| 【発明の名称】 |
インクジェット記録方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】大津 和彦
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| 【要約】 |
【課題】ライン、文字の太りや画像色滲み等の画質劣化を極力抑え、定着性に優れ、かつインクのコスト低下を図る。
【解決手段】インクジェットヘッドから1回の動作で吐出する最大インク液滴量をV(ml)、そのインク液滴が記録媒体に着弾したときのドットの平均等価円直径をD(m)、インクの記録媒体への吸収係数をKa(ml/m2・ms1/2)としたとき、インク液滴が記録媒体に全部吸収するまでの時間T(ms)は、T=(4V/πD2Ka)2となり、記録媒体上にインク液滴が着弾してからその同一位置に次のインク液滴が着弾するまでの時間をTx(ms)としたとき、T≦Tx、すなわち、(4V/πD2Ka)2≦TxとなるようにT、V、D、Kaの条件を設定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体上にカラー画像の記録を行う場合に、前記記録ヘッドから1回の動作で吐出する最大インク液滴量をV(ml)、そのインク液滴が前記記録媒体に着弾したときのドットの平均等価円直径をD(m)、インクの前記記録媒体への吸収係数をKa(ml/m2・ms1/2)としたとき、インク液滴が前記記録媒体に全部吸収するまでの時間T(ms)は、T=(4V/πD2Ka)2但し、Kaは、ブリストー法で求められるインク吸収係数である。となるので、前記記録媒体上にインク液滴が着弾してからその同一位置に次のインク液滴が着弾するまでの時間をTx(ms)としたとき、T≦TxとなるようにT、V、D、Kaの条件を設定してカラー画像記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。 【請求項2】 インクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体上にカラー画像の記録を行う場合に、前記記録ヘッドから1回の動作で吐出する最大インク液滴量をV(ml)、そのインク液滴が前記記録媒体に着弾したときのドットの平均等価円直径をD(m)、インクの前記記録媒体への吸収係数をKa(ml/m2・ms1/2)としたとき、インク液滴が前記記録媒体に全部吸収するまでの時間T(ms)は、T=(4V/πD2Ka)2但し、Kaは、ブリストー法で求められるインク吸収係数である。となるので、前記記録媒体上にインク液滴が着弾してからその隣接する位置に次のインク液滴が着弾するまでの時間をTx(ms)としたとき、T≦TxとなるようにT、V、D、Kaの条件を設定してカラー画像記録を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。 【請求項3】 吸収係数Kaが、0.5〜2.5(ml/m2・ms1/2)の範囲内になるようにインクと記録媒体を組合わせたことを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体上にカラー画像の記録を行う場合のインクジェット記録方法に関する。 【0002】 【従来の技術】インクジェット記録方式としては、圧電素子や電気熱変換素子等の吐出エネルギー発生体を吐出駆動源として、インク室内のインクをオリィフィスプレートに設けられたインク吐出孔から吐出させて記録用紙やフィルムなどの記録媒体に付着、吸収、定着させて画像記録を行うようになっている。このような記録方式に使用するインクは、通常は、インク吐出孔にあるインクが蒸発乾燥して目詰まりを起こさないように不揮発性でかつ吸湿性の大きな溶剤、すなわち、不揮発性の湿潤剤を添加して乾きにくい状態にしている。しかし、このような湿潤剤を添加したインクは目詰まり防止の効果がある反面、吐出後の記録媒体上での速乾性に劣るという問題があった。 【0003】ところで、インクジェット記録方式において、フルカラーの画像記録を行うには、インクの媒体への付着、吸収、定着を良好にし、かつ高画質の画像を得るために、表面にSiO2・CaO等や有機填料等のピグメントを親水性のバインダー内に分散させたものを母材となる原紙上に塗布し、コート層とした専用の記録用紙を用いることが多い。しかし、このような専用の記録用紙は高価であり使用するには限界がある。 【0004】そこで、一般に広く使用されている普通紙や上質紙等を記録用紙として使用することが行われているが、このような記録用紙はインク吸収性が良くないためフルカラーの画像記録を行った場合、次の問題が生じる。 【0005】すなわち、インクとして文字やライン画像の画質が比較的良好な乾燥の遅いタイプのインクを使用してフルカラー記録を行うと、記録媒体上に記録されたインク液滴が充分に乾燥定着していない状態のままで紙面上及び紙中に存在するとき、すぐに乾燥せずにインク液滴の色素(染料や顔料などの着色剤)が流動拡散してしまい、隣合って又は重なりあって印字されたインク液滴が互いに混ざり合って、色の異なる隣合ったインク液滴間でブリードと呼ばれる色にじみが発生し不本意に混色が生じて画質が劣化してしまうという問題が生じる。 【0006】また、記録媒体としてインク吸収性の良くない普通紙や上質紙等を用い、かつインクとして比較的乾燥、浸透の速いインクを使用した場合には、フルカラー画像での色間の滲みは抑えることが可能ではあるが、インク液滴が記録媒体中に直ぐに深く浸透してしまい用紙表面に色材が残らないために、インク液滴の印字領域は低濃度になって色再現性の範囲が狭く、しかも、インクが記録媒体の表面方向へ広がって乾燥するため文字、ラインは太り気味で、かつフェザリングによる画質劣化が大きいという問題が生じる。 【0007】このような問題を解決できるものとして、例えば、特開平7−47762号公報に記載されたインクジェット記録方法が知られている。この記録方法は、水溶性染料を溶解してなる水性インクを用い、互いに異なるインクドロップを噴射する複数の記録ヘッドを持つインクジェット記録装置で、ブラックインクの記録媒体への吸収係数Ka(ブリストー法で求められるインク吸収係数)が0.5(ml/m2・ms1/2)以下、濡れ時間Twが50から200(ms)であり、カラーインク、通常はイエロー、マゼンタ、シアンの各インクの記録媒体への吸収係数Kaが1.0(ml/m2・ms1/2)以上、濡れ時間Twが20(ms)以下であるインクの組合わせを用いて記録を行うというものである。 【0008】すなわち、吸収係数Kaが0.5(ml/m2・ms1/2)以下、濡れ時間Twが50から200(ms)であるインクによる印字を行い、その後、インクの吸収特性とインク液滴量、さらに単位面積当たりの液滴数により求まる最小遅延時間Td経過後に吸収係数Kaが1.0(ml/m2・ms1/2)以上、濡れ時間Twが20(ms)以下のインクによる印字を行うことでインク吸収の遅い記録媒体である普通紙でのシャープな文字、ライン画像と色にじみ抑制の両立を果たすことができるというものである。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】しかし、この公報のように、インクの記録媒体への浸透性を測定するブリストー法の結果から導かれる吸収係数Kaや濡れ時間Tw、粗さ指数、また、プリンタの設計仕様、印字パターン画像等を単に見ただけでは最適な印字条件を判断することは難しく、インクと記録媒体の適合性や適合条件を判断するのに、ブリストー法等による記録媒体への浸透性を評価したり、評価試験機による印字を評価し、試作機による印字試験を全ての組合わせで試験、評価しなければならず、時間と労力を多く費やしてしまい効率が悪かった。 【0010】また、プリンタの印字速度を高速にした場合などは吸収係数Kaが小さいと定着不良になり易く、カラー画像記録において、例えば、イエロー、マゼンタ、シアンの順に色重ねするような場合に、先に打ち込まれたイエローのインク液滴が記録媒体へ浸透している途中でその上に次のマゼンタのインク液滴が覆い被さって色滲み(ブリーディング)が発生したり、先のインクの定着前に次のインク液滴が打ち込まれる等の問題があった。また、吸収係数Kaが大きすぎると一般的ににじみ、特に、単色の滲みであるフェザリングが大きくなり過ぎるなどの問題があった。 【0011】また、先に打ち込まれたイエローのインク液滴が記録媒体へ浸透している途中で隣接するドット位置に次のマゼンタのインク液滴が打ち込まれると、イエローのインク液滴とマゼンタのインク液滴が接触して色滲み(ブリーディング)が発生したり、ドット画像が大きくなり高解像度化に支障を来すという問題があった。 【0012】さらに、1台のプリンタに対して、物性の異なる2種類以上のインクを用意しなければならず、溶媒の調合が面倒でかつインクのコストが高くなるという問題もあった。さらにまた、インクの物性を変えたことによるヘッドへの適合性も変えざるを得なくなり、物性の異なるインクをヘッドから吐出させるためにそれぞれ吐出駆動条件変えたり、最悪ヘッドの構造をも変える必要がでてくるなどの問題もあった。 【0013】そこで、各請求項記載の発明は、ライン、文字の太りや画像色滲み等の画質劣化を極力抑え、定着性に優れ、かつインクのコスト低下を図ることができ、しかも、ドット径、インク液滴量、印字速度等の最適条件及びインクが記録媒体へ浸透するときの浸透性の結果からそれぞれの適合条件を効率良く導き出すことができるインクジェット記録方法を提供する。 【0014】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、インクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体上にカラー画像の記録を行う場合に、記録ヘッドから1回の動作で吐出する最大インク液滴量をV(ml)、そのインク液滴が記録媒体に着弾したときのドットの平均等価円直径をD(m)、インクの記録媒体への吸収係数をKa(ml/m2・ms1/2)としたとき、インク液滴が記録媒体に全部吸収するまでの時間T(ms)は、T=(4V/πD2Ka)2但し、Kaは、ブリストー法で求められるインク吸収係数である。 【0015】となるので、記録媒体上にインク液滴が着弾してからその同一位置に次のインク液滴が着弾するまでの時間をTx(ms)としたとき、T≦TxとなるようにT、V、D、Kaの条件を設定してカラー画像記録を行うことにある。 【0016】請求項2記載の発明は、インクジェット記録ヘッドを用いて記録媒体上にカラー画像の記録を行う場合に、記録ヘッドから1回の動作で吐出する最大インク液滴量をV(ml)、そのインク液滴が記録媒体に着弾したときのドットの平均等価円直径をD(m)、インクの記録媒体への吸収係数をKa(ml/m2・ms1/2)としたとき、インク液滴が記録媒体に全部吸収するまでの時間T(ms)は、T=(4V/πD2Ka)2但し、Kaは、ブリストー法で求められるインク吸収係数である。 【0017】となるので、記録媒体上にインク液滴が着弾してからその隣接する位置に次のインク液滴が着弾するまでの時間をTx(ms)としたとき、T≦TxとなるようにT、V、D、Kaの条件を設定してカラー画像記録を行うことにある。 【0018】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のインクジェット記録方法において、吸収係数Kaが、0.5〜2.5(ml/m2・ms1/2)の範囲内になるようにインクと記録媒体を組合わせたことにある。 【0019】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1はインクジェットプリンタの一部切欠した斜視図で、ケース1内にプラテン2をプラテン駆動モータ3によりギャ機構4を介して回転可能に収納し、このプラテン2に沿って2本のガイド軸5a,5bを平行に配置している。 【0020】前記ガイド軸5a,5bにベース6を摺動自在に配置し、このベース6にベルト7を取付け、このベルト7をプーリ8とドライブプーリ9との間に掛け渡している。そして、前記ドライブプーリ9を駆動モータ10により回転駆動するようになっている。従って、前記駆動モータ10の回転よりドライブプーリ9が回転し、これにより、ベルト7が各プーリ8,9間を回転し、前記ベース6が前記プラテン2に沿って左右に移動できるようになっている。 【0021】前記ベース6の上にはインクジェットヘッド11がフック12により固定されて載置され、このヘッド11の背面側にはインクタンク13が配置され、このインクタンク13から前記ヘッド11にインクを補給するようになっている。 【0022】前記プラテン2には記録媒体である印字用紙14が巻装されている。この印字用紙14は後方から前記ケース内に挿入され、前記プラテン2に巻装された後、その先端が手前側からケース外に排出されるようになっている。15はヘッド駆動部に印字データや信号を送信するためのケーブルである。 【0023】このプリンタは、プラテン2に記録用紙14が巻装された状態で、駆動モータ10が回転し、ヘッド駆動部が印字データに基づいてヘッド11を駆動することでヘッド11がプラテン2に沿って左右に移動するとともにそのヘッド11から記録用紙14にインク滴が吐出して印字を行うようになっている。 【0024】このインクジェットプリンタにおいて、インクジェット用に市販されているコート紙(専用紙)やPPC等の普通紙に対して印字した場合に、色にじみの少ない画像とシャープな文字やラインの画像の両方を満足する画像が得られるか否かを石油系の溶媒に顔料を分散した油性顔料インクを使用して実験し確認した。すなわち、この実験は、インクと記録媒体とのブリストー法による浸透性を試験し、それから得られた結果と画像上でのにじみ具合との相関から高速印字時においてもにじみの少ない画像とシャープな文字、ライン画像のいずれをもできるだけ良好に記録できるという条件を導き出すための実験である。 【0025】先ず、石油系の溶剤に顔料を分散させた油性顔料インクとランダムに選択した20種類の市販されているコート紙やPCC等の普通紙を用意する。なお、ここではブリストー法で試験した場合において濡れ時間が無視できるほど小さい油性インクを使用するが、濡れ時間が無視できるほど小さければ特に油性インクに限るものではなく水性インクであってもよい。 【0026】次にインクと用意した20種類の記録媒体を用い、ブリストー法によるインクの紙への浸透性を試験し吸収係数Kaを導く。なお、吸収係数Kaとは、紙パルプ技術協会の規格であるJ.TAPPI紙パルプ試験法NO.51−87、紙及び板紙の液体吸収性試験方法、すなわち、ブリストー法に従って測定される数値である。 【0027】測定は、図2に示すように、ヘッドボックス21に決められた一定量のインク22を入れ、このインク22を回転可能なドラム23の周囲に貼付けられた紙24に転移させ、このときの転移量を求めて行う。ドラム23の回転速度を変えることで接触時間0.004〜2.0秒間のインク22の紙24への転移量が測定できる。 【0028】前記ヘッドボックス21の構造は、図3の(a)に正面図、図3の(b)に側面図及び図3の(c)に底面図を示すように、規格サイズのもので、紙24に接触する底部に開けられたスリットの幅aが1.0(mm)、長さbが15.0(mm)、底部全体の幅cが17.8(mm)、底部全体の幅dが3.2(mm)である。 【0029】油性系インクと水性系インクの接触時間と転移量の関係を図4に示す。なお、横軸の接触時間のスケールは時間の平方根になっている。このグラフの傾きが吸収係数Kaとなり、接触時間0(ms)の時のインク転移量を粗さ指数Vrと呼び、紙表面の凹凸に入るインクの量を表わしている。また、接触初期にはインクの吸収が起こらない時間Twがあり、この時間をインクの濡れ時間Twと呼んでいる。すなわち、紙24がインク22によって濡れるのに要する時間である。 【0030】グラフに示すように、一般的には油性系のインクは濡れ時間がなく、水性系のインクは濡れ時間がある。このグラフは、V=Vr+Ka(T−Tw)1/2で表わされる。ここで、V;転移量、Vr;粗さ指数、Ka;吸収係数、T;吸収時間、Tw;濡れ時間である。 【0031】インク吸収係数Kaは、紙表面の状態、インクの物性、それにインクと紙の濡れ性によって決定され、Kaが大きいほど浸透速度が速く、小さいほど浸透速度が遅いと判断される。よって、吸収速度を判断するときには吸収係数Kaのみを対象とする。 【0032】次に、試験を行った20種類の記録媒体を用いて滲みの試験を行った。滲みを調べるためのドット画像を図1のインクジェットプリンタで印字し、そのドット画像を画像評価装置であるドットアナライザー(王子計測機器社製)で測定し、円形度係数を求める。測定は、24個のドットを測定し、その平均を採った。この円形度係数を滲みの度合いを判定する数値とする。 【0033】円形度係数とは、ドットの面積と周囲長の値から導かれる数値であり、円形度係数=4π×ドット面積/(ドットの周囲長)2 のことを表わし、1に近いほど真円性が高いことを意味する。すなわち、1よりも小さくなるほど真円性に欠け、滲みによる円の変形度合いが大きいと判断する。円形度係数が0.7以上では滲みが極めて少なく、0.5以上でも滲みが少ないと判断できるので、円形度係数0.5を判断の最低レベルとする。ここで言う滲みは単色滲み、いわゆる、フェザリングのことを意味する。試験した20種類の記録媒体の吸収係数Kaと円形度係数の関係を表で示すと表1に示すようになり、また、グラフで示すと図5に示すようになる。 【0034】 【表1】
【0035】図5のグラフから、滲みの良否判断の基準である円形度係数0.5は吸収係数2.5を境になっていることが分かる。すなわち、インクの吸収係数が2.5以上ではフェザリングが多くなる。 【0036】次に、上述した記録媒体とは一部異なる20種類の記録媒体を用いて定着性の試験を行った。定着性は、図1のインクジェットプリンタで黒ベタ画像を印字してテストパターンを作成する。そして、濃度計にてそのテストパターン画像のベタ画像がない記録媒体表面の濃度を3ヶ所測定し、次にインク塗布画像部分を学振型染色物摩擦堅牢度試験機(DAIEI KAGAKU SEIKI MFG.CO.LTD)、新型NR-100で往復5回摺擦する。このとき、インク塗布画像を摺擦した摺擦材は必ずインクが塗布されていない記録媒体表面も同時に摺擦するようにする。摺擦試験条件は、移動速度を12(cm/sec)とし、重り荷重を500(g)とし、摺擦材としてはPPC Pad(東芝製)を使用している。 【0037】摺擦後において、摺擦材が摺擦した記録媒体表面濃度、すなわち、インク塗布画像表面から擦り取られたインクが付着して汚された媒体表面の濃度を3ヶ所測定する。 【0038】このように、ここでは黒ベタ画像上のインクが摺擦されたことで印字していない白地部をどれだけ汚したかを定着性とし、汚れ率を、汚れ率={(摺擦後記録媒体表面濃度−摺擦前記録媒体表面濃度)/摺擦前記録媒体表面濃度}×100によって求める。この汚れ率が大きいほど定着性が悪いことを表わしている。なお、ここでは定着性を摺擦前後の濃度から求めたが、色彩式差計による摺擦前後の式差ΔEから求めても良い。 【0039】試験した20種類の記録媒体における吸収係数Kaと定着性の関係を表で示すと表2に示すようになり、また、グラフで示すと図6に示すようになる。 【0040】 【表2】
【0041】図6のグラフから、吸収係数が0.5以下で定着性が大きく変化していることが分かる。すなわち、吸収係数が0.5以下ではインクの記録媒体への浸透が遅くなり、さらに浸透しても定着が悪いことが分かった。従って、単色画像を印字する場合、最適な吸収係数Kaは、0.5〜2.5(ml/m2・ms1/2)の範囲内ということになる。 【0042】通常、吸収係数というのは、ある時点での単位時間、単位面積当たりのインク浸透量を表わしており、吸収係数Kaは、Ka=4V/πD2T1/2を意味する。この式を変形すると、T=(4V/πD2Ka)2となる。 【0043】この場合、インクジェットヘッドから1回の動作で吐出する最大インク液滴量をV(ml)、そのインク液滴が記録媒体に着弾してできたドットの平均等価円直径をD(m)、そのインク液滴が記録媒体へ全て浸透するまでの時間をT(ms)とする。 【0044】ここで、先に打ち込まれるインクと次に打ち込まれるインクが記録媒体に付着する時間差をTx(ms)とすると、ヘッドから吐出したインク液滴が記録媒体に着弾しそのインク液滴が完全に記録媒体中に浸透した後、同じ場所に次のインク液滴が着弾され浸透するという現象が繰返された方が印字品質、特に滲み(フェザリング)やドット画像の広がり(直径が大きくなる)の抑制ができ解像度もアップすることが分かっているので、T≦Txが必須の条件となる。 【0045】例えば、図7にインク浸透モデルを示す。ここでは、右方向を時間軸とし、縦方向をインク液滴移動方向とし、I1を先に記録媒体RMに着弾するインク液滴とし、I2を次に記録媒体RMに着弾するインク液滴としている。インク液滴量をV、着弾後のドット画像の等価円直径をD、前に吐出したインク液滴I1が記録媒体RMに着弾してから後に吐出したインク液滴I2が記録媒体RMに着弾するまでの時間をTx、インク液滴が記録媒体RMに着弾してからそのインク液滴が完全に記録媒体RM中に浸透するまでの時間をTとすると、T=Txとなるのが無駄なく最適条件となり得ることになる。つまり、I1が完全に浸透する前にI2が着弾してしまうと記録媒体RM上でインクが広がりながら浸透してしまうので、滲み(フェザリング)が多くなり、また、ドット径も本来の径よりも大きくなってしまい、高解像度化の障害になってしまう。 【0046】例えば、石油系の溶媒に顔料を分散させた油性顔料インクを使用し、記録媒体として前述した表1に記載したものから適当な吸収係数Kaが得られた8種類を選定し、Tx=40(ms)、V=45(pl)という一定条件で実験を行った結果、表3に示す結果が得られた。この表3では、使用した各記録媒体に対する、吸収係数Ka、単色印字時の円形度係数、単色印字時のドット径(等価円直径)D、インク液滴が記録媒体へ全て浸透するまでの時間T=(4V/πD2Ka)2(ms)、インクの記録媒体への色滲みの判定結果をそれぞれ表わしている。なお、色滲みの判定は、滲みが多い場合を×、滲みが少ない場合を○、その中間を△として表わしている。 【0047】 【表3】
【0048】吸収係数Ka、円形度係数、ドット径Dの関係は、インクと記録媒体の組合わせにより、浸透の大小、浸透の深さの大小、記録媒体の表面方向への広がりの大小などにおいて様々な態様があり、決まった法則がなく判定が非常に困難である。しかし、時間TとTxとの関係をT≦Txとした場合に色滲みが少なくなるということが実験の結果から得られた。 【0049】このように、インクジェットヘッド11から1回の動作で吐出する最大インク液滴量をV(ml)、そのインク液滴が記録媒体に着弾したときのドットの平均等価円直径をD(m)、インクの記録媒体への吸収係数をKa(ml/m2・ms1/2)としたとき、インク液滴が記録媒体に全部吸収するまでの時間T(ms)は、T=(4V/πD2Ka)2となり、記録媒体上にインク液滴が着弾してからその同一位置に次のインク液滴が着弾するまでの時間をTx(ms)としたとき、T≦Tx、すなわち、(4V/πD2Ka)2≦TxとなるようにT、V、D、Kaの条件を設定することで、ライン、文字の太りや画像色滲みによる画質劣化を極力抑えることができ、また、定着性も良好にできる。さらに、吸収係数Kaを、0.5〜2.5(ml/m2・ms1/2)の範囲内に設定することで、画像色滲みによる画質劣化をさらに抑えることができるとともに定着性をさらに良好にでき、画質劣化をさらに抑えることができる。 【0050】また、印字する場合の解像度(ドット径)、インク液滴量、印字速度等の最適条件及びインクが記録媒体へ浸透するときの浸透性の結果からそれぞれの適合条件を導く手法ができ、それらを導くのに費やす時間や労力等を少なくできる。すなわち、これらの条件を効率良く導き出すことができる。 【0051】次に隣り合ったドット位置に異なった色のインク液滴が打ち込まれる場合について述べる。インクジェット記録画像は、通常図8に示すように、あるドットd0とそれに隣り合うドットd1〜d5の画像が隙間が生じないようにするために少なからず重なり合うように設定されている。このような構成で印字記録する場合、先に打ち込まれるインク液滴と次に打ち込まれる隣接したインク液滴との関係も前述した重ね印字の場合と同様に着弾タイミングを決める必要がある。 【0052】例えば、図9に示すように、先にイエローインクによりTYのタイミングでドットY1,Y2,Y3を印字し、次にマゼンタインクによりTMのタイミングでドットM1,M2,M3を印字したとする。なお、縦軸方向は印字タイミングを示す時間軸になっている。 【0053】ここでは、マゼンタのドットM1,M2,M3はイエローのドットY1,Y2,Y3に対し、ドットM1がドットY1の左隣りに印字され、ドットM2がドットY1とY2との間に印字され、ドットM3がドットY2に重なって印字される状態を示している。このときドットY2が完全に浸透する前に次のドットM2が着弾すると色滲み(ブリーディング)という現象が発生する。 【0054】すなわち、図10にイエローのインク液滴が着弾した後の次のタイミングで隣接した位置にマゼンタのインク液滴が着弾したときに色滲みが生じる場合のインク浸透モデルを示す。図10の(a)はイエローYのインク液滴I3が記録媒体RMに着弾した状態を示し、図10の(b)はマゼンタMのインク液滴I4が記録媒体RMに着弾した状態を示している。 【0055】このようにイエローのインク液滴I3が記録媒体RMに完全に浸透する前に次のマゼンタMのインク液滴I4が着弾すると、図10の(c)に示すように、浸透の途中でイエローのインク液滴I3とマゼンタのインク液滴I4が液体状で接触し混ざり合ってしまい、画像劣化の一つである色滲み(ブリーディング)という現象が発生する。なお、図中右方向は時間軸であり、縦方向はインク液滴移動方向である。 【0056】このため、図11に色滲みを発生させない場合のインク浸透モデルを示すように、イエローYのインク液滴I3が記録媒体RMに完全に浸透してから隣接ドット位置に次のマゼンタMのインク液滴I4が着弾するように制御する。すなわち、図11の(a)にイエローYのインク液滴I3が記録媒体RMに着弾した状態を示し、図10の(d)にマゼンタMのインク液滴I4が記録媒体RMに着弾した状態を示すように、マゼンタのインク液滴I4が記録媒体RMに着弾するときにはイエローのインク液滴I3は記録媒体RMに対する浸透を終了させている。 【0057】これを満足するには、イエローYのインク液滴I3が記録媒体RMに着弾してからこの記録媒体RMに完全に浸透し終わるまでの時間をT、イエローYのインク液滴I3が記録媒体RMに着弾してからマゼンタMのインク液滴I4が記録媒体RMに着弾するまでの時間差をTx(ms)とすると、この場合もT≦Txが必須の条件となる。 【0058】このように、記録媒体上にインク液滴が着弾してからその隣接する位置に次のインク液滴が着弾する場合においても、記録ヘッドから1回の動作で吐出する最大インク液滴量をV(ml)、そのインク液滴が記録媒体に着弾したときのドットの平均等価円直径をD(m)、インクの記録媒体への吸収係数をKa(ml/m2・ms1/2)とすると、インク液滴が記録媒体に全部吸収するまでの時間T(ms)は、T=(4V/πD2Ka)2となる。 【0059】従って、記録媒体上にインク液滴が着弾してからその隣接する位置に次のインク液滴が着弾するまでの時間をTx(ms)とすると、この時間Txが、T≦Txを満足するように、T、V、D、Kaの条件(なお、各色のインクは物性を極力同じにするためこれらの条件は同じに設定できる)を設定してカラー画像記録を行えば良い。 【0060】こうすることで、前述した同一の位置にインク液滴を重ね印字する場合と同様に、重ねラインの太りや色重ね文字の太りや画像色滲み等の画質劣化を極力抑え、定着性を良好にで、かつインクのコスト低下を図ることができる。また、印字する場合の解像度(ドット径)、インク液滴量、印字速度等の最適条件及びインクが記録媒体へ浸透するときの浸透性の結果からそれぞれの適合条件を導く手法ができ、それらを導くのに費やす時間や労力などを少なくできる。すなわち、これらの条件を効率良く導き出すことができる。 【0061】 【発明の効果】各請求項記載の発明によれば、ライン、文字の太りや画像色滲み等の画質劣化を極力抑え、定着性に優れ、かつインクのコスト低下を図ることができ、しかも、ドット径、インク液滴量、印字速度等の最適条件及びインクが記録媒体へ浸透するときの浸透性の結果からそれぞれの適合条件を効率良く導き出すことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003562 【氏名又は名称】東芝テック株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年9月9日(1999.9.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100058479 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−229425(P2000−229425A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月22日(2000.8.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−255888 |
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