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【発明の名称】 パンタグラフ台枠及び車両用集電体装置
【発明者】 【氏名】柴田 勝彦

【氏名】平井 誠

【氏名】針山 隆史

【氏名】佐々木 裕一

【要約】 【課題】走行時の空力騒音を低減するとともに装置の小型化をも可能にするパンタグラフ台枠を備えた車両用集電体装置を提供する。

【解決手段】シングルアームパンタグラフ3と、該シングルアームパンタグラフ3の下端部を支持し車幅方向へ延びる厚肉部11からなびき側及び反なびき側へ肉厚を減じるとともに全体を流線形状にしたパンタグラフ台枠10と、一端が車体に固定され他端が前記パンタグラフ台枠10を支持する低騒音ポリマ碍子6とを具備し、前記パンタグラフ台枠10と前記低騒音ポリマ碍子6との間を滑らかに接続した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 パンタグラフの下部を支持し、該パンタグラフの昇降機構を格納するパンタグラフ台枠において、扁平部材に車幅方向へ延びる厚肉部を設け、該厚肉部から車両の両走行方向へ肉厚を減じるとともに、全体を流線形状にしたことを特徴とするパンタグラフ台枠。
【請求項2】 前記パンタグラフをシングルアームとし、平面視中央に走行方向に延びる凹溝部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のパンタグラフ台枠。
【請求項3】 前記凹溝部の前記シングルアームなびき側を上部が幅広の略台形状断面に形成したことを特徴とする請求項2に記載のパンタグラフ台枠。
【請求項4】 連続する曲面を形成して下面から突出させた脚部を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のパンタグラフ台枠。
【請求項5】 シングルアームパンタグラフと、該シングルアームパンタグラフの下端部を支持し車幅方向へ延びる厚肉部からなびき側及び反なびき側へ肉厚を減じるとともに全体を流線形状にしたパンタグラフ台枠と、一端が車体に固定され他端が前記パンタグラフ台枠を支持する低騒音ポリマ碍子とを具備し、前記パンタグラフ台枠と前記低騒音ポリマ碍子との間を滑らかに接続したことを特徴とする車両用集電体装置。
【請求項6】 走行方向に長い扁平断面形状を有し所定の間隔をもって配設された左右一対の前記低騒音ポリマ碍子が前記パンタグラフ台枠を支持することを特徴とする請求項5に記載の車両用集電体装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電車等の車両に適用されるパンタグラフ台枠及び車両用集電体装置に係り、特に、高速走行を行う車両の車外騒音を低減するのに用いて好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄道車両の高速化が促進されているが、これに伴い車外騒音の低減が望まれている。ところで、架線からの給電を受けて走行する鉄道車両などの車両においては、高速走行時における車外騒音の発生源の一つとして、パンタグラフなどで構成されている集電体装置から発せられる空力騒音がある。このような空力騒音を低減するため、従来の鉄道車両においては、たとえば図16に示すようなパンタカバーを取り付けた集電体装置01を採用したものがある。なお、図16において、符号の02は集電部(船体)、03はシングルアームパンタグラフ、04はパンタカバー、05は車体屋根である。
【0003】上述した従来の集電体装置は、進行方向側面から見てく字状又は逆く字状に折曲した状態で使用されるシングルアームパンタグラフ03が絶縁碍子及びパンタグラフ台枠を介して車体屋根05上に設置され、絶縁碍子及び台枠の周囲がパンタカバー04によって覆われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述したパンタカバー04を備えた従来の集電体装置01は、高速鉄道車両全体の低騒音化が進み、そして走行速度がさらに高速化されるのに伴い、パンタカバー04自体から発生する空力騒音が大きな問題になってきた。すなわち、従来は他の場所から発生する走行騒音が相対的に大きいものであったために、パンタカバー04から発生する騒音はそれほど目立つものではなかったが、他の騒音値が下がるにつれて、集電体装置01の低騒音化が車両全体の騒音レベルを下げるための重要な要因となってきた。また、パンタカバー04を備えた従来の集電体装置01は、装置全体が大型化するという問題を有している。しかも、パンタカバー04を設けることにより走行時の空気抵抗が大きくなるので、この空気抵抗が車体振動の原因となって乗り心地を悪化させ、高速走行の障害になるという問題もある。
【0005】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、走行時の空力騒音を低減するとともに装置の小型化をも可能にするパンタグラフ台枠及び車両用集電体装置の提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明においては以下の手段を採用している。請求項1に記載のパンタグラフ台枠は、パンタグラフの下部を支持し、該パンタグラフの昇降機構を格納するパンタグラフ台枠において、扁平部材に車幅方向へ延びる厚肉部を設け、該厚肉部から車両の両走行方向へ肉厚を減じるとともに、全体を流線形状にしたことを特徴としている。
【0007】このようなパンタグラフ台枠によれば、全体を流線形状としたことによって流れの乱れが少なくなるので、空力騒音は低減される。
【0008】請求項2に記載のパンタグラフ台枠は、前記パンタグラフをシングルアームとし、平面視中央に走行方向に延びる凹溝部を形成したことを特徴としている。
【0009】このようなパンタグラフ台枠によれば、凹溝部がシングルアームパンタグラフの格納部となる。そして、このパンタグラフ台枠では、走行方向の両端部が薄肉の流線形状となるので、凹溝部における流れの乱れが少なくなって空力騒音は低減される。
【0010】請求項3に記載のパンタグラフ台枠は、前記凹溝部の前記シングルアームなびき側を上部が幅広の略台形状断面に形成したことを特徴としている。
【0011】このようなパンタグラフ台枠によれば、凹溝部に入り込もうとする流れは台形状断面の斜面に導かれて凹溝部の外へかき上げられるので、シングルアームと干渉する流れが低減される。
【0012】請求項4に記載のパンタグラフ台枠は、下面から連続する曲面を形成して突出させた脚部を設けたことを特徴としている。
【0013】このようなパンタグラフ台枠によれば、低騒音ポリマ碍子と滑らかに接続できて流れに乱れが生じにくくなるので、空力騒音の低減が可能となる。
【0014】請求項5に記載の車両用集電体装置は、シングルアームパンタグラフと、該シングルアームパンタグラフの下端部を支持し車幅方向へ延びる厚肉部からなびき側及び反なびき側へ肉厚を減じるとともに全体を流線形状にしたパンタグラフ台枠と、一端が車体に固定され他端が前記パンタグラフ台枠を支持する低騒音ポリマ碍子とを具備し、前記パンタグラフ台枠と前記低騒音ポリマ碍子との間を滑らかに接続したことを特徴としている。
【0015】このような車両用集電体装置によれば、流線形状のパンタグラフ台枠では流れの乱れが少なくなって空力騒音が低減され、さらに低騒音ポリマ碍子でも空力騒音が低減されるのに加えて、接続部における流れの乱れも少ないので、これらの相互作用により車両用集電体装置全体としての空力騒音低減が可能になる。
【0016】請求項6に記載の車両用集電体装置は、走行方向に長い扁平断面形状を有し所定の間隔をもって配設された左右一対の前記低騒音ポリマ碍子が前記パンタグラフ台枠を支持することを特徴としている。
【0017】このような車両用集電体装置によれば、パンタグラフ台枠を強固で安定した状態に支持することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るパンタグラフ台枠及び車両用集電体装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は車両用集電体装置の全体構成を示す斜視図で、符号の1は集電体装置、2は集電部(船体)、3はシングルアームパンタグラフ、6は低騒音ポリマ碍子、10はパンタグラフ台枠(以下台枠と呼ぶ)である。
【0019】図1ないし図4に示した集電体装置1は、いわゆる新幹線のような高速走行を行う鉄道車両に使用するもので、低騒音ポリマ碍子6の下端面6aが車体屋根5上に固定設置され、集電部2を図示省略の架線と接触させて車両の動力電源を取り込むための装置である。この集電部2は、進行方向の側面視がく字状又は逆く字状に折曲された状態で使用されるシングルアームパンタグラフ3の上端部に取り付けられ、進行方向と直交する車幅方向に延びる部材である。なお、図中の符号3aはシングルアームパンタグラフ3がく字状に折曲される関節部を示しており、以下の説明では、シングルアームパンタグラフ3の関節部3aが存在する側へ向けた走行方向をなびき側と呼び、これとは逆向きの集電部2が存在する側へ向けた走行方向を反なびき側と呼ぶ。
【0020】一方、シングルアームパンタグラフ3の下端部は台枠10に支持されている。このようなシングルアームパンタグラフ3は、く字状の使用時(走行時)において集電部2を上向きに付勢することで集電部2と架線との良好な接触状態を維持する機能に加えて、く字状の使用状態及び降下させて折りたたんだ不使用状態の切換操作をする昇降機能を備えており、このための昇降機構は台枠10の内部に格納されている。この台枠10は、左右一対の低騒音ポリマ碍子6により支持されている。ここで使用する低騒音ポリマ碍子6は、特開平9−130907号公報に記載されている空力騒音の低減に有効な絶縁碍子に関する公知技術を使用したものであり、水平断面を走行方向に長い長円や楕円のような扁平形状として、外周面に凸状の襞6bを複数段設けた碍子である。
【0021】さて、上述した台枠10の形状及び構成の第1の実施形態を図5及び図6に基づいて詳細に説明する。図5は台枠10の外形形状を示す斜視図であり、その平面図を図6(a)に、正面図を図6(b)に、そして右側面図を図6(c)に示している。ここに示した台枠10は、全体を滑らかな流線形状に成形したもので、矢印Rで示す走行方向の中心位置よりいずれか一方(図5では右斜め上方)にずれた厚肉部11から車両の両走行方向へ向けて徐々に肉厚が減じられ、両端部にそれぞれなびき側薄肉部12及び反なびき側薄肉部13が形成されている。この場合の厚肉部11は、シングルアームパンタグラフ3を昇降可能に支持する昇降機構30の主軸31(図7及び図8参照)及びその支持部32を格納するための部分であり、走行方向の中心より反なびき側に位置し、走行方向と直行するように設けられている。また、図7及び図8において、符号の33は主ばね、34は下げシリンダ、35はダンパを示しており、いずれも主軸31とともに昇降機構30を構成する主要な部材である。なお、ここで示した昇降機構30は一般的なものであるので、その構成及び作動に関する詳細な説明は省略する。
【0022】ところで、空力騒音を低減するためには台枠10をできる限り薄い形状とするのが好ましいのであるが、台枠10の形状を決める際には、シングルアームパンタグラフ3の昇降機構30を格納するために必要なスペースを確保することも考慮しなければならず、結果的には昇降機構30の主軸31を配設する位置が最も厚肉となる。このため、昇降機構30の格納スペースを確保できる最小の厚肉部11を定め、この厚肉部11から両走行方向のなびき側薄肉部12及び反なびき側薄肉部13へ滑らかに連続する流線形を形成している。この結果、なびき側薄肉部12が反なびき側薄肉部13より全体的に薄肉となっている。また、走行方向と直行する車幅方向についても、段差のない滑らかな曲線を形成するような形状にしてある。
【0023】さらに、台枠10の平面視中央には、走行方向に延びる凹溝部14が上面に形成されている。この凹溝部14は、不使用時に降ろしたシングルアームパンタグラフ3を格納する略矩形断面のスペースであり、底面14aの角部を除いて、この凹溝部14も台枠10の全体形状を形成する走行方向の流線形及び車幅方向の曲面から段差なく続く滑らかな曲線で形成されている。
【0024】また、台枠10の下面には、低騒音ポリマ碍子6と滑らかに連続するよう接続される左右一対の脚部15,15が突設されている。この脚部15は、車幅方向に滑らかに膨出させた平面視中央の幅広部分に位置し、低騒音ポリマ碍子6の断面形状に一致させて走行方向に長い長円や楕円などの扁平形状とする。これにより、脚部15の下端面と低騒音ポリマ碍子6の上端面とがきっちりと一致するようになり、接続部に段差が生じないようにしてある。なお、脚部15が台枠10の下端面から突出する部分は、いずれも台枠10から滑らかに連続する曲面を形成している。
【0025】図9及び図10は、上述した台枠10の変形例を示したもので、凹溝14の断面形状が一部異なっている。この場合、厚肉部11から遠いなびき側薄肉部12の凹溝部14が異なる断面形状を有しており、その断面形状は、上面側を広くするよう斜めに切り欠いた略台形状にしてある。したがって、このような断面形状を有する凹溝部14を以後凹溝幅広型台枠10Aと呼び、上述した(矩形凹溝型)台枠10と区別する。換言すれば、凹溝幅広型台枠10Aには、昇降機構30の主軸31が存在する位置から走行方向に遠いなびき側薄肉部12側に、断面形状を略台形状とした幅広凹溝部14Bを形成してある。なお、このように主軸31から遠くシングルアームパンタグラフ3の関節部3aが存在する側へ向けた走行方向をなびき側と呼び、これとは逆向きの集電部2が存在する側へ向けた走行方向を反なびき側と呼ぶ。
【0026】かくして、矩形凹溝型台枠10及び凹溝幅広型台枠10Aはともに、走行方向の左右が対称の形状をしており、このような台枠10(又は10A)を使用した集電体装置1もまた左右対称に構成されている。このような集電体装置1を装備した車両は、通常方向転換することなく両走行方向に向けて往復走行するので、複数の車両を連結してなる1編成においては、シングルアームパンタグラフ3の向きが異なるもの、すなわちく字状及び逆く字状をバランスよく組み合わせている。したがって、複数の集電体装置1を備えた1編成の電車には、なびき側及び反なびき側に向けて走行するシングルアームパンタグラフ3が存在し、それぞれのシングルアームパンタグラフ3は、往路と復路とではなびき側・反なびき側が逆になって走行する。
【0027】さて、上述した矩形凹溝型台枠10及び凹溝幅広型台枠10Aを使用した集電体装置の空力騒音低減効果を確認するため、風洞試験を実施して従来構造のものと比較した。この比較試験では、図16に示すパンタカバー04を設けた従来型(ケース1)と、図13及び図14に示した従来台枠20に低騒音ポリマ碍子6を組み合わせた従来型台枠(ケース2)と、図2ないし図6に示した矩形凹溝型台枠(ケース3)と、図9及び図10に示した凹溝幅広型台枠(ケース4)との四つのケースを実施した。すなわち、パンタカバー04が存在するケース1以外の3つのケース(ケース2〜4)については、台枠形状以外の部分は全く同じ条件にしてある。
【0028】ここで、図13及び図14に示した従来型台枠20について簡単に説明しておく。この従来型台枠20は、走行方向に延びる凹溝部21を備えて走行方向及び車幅方向に左右対称な形状になっており、側面視は中央部を厚くした略台形状で全体的に肉厚である。この従来型台枠20は、パンタカバー04を備えた従来型集電体装置01で使用していたものであり、図13及び図14に想像線で示すように、従来型台枠20の上端面がパンタカバー04内に完全に収まるようになっている。したがって、従来型台枠20は、空力騒音に対して特別な配慮をした形状のものではなく、昇降機構30を格納するスペースの確保に重点をおいて厚みを含めた全体の形状が決められたものである。
【0029】図15は、従来型台枠20のなびき時及び反なびき時における流れを示したもので、(a)のなびき時にはシングルアームパンタグラフ3に沿って流れが凹溝部21に入り込み、凹溝部21内のアームと干渉を起こす。このため、(b)の反なびき時に比べてなびき時の騒音が大きくなることがわかったので、台枠10が薄いほど流れの干渉が小さくなり、結果的に空力騒音が低くなるという推測がなりたつ。ここで、なびき時とはシングルアームパンタグラフ3の関節部3a側へ向けて走行する場合のことであり、走行風はシングルアームパンタグラフ3の鋭角側から流れてくる。また、反なびき時とはなびき時と逆向きの場合であり、集電部2が取り付けられている方向に向けて走行することにより、走行風はシングルアームパンタグラフ3の鈍角側から流れてくる。
【0030】このような背景から考えられたのが上述した矩形凹溝型台枠10及び凹溝幅広型台枠10Aであり、昇降機構30を格納するという制約から主軸31が存在する部分に厚肉部11を設けるとともに、該厚肉部11から全体を滑らかな流線形にしてなびき側薄肉部12及び反なびき側薄肉部13を形成している。また、なびき側に幅広凹溝部14Bを設けることにより、凹溝部14に入り込もうとする流れ(走行風)が凹溝部14の外へかき上げられて干渉音が低減されると考えられる。
【0031】図11及び図12は、上述した4つのケースについてそれぞれ模型を使用した風洞実験の結果を示したもので、図11がなびき時、図12が反なびき時の場合である。この実験結果を見ると、矩形凹溝型台枠10及び凹溝幅広型台枠10Aは、なびき時及び反なびき時ともに、パンタカバー04を備えた従来型の装置と比較した場合だけでなく、従来型台枠20を用いたケース2と比較した場合にも略全ての周波数域で低騒音になっているのがわかる。これは、台枠形状を薄型の流線形にしたことに加えて、低騒音ポリマ碍子6との接続部も滑らかに一体化したためであり、台枠10,10A及び低騒音ポリマ碍子6そのものから出る騒音が低減されたことが原因と思われる。また、従来型台枠20と比較しても騒音値が低下していることは、台枠10,10A及び滑らかな一体化に原因があると考えられる。
【0032】そして、矩形凹溝型台枠10及び凹溝幅広型台枠10Aでは、特に従来型台枠20のなびき時において、400Hz前後の周波数領域に存在していた騒音レベルのピーク値がなくなっている。このピーク値は、シングルアームパンタグラフ3により凹溝部14内の流れが乱されることに原因があると考えられ、気流糸による実験でも、従来型台枠20のなびき時には、このようなピーク値が存在しない反なびき時と比較して、流れの乱れが大きいことが確認されている。矩形凹溝型台枠10及び凹溝幅広型台枠10Aを使用した同様の実験では、なびき時でも流れの乱れが少ないことが確認されており、台枠形状の変更によりなびき時のピーク値が解消されたことを裏付けている。
【0033】また、矩形凹溝型台枠10と凹溝幅広型台枠10Aとを比較した場合、なびき時の略300Hz〜4000Hzの周波数領域では、略1000Hz周辺の周波数領域を除いて、凹溝幅広型台枠10Aが矩形凹溝型台枠10より低騒音になっているのがわかる。これは、なびき側に設けた幅広凹溝部14Bに原因があると考えられ、凹溝部14に入り込もうとする流れ(走行風)が斜面に導かれて凹溝部14の外側へかき上げられ、結果的に凹溝部14を通過する流れの絶対量が減少してシングルアームパンタグラフ3との干渉音が低減されたことを裏付けている。
【0034】上述した車両用集電体装置1では、パンタグラフ台枠10,10Aを左右一対の低騒音ポリマ碍子6で支持しているので、車体屋根5とともに矩形断面の固定支持構造となっている。このため、高速走行時においても高い剛性が得られ、シングルアームパンタグラフ3を安定した状態で支持することができる。
【0035】
【発明の効果】上述した本発明のパンタグラフ台枠及び車両用集電体装置によれば、次のような効果を奏する。
(1)シングルアームパンタグラフ、矩形凹溝型台枠又は凹溝幅広型台枠及び低騒音ポリマ碍子を組み合わせた本発明の車両用集電体装置によれば、従来のパンタカバーを備えたものと比較して、大幅な騒音低減が可能になる。風洞実験の結果では、なびき時及び反なびき時ともに、ほとんどの周波数領域で3dB以上の騒音低減が達成されている。このことは、時速300Kmの高速運転を行っても時速275Km運転時と同等以下の騒音レベルにあることを意味している。
(2)従来型の台枠を使用してパンタカバーを取り除いたもの(ケース2)と比較しても、明らかな騒音値の低下が認められる。したがって、本発明による台枠そのものにも騒音低減効果がある。特に、なびき時における400Hz前後の周波数領域でピーク値の存在が解消されており、これによる騒音値の低下は極めて顕著である。
(3)パンタカバーを除去して空力騒音を低減できたので、車両用集電体装置の小型化が可能になる。このため、高速走行時の空気抵抗が低減されて車体振動も抑制されるので、より高速での走行を可能にし、かつ乗り心地の向上にも効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
【出願日】 平成10年6月30日(1998.6.30)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外2名)
【公開番号】 特開2000−23302(P2000−23302A)
【公開日】 平成12年1月21日(2000.1.21)
【出願番号】 特願平10−185075