に戻り、やはり推力は維持される。 【0010】次に、リアクションプレート有りの場所から無しの場所に変った場合には、1次巻線で発生した磁束が2次側に鎖交しなくなるため、1次巻線が単なるインダクタンスとして働くことになる。このとき等価回路でみると、励磁インダクタンスlmが小さくなったように見える。また、l2、r2の回路も2次導体がなくなったことにより、r2が大きくなり、回路がオープンになったとみなすことができる。その結果、リアクションプレートがなくなると、等価回路のインピーダンスが減少して、印加電圧が同じとすると、大きな電流が流れることになる。そこで、本実施形態では、後述するように、電圧指令補正器4及び電圧指令演算器5の働きにより、励磁電流指令値Id*と励磁電流検出値Idの偏差に基づいて値Vd*、Vq*を補正するように制御する。 【0011】電圧指令補正器4の構成例を図5に、電圧指令演算器5の構成例を図6に示す。図5において、51は励磁電流指令値Id*と励磁電流検出値Idの偏差を求める減算器、52は1次遅れ要素を表し、偏差が急激に変化したときに制御が不安定になるのを防ぐ働きをする。この1次遅れ要素の出力が電圧指令補正量dvとなる。この出力にリミッタを設けることもできる。また、図6において、61は電圧ベクトル演算部を表し、(数3)で表される値を出力する。 【数3】
62は加算器であり、電圧ベクトル演算部61の出力Vq1*に電圧指令補正量dvを加えることにより、補正した電圧指令値Vq*を出力する。このような構成において、リアクションプレート有りのところから無しのところに変ったとすると、前述のようにリニア誘導電動機のインピーダンスが減少し、流れる電流が増大する。そのとき電流は励磁インダクタンスlmを流れる励磁電流のみとなるため、励磁電流検出値Idが大きく増加し、励磁電流指令Id*との間に負の偏差が発生し、電圧補正量dvに値が発生する。この値を電圧指令演算器5で電圧指令値に加えて補正することにより、電圧指令値Vq*が小さくなり、電流の増加を抑えることができる。このように電圧指令値Vq*が小さくなるように制御される結果、電流が過大になることがない。逆に、リアクションプレート無しから有りに変った場合には、電流の偏差がなくなり、最終的に元の状態に戻る。 【0012】以上説明したように、本実施形態では、リアクションプレートの材質が変った場合にも推力が一定に制御され、リアクションプレートが無いところを走行した場合にも、過大な電流が流れることがないリニア誘導電動機の制御装置を実現することができる。 【0013】図7は、本発明の第2の実施形態を示す。図1の第1の実施形態との違いは、実効電流演算器17により3相電流iu、iv、iwの実効値を求める点と、電流指令発生器3から電流実効値指令Im*を出力する点である。ここで、電流実効値指令Im*と励磁電流指令値Id*、トルク電流指令Iq*の間には(数4)の関係がある。 【数4】
また、電圧指令補正器4には、図1では励磁電流指令値Id*と励磁電流検出値Idを入力するのに対し、本実施形態では、代わりに電流実効値指令値Im*と電流実効値検出値Imを入力し、電圧指令補正器4から電圧指令補正量dvを出力する。リアクションプレートが無くなったときに流れる電流は、殆ど励磁電流であるので、励磁電流の代わりに検出が容易な電流実効値Imを用いることにより、励磁電流検出値Idを用いることなく、図1の実施形態と同様の効果を得ることができる。 【0014】図8は、本発明の第3の実施形態を示す。図1の第1の実施形態との違いは、すべり周波数補正器6の出力dfをすべり周波数演算器7だけでなく、電圧指令演算器5にも与える点である。このときのすべり周波数補正器6の別の構成例を図9に示す。図3との違いは1次遅れ要素32の代わりに比例積分制御器92を用いる点である。比例積分制御器92を用いることにより、定常状態においてトルク電流指令値Iq*とトルク電流検出値Iqの定常誤差を0とすることができる。また、比例積分制御器92の出力にリミッタを設けると、制御の発散を防止することができる。 【0015】すべり周波数演算器7の別の構成例を図10に示す。図10において、101、106は加算器、102は除算器、103は係数器、104は乗算器、105は1次遅れ要素、107は2次抵抗r2を発生する定数発生器、108はリミッタである。ここで、すべり周波数補正量dfが0のときにはすべり周波数指令値ωs*は図4においてdf=0とした場合と同様(数1)となる。このすべり周波数演算器7は、すべり周波数補正量dfを入力とする1次遅れ要素105の出力を加算器106でr2に加えることにより、r2の補正量r2’を求め、一方、Iq*とdfを加算した加算器101の出力を除算器102によりId*で除算し、係数器103を介して得た出力にその補正量r2’を乗算器104で掛けることによって、すべり周波数指令値ωs*を補正する働きをする。なお、加算器101でIq*にdfを加えているのは、r2以外の定数の変動、その他の要因によって偏差が生じた場合にトルクの変動が小さくなるように補正をするためのものである。また、リミッタ108は図3のリミッタ33と同じ働きをする。この構成において、リアクションプレートの材質が銅からアルミに変ったとすると、2次抵抗が増えるため、リニア誘導電動機のインピーダンスが増加し、流れる電流が減少する。そのときトルク電流検出値Iqも減少し、トルク電流指令Iq*との間に偏差が発生し、図9に示したすべり周波数補正器6の出力のすべり周波数補正量dfに正の値が発生する。この値dfを図10に示したすべり周波数数演算器7に入力し、補正量を加算器106で銅リアクションプレートの場合の2次抵抗r2に加えることにより、値が大きくなるように補正されたr2’を出力する。その結果、(数1)の銅リアクションプレートに相当するr2がアルミリアクションプレートに相当するr2’に大きくなったことになる。このように、すべり周波数が大きくなるように制御される結果、電流は銅リアクションプレートのときとほぼ同じ電流となり、推力も一定に保たれる。したがって、第1の実施形態と同様の効果を有する。 【0016】第3の実施形態における電圧指令演算器5の一構成例を図11に示す。111、112は加算器、113は励磁インダクタンスlmを発生する定数発生器である。この電圧指令演算器5は、電圧指令補正量dvを加算器112でlmに加えることでlmの補正量lm’を求め、その値を励磁インダクタンスとして(数3)の計算を行い、電圧指令値Vd*、Vq*を出力する。また、加算器111でIq*にdfを加えるのは、上述したと同様にトルクの変動が小さくなるように補正をするためのものである。この構成において、リアクションプレートの無いところを走行したときには、励磁電流検出値Idが大きくなることから、図5に示した電圧指令補正器4の出力dvが負となる。その結果、図11の加算器112において1mより小さい値の励磁インダクタンス1m’が出力されるので、電圧指令値Vd*、Vq*が小さくなり、第1の実施形態と同様に電流の増大を抑える効果を有する。 【0017】図12は、本発明の第3の実施形態において、電気車がリアクションプレートの無いところを走行したとしたときのリニア誘導電動機のU相電流iu及び推力Fの時間変化を示す。ここでは、時間が0.1sのときにリアクションプレートの無いところに入り、0.6sのときにリアクションプレートの有るところに移ったとしている。図12から明らかなように、状態が変化したところで若干U相電流iuが変動するが、その後所定の範囲内に収まっている。このように、本実施形態では、リアクションプレートの無いところを走行した場合に過大な電流を抑えることができる。また、推力Fはリアクションプレートが無くなったところで0になっているが、リアクションプレートがあるところに戻ると、速やかに回復している。 【0018】ここで、ベクトル制御においては、通常励磁電流を一定に制御する必要があるため、PWMインバータの起動時の電流立ち上げ時、速度に応じて励磁電流を減らしてゆく弱め界磁制御時など励磁電流指令を変化させるときには、ベクトル制御を行うことができずに指令値と検出値の間に誤差が発生し、すべり周波数補正器6、電圧指令補正器4が誤動作することがある。この場合には、すべり周波数補正量、電圧指令補正量を0とするか、補正量が小さくなるようにすればよい。具体的には、励磁電流指令Id*が変化するときに、すべり周波数補正器6の1次遅れ要素32(図3)、電圧指令補正器4の1次遅れ要素52(図5)あるいはすべり周波数演算器7の1次遅れ要素105(図10)のゲインを0とするか、通常より小さくなるようにすればよい。 【0019】以上説明した制御装置によれば、特別にリアクションプレートの状態を検出することなく、通常の電動機の制御や電力変換器を異常状態から保護するために必要な電動機の電流検出値を用いて、制御を行うマイクロプロセッサに組み込むことにより、リニアモータの制御装置を実現することができ、別途特別な装置を設ける必要がない。 【0020】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、リアクションプレートの状態を検出する手段を設けることなく、リアクションプレートの材質が変わった場合にも推力を一定に制御することができる。また、リアクションプレートのないところを走行した場合にも、過大な電流が流れることがないように電流を抑制することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005108 【氏名又は名称】株式会社日立製作所
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| 【出願日】 |
平成10年6月30日(1998.6.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099302 【弁理士】 【氏名又は名称】笹岡 茂 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−23316(P2000−23316A) |
| 【公開日】 |
平成12年1月21日(2000.1.21) |
| 【出願番号】 |
特願平10−199552 |
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