トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 ハイブリッド車用駆動装置
【発明者】 【氏名】鈴木 猛

【要約】 【課題】モータの小型化,回生ブレーキの高効率化,ロック後の固定された無段変速機構の復帰の容易化を課題とする。

【解決手段】ハイブリッド車に装備する駆動装置であって、回転駆動する駆動軸21を備えたエンジン2と、電力の供給により回転駆動する駆動軸31を備え,この駆動軸31を外部からトルクを印加すると発電を行うモータ3と、各駆動軸21,31の断続を自在に行う第一のクラッチ4と、同時に連動する入力軸51と出力軸52とを備えると共にこれらの軸の間の変速比を自在に調節する無段変速機5と、この無段変速機5の出力軸52とハイブリッド車の駆動輪11との間のトルク伝達を行う伝達機構6とを備え、モータ3の駆動軸31と無段変速機構5の入力軸51とを連結し、無段変速機構5の出力軸52から駆動輪11までの間に、これらの間のトルク伝達の断続を行う第二のクラッチ7を装備した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハイブリッド車に装備する駆動装置であって、回転駆動する駆動軸を備えたエンジンと、電力の供給により回転駆動する駆動軸を備え,この駆動軸を外部からトルクを印加すると発電を行うモータと、前記各駆動軸の断続を自在に行う第一のクラッチと、同時に連動する入力軸と出力軸とを備えると共にこれらの軸の間の変速比を自在に調節する無段変速機構と、この無段変速機構の出力軸と前記ハイブリッド車の駆動輪との間のトルク伝達を行う伝達機構とを備え、前記モータの駆動軸と前記無段変速機構の入力軸とを連結し、前記無段変速機構の出力軸から前記駆動輪までの間に、これらの間のトルク伝達の断続を行う第二のクラッチを装備したことを特徴とするハイブリッド車用駆動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関エンジン(以下、単に「エンジン」という。)と電気モータ(以下、単に「モータ」という。)とを搭載したハイブリッド自動車に関し、詳しくは、ハイブリッド車用駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ハイブリッド車は、内燃機関としてのエンジンとジェネレータとしても機能するモータとを備え、これらを必要に応じて同時或いはいずれか一方のみを駆動源として使用する。また、ハイブリッド車の制動時に、車体の運動エネルギーを利用して、ジェネレータとしても機能するモータを回転させて発電を行い、モータ用のバッテリーの充電を行っている。
【0003】従来のハイブリッド車用駆動装置として、特開平9−701024号公報,特開平8−251708号公報及び特開平5−38956号公報記載の発明が挙げられる。
【0004】特開平9−701024号公報に示されるハイブリッド車用駆動装置100は、図3に示すように、互いの駆動軸を連結されたエンジン101及びジェネレータとしても機能するモータ102と、これらの駆動軸にダンパー103を介して連結された伝達軸104と、この伝達軸104に伝達された回転動作を,前進方向又は後進方向の回転動作に切り換える前後進切換機構105と、この前後進切換機構105によりその入力軸の回転力が付勢されるベルト式無段変速機構106と、このベルト式無断変速機構106の出力軸側に設けられた減速ギヤ列107と、左右のそれぞれの駆動輪108L,108Rに回転力を伝達する差動装置109とを備えている。
【0005】上記の前後進切換機構105は、遊星歯車機構105Aと、前進クラッチ105Bと、後進ブレーキ105Cとから構成される。そして、前進クラッチ105Bの締結によりベルト式無段変速機構106の入力軸に各駆動輪108L,108Rを前進方向に駆動する回転力が伝えられ、後進ブレーキ105Cの締結によりベルト式無段変速機構106の入力軸に各駆動輪108L,108Rを後進方向に駆動する回転力が伝えられる。
【0006】また、ベルト式無段変速機構106は、外部操作より、入力側と出力側のそれぞれのプーリのベルト受け面の半径を変えることができ、これにより、入力側から出力側への伝達回転数比(変速比)を自在に調整することが可能となっている。
【0007】かかる構成からなるハイブリッド車用駆動装置100では、モータ102のステータ巻線に所定周波数の電圧を印加して回転磁界を生じさせる。このとき、エンジン101の駆動軸の回転数よりも速い周波数の回転磁界を生ぜしめることにより、始動時においてはエンジン101に起動力を付与し、また、走行時においてはエンジン101を補助して加速力を付与したりする。
【0008】また、モータ102のステータ巻線に、エンジン101の駆動軸の回転数よりも遅い周波数の回転磁界を生ぜしめることにより、走行時において、モータ102をジェネレータとして機能させ、図示しない蓄電池の充電を行う。
【0009】次に、特開平8−251708号公報に示されるハイブリッド車用駆動装置110は、図4に示すように、互いの駆動軸をクラッチ113を介して連結されたエンジン111及びジェネレータとして機能するモータ112と、モータ112の駆動軸からその入力軸の回転力が付勢されるベルト式無段変速機構114と、このベルト式無段変速機構114の出力軸と減速ギヤ列115を介して左右のそれぞれの駆動輪116L,116Rに回転力を伝達する差動装置117とを備えている。
【0010】さらに、このハイブリッド車用駆動装置110では、アクセル118Aとブレーキ118Bの各々の踏み込み量と各駆動輪116L,116Rの回転数から、予め設定された駆動トルク又は制動トルクが各駆動輪116L,116Rに生じるようにベルト式無段変速機構114の伝達回転数比(変速比)を調節する制御部118を有している。
【0011】かかるハイブリッド車用駆動装置110では、走行時においてはエンジン111又はモータ112のいずれか一方又は双方の協動により駆動輪を駆動する。また、制動時には、クラッチ113を切断してモータ112のみが各駆動輪116L,116Rと接続された状態とされ、モータ112への回転負荷により各駆動輪116L,116Rの制動トルクを印加する。また、このとき、モータ112の駆動軸に外部から回転力が印加されるため、モータ112はジェネレータとして機能し、インバータを介して蓄電池119の充電が行われる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ハイブリッド車用駆動装置100では、エンジン101とモータ102の相互の駆動軸が直結されているため、ハイブリッド車用駆動装置100を装備したハイブリッド車の発進時におけるエンジン101の負荷は、無視できないものとなり、これに対抗するため、モータ102の容量を大きくせざるをえないという不都合があった。
【0013】また、このハイブリッド車用駆動装置100では、車両の減速時に、回生ブレーキとエンジンブレーキとが同時に作用するため、減速のブレーキ回生によるエネルギーの回収が効率良く行われず、蓄電池の充電が不十分となる場合があるという不都合があった。
【0014】一方、ハイブリッド車用駆動装置110では、エンジン111とモータ112との間にクラッチ113を設けて、上記不都合の改善を図っているが、無段変速機114から各駆動輪116L,116Rまでの間が実質的に直結されている(常に同時に連動する)。この場合、急制動や滑り易い路面上で駆動輪がロックして、無段変速機114が戻り不良を起こし、走行状態のまま固定されてしまうと、大きな駆動力が必要となるため、再発進が困難になる可能性があった。具体的には、再発進時に、駆動輪により、走行時における変速比で無段変速機構が固定されているため、モータ出力が足りなければ発進できなくなり、モータ出力が足りる場合であっても、無段変速機構が急速に発進時の変速比に変更されるため、発進時の突発的な振動や、伝達ベルトの滑り等を発生し易いという不都合があった。
【0015】また、モータ112から各駆動輪116L,116Rが実質的に直結されているため、ハイブリッド車用駆動装置110を装備したハイブリッド車の走行停止状態でエンジン111によってモータ112を駆動し、バッテリー119を充電することが困難であるという不都合があった。
【0016】
【発明の目的】本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、モータの容量の小型化及び充電の高効率化を図ることを、その目的とする。また、本発明は、急制動等により固定された無段変速機構の解除,非走行時におけるバッテリーの充電を図り得るハイブリッド車用駆動装置を提供することを、その目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本願発明は、ハイブリッド車に装備する駆動装置であって、回転駆動する駆動軸を備えたエンジンと、電力の供給により回転駆動する駆動軸を備え,この駆動軸を外部からトルクを印加すると発電を行うモータと、各駆動軸の断続を自在に行う第一のクラッチと、同時に連動する入力軸と出力軸とを備えると共にこれらの軸の間の変速比を自在に調節する無段変速機と、この無段変速機の出力軸とハイブリッド車の駆動輪との間のトルク伝達を行う伝達機構とを備え、モータの駆動軸と無段変速機構の入力軸とを連結し、無段変速機構の出力軸から駆動輪までの間に、これらの間のトルク伝達の断続を行う第二のクラッチを装備するという構成を採っている。
【0018】上記の構成では、まず、第一のクラッチを切断し、第二のクラッチを接続した状態で、モータの駆動を開始してハイブリッド車を発進する。そして、モータの出力を高めてハイブリッド車の一定の速度まで高めると、第一のクラッチを半クラッチ状態で接続してエンジンを始動させる。
【0019】エンジンの出力をある程度まで高めた後に、第一のクラッチを完全に接続状態とする。一方、エンジンの出力が十分に高くなった後には、モータへの励磁電流の通電を切り、駆動を停止する。このとき、モータは通電が完全に断たれているので、エンジンの負荷とはならない。
【0020】ハイブリッド車の減速の際には、第一のクラッチを切断し、エンジンをアイドリング又は停止状態とする。そして、モータに対して駆動の際とは逆の励磁電流を流し、これにより発電を行う。また、かかる状態によりモータに負荷トルクが生じ、エンジンブレーキに替えて回生ブレーキによりハイブリッド車は減速される。このとき、無段変速機構は、駆動輪に対して適度の制動力が生じるように、各軸間の変速比を調節する。
【0021】また、急制動,駆動輪のロック等により、無段変速機の回転数比(変速比)が固定された場合でも、第二のクラッチを切断することにより無段変速機の駆動輪による固定状態が解除され、当該無段変速機構を発進時の変速比に戻すことができる。
【0022】また、第一のクラッチを連結し、第二のクラッチを切断した状態で、ハイブリッド車を停車させた状態でエンジンによりモータを駆動し、充電を行うことができる。
【0023】本発明は、上述した各構成によって前述した目的を達成しようとするものである。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の一実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。この実施形態は、ハイブリッド車に装備する駆動装置10を示している。一般に、内燃機関のみで駆動する自動車のエネルギー効率は、出力が大きな領域で最高効率が得られるが、アイドリングや低速走行時には、極端に低下することが知られている。ハイブリッド車は、この効率の低い領域をモータでアシストすると共に、ハイブリッド車の減速時の運動エネルギーをモータによる回生ブレーキによって回収し、トータルの燃費向上を図っている。なお、ここに示すハイブリッド車は、モータによる回生ブレーキだけではなく、通常の機械的ブレーキも図示しないが装備されている。
【0025】このハイブリッド車用駆動装置10は、回転駆動する駆動軸21を備えたエンジン2と、電力の供給により回転駆動する駆動軸31を備え,この駆動軸31を外部からトルクを印加すると発電を行うモータ3と、各駆動軸21,31の断続を自在に行う第一のクラッチ4と、同時に連動する入力軸51と出力軸52とを備えると共にこれらの軸の間の変速比を自在に調節する無段変速機5と、この無段変速機5の出力軸52とハイブリッド車の駆動輪11L,11Rとの間のトルク伝達を行う伝達機構6とを備えている。
【0026】各部を説明すると、エンジン2は、駆動軸21に対して一定方向のトルクを印加するガソリンエンジン等の内燃機関である。なお、このエンジン2は、内燃機関に限定されず、スターリング機関等の外燃機関でも良い。
【0027】エンジン2の駆動軸21には、トルク吸収ダンパー22が装備されており、これにより、エンジン2の一回転ごとに生じるトルク変動が抑制される。また、モータ3の駆動時には、上記トルク変動と逆位相のトルク変動を生する様に制御され、駆動軸21を介してエンジン2のトルク変動の低減が行われる。
【0028】モータ3は、中空の駆動軸31を有し、その内部には、エンジンの駆動軸21が同一の中心軸を通って遊挿されている。そして、これらの駆動軸21,31は、同じ側の端部でクラッチ4を介して連結されている。このクラッチ4は、外部からの操作により、駆動軸21と駆動軸31とを断続する。
【0029】また、モータ3の駆動軸31は、クラッチ4の断続動作とは無関係に、無段変速機構5の入力軸と直結されている。この無段変速機構5は、いわゆるCVTであり、入力軸51と出力軸52とにプーリ53,54をそれぞれ装備しており、これらのプーリ53,54は、ベルト55によって連結され、同時に回転を行う。
【0030】符号56は、オイルポンプである。上述した各プーリ53,54は、このオイルポンプ56から供給されるオイルにより、個別に断面略V字状のベルト受け面の幅を変えることができる。このため、ベルト55は、各プーリ53,54上での回転半径を自在に変えることができ、これにより、各プール53,54に連動する入力軸51及び出力軸52の回転数比(変速比)を自在に調節できる。
【0031】無段変速機構5の出力軸52のトルクは、伝達機構6と第二のクラッチ7を介してハイブリッド車の二つの駆動輪11L,11Rに伝達される。この伝達機構6は、ダブルピニオン式遊星歯車機構61と、歯車列62と、作動装置63とを備えている。
【0032】ダブルピニオン式遊星歯車機構61は、出力軸52を軸とする太陽歯車611と、この太陽歯車611と同一の中心軸上にある内歯車612と、互いに噛み合い且つ一方が太陽歯車611とも噛み合い,他方が内歯車612とも噛み合うダブルピニオン613,614と、これらダブルピニオン613,614を公転自在に保持するアーム615とを有する構成となっている。
【0033】太陽歯車611は、前述の出力軸52に接続されているため、当該出力軸52と連動する。さらにこの出力軸52は、第二のクラッチ7を介して断続自在にアーム615と接続されている。このアーム615は、前述したダブルピニオン613,614を中心軸を挟んで対称にもう一対保持している。一方、内歯車612は、その外側から回転を規制する後進ブレーキ616が併設されている。
【0034】かかる構成により、第二のクラッチ7が接続され、後進ブレーキ616により内歯車612が回転を規制されてない状態において、太陽歯車611が回転すると、アーム615,内歯車612も一体となって同じ方向に回転する。このため、出力軸52の回転は、そのまま下流側の歯車列62に伝達される。
【0035】一方、第二のクラッチ7が切断され、後進ブレーキ616により内歯車612が回転を規制された状態において、太陽歯車611が回転すると、当該太陽歯車611と内歯車612との間で、ダブルピニオン613,614は、太陽歯車611と逆方向に公転する。このため、出力軸52の回転とは逆方向の回転が、下流側の歯車列62に伝達される。
【0036】歯車列62に伝達された回転は、当該歯車列62を構成する複数の歯車によって減速され、差動装置63に伝えられる。この差動装置63は、歯車列62から伝達されたトルクを各駆動輪11L,11Rに伝達しつつも、カーブの走行で生じる各駆動輪11L,11Rの回転数差を許容する。
【0037】また、図2に示す様に、ハイブリッド車用駆動装置10には、上述した各部(モータ3,第一のクラッチ4,無段変速機構5,第二のクラッチ7,後進ブレーキ616,エンジン出力調整機構96等)の動作制御を行う動作制御手段8を有している。この動作制御手段8は、モータ3に電力を供給し或いはモータ3の発電により充電を行うバッテリー91とモータ3との間で、通電状態を制御するモータ制御部81を備えている。なお、第一のクラッチ4及び第二のクラッチ7は、いずれも、動作制御手段8によりその断続が行われるが、外部操作(例えば、非常時には手動で)により断続を行うことができる。
【0038】なお、図2に示されているアクセルセンサ92は、ハイブリッド車の加速用のアクセルペダルの踏み込み量を検出するセンサである(具体的には、直動変位量を検出するセンサ)。また、ブレーキセンサ93は、ハイブリッド車の制動用のブレーキペダルの踏み込み量を検出するセンサである(アクセルセンサと同種のセンサ)。また、後進入力センサ94は、ハイブリッド車の操縦者が後進の操作を入力した場合にこれを検出するセンサ(具体的には、マイクロスイッチ等)である。また、駆動輪回転センサ95は、駆動輪11Lの回転軸に装備され、その回転数を検出するセンサである(具体的には、エンコーダ等)。さらに、エンジン出力調整機構96は、エンジンのスロットル回度を調整し、出力調整を行う機構である。
【0039】以下、上記動作制御部8に基づくハイブリッド車用駆動装置10の動作を説明する。
【0040】ハイブリッド車の発進の際には、まず、第一のクラッチ4を切断し、第二のクラッチ7を接続した状態で、モータ3の駆動が開始される。モータ3の回転は、無段変速機構5及び伝達機構6を介して各駆動輪11L,11Rに前進方向の回転として伝達される。このとき、無段変速機構5では、予め、入力軸51側のプーリ53の回転半径は小さく、出力軸52側のプーリ54の回転半径は大きく設定されている。
【0041】そして、駆動輪回転センサ95により、ハイブリッド車の速度が,予め設定された一定値に達した状態が検出されるまでモータ3の出力を高める。このとき、車速とアクセルセンサ92の出力に基づいて、モータ3の出力及び無段変速機構5の変速比が決定される。その後,第一のクラッチ4を半クラッチ状態で接続して、モータ3の駆動軸31のトルクによりエンジン2を始動させる。
【0042】エンジン2の出力をある程度まで高めた後に、第一のクラッチ4を完全に接続状態とする。一方、エンジン2の出力が十分に高くなった後には、モータ3への励磁電流の通電を切り、駆動を停止する。このとき、モータ3は通電が完全に断たれているので、エンジン2の負荷とはならず、また、モータ3が慣性マスの効果(例えば、フライホィールの様に作用する)を生ずる。このとき、エンジン出力調整手段96の制御も車速とアクセルセンサ92の出力に基づいて決定される。
【0043】ハイブリッド車の減速の際には、第一のクラッチ4を切断し、エンジン2をアイドリング又は停止状態とする。そして、モータ3に対して駆動の際とは逆の励磁電流を流し、これにより発電を行う。また、かかる状態によりモータ3に負荷トルクが生じ、エンジンブレーキに替えて回生ブレーキによりハイブリッド車は減速される。このとき、無段変速機構5は、各駆動輪11L,11Rに対して適度の制動力が生じるように、各軸間の変速比を調節する。
【0044】また、後進操作の入力が後進入力センサ94により検出された場合には、後進ブレーキ616による内歯車612の制動が行われ、第二のクラッチ7の切断が行われる。その他の動作は、前述の発進時と同様に行われる。これにより、各駆動輪11L,11Rには、後進方向のトルクが伝達され、ハイブリッド車は後進する。
【0045】また、突発的な急制動,駆動輪のロック等の発生により、無段変速機5の変速比が固定された場合でも、第二のクラッチ7を切断することにより無段変速機5の駆動輪11L,11Rによる固定状態が解除され、当該無段変速機構5を発進時の変速比に戻すことができる。
【0046】また、第一のクラッチ4を連結し、第二のクラッチ7を切断することにより、ハイブリッド車を停車させた状態でエンジン2によりモータ3を駆動し、充電を行うことができる。
【0047】なお、上述した動作制御手段8では、駆動輪11Lに駆動輪回転センサ95を装備して回転数に基づいてエンジン2,モータ3の出力の制御を行っていたが、駆動輪11Lにトルクセンサを装備し、トルクに基づく制御を行っても良い。
【0048】以上のように本実施形態では、エンジン2の駆動軸21とモータ3の駆動軸31との間に第一のクラッチ4を設けているため、第一のクラッチ4を切断しておくことによりハイブリッド車の発進時におけるエンジン2の負荷を受けずにモータを駆動させることができる。従って、モータ3の容量を過剰に大きくする必要がなくなった。
【0049】また、このハイブリッド車用駆動装置10では、車両の減速時に、第一のクラッチ4を切断しておくことにより、エンジンブレーキを駆動輪11L,11Rに作用させることなく、モータ3による回生ブレーキのみを作用させることができ、減速のブレーキ回生によるエネルギーの回収を効率良く行うことが可能となった。。
【0050】また、本実施形態では、第二のクラッチ7を無段変速機構5より駆動輪11L,11R側に設けたため、急制動や滑り易い路面上で駆動輪がロックして、無段変速機構5が戻り不良を起こし、固定されてしまっても、第二のクラッチ7を切断することにより、無段変速機構5の固定状態を容易に脱することができ、再発進を容易に行うことが可能となった。
【0051】さらに、第二のクラッチ7を切断し、第一のクラッチを接続した状態で、従来は困難だったハイブリッド車の停車時における充電が容易に行うことが可能となった。
【0052】
【発明の効果】本発明は、エンジンの駆動軸とモータの駆動軸との間に第一のクラッチを設けているため、第一のクラッチを切断しておくことにより、本願発明を適用したハイブリッド車の発進時におけるエンジンの負荷を受けずにモータを駆動させることができる。従って、モータの容量を過剰に大きくする必要がなくなった。このため、装置の軽量化及び小型化を図ることも可能となった。
【0053】また、このハイブリッド車用駆動装置により、車両の減速時に、第一のクラッチを切断しておくことにより、エンジンブレーキを駆動輪に作用させることなく、モータによる回生ブレーキのみを作用させることができ、減速のブレーキ回生によるエネルギーの回収を効率良く行うことが可能となった。従って、このハイブリッド車用駆動装置をハイブリッド車に装備することにより、充電不足による走行不良を有効に防止することが可能である。
【0054】また、本発明では、第二のクラッチを無段変速機構より駆動輪側に設けたため、急制動や滑り易い路面上で駆動輪がロックして、無段変速機構が戻り不良を起こし、固定されてしまっても、第二のクラッチを切断することにより、無段変速機構の固定状態を容易に脱することができる。従って、本発明を装備したハイブリッド車は、再発進を容易に行うことが可能である。
【0055】さらに、このハイブリッド車用駆動装置をハイブリッド車に装備することにより、第二のクラッチを切断し、第一のクラッチを接続した状態で、従来は困難だったハイブリッド車の停車時における充電が容易に行うことが可能となった。
【0056】本発明は以上のように構成され機能するので、これによると、従来にない優れたハイブリッド車用駆動装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
【出願日】 平成10年7月6日(1998.7.6)
【代理人】 【識別番号】100079164
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 勇
【公開番号】 特開2000−23313(P2000−23313A)
【公開日】 平成12年1月21日(2000.1.21)
【出願番号】 特願平10−205865